スリー・アンド・ガーデン/ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。「ガーデンストーリー」書籍第1弾12刷り重版好評『植物と暮らす12カ月の楽しみ方』、書籍第2弾4刷り重版『おしゃれな庭の舞台裏 365日 花あふれる庭のガーデニング』(2冊ともに発行/KADOKAWA)発売中!
3and garden
スリー・アンド・ガーデン/ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。「ガーデンストーリー」書籍第1弾12刷り重版好評『植物と暮らす12カ月の楽しみ方』、書籍第2弾4刷り重版『おしゃれな庭の舞台裏 365日 花あふれる庭のガーデニング』(2冊ともに発行/KADOKAWA)発売中!
3and gardenの記事
-
育て方

ムスカリの球根を水耕栽培でかわいく育てる方法
早春に開花する球根、ムスカリ coloursinmylife/shutterstock.com ムスカリとは、キジカクシ科(ヒヤシンス科、ユリ科に分類される場合も)ムスカリ属の球根植物で、庭植えでは3〜5月中旬に花が咲きます。一度庭に植えておくと、毎年少しずつ増えて、管理の手間がかからない丈夫な植物です。雪が降る地域でも植えっぱなしで冬を越し、雪解け後に小さな花姿が現れて、春の到来を教えてくれます。 花色バリエも豊富なムスカリの種類 紫花のアルメニアカム。olly kiseleva/shutterstock.com ムスカリは、定番の紫花「ラティフォリウム」や「アルメニアカム」のほかに、白花の「ボトリオイデス・アルバ」やピンク花の「ピンク・サンライズ」、淡いブルーの「レディー・ブルー」、ブルーのグラデーションが美しい「オーシャン・マジック」、ライムグリーンの「グリーン・パール(ベレバリア)」など、花色が豊富で、選ぶ楽しみもあります。 濃淡2色咲きのラティフォリウム。Belle NL/shutterstock.com 白花のボトリオイデス・アルバ。KateChris/shutterstock.com ムスカリ‘ピンク・サンライズ’。Peter Turner Photography 青色のグラデーションが美しい‘オーシャン・マジック’。Flower_Garden/shutterstock.com ムスカリの名前の由来 ムスカリ(Muscari)という名は、ギリシャ語の「麝香(じゃこう)」のムスク(Musk)に由来します。日本で流通しているムスカリ品種の中で、ムスカリの語源となったムスク系の芳香が感じられるのは、マクロカルパ種系統の品種 'ゴールデンフレグランス' 。庭植えでよく見られる、紫花のアルメニアカム種やラティフォリウム種の花は、残念ながらムスクのような芳香はありません。 なお、‘ゴールデンフレグランス’は入手が難しく、ムスカリの香りを嗅いでみたい! という場合は、秋植えの球根の販売がスタートする9月か、その前からネットなどで予約注文をすると入手できる可能性が高まります。 黄花で香る‘ゴールド・フレグランス’。InfoFlowersPlants/shutterstock.com ムスカリを購入したら冷蔵保存 ムスカリの球根は、9〜11月頃園芸店や通信販売などで購入します。早めに購入したら紙袋などに入れて、冷蔵庫に1カ月程度入れておきます。すると、冬を体験させることになり、芽が出やすくなります。涼しい地域にお住まいの方は、外に置いておくだけでもよいでしょう。あせらず、年末年始のまとまった時間がある時に植えつけ作業をしても、十分花が楽しめます。 ムスカリの水耕栽培の手順 用意するのは以下の4つ。球根、ピンセット、空き瓶など穴があいていない容器、セラミスやハイドロボール(写真中央/穴の空いていない容器で植物を育てる際に便利な植え込み材)。お好みで、化粧砂(写真右上/水によって固まる砂なら水に浮いてこず、傾けてもこぼれ落ちずに便利)や、初心者さんには、水の乾きが分かる「セラミスインジケーター」(写真右下)も用意するとよいでしょう。 まず、ガラス瓶の中にセラミスをある程度の深さまで入れます。球根の芽が上になるように静かに入れ、周りにセラミスや化粧砂を入れたら完成! ガラス瓶の中に収まったように植え付けました。開口部ギリギリまでセラミスを入れて、瓶から飛び出したように植えるのもかわいいですよ。 底に穴があいていない鉢に5球まとめ植え。球根は全体を埋め込まず、根が隠れる程度の深さで植えましょう。全体を植え込むと腐ってしまう場合があります。 植え付け後は、1週間に1度程度、セラミスが完全に乾かないように気をつけながら水を足します。入れすぎたかな? と思ったら、瓶や鉢を静かに傾けて排水しますが、ある程度水が多くても育てられるのが、セラミスなどの植え込み材を使った水耕栽培のメリットです。 陽だまりに置いて芽を育てよう 1月上旬に植え付けたムスカリは、半月で芽を伸ばし始めました。成長スピードがそれぞれ違い、そのアンバランスな感じもかわいいですね。球根を購入する場所が違うだけでも、成長のスピードが変わるので、時間差で育ててみたい場合は、花色ごとにお店を変えて購入するのもテクニック。 1月下旬。どんどんつぼみが上がってきました。早くも花が開いているものもあります。 花がまだ開かず、ツクシみたいなつぼみも、下から咲き上がる花穂もかわいいですね。草丈20cm程度と小さいサイズの球根花は、庭に植わっているとここまで近くで眺められないので、庭に植えている人も、ぜひ、水耕栽培でムスカリを育ててください。今まで知らなかった発見がありますよ。 花が咲き終わったら花茎を切る 午後、西日が差し込む程度の明るい室内の窓近くに置き、2月上旬には、随分花穂が伸びて、咲き切った花はしおれてきました。 終わった花穂は根元から切り取って、お手入れ。すべての球根の花が終わるまで2週間ほど楽しめます。 ムスカリの開花シーズン後のお手入れ 花が終わった2月下旬。瓶を傾けて球根を抜き出しましょう。これまでセラミスに埋まっていて見えなかった根が、ずいぶんと伸びていることが分かります。これもまた感動の瞬間。 球根の形はほとんど変わらないのに、葉が30cmほど、根が20cm伸びました。手のひらに乗るほどの小さな球根の生命力に驚きます。もし、植え付ける地面があったら地植えして葉が枯れるまで育てると、また来年、花が咲きます。ベランダならば、鉢に植えて、葉が自然に枯れるまで育てておけば、来年もまた花が咲く可能性があります。 使ったセラミスは洗って砂と分け、日に当てて乾燥させれば、また再利用ができます。来年の秋まで、次回はどんな器に植えようか? 何色を咲かせようか? また巡ってくる秋が楽しみですね。 ムスカリの花とツワブキの葉の小さなブーケ。 ムスカリは地植えにすると、植えてから4〜5カ月後まで花が咲きませんが、暖かな室内の窓辺なら、外で育てるよりも短期間で開花し、花を身近に楽しむことができます。春を先取りする冬のボタニカルインテリア“ムスカリの水耕栽培”。ぜひ、チャレンジしてください。
-
海外の庭

イングリッシュガーデン旅案内【英国】ベス・チャトー・ガーデン(2)癒しの水の庭と森の庭
乾燥の地につくられたウォーター・ガーデン 『花好きさんの旅案内【英国】 ベス・チャトー・ガーデン(1)乾燥に強い庭を実現』では、乾燥に耐えられる植物を集めたグラベル・ガーデン(砂利の庭)をご紹介しましたが、そのグラベル・ガーデン脇の庭園入り口を抜けていくと、今度は、たっぷりと水をたたえ、青々と茂る水辺の植物に縁どられた池が現れます。 予期せぬダイナミックな水辺の景色に、思わず見とれてしまいます。じつは、この池は、泉から水を引いた水路をせき止めてつくった、人工の池です。エセックス州のこの辺りは、年間降雨量が少ないことで知られますが、ベスは、乾燥したこの地では育てるのが難しい、プリムラやホスタといった湿り気を好む植物を育ててみたいと思い、池をつくって、湿度を保った環境を整えることに挑んだのでした。 ウォーター・ガーデンには、ベスが厳選した、水辺を好む植物や、湿り気を好む植物が植えられています。彼女の庭づくりの合言葉は‘Right Plant, Right Place’(ふさわしい植物を、ふさわしい場所に)というものですが、グンネラやススキの仲間など、適切な環境に植えられた植物はよく茂って、夏には涼やかな空間をつくります。暑い夏場、水辺の気温は、庭園内の他の場所に比べて数度低くなるそうです。乾燥した土地にあって、この水の庭の豊かな景色は驚くべきものです。 ウォーター・ガーデンから緑の芝生を少し上っていくと、そこはもう、スクリー・ガーデン(がれ場の庭)です。ベス・チャトー・ガーデン(1)編でご紹介しましたが、こちらは水の庭とは対照的に、乾燥に強い植物を集めた庭。ベスが、正反対の性質を持つ植物をひとところで観賞できるガーデンをつくりだしたというのはすごいことだなぁと、歩きながら感心しました。 ふかふか芝生の小径 ウォーター・ガーデンの先には、ふかふかの芝生が続く、ロング・シェイディ・ウォーク(長い日陰の小径)があります。大きなオークの木々が葉を広げる下に、シダやホスタ、ティアレラ・コルディフォリア、ヴィオラ・リヴィニアナ‘プルプレア’など、日陰を好む植物が植えられています。 弾力のある芝生の小径は幅が広くゆったりしていて、庭を独り占めしているような感覚で散策を満喫できます。もし時間が許すなら、来た道を戻りながら違う角度から眺めるのもよいでしょう。新鮮な発見ができそうと感じました。 多彩な緑を楽しむウッドランド・ガーデン ウッドランド・ガーデンは、森の中の散策を楽しむ庭です。大きなオークの木々が葉を広げてつくる天蓋の下には、森の下草としてふさわしい、日陰を好む球根花や宿根草、灌木、シダなど、ベスが厳選した植物が植えられています。 森の中は、静けさに満ちた、安らぎのある空間です。他の庭に比べると、当然ながら花より葉の緑が多く、色彩はおとなしめですが、緑を背景に花々の清楚な姿が浮かび上がって、心引かれます。 足元に茂る植物に目をやると、さまざまな葉が美しいコンビネーションを見せています。緑色の濃淡の対比や、葉の形や模様の豊かさは、見ごたえ十分。フラワーアレンジメントに精通した、フローリストの目を持つベスならではの、繊細な植栽です。ここに派手な植物はありませんが、彼女らしい植栽の魔法が発揮されているように思いました。 受け継がれるチャレンジ精神 こちらは、オープンな日向のエリアが広がる、新しいリザーバー・ガーデン。デザインが一新されて、2017年に公開されました。ここには、あまり環境を選ばない植物が植えられていて、その一角は、ニュー・プランティングと呼ばれる、新しい品種の植物を試験的に育てる場所となっています。 2014年から2年近くかけて、ベスのチームはこの辺りの粘土質の土を改良しました。使われたのは、無農薬(オーガニック)のスペント(使用済み)・マッシュルーム・コンポストです。 英国では、商業的なマッシュルーム栽培で菌床として使われた、麦わらや馬ふんなどからなる堆肥(マッシュルーム・コンポスト)を、ガーデニングに再利用する動きがあります。ベス・チャトー・ガーデンによれば、使用済みのマッシュルーム・コンポストは、窒素の量は少ないものの、他の栄養素が多く含まれ、粘土質の土壌の改良や、栄養不足の土に使う腐葉土に加えるのに最適だそう(ここでは、蒸気殺菌された使用済みマッシュルーム・コンポストが使われています。コンポストはアルカリ性なので、酸性を好むツツジ科の植物には与えないことや、土のpHが偏りすぎないように使用に注意が必要です)。 コンポストを土に十分にすき込むためには、一度に薄くしか撒けません。ベスのチームは何度も何度も根気強く、大量のコンポストをすき込み、改良を続けました。 ニュー・プランティングのエリアでは、ベス・チャトー・ガーデンにとっても挑戦となる、新しい品種の植物を育てています。 1950年代後半からフラワーアレンジメントの活動に携わったベスは、海外から取り寄せた植物の種子を発芽させて、当時はまだ珍しかった、ナチュラルなテイストの植物を育て、紹介し続けていました。1977年から1987年にかけては、英国王立園芸協会のチェルシーフラワーショーで「珍しい植物」の展示を行い、連続で合計10個のゴールドメダルを受賞しています。 たしかに、ここで日本ではまだ耳にしたことのない、最新の植物に出合うことができました。みんなが喜ぶ新しい植物を紹介し続けた、ベスの精神が受け継がれているように感じました。 庭と連動したナーセリー ウォーター・ガーデンの脇と、ウッドランド・ガーデンの脇には、広いストックベッドがあります。ここは、ナーセリーで販売するための苗を育てる場所。毎年6万株を育てているそうで、庭に生えている植物と同レベルの、しっかりとした健やかな苗が育っています。 ナーセリーで売っている品種の数は、2,000を超えます。苗の多くは、この庭に生える植物から増やしたものなので、庭はいってみれば「商品カタログ」の役割を果たしています。例えば、樹木の下の日陰で育てるのによい植物は何かなど、実際の庭を見ながら目的にふさわしい植物を探し出して、その苗を持ち帰ることができるというわけです。 ナーセリーは、乾燥に強い植物、水を好む植物、日陰を好む植物など、植物の性質ごとに売り場の区画が分かれていて、どんな庭に植えるべき植物なのか、一目でわかります。庭園に植わっている植物には一つずつ名札がついているので、その品種名を頼りに苗を探すこともできますし、また、気になった植物の写真を撮ってナーセリーにいる園芸スタッフに見せれば、名前を教えてくれます。地元の人達にとっては、心強い味方に違いありません。とても活用されているガーデンなのだなぁと感じました。 庭園にはショップと小さなカフェレストランが併設され、窓の外に広がる庭を眺めながら、昼食を楽しむことができます。テーブルには庭の花が生けられていて、ほっこりした気持ちになります。 庭の植物が無農薬で育てられていると聞いたからか、庭の空気もなおさら気持ちよく感じられました。ベスは無農薬栽培を熱心に提唱した人でしたが、これだけの規模のガーデンを無農薬で管理するのは本当に志が高くないと継続できません。きっと彼女は芯が強くて、カリスマ性のある人物だったのだろうと、その庭に触れて実感しました。 併せて読みたい ・英国のオープンガーデン 秋まで美しい、オーナメンタル・グラスがおしゃれな庭 ・庭をつくろう! イギリスで見つけた、7つの小さな庭のアイデア ・玄関を花でコーディネート! 海外のおしゃれな玄関先8選
-
ガーデン

イングリッシュガーデン旅案内【英国】 ベス・チャトー・ガーデン(1)乾燥に強い庭を実現
20世紀の偉大なガーデンデザイナー ベス・チャトー(1923-2018)は植物の特性をよく知るガーデンデザイナーとして、また、経験に基づく豊富な園芸知識を伝えた作家、講師として活躍しました。その功績により、2002年に大英帝国四等勲爵士を授与されています。 晩年も電動カートに乗って庭に出て、ガーデンスタッフとの会話を楽しんだというベス。2018年5月、94歳で亡くなると、英国の主要メディアで訃報が報じられ、その死が惜しまれました。現在、ベスがつくり上げた庭園は孫娘のジュリア・ボルトンに引き継がれ、ベスとともに働いた有能なガーデナーチームによって管理されています。 乾燥に挑戦するグラベル・ガーデン 来園者をまず迎えるのは、グラベル・ガーデン(砂利の庭)です。風になびく柔らかなグラス類の穂や、すっと伸びるリナリアのピンクやバーバスカムの黄色の花穂。リズムを与える、紫の丸いアリウム。砂利が敷かれた広々とした区画に、さまざまな植物が茂る、軽やかで美しい植栽です。 じつは、この庭には秘密があります。それは、1991年につくり始めてから27年間、一度も人工的な水やりがされていないということ。この辺りは年間降雨量が少ない、英国でも最も乾燥している地域で、実際、2018年の夏は50日間も雨が降りませんでした。この庭の土は水を保たない貧しい土で、水を引き込むこともされていません。にもかかわらず、この素晴らしい庭景色は存在し続けています。 ここは、庭づくりには到底向かない乾燥した荒れ地で、かつては駐車場として使われていました。しかし、1991年、ベスはあえてこの場所に、実験的に庭をつくります。英国では日照りが続いて水が不足すると、庭の水やりに制限がかかります。そんな乾燥した状況にも対応できる、最低限の湿り気で育つ植物は何なのか、彼女は庭を愛する人々のために、模索を始めたのです。 適材適所、ローメンテナンスな庭づくり ベスの夫、故アンドリュー・チャトーは、世界の植物の生態系について研究を続けた人物でした。20歳で結婚したベスは、夫の影響でガーデニングに興味を持つようになります。ベスが新しい植物を持ち帰ってくると、アンドリューは、それが地球上のどこから来た植物なのかを教えたといいます。 ベスの庭づくりの合言葉は‘Right Plant, Right Place’(ふさわしい植物を、ふさわしい場所に)というものでした。野生の姿において、その植物はどんな場所に育っているのか。それを教えてくれる夫の知識に絶対の信頼を置いていたベスは、植物の性質を見極め、その植物にふさわしい環境に植えることを、基本理念としました。 ベスは、英国ガーデンデザイン界の巨匠であった、故クリストファー・ロイドと親交が深かったことでも知られていますが、2人はグラベル・ガーデンの水やりを巡って激論を交わしたといいます。今にも干からびそうな植物に水やりをしないのは、ペットに餌をやらないようなもの、と非難するクリストファーに対し、ベスは決して妥協をしませんでした。しおれそうな草花を見て苦痛を感じても、乾燥に強い植物を突き止めたいという情熱のほうが勝っていたのです。 若い頃、フラワーアレンジメントで草花に親しんだベスがつくったのは、さまざまな形や質感の草や葉が、流れるような美しいハーモニーを見せる庭。けれどもそれは、ローメンテナンスを突き詰めた庭でもあったのです。 高山植物を集めたスクリー・ガーデン 同じく、乾燥に強い植物を集めているのが、グラベル・ガーデンより前につくられた、スクリー・ガーデンです。スクリーとは、斜面に岩や石が転がっている、がれ場のこと。この庭は日当たりのよい小高い場所にあって、水はけのよい砂利の多い土が敷かれています。その状況に似た、がれ場で育つような乾燥に強い植物や高山植物が、ここには植えられています。 高山植物は高い山々でしか育たないと思われるかもしれませんが、英国で高山植物と呼ばれるものには平地でも育てられるものがあり、ロックガーデンやドライガーデンによく用いられます。日照りによる渇水が増える昨今、水やり不要のローメンテナンスの植物として、注目を集める存在です。 日本で高山植物と聞くと、維持管理が難しい植物のイメージがありますが、この庭に植わる高山植物には、アネモネやゲラニウム、フロックス、オダマキ、ナデシコ、ソリダゴ、タイム、エリゲロンなど、ガーデニングでよく耳にする植物の仲間であるものが、多々あります。 セダムの中にも、育てやすい高山植物に数えられるものがあります。他にも、陽光が好きで乾燥に強い多肉植物の鉢が、ここには並べられています。 ベスの庭は、敷地全体が一つにつながって、無数の植物が、周囲と調和する美しい組み合わせを見せながら、それぞれ環境に適した場所に植えられています。生け垣などで仕切られた、小部屋が連なるスタイルの、いわゆるイングリッシュガーデンとはだいぶ趣が異なった、ナチュラルな庭です。ゆったりとした道幅の小径をのんびり進むと、砂利の庭から水辺に出たり、森の中にいたり。時間をたっぷりかけて行き来したい庭です。 併せて読みたい ・イングリッシュガーデン旅案内【英国】ベス・チャトー・ガーデン(2)癒しの水の庭と森の庭 ・英国の名園巡り、オールドローズの聖地「モティスフォント」 ・デッドスペースにも花緑が育つ「寄せ鉢」ガーデニング
-
おすすめ植物(その他)

初心者にもオススメ! バラをもっと素敵にみせる名バイプレーヤーの草花たち
バラと草花を組み合わせる場合に気をつけたいこと バラに組み合わせる草花を選ぶ際、以下のことに気をつけると、バラも草花も調和した美しい風景をつくることができます。 開花期 花色の組み合わせを狙う場合には、バラと開花期をぴったり合わせる必要があります。バラは4月下旬頃から咲き始める早咲きや、6月中旬以降に咲く遅咲きなど、品種によって開花期に開きがあります。まずは、バラと組み合わせる草花の開花期を調べましょう。開花期が比較的長い一年草は、初心者にもオススメです。しかし逆に、バラの花が終わったあとに、庭の彩りを補う目的なら、開花期が異なる草花を選ぶのもよいでしょう。 生育上の相性 外観上の問題だけでなく、生育上の相性も考慮します。バラは日当たりがよい場所を好み、肥料や水が比較的たっぷり必要な植物です。組み合わせる植物も、同じような環境を好むものを選びます。ただし、生育旺盛な宿根草と合わせる際は、バラの栄養分が取られて生育に影響することがあるので、株元付近から50㎝以上離して植えるとよいでしょう。 宿根草は株元から離す バラは毎冬、株元から30〜50㎝ほど離れた場所に穴を堀り、肥料をやります。これを寒肥(かんごえ)といいます。宿根草は基本的に植えっぱなしで育てるので、バラの株元付近にたくさん植えると、寒肥作業の邪魔になります。宿根草を組み合わせる場合は、植え場所に配慮しましょう。枝を誘引できるつるバラなら、株元から離して草花を植えても、共演が楽しめます。一方、晩秋には抜いてしまう一年草なら、そうした気づかいはありません。 管理が楽で丈夫なものを選ぶ 比較的放任していても育ってくれる丈夫な草花を選んだほうが気が楽です。バラは開花期にも病虫害対策や花がら摘みなど、手入れが必要ですし、バラの手入れの際には株元付近に踏み入ることが多いので、山野草など、育てるのに気づかいが必要で繊細な植物は、エリアを分けて育てたほうがよいでしょう。 バラの庭の常連役者「ブルーの花」 どのバラと合わせても、バラを引き立ててくれるベスト・バイプレーヤーが青色の花。バラ単体よりも、青色の花が添えられることで、ピンクのバラも黄色のバラも、どんな色のバラでも際立って美しく見えます。バラには今のところ純粋な青色がないので、青色の草花との組み合わせは、バラの庭づくりの成功セオリー。何を合わせるか迷ったら、青い花を選ぶとよいでしょう。 <ニゲラ> キンポウゲ科/一年草 草丈/40〜100㎝ 開花期/4〜7月 育て方と魅力/初心者にもとても育てやすい一年草です。秋にタネを播くと、翌年の春以降、枝分かれして次々に花を咲かせ続けます。切っても花もちがよいので、バラとのアレンジメントにも重宝します。花後にできる小さな風船のようなタネ袋はドライフラワーとしても楽しめます。袋の中にはたくさんの小さな黒いタネが入っており、刈り取らずにおけば、タネが自然にこぼれて、翌年以降、何年も花を咲かせてくれます。秋以降、バラの土づくりの際に耕したとしても、ニゲラのタネは大量にこぼれるので発芽しますが、タネ採りをしておいて、バラの土づくりの後に播けば、より確実です。 <ギリア・カピタータ> ハナシノブ科/一年草 草丈/約50㎝ 開花期/4〜6月 育て方と魅力/初心者にもとても育てやすい一年草です。秋にタネを播くと、翌年の春以降に花が咲きます。春に花苗が出回ることもあります。茎は細いながらもしっかりしており、しなやかな茎の先に小さな花が集まって鞠状になる花姿がとても可愛らしく素朴です。葉も細く細やかなので、繊細な雰囲気。適地であればタネが自然にこぼれて翌年以降、何年も花を咲かせてくれますが、確実に咲かせたい場合にはタネ採りをして播くとよいでしょう。 <イソトマ&ロベリア> キキョウ科/一年草扱い・一年草 草丈/20〜40㎝ 開花期/4〜7月、9〜10月 育て方と魅力/どちらもとても育てやすい一年草で、初心者にもオススメです。春に流通する苗を植えるか、秋にタネをまくと翌年の春以降に花が咲きます。花は濃いブルーから淡い水色まで、それぞれ青色のバリエーションが豊富にあります。草丈が低いので、バラの株元にグラウンドカバー的に咲かせてもきれいですし、バラの花の高さと近づけるなら、鉢植えで側に置いてもよいでしょう。どちらも、春のバラの開花後にもよく咲きます。真夏はいったん休みますが、切り戻しをすると秋には再びきれいに咲いてくれるので、庭の彩りとしても重宝します。 <ネペタ(キャットミント)> シソ科/宿根草 草丈/20〜80㎝ 開花期/4〜10月 育て方と魅力/初心者にもとても育てやすく、丈夫な宿根草です。春か秋に流通する苗を植えます。ブルーの花穂状の花が繊細な雰囲気で、主役のバラを引き立てます。ネペタはハナアブの幼虫の食草になっており、幼虫も成虫もバラの害虫のアブラムシをよく食べてくれるので、アブラムシ対策としても重宝します。ハナアブはミツバチに似た大きさで、人を刺したりすることのない昆虫なので怖がらなくて大丈夫。むしろバラの庭では益虫なので、歓迎してそっと見守りましょう。ネペタは非常に丈夫で、年々株が太って横に広がるので、3〜4年したら掘り上げて株分けをします。そのままにしておくと、内側が蒸れて枯れ、草姿が悪くなるので、必ず株分けしましょう。 同系色の草花を合わせて印象的なシーンを演出 バラと同じ花色の草花を選ぶと、ワンシーンをより印象的に演出することができます。特に赤×赤は難しそうに思えますが、成功するととてもカッコよく決まります。 <ニコチアナ> ナス科/一年草・二年草・多年草(品種による) 草丈/30〜100㎝ 開花期/5〜10月 育て方と魅力/タネから容易に育ち、とても丈夫で開花期が長いのも魅力です。星形の小ぶりな花は、たっぷり花弁を重ねるタイプのバラを際立たせてくれます。花色は赤、ピンク、白、ライムグリーン、紫、複色とバリエーションに富んでいるので、バラとの組み合わせが自在に楽しめます。 <セントランサス> オミナエシ科/宿根草 草丈/約60㎝ 開花期/5〜6月 育て方と魅力/和名でベニカノコソウとも呼ばれる宿根草で、非常に丈夫。英国ではしばしばコンクリートの割れ目などからも花を咲かせているほどです。赤い花は派手な印象があり、バラとの組み合わせを躊躇しがちですが、この花は繊細でナチュラルな雰囲気なので、淡い色のバラと合わせても素敵です。こぼれ種でもよく増えるので、2年目以降は増えすぎに注意して管理します。 <ギリア・トリコロル> ハナシノブ科/一年草 草丈/約50㎝ 開花期/4〜6月 育て方と魅力/花姿はまったく異なりますが、先に紹介したギリア・カピタータの仲間です。花の中心に黒い‘目’が入り、白いバラとの組み合わせがおしゃれです。こちらも初心者にもとても育てやすい一年草です。秋にタネを播くと、翌年の春以降に花が咲きます。春に花苗が出回ることもあります。 レースのような花で繊細な美しさを強調 中輪以上の花形が多いバラに、小花の取り合わせは間違いなくマッチします。なかでも小花が集まって花姿がレース状に見える花とバラとの組み合わせは、繊細さを極めてエレガント。一度は試してみたい憧れの組み合わせです。 <オーニソガラム・サウンデルシー> ユリ科/多年草(球根) 草丈/30〜100㎝ 開花期/4〜7月 育て方と魅力/とても育てやすく丈夫な球根植物です。細い茎が立ち上がり、小さな白色の花が集まって丸く咲きます。小花の中心が緑色になりユニーク。2〜3年は植えっぱなしで繰り返し咲きます。肥料が多すぎると球根が腐ることがあるので、定期的に施肥をするバラの株元付近からは離して植えるとよいでしょう。 <セントランサス> 先にご紹介したセントランサスの白花種はレースのような雰囲気で、より繊細な雰囲気が演出できます。 縦のラインの花との対比で花形の違いを魅力的に バラの花はおおむね丸い花形で、それらが集まって咲く様子はふわふわと柔らかな印象です。一方、草花の中には細い茎をまっすぐに伸ばし、その茎に沿って縦に花を連ねる花穂状(かすいじょう)という咲き方をする種類があります。丸くふんわり咲くバラと、ラインで咲く花穂状の花を組み合わせると、形の違いが際立ち、より魅力的なシーンが生まれます。 <ハイブリッド・ジギタリス> ゴマノハグサ科/宿根草 草丈/約70㎝ 開花期/5〜9月 育て方と魅力/宿根草(二年草)のジギタリスと、イソフィレクシスという近縁種の花との交配によって生まれた、比較的新しい花。花姿はバラの庭の定番植物として古くから人気のジギタリスに似ていながら、ジギタリスよりも開花期間が長く、脇枝からも開花してたくさん咲くので、切り花としても楽しめます。また、一年中葉が枯れない常緑であることなど、魅力が満載。初心者にも育てやすい宿根草です。 <リナリア・プルプレア> オオバコ科/宿根草 草丈/70〜100㎝ 開花期/5〜7月 育て方と魅力/宿根性のリナリアで、線が細く風にそよぐ様子が庭にナチュラルな印象を与えます。シルバーがかった葉の色も美しく、全体的な草姿の様子も優しい雰囲気。秋、または春先に苗を植えつけます。こぼれダネでも増えて、毎年よく咲いてくれます。 赤い実との組み合わせでかわいらしさを演出 <ジューンベリー> バラ科/低木 草丈/3m前後 実の時期/5〜6月 育て方と魅力/春の白い花、バラの花の頃に実る赤い実、紅葉と、楽しみの多い花木です。赤い実は食べても甘くて美味しいうえに、バラの花との相性もよく、田園的な豊かな印象をもたらしてくれます。苗木の植え付けは、厳寒期を除いて秋から翌年の早春まで。剪定は枝が混んでいる箇所を落葉期に切る程度で、さほど難しいことはありません。実を食べにくる小鳥の姿も楽しめます。 以上の写真はすべて鳥取県の面谷ひとみさんが丹精する面谷内科・循環器内科クリニックの庭からのご紹介です。庭の様子はこちら。
-
宿根草・多年草

秋のガーデンを彩る上品な花 シュウメイギク
秋を告げる花 9~10月頃に花開くシュウメイギクは、漢字では秋明菊と書き、秋を告げる代表的な花の一つです。日本では古くから愛されている花で、秋になるとあちこちで白やピンクの花が群れ咲く様子が見られます。シュウメイギクは「キク」という名前がついていますが、キク科の植物ではなく、春に咲くアネモネの仲間。とはいえ、性質は大きく異なり、地下茎を伸ばして大きく広がる大型の多年草。枝分かれした枝茎の先に花を付け、風に揺れて多くの花が群れ咲く様子は繊細で、いかにも秋めいた風情があります。和風の庭にも洋風の庭にもよく合い、秋のガーデンに取り入れやすく、海外での人気も高いガーデンプランツです。 シュウメイギクの花のように見える部分は、実はガク。白やピンク、濃ピンクなどに色づき、丸みのある形が優しい印象を与えます。近年では交配が進み、もともとシュウメイギクと呼ばれていた赤紫色の半八重咲きの野生種のほか、一重咲きや八重咲き、ボタン咲きなどの花を持つ交配種が多くあります。最近の品種には整った花形のものが多いですが、一重咲きの品種にはガクの1~2枚が小さいなど、ややアンバランスな形の花を咲かせるものもあり、そんな花にもナチュラルな魅力があります。ガーデンに向く高性種や、鉢植えなどに扱いやすい矮性種などの品種も増え、ガーデンシーンで幅広く活躍します。 可愛らしいシュウメイギクの品種いろいろ シュウメイギクは色のバリエーションを増やすのが難しく、代表的な花色は白、ピンク、濃ピンクの3色ですが、咲き方は豊富で、ピンクの八重花や白のボタン咲きなど、さまざまな品種が流通しています。京都府の貴船周辺に野生化し、親しまれているキブネギクも、濃いローズ色の八重花です。ここではシュウメイギクの品種の一部をご紹介します。 ピンクの一重花を咲かせる‘スプレンデンス’。 濃ピンクの八重咲き花‘プリンツ・ハインリッヒ’。 白一重咲きの‘オノリーヌ・ジョベール’。 濃淡のあるピンク花‘ハドスペン・アバンダンス’。 半八重咲きの濃いピンク花を咲かせる‘ブレッシンガム・グロウ’。 シュウメイギクの育て方 シュウメイギクは耐寒性、耐暑性があり、山野草として野生化しているように、日本の気候で栽培しやすい草花です。庭植えにした場合、根付いてしまえばほとんど手間をかけなくても毎年花を咲かせてくれます。放任すると広がりすぎることもあるので、場合によっては囲いをしておくとよいでしょう。 植え付けの適期は春か秋。日向から明るい日陰で、やや湿り気のある場所を好みます。根は高温や乾燥に弱いため、株元には直射日光が当たらないようにするとよいでしょう。夏の強い日差しでは葉焼けすることがあるので、鉢植えであれば風通しのよい半日陰に移動するのも一手です。 植え付けの際は、水はけのよい土に。過度な乾燥は嫌うものの、水はけが悪いと根腐れや白絹病が発生しやすくなります。白絹病が発生してしまった場合、株全体が急にぐったりするので、このような株があれば、周りの土ごと早めに取り除きましょう。庭植えの場合は水やりはほとんど必要ありませんが、鉢植えの場合は、根を乾燥させないように、土の表面が乾き始めたら早めに水やりをします。 根をよく伸ばして広がるので、鉢植えの場合は根詰まりしないよう、毎年春に植え替えをするとよいでしょう。庭植えの場合は、3~4年に一度、株が混んできたら春か秋に株分けをしましょう。品種によっては花後に綿毛で覆われたタネができ、タネから育てることもできます。 併せて読みたい ・小さな庭と花暮らし「秋の訪れを告げる秋明菊」 ・秋花壇の演出にオススメ! 秋色が魅力の植物8選 ・風にそよぐ繊細な姿がかわいいコスモスを育てよう Credit 文/3and garden ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。 Photo/ 1)Igor Sokolov (breeze)/ 2)IanRedding/ 3)Altin Osmanaj/ 4)starryvoyage/ 5)PJ photography/ 6)Foxxy63/ 7-9)Anna Gratys/ 10)guentermanaus/ 11)Del Boy/ 12)Elena Kirey/ 13)Dora Zett/ Shutterstock.com
-
一年草

風にそよぐ繊細な姿がかわいいコスモスを育てよう
日が短くなると花を咲かせる短日植物 コスモスはキク科の一年草。秩序や調和、そして美などを表すギリシャ語のKosmosから命名されたといわれます。強健で育てやすく、秋になると公園や道路脇などさまざまな場所に群れ咲く姿が見られる、暮らしの中でもおなじみの花です。明るい時間が短くなることで花芽が形成され、花を咲かせる短日植物として知られています。現在では品種改良が進み、日が短くならなくても花芽をつけ、晩夏から花を咲かせる早生品種など、扱いやすい中日性の品種も多く登場しています。整った形の繊細な花が咲き乱れる姿は秋の風物詩。一般によく見られるピンクや白といった花色のほか、赤や黄、オレンジ、バイカラーなど、カラーバリエーションに富んだ花色も魅力です。何色かを取り混ぜて群植すると、風に揺れる風情が素敵ですね。 コスモスの品種 一般的によく知られているコスモスの系統は、コスモス・ビピンナツスという種類のもの。コスモス・ビピンナツスは短日植物ですが、最近ではこの種でも日の長さに花期が左右されない品種が多く登場しています。コスモスを育てる場合は、花色、花形だけでなく、草丈や開花期も考慮して品種を選びましょう。秋バラなどに合わせるなら、日長に左右されない中日性の品種で、あまり大きくならないものが扱いやすいでしょう。ここでは、扱いやすい中日性のなかから、早生品種と、やや遅れて咲く中手品種のコスモスをいくつかご紹介します。 ‘センセーション’ 一般的に広く普及しているコスモスの品種で、多くの場合コスモスといえばこの品種を指すといってもいいほど。花が大きく強健で育てやすい早生品種。 ‘ドワーフ・センセーション’ ‘センセーション’の特徴を持ち、コンパクトに育つので、鉢植えなどでも扱いやすい。早生品種。 ‘ソナタ’ 草丈が低く、扱いやすい品種で、鉢植えなどで多く流通する。成長が速く、タネを播いてから開花まで時間がかからない分、開花期間はやや短め。早生品種。 ‘シーシェル’ 通常のコスモスとは異なり、花弁がくるりと筒状に巻いたユニークな花形が人気の‘シーシェル’。早生品種。 ‘ダブル・クリック’ 八重咲きと半八重咲きの花が混じり咲く、ゴージャスな花姿が美しい。八重咲きの中でも人気が高い早生品種。 ‘ピコティー’ 花弁の周囲に細く入った覆輪が、繊細で印象的。日長に開花が左右されにくい中手品種。 ‘ベルサイユ’ 花径が10㎝を超えるような花を咲かせる大輪品種で、整った花姿が切り花にも向く。中手品種。 ‘サイケ’ 花びらの付け根に小さな花びらがつく、ひらひらとしたコラレット咲き。中手品種。 コスモス属には、コスモス・ビピンナツスのほかにもキバナコスモスやチョコレートコスモスなどが属しています。どちらもコスモスに花はよく似ていますが、花期や短日性などに多少の違いがあります。 キバナコスモス(コスモス・スルフレウス) コスモス属の一種で、濃い黄色の花を咲かせる系統。代表的な黄色のほか、赤花やオレンジなどの花色を持つ園芸品種もあり、また、ダブル咲きになる品種も。園芸品種は多くが中日植物。育て方は、ほぼコスモスと同じ。 チョコレートコスモス(コスモス・アトロサンギネウス) チョコレートを思わせる香りと濃厚でシックな花形を持つチョコレートコスモスは、寄せ植えなどにも人気の高い花。春から秋まで咲くものと、秋に咲くものがある。宿根草。 コスモスの育て方 コスモスは、基本的にタネを播いて育てる一年草。タネを播くことで、群生させて見事な秋景色をつくり出すこともできます。花期にもよりますが、タネ播きは7月上~中旬頃に。早生品種は春にタネを播き、夏から開花を楽しむことも増えていますが、晩生品種は、早い時期に播くと草丈が高くなりすぎるため、8月に入ってから播くとよいでしょう。 タネ播き後、本葉が2枚出たら先端をピンチすると、脇芽の発生を促し、花数を増やすことができます。また、ピンチを繰り返すことで、草丈を低く抑えることもできます。コスモスは繊細な花姿に比して、野生的に成長するので、植えつけの際は株間をしっかりとっておきましょう。日陰では徒長しやすいため、日当たりがよく、風通しもよい場所で育てます。また、短日性の品種の場合、夜間に光が当たる場所に置くと、葉は元気でも花が咲かない原因になるので気をつけましょう。 開花が始まったら、こまめに花がら摘みを。草丈が高くなると倒れやすくなるので、適宜支柱を立てましょう。コスモスは少ない肥料でもよく育つので、大きくなりすぎないように肥料は控えめに。庭植えにするなら、基本的に元肥以外は必要ありませんが、鉢植えの場合は適宜追肥を行います。 併せて読みたい ・秋のガーデンを彩る上品な花 シュウメイギク ・初夏から晩秋まで咲き続ける、バリエーション豊富な一年草ジニア ・夏から晩秋までたっぷり楽しめる「ケイトウ」を植えよう。編集部オススメの4種類を紹介! Credit 文/3and garden ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。 Photo/ 1) daizuoxin/ 2)NattapolStudiO/ 3-4) Thoai/ 5)Hosi Zin/ 6)Norimoto/ 7,11)Ole Schoener/ 8)maeterlinck/ 9-10,13)i_fleurs/ 12) Dudakova Elena/ 14) pisitpong2017/ 15)seramo/ 16)kenjii/ Shutterstock.com
-
園芸用品

美しい庭をつくる人のガーデニングスタイル・庭装備編
美しい庭づくりのために、作業時にノンストレスで動けて疲れない装備を追求 クリニックの庭で植物の手入れをしていると、よく「お手入れの方ですか?」と言われます。私は、私こそこの庭の専属ガーデナーだと自負しているのですが、院長の妻だということが分かると、皆さん「院長夫人が自らなさっているなんて思いませんでした…」と、汗と泥にまみれた私を下から上まで驚きの表情をもって眺めます。そうです、ガーデニングは全身を使い、かなりの運動量になるわけで、いかにストレスフリーで庭仕事に没頭できるか15年以上追求してきた結果、今のスタイルができ上がってきました。皆さんの思う「院長夫人像」とは少しかけ離れているようですが、私のガーデニングスタイルをご紹介しますね。 美しい庭づくりのための装備1. ガーデニングで動きやすいヨガパンツ 私の庭での格好はだいたいこんな感じです。特に重要なのは、パンツです。ガーデニングでは、しゃがんだり、立ったり、中腰になったりと、しょっちゅう体勢を変えるので、ノンストレスで動けるものを探した結果、今のところヨガパンツがベスト。動きやすく素材もサラサラして気持ちがいいし、洗濯後に乾きやすいのもグッド。足首の部分がゴムでキュッと詰まっているので、長靴に足がスッと入るのも気に入っています。 美しい庭づくりのための装備2. しゃがんだ姿勢に便利でコンパクトなニーパット ガーデニングでは草を取ったり、球根を植えたり、膝をついてする作業が多いので、パンツの上からニーパット(膝当て)をします。膝への負担も軽減されますし、汚れも防いでくれます。置き型タイプのニークッションもありますが、我が家の庭では草花の間にそんな大きなものを入れる余地がないので、膝にぴったりフィットするようなコンパクトなニーパットがいいのです。 美しい庭づくりのための装備3. ガーデニング用にはカカトのないミディアム丈の長靴 長靴はおしゃれなものがたくさんありますが、ガーデニングで使う場合には機能性が一番大事。そして、機能性はその人の体格やどんな庭で使うのかでも変わってくるのだなぁというのが私の実感です。小柄な私の場合、海外のブランドの物はカッコいいのですが、ズシっと重くて疲れてしまいます。しゃがんだ時に、膝裏につっかえないミディアムショート丈で、ゴムにある程度の柔軟性があったほうが快適です。そして、植栽帯の中に入って作業をする場合には、カカトがなく、フラットな靴底のほうがよいのです。フラットといってもツルツルではダメで、適度な溝が全体に刻まれていることが必要です。植栽帯の土は割とフワフワしているので、カカトがあるとすぐに土に食い込んで重くなるし、土にも深い溝ができてしまいます。探してみると、意外とカカトのない長靴は少なく、見つけるのに苦労しました。私が履いているのはparare(パラーレ)というメーカーのレインブーツです。 美しい庭づくりのための装備4. ガーデニングではタオルではなく手ぬぐい 首にはいつも汗拭きのための手ぬぐいをかけ、両端を襟の中に収めています。夏はもちろん、冬でも作業をしていると汗をかくので、汗拭きは必須なのですが、タオルだと厚みがあって夏は暑いし、息苦しい。そこで思いついたのが日本の伝統的な手ぬぐい。薄手で軽く、すぐ乾くので快適です。しかも、手ぬぐいは、いろんな柄があるのでコレクションするのも楽しいのです。私はバラが好きなので、バラ柄の手ぬぐいを集めています。庭友達へのプレゼントにもオススメですよ。 美しい庭づくりのための装備5. 指先の感覚が保てる「綿×ビニール」の異素材手袋2重使い ガーデニングには手袋も必需品。手の皮膚が敏感な私は、素手で土や植物を触っていると、とんでもなく手が荒れるので手袋が欠かせません。いろいろ使ってみた結果、私は綿手袋の上から、ピタッとしたビニール手袋をはめる異素材2重使いに落ち着きました。倒れそうな草花の茎を支柱に留めつけたり、ガーデニングではヒモを結ぶという作業が結構多いのですが、手袋がフィットしていないととてもやりにくく、結局手袋を外すことになるのです。この2重使いは、どちらもピタッとフィットするので指先の感覚が損なわれず、そうした細かな作業も手早くでき、濡れないので便利です。以前、ビニールの手袋だけを使っていたら、ゴムのアレルギーで手に湿疹ができてしまったので、下に綿手袋をすることにしました。どちらもホームセンターやドラッグストアなどで入手でき、安価で大量に入っているので使い捨て手袋として使っています。 美しい庭づくりのための装備6. ガーデニングに便利なポケットいっぱいのエプロン 誘引紐やビニタイ、ハサミ、スマホなどを身につけて歩けるように、ポケットがたくさんついたエプロンを便利に使っています。このエプロンはモン・ベルのフィールドラップエプロンで、ポケットが4つついていて、一つはジッパー付きなので、落としてなくすと困るスマホなどはそこに入れています。伸縮性があって動きやすく、撥水加工がしてあるので水もはじいてくれます。ウエストの調節ベルトには、ハサミケースなどを通すこともできて便利です。 モン・ベル/https://webshop.montbell.jp/goods/disp.php?product_id=1132105 美しい庭づくりのための装備7. ガーデニング時も髪と肌のUVケア・香る日焼け止めスプレー 美容師をしている庭友達が勧めてくれた髪と肌のUVスプレーを愛用しています。友人によると髪も紫外線にさらされると結構傷んでしまうのだそうです。帽子もかぶっているのですが、意外と帽子のツバが視界を遮り邪魔になることがあります。しゃがんで手入れをしていて不意に顔を上げた際、ツバでバラのつぼみや繊細な宿根草の茎を折ってしまったりすることもあるので、水やり以外の庭仕事の際は帽子を脱いでしまいがちです。ですから、庭に出る前には必ずこのスプレーをシュッとひと吹き。SPF50で安心ですし、香りもよいので気に入って使っています。 ナプラ ミーファ フレグランスUVスプレー/美容室やAmazonなどでも入手できます。 面谷さんの丹精する庭はこちら
-
一年草

【失敗しない】ヒマワリの育て方|初心者でも簡単!人気品種の選び方と夏のガーデニング
夏の日差しのような明るい印象 見上げるほど大きく育ち、太陽を追って大輪の花を咲かせるヒマワリ。中央に丸く大きな目を持つ黄色い花姿は、エネルギー溢れる真夏のイメージとしておなじみです。観賞用だけでなく、食用や油を取るためにも栽培されており、人との関わりも深い花です。一面に咲く黄色い花が咲くヒマワリ畑をイメージする人も多いことでしょう。北アメリカを原産とし、多くは花が咲いた後にぎっしりとタネをつける一年草です。 食用やスキンケアなどに広く使われているヒマワリ油。 漢字では「向日葵」と書くように、成長期の若いヒマワリは、太陽を追って花の向きを変えていきます。大きな一つの花のように見えているこのヒマワリの花ですが、実は頭状花序と呼ばれる小さな花の集合体。周囲を取り巻く黄色い花弁をつけた舌状花と、中央部の黒や茶色、黄色などの筒状花が合わさってできていて、円の外側から内側に向かって開花していきます。ヒマワリには小輪から大輪、八重咲きなど多様な花形を持つ品種があり、草丈も3mを超えるようなものから30㎝ほどの矮性品種までさまざまです。広いスペースで育てるイメージの強いヒマワリですが、矮性品種なら鉢植えでも栽培できます。 小さめの花なら、ちょっとしたアレンジメントにもぴったり。 多様なヒマワリの品種 ヒマワリといえば、大きな黄色い花というイメージがありますが、現在ではさまざまな花色や花形を持つ品種が流通しています。ここでは、ユニークな魅力を持つヒマワリの品種を一部、ご紹介します。 ‘テディベア’もこもことした印象の八重花を咲かせる‘テディベア’。草丈80㎝ほどの矮性タイプ。 ‘ムーラン・ルージュ’濃いチョコレート色の花がガーデンでも目を引くヒマワリ。草丈2mほどになる高性種。 ‘スターバースト・レモンオーラ’淡いレモン色の色彩が爽やかな、花径10~15㎝ほどの八重花を咲かせる高性種。 ‘リトル・ベッカ’オレンジと黄色のバイカラーの花を咲かせる‘リトル・ベッカ’は、矮性でコンパクトに育ちます。 「サンリッチ」シリーズ整った花形で花粉がない「サンリッチ」シリーズは、花もちがよく、飾っても汚れないので切り花にオススメ。 ‘ルビー・エクリプス’褐色の花弁の先端がレモンイエローに色づくユニークな品種。花粉がないので切り花にも。 ‘リング・オブ・ファイア’中心に近いほど赤く、外側が黄色の花びらを炎に見立てた名前。よく分枝して花を咲かせます。 ヒマワリの育て方 ヒマワリは苗でも出回っていますが、タネから播いて育てるのが一般的。日当たりと風通しがよく、水はけのよい場所で育てましょう。発芽適温は20~25℃程度、生育にも高温を好むので、タネ播きは4月下旬以降に行うとよいでしょう。ヒマワリのタネは大きくて播きやすいので、直播きでも育てられます。高性種などは、株間を十分にとって播くようにします。ヒマワリは養分、水分をよく吸収するので、近くに植えてある周囲の植物の成長が悪くなることがあります。また、肥沃な土を好むので、植え付け時に元肥を入れておくとよいでしょう。 本葉が5~6枚ほどの時に摘心をすると、ある程度背丈が抑えられ、脇芽が出て花数を増やすことができます。そのぶん、一つひとつの花は小さくなるので、大輪の花を咲かせたい場合は摘心をせずに育てましょう。分枝するタイプは、自然に枝分かれするので、摘心は必要ありません。背が高くなる場合、支柱を立てることで倒れるのを防ぐことができます。 一輪しか花を咲かせない場合、花がら摘みは特に必要ありません。一年草なので、枯れたら抜いてしまいましょう。花が多い場合は、適宜咲き終わった花を取り除くと長期間楽しむことができます。タネを取る場合は、タネが黒くなって葉が枯れてくる頃までそのままにしておき、花首から切って陰干しして保存します。 Photo/ 1)bogdanhoda/ 2)salajean/ 3)Xan/ 4)Andrey Stratilatov/ 5)Magdalena Kucova/ 6)Sergej Lebedev/ 7)D C Robinson/ 8)CandiceDawn/ 9)Ole Schoener/ 10)LagunaticPhoto/ 11)InfoFlowersPlants/ 12)Koki Yamada/ 13)Brandon Lindblad/ 14)T Chareon/ Shutterstock.com
-
おすすめ植物(その他)

まだまだあります! 知っていると誰かに教えたくなる身近な植物の名前の由来
ガーデンや身近な場所で見かける植物はたくさんありますが、その由来をどれだけご存じでしょうか? 植物の名前は、見た目からつけられたり、物語や発見者の名にちなんだりとさまざまです。身近な植物の名前の由来についてご紹介しましょう。 『知っていますか? 身近な植物の名前の由来』も併せてご覧ください。 クローバー(シロツメクサ) Photo/Sann von Mai/Shutterstock.com 幸運のシンボル、四つ葉探しでおなじみのクローバー。最近では葉色の豊富なバリエーションに加え、葉の枚数も5枚以上になるような園芸品種まで登場し、寄せ植えのアクセントとしても人気があります。クローバーという名は古代英語に由来し、「獣の蹄の割れた形の葉」という意味だそう。ちなみに日本ではシロツメクサやツメクサと呼ばれ、白詰草などと書きます。これは、江戸時代に、オランダ人がガラス製品(ギヤマン)など交易品の梱包に、緩衝材としてよく用いたことに由来します。 アスチルベ Photo/ Volcko Mar/Shutterstock.com 初夏にふわふわとした花穂を出し、半日陰のシェードガーデンでも咲くアスチルベ。ギリシャ語「astilbe」からの外来語です。「astilbe」は「~がない」という意味の「a」に、ギリシャ神話の輝きの妖精で、きらめきを意味する「stilbe」が合わさった言葉で、葉につやがないことや、花が地味で目立たないことを表すとされます。名前の評価はやや辛口ですが、泡のような花姿はナチュラルな風情が洋風の庭にも和風の庭にも相性がよく、ガーデンに取り入れたい花の一つです。 スミレ 小さな紫色の花を咲かせ、春を告げるスミレの名前は、大工さんの使う道具から。スミレの花姿が直線を引くための道具である「墨入れ(墨壺)」を思わせることから「スミイレ」と呼ばれ、次第に転訛して「スミレ」になったという説がよく知られています。また、スミレは「スミイレ」であり、スミはツミ(摘み)の異形で、摘んで楽しむ「摘入草」の意味から生じたという説もあります。日本国内にも、山間部に生育し、葉裏が紫を帯びるシハイスミレや、海岸近くに生息するイソスミレなど、多くの仲間が自生しています。 ギボウシ 葉を大きく広げるギボウシは、シェードガーデンには欠かせない宿根草です。鉢に一種植えにしても見映えがよく、ガーデナーにとってはお馴染みの存在。このギボウシという名は、もとはギボウシュであり、若い葉が擬宝珠(欄干の柱の上端につける飾り)によく似ていることからというのが定説ですが、「葱帽子(ネギボウシ)」が転じたという説もあります。欄干の装飾はもともと「葱宝珠」であったという記述もあり、はじめにネギの花を葱宝珠と呼び、次いで欄干の装飾にこの名を用い、最終的に葉が擬宝珠に似たギボウシも同じ名で呼ばれるようになったのではないかと考えられています。ちなみに、東京「日本武道館」の屋根の上にある通称「玉ねぎ」は、擬宝珠なんですよ。 アマリリス Photo/fon.tepsoda/Shutterstock.com ユリに似た大きな花を咲かせる、鮮やかな印象のアマリリス。この名前は英名「amaryllis」をそのまま利用したものです。「amaryllis」の由来は、ギリシャ語の「amaryllis」にさかのぼります。この名は、紀元前3世紀頃のギリシャの牧歌詩人、テオクリトスにより書かれた牧歌の中に登場する、美しい羊飼いの少女の名だそうです。ちなみに学名のアマリリスについてはややこしく、ガーデニングでアマリリスと呼ばれている種は、現在はアマリリス属ではなく、ヒッペアストルム属に分類されています。そのため、アマリリス属に属するものはホンアマリリスと呼んで区別しています。 ホオズキ Photo/sasimoto/Shutterstock.com ふっくりとした赤い実が印象的なホオズキ。毎年7月上旬には、東京・浅草にホオズキ市が立つことでも馴染み深い、季節を告げる草花の一つです。歴史的仮名遣いではホホヅキと書き、口に含んで膨らませ、頬をついて音を鳴らすという子どもの遊びに由来する、というのが通説です。他に、実の様子から人の紅い頬を連想したという説や、ホホというカメムシ類の虫が好むことからという説、実が火のように赤いことから「火火着、火火著(ホホツキ)」と呼んだという説など、さまざまな説があります。ホオズキは漢字では鬼灯とも書き、赤い灯火のような実の様子を、怪しげな赤い提灯として表しています。 バラ 数ある花の中でもトップクラスの華やかさと人気を誇り、花の女王とも呼ばれるバラ。西洋風の印象が強い花ですが、ノイバラは日本でも古くから愛され、ウマラという名で万葉集にも登場します。バラの語源は茨(イバラ)で、トゲのある小さな木の総称でしたが、次第にノイバラを指すようになりました。イバラの語頭のイはウとも発音され、またバラのバがマにも通じたためにウマラとも呼ばれ、この名のほうが歌には好まれたようです。その後、語頭のイやウの音が脱落し、現在のようにバラと呼ばれるようになりました。 ベゴニア Photo/Ancha Chiangmai/Shutterstock.com 育てやすくて花期が長く、春から晩秋まで咲き続くベゴニアは、花壇で広く活躍する花です。花色や花形、草姿などの豊富なバリエーションも魅力です。このベゴニアの名前は、フランス領アンティル諸島の総督だったフランスの植物学者、ミシェル・べゴンに由来します。ちなみに、日本でも親しまれているシュウカイドウもこのベゴニアの仲間。シュウカイドウは漢字では秋海棠と書き、バラ科の花木である海棠(カイドウ)に似た花を秋に咲かせることから、この名で呼ばれています。 参考文献:『語源辞典 植物編』(吉田金彦編著・東京堂出版刊)『日本辞典』 http://www.nihonjiten.com/
-
宿根草・多年草

水に浮かぶ姿が涼やかな水草を育ててみよう
水草(水生植物)とは 普段ガーデンで目にする植物と水草は、大きく異なるように思えますが、どちらも植物であることは変わりません。植物の中でも、体の一部または全部が水中で生育するものが水草と呼ばれています。そのため、ひと口に水草といっても、その形状や性質はさまざまです。 水草には主に、葉や茎が水上、根が水中にある「抽水性植物」、体のすべてが水中にある「沈水性植物」、根を水中に張らず、水面や水上を漂って生育する「浮遊性植物」、水底から茎を伸ばして水上に葉を浮かべる「浮葉性植物」、水辺に育つ「湿生植物」があります。また、同じ水草でも、水位の変化に合わせて体の特徴を変化させることが多く、水中葉と水上葉では、一見別種に見えるほど姿が異なるものもあります。 水を使った涼しげなウォーターガーデンは、ボトルアクアリウムや水槽、水鉢などで楽しむことができます。小さな器に水草を育てて楽しむボトルアクアリウムは、とても手軽で手入れも簡単。大きめの水槽で水草を栽培する場合は、育てるものに合わせてフィルターやライト、ヒーターなどが必要となりますが、自由にレイアウトができ、とても華のあるインテリアになります。水鉢を用いた栽培であれば、ナチュラルな風情が楽しめ、手もあまりかかりません。ウォーターガーデンでは、水草だけでなく、流木や石などを用いてレイアウトするのが一般的。魚やエビ、貝など、水生動物を一緒に飼育することもよくあります。素材選びや配置によって、オリジナルな水景色をつくれるのも、ウォーターガーデンの大きな魅力です。水生動物を飼育する際は、生育環境をきちんと整え、水草だけを育てるよりも頻繁に手をかけてあげましょう。 育ててみたいかわいい水草 非常にたくさんの種類がある水草ですが、その中から、中が透けないスイレン鉢などでも楽しみやすい、水面に葉が浮かぶ種類をピックアップしていくつかご紹介します。水鉢ガーデニングなら、透明な水槽や特別な器具がなくても、屋外のベランダやガーデンの一角で楽しむこともできます。 ホテイアオイ メダカの産卵浮き草としてお馴染みのホテイアオイ。ぷっくりと膨らんだ葉柄が水に浮かび、土がなくても栽培できる浮遊性植物です。7~9月頃に青紫色の花を咲かせます。熱帯性植物なので、冬は屋内で管理を。 マツモ 水面を漂いながら水流に揺られる繊細な葉が涼しげなマツモは、屋外ビオトープやアクアリウムなど、いろいろな使い方ができます。環境の変化に強く、世界中の幅広い地域に生育します。 ウォーターダイヤ(コビトヒメビシ) 水底から茎を伸ばし、水面に放射状にダイヤ形の葉を広げるウォーターダイヤは、目を引く水草です。強い光の下では葉色が赤に変化し、真夏には黄色い花も咲かせます。熱帯性植物なので、冬は屋内で管理します。 ウキクサ 水面に漂う浮遊性植物の代表例。2㎜前後の丸い葉がいくつも浮かびます。栽培がとても簡単で、短期間で増えるので、増えすぎた場合は適宜取り除きましょう。 オオサンショウモ 浮き葉の表面が毛に覆われ、よく水をはじくオオサンショウモ。水に浮かべるだけで簡単に成長し、大型になるので、ある程度大きな容器での栽培に向きます。熱帯性植物なので、冬は屋内で管理します。 ウォーターバコパ 明るい色の葉が美しく、夏には青紫色の可憐な小花を咲かせます。ビオトープやアクアリウムで、メダカの隠れ家や遊び場にもオススメです。水辺に生息する植物で、株元が常に水につかるように水位を調節して育てます。水中に沈めて育てることもできます。 ご紹介した品種の苗は、透明のカップや袋などに入って、夏になるとガーデンセンターや園芸店にも並びますが、アクアリウム専門店や観賞魚店などでは、日頃見かけないような、珍しい品種にも出合えます。水草を見つけにアクアリウム専門店へ出かけるのも、夏の新鮮な過ごし方ですよ。ぜひ好みに合った水草を見つけてください。 水草の育て方 水草の生育に必要なものは、基本的には普段育てているガーデンプランツと変わりません。光と水、肥料、二酸化炭素を与え、生育に合った環境を整えてやることで、元気な水草を育てることができます。ここでは、基本的に特別な育成器具が不要で、誰でも手軽に楽しめるボトルアクアリウムや水鉢での栽培方法をご紹介します。 水草を購入する際には、茎が太く、色鮮やかで新鮮さを感じさせるものを選びましょう。葉が色あせたり、黄ばんでいるもの、茎や葉が半透明になっているものは避けたほうが安心。また、根元付近にも葉が密生して間延びしていないもの、コケや貝のついていないものを選びましょう。植え込みの際には、茎が太いものを除き、ピンセットを用いて行います。根や葉を傷つけないように、あらかじめ底に穴を掘っておくとよいでしょう。浮き草の場合は、植え込みは必要ないため、水に浮かべればOKです。 常に水を張った状態なので、水やりは必要ありませんが、水が蒸発してなくならないよう、水が減ってきたら足しましょう。また、水鉢の場合はあまり気になりませんが、ボトルアクアリウムなどではコケが生えてくることがあるので、適宜掃除も行います。水生動物を飼育している場合は、塩素を中和した水を戻します。その際、水温などの環境が急激に変化しないよう、あらかじめアクアリウムの近くに汲み置きしておき、元の水も取っておいて混ぜて戻すとよいでしょう。 水生植物にも肥料は必要ですが、与える際は控えめに。多すぎると水質の悪化や藻の繁殖につながります。また、水草も光合成のために光を必要としますが、夏は水温が上がりやすいので、直射日光の当たらない場所に置いたほうがよいでしょう。基本的に自然繁殖するので、増えすぎたら適宜間引きます。 耐寒性の有無や好む環境などは、水草の種類によって異なるので、栽培の際にはそれぞれの好む環境について確認しておきましょう。 Credit 文/3and garden ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。 参考文献:『水槽で屋外で小さな器で かんたん きれい はじめての水草』(月刊アクアライフ編集部編・マリン企画) Photo/ 1)Videowokart/ 2)Elena Elisseeva/ 3)kunmom/ 4)e22xua_th/ 5)Chatchai Kuntrakornkiti/ 6)Passararin Jongsereechoke/ 7)angnokever/ 8)Arunee Rodloy/ 9)invisible163/ 10)ESstock /Shutterstock.com



















