スリー・アンド・ガーデン/ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。「ガーデンストーリー」書籍第1弾12刷り重版好評『植物と暮らす12カ月の楽しみ方』、書籍第2弾4刷り重版『おしゃれな庭の舞台裏 365日 花あふれる庭のガーデニング』(2冊ともに発行/KADOKAWA)発売中!
3and garden
スリー・アンド・ガーデン/ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。「ガーデンストーリー」書籍第1弾12刷り重版好評『植物と暮らす12カ月の楽しみ方』、書籍第2弾4刷り重版『おしゃれな庭の舞台裏 365日 花あふれる庭のガーデニング』(2冊ともに発行/KADOKAWA)発売中!
3and gardenの記事
-
宿根草・多年草

シルバーレースはどんな植物? シロタエギクとは違う? 特徴や育て方を詳しく解説
シルバーレースの基本情報 Tamara Kulikova/Shutterstock.com 植物名:シルバーレース学名:Tanacetum ptarmiciflorum (syn. Gonospermum ptarmiciflorum)英名:Silver lace bush、 Silver feather、Senecio Cineraria 'Silver lace'和名:シルバーレースその他の名前:セネシオ、タナセツム科名:キク科属名:ヨモギギク属(タナセツム属)原産地:カナリア諸島分類:常緑性多年草 シルバーレースは、キク科ヨモギギク属(タナセツム属Tanacetum属)に分類される植物で、草丈は20~60cmです。原産地は、アフリカ大陸北西の大西洋にあるカナリア諸島で、現地ではIUCNレッドリストにEN(絶滅の危機)として登録されています。 セネシオ属のシロタエギク(ダスティミラー)と葉の色や姿がよく似ているため、混同されてシルバーレースもシロタエギクの名で流通することがあります。 シルバーレースの葉や花の特徴 Tamara Kulikova/Shutterstock.com 園芸分類:草花開花時期:5〜6月草丈:20〜60cm耐寒性:普通耐暑性:強い花色:白 シルバーレースは、美しい銀色の葉が人気のリーフプランツです。葉の形は羽状複葉で、シダ植物のような細かな切れ込みがある繊細な姿が魅力です。葉には産毛が密生しており、柔らかな手触りです。基部から何本も茎を伸ばし、茎は次第に木質化して灌木状に生育します。 伸びた茎の頂部に、キク科らしい小さな白い花弁の花を咲かせます。ただし、シルバーリーフとして葉をメインに観賞するため、株が弱らないように、つぼみがついたときは切り取るのが基本です。 シルバーレースの花。Tamara Kulikova/Shutterstock.com 名前の由来や花言葉 Tamara Kulikova/Shutterstock.com シルバーレースの英名は、シルバーレースブッシュ(silver lace bush)。透けたレースのような見た目から名がついたと考えられます。花言葉は「あなたを支える」で、シロタエギクと同じです。 シルバーレースとシロタエギクとの違い よりしっかりした印象のシロタエギク。ArtBackground/Shutterstock.com シルバーレースと混同されがちな植物にシロタエギクがあります。 シルバーレースはキク科ヨモギギク(Tanacetum)属、シロタエギクはキク科セネシオ(Senecio)属で、同じキク科ですが別属です。 シルバーレースはシロタエギクよりも葉の切れ込みが多く、葉も薄くて柔らかく、より繊細な印象です。また成長もゆるやかで、ややコンパクトに育ちます。一方のシロタエギクはシルバーレースよりも暑さや寒さに強く、丈夫で育てやすいのが特徴。花の色にも違いがあり、シルバーレースは白い花、シロタエギクは黄色の花を咲かせます。 このように違いはありますが、全体的な草姿や用途がよく似ているため、シロタエギクがシルバーレースと呼ばれたり、シルバーレースがシロタエギクと呼ばれて流通している場合もあります。 シルバーレースの栽培12カ月カレンダー 開花時期:5〜6月植え付け・植え替え:4月、9~11月肥料:3〜4月、9~11月 シルバーレースの栽培環境 Tamara Kulikova/Shutterstock.com 日当たり・置き場所 【日当たり/屋外】日当たりと風通しのよい場所が適しています。半日陰でも育ちますが、徒長し葉色も悪くなります。 【日当たり/屋内】1年を通して屋外での栽培が基本です。ただし、強い霜にあたると枯れる恐れがあるので注意しましょう。 【置き場所】水はけがよければ土質は選びません。鉢植えの場合、冬は霜が降りない軒下などに移動させると安心です。 耐寒性・耐暑性 関東地方以西の平野部であれば戸外で冬越しできますが、霜に注意が必要です。寒冷地では冬は霜よけをしたり、鉢植えであれば霜が降りない場所に移動させるなどの対策を行うことが重要です。また、暑さには強いですが、蒸れや高温多湿には弱いため、夏は風通しよく乾燥気味に管理するのがポイントです。 シルバーレースの育て方のポイント 用土 Singkham/Shutterstock.com シルバーレースは、水はけがよければ土質は選びません。地植えする場合は、植え場所を深さ30cmほど掘り返して腐葉土を混ぜ、水はけをよくしておきましょう。鉢植えの場合は、市販の培養土で問題ありません。 水やり IrinaSol/Shutterstock.com シルバーレースは過湿を避けて乾かし気味に育てることが重要です。過湿な状態が続くと、下葉が傷んだり根腐れしたりする可能性があります。 地植えの場合は基本的に自然の雨のみでよいのですが、長雨が当たるような場所は避けましょう。鉢植えの場合は、土の表面が乾いたらたっぷり水を与えるようにしましょう。 肥料 Tamara Kulikova/Shutterstock.com シルバーレースはあまり肥料を必要としないため、元肥として緩効性化成肥料を施しておけば、追肥はほとんど不要です。生育が悪い場合は、春と秋に緩効性化成肥料を置き肥して様子を見ましょう。寄せ植えしている場合は、ほかの植物の施肥に合わせるとよいでしょう。 注意する病害虫 Crown World/Shutterstock.com 【病気】 シルバーレースの栽培では、特に気をつける病気はありません。 【害虫】 シルバーレースには、まれにアブラムシが発生することがあります。 見つけ次第駆除することが重要、数が少ないうちは粘着テープなどでぺたぺた取り除くことができます。量が多いときは薬剤を使って駆除しましょう。オルトランなど適応する殺虫剤を株元にまいておくと、しばらくするとアブラムシはいなくなります。 シルバーレースの詳しい育て方 苗の選び方 下葉が枯れたり、株元がぐらついているものは避け、葉色がきれいで徒長していない苗を選ぶとよいでしょう。 植え付け・植え替え Abramova Elena/Shutterstock.com 植え付けは、真夏と真冬以外ならいつでもできます。 植え替えは、4月か9~11月がおすすめです。鉢植えが根詰まりを起こしているようなら植え替えましょう。植え替えの際は根鉢をくずし、新しい用土に入れ替えます。 地植えの場合は、植え替える必要はありません。 日常のお手入れや注意点 Pixel-Shot/Shutterstock.com 花が咲くと株が弱るため、初夏につぼみを付けたら切り取るようにします。 梅雨の時期は、鉢植えを雨の当たらない場所に移します。地植えの場合は雨よけをしてもよいですが、ほかの植物の陰など、あらかじめ多少雨が避けられる場所に植えておくのがおすすめです。 剪定・切り戻し Tamara Kulikova/Shutterstock.com 大きく育ってくると下葉が枯れて見た目が悪くなるので、株元から5~6cmのところでばっさりと切り戻しましょう。切り戻すことでわき芽が伸び、これを育てれば元のこんもりした葉姿に戻ります。株姿が乱れた場合、必要に応じて挿し芽で株を更新してもよいでしょう。 増やし方 Tamara Kulikova/Shutterstock.com シルバーレースは挿し芽で増やすことができます。 挿し芽の適期は4~6月、9~10月です。切り戻した茎を使ってもよいでしょう。 先端を7~10cmほどの長さに切って挿し穂にし、下の葉を取り除いて水揚げします。挿し木用の用土に挿し、明るい日陰で水を切らさないよう管理しましょう。 シルバーレースが枯れる4つの原因 9bdesign/Shutterstock.com シルバーレースは、ちょっとした管理のコツを知っているとよく育ちます。枯れてしまった場合は、いくつかの原因が考えられます。 ここでは、その原因別に、対処法をご紹介します。 1.水のやりすぎ Darwin Vectorian/Shutterstock.com 水をやりすぎると根腐れを引き起こし、根が呼吸できず枯れてしまいます。また夏場は高温多湿で蒸れて枯れることもあります。水やりは控えめにし、風通しのよい場所で乾燥気味に管理することが重要です。 2.肥料の施しすぎ Singkham/Shutterstock.com 肥料のやりすぎも根が傷み、枯れる原因の1つです。 シルバーレースは肥料焼けを起こしやすい植物です。あまり肥料を必要としないので、与えすぎに注意することが重要です。 3.根詰まり Andrii Spy_k/Shutterstock.com 長期間同じ鉢で育てていると鉢の中が根でいっぱいになる、根詰まりを起こすことがあります。 そのままにしていると水分や養分が吸収できず、枯れる原因となります。鉢底から根が見えている、水が土になかなか染み込まないといったときは植え替えをしましょう。 4.気温の低さ Volurol/Shutterstock.com シルバーレースは多少の耐寒性があり、関東地方以西の平地では特に対策をしなくても戸外で冬越し可能ですが、強い霜にあたると枯れることがあります。 育てる際の適温は15~25℃です。寒さが厳しい地域や暖地でも、寒波が来るときは霜の降りない軒下や室内に入れたり、不織布で覆って寒風から守るなどの霜よけ対策が必要です。 シルバーレースの繊細な草姿を楽しもう Tamara Kulikova/Shutterstock.com シルバーレースは葉の繊細な形や淡い色が美しいリーフプランツです。乾燥ぎみに管理するなど、ちょっとしたポイントを押さえると上手に育てることができます。特に寄せ植えに使えば、葉の美しさが引き立ち、シルバーの葉色がアクセントになるのでおすすめ。ぜひご自宅などで試してみてはいかがでしょうか。
-
園芸用品

バグ・ホテルは虫たちのための可愛らしいホテル! 作り方や注意点をご紹介
バグ・ホテルとは Dawn Quadling/Shutterstock.com まずは、バグ・ホテルとはどのようなものかについてご紹介しましょう。 バグ・ホテルの概要 Ground Picture/Shutterstock.com バグ・ホテルとは、虫たちが安全に生活できる人工的な場所で、生物多様性保全の取り組みの一環として注目されています。野鳥のための巣箱のようなものですね。都市環境の中でも虫たちが過ごしやすい場所を作ってあげることで、さまざまな虫を呼び込み、昆虫の多様性を守る手助けになるのです。また、これらの虫たちはガーデニングや農業の面でも、春になると花粉の媒介や果樹の交配をしてくれるというメリットがあります。 バグ・ホテルは、バグ・ハウスやインセクト・ホテル、インセクト・ハウスなどとも呼ばれています。日本ではまだあまり知られていませんが、ヨーロッパではよく庭に設置されており、バグ・ホテルのデザインコンテストが開催されるほどポピュラーなものです。まるでデザイナーズマンションのような作品の数々は、見るだけでも面白く、ガーデンのアクセントになってくれそうです。 バグ・ホテルの基本的な構造 paikong/Shutterstock.com 基本的なバグ・ホテルの構造は、廃材のボードやパレットで枠を作り、その隙間にさまざまな素材を詰めたもの。詰める素材は多種多様で、わらやコルク、松ぼっくりなど、虫が好むものを使用します。自分のアイデアを活かして自由に作ることができます。 生物多様性とは VectorMine/Shutterstock.com 生物多様性とは、バラエティーに富んださまざまな生物が種類や個性、そして互いの違いを活かしながらつながり、調和して生きている状態を指します。生物多様性の国際条約では、生物多様性は3つのレベル、つまり生態系の多様性、種の多様性、遺伝子の多様性があるとされています。特に昆虫では、多様な種類が存在することでさまざまな植物の受粉を助けたり、昆虫を捕食する生き物の保全に繋がったりといったメリットがあります。科学的に解明されている以外にも生物同士のネットワークはあるとされ、可能な限り生物の多様性を損ねないような配慮が必要であると考えられています。 バグ・ホテルに必要な材料や基本的な作り方 viki2win/Shutterstock.com それでは、実際にバグ・ホテルを作るにはどのようにすればよいのでしょうか。ここでは、バグ・ホテルに必要な材料や、基本的な作り方について詳しく解説します。 バグ・ホテルの材料 JurateBuiviene/Shutterstock.com バグ・ホテルを作る際は、防腐剤や塗料などの化学物質を避け、昆虫が好む天然素材を活用することが大切です。基本的には、木箱をベースとして使用します。この木箱は廃材を利用して自分で組み立ててもよいでしょう。中に詰める素材は、小枝や落ち葉、松ぼっくり、コルク、石、樹皮、アシや竹の束、レンガ、素焼き鉢など、好みのものを複数用意しましょう。素材を固定するには、麻ひもなどを使用します。さらに、必要に応じて穴をあけるためのドリルや、加工するためのペンチも用意します。 基本の作り方 encierro/Shutterstock.com バグ・ホテルの基本は、木箱を作って素材を詰めるだけです。作り方の一例として、以下に手順をご紹介します。 ① バグ・ホテルの設計図を作る まず、どこにどんな虫が来てほしいかを考え、それに合わせて詰める素材を決めます。 ② 必要な素材を集める 次に、設計図に基づいて素材を集めます。これらの素材は、必要に応じて長さをカットするなどして加工します。 ③ 木箱を用意する 素材を集めたら、それらを詰めるための枠を用意します。これは、既製の木箱を利用するか、自分で木材を組み立てて作ります。 ④ 木箱に素材を詰めていく 最後に、木箱に素材を詰めていきます。これでバグ・ホテルが完成です。 バグ・ホテルの作り方のポイント Studio.G photography/Shutterstock.com バグ・ホテルの大きさは自由で、ワイン箱サイズもあれば手のひらサイズのものも。庭のスペースに合わせて好きな大きさで作ることができます。使用する木材や廃材は、防虫剤など虫に害がある薬剤が使用されていないかを確認しましょう。また、バグ・ホテルは雨があまり当たらず、日当たりのよい場所に設置します。鳥がつつくことがあるため、鳥よけネットをかぶせておくのもおすすめです。 バグ・ホテル管理にあたっての注意点 Sabine Seiter_sh/Shutterstock.com バグ・ホテルを作ったら、管理することも重要です。ここではバグ・ホテルの管理について解説します。 注意点 Vector Stock Pro/Shutterstock.com 大規模なバグ・ホテルにはさまざまな種類の虫が数多く集まるため、密度が高まり、病気や寄生虫の感染リスクが高まることがあります。特に寄生虫が卵を仕込むと、バグ・ホテル中の虫が被害にあう可能性があります。また、カビが生えると、それが虫たちの病気の原因になることもあります。これらの問題を防ぐためには、適切なデザインとメンテナンスが必要です。 対処法 encierro/Shutterstock.com 大きなバグ・ホテルよりも小さいもののほうが、病気や寄生虫の蔓延リスクは低くなります。そのため、ハチ用やテントウムシ用など、特定の虫を対象とした小さなバグ・ホテルをいくつか作って設置することをおすすめします。これにより、適切な環境に設置しやすく、メンテナンスもしやすくなります。 また、バグ・ホテルの中が雨に濡れないように、屋根部分をしっかりと作ることが大切です。自然な素材を使用するため、風雨による劣化が起こりますので、傷んだパーツは定期的に交換することも必要です。 バグ・ホテルを呼びたい虫別に作る方法 EkaterinaP/Shutterstock.com 前述のとおり、バグ・ホテルを初めて作る方は、呼びたい虫ごとに小さなものを作るほうがメンテナンスしやすいく、おすすめです。ここでは、ハチ・テントウムシ・チョウをターゲットにしたバグ・ホテルの作り方のポイントについてご紹介します。 ハチ Juliasuena/Shutterstock.com 「借孔性」または「管住性」と呼ばれるハチ類は、竹筒やヨシの茎など細長い筒状のスペースを好んで巣にします。日本ではこれらのハチ類が約60種類存在します。彼らは、巣の中に餌を蓄えて産卵し、卵から孵った幼虫は、その餌を食べて育ちます。 ハチのバグ・ホテルは、内径5~20mmの竹筒やヨシの茎などを20cmほどの長さに切り、束ねたり、すだれのように並べたり、箱に詰めたりして作ります。いろいろな太さの筒を混在させると、さまざまなハチが入ることができます。作ったバグ・ホテルは、軒下など雨が当たりにくい場所に設置しましょう。 テントウムシ iMarzi/Shutterstock.com テントウムシは集団で越冬します。落ち葉の下や石の隙間、樹皮の下、建物の中など風の当たらない場所に集まりますが、ナナホシテントウは越冬前に産卵して寿命を終えるため、バグ・ホテルにはあまり来ません。一方、ナミテントウなどの種類は越冬します。 テントウムシのバグ・ホテルは、木箱に松ぼっくりや小枝、枯れ葉を敷き詰めます。また、松ぼっくりを直接地面に置いて重ね、その上に屋根を設置する方法もあります。さらに、マリーゴールドやコスモス、カレンデュラ、タンポポなどを庭に植えると、テントウムシを呼びやすくなります。 チョウ Edita Medeina/Shutterstock.com 成虫で越冬する種類のチョウのためのバグ・ホテルもあります。チョウは細い隙間で休むため、バグ・ホテルにも入り口となる細いスリットが必要です。バグ・ホテルの前面になる板にスリットを開け、やすりで滑らかにします。そして、ホテルの中には木の枝や樹皮を入れます。チョウのバグ・ホテルは日当たりがよく、風が当たらない場所に設置します。 バグ・ホテルを設置して庭に虫を呼び込もう DAN_SHMIDT/Shutterstock.com バグ・ホテルは虫たちが自然の中で暮らしやすく、また安全に越冬できるように作られた場所です。生物多様性の保全にも貢献し、庭の果樹の受粉など、植物の交配や結実も手助けしてもらえるかもしれません。初めて作る方は、管理しやすい小さめのものから始めてみてはいかがでしょうか。
-
ハーブ

セイヨウニワトコ(エルダーフラワー)は花も実も葉も役立つ木! 育て方のポイントや活用方法を詳しく解説
セイヨウニワトコの基本情報 weha/Shutterstock.com 植物名:セイヨウニワトコ学名:Sambucus nigra英名:elder、elderberry、black elder、European elder、European elderberry、European black elderberry和名:セイヨウニワトコ(西洋接骨木)その他の名前:エルダー、エルダーフラワー、エルダーベリー科名:レンプクソウ科属名:ニワトコ属原産地:ヨーロッパ、北アフリカ分類:落葉性低木~中高木 セイヨウニワトコの学名はSambucus nigra(サンブカス・ニグラ)。別名はエルダー、エルダーフラワー。レンプクソウ科ニワトコ属の低木〜中高木です。以前はスイカズラ科に分類されていました。落葉性のため、冬は葉を落として越冬します。原産地はヨーロッパ、北アフリカで、寒さには強い一方で、真夏の高温多湿の環境はやや苦手です。自然樹高は3〜10mですが、毎年の剪定によって程よい樹高にコントロールすることができます。 花や果実をハーブとして利用でき、西洋では古代ローマ時代から活用されてきました。ヨーロッパでは「魔女の木」「悪魔の木」などとも呼ばれ、それにまつわる伝承が多く残っています。 セイヨウニワトコの花や葉の特徴 MaLija/Shutterstock.com 園芸分類:庭木・ハーブ開花時期:5〜6月樹高:3〜10m耐寒性:強い耐暑性:強い花色:白、ピンク セイヨウニワトコの開花期は5〜6月で、花色は白。品種によってはピンクの花を咲かせます。1つの花は小さいのですが、枝の先端に集まって咲いてドーム状になるので見栄えがします。花は甘くフルーティーな香りで、コーディアルやハーブティーなどに利用されます。秋にはエルダーベリーと呼ばれる黒い果実をつけ、こちらもジャムなどに利用できますが、未熟果や生の果実には毒があるとされているので、扱いには注意しましょう。葉は細長い楕円形で、長さは10〜30cm。枝に対生につきます。 秋に実るエルダーベリー。aga7ta/Shutterstock.com セイヨウニワトコの名前の由来や花言葉 Mario Krpan/Shutterstock.com 学名のSambucus nigraの「Sambucus」は、ギリシアで使われていたサンブカという楽器に由来。「nigra」は黒いという意味で、セイヨウニワトコの実が黒いことからきています。別名のエルダーは、アングロサクソン語で「oels(エルド)」、「炎」という意味が由来です。セイヨウニワトコの枝の芯を取ってストロー状に加工し、火を起こすのに使われていたからとされています。 ニワトコは漢字では「接骨木」と書きますが、これは生薬として打ち身や打撲に使われていたことに由来します。また、「庭常」とも書き、これは薬用として「庭」に「常」に植えられていたことに由来するのだそうです。 セイヨウニワトコの花言葉は「思いやり」「熱心」「あわれみ」「苦しみを癒やす」「愛らしさ」などがあります。 セイヨウニワトコとニワトコの違いとは? 左がニワトコ、右がセイヨウニワトコ。muralird2008、iPlantsman/Shutterstock.com セイヨウニワトコと日本に自生するニワトコは、近縁種です。主な違いは、セイヨウニワトコは黒い実をつけますが、ニワトコは赤い実をつけること。また、西洋ニワトコは花や実を飲み物やジャムにするほか、ポプリやバスハーブなど幅広く利用されていますが、ニワトコは花や実を食用とはしません。ニワトコは春の新芽を天ぷらに利用するほか、生薬などに利用されています。 ニワトコの赤い実。ijimino/Shutterstock.com セイヨウニワトコの代表的な種類 Joe Kuis/Shutterstock.com セイヨウニワトコには、ガーデニングでよく利用される園芸品種がいくつかあります。代表的な品種をいくつかご紹介します。 ブラックレース Diana Taliun/Shutterstock.com ‘ブラックレース’は、レースのように細やかな銅葉に淡いピンクの花を咲かせる有名品種。濃厚な葉色に愛らしいピンク花がシックな雰囲気で、ガーデンでは抜群の人気があります。一般種に比べ、ややコンパクトに生育します。 ゴールデンタワー N.Stertz/Shutterstock.com 鮮やかなレースのような黄金葉が明るい印象の‘ゴールデンタワー’は、花のない時期にもカラーリーフとして楽しめます。ほかの品種に比べ、横への広がりが抑えられるのが特徴です。 オーレア Ritvars/Shutterstock.com ライムグリーンの葉が爽やかな‘オーレア’。‘ゴールデンタワー’とは異なり、葉は細かく切れ込まずに楕円形もしくは卵形をしています。 セイヨウニワトコの栽培12カ月カレンダー 開花時期:5〜6月植え付け・植え替え:3〜4月、10月頃肥料:特になし剪定:12〜翌年2月種まき:4〜5月、10月頃 セイヨウニワトコの栽培環境 Anastasiia Malinich/Shutterstock.com 日当たり・置き場所 【日当たり/屋外】日当たり・風通しのよい場所を好みます。半日陰の環境でも育ちますが、日照が不足すると花つきが悪くなってしまうので注意しましょう。西日の当たらない場所を選ぶとベターです。 【日当たり/屋内】1年を通して屋外での栽培が基本です。 【置き場所】土壌はややアルカリ性寄りで、水はけ・水もちのよい環境を好みます。日本の高温多湿の夏をやや苦手とするので、西日を避け、午前のみ日が差す東側などを選ぶとよいでしょう。生育が旺盛で樹高が高くなり、枝もよく伸ばすので、ある程度のスペースを確保して植え付けます。 耐寒性・耐暑性 寒さには強いので、越冬対策のための鉢上げなどは必要ありません。 セイヨウニワトコの育て方のポイント 用土 Wstockstudio/Shutterstock.com 【地植え】 セイヨウニワトコはアルカリ性寄りの土壌を好むため、植え付けの3〜4週間前に苦土石灰をまいて、土にすき込んでおくとよいでしょう。植え付けの約2週間前に直径・深さ約50㎝の穴を掘ります。掘り上げた土に腐葉土や堆肥、緩効性肥料を混ぜ込んで穴に戻しておきましょう。土づくりをした後にしばらく時間をおくことで、分解が進んで土が熟成し、植え付け後の根張りがよくなります。 【鉢植え】 市販の花木用培養土を利用すると手軽です。 水やり Afanasiev Andrii/Shutterstock.com 水やりの際は、株が蒸れるのを防ぐために枝葉全体にかけるのではなく、株元の地面を狙って与えてください。 真夏は、気温の高い昼間に行うと、すぐに水の温度が上がって株が弱ってしまうので、朝か夕方の涼しい時間帯に与えることが大切です。 また、真冬は、気温が低くなる夕方に行うと凍結の原因になってしまうので、十分に気温が上がった真昼に与えるようにしましょう。 【地植え】 植え付け後、しっかり根付くまでは適宜水やりをしましょう。その後は下から水が上がってくるのでほとんど不要です。ただし、雨が降らない日が続くようなら水やりをして補います。 【鉢植え】 日頃の水やりを忘れずに管理します。ただし、いつも湿った状態にしていると根腐れの原因になるので、与えすぎに注意。土の表面が乾いたら、鉢底から水が流れ出すまで、たっぷりと与えましょう。茎葉がしおれそうにだらんと下がっていたら、水を欲しがっているサイン。植物が発するメッセージを逃さずに、きちんとキャッチしてあげることが、枯らさないポイントです。特に開花期や真夏は水を欲しがるので、水切れしないように注意しましょう。 肥料 Sarycheva Olesia/Shutterstock.com 【地植え】 植え付け時には、元肥として緩効性肥料を施しておきましょう。 その後の追肥は必要ありません。しかし木に勢いがないようであれば、液肥を施して様子を見ましょう。 【鉢植え】 植え付け時には、元肥として緩効性肥料を施しておきましょう。 越年後は、毎年3月頃と10月頃に緩効性肥料を株の周囲にばらまき、スコップなどで軽く表土を耕し、土に馴染ませます。その後は、株に勢いがないようであれば、液肥を施して様子を見ましょう。 注意する病害虫 feathercollector/Shutterstock.com 【病気】 セイヨウニワトコの栽培では、病気の心配はほとんどありません。 【害虫】 ハダニやカミキリムシなどの害虫が発生することがあります。 ハダニは、葉裏に寄生して吸汁する害虫です。体長は0.5mmほどと大変小さく、黄緑色や茶色い姿をしています。名前に「ダニ」がつきますが、クモの仲間です。高温で乾燥した環境を好み、梅雨明け以降に大発生しやすいので注意が必要。繁殖力が強く、被害が大きくなると、葉にクモの巣のような網が発生することもあります。ハダニは湿気を嫌うため、予防として高温乾燥期には葉裏にスプレーやシャワーなどで水をかけておくとよいでしょう。 カミキリムシは、主に夏から秋に発生しやすくなります。カミキリムシの幼虫が幹に穴をあけて中に侵入し、木質部を旺盛に食い荒らすので注意。被害が進むと木が弱るうえ、中が空洞化して枯れてしまうこともあります。成虫が飛来して卵を産み付けるので、成虫や卵は見つけ次第捕殺しましょう。また、木の株元などにおがくずが見つかったら、木の内部で活動していると推測できます。おがくずが出ている穴に薬剤(細長い針金状のノズルを差し込むタイプの商品が便利)を散布するなどして駆除してください。 セイヨウニワトコの詳しい育て方 苗の選び方 株元がぐらつかずしっかりして、葉の色艶がよく、葉数も多いものを選ぶとよいでしょう。 植え付け・植え替え wavebreakmedia/Shutterstock.com セイヨウニワトコの植え付け・植え替えの適期は、3〜4月か10月頃です。 【地植え】 土づくりをしておいた場所に、苗の根鉢よりも一回り大きな穴を掘り、苗木をポットから取り出して植え付けます。最後にたっぷりと水を与えましょう。 地植えの場合、環境に合って順調に育っていれば、植え替える必要はありません。 【鉢植え】 鉢で栽培する場合は、入手した苗木よりも1〜2回り大きな鉢を準備します。用意した鉢の底穴に鉢底ネットを敷き、軽石を1〜2段分入れてから花木用の培養土を半分くらいまで入れましょう。苗木を鉢の中に仮置きし、高さを決めたら、根鉢を軽くほぐし、少しずつ土を入れて植え付けます。水やりの際にすぐあふれ出すことのないように、土の量は鉢縁から2〜3㎝ほど下を目安にし、ウォータースペースを取っておいてください。土が鉢内までしっかり行き渡るように、割りばしなどでつつきながら培養土を足していきます。最後に、鉢底から流れ出すまで、十分に水を与えましょう。 鉢植えで楽しんでいる場合、成長とともに根詰まりして株の勢いが衰えてくるので、1〜2年に1度は植え替えることが大切です。植え替え前に水やりを控えて土が乾いた状態で行うと、作業がしやすくなります。鉢から株を取り出し、あまり根鉢をくずさずに、新しい培養土を使って植え直しましょう。 日常のお手入れ mihalec/Shutterstock.com 【剪定】 樹勢が強く生育旺盛なので、地植え・鉢植えともに毎年の剪定は必須です。剪定の適期は、落葉後の12月〜翌年2月です。伸びすぎたり、込み合っているところがあれば、枝を間引く剪定をしましょう。弱々しい枝、内側に向かって伸びている枝、勢いよく伸びすぎて全体のバランスを崩している枝、下向きに伸びている枝、交差している枝などを選んで付け根から切り取り、風通しをよくします。 増やし方 Kunlanan Yarist/Shutterstock.com セイヨウニワトコは、挿し木や種まきで増やすことができます 【挿し木】 挿し木とは、枝を切り取って地面に挿しておくと発根して生育を始める性質を生かして増やす方法です。植物の中には挿し木ができないものもありますが、セイヨウニワトコは挿し木で増やすことができます。 挿し木の適期は、5〜6月か10月頃です。その年に伸びた新しい枝を15cmほどの長さで切り取ります。採取した枝(挿し穂)は、水を張った容器に1時間ほどつけて水あげしておきましょう。その後、吸い上げと蒸散のバランスを取るために下葉を切り取ります。3号くらいの鉢を用意してゴロ土を入れ、新しい培養土を入れて十分に湿らせておきます。培養土に穴をあけ、穴に挿し穂を挿して土を押さえてください。発根するまでは明るい日陰に置いて管理します。その後は日当たりのよい場所に置いて育苗し、大きく育ったら植えたい場所に定植しましょう。挿し木のメリットは、親株とまったく同じ性質を持ったクローンになることです。 【種まき】 セイヨウニワトコは、開花後に果実をつけます。種子を採取する場合は、開花後そのまま熟すまでおいておき、秋に完熟したら果実を摘み取ります。中の種子を取り出し、果肉を流水できれいに洗い流しておきましょう。日陰で乾燥させたあと、密閉袋に入れて種まきの適期まで冷暗所で保存します。 種まきの適期は4〜5月か10月頃です。黒ポットに新しい培養土を入れて十分に水で湿らせます。保存しておいた種子を水で洗い、黒ポットに数粒播いて明るい日陰で管理。発芽後は日当たりのよい場所に置きましょう。本葉が2〜3枚ついたら勢いのある苗を1本のみ残し、ほかは間引いて育苗します。根が回るくらいに成長したら、植えたい場所に定植しましょう。 セイヨウニワトコの観賞以外の楽しみ方 unpict/Shutterstock.com ヨーロッパでは、セイヨウニワトコの美しい花姿を楽しむ以外に、ハーブとして暮らしに取り入れてきました。ここではいろいろな利用方法についてご紹介します。 ハーブティー マスカットのようなフルーティーな香りを持つ花をハーブティーとして利用。開花時期に、花を摘んで適量をティーポットに入れ、お湯を注いで2〜3分蒸らしてからいただきます。レンジで乾燥させてドライにし、清潔な密封容器に乾燥剤とともに入れて保存しておけば、いつでも利用可能です。 コーディアル コーディアルは、煮詰めた砂糖水にハーブや果物を漬け込んで香りを移し、シロップ状にしたもののことです。冷水やお湯、炭酸水などで割ってドリンクにするほか、溶かしたゼラチンにコーディアルを加え、ゼリーを作ることもできます。 ポプリやバスハーブ セイヨウニワトコの花をドライにし、小さな巾着袋に入れてポプリとして利用。インテリアに飾れば、ほのかな香りを楽しめます。このドライにした花をだしパックなどに入れて湯船に浮かべれば、バスハーブになります。 ジャム Madeleine Steinbach/Shutterstock.com 秋に完熟した果実を採取し、枝から実をはずしてきれいに洗います。水気を切って、鍋に実とその重さの約40%の砂糖を入れてしばらく置くと水分が出てくるので、弱火で煮ます。アクを取ってレモン果汁を加え、とろみが出るまで煮詰めたら出来上がり。煮沸消毒した瓶に入れれば長期間保存できます。 セイヨウニワトコを育てて、暮らしの中で楽しもう Klesz/Shutterstock.com 初夏に香りのよい白い花を咲かせるセイヨウニワトコは、ヨーロッパではハーブとして古くから親しまれてきました。さまざまな利用の仕方ができ、暮らしに生かせるセイヨウニワトコを、庭やベランダに迎えてはいかがでしょうか?
-
観葉・インドアグリーン

ミリオンバンブーは竹に似た観葉植物! 特徴や育て方のポイントを詳しく解説
ミリオンバンブーの基本情報 Adam Yee/Shutterstock.com 植物名:ミリオンバンブー学名:Dracaena sanderiana英名:lucky bamboo和名:ギンヨウセンネンボク(銀葉千年木)その他の名前:サンデリアーナ、ラッキーバンブー、万年竹、富貴竹科名:キジカクシ科属名:ドラセナ属原産地:アフリカ西部分類:常緑性低木 ミリオンバンブーの学名は、Dracaena sanderiana(ドラセナ・サンデリアーナ)。別名にラッキーバンブー、ギンヨウセンネンボク、マンネンタケなどがあります。幹に節がある姿や細長い葉の形が竹に似ていることから、名前に「タケ」や「バンブー」と入っていますが、竹の仲間ではなく、キジカクシ科ドラセナ属の常緑性低木です。観葉植物のドラセナの仲間で、切り取った枝を水に挿しておけば、切り口から根を出して増えるほど生命力が旺盛なことや、「ミリオン」が富をイメージさせることから、縁起のよい植物として知られています。 原産地はアフリカ西部で、暑さに強い一方、寒さには大変弱いので、暖かい場所で冬越しさせることが必要。主に観葉植物として、室内で栽培するのが一般的です。樹高は60〜200cmですが、剪定によって高くなりすぎない範囲にコントロールすることができます。 ミリオンバンブーの花や幹の特徴 Unkas Photo/Shutterstock.com 園芸分類:観葉植物開花時期:4~6月樹高:60〜200cm耐寒性:弱い耐暑性:強い花色:白 ミリオンバンブーは枝がグリーンで節が入っており、葉は竹に似ています。観葉植物として育てる分にはめったに花が咲くことはありませんが、まれに初夏に開花することがあるようです。花色は白で、小さな花が節ごとに密集して咲きます。 名前の由来や花言葉 kanoksak neamsum/Shutterstock.com ミリオンバンブーの「バンブー」は、竹という意味。葉姿が竹に似ていることから名付けられたようです。学名のDracaena(ドラセナ)は、雌の龍という意味の「ドラカイナ」から来ています。これは、ドラセナ属のリュウケツジュから、その名のとおり赤い樹脂が採れることに由来します。また、種小名のsanderianaは、ドイツ系イギリス人のラン研究家であるHenry Frederick Conrad Sanderにちなんで名づけられました。 花言葉は「開運」「幸運」「長寿」。昔から縁起のよい植物とされてきた竹のイメージに由来するようです。 ミリオンバンブーと同じ属に分類される仲間 ミリオンバンブーが属するドラセナ属の仲間には、ほかにも観葉植物として親しまれているものがあります。ここでは、その中から日本でもよく流通している代表的な品種をいくつかご紹介します。 ドラセナ・フレグランス Mid Photographer/Shutterstock.com ドラセナ・フレグランスは、太くまっすぐ伸びた幹が特徴で、枝先に集まる葉がトロピカルな印象。高い空気清浄能力があるとされ、成長も緩やかで管理しやすい観葉植物です。特に園芸品種のマッサンゲアナは、「幸福の木」という別名を持ち、贈り物としても人気があります。 ドラセナ・コンシンネ funny face/Shutterstock.com 直立に伸びた幹と細長くシャープな葉が特徴のドラセナ・コンシンネ。「真実の木」という別名でも流通しています。葉の縁には赤い覆輪が入り、スタイリッシュなカラーリーフとしても楽しめます。 ドラセナ・リフレクサ pisitpong2017/Shutterstock.com ドラセナ・リフレクサは、ドラセナ・フレグランスなどに比べて柔らかく曲がりながら育つ幹と、明るい葉色が特徴です。有名な園芸品種に、緑の葉に黄色の覆輪が入る‘ソングオブインディア’や、反対に葉の中央に黄色の斑が入る‘ソングオブジャマイカ’などがあります。 ミリオンバンブーの栽培12カ月カレンダー 開花時期:4~6月植え付け・植え替え:4〜5月、9月肥料:4〜6月、9月下旬〜10月 ミリオンバンブーの栽培環境 Goodly Pixels/Shutterstock.com 日当たり・置き場所 【日当たり/屋外】ミリオンバンブーは半日陰の場所を好みます。真夏は直射日光に晒されると葉焼けしやすいので、朝のみ日が差す東側や、チラチラと木漏れ日が差す落葉樹の株元などがおすすめです。寒さに弱いので、気温が下がってきたら必ず室内に取り込みましょう。 【日当たり/屋内】葉焼けを防ぐため、室内に置く場合でもレースのカーテン越しのやわらかな光を当てるようにしましょう。ただし、窓のすぐそばに置くと夜に冷気の影響を受けやすいので注意しましょう。 【置き場所】暑さに強い反面寒さに弱いため、半日陰で風通しのよい場所で管理します。地植えにした場合は、冬は掘り上げて室内に取り込みましょう。窓のすぐそばは、夜間に冷気の影響を受けやすいので、少し離しておきます。 耐寒性・耐暑性 暑さに強く、生育適温は18〜30℃ほどです。一方で冬の寒さには大変弱く、耐寒温度は10℃程度なので、寒くなる前に室内に取り込み、日当たりのよい窓辺などで冬越しさせます。 ミリオンバンブーの育て方のポイント 用土 blueeyes/Shutterstock.com 【地植え】 植え付ける1〜2週間前に、腐葉土や堆肥などの有機質資材と緩効性化成肥料を投入し、よく耕してふかふかの土を作っておくとよいでしょう。事前に土づくりをしておくことで、分解が進んで土が熟成し、植え付け後の根張りがよくなります。 【鉢植え】 観葉植物の栽培用に配合された、園芸用培養土を利用すると便利です。 水やり cam3957/Shutterstock.com 株が蒸れるのを防ぐために株全体にかけるのではなく、株元の地面を狙って与えてください。真夏は気温の高い昼間に行うと、水がすぐにぬるま湯になり株が弱ってしまうので、朝か夕方の涼しい時間帯に与えることが大切です。冬は十分気温が上がった日中に与えてください。夕方に行うと凍結の原因になることがあり、株が弱るので避けましょう。 ミリオンバンブーは水を欲しがるので、水切れには注意します。ただし与えすぎないようバランスのよい水の管理を心がけましょう。【地植え】 下から水が上がってくるので、ほとんど不要です。ただし、雨が降らない日が続いて乾燥するようなら、水やりをして補います。【鉢植え】 日頃の水やりを忘れずに管理します。土の表面が白く乾いたら、鉢底から水が流れ出すまで、たっぷりと与えます。茎葉がしおれそうにだらんと下がっていたら、水を欲しがっているサイン。植物が発するメッセージを逃さずに、きちんとキャッチしてあげることが、枯らさないポイントです。 肥料 【地植え】 ●元肥 植え付け前の土づくりの際に、緩効性化成肥料を少量混ぜておきます。 ●追肥 地植えの場合はほとんど不要です。ただし、株に勢いがないようであれば、液肥を与えて様子を見ましょう。 【鉢植え】 ●元肥 植え付けの際に、緩効性化成肥料を少量混ぜておきます。 ●追肥 鉢栽培では土の量が限られており、水やりとともに肥料成分が少しずつ流れ出すので、定期的な追肥が必要です。ミリオンバンブーの追肥の適期は4〜6月、9月下旬〜10月です。この期間に、月に2回を目安に液体肥料を施しましょう。 注意する病害虫 Decha Thapanya/Shutterstock.com 【病気】 ミリオンバンブーに発生しやすい病気は、根腐れ病です。 カビが原因で根に発生しやすいため、地上部の病気よりも発見が遅れやすいので注意が必要。日中に地上部がしおれるようになり、株に勢いがなくなっているようなら、根腐れ病を疑います。感染すると根が茶褐色〜黒に変色して、地上部に水分や養分を送るのが難しくなって、やがて地上部の茎葉も黄色く変色して枯れてしまいます。株を引き抜いてみると、ほとんど根がついていないこともあるほどです。水はけのよい土づくりが大切で、また株が茂りすぎているようなら適宜間引いて風通しよく管理しましょう。適応する殺菌剤を利用するのも一案です。 【害虫】 ミリオンバンブーに発生しやすい害虫は、ハダニ、カイガラムシです。 ハダニは、葉裏に寄生して吸汁する害虫です。体長は0.5mmほどと大変小さく、黄緑色や茶色い姿をしています。名前に「ダニ」がつきますが、クモの仲間です。高温で乾燥した環境を好み、梅雨明け以降に大発生しやすいので注意が必要。繁殖力が強く、被害が大きくなると、葉にクモの巣のような網が発生することもあります。ハダニは湿気を嫌うため、予防として高温乾燥期には葉裏にスプレーやシャワーなどで水をかけておくとよいでしょう。 カイガラムシは、ほとんどの庭木に発生しやすい害虫で、体長は2〜10mm。枝や幹などについて吸汁し、だんだんと木を弱らせていきます。また、カイガラムシの排泄物にすす病が発生して二次被害が起きることもあるので注意。硬い殻に覆われて薬剤の効果があまり期待できないので、ハブラシなどでこすり落として駆除するとよいでしょう。 ミリオンバンブーの詳しい育て方 苗の選び方 苗を購入する際は、傷がなく、幹がしっかりしていて、株全体の色艶がよいものを選ぶとよいでしょう。 植え付け・植え替え OlegDoroshin/Shutterstock.com 植え付け・植え替えの適期は、4〜5月か、9月頃です。 【地植え】 土づくりをしておいた場所に、苗よりも1回り大きな穴を掘って植え付けます。最後に、たっぷりと水やりします。 【鉢植え】 鉢の大きさは、入手した苗よりも1〜2回りほど大きいものを準備しましょう。 用意した鉢の底穴に鉢底ネットを敷き、軽石を1〜2段分入れてから培養土を半分くらいまで入れます。ミリオンバンブーの苗を鉢に仮置きし、高さを決めたら、軽く根鉢をくずして植え付けましょう。水やりの際にすぐ水があふれ出すことのないように、土の量は鉢縁から2〜3cmほど下までを目安にし、ウォータースペースを取っておいてください。土が鉢内までしっかり行き渡るように、割りばしなどでつつきながら培養土を足していきます。最後に、鉢底からたっぷりと流れ出すまで、十分に水を与えましょう。 鉢栽培の場合、植え付けてから時間が経つと、成長とともに根が詰まって生育が悪くなってしまうので、1〜2年に1度を目安に植え替えましょう。植え替え前に水やりを控えて土が乾いた状態で行うと、作業がしやすくなります。 植え替えの際は、前よりも大きな鉢を用意して株を大きくしてもよいですし、同じ鉢を用いてサイズ感をキープしてもかまいません。鉢から株を出したら、古い根を切り取って整理し、根鉢を徐々にくずしてやや小さくしてから植え直します。 日常のお手入れ 【切り戻し】 ミリオンバンブーの剪定適期は、4〜5月です。弱っている枝や、絡み合って邪魔になっている枝などがあれば、基部までさかのぼって切り取ります。切り取ったすぐ下の節から新芽が出てくるので、どの位置で切ってもかまいません。切り取った元気な枝は、挿し穂として利用できます。 増やし方 Gheorghe Mindru/Shutterstock.com ミリオンバンブーは、挿し木・水挿し、株分けで増やすことができます。 【挿し木・水挿し】 挿し木とは、茎葉を切り取って地面に挿しておくと、発根して生育を始める性質を生かして増やす方法です。植物の中には挿し木ができないものもありますが、ミリオンバンブーは容易に挿し木で増やせます。 挿し木・水挿しの適期は、4〜5月か9月頃です。新しく伸びた枝を3節くらいつけて切り口が斜めになるように切り取ります。採取した枝(挿し穂)は、水を張った容器にしばらく入れて、水揚げしておきましょう。黒ポットに新しい培養土を入れ、十分に湿らせておきます。培養土に穴をあけ、挿し穂を挿して土を押さえてください。発根するまでは明るい日陰に置いて管理します。株として十分に育ったら、植えたい場所へ定植しましょう。 水挿しは、挿し木と同様に挿し穂を採取した後、水を張った容器に入れておき、発根させる方法です。水は毎日替えて、腐敗するのを防ぎましょう。十分に発根したら、黒ポットに植えて育苗し、根鉢が十分に育った頃に植えたい場所に定植します。 挿し木や水挿しのメリットは、親株とまったく同じ性質を持ったクローンになることです。 【株分け】 株分けの適期は、4〜5月か9月頃です。株を植え付けて数年が経ち、大きく育ったら株の老化が進むので、「株分け」をして若返りをはかります。株を掘り上げて分かれている部分で切り分け、再び植え直します。それらの株が再び大きく成長し、同じ株が増えていきます。 ミリオンバンブーはハイドロカルチャー栽培も可能 Mihailo Petrovic 993/Shutterstock.com ミリオンバンブーは、ハイドロボールなどを使っての水耕栽培も可能です。ここでは、揃えておきたいものや、栽培方法などについてご紹介します。 用意するもの まず、苗木と、水栽培する容器(透明なほうが水の管理がしやすい)、ハイドロボール、根腐れ防止剤を準備します。そのほか、土入れや清潔なハサミ、割り箸(細い棒なら何でもよい)、水を入れたバケツも用意してください。ミリオンバンブーは株が大きく成長するので、大きめで深さのある容器を選ぶようにしましょう。 手順 苗木をポットから出して根鉢の土を落とし、水を入れたバケツの中で根を洗います。古い根や邪魔な根があれば切り落としてもかまいません。 容器の底に根腐れ防止剤を入れ、ハイドロボールを少し入れて苗木を仮置きします。苗木が容器とちょうどよいバランスになるように、高さを調整しながらハイドロボールを入れていきましょう。容器の隅々まで行き渡るように、割り箸でつつきながら詰めていきます。最後に、容器の6分の1くらいを目安に、ハイドロボールに水を注ぎます。 育て方のポイント ハイドロボールに植え付けたあとは、半日陰の場所に置いて管理します。表面が乾いたら適宜水やりをしますが、水は入れすぎないようにするのがポイントです。肥料はハイドロカルチャー専用のものを使い、5月から9月にかけて1〜2週間に1度を目安に与えましょう。 ハイドロカルチャーで育てるメリット ハイドロカルチャーで栽培するメリットは、土を使わないため清潔で、インテリアに気兼ねなく栽培できることです。また、害虫が発生しづらいのも利点。ただし、あまり大きくは育たないので、大きくしたい場合は従来どおりに培養土を利用した栽培がおすすめです。 ミリオンバンブーが枯れる原因 Peak1975/Shutterstock.com 枯れる原因は、①日光不足 ②低温 ③根詰まり ④根腐れが考えられます。 ①日光不足/半日陰の環境を好むとはいえ、あまりに暗いと枯れてしまいます。日差しが入る窓際に置き、レースのカーテン越しの光を当てるようにしましょう。 ②低温/寒さに大変弱いので、寒くなる前に室内に取り込み、暖かい場所で越冬させましょう。 ③根詰まり/生育旺盛なので、植え付けた鉢のままで栽培し続けると、根詰まりして株が弱ってしまいます。1〜2年に1度を目安に植え替えることが大切です。 ④根腐れ/水やりの頻度が多く、いつも湿った状態が続くと、根が腐ってしまいます。水やりは、土がしっかり乾いてからたっぷりと与えるのが基本です。 株が弱ってしまった場合は、元気な部分の枝を切り取って挿し穂にし、挿し木や水挿しにして更新するのも一案です。 ミリオンバンブーで爽やかな部屋を演出しよう Katerina Klio/Shutterstock.com エバーグリーンのミリオンバンブーは、半日陰を好み、寒さに弱いので、基本的には鉢栽培にし、季節に応じて適した場所に移動しながら管理するのがポイントです。インテリアグリーンとしても大人気なので、ぜひ栽培にチャレンジしてみてはいかがでしょうか?
-
家庭菜園

スナップエンドウは家庭菜園でも栽培できる! 美味しく育てるポイントを解説
スナップエンドウの基本情報 Spring_summer/Shutterstock.com 植物名:スナップエンドウ学名:Pisum sativum L.英名:snap pea、sugar snap pea和名:エンドウ(豌豆)その他の名前:スナックエンドウ、エンドウ、エンドウマメ科名:マメ科属名:エンドウ属原産地:中央アジアから中近東分類:一年草 スナップエンドウはマメ科エンドウ属の果菜類で、エンドウの栽培品種。学名はPisum sativum L.(ピスム・サティブム)で、原産地は中央アジアから中近東にかけてです。エンドウは、食べる部位や収穫期などによって、サヤエンドウ、実エンドウ、スナップエンドウ、トウミョウの4つに分けられます。サヤエンドウ(キヌサヤ)は若くてやわらかい莢を、実エンドウ(グリーンピース)は、丸々と太った豆を食べます。今回ご紹介するスナップエンドウは、アメリカからもたらされた新しい品種で、実も莢も食べられます。そしてトウミョウは、エンドウの新芽を10cmほど摘み取ったもので、独特の香りを楽しめます。それぞれに専用の品種が出回っているので、種子を購入する際は目的に応じた品種を選びましょう。 スナップエンドウを育てる際のスケジュールは以下のとおりです。10月中旬〜11月中旬に種を播くことからスタート。低温に耐える若い苗の状態で冬越しし、翌年の春から生育が盛んになり、3~4月にスイートピーに似た白やピンクの花が開花。莢をつけたのち4月中旬~6月中旬にかけて収穫できます。スナップエンドウはつるを伸ばして生育しますが、つるが伸びるタイプ(2m以上)と伸びないタイプ(60〜80cm)があるので、用途や広さによって品種を選ぶとよいでしょう。 スナップエンドウの花や実の特徴 Harry Wedzinga/Shutterstock.com 園芸分類:野菜開花時期:4〜6月草丈:60〜200cm以上耐寒性:普通耐暑性:弱い花色:白、ピンク スナップエンドウは白花のものが多いですが、紅花種もあります。莢が肉厚でやわらかく、豆が大きくなってもほかのエンドウのように莢が硬くならないことが特徴で、莢とその中の豆の両方を食用できます。 スナップエンドウにはつるが伸びる「つるあり種」と、つるが伸びない「つるなし種」があります。巻きひげで周囲に絡みつきながら成長するつるあり種のほうが長く収穫が楽しめますが、スペースのない場所ではコンパクトに育つつるなし種のほうが育てやすいでしょう。 スナップエンドウの名前の由来や花言葉 Trygve Finkelsen/Shutterstock.com エンドウは漢字では豌豆と書きます。これはエンドウの原産地フェルガナの中国名が大宛国であることに由来し、中国に伝来した際に宛の豆として名付けられたそうです。また、スナップエンドウのスナップ(snap)は、英語で「ポキッと折れる」を意味する表現で、パリッとした莢の食感から名付けられたものです。 エンドウの花言葉は「必ずくる幸福」「約束」「永遠の悲しみ」「いつまでも続く楽しみ」など。 スナップエンドウとスナックエンドウの違いとは masa44/Shutterstock.com 結論からいえば、どちらも同じ野菜です。 スナップエンドウは1970年代に日本に導入された、比較的新しい野菜です。その当時は「スナップエンドウ」「スナックエンドウ」「スナップタイプエンドウ」「スナックタイプエンドウ」など、さまざまな名称で販売されていましたが、1983年に農林水産省が「スナップエンドウ」に統一しました。しかし、ひと昔前に流通していた「スナックエンドウ」などの名前が、いまだに残っているようです。 スナップエンドウの栽培12カ月カレンダー 開花時期:3〜4月植え付け:11月頃肥料:2月下旬〜6月種まき:10月中旬〜11月中旬 スナップエンドウの栽培環境 日当たり・置き場所 【日当たり/屋外】日当たり・風通しのよい場所で育てます。 【日当たり/屋内】屋外での栽培が基本です。 【置き場所】酸性土壌に弱いため、苦土石灰を施すなどして土壌酸度を調整しておきます。連作障害を避けるため、3~4年マメ科の植物を栽培していない場所で育てるとよいでしょう。 耐寒性・耐暑性 冷涼な気候を好み、15~20℃が生育の適温です。幼苗は4~7℃の低温に耐えますが、苗が小さすぎても大きすぎても耐寒性が低くなるため、草丈15~20cmの状態で冬越しするとよいでしょう。冬越しの際は、地面はわらなどでマルチングし、不織布や寒冷紗で苗を覆って保護します。一年草で夏には枯れるため、夏越し対策は必要ありません。 スナップエンドウの育て方のポイント つるを伸ばして生育するスナップエンドウは、それほど管理が難しいわけではなく、ビギナーでも十分な収穫を楽しめます。ここでは、スナップエンドウの育て方について、順を追って詳しく解説します。 1.種まき Kunlanan Yarist/Shutterstock.com 【菜園・プランター栽培ともに】 スナップエンドウの発芽適温は18〜20℃。種まきの適期は10月中旬〜11月中旬です。 3号ほどの黒ポットに野菜用にブレンドされた培養土を入れ、ジョウロで十分に湿らせておきます。均等な間隔を取って4カ所に指で2〜3cmの植え穴をあけ、種を播きましょう。土を軽くかぶせて手で押さえます。日当たり・風通しがよく、鳥害にあわない場所で管理してください。種まきから5日くらいで発芽します。適宜水やりをして1カ月ほど育苗し、本葉が3〜4枚ついたら植え付け適期です。種まきの時期がずれると苗が小さすぎたり大きすぎたりして冬越ししにくくなるので、ちょうどいい状態で冬越しできるよう、適期に種まきをすることがポイントです。 2.土づくり 【菜園】 連作を避け、できれば3~4年はマメ科の植物を栽培していない場所を選びましょう。また、日当たり・風通しのよい環境を選ぶことも大切です。 苗を植え付ける2〜3週間以上前に、苦土石灰を1㎡当たり約150g散布し、よく耕して土に混ぜ込んでおきます。さらに、苗の植え付けの1〜2週間前に、畝幅(60〜70cm)の中央に深さ20〜30cmの溝を掘り、1㎡当たり堆肥2kg、化成肥料50gを均一にまき、埋め戻して平らにならしておきましょう。このように土づくりを事前に行っておくことで、分解が進んで土が熟成します。【プランター栽培】 野菜用にブレンドされた市販の培養土を使うと便利です。野菜によって適した土壌酸度などは異なるので、製品の用途に「スナップエンドウ」の項目が入っているか、確認しておくとよいでしょう。 3.植え付け AlenKadr/Shutterstock.com 黒ポットで育苗した苗は、弱々しいものを1本のみ選び、地際で切り取ります。引き抜くと残す苗の根を傷めるためです。1カ所に3本の苗のまま植え付けます。マメ科の植物は根をいじられるのを嫌い、移植を好まないので、幼苗のうちに根鉢をくずさずに植え付けましょう。 【菜園】 土づくりをしておいた場所に、幅60〜70cm、高さ約10cmの畝を作り、表土を平らにならします。中央に30〜40cmの間隔をとって、根鉢をくずさずに苗を植え付けましょう。植え付け後に、たっぷりと水やりをしておきます。 【プランター栽培】 土が25〜30Lは入る大型のプランターを用意します。 プランターの底穴に鉢底ネットを敷き、底が見えなくなるくらいまで鉢底石を入れ、その上に野菜用にブレンドされた培養土を入れます。水やりの際にあふれ出さないように、ウォータースペースを鉢縁から2〜3cm残しておきましょう。20cmの間隔を取って、根鉢をくずさずに苗を植え付けます。株元をしっかり押さえ、最後に鉢底から流れ出すまで、たっぷりと水やりをしましょう。植え付け後は、日当たり・風通しのよい場所に置いて管理します。 4.水やり Osetrik/Shutterstock.com 水やりの際は、株が蒸れるのを防ぐために茎葉には水をかけず、株元を狙って与えましょう。 【菜園】 下から水が上がってくるので、天候に任せてもよく育ちます。ただし、雨が降らずに乾燥が続くようなら、適切に水やりをして補いましょう。 【プランター栽培】 日頃の水やりを忘れずに管理します。ただし、いつも湿った状態にしていると根腐れの原因になるので、与えすぎに注意。土の表面が乾いたら、鉢底から水が流れ出すまで、たっぷりと与えましょう。茎葉がしおれそうにだらんと下がっていたら、水を欲しがっているサイン。植物が発するメッセージを逃さずに、きちんとキャッチしてあげることが、枯らさないポイントです。また、真冬は、気温が低くなる夕方に与えると凍結の原因になってしまうので、十分に気温が上がった日中に与えるようにしましょう。 5.防寒対策 株元におすすめのわら。Photo/長田節子 【菜園・プランター栽培ともに】 スナップエンドウは、秋に種まきをし、幼苗の状態で冬越しさせます。寒さにあうことで花芽が作られるのですが、霜対策は必要です。霜が降りる時期になったら、株元にわらを敷き詰めておきましょう。苗は寒冷紗や不織布で覆うとより安心です。 6.肥料 New Africa/Shutterstock.com マメ科の植物は、根に共生する根粒菌により少ない肥料でもよく育ちます。そのため肥料は控えめにして与えすぎに注意し、根の張りと実つきをよくする働きのあるリン酸肥料を中心に与えるとよいでしょう。 【菜園】 越年後に春を迎え、茎葉がよく茂るようになったら、わらや寒冷紗を外します。追肥として化成肥料を1㎡当たり30gほど株元にばらまき、軽く耕して株元に土寄せしておきます。わらは追肥が終わった後に戻しておきましょう。 【プランター栽培】 茎葉がよく茂るようになったら寒冷紗を外します。つぼみが見え始めたらわらを外し、追肥として化成肥料を1株につき5gほど施し、軽く耕して株元に土を寄せておきます。追肥後に、わらを戻しておきましょう。 7.支柱の設置 NinaMalyna/Shutterstock.com スナップエンドウはつるを伸ばして生育するので、茎葉がよく茂るようになったら支柱を設置します。 【菜園】 長さ2mの園芸用支柱を、畝の長さに合わせて準備し、等間隔に垂直に60cmほど埋め込みます。埋め込みが浅いと、強風によって倒伏することもあるので注意しましょう。支柱を設置したら園芸用ネットをピンと張り、支柱に固定します。つるが伸びてきたら、等間隔になるように支柱に誘引してビニタイなどでとめていきましょう。 つるなしタイプの場合は矮性なので、園芸用支柱は1.5mほどの長さでもかまいません。 【プランター栽培】 草丈が20〜30cmになったら、1.5mくらいの園芸用支柱を準備し、四隅に支柱を立てて成長とともにつるをバランスよく誘引します。 8.収穫 Spring_summer/Shutterstock.com 【菜園・プランター栽培ともに】 開花後に莢がついて鮮やかな緑色になり、中の豆が十分にふくらんだ頃に、ハサミか手で茎から切り取って収穫します。 9.注意する病害虫 schankz/Shutterstock.com 【病気】 発生しやすい病気は、うどんこ病や灰色かび病などです。 うどんこ病は、カビによる伝染性の病気です。葉、新梢、つぼみに発生しやすく、表面が白く粉を吹いたようになり、放置するとどんどん広がるので注意。進行すると光合成ができなくなり、やがて枯死してしまいます。窒素肥料を施しすぎたり、枝葉が繁茂しすぎて風通しが悪くなったりしていると、発病しやすくなります。うどんこ病が出たら早々に病気の葉を摘み取って処分し、蔓延するのを防ぎましょう。 灰色かび病は花や葉に発生しやすく、褐色の斑点ができて灰色のカビが広がっていきます。気温が20℃ほど、かつ多湿の環境下で発生しやすい病気で、ボトリチス病、ボト病などとも呼ばれています。風通しが悪く込み合っていたり、終わった花や枯れ葉を放置していたりすると発生しやすくなるので注意。茎葉が込み合っている場合は、誘引し直して風通しよく管理しましょう。 【害虫】 発生しやすい害虫は、アブラムシ、アザミウマなどです。 アブラムシは、3月頃から発生しやすくなります。2〜4mmの小さな虫で繁殖力が大変強く、茎葉にびっしりとついて吸汁し、株を弱らせるとともにウイルス病を媒介することにもなってしまいます。見た目もよくないので、発生初期に見つけ次第こすり落としたり、シャワーではじいたりして防除しましょう。 アザミウマは花や葉につき、吸汁する害虫で、スリップスという別名もあります。体長は1〜2mmと大変小さく、緑や茶色、黒い姿をした昆虫です。群生して植物を弱らせるので注意しましょう。針のような器官を葉などに刺して吸汁する際にウイルスを媒介するので、二次被害が発生することもあります。被害が進んだ花や葉は傷がついてかすり状になるので、異変がないかよく観察してみてください。枯れ葉、雑草などに潜みやすいので、株まわりを清潔に保っておきます。 収穫したスナップエンドウの保存方法 yoshi0511/Shutterstock.com 鮮度が落ちやすいスナップエンドウは新鮮なうちが一番おいしく、収穫してすぐに調理するのが一番です。食べきれない場合は、茹でたものを冷蔵庫で保存し、3日のうちには消費しましょう。かために茹でて密閉できる保存袋に入れ、冷凍してもかまいません。冷凍したスナップエンドウを調理するときは、凍ったまま使います。冷凍保存期間は1カ月ほどを目安にしてください。 スナップエンドウを育てる際の注意点 Chatsushutter/Shutterstock.com スナップエンドウの栽培は、それほど難しくありません。しかし、いくつか注意したいポイントがあるので、ここで詳しく解説します。 連作を避ける 連作とは、同じ場所で同じ種類(科)の植物を育て続けることをいい、連作をすると土壌バランスが崩れて生育障害が起きやすくなるので、注意が必要です。スナップエンドウも、ほかのマメ科の植物(インゲン、エダマメ、ソラマメ、ラッカセイ、シカクマメ、ササゲなど)を一度栽培した場所では、2〜3年は栽培を避けるようにしましょう。家庭菜園では、前もって作物を輪作するプランニングを立てておくことをおすすめします。 種まきは適期を守る スナップエンドウは、ある程度の寒さにあうことで花芽分化が促されるので、秋に種を播いて育成します。スナップエンドウの種まきの適期は10月中旬〜11月中旬で、このタイミングを逃さないことが大切。種まきが早すぎて株が大きくなった状態で冬を迎えると、寒さに耐えられずに枯死することがあり、また種まきが遅く株が小さすぎても同様の結果になります。ちょうどよい若い苗の状態で冬越しさせるためには、種まきの適期をはずさないことが大切です。 冬は寒さ対策をする スナップエンドウは、寒さにあわせることで花芽分化が促されるとはいえ、あまり寒さに強いほうではありません。霜が降りると株が傷んでしまうので、寒さが厳しくなる前に表土にわらを敷き詰めてマルチングするか、不織布をべたがけして、防寒対策をしておきましょう。 病害虫は早めに対処する スナップエンドウは、3月以降になるとうどんこ病、灰色かび病などが発生しやすくなります。風通しが悪いと発生しやすいので、つるが込み合っていれば適宜整枝して誘引し直すなど、風通しよく管理しましょう。 害虫はアブラムシやスリップス、ハモグリバエ、ヨトウムシが発生しやすくなるので注意。早期発見が大切で、株に食害の痕などがあれば、葉裏などをチェックして早めに捕殺しましょう。 スナップエンドウを栽培して新鮮な野菜を楽しもう Amy K. Mitchell/Shutterstock.com エンドウの中でも、スナップエンドウは莢ごと食べられるタイプで、やわらかくて肉厚な莢と甘みのある豆の食感を楽しめます。栽培は容易なので、ぜひ家庭菜園やプランターなどで育ててみてください。
-
果樹

秋は植えどき! ベランダ栽培OKの1株で実がなるコンパクトブルーベリー登場!
コンパクトで1株で実がなるブルーベリー「ブッシェル・アンド・ベリー」シリーズ 左が樹高1.5mほどの一般的なブルーベリー。右は「ブッシェル・アンド・ベリー」シリーズの‘ジェリービーン’。 一般的なブルーベリーの樹高が1~3mなのに対し、「ブッシェル・アンド・ベリー」シリーズは樹高30~90cmほどとコンパクトなのが特徴です。また、通常は実をつけるのに2本以上必要ですが、「ブッシェル・アンド・ベリー 」シリーズは1本でたくさんの実をつけてくれます。もちろん、コンパクトなので複数品種を育てて楽しむこともできます。コンテナ栽培やベランダでの栽培に最適で、這性特性を持った品種はハンギングでも楽しめます。 ブッシェル・アンド・ベリーのブルーベリーを育てるのに必要なもの ●苗木(2027年春から発売予定。販売店情報はエム・アンド・ビー・フローラのインスタグラムをご参照ください)●コンテナ栽培の場合は直径30〜40cm・深さ25cm以上の鉢●酸性土壌。ブルーベリー専用用土があると便利 育てればこそ得られる完熟ブルーベリーの驚きの美味しさ 「ブッシェル・アンド・ベリー」シリーズの‘ピーチソルベ’の果実。 スーパーに行けば一年中冷凍ブルーベリーが手に入りますが、栽培をおすすめする理由の1つは、完熟果実にしかない風味。さまざまなお菓子やデザートに利用されるブルーベリーですが、ブルーベリー農家がおすすめする最も美味しい贅沢な食べ方は、完熟摘みたてを10粒、口のなかに放り込んでブルーベリージュースにする方法。驚くほどの果汁がジュワッと口いっぱいに広がり、喉へ流れ込むと同時に芳醇な香りが鼻をぬけ、頭がスッキリ爽快になる感覚は、これまでのブルーベリーの概念をくつがえす体験です。樹上で完熟させた果実ならではの甘さは、育てた人だけの特権。もちろん、そんな完熟ブルーベリーで作ったデザートは絶品です。 クラシカルなアメリカン・ブルーベリーパイも完熟果実でぜひトライを。Sea Wave/Shutterstock.com 生のブルーベリーの魅力は栄養価にもあります。ブルーベリーはビタミンCや骨の健康を支えるビタミンKが豊富なフルーツ。特に抗酸化物質の一種であるアントシアニンが多く含まれることは有名で、目の健康や肌の老化防止に役立つとされています。新鮮なフレッシュブルーベリーなら、より効果的な作用が期待できます。 ブルーベリーは花も可愛く紅葉も楽しめる優秀なガーデンプランツ 「ブッシェル・アンド・ベリー」シリーズの‘ピーチソルベ’の花。 ブルーベリーの魅力は、おいしい果実だけではありません。春にはスズランによく似た白やピンクの小さなぷっくりとした花がたくさん咲き、庭を明るく彩ってくれます。 夏に実る果実の様子も可愛らしく、ブルーベリーが青い服の坊やの妖精として描かれる絵本『ブルーベリーもりでのプッテのぼうけん』(エルサ・ベスコフ作・絵)は世界中で愛されています。 紅葉したブルーベリー。Fire-n/Shutterstock.com そして、秋は真っ赤な紅葉が楽しめるのもブルーベリーの大きな魅力。紅葉するガーデンプランツは限られており、中でもベランダで簡単に育てられるものは数少ないですが、ブルーベリーは見事な紅葉で秋の風情を演出できるおすすめの植物です。 「ブッシェル・アンド・ベリー」の魅力的な4品種 この秋発売された「ブッシェル・アンド・ベリー」シリーズは4品種。それぞれに個性があり、実の風味も異なります。 4種の中で一番コンパクトな‘ジェリービーン’ 樹高30〜60cmと4種の中で一番コンパクトな株姿ながら、甘く大きめの果実がたわわに実ります。ジェリービーンの名のとおり、ゼリーのようにプルプルとした食感の果肉が特徴。ベランダでの鉢植え栽培に最適です。 ハンギングバスケットでも楽しめる‘サファイアカスケード’ 樹高45〜60cmほどで這性の特性があり、ハンギングバスケットでも楽しめます。甘く中くらいの実が、夏から秋まで比較的長く収穫できます。 葉色が美しくトロピカルな甘さの‘ピーチソルベ’ 樹高45〜60cmほどでピンクやオレンジ色の葉が入り交じり葉姿も美しい品種。トロピカルな風味でジューシーな果実が特徴。 銀葉が美しく爽やかな甘さの‘シルバーダラー’ 樹高60〜90cmほどで銀色がかったユーカリに似た葉が美しい品種。ほのかに香る爽やかな甘さの実が、夏から秋まで比較的長く収穫できます。 失敗しないブルーベリー栽培のコツ 1. 酸性土壌を用意する ブルーベリーはpHが4.5〜5.5の酸性土壌を好みます。すでに調整された市販の「ブルーベリー用土」を使うか、土にピートモスを混ぜるとよいでしょう。 2. 日当たりと風通しを確保する ブルーベリーは日光を十分に浴びる場所で育てることで、甘い果実が実ります。たわわに実をつけるには、少なくとも1日6時間の日照が必要です。明るい日陰でもOK。寒さにはとても強く、寒冷地でも屋外で容易に冬越し可能ですが、夏の暑さや夕方の強い西日は苦手なので、風通しを確保し、移動可能な鉢植え栽培のほうが育てやすいかもしれません。 3. 定期的な水やり ブルーベリーは表土に近いところに根を張る性質があり、乾燥に弱いです。季節によって生育のスピードが異なるので、それに合わせて水やりの頻度も変えますが、特に春先の芽出しの頃から実がなるまでは、水切れに注意する必要があります。基本的には、土の表面が乾いたら鉢底から流れ出るまでしっかりと水を与えます。 4. 肥料の管理 毎年春に肥料を与えるのが最も効果的です。酸性肥料や粒状肥料、液体肥料を好みます。堆肥は避けましょう。コーヒーかすは、土壌を酸性化するのに役立つ安価な自家製ブルーベリー肥料です! 時々、使い終わったコーヒーかすを土の上にまくのもおすすめです。 5. 剪定 ブルーベリーの苗木を毎年剪定することで、樹形を保っておいしい実をたくさん収穫することができます。ブルーベリーは1〜2年経った枝に花を咲かせ、実をつけるので、買ったばかりの株は剪定の必要はありません。若い株の場合も、枯れた枝を春に落とす程度で十分です。株が3年以上経過したら、毎年休眠中に剪定します。剪定する枝は以下のとおりです。 内向きの枝の剪定/木の中心に向かって伸びる枝や下に向かって伸びる枝は、風通しや日光を遮るため、剪定します。 弱い枝、枯れ枝の除去/枯れ枝や細く弱い枝は、剪定して木全体の活力を高めます。 高さの調整/高く伸びすぎた枝は、実がなりにくいので枝先から1/3程度を剪定します。 古い枝の剪定/株が混み合ってきたら、5年以上経過した古い枝は根元から切り落とします。若い枝の発生を促し若返りをはかるためです。 6. 植え替え 買ってきた直後、休眠期や休眠期に向かう時期であれば、必ずしも植え替える必要はありません。春になると生育を開始するので、その前の2月下旬、一回り大きな鉢に植え替えるとよいでしょう。鉢植えの場合、3年目以降は2〜3年に1回植え替えるようにしましょう。根を整理して、根詰まりを防ぐためです。 ブルーベリーの一年の生育サイクル ブルーベリーは、休眠期と生育期があります。それぞれの時期で手入れを変えることが上手に育てるコツ。ブルーベリーの一年の生育サイクルを知っておきましょう。 1. 冬(休眠期) ブルーベリーは落葉樹のため、冬には葉が落ちて木は休眠期に入ります。この時期は成長が止まり、エネルギーを蓄えて春の成長に備えます。ただし、近年は暖冬気味で、完全には落葉しない地域もあります。 【この時期の手入れ】 ■剪定/ この時期に古い枝や病害虫に侵された枝を剪定することで、春に新しい健康な枝が育ちやすくなります。 ■マルチング/寒冷地では根元にマルチングをすることで、霜や寒さから根を保護することができます。 ■水やり/休眠期は根から吸い上げる水の量も減るので、1週間に2回程度が目安です。 *落葉しない地域では、この時期に施肥をすると中途半端に芽が動いてしまうことがあるので控えます。 2. 春(発芽・開花期) 冬が終わり気温が上昇すると、ブルーベリーの木は休眠から覚め、芽吹きが始まります。3月頃から新芽が出て、4〜5月にかけて白や淡いピンク色の小さな花が咲きます。 【この時期の手入れ】 ■施肥/春に新しい成長が始まるため、適量の肥料を与えることで、健康な成長と実つきを促進します。特にブルーベリー専用の酸性土壌に適した肥料が効果的です。 ■水やり/芽が出始めると盛んに水を吸い上げるようになります。乾きに注意して、表土が乾いたら鉢底から流れ出るまでたっぷり水やりをしましょう。 3. 夏(結実・収穫期) 花が咲いた後、6月頃から果実が徐々に成長し始めます。果実は最初緑色をしていますが、徐々に青紫色に変化し、完熟すると鮮やかなブルーム(白い粉)が現れます。 【この時期の手入れ】 ■収穫/ 7〜8月がブルーベリーの主な収穫期です。完熟の見極めは、色が濃い青紫になり、軽く触れただけで果実が自然にポロッと取れるタイミングです。 ■水やり/夏は乾燥しやすいので、ブルーベリーの木がしっかりと水分を保てるよう、定期的な水やりが必要です。表土の乾きに弱いので、根圏環境を整えるバイオマイスターなどの土壌資材をマルチング材として用いるのもよいでしょう。 ■剪定/伸びすぎた枝を枝先から1/3程度剪定します。 4. 秋(紅葉) 秋になるとブルーベリーの葉は紅葉します。気温が下がることで、植物の成長がゆっくりになり、一部の品種では、9〜10月まで果実が残ることもあります。甘さが増すため、最後の収穫を楽しむことができます。 【この時期の手入れ】 ■水やり/生育がゆっくりになり暑さも和らぐため、水やりの頻度も夏より控えめにします。 このようにブルーベリーの栽培はとても簡単で、一年を通して魅力にあふれた果樹です。コンパクトで1株で実る「ブッシェル・アンド・ベリー」シリーズの登場で、より誰もが身近に育てられるようになったブルーベリーを自宅で楽しんでみませんか。
-
ガーデン&ショップ

里帰りした宿根草「アスター‘ジンダイ’」が初めての開花! 東京パークガーデンアワード@神代植物公園で観賞しよう
日本から海外に渡り、再び戻ってきて愛される植物たち 都立神代植物公園(調布市深大寺)を舞台に一般公開されている「第2回 東京パークガーデンアワード」。そのコンテストガーデンで10月上旬、グラスの穂と共演するアスター‘ジンダイ’。撮影/松井映樹 今、私たちが季節の移り変わりを感じたり、眺めて癒やされたりする花や植物のなかには、日本から海外に渡って、新たな価値を見出されて世界各地で育てられているものが多く存在します。その代表的な植物には、アジサイやギボウシ、ツバキなどが挙げられますが、今年東京・神代で開花したアスター‘ジンダイ’(Aster tataricus 'Jindai')もその一つです。 海外で撮影されたアスター‘ジンダイ’。yakonstant/shutterstock.com アスター‘ジンダイ’は、ニューヨークのハイラインや、イギリスのハウザー&ワース・サマセットなど、昨今注目される「ナチュラリスティック」デザインのガーデンで広く栽培され、欧米では定番の美しいアスターとして愛されています。 「第2回 東京パークガーデンアワード」のコンテストガーデンで多数のつぼみをつけるアスター‘ジンダイ’。 宮城県で「はるはなファーム」というナーセリーを営み、ガーデナーでもある鈴木学さんも、「ナチュラリスティック」で活躍する植物に魅了され、苗を集めてきました。そのなかで、どうしても入手できなかった品種がアスター‘ジンダイ’でした。 「あきらかに日本のものと分かる名前でしたから、かつて日本から海外へ紹介された植物の1種だと思い、同業者や山野草関係の知人に聞いて回ったのですが、まったくといっていいほど手がかりがありませんでした」。 イギリスの新刊書籍で見つけたアスター‘ジンダイ’の由来 『Planting the Oudolf Gardens at Hauser & Wirth Somerset』by Rory Dusoir, Foreword by Piet Oudolf, Photographs by Jason Ingram 出版/Filbert Press その謎のアスター‘ジンダイ’の由来を解き明かす糸口を鈴木さんが見つけたのは、2020年に出版されたイギリスのガーデン「ハウザー&ワース・サマセット」の解説書『Planting the Oudolf Gardens at Hauser & Wirth Somerset』でした。 世界的に活躍するガーデン・デザイナー、ピート・アウドルフ氏が手がけた庭の新刊出版を心待ちにしていた鈴木さんが胸を躍らせページをめくっていると、アスター‘ジンダイ’の解説に目がとまりました。そこにはなんと「アメリカのプランツマン、リック・ダーク(Rick Darke)氏が神代植物公園で見つけた」と記されていたのです。 アスター‘ジンダイ’は神代植物公園で栽培されていた株が親株 それから数年が経った2023年。「第1回 東京パークガーデンアワード 代々木公園」の入賞ガーデナーの1人として鈴木さんが座談会に登壇した際、神代植物公園の松井映樹園長と面識ができたことがきっかけで、アスター‘ジンダイ’の謎解きが再び始まりました。 松井園長が、開園当時から現在までの目録をあたってくださり、アスター‘ジンダイ’の親株と考えられる植物を発見。ただし、いつ、どのような経緯でリック・ダーク氏がそれを入手したかは分からない、というところまで辿り着いたのです。 2023年に東京・代々木公園内で開催された「第1回 東京パークガーデンアワード」で準グランプリを受賞した鈴木学さんによるコンテストガーデン「Layered Beauty レイヤード・ビューティ」の6月。 それから少し後、鈴木さんが代々木公園でコンテストガーデンのメンテナンスをしているとき、北海道「十勝千年の森」のヘッドガーデナー新谷みどりさんと会う機会がありました。じつは新谷さんはナチュラリスティックガーデンの考えを日本に広めた第一人者でもあり、鈴木さんにアスター‘ジンダイ’を探してほしいと頼んでいたのです。そこで、これまでの調査の経緯を話したところ、なんと、新谷さんは書籍に記載されていたアメリカのプランツマン、リック・ダーク氏と知り合いであることが判明。リック氏本人にアスター‘ジンダイ’について聞けることになったのです。 ‘ジンダイ’の名付け親リック・ダーク氏は1985年に神代植物公園を訪問 当時、神代植物公園内でアスター‘ジンダイ’の親株が育っていたのではと想定されているのは「宿根草園」と呼ばれている場所で、2023年にリニューアルされた。写真は2024年7月の様子。 2023年暮れ、リック氏にアスター‘ジンダイ’のことを問い合わせていた新谷さんにメールの返信がきました。そこにはこう書かれていました。 「1985年、ペンシルヴァニア州のロングウッドガーデン(Longwood Gardens)に勤務していた当時、同園と米国国立樹木園(U.S. National Arboretum)の共同調査のため、樹木園のチーフ、シルベスター・マーチ(Sylvester March)氏と一緒に訪日しました。その目的は、日本の植物苗の生産者や植物園、在来植物の自然植生地を訪れて、北米を中心とした園芸業界に役立つ日本の植物を見いだすことにありました。 アスター‘ジンダイ’の親株と思われるもの。宿根草園にあった株をリニューアル時に掘り上げて鉢植えで栽培。今年は10月上旬に咲き始めました。撮影/松井映樹 その際に神代植物公園を訪れ、当時の園長に園内を案内していただいたとき、展示植栽地でひときわ草丈の低いシオン(Aster tataricus)系の植物が目に留まりました。それが特別な品種(交配種)なのかを聞いたところ、『いいえ、純粋に種から育てているものです』という答えが返ってきました。 神代植物公園で2024年10月上旬に開花したアスター‘ジンダイ’の親株。ヤマトシジミアやイチモンジセセリ、ツマグロヒョウモンが蜜を求めてやってきた。撮影/松井映樹 草丈が低く、コンパクトでありながらまっすぐに成長する姿を見て、アメリカでは草丈が高く育ちすぎて倒伏しやすい従来のシオンよりも、庭でずっと育てやすいと確信しました。神代植物公園の当時の園長はとても協力的で、寛大にその植物を分けてくださいました。 無事にアメリカにその株を連れて帰り、後に神代植物公園に敬意を表して、‘Jindai’の名前を付けて世の中に紹介しました。今や生産栽培分野においても、この種の持つ草丈の低さは安定しており、北米の環境に見事に適応して、非常に優秀で美しいアスターとしてたくさんの方々に愛されています」 現在開花中のアスター‘ジンダイ’の親株は、神代植物公園内の植物会館前で10月20日まで秋の七草とともに展示中。アスター‘ジンダイ’は花が咲いている期間、同場所でその様子をご覧いただけます。撮影/松井映樹 その後、アスター‘ジンダイ’の親株を渡した当時の園長が柴沼弘さんであったことが分かりました。1961年の開園当初の神代植物公園の植物目録には「しおん(だるま)」の記載があります。1991年の植物目録では「シオン Aster tataricus」と記載されており、現在も、「シオン Aster tataricus」のラベルの付いた矮性のシオンが神代植物公園で栽培されています。つまり、アスター‘ジンダイ’は、日本では「ダルマシオン」の名で長年親しまれていた草丈の低いシオンの1種と考えられ、アメリカのプランツマンによってその価値を高く評価され、固有品種名‘ジンダイ’の名を冠して世界中に広がったのです。 38年ぶりに里帰りしたアスター‘ジンダイ’ はるはなファームで植え付けを待つアスター‘ジンダイ’の苗。2月。写真/鈴木学 この由来の解明と並行して、鈴木さんが営むはるはなファームでは、2023年の9月にオランダからアスター‘ジンダイ’のプラグ苗を輸入し、育てた苗が12月に「第2回 東京パークガーデンアワード 神代植物公園」のコンテストガーデンに植えられることになりました。1985年にリック・ダーク氏が‘ジンダイ’をアメリカに持ち帰ってから、38年ぶりに里帰りしたことになります。 2023年12月に植え付けたアスター‘ジンダイ’の場所を示すプレートが設置されたコンテストガーデンA 「Grasses and Leaves, sometimes Flowers ~草と葉のガーデン〜」。 そして、いよいよ迎えた10月上旬。コンテストガーデンで開花したアスター‘ジンダイ’は、草丈130〜160cmと従来のシオンと比べてコンパクトながら、分枝した先にたくさんの淡紫色の小花を次々と咲かせています。 里帰りして初めて開花したアスター‘ジンダイ’を見て、鈴木さんは「もう1つ興味深いのは、花色が濃い点」だと言います。「一般的なシオンは、もう少し花色が薄くて、写真を撮る際の条件によっては白に近く見えることもありますが、これはしっかり色を感じますね。海外で栽培されている‘ジンダイ’は花色が濃いと聞いていたので、期待どおりでした」。 ガーデンプランツとして期待されるアスター‘ジンダイ’の可能性 コンテストガーデンで10月上旬に開花したアスター‘ジンダイ’。 鈴木さんは、今年秋に日本の気候で約1年育てて開花したアスター‘ジンダイ’を確認して、これからのガーデンで活躍する植物であることを確信したと言います。 「まず一番の魅力は、日本の気候に合った宿根草だということです。特に秋、宿根草ガーデンの最後のシーズンを飾るものとして加えられるのはいいことだと思います。 シンフィオトリクム Alex Manders/Shutterstock.com 西洋のアスター(シンフィオトリクムとかユーリビアなど)は、基本的に日本の気候に合うものが多いものの、グンバイムシなどの害虫に弱かったり、酸性度の高い土壌では育ちにくい場合があります。例えば、ノコンギクやシオンなどの日本に自生していたアスターは、気候に合うのはもちろん、病害虫にも耐性があり、長い期間、持続可能で魅力的な植栽を計画するうえでは欠かせないと思います。 ノコンギク 一方、ノコンギクやその他のアスターの多くは、植栽の中で構造的に使えるか(長い期間、形としての植栽を維持できるかどうか)という点で劣るものも多く、その点からもシオンは、構造的な宿根草として使えるというメリットがあります。 コンテストガーデンで10月上旬に開花したアスター‘ジンダイ’。支柱をせずに自立するのも特徴。 しかし、従来のシオンは2m前後と草丈が高すぎるので、必ずしもすべての現場で重宝するというわけではありません。ですので、アスター‘ジンダイ’のような130〜160cmにとどまる草丈は、“ちょうどいい”と思います」 鈴木さんが、今ナチュラリスティックな植栽に関わるなかで、昨今よく外来種と在来種が話題になり、慎重に扱うべきテーマだとしたうえで、 「このアスター‘ジンダイ’は、人と人とのつながりがきっかけで海を渡り、世界中でガーデンプランツとして使われ、そして40年近く経て故郷に帰ってきました。今回、その環をつなぐ一助となれたことは、忘れがたい経験になりました」と語ります。 アメリカ合衆国イリノイ州にある「シカゴ・ボタニック・ガーデン(Chicago Botanic Garden)」で開花するアスター‘ジンダイ’。2019年10月25日撮影。撮影/新谷みどり また、海外で育つアスター‘ジンダイ’を実際に何度も見た経験があり、長年その由来と性質に関心を寄せてきた新谷さんは「Rickの言うとおり、シオンAster tataricusより倒れにくく育てやすいうえ、野の趣がいいなと感じた」と、その魅力を語ります。 「私が実際に見たシカゴ・ボタニック・ガーデンのアスター‘ジンダイ’(上写真)は、背景にあるカラマグロスティス‘カール・フォースター’より低い草丈(130〜140cm)であると分かります。草丈や花色は、気候の違いによっても差が出ますが、シカゴ・ボタニック・ガーデンで見たときは寒暖差のある秋で、湿度が高くない状態で、北海道の秋とも少し似ているような気候でした。 シカゴ・ボタニック・ガーデン内の「GARDENS OF THE GREAT BASIN」と呼ばれる6つの庭で構成された一大エリアに開花するAster tataricus 'Jindai'。 2019年10月25日撮影。撮影/新谷みどり 昼夜の寒暖差が大きくなると、それまでの季節より花色が濃くなっていくことは植物では珍しいことではないため、アスター‘ジンダイ’の本当の性質は、本州の高温多湿な温暖地と北海道の寒冷地の両方でテスト栽培をしてみなければ判断できないと考えています。 そして、Aster 'Jindai'の物語が判明した今、何よりも私が一番育てたいのは、日本のダルマシオンにほかなりません。アメリカのプランツマンを魅了した日本の植物が絶えることのないよう、植物への思いに満ちた園芸愛好家ならば誰もが手に入れることのできるようになることを願っています。それこそがアスター‘ジンダイ’に注目した当時のRickの使命であり、Aster tataricus 'Jindai'の故郷である日本として見習うべきことだと思います」 海外で撮影された、霜をまとうアスター‘ジンダイ’。Wiert nieuman/Shutterstock.com 今、里帰りして初めて開花したアスター‘ジンダイ’が、第2回 東京パークガーデンアワードのコンテスト会場である神代植物公園、正門手前のプロムナードで秋のガーデンに彩りを添えています。さらに咲き進み、冬が近づくと、綿毛をまとったタネの姿もオーナメンタルに活躍するのではと期待されています。ぜひ、ガーデナーが注目する宿根草、アスター‘ジンダイ’の様子をご覧に、お出かけください。 アスター‘ジンダイ’が育つコンテストガーデンを見に行こう! Information 都立神代植物公園(正門手前プロムナード[無料区域])所在地:東京都調布市深大寺元町5丁目31-10https://www.tokyo-park.or.jp/jindai/電話: 042-483-2300(神代植物公園サービスセンター)開園時間:9:30〜17:00(入園は16:00まで)休園日:月曜日(月曜日が祝日の場合、翌日が休園日、年末年始12/29~翌年1/1)アクセス:京王線調布駅、JR中央線三鷹駅・吉祥寺駅からバス「神代植物公園前」下車すぐ。車の場合は、中央自動車道調布ICから約10分弱。
-
園芸用品

園芸資材「石灰」にはどんな役割と種類がある?使い方のポイントや注意点を解説
家庭菜園における石灰の使用目的 Cyrustr/Shutterstock.com まずは、家庭菜園で石灰を活用する主な目的について確認してみましょう。 酸性に傾いた土壌の中和 kram-9/Shutterstock.com 多くの植物はpH5.5程度の弱酸性土壌を好みます。しかしながら降水量の多い日本では雨が降ると土壌中のミネラルが流出しやすく、近年は酸性雨の影響もあって土壌全体が酸性に傾きやすい状況にあります。プランター栽培など土の量が限られている場合は、アルカリ分の流出や酸性の化学肥料の使用で用土が劣化し、土の酸性化がより早まりやすいのです。 土が酸性に傾くと、植物に必要な養分であるカルシウムやマグネシウムの流出に繋がるほか、植物の根に障害を起こすアルミニウムイオンが土壌中から溶け出したり、養分となるリン酸の吸収が阻害されたりします。また微生物の活動が緩慢になり、有機物の分解が遅くなるなど、多くの弊害があります。アルカリ性の石灰を酸性に傾いた土壌に混ぜ込み、中和することで、そのような状況を予防する効果があります。 カルシウムの補給 FotoHelin/Shutterstock.com 植物の生育に欠かせない三大栄養素としてチッ素(N)、リン酸(P)、カリウム(K)がありますが、それ以外にも大切で必要な微量栄養素は多くあります。カルシウムもその1つで、植物が細胞壁を作る上で欠かせない栄養素です。特に新しく作られる根や茎を成長させる際に必要で、十分なカルシウムを吸収している株は丈夫な細胞壁を持ち、病害虫にも強く、しっかりした株になります。石灰の主成分はカルシウムであるため、苦土石灰を施肥することで土壌中のカルシウム量を増やすことができます。カルシウムは水に溶けやすく、雨などで流出しやすいため、雨の多い地域では定期的に供給する必要があります。 家庭菜園でよく使われる石灰の種類 Art_Pictures/Shutterstock.com ガーデニングや野菜類を栽培する際によく使われる石灰は、消石灰、苦土石灰、有機石灰の3種類があります。ここでは、それぞれの特徴と使い方について解説します。 消石灰 Aleksandr Pobedimskiy/Shutterstock.com 消石灰(しょうせっかい)の原料は、石灰石(炭酸カルシウム)と呼ばれる鉱物です。この石灰石を細かく砕き、焼成、加水、消化、熟成の工程を経たものが消石灰(水酸化カルシウム)となります。消石灰は石灰資材の中でもアルカリ性が強いため、中和作用が強力です。強酸性土壌の土壌改良を行う際に使用します。 石灰資材の中では酸度調整効果が高い消石灰は、取り扱いに注意が必要です。植物の根が直接消石灰に触れると傷んでしまうため、施しすぎたり熟成が不十分だと植物や作物に害を及ぼすことがあります。与えすぎに注意し、最低でも植え付けの2週間前、できれば1カ月前に施し、十分に土になじませてから利用するようにしましょう。また、この消石灰は目に入ると失明の危険があります。風の強い日の散布や、子ども、ペットなどがいる環境下では使用しないようにしましょう。 苦土石灰 vvoe/Shutterstock.com 苦土石灰(くどせっかい)の苦土は、マグネシウムを意味します。石灰はカルシウムのことなので、苦土石灰は、マグネシウムとカルシウムの混合物ということを表します。家庭菜園で利用するのは、ほとんどこの苦土石灰です。苦土石灰の原料は「ドロマイト」という鉱石で、それを粉や粒状にしたものを使用します。ドロマイトの主成分は酸化マグネシウムと炭酸カルシウムなので、土壌の中和と栄養補給を同時に行うことができます。また、すぐに土壌に溶けることなく、中和作用が緩慢で根を傷めにくいという利点があります。そのため、家庭菜園初心者でも安心して使うことができます。 有機石灰 Woldemar_66/Shutterstock.com 有機石灰とは、貝殻や卵の殻など有機質由来の石灰を粉砕し、粉状にしたものです。中和能力は高くなく、強い酸性土壌の改良には不向きですが、その分緩やかな土壌変化となり、同時に有機肥料として植物の栄養補給にも役立ちます。発熱などの化学反応もなく、他の肥料と一緒に使うこともでき、施肥後にすぐ苗の植え付けもできます。水に溶けにくく長期にわたって効果が持続するので、中長期的に栽培する植物に向いています。市販されている有機石灰は、牡蠣(かき)の貝殻を細かく砕いたものが多いです。そのほかエビやカニの殻を砕いたものなどもあり、これは土壌にキチン質を増やすことで有用な菌を増やし、病原菌のフザリウム菌やセンチュウなどの病害を抑制するといわれています。 消石灰と苦土石灰の違い concept w/Shutterstock.com 消石灰は炭酸カルシウムを原料とし、主成分はカルシウムです。カルシウムは丈夫な植物にするために必要な栄養素であり、施肥することで土壌中の不足を補うことができます。また消石灰はpH12という強アルカリ性なので、土壌改良のほか土壌殺菌にも効果があります。植物や動物に有害な細菌類は生息できる土壌中のpHが限られており、消石灰を広範囲に散布し、pH調整を行うことで駆除、殺菌することができます。ただし土壌消毒を行ってすぐは植物にとっても害のあるpH値なので、消毒後の植え付けは数週間後に行いましょう。 対して苦土石灰の主成分は、カルシウムとマグネシウムで、土壌中のpH値を調整する力は劣りますが、カルシウムという栄養素に加えて植物のエネルギーを作る元である葉緑素の生成に欠かせないのがマグネシウムです。酸度調整効果が消石灰に比べると低く消毒には向いていませんが、植物にとっても比較的安全で、改良後すぐに植え付けたり、2つの栄養素を一度に補ったりすることができ、扱いやすさから小規模な家庭菜園などでよく使われています。 苦土石灰の必要性を見極める方法 Rainer Fuhrmann/Shutterstock.com 苦土石灰を使用したほうがよいかを判断するためには、使う土の酸性度(pH)とカルシウム不足について把握する必要があります。土壌の酸性度を測定するにはさまざまな方法がありますが、主なものとしては、ホームセンターや園芸店で手に入る酸度計やリトマス試験紙を使う方法があります。リトマス試験紙を使う際は、地面から5~10cmの深さから土を採取し、蒸留水を1:2.5の分量で混ぜてよく撹拌し、30秒後に上澄み液を取って判定しましょう。 土の状態の大まかな目安としては、スギナやオオバコ、ハハコグサ、カヤツリグサ、メヒシバ、イタドリなどの雑草が目印になります。これらの植物が多く生えている土壌は酸性に傾いている可能性があるので、測定したほうがいいかもしれません。カルシウム不足については、作物の障害で見極めることができます。土壌中のカルシウム分が不足すると、トマト、ナス、ピーマンなどの果実に尻腐れ病が発生します。また、キャベツやハクサイの芯腐れや葉先の枯れなどが顕著になります。 苦土石灰の使用量 RHJPhtotos/Shutterstock.com 栽培したい植物によって、適した土壌酸度(pH)は異なります。まずは、育てたい植物に適した酸度を調べましょう。その上で土壌改良が必要と判断された場合は、苦土石灰などを用いて酸度を調整します。1㎡あたりの土のpHを1.0上げる(アルカリ性に傾ける)目安は、消石灰なら80g、苦土石灰なら100g、有機石灰なら130gとされています。土1kgに対して1.5gの苦土石灰の使用が目安です。 苦土石灰を使うときの注意点 Achira22/Shutterstock.com 緩効性の苦土石灰は、施した後すぐに植え付けても根を傷める可能性は低い反面、酸度調整の効果が出るまでにしばらく時間が必要です。散布後にすぐ植えても土壌は酸性のままなので、植え付けの1〜2週間前には散布しておくとよいでしょう。 また、苦土石灰を使う場合の注意点として、他の肥料や堆肥と同じタイミングで土に混ぜてはいけないということが挙げられます。その理由は、苦土石灰とチッ素分が化学反応を起こし、有毒なアンモニアガスが発生するためです。堆肥の場合、苦土石灰の殺菌作用により、堆肥中の微生物が死んでしまう恐れがあります。そこで、先に苦土石灰を土に混ぜ、1~2週間後に肥料を混ぜ込むことで化学反応の発現を避け、それぞれのより効果的な作用が期待できます。 苦土石灰を必要以上に施して土壌がアルカリ性に傾きすぎると、微量要素が吸収できなくなり、植物生育に悪影響が出ます。また土が硬くなりやすいため、与えすぎに注意し、規定量を混ぜ込むようにしましょう。 石灰を使うときによくある失敗例 Tanja Esser/Shutterstock.com ここでは、石灰で土壌改良を行った場合の起こりがちな失敗について解説します。 アルカリが過多になる J.J. Gouin/Shutterstock.com 石灰のまきすぎにより土壌中の酸性度(pH)がアルカリに傾きすぎてしまうと、リン酸や鉄、マンガンなどの栄養素を吸収できなくなり、生育に悪影響が出てしまいます。再び酸性土壌に戻したい場合は、硫安、塩加、塩安、過石などの酸性肥料やピートモスを使います。しかし一度土壌がアルカリ性になってしまうと、酸性を抑えることよりも土壌改良が難しいので気をつけましょう。 カルシウムが過剰になる Deyan Georgiev/Shutterstock.com カルシウムは野菜の生育には欠かせない栄養素ですが、カルシウム過多になるとその他のミネラル分(栄養素)を吸収できなくなるため、さまざまな障害が出てきます。カルシウム分が少ない場合は補うことができますが、多い場合、土壌中のカルシウムを除去することは困難です。また土壌中のカルシウムが十分にあっても、土壌の乾燥やチッ素過多による肥料バランスの崩れから植物がカルシウムを吸収できず、カルシウム欠乏症になる場合もあります。その症状から土壌中のカルシウム分が少ないと判断し、さらに石灰をまいて、カルシウム過多にしてしまう場合もあります。そういった間違いをおかさないためにも以前の石灰使用歴を知ることは必要で、初めての土地などでは石灰を施す前に土壌診断をすることが大切です。 石灰の上手な使い方 Alchemist from India/Shutterstock.com 苦土石灰は粉状のタイプと粒状のタイプが売られています。一般に効果の早い粉状のものがよく使われますが、露地栽培で粉が飛ばされやすいなどの心配がある場合は、必要量が分かりやすくまきやすい粒状のものもおすすめです。 利用する石灰の種類は、土壌の状態と植え付ける植物に適した酸性度(pH)によって選択しましょう。例えば、特に酸性土壌が苦手なホウレンソウやエンドウを酸性土壌に植える場合は、速やかな土壌改良が求められるため、苦土石灰ではなく消石灰を活用するほうが効果的。一方ジャガイモは、土壌がアルカリ性に傾くと「そうか病」を起こしやすいため、基本的に石灰を施しませんが、カルシウム不足が気になる場合は中性の硫酸カルシウムを利用する方法もあります。石灰をまくときは、雨が降る前にまいて耕すと、降雨後に土としっかり馴染み、ムラなく中和できるのでおすすめです。 石灰はポイントを押さえて使いこなそう maxbelchenko/Shutterstock.com 石灰は酸性に傾いた土壌を中和し、同時に作物に必要な栄養素であるカルシウムを補うことができます。作物によって適した土壌の酸性度(pH)があるので、まずは土壌診断を行い、必要に応じて石灰の種類を選ぶことが大切です。またアルカリに傾きすぎないように適量を守り、植え付ける作物に合わせて使い分けるなどポイントを押さえることで、効果的な活用ができます。また、石灰は単体で土に施すのではなく、腐葉土や牛ふん堆肥などの有機質を時期をずらして施すのもおすすめです。有機質は石灰の効き目を緩やかにし、多少多めに施しても植物に害が表れにくくする効果があります。適切な使用で丈夫な植物の生育を促しましょう。
-
樹木

シマトネリコはおしゃれな樹形でシンボルツリーにも人気! 特徴や育て方を詳しく解説
シマトネリコの基本情報 pote-poteco/Shutterstock.com 植物名:シマトネリコ学名:Fraxinus griffithii英名:Himalayan ash、evergreen ash和名:シマトネリコ(島梣、島十練子)その他の名前:タイワンシオジ科名:モクセイ科属名:トネリコ属(セロシア属)原産地:日本(沖縄県)、台湾、中国、インド、フィリピンなど分類:常緑性高木 シマトネリコの学名はFraxinus griffithii(フラクシヌス・グリフィシー)。モクセイ科トネリコ属の高木です。原産地は、台湾、中国、インド、フィリピン、日本では沖縄など。暑さに強い一方で寒さには弱く、耐寒温度はマイナス5℃くらいなので、地植えは関東以南の太平洋側などの暖地に限られます。自然樹高は10mほどで旺盛に生育しますが、毎年の剪定によって程よい樹高にコントロールすることができます。冬でもみずみずしい葉姿を楽しめる常緑樹です。 シマトネリコの花・葉・実の特徴 tamu1500/Shutterstock.com 園芸分類:庭木開花時期:5月下旬〜7月上旬樹高:10~20m耐寒性:やや弱い耐暑性:強い花色:白 シマトネリコの開花期は5月下旬〜7月上旬で、花色は白。花茎を伸ばして小さな花をびっしりとつけます。開花後には種子の入った莢のような実をつけ、自然に拡散します。葉は小さな楕円形で艶があり、風に揺れる軽やかな質感が魅力です。 シマトネリコの果実(翼果)。tamu1500/Shutterstock.com シマトネリコの名前の由来や花言葉 nitinut380/Shutterstock.com 名前の「トネリコ」は、「戸に塗る木」が由来。昔は戸をスムーズに開閉できるように、この木の樹皮につくイボタロウムシが出す蝋のようなものを敷居の表面などに塗っていたことによります。「シマ」は「沖縄の」という意味で、沖縄地方に自生していることを指します。 シマトネリコの花言葉は「偉大」「荘厳」「高潔」「思慮分別」「服従」など。トネリコ属の仲間のセイヨウトネリコが、西洋では聖なる木とされていることから、同じ属に分類されるシマトネリコにも同様のイメージを重ねたようです。 トネリコ属の仲間 シマトネリコが属するモクセイ科トネリコ属には、60種ほどの種類があるとされています。その中から代表的な仲間をいくつかご紹介します。 セイヨウトネリコ Ian Francis/Shutterstock.com ヨーロッパや西アジアを原産とし、樹高20~35mにも達する落葉高木です。木材や薪、杖の材料など資源として広く活用されてきたほか、生け垣にも利用されています。 アオダモ(コバノトネリコ) 日本、朝鮮半島などを原産とする落葉高木で、自然樹形が美しいことから庭木として人気が高い種です。また、野球の木製バットやテニスラケットに使われることでも知られています。 トネリコ KENPEI [CC BY-SA 3.0, via Wikimedia Commons] トネリコは日本を原産とする落葉高木で、温暖な山地の湿地に自生します。庭木として人気のシマトネリコと混同されることがありますが、庭木や街路樹として利用されることはほとんどありません。 シマトネリコの栽培12カ月カレンダー 開花時期:5月下旬〜7月上旬植え付け・植え替え:4月頃肥料:2〜3月種まき:4月頃剪定:4〜10月 シマトネリコの栽培環境 nitinut380/Shutterstock.com 日当たり・置き場所 【日当たり/屋外】日当たり・風通しのよい場所で管理します。半日陰でも育ちますが、日照不足になると葉色が冴えなくなったり、間のびして株姿が乱れたりするので注意してください。 【日当たり/屋内】屋外での栽培が基本です。ただし、マイナス5℃以下になる寒い地域では、鉢栽培にして、冬は日当たりのよい室内の窓辺や温室などで管理しましょう。 【置き場所】水はけ・水もちのバランスがよい、ふかふかとして腐植質に富んだ土壌を好みます。 耐寒性・耐暑性 夏の暑さには強く、強い日差しを浴びても葉焼けすることがないので、戸外で管理して差し支えありません。一方で冬の寒さは苦手で、耐寒温度はマイナス5℃くらいまで。関東以南の太平洋側などの暖地では地植えにしても冬越しできますが、寒い地域では季節によって移動できる鉢栽培にし、冬は室内の窓辺や温室などに置いて越年させましょう。 シマトネリコの育て方のポイント 用土 funnyangel/Shutterstock.com 【地植え】 植え付けの2〜3週間前、直径・深さともに50cm程度の穴を掘ります。掘り上げた土に腐葉土や堆肥、緩効性肥料などをよく混ぜ込んで、再び植え穴に戻しておきましょう。土づくりをした後にしばらく時間をおくことで、分解が進んで土が熟成し、植え付け後の根張りがよくなります。 【鉢植え】 庭木用にブレンドされた、市販の培養土を利用すると手軽です。 水やり Afanasiev Andrii/Shutterstock.com 株が蒸れるのを防ぐために枝葉全体にかけるのではなく、株元の地面を狙って与えてください。 真夏は、気温が高い昼間に行うとすぐに水の温度が上がり、木が弱ってしまうので、朝か夕方の涼しい時間帯に与えることが大切です。 また、真冬は、気温が低くなる夕方に行うと凍結の原因になってしまうので、十分に気温が上がった日中に与えるようにしましょう。 【地植え】 植え付け後にしっかり根づいて枝葉をぐんぐん伸ばすようになるまでは、乾いたら水やりをしましょう。根づいた後は下から水が上がってくるので、ほとんど不要です。ただし、晴天が続いて過度に乾燥する場合は水やりをして補いましょう。 【鉢植え】 日頃から水やりを忘れずに管理します。土の表面が乾いたら、鉢底から水が流れ出すまで、たっぷりと与えましょう。枝葉がだらんと下がっていたら、水を欲しがっているサインです。植物が発するメッセージを逃さずに、きちんとキャッチしてあげることが、枯らさないポイント。特に真夏は高温によって乾燥しやすくなるため、朝夕2回の水やりを欠かさないように注意します。冬は生育が緩慢になり、表土も乾きにくくなるので控えめに与えるとよいでしょう。 肥料 New Africa/Shutterstock.com 植え付け時には、元肥として緩効性肥料を施しておきましょう。 越年後は、地植えでは毎年2月頃に有機質肥料を、鉢植えでは毎年3月頃に緩効性肥料を株の周囲にまき、土によくなじませましょう。生育期を迎える前に肥料を与えると、新芽を出すエネルギーとなり、旺盛に枝葉を広げることにつながります。 注意する病害虫 Decha Thapanya/Shutterstock.com 【病気】 ほとんど病気の心配はありませんが、すす病が発生することがあります。 すす病は、一年を通して葉や枝などに発生する病気です。葉に発生すると表面につやがなくなり、進行すると黒いススが全体を覆うため、見た目がよくないだけでなく、光合成がうまくできなくなり、樹勢が衰えてしまいます。カイガラムシ、アブラムシ、コナジラミの排泄物が原因なので、これらの害虫を寄せ付けないようにしましょう。込んでいる枝葉があれば、剪定して日当たり・風通しをよくして管理します。 【害虫】 ほとんど害虫の心配はありませんが、カイガラムシが発生することがあります。 カイガラムシは、ほとんどの庭木に発生しやすい害虫で、体長は2〜10mm。枝や幹などについて吸汁し、だんだんと木を弱らせていきます。また、カイガラムシの排泄物にすす病が発生して二次被害が起きることもあるので注意。硬い殻に覆われて薬剤の効果があまり期待できないので、ハブラシなどでこすり落として駆除するとよいでしょう。 シマトネリコの詳しい育て方 苗の選び方 葉が黄色く変色していたり、落葉が目立つものは避けます。しっかりと艶のある葉がついているもの、新芽が出ているものを選ぶとよいでしょう。 植え付け・植え替え Jurga Jot/Shutterstock.com シマトネリコの植え付け・植え替えの適期は、4月頃です。 【地植え】 土づくりをしておいた場所に、苗の根鉢よりも1回り大きな穴を掘って植え付けます。しっかりと根づくまでは、支柱を立てて誘引し、倒伏を防ぐとよいでしょう。最後にたっぷりと水を与えます。根付いたら、支柱を取り外してもかまいません。 地植えの場合、環境に合って健全に育っていれば、植え替えの必要はありません。 【鉢植え】 鉢で栽培する場合は、10号以上の鉢を準備します。底穴に鉢底ネットを敷き、軽石を1〜2段分入れてから樹木用の培養土を半分くらいまで入れます。苗木を鉢に仮置きして高さを決めたら、土が鉢内の隅々まで行き渡るように、割りばしなどでつつきながら培養土を足していきます。水やりの際にすぐあふれ出さないように、土の量は鉢縁から2〜3cm下を目安にし、ウォータースペースを取るとよいでしょう。しっかりと根づくまでは、支柱を立てて誘引しておくと安心です。最後に、鉢底から流れ出すまで、十分に水やりをします。一年を通して日当たり・風通しのよい場所に置いて管理しましょう。根付いたら、支柱を取り外してもかまいません。 鉢植えで楽しんでいる場合、成長とともに根詰まりして株の勢いが衰えてくるので、1〜2年に1度は植え替えることが大切です。植え替え前に水やりを控えて土が乾いた状態で行うと、作業がしやすくなります。鉢から株を取り出し、軽く根鉢をくずして新しい培養土を使って植え直しましょう。移植には弱いので、あまり根鉢を傷めないように注意してください。 日常のお手入れ sarurun/Shutterstock.com 【花がら摘み】 終わった花をそのままにしておくと、種子の入った莢のような実をつけます。この種子は風に乗って周囲に広がるため、近隣に迷惑をかけないよう、花がらはまめに摘んで種子をつけさせないようにしましょう。 剪定 Andrii Zastrozhnov/Shutterstock.com シマトネリコの剪定適期は生育期の4〜10月です。 生育旺盛で、1年で枝葉を大きく伸ばすので、定期的に剪定をしましょう。樹高をコントロールし、美しい樹形を保つメンテナンスは必須です。 【単幹の樹形】 単幹とは、1本の幹のみを大きく育てる樹形のことです。地際から立ち上がっている「ひこばえ」は元から切り取ります。木の内側に向かって伸びている「逆さ枝」、垂直に立ち上がっている「立ち枝」、勢いよく伸びすぎている「徒長枝」も元から切り取ります。1カ所から3本以上の枝が出ていたら、間引いて枝を透かすとよいでしょう。 あまり大きくしたくない場合は、大体のアウトラインを決めて、そこからはみ出している枝を、分岐点までさかのぼって切り取ります。 【株立ちの樹形】 株立ちとは、地際から数本の幹が育つように仕立てられた樹形です。単幹と比べて、華奢な雰囲気に人気がありますが、放任するとそれぞれの幹が太く大きくなって、手に負えなくなりがちです。株立ちの樹形を維持するための強剪定の適期は4月頃です。株元から出てくるひこばえを1〜2本残して上に伸ばすようにし、数年経って太くなった幹は地際から切り取ります。切り口には癒合剤を塗っておいてください。こうして数年ごとに幹を切り替えるようにメンテナンスすると、細い幹のまま楽しむことができます。常に3〜4本の細い幹をキープするとよいでしょう。 株立ちの樹形を維持する目的以外の剪定では、単幹の樹形と同様に剪定を行います。地際から立ち上がっている「ひこばえ」は元から切り取ります。木の内側に向かって伸びている「逆さ枝」、垂直に立ち上がっている「立ち枝」、勢いよく伸びすぎている「徒長枝」も元から切り取ります。1カ所から3本以上の枝が出ていたら、間引いて枝を透かすとよいでしょう。 あまり大きくしたくない場合は、大体のアウトラインを決めて、そこからはみ出している枝を、分岐点までさかのぼって切り取ります。 冬越し シマトネリコは寒さがやや苦手なので、暖地で地植えにしている場合は、株元にバークチップなどを施してマルチングをしておくとよいでしょう。寒い地域では、鉢植えを室内の窓辺や温室などに移動して冬越しさせます。 増やし方 Kunlanan Yarist/Shutterstock.com シマトネリコは、種まき、挿し木で増やすことができます。 【種まき】 種子は10月頃に採取できます。採取した種子は密閉袋に入れ、春まで冷暗所で保存しておきます。 シマトネリコの種まきの適期は4月頃です。黒ポットに新しい培養土を入れて十分に水で湿らせ、種子を数粒播きます。軽く土をかぶせて明るい日陰で管理し、発芽した後は日当たりのよい場所に置きましょう。本葉が2〜3枚ついたら勢いのある苗を1本のみ残し、ほかは間引いて育苗します。ポットに根が回るまでに成長したら、少し大きな鉢に植え替え、苗木として十分な大きさに育ったら、植えたい場所に定植しましょう。 【挿し木】 挿し木とは、枝を切り取って土に挿しておくと発根して生育を始める性質を生かして増やす方法です。植物の中には挿し木ができないものもありますが、シマトネリコは挿し木で増やすことができます。 シマトネリコの挿し木の適期は、6〜7月です。その年に伸びた新しくて勢いのある枝を10cmほどの長さで切り取ります。採取した枝(挿し穂)は、水を張った容器に1時間ほどつけて水あげしておきましょう。その後、吸い上げと蒸散のバランスを取るために下葉を数枚切り取ります。3号くらいの鉢を用意してゴロ土を入れ、新しい培養土を入れて水で十分に湿らせておきます。培養土に穴をあけ、穴に挿し穂を挿して土を押さえてください。発根するまでは明るい日陰に置いて管理します。その後は日当たりのよい場所に移し、ポットに根が回るまでに成長したら、少し大きな鉢に植え替えて育苗します。苗木として十分な大きさに育ったら、植えたい場所に定植しましょう。挿し木のメリットは、親株とまったく同じ性質を持ったクローンになることです。 シマトネリコの樹形は株立ちと単幹の2つ tamu1500/Shutterstock.com シマトネリコの仕立て方には、株立ちと単幹があります。これらの特徴についてご紹介します。 株立ち 株立ちは、地際から数本の幹を出すように仕立てる樹形です。幹が数本になるため生育が緩やかで、華奢な姿を楽しめます。購入時の株立ちの姿のままで放任すると、すべての幹が太くなっていかつくなるので、華奢な姿を楽しみたいなら、定期的な更新が必要です。太くなってきた幹は地際で切り取り、株元からたくさん出るひこばえのうち1〜2本を残して次世代の幹として育成します。この更新を繰り返せば、細い幹を維持することができます。 単幹 単幹とは、1本の幹を伸ばした樹形のことです。養分が1本に集中するので、旺盛に枝葉を伸ばして生育します。枝が込み合っている部分があれば、間引く剪定をして風通しをよくします。樹高を抑えたい場合は、幹の途中で切り落とす芯止めをすると共に、アウトラインを決めた先まで伸びる枝があれば、分岐部まで遡って切り落とします。 シマトネリコを植えるにあたっての注意点 tamu1500/Shutterstock.com シマトネリコは、旺盛に枝葉を伸ばすので、樹形を整える剪定は必須の作業です。大きく切り戻したり、地際で幹を切ったりする強剪定は4月に行いますが、込み合っている部分の枝を間引く剪定は、生育期の4〜10月ならいつ行ってもかまいません。ただし、あまり刈り込みすぎると反発して萌芽力が強くなるので、少しずつ切り取るとよいでしょう。 また、シマトネリコの種子は風にのって周囲に広がる傾向にあります。近所の庭に繁茂して迷惑をかけることのないように、終わった花はまめに摘んで、種子をつけさせないようにするとよいでしょう。 シマトネリコの葉が落ちる原因と対処法 nitinut380/Shutterstock.com シマトネリコは常緑樹ですが、春先から生育期に入って新芽が出始めると、古い葉を落とします。しかし、この時期以外に葉を落とすようであれば、何か原因を探る必要があります。ここでは、考えられる原因についてご紹介します。 気温が低い シマトネリコの耐寒温度はマイナス5℃程度です。地植えにしている場合、これよりも低い気温になると葉を落とし、ひどい場合は枯れてしまいます。強い寒波がやって来るときは、あらかじめ株元にマルチングをしたり、木が幼いときは全体を寒冷紗で覆うなどの防寒対策をしておきましょう。鉢植えの場合は、日当たりのよい室内か温室に入れて冬越しさせます。 根詰まり シマトネリコは生育旺盛なため、鉢栽培をしている場合は根詰まりしやすいのが特徴です。根詰まりすると、根から養分が吸収できなくなり、葉を落とし始めます。鉢栽培では毎年鉢から出して、古い根を整理するなどして根鉢をくずし、植え替えることが大切です。 水不足 シマトネリコは乾燥を苦手とするので、鉢栽培の場合は水切れしないように管理しましょう。地植えの場合でも、若木のうちは土が乾いていたら水やりが必要です。 シマトネリコで明るく涼し気な庭にしよう nitinut380/Shutterstock.com シマトネリコは軽やかな葉が美しい庭木で、常緑樹のため冬でもみずみずしい姿を楽しめます。シンボルツリーとして人気の高いシマトネリコを、自宅で育ててみてはいかがでしょうか。夏は涼しい日陰とさらさらと風に揺れる葉音で癒やしの庭風景を作ってくれますよ。
-
樹木

秋や冬に咲く冬桜とはどのような花? 主な品種や名所もご紹介!
冬桜とはどんな花? lydiarei/Shutterstock.com 「桜」はバラ科サクラ属の落葉樹を指します。多くの自生種と野生種があり、これらを交配することで、多彩な園芸品種が生まれています。園芸品種の中には、秋や冬に咲くものも含まれており、これらは一般に「冬桜」と呼ばれます。もっとも、冬桜は秋冬だけではなく春にも咲き、多くは秋冬の開花は控えめですが、春には盛大に花を咲かせます。また、品種として「冬桜」という名前を用いることもあり、これはヤマザクラとマメザクラが自然交配して生まれたものを指します。 冬桜が生まれた過程とは Jozef Sowa/Shutterstock.com 冬桜には園芸品種として生み出されたものが多くあります。秋冬に咲く桜が生まれた過程について解説しましょう。 桜が咲くメカニズム Stone36/Shutterstock.com まずは一般的な桜が春に咲くメカニズムをご紹介します。一般的な桜は春に開花し、花が散った後の夏に新たな花芽を形成します。そして秋になると、成長を抑える植物ホルモンが供給されて桜は休眠状態に入り、冬の間は休眠したまま過ごします。 一定期間冬の寒さに晒されると、成長を促す植物ホルモンが供給され、桜の休眠状態が解除されます(休眠打破)。これにより、春になると桜は花を咲かせます。つまり、桜の花が咲くためには寒さが必要なのです。 冬に咲く桜ができた過程とは Africa Studio/Shutterstock.com 日本に自生している桜の祖先は、ヒマラヤに分布するヒマラヤザクラで、その開花期は秋です。しかし、ヒマラヤザクラが日本に来てからは、気候に対応するために冬は休眠し、春に咲くように変化していったと考えられています。 日本の桜の祖先と考えられるヒマラヤザクラ。Jindowin/Shutterstock.com こうして日本の桜は春に開花するようになったものの、先祖返り的に季節外れの秋冬に開花する変異枝が出現しました。これらの変異枝を接ぎ木などで性質を固定化させることで、秋冬に咲く品種の桜が誕生しました。 春咲きの品種が季節外れに咲く理由 aijiro/Shutterstock.com 春に開花する品種の桜が、まれに季節外れの秋や冬に咲くことがあります。このような咲き方は「不時(ふじ)現象」といい、一般に「狂い咲き」や「返り咲き」と呼ばれます。 狂い咲きは、台風や虫害などで桜の葉が失われると起こりやすくなります。葉がないと休眠ホルモンが出ず、その結果、夏に形成された花芽がそのまま成長し、秋に低温の日が続いた後に暖かい日が来ると、桜は春になったと勘違いして咲きやすくなります。 狂い咲きしてしまうつぼみは基本的に一部に限られ、狂い咲きした桜の木も、翌春には通常の開花を楽しむことができます。 冬桜の品種や花の特徴 Yoshihide KIMURA/Shutterstock.com 冬桜と呼ばれる桜の中にもいくつかの品種があります。ここでは代表的な冬桜について、それぞれの花の特徴を解説します。 フユザクラ(冬桜) フユザクラは、野生種のヤマザクラ(またはサトザクラ)とマメザクラの種間雑種と考えられています。秋冬には中輪の花を、春には大輪の花をつけます。その花は白色で一重咲きです。また、葉が小さいためコバザクラ(小葉桜)とも呼ばれています。 シキザクラ(四季桜) Pastel 4 Tenshi/Shutterstock.com シキザクラは、野生種のマメザクラとエドヒガンの種間雑種と考えられています。この桜は白からピンク色の一重咲きの花を咲かせます。フユザクラとよく似た花ですが、シキザクラは萼筒が膨らんでいる点で見分けられます。 ジュウガツザクラ(十月桜) Yoshihide KIMURA/Shutterstock.com ジュウガツザクラは、エドヒガンとマメザクラの種間雑種とされるコヒガンザクラの園芸品種です。この桜は10月から春にかけて、白色や薄いピンク色の八重咲きの花を断続的に咲かせます。 コブクザクラ(子福桜) STUDIO GIUSTO/Shutterstock.com コブクザクラの起源は、カラミザクラとコヒガンザクラ、カラミザクラとエドヒガン、またはカラミザクラとジュウガツザクラの交配種とする説があり、意見が分かれています。この桜は、白色から淡いピンク色の八重咲きの花を咲かせます。子福桜という名前は、1つの花から2つ以上のサクランボができることに由来します。 カンヒザクラ(寒緋桜) NANCY AYUMI KUNIHIRO/Shutterstock.com 単純に寒い季節に咲く桜を総称して冬桜と呼ぶ場合、カンヒザクラも含まれることがありますが、カンヒザクラは早春に1回咲く早咲きの桜であり、秋冬と春の2回咲く冬桜とは異なります。カンヒザクラは沖縄県、台湾、中国南部、東南アジア北部に分布する野生種で、花色が濃いピンクであることが特徴。沖縄で「桜」といえばカンヒザクラを指し、今帰仁城跡(なきじんじょうあと)などが名所として知られています。別名はヒカンザクラ(緋寒桜)。 世界遺産にも登録されている今帰仁城跡の入り口に咲くカンヒザクラ。Mei Yi/Shutterstock.com 冬桜が楽しめる名所 Rittis/Shutterstock.com 冬桜は長い期間美しい花を楽しめるため、さまざまな公園や庭園にも植えられています。 ここからは、冬桜を楽しめる名所をいくつかご紹介します。 城峯公園 Takashi_PL/Shutterstock.com 埼玉県児玉郡神川町にある城峯公園は、神山の中腹である標高500mの高台にあり、自然の美しさを満喫できる場所として知られています。特に十月桜の名所として有名で、同時に紅葉も楽しむことができます。シーズン中は夜のライトアップが行われ、幻想的な風景を作り出します。例年10月下旬には「冬桜まつり」も開催されています。 小原の四季桜 Pond Thananat/Shutterstock.com 愛知県豊田市の小原地区は四季桜で有名で、地区内のいたるところに1万本を超える四季桜が植栽されています。周辺ではさまざまな場所で四季桜が見られ、小原ふれあい公園ではおよそ300本、川見四季桜の里ではおよそ1,200本の四季桜と紅葉のコントラストを楽しむことができます。例年、11月中旬からは「小原四季桜祭り」も開催されます。 桜山公園 KPG-Payless2/Shutterstock.com 群馬県藤岡市にある桜山公園では、約7,000本の冬桜が見られます。主な品種は小葉桜や十月桜などです。特に11月中旬には、冬桜と紅葉の両方を楽しむことができ、美しい風景が広がります。また毎年12月1日には「桜山まつり」が開催されます。 瑞泉寺 master-J/Shutterstock.com 神奈川県鎌倉市にある瑞泉寺は、臨済宗のお寺で、境内にはさまざまな花が楽しめる国指定名勝の庭園があります。本堂前に咲く冬桜は、水戸黄門こと徳川光圀のお手植えだとされています。 冬桜の名所を訪れ観賞しよう yoko_ken_chan/Shutterstock.com 冬桜は秋冬から春まで長い期間楽しめる桜で、さまざまな品種があります。桜といえば春に満開に咲くイメージが一般ですが、秋冬に咲く冬桜も凛とした雰囲気があり、美しいものです。冬桜が有名な公園やお寺などもたくさんありますので、ぜひ名所を訪れてみてはいかがでしょうか。




















