バラは本当にたくさんの種類があって、何を基準に自分好みのものを探せばいいか困っていませんか? バラには花の美しさはもちろん、花がらを残すと晩夏から秋にローズ・ヒップと呼ばれる美しい実をつける種類があります。バラの専門家河合伸志さんに「横浜イングリッシュガーデン」の秋を彩るローズ・ヒップを教えていただきます。

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バラのなかには野生種や野生種系の品種を中心に、美しいローズ・ヒップを楽しめるものがあります。多くの種類は晩夏の頃より色づき始め、秋の庭に彩りを添えてくれます。特にナチュラル・ガーデンなどでは、その野趣のある姿が大いに活躍します。

私がガーデンを監修する神奈川の「横浜イングリッシュガーデン」では、30種を超すバラがローズ・ヒップを実らせますが、早いものでアジサイが咲く頃に、最盛期は10月上旬に色づき始めます。

ローズ・ヒップが実るバラをコレクションするのは、個人邸では限りがありますが、多種多様なバラを栽培する観光ガーデンでなら、実のつき方や株のボリュームなどと一緒にローズ・ヒップを観賞して楽しめます。また、市場では手に入りにくい品種のローズ・ヒップも見られますので、ぜひコスモスも咲くガーデンへ出かけてみてください。

ここでは、苗が入手しにくいローズ・ヒップをピックアップしてご紹介します。

横浜イングリッシュガーデンで観賞したいローズ・ヒップ5選

1.ロサ・ダブリカ(ヤマハマナシ)

日本に自生する野生種で、やや小ぶりの実が鈴なりについて人目を引く。実の色づき始める時期は比較的早いが、晩秋まで長期間楽しめる。花は桃色の中小輪の一重咲きで、早咲き性、一季咲き。シュートは直立に伸び、側枝はやや広がるように伸長し、高さ2m程度の自立したシュラブに成育する。ハダニにやや弱いが、黒星病に強く、初心者でも栽培しやすい。ローズ・ヒップがとても美しい品種だが、残念なことにほとんど流通していない。

春、花の季節のロサ・ダブリカ(ヤマハマナシ)。

2.ブルゴーニュ(ロサ・ペンデュリナ・ブルゴーニュ)

ロサ・ペンデュリナの交配種で、しばしば‘ロサ・ペンデュリナ・ブルゴーニュ’とも呼ばれて流通する。特徴的な大きな細長い実が結実し、色の変わりゆく様も大変に魅力的。花は淡い桃色の中小輪一重咲き、一季咲き。シュートは弧を描くように伸長し、樹勢はやや強く、高さ1.5mほどのシュラブに成育する。黒星病にも強く、初心者でも育てやすい。流通量はやや少ない。

3. ドクター・ジャクソン

イングリッシュ・ローズの一品種で、‘レッド・コート’の実生から誕生。スカーレットの中大輪一重咲きの花を多数咲かせ、華やかでよく目立つ。一季咲き。シュートは伸長力があり2.5m以上に伸び、株全体では高さ2m程度の大きめのシュラブに成育する。一般家庭では、つるバラとして扱うのに向いている。秋には洋ナシに似た形の大きめの実をぶら下げるようにつけ、存在感が強い。平均的な耐病性なので、ある程度薬剤散布をしたほうが順調に成育する。魅力的な品種だが、残念なことに流通量が少ない。

春、花の季節のドクター・ジャクソン。

4. シャロプシャ・ラス

‘コンスタンス・サプライ’、‘キャンティ’と共に、3つのファースト・イングリッシュ・ローズと呼ばれる。アルバ・グループの先祖となった品種で、ハイブリッド・ティー系の‘マダム・バタフライ’とアルバ系の‘マダム・ルグラ・ドゥ・サン・ジェルマン’の交配から誕生した。葉はアルバ系の性質を引き継ぎ、ブルー・グレーを帯びた色合い。花は淡い桃色を帯びた白色の大輪一重咲きで、花つきが非常によく、満開の時は見ごたえがある。一季咲き。トゲの少ない枝は比較的しなやかで、シュートは伸長2.5m程度で弧を描くように伸び、株全体では高さ2mほどの大ぶりのシュラブに成育する。一般家庭ではつるバラとして扱うのに向く。秋には大きめの実を多数つけ、とても美しい。平均的な耐病性なので、ある程度薬剤散布をしたほうが順調に成育する。歴史的な品種だが、流通量が少ない。

春、花の季節のシャロプシャ・ラス。

5.ベイシーズ・ソーンレス(コマンダー・ジレット)

ロサ・カロリナ系の品種で、その名の通り枝にトゲがない。枝葉はやや繊細な印象で、シュートは弓状に弧を描くように伸長し、高さ1mほどのシュラブに生育する。花は桃色の中小輪の一重咲きで、大きめの房になって開花する。オレンジ色のローズ・ヒップはよく目立ち、鈴なりにぶら下がるようにつく。黒星病耐性がとても強く、初心者でも栽培しやすい。非常に優れた品種であるが、流通量がやや少ない。

ご紹介のローズ・ヒップのほかにも美しい種類があります。『晩夏から秋のバラの楽しみ。専門家が選ぶ美しいローズ・ヒップ【前編】』や『晩夏から秋のバラの楽しみ。専門家が選ぶ美しいローズ・ヒップ【後編】』も併せてご覧ください。

Credit

花写真&文責/河合伸志
千葉大学大学院園芸学研究科修了後、大手種苗会社の研究員などを経たのち、フリーとして活躍の場を広げる。現在は横浜イングリッシュガーデンを拠点に、育種や全国各地での講演や講座、バラ園のアドバイスやガーデンデザインを行う。著書に『ミニバラ NHK趣味の園芸 よくわかる栽培12か月』(NHK出版)、『バラ大図鑑 選ぶ、育てる、咲かせる(別冊NHK趣味の園芸)』監修など。

ローズ・ヒップ写真/3and garden 

トップ庭写真/桜野良充

撮影協力/横浜イングリッシュガーデン

Information

横浜イングリッシュガーデン

住所 神奈川県横浜市西区西平沼町6-1 tvk ecom park
TEL 045-326-3670

HP http://www.y-eg.jp

ガーデン開園時間 10:00~18:00(最終入園17:30)
冬季は日没まで

入園料 大人500〜1,000円 小中学生200〜400円(季節により変動)
(2017年10月現在)

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