数ある植物の中から、咲かせ時、育て時の植物をピックアップするシリーズ「Now blooming」。今回ご紹介するのは、夏を象徴する花、ヒマワリ。背丈を超すほどにすっくと伸びた茎の先に、太陽にも似た大輪の黄色い花を咲かせるイメージがありますが、最近では花色や草丈もさまざまな品種が登場しています。
夏の日差しのような明るい印象

見上げるほど大きく育ち、太陽を追って大輪の花を咲かせるヒマワリ。中央に丸く大きな目を持つ黄色い花姿は、エネルギー溢れる真夏のイメージとしておなじみです。観賞用だけでなく、食用や油を取るためにも栽培されており、人との関わりも深い花です。一面に咲く黄色い花が咲くヒマワリ畑をイメージする人も多いことでしょう。北アメリカを原産とし、多くは花が咲いた後にぎっしりとタネをつける一年草です。


漢字では「向日葵」と書くように、成長期の若いヒマワリは、太陽を追って花の向きを変えていきます。大きな一つの花のように見えているこのヒマワリの花ですが、実は頭状花序と呼ばれる小さな花の集合体。周囲を取り巻く黄色い花弁をつけた舌状花と、中央部の黒や茶色、黄色などの筒状花が合わさってできていて、円の外側から内側に向かって開花していきます。ヒマワリには小輪から大輪、八重咲きなど多様な花形を持つ品種があり、草丈も3mを超えるようなものから30㎝ほどの矮性品種までさまざまです。広いスペースで育てるイメージの強いヒマワリですが、矮性品種なら鉢植えでも栽培できます。

多様なヒマワリの品種
ヒマワリといえば、大きな黄色い花というイメージがありますが、現在ではさまざまな花色や花形を持つ品種が流通しています。ここでは、ユニークな魅力を持つヒマワリの品種を一部、ご紹介します。

‘テディベア’
もこもことした印象の八重花を咲かせる‘テディベア’。草丈80㎝ほどの矮性タイプ。

‘ムーラン・ルージュ’
濃いチョコレート色の花がガーデンでも目を引くヒマワリ。草丈2mほどになる高性種。

‘スターバースト・レモンオーラ’
淡いレモン色の色彩が爽やかな、花径10~15㎝ほどの八重花を咲かせる高性種。

‘リトル・ベッカ’
オレンジと黄色のバイカラーの花を咲かせる‘リトル・ベッカ’は、矮性でコンパクトに育ちます。

「サンリッチ」シリーズ
整った花形で花粉がない「サンリッチ」シリーズは、花もちがよく、飾っても汚れないので切り花にオススメ。

‘ルビー・エクリプス’
褐色の花弁の先端がレモンイエローに色づくユニークな品種。花粉がないので切り花にも。

‘リング・オブ・ファイア’
中心に近いほど赤く、外側が黄色の花びらを炎に見立てた名前。よく分枝して花を咲かせます。
ヒマワリの育て方

ヒマワリは苗でも出回っていますが、タネから播いて育てるのが一般的。日当たりと風通しがよく、水はけのよい場所で育てましょう。発芽適温は20~25℃程度、生育にも高温を好むので、タネ播きは4月下旬以降に行うとよいでしょう。ヒマワリのタネは大きくて播きやすいので、直播きでも育てられます。高性種などは、株間を十分にとって播くようにします。ヒマワリは養分、水分をよく吸収するので、近くに植えてある周囲の植物の成長が悪くなることがあります。また、肥沃な土を好むので、植え付け時に元肥を入れておくとよいでしょう。
本葉が5~6枚ほどの時に摘心をすると、ある程度背丈が抑えられ、脇芽が出て花数を増やすことができます。そのぶん、一つひとつの花は小さくなるので、大輪の花を咲かせたい場合は摘心をせずに育てましょう。分枝するタイプは、自然に枝分かれするので、摘心は必要ありません。背が高くなる場合、支柱を立てることで倒れるのを防ぐことができます。
一輪しか花を咲かせない場合、花がら摘みは特に必要ありません。一年草なので、枯れたら抜いてしまいましょう。花が多い場合は、適宜咲き終わった花を取り除くと長期間楽しむことができます。タネを取る場合は、タネが黒くなって葉が枯れてくる頃までそのままにしておき、花首から切って陰干しして保存します。
併せて読みたい
・「地植え」と「鉢植え」の効果。使い分けてガーデニング上手に!
・暑い夏にこそ咲かせたい! 暑さに負けない育てやすい夏花20選
・数株で素敵に! 夏のシンプル寄せ植え&コーディネート【黒田健太郎さんに学ぶLesson5】
Credit

文/3and garden
ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。
Photo/ 1)bogdanhoda/ 2)salajean/ 3)Xan/ 4)Andrey Stratilatov/ 5)Magdalena Kucova/ 6)Sergej Lebedev/ 7)D C Robinson/ 8)CandiceDawn/ 9)Ole Schoener/ 10)LagunaticPhoto/ 11)InfoFlowersPlants/ 12)Koki Yamada/ 13)Brandon Lindblad/ 14)T Chareon/ Shutterstock.com
全国の花ファン・ガーデニング
ファンが集う会員制度です。
新着記事
-
育て方
シーズン到来! クリスマスローズ最新・人気品種&今やっておきたいお手入れ公開!PR
古くから茶花として親しまれてきたクリスマスローズは年々進化が止まらず、今年も新品種や人気品種が入手できる時期が到来しました! また、1株で何十輪という花を早春に咲かせる感動的な株に育て上げるためには、…
-
イベント・ニュース
話題の「グリーンインフラ」って? スーパーゼネコンの緑化への取り組みなど園芸・ガーデニング業界最新情…
40年以上の歴史を持つ老舗業界専門雑誌『グリーン情報』最新号から最新トピックスをご紹介! 2023年11月号の特集は、「スーパーゼネコンの緑化最前線」と「みんなで創る新しい花き流通のかたち」。ほかにも、各種…
-
育て方
12月の庭仕事をチェック! ガーデニングカレンダー December
季節の移り変わりに合わせて、植物たちは日々成長し、次のシーズンに向けた準備をはじめています。冬は花が少なくなり、ガーデニング作業も少なめですがクリスマスや年越しに向けて、庭の素材で飾りをつくったり、…