スリー・アンド・ガーデン/ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。「ガーデンストーリー」書籍第1弾12刷り重版好評『植物と暮らす12カ月の楽しみ方』、書籍第2弾4刷り重版『おしゃれな庭の舞台裏 365日 花あふれる庭のガーデニング』(2冊ともに発行/KADOKAWA)発売中!
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スリー・アンド・ガーデン/ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。「ガーデンストーリー」書籍第1弾12刷り重版好評『植物と暮らす12カ月の楽しみ方』、書籍第2弾4刷り重版『おしゃれな庭の舞台裏 365日 花あふれる庭のガーデニング』(2冊ともに発行/KADOKAWA)発売中!
3and gardenの記事
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育て方

バラにつく害虫Q& A・症状別! 被害と対策「葉っぱ編」
「葉っぱがボロボロ」の原因はバラにつく虫 Q1 葉っぱが何かにかじられたように、ボロボロになっています。5月初頭からこのような葉っぱが現れ始めました。原因はなんでしょうか。 A1 ハバチの仲間でチュウレンジバチの幼虫がかじった痕です。4月頃に成虫が飛んできて、茎に卵を産みつけます。5月には一斉に卵から幼虫がかえります。まだ小さいうちは集団で葉裏の縁に群がって葉をかじります。葉っぱの裏側からぶら下がっているので、表からは葉の縁に黒い頭が連なっているように見えます。成長してくると、それぞれ単独で散らばって行動するようになり、食欲も旺盛になるので、被害も拡大します。放置しておくとすべての葉が葉軸だけになり、夏以降のバラの生育が弱まります。チュウレンジバチの幼虫が原因で枯れることは滅多にありませんが、夏や秋にも花を期待するなら、早いうちに対処したほうがよいでしょう。 <対策>集団でいるうちに見つけて葉っぱごと切り取るのが効率的で、被害も少なくて済みます。5月になったら、よく葉っぱを観察しましょう。刺したり、かぶれたりするような幼虫ではありません。 チュウレンジバチの成虫は、身体の色がオレンジ色。春先に飛んできて、茎に卵を産み付けます。「ハチ」という名前がついていますが、刺さないので見つけたら卵を産みつけるのを防ぐために手で捕獲します。あまり素早くないので、容易に手で捕らえることができます。 「葉に白いポツポツ」の原因はバラにつく虫 Q2 葉っぱに白いポツポツがあります。病気でしょうか? A2 これもハバチの仲間でオオシロオビクロハバチの幼虫が、葉裏の葉肉をかじった痕です。表から見ると、それが白い斑点状に見えます。チュウレンジバチと同様に、5月初頭から現れ始めます。幼虫は薄緑色でチュウレンジバチの幼虫のように頭が黒くなく、葉っぱの縁にぶら下がっているわけでもないので、写真より小さいうちは、よく見ないと見落としてしまうかもしれません。成長に従い被害も拡大します。 <対策>5月になったらよく葉っぱを観察し、葉に白いポツポツを発見したら葉っぱごと切り取って捨てましょう。被害葉を残しておかないほうが、効率的に退治できます。触れても刺したり、かぶれたりするような幼虫ではありません。 「葉っぱの先がしおれてチリチリ」これもバラにつく虫が原因? Q3 葉っぱの先がしおれてチリチリです。水切れ? 病気? A3 葉っぱの先だけしおれて乾いている場合は、水切れでも病気でもなく、バラゾウムシが原因です。新しく展開したばかりの新葉やつぼみの根元に穴をあけてエキスを吸うため、突然つぼみが枯れる原因はバラゾウムシがほとんどです。生態と対策については、『バラの新芽を枯らす「バラゾウムシ」の捕獲方法』や『【春の庭仕事】3月はバラの害虫バラゾウムシに要注意』で詳しくご紹介していますので参考にしてください。 「葉っぱに茶色いシミ」まさか、これもバラにつく虫が原因? Q4 葉っぱに茶色いシミができ、日に日に広がっていきます。 A4 一見、何かの病気のように見えますが、ハモグリバエという幼虫の仕業です。5月頃から現れ始めます。葉っぱの表皮と葉肉の間に入って、他の外敵に襲われることなく悠々と中で食事をしながら成長します。表皮が剥がれて浮いた部分が茶色のシミのようになります。そこを破ってみると、中にハモグリバエの幼虫と黒いフンが入っています。 <対策>バラが枯れるような被害には至りませんが、見た目が気になる場合は、見つけたら被害が拡大する前に、葉を指で挟んで中の幼虫を潰します。 バラにつく虫が悪さをして「つぼみが半分に!」 Q5 つぼみがパックリ半分になってしまいました。何かが食べたのでしょうか。 A5 これはエダシャクの仲間で、オカモトトゲエダシャクというガの幼虫です。エダシャクの仲間はたくさんの種類がありますが、皆とても「化け上手」。このオカモトトゲエダシャクは鳥のフンに擬態していますが、バラの枝そっくりに擬態するものもいますし、誘引ヒモに化けるものもいます。5月頃から現れ始め、つぼみを大胆にパクッと半分、または丸ごと食べます。丸ごとキレイに食べられてしまうと被害に気づきにくいのですが、よく観察すると、まるでハサミで剪定したかのような痕があります。 <対策>見つけ次第、手で取りましょう。触るのが嫌な場合は軍手をするなり割り箸を用いるなりして対処を。触れても刺したり、かぶれたりするような幼虫ではありません。 バラに虫がついても、怖がらなくて大丈夫! 薬剤を使わない庭では、良い虫も悪い虫もいろいろやってきますが、バラにつく虫で人に被害を及ぼすようなものはほとんどいません。ですから、むやみに怖がったり嫌がったりするよりも、いつ頃、どんな虫がやってきて、何をするのかをきちんと把握しましょう。早めに対処すれば、それほど悩まされることはありません。慣れてしまえば昆虫を含めてバラ栽培がより面白くなり、趣味の世界が広く深くなりますよ。
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宿根草・多年草

ベル型の花が初夏のガーデンを彩る カンパニュラ
可憐な釣鐘状の花を咲かせるカンパニュラ 初夏になると、白やピンク、青、紫などパステルカラーの優しい花を咲かせるカンパニュラ。花茎を伸ばして、キキョウに似た星のようなベル状の花をふんわりと咲かせ、ガーデンを優しく彩ります。カンパニュラという名は、ラテン語で「釣り鐘」を意味する言葉から。フウリンソウやツリガネソウ、ベルフラワーなどとも呼ばれます。どれも、ベル型の花の形状にちなんだ名前ですね。 カンパニュラの仲間は種類が多く、300以上の品種があるといわれています。例えば、日本を原産とする山野草、ホタルブクロもカンパニュラの一種。ヨーロッパで古くから栽培されていた、カンパニュラ・メディウムは、ガーデンに欠かせない花としてよく登場します。ボーダー花壇の彩りや鉢植えのほか、和風の庭とも相性がよく、カッティングガーデンにもオススメ。新しい品種なども次々に登場していて、ぜひガーデンに取り入れたいガーデンプランツです。 カンパニュラの品種例と育て方 バラエティーに富んだカンパニュラの中から一部をご紹介します。 カンパニュラ・ラクティフローラ 草丈1.5m前後になる大型のカンパニュラ。まっすぐ伸ばした花茎の先に、ベル型の小花をまとまって咲かせ、開花期にはボリュームたっぷりの花景色が楽しめます。薄紫色の花色のほか、淡いピンク色の ‘ロドン・アンナ’や白花種など。 カンパニュラ・パーシフォリア ふんわりとした大きなカップ咲きの花を咲かせるカンパニュラ・パーシフォリア。草丈1m前後になる大型のカンパニュラです。明るい青色の‘グランディフローラ’や白花の‘アルバ’のほか、‘ラ・ベロ’や‘ブルー・デライト’などの八重咲き品種も。青花と白花を混植させても爽やかです。 カンパニュラ・グロメラータ ベル状の小さな花を、上向きにまとまって咲かせます。ヤツシロソウやリンドウ咲きカンパニュラなどの別名も。美しい青紫色の花を咲かせる品種が多く、草丈は30~60㎝前後で、コンパクトで扱いやすい種類です。 カンパニュラ・ロツンディフォリア まるで糸のような細い花茎を何本も立ち上げ、澄んだブルーの小花を吊り下げる繊細な花姿が特徴。和洋どちらの庭にも使いやすい種類です。和名はイトシャジンですが、山野草のイワシャジンとは別種です。 カンパニュラ・メディウム フウリンソウという和名の通り、ふっくりとしたベル型の花が可愛らしく、切り花などでも馴染みが深いカンパニュラ・メディウム。多年草のカンパニュラが多い中、カンパニュラ・メディウムは主に一~二年草として扱われます。 カンパニュラ・ラプンクロイデス 細身の花茎にびっしりと青紫色の小花を咲かせ、群生させると風に揺れる姿が見事。日本ではハタザオキキョウという名で古くから親しまれています。丈夫で育てやすく、こぼれダネでもよく増えます。 カンパニュラ・ポルテンシュラギアナ 草丈10~20㎝ほどとコンパクトに育つカンパニュラ。ベルフラワーやオトメギキョウという名前のほうが有名かもしれません。青紫や白の小さな花をこぼれんばかりに咲かせ、鉢植えや足元のカバーに向く品種です。 ホタルブクロ 鮮やかな青紫色が印象的な青花ホタルブクロや、タケシマナの変種など、ホタルブクロやその改良品種を総称したもの。うつむき加減に咲く花が、和風の庭にもよく似合います。園芸品種は、暑さに強かったり、地下茎による広がりを抑えて混植しやすくしたりといった改良点が特徴。 カンパニュラの多くは暑さがやや苦手。温暖な地域で育てる際は、蒸れや暑さに強い品種を選びましょう。栽培の際には、苗を植え付けるかタネを播いて育てます。植えつけの適期は3~4月頃、または10月頃。風通し、水はけがよく、日向~半日陰に植えつけます。落葉樹の下などに植えて夏の強い日差しが直接当たらない場所を選ぶとよいでしょう。キキョウ科の植物は直根性で、根が傷つくと枯れてしまうことがあるため、植えつけの際には根を傷つけないように注意しましょう。 水やりは土が乾いたらたっぷりと。蒸れや高温多湿が苦手なので、株間を取り、風通しよく育てます。初夏に花が開花したら、花がらはこまめに摘み取りましょう。うまく夏越しさせることができれば、翌年も開花が楽しめます。 Credit 写真&文/3and garden ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。 Photo/ 1-3)3and garden/ 4)Peter Turner Photography/ 5)Del Boy/ 6)Peter Turner Photography/ 7)Ole Schoener/ 8)guentermanaus/ 9)Amy Johansson/ 10)ajisai13/ 11)Lost Mountain Studio/ 12)Nadalina/ 13) High Mountain /Shutterstock.com
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樹木

待ちに待った開花のトップシーズン到来! 花の女王、バラ
バラの開花前線は5〜7月に日本を北上します バラは、花形や花色、株姿などに幅広いバリエーションがある樹木のグループです。花が咲くのは、主に春から初夏で、例年では5月の連休頃から九州地方で開花がスタートし、関東地方では5月中旬、東北地方では6月、北海道では7月上旬と、同じバラ科のサクラの開花前線と同様にバラの開花前線も北上します。 2018年の今年は例年になく開花が早まり、バラの中でもいち早く咲き始めるキモッコウバラが、早い地域では4月中旬に咲き出し、バラ愛好家を驚かせています。 春から初夏に開花のピークが訪れるバラにも、早咲きから遅咲きがあり、早咲きにはつるバラのキモッコウバラや白花のモッコウバラ、半八重の‘ジャクリーヌ・デュ・プレ’、‘スパニッシュ・ビューティ’が代表的です。これらのバラの咲き姿を覚えておくと、街中や自宅の庭で咲いた花を見つけたら「バラの開花シーズンがこれからいよいよ始まる」と知ることができます。 早咲きのバラが1~2週間ほどで満開を迎えると、多くの品種が次々と咲き始め、 ‘ロサ・ムリガニー’や‘エクセルサ’、‘スーパー・フェアリー’などの遅咲きのバラにバトンタッチしていきます。バラだけで図鑑がつくれるほど種類が多いので、早咲き、中間咲き、遅咲きを意識して組み合わせることで、自宅の庭でもバラの開花シーズンを長く楽しむことができます。 バラの種類には、一年で春に一度開花する「一季咲き」と、春の開花以降も数回返り咲く「返り咲き」や、春から秋まで繰り返して咲く「四季咲き」があります。また、樹形には大きく分けて、自立する「木立性(ブッシュローズ)」、つるが長く伸びる「つる性(クライミングローズ)」、木立性とつる性の中間に位置する「半つる性(シュラブローズ)」の3タイプがあり、コンパクトな木立性や半つる性は鉢植えで育てることもできます。スペースがあれば、庭植えでアーチやオベリスク、フェンスなどに絡めるなど、立体的に花を咲かせることもでき、いろいろな仕立て方で景色をつくれるのもバラの魅力の一つです。 バラの買い時は春と秋 バラの苗は、一年中購入することができますが、花が咲いている様子を見て選べるのは5月です。前年には出回っていなかった新品種などがお披露目されるのもこの時期。苗は、ガーデンセンターやバラの専門店に限らず、多くのバラを植えているローズガーデンや観光ガーデン、日本全国で行われるバラのイベント会場などでも多種並ぶので、お気に入りの品種と出会える絶好のタイミングです。 花形のバリエーションを解説した記事はこちら 『進化がとまらない!多彩なバラの花形から個性的な8種をご紹介』 『バラの花形を知りたい!「一重」と「八重」咲きのバラをご紹介』 失敗しないバラ選びの方法 バラとの出会いからまだ日が浅く、どれを選べばいいのか目移りして迷ったら、秋までじっくり考えて栽培の準備をするのも一つの方法です。四季咲き性のバラなら、春の開花以降、夏を越え、再び涼しくなった秋にまた開花します。つる性のバラは、植え付けてから何年かかけて屋根に届くほどつるを伸ばす品種もあります。 半つる性やつる性バラのように、大きく育つ品種は、一度植え付けたらできるだけ植え替えをせず、構造物に誘引をしながら何年もかけて育てていく必要があるので、花が気に入ったからと思いつきで植えてしまうと、その後の管理に苦労することがあります。気が長い話と思うかもしれませんが、春以降はどんな風に育つか、どこに植えてどんな姿で育てていくか、次の苗の買い時シーズンである秋〜冬までにじっくり検討することも、バラ栽培を失敗しないコツです。 まず苗を買う前に図鑑やバラのカタログをじっくり読み、実際に育てている友人の庭や観光ガーデンに通って、情報を得てからバラ栽培をスタートさせた人もいます。自分好みのバラについて研究しているうちに、ますますバラを好きになり、長く付き合っていきたいと確信したというエピソードもあります。 進化する丈夫で育てやすいバラ 「バラを育てるのはなんだか難しそう」「病気や害虫に悩まされないだろうか」など、心配する人も多いですが、近年のバラはめざましく進化していて、魅力的な形や色、香りのよさに加え、病害虫に強く、誰もが育てやすい丈夫な品種が続々と生み出されています。近年のヨーロッパでは公園での農薬散布が規制されるなどの理由から、病気に強いバラが増え、日本でもそれらを入手することができます。強い性質を持ったバラの品種については、ガーデニングや園芸の雑誌、バラ専門店のカタログなどでも新情報を得ることができます。 病気に強く、誰もが育てやすい丈夫なバラは年々増えています。世界中に多くのファンがいるバラを、ぜひ身近に育てて、花のある暮らしを充実させませんか。 Credit 写真&文/3and garden ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。
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育て方

【春の庭仕事】3月はバラの害虫バラゾウムシに要注意
3月のバラの手入れで必須のバラゾウムシ退治 バラの新芽が展開し、日毎若草色におおわれていくバラを見るのは心躍るもの。もう1ヶ月もすれば、美しくかぐわしいバラたちに会えますね。しかし、この時期は害虫対策のスタート時期でもあります。特に、バラゾウムシには要注意。野放しにしていると、バラの花との再会がかなわなくなってしまうことがあります。 バラの害虫バラゾウムシとは バラゾウムシはとても小さな甲虫の仲間です。体長は約2〜3㎜で、ケシ粒のように小さいので、別名クロケシツブチョッキリとも呼ばれています。ゾウムシとは、象の鼻のように伸びたストロー状の口の形状からそのような名前がつけられており、バラゾウムシの他にたくさんの種類がいます。バラゾウムシはその象のような口でバラの葉やつぼみに穴をあけてエキスを吸います。穴のあいた葉はそこから先に水分が行き渡らなくなり、枯れてしまいます。バラゾウムシ被害で最も残念なのは、開花目前のバラのつぼみを枯らされることです。日一日と膨らんでいくバラのつぼみが、ある日突然クタッと萎れてしまった時のガッカリ感。それをいくつも見つけたときのショック。花咲くその日のために一年間、ずっと世話をしてきた人にとって、その精神的ダメージはとても大きなものです。3月以降庭に現れて、秋まで活動します。この時期、数が増えないうちに対処するのが大事です。 バラゾウムシの被害にあったバラの葉。古い葉ではなく、新葉が狙われます。 被害にあってチリチリに萎れています。 バラゾウムシはポロっと落ちて逃げるので、手のひらなどを受け皿にしてその上にそっと落とすようにして捕まえます。 バラゾウムシは死んだふりをする! バラゾウムシはしばしば死んだふりをします。死んだと思ってその辺に捨てると、またバラの葉に戻っていきます。ダマされないで! 手のひらに落として5分ほど観察していると…。死んだふりからヒョッコリ起き上がりました。そして慌てた様子で羽を広げて飛んでいきました。バラゾウムシは滅多に飛びませんが、緊急事態には飛んで逃げるという技も使います。ですから、捕まえたら速やかに捕殺します。また、枯れたツボミはそのままにしないで取り除いて確実に捨てましょう。ツボミの中に卵が産み付けられている場合があります。産卵されたツボミを庭に捨ててしまうと、卵がかえって幼虫が土の中で越冬し、翌年の被害につながってしまいます。 ゾウムシバンバンの効率的な退治方法 鳥取県米子市でバラの庭づくりを楽しむ面谷ひとみさんは、オーガニックで庭づくりを行っています。バラゾウムシ退治のスプレー殺虫剤や予防薬も市販されていますが、面谷さんの庭はクリニックに併設されておりさまざまな体調の人が訪れるため、そうした薬剤を散布していません。薬剤を使わない場合、バラの庭には必ずバラゾウムシが現れます。面谷さんは毎日、庭を見回って被害をチェックし、バラゾウムシを見つけたら、一匹一匹、手で取り除いてきました。 「だけど、つるバラで高いところに誘引してある場合は、手が届かないのでバラゾウムシ退治も難しいんです。葉先にしばしば被害を見つけても、これまでは仕方ないなぁと諦めるしかなかったんですよ」 そこで考案したのが、ビニール傘を逆さにして、枝をトントンと叩いてバラゾウムシを捕まえる方法。 「ビニール傘の一箇所に切れ込みを入れておき、そこに枝を挟み込んで大きな受け皿にします。それから、枝の上の方を長い棒でトントンと叩くと数匹一緒に落ちてきて、高い所に潜むバラゾウムシも効率よく捕まえられるんです」 試行錯誤の末、透明傘で一網打尽にする「ゾウムシバンバン」 名付けて「ゾウムシバンバン」。面谷さんがいろいろ試した結果、傘は白や半透明ではなく、透明に限るとのこと。「透明の傘なら、つるバラの下に植わっている宿根草類が見えるので、折らないように気をつけることができます」。 傘の一箇所に切れ込みを入れ、逆さにしてバラの枝に押し当てます。 傘に落ちたバラゾウムシ。 多い時は一度に5〜6匹取れる。 さらに高い所は、傘の先端部分を持って受け皿にする。 面谷さんは、この「ゾウムシバンバン」を発明以降、バラゾウムシ退治はもっぱらこの方法で行っているといいます。「たくさんバラを育てているので、手で一匹一匹捕まえるより、いっぺんに何匹も捕まえられて効率がいいんです」。 バラゾウムシの被害で悔しい思いをしている方は、ぜひ面谷さん考案の「ゾウムシバンバン」を試してみてください。
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宿根草・多年草

ラナンキュラス・ラックスの人気の秘密&育て方〜品種誕生の舞台裏〜
花びらが幾重にも重なり、愛らしい春の花「ラナンキュラス」 春、まん丸い小さなつぼみが緩み始めると、内側からとめどなく溢れ出るように薄い花びらを幾重にも重ねるラナンキュラス。白やピンク、黄色、赤に加え、黒やグラデーション、覆輪、斑入り、ギザギザのフリルなど、新しい花色や花形が次々に生み出され、花屋さんの店先は年々、華やかになっていきます。しかし、これらは「切り花用」の品種。花屋さんで個性的なラナンキュラスを見るたびに、「これがガーデンにも植えられたらなぁ」と口惜しい気持ちになるガーデナーは少なくありません。 庭での栽培が難しい一般的なラナンキュラスの性質 というのも、一般的なラナンキュラスは地中海からイラン・イスラエル周辺の原種の遺伝子を持つアシアティクスという種類で、日本の夏の高温多湿や冬の寒風が苦手。ですから本来、ラナンキュラスはキンポウゲ科の球根植物で多年草ですが、日本では地植えで年を越すことは難しく、球根を掘り上げて乾燥させるなどの管理が必要です。バラによく似て華やかで愛らしいビジュアルなのに、これまであまりガーデンに普及してこなかったのは、そうした管理の難しさが大きな理由でした。 庭で栽培しやすい耐寒性を備えたラナンキュラスの登場 しかし、新品種の登場によって、ラナンキュラスは一躍、春のガーデンのメインポジションに躍り出ることになります。それがラナンキュラス・ラックス(ピカピカ)シリーズ。宮崎県の「綾園芸」草野修一氏が作出した庭植え可能な新しいラナンキュラスです。ワックスをかけたように花弁がピカピカと光ることから、ラナンキュラスとワックスを合わせて「ラックス」という名がつけられました。草野さんは、これまでにも切り花用にユニークなラナンキュラスを数多く作出し、国内外でたくさんの賞を受賞してきました。 「ラックスも最初はこれまで同様、切り花を想定していましたが、異種間交配でアシアティクス以外の血が入ったことによって、見た目だけでなく生育上の形質にも、これまでのラナンキュラスにはない“耐寒性”という性質が現れたんです。そのことに最初に気づいたのは、実は私ではなくラナンキュラスが大好きと言ってくださったガーデナーの方なんです」(草野さん) ラックスが冬越した! と教えてくれたのは、静岡県の浜名湖ガーデンパークにいたガーデナーの佐原宏康さん。 「ある日、佐原さんから、『僕、ラナンキュラス大好きなんです、どうしてもガーデンパークに植えたいんです』と電話をいただいたんです。私はラナンは庭植えは難しいからと渋ったのですが、ぜひやらせてほしいとあんまりおっしゃるので、2010年に手元にあったラックスを浜松にお送りしたんです。そしたら、そこでの管理がとてもよかったおかげもあって、冬を越して2011年の春、立派に咲いてくれたんです。ガーデンでのラックスの可能性を大いに示していただいた瞬間でした。さらに、その後も夏から冬を越し、その次の年の春はさらに株が充実して立派になり、私自身、本当にびっくりしました。ひょっとしてこれは宿根するのか、と思って、あちこちで試験栽培してもらった結果、やはり確かに宿根するということが分かりました」(草野さん) そして2015年のジャパンフラワーセレクションで、“ガーデニング部門”として初めてラナンキュラスが最優秀賞を受賞します。輝くような黄色の花のラックス ‘ピュタロス’という品種でした。宿根ラナンの登場は、春の景色を変える花として、ガーデン界に驚きと喜びを持って迎え入れられました。 ラナンキュラスの新シリーズ「ラックス」で春のガーデンをより華やかに ラナンキュラス・ラックスの花期は、ちょうど桜と同じ頃。チューリップなどの球根花やパンジー・ビオラといった定番花にラナンキュラスが加わったことで、近年の春の庭の様相は一気に変わり始めています。ラックスは草丈50〜60㎝と背が高くなるわりに、株元の茎が太くしっかりしているので倒れにくく、スプレー咲きで次々に花が咲いて庭での存在感は抜群。加えて普通のラナンキュラスに比べ、風に揺れるような抜け感があり、ふわふわして優しい雰囲気なので、他の花と合わせやすいのもガーデンフラワーとして優秀な点です。花は一重から半八重で、咲き進むにつれてシルバーやゴールドのような輝きが強くなります。たくさん咲くので切り花としても楽しめ、つぼみのうちに切っても花瓶の中でしっかり咲いてくれます。 ラナンキュラス「ラックス」栽培のポイント ラックスは比較的耐寒性があるので、露地で多少の霜や雪で葉が凍っても越冬できます。 水はけのよいところに植えましょう。 寒風に直接当たるところは避けましょう。 半日以上、日が当たる場所を選びましょう。 乾きすぎに注意。植えつけ後、2週間は特に注意して、表土が乾いたらたっぷり水を与えます。 地植えの場合、植えっぱなしで健全に育てると、株は一年で2倍以上に成長します。 市販の株は5号鉢以下のものなので、すぐに2回りほど大きな鉢に植え替え、以降は2~3年ごとに植え替えましょう。 最初から地植えが心配な場合は、鉢植えで球根を増やしてから地植えにすることをおすすめします。 「ラックスが宿根するというのは本当に偶然のことで、花を育種していると、こういう予想がつかないことがたくさん起こるんですね。でも、20世紀は時代的に工業製品が生まれていろいろな商品が画一化され、花の育種においても効率性が求められ、いかに花が揃っているかということが重視されてきました。100万粒のタネを播いたら、100万すべてが同じ花を咲かせるということが課題。また、トラックにできるだけたくさん積みこめる“効率のよい花”をつくることが重要だったんですね」(草野さん) 個性的・多様性の品種が生まれる日本の育種 「ですから、ビジネスにおいての育種は “捨てること”とされてきました。効率の悪い規格外は捨てていかれるんですね。一方で、園芸の世界では育種はずっと“拾うこと”なんです。私はといえば、昔から結構、変わった形質のものを残して花を育種してきましたから、そういう意味では本当のビジネスマンではないかもしれません(笑)。でも、世界的にみても歴史的にみても、日本の育種というのは、もともと変わったものに価値を見出して残していく傾向にある文化なんです。ですから個性的・多様性という点から見たら、私は日本の育種は世界一だと思います」(草野さん) 今、SNSの普及で、世界中のユーザーがその日本独自の育種文化に目を向け始めています。その証拠にインスタグラムでは#Japaneserananculusとして世界各国のフローリストが綾園芸のラナンキュラスで作品をつくり投稿しているほか、世界的なフラワーデザイナーも宮崎のハウスに足を運び、自身の作品にラックスシリーズを用いました。 現在、ラナンキュラスのラックスシリーズは、多くの品種があり、紫がかる「アイオリア」や「ディーバ」、ピンク系の「テセウス」や「ヘラ」「リュキア」、鮮やかなオレンジ花の「ハデス」、オレンジからピンクのグラデーションが美しい「ムーサ」、ゴールドイエローの「アルテミス」、黄花に花芯がオレンジの「ミノアン」、淡いクリーム色の「ケラモス」など、24種ものカラーバリエーションが発表されています。 ラナンキュラス・ラックスシリーズの開花が春を知らせる宮崎県のガーデン 現在、ラックスシリーズは、宮崎県を代表する春の花として、「こどものくに」や「フローランテ宮崎」などの公園で開花が見られるほか、一部のネットショップや通販、園芸店などで花苗を購入することができます。 日本人の感性によって生まれた花が世界で注目されていると思うと、ちょっと嬉しいですね。あなたの庭でもラックスを育ててみませんか。年々株が大きくなって、春の庭を華やかに彩ってくれますよ。 綾園芸 http://www.ayaengei.com/index.html こどものくに http://www.kodomo-no-kuni.com 宮崎県宮崎市青島1-1-1 TEL/0985-65-1111 フローランテ宮崎 http://www.florante.or.jp 宮崎市山崎町浜山414-16 TEL/0985-23-1510
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一年草

澄んだ空色を一面に広げるかわいい花 ネモフィラ
爽やかなブルーが魅力的な一年草 ネモフィラ 花壇やコンテナにぴったりの可愛らしい花を咲かせるネモフィラ。春から初夏にかけて、空の色を映したような澄んだブルーの花を一面に咲かせ、見事な光景をつくり上げます。ランドスケープの素材としても人気が高く、茨城県にある人気の都市公園「国営ひたち海浜公園」の丘を彩るネモフィラの群生風景などが有名です。 ネモフィラはムラサキ科の一年草。細く切れ込んだ葉と涼やかなブルーの花を持ち、瑠璃唐草やベビーブルーアイズなどとも呼ばれます。中心部が白く抜ける花色は、春の野草のオオイヌノフグリにも似た優しい印象で、他のガーデンプランツともよく合います。花期は4~5月頃、こんもりと生い茂るように成長し、花壇やコンテナの縁に植栽すると、こぼれるように青い花を咲かせます。一株でも枝分かれしてよく茂りますが、花つきがよいので群植すると満開時には見事な光景に。草丈があまり高くならずにまとまるので、グラウンドカバーとしてもオススメです。群生させる場合、秋にタネを播いておけば、翌春はネモフィラの澄んだブルーの花が一面に広がります。北アメリカ原産で、乾燥気味の気候を好み、肥料もあまり必要としません。 ネモフィラといえば澄んだ青色というイメージがありますが、黒や白などの花色もあり、シーンに合わせてガーデンにぜひ取り入れたい花です。手をかけなくても丈夫に育つのも嬉しいところ。ここでは、ガーデニングで人気の高い、代表的なネモフィラの4品種をご紹介します。 ネモフィラ・メンジェシー インシグニスとも呼ばれる代表的なネモフィラの品種。花径2㎝程度の花は中心がくっきりと白く、花弁の周囲の青とのコントラストがきれい。群植のほか、花壇のアクセントとしてもオススメ。 ‘スノーストーム’ 濃い紫色の小さな斑点が、そばかすのように散らばって花弁に入るのが特徴です。爽やかな印象の白花品種。 ‘ペニー・ブラック’ 黒に近い濃厚な紫に、白の縁取りが入るシックな花色。ネモフィラ・メンジェシーに比べ、やや小さめの花を咲かせます。 ネモフィラ・マクラータ 花径は3㎝前後。別名ファイブスポットとも呼ばれるように、花弁の縁に濃い青色のブロッチが5カ所入る可愛らしい花で、人気があります。 Credit 文/3and garden ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。 Photo/1)SUJITRA CHAOWDEE/ 2)Kota75/ 3,5)fpdress/ 6)RukiMedia/Shutterstock.com
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一年草

千変万化の個性を競い合う個人育種パンジー&ビオラ最先端レポート③
(『千変万化の個性を競い合う個人育種パンジー&ビオラ最先端レポート②』より続き) 編集部) 一方で、育種の世界には閉鎖的な面もあるかと思います。これまでにない形質を持ったものを発見したとき、それを他の人に渡したくないという思いとか、専売特許的な権利を持ちたいとか。でも、川越さんはどんどん人に新しい花のタネを配っていらっしゃいますよね。そのおかげで、宮崎県では新しいパンジー・ビオラが次々と生まれています。 川越さん(以下敬略) それはですね、そもそも私がパンジー・ビオラの育種を始めたきっかけが関係しているかもしれません。私はアナーセンに入社する前に、知的障害者の方の授産施設に勤めていました。授産施設というのは、障害のある方の就労を支援する施設で、生産活動が行われ、その売り上げが利用者の賃金に還元されます。その中に花苗の生産部門があり、そこの担当でした。私は利用者の方と一緒に種苗会社から購入したタネを播いて花苗を生産し、それを市場に出荷していたわけですが、技術力の面で、どうしてもプロの生産者さんにはかなわない部分があったんですね。でも一生懸命育てた苗の値段が低くなってしまうのが残念で、生産技術以外の何か別の付加価値を付けられないかなと、ずっと考えていました。 そんなある日、育てていたパンジーの中にたった一株だけ、白色地でパープルが細く花弁を縁取っている「覆輪」が出たのです。今は覆輪品種ってたくさんありますが、25年前ぐらいでしょうか、当時はそういう花はなかったので、すごくキレイで驚きました。けれど、そういう一つだけ違う個性を持ったものは、市場には出せないんですね。市場出荷は「揃い」が重要、出荷の際には「色組み」といって同じ色の花をケースに入れるんですが、白にパープルの覆輪はどこにも当てはまらなかったんです。いわゆる「はねもの」というものです。ですから、それだけ外して大事にしていたら、そこにタネができたんです。で、それを播いてみたら、次の年に咲いた花にも覆輪という形質が伝わったんですね。それを見て「これだ!」と思いました。たくさん種を播けば「はねもの」は出ます。それを拾っていけば、それが私たちの生産する花苗の付加価値になると思ったのが、私のパンジー・ビオラの育種の始まりなんです。だって、タネを売っていない、どこにもないものなんですから。 編集部) なるほど。そもそも個人的な欲求や利益を追求したものではなくて、授産施設の生産品に付加価値をつけることが目的で始まったんですね。 川越) そうなんです。それで、たくさん育てる中に覆輪の他にも絞り咲きなどが出て、次第にいくつかの系統ができ上がっていって、異なる系統同士を交配したら、また面白いものが出てきて…。そんな風にして、私はどんどん交配に夢中になって、それに比例して花のバリエーションもどんどん広がって。そうやって次々に新しい花が生まれていったわけですが、それらの花や施設の様子を老舗園芸通販の改良園さんの会報誌(園芸世界・平成10年1月号)に掲載していただいたんです。そしたら、それを高知県の見元一夫さんがご覧になって、わざわざ7時間もかけて施設まで来てくださったんです。 編集部) 野うさぎミーモなど、オリジナルのパンジー・ビオラで有名な見元園芸さんですか。 川越) ええ、そうです。当時、メロンなどの野菜がメインだったと思います。それで、私のところにあった系統のほとんどをお渡ししたのが、実は見元園芸さんのビオラの始まりなんです。ですからルーツは私のところにあるわけですが、大事なことは、それらがさらに交配や選抜を繰り返して見元さんらしい特徴に変わっていったところにこそあるんですよ。私は見元さんの世界ができ上がっていくのを見るのが面白かったし、福祉施設で頑張っている私たちの花が、見元さんを通じて世の中に広がっていくということがとても嬉しかったのです。ですから、最初に苗をお渡しするときにも、「ぜひ、障害者施設でつくっている花だと一言添えて販売してほしい」とお願いした記憶があります。それだけで十分でした。その後、お付き合いはずっと続いて、今年はこのパンジー・ビオラ作品展の10周年の記念に、見元さんが特別講演をしてくださいました。 編集部) ところで、その25年前の覆輪の花には、名前をつけたんですか。 川越) ジャム&クリームという名前をつけました。最初は白にパープルの覆輪だったのが、タネを取り続ける中で覆輪がローズになったり、今度は地色が黄色になったものなど、バリエーションが広がって、それをジャムとクリームに見立てた訳です。実はこのタネをあるところに託したことがあるのですが、それを入手して育てたことがあったのが、なんと平塚弘子さん、ご本人と知り合う前のことです。この品種がすでにご縁を繋いでくれていたのですね。当時珍しかった覆輪の花とネーミングにいたく感激されたということが、知り合った後に分かって、お互いにビックリでした。それからさらに育種にはまり込んでいく訳です。私は小さいころからタネ播きが好きで、ハナショウブやツバキのタネなんかを播いていたんですね。ですから、ある程度の育種の知識があって、花をもっと多様化させるには、違う原種の血を入れればいいということが分かっていました。そこで、その当時、イギリスからビオラの原種のタネを全部買ったんですが、その中に1㎝程度のとても小さい花を咲かせる、アルベンシスという原種があったんです。 あまりにも小さくて目立たない花なので、正直使えないなと思ったのですが、市販品種のビオラと交配したところ、たまたまできたのが、極々小輪の系統なんです。1㎝程度の大きさの花を極々小輪と呼んでいます。ですから、極々小輪系はほぼアルベンシスの血を引いているんですね。バニーと呼ばれる細弁系もアルベンシスの血を引いています。極々小輪も細弁も日本でできた花形です。小さいものは日本人は大好きですし、野に咲くスミレのイメージもあるので受け入れられたんだと思います。で、一つの花形が登場すると、デザイン的にも洗練が始まるんですね。例えば、バニーを見たコウロギノブコさんが、自分なりの細弁を追求した結果が、人気の‘碧いうさぎ’のようなシャープな細弁のラビット形になるんです。今は石川園芸さんや秋田緑化農園さんでも極々小輪の花を作出されていて、寄せ植えの素材としてもとても人気です。 編集部) 川越さんは、これまで何人くらいの方にタネを差し上げているんですか。 川越) うーん、数えたことはないですが、少なくとも10年くらい前からはブログでタネの配布をご案内して、毎年100人くらいの方から応募があるので、すでに1,000人以上になりますかね。生産者さんからも希望があります。そうやって、あちこちでタネを配ると、みなさんの感性がそれぞれに違うので、いろんな花が登場するんですよ。もしも私が一人で抱え込んじゃっていたら、できない広がりです。 編集部) ‘エボルベ’をつくった大牟田さんが、川越さんがいなかったら、パンジー・ビオラの発展は確実に10年以上は遅れていたとおっしゃっていました。変な質問ですが、川越さんが配ったタネから、他の人がすごい綺麗な花をつくって大流行したりしたら、悔しくなったりしませんか。 川越) あははは、ちっとも悔しくないです。むしろその逆ですよ(笑)。私は人にタネを配ったおかげで、予想もつかなかったこんな美しい世界を、いま見せてもらって、本当に幸せです。多くの人が関わることによって、世界はこんなに豊かになるっていうことを、この小さな花は私に教えてくれたんです。本当に素敵な世界ですよ。だから、まだまだたくさんの人にこの育種という世界に参加してほしいんです。いまどきの若い方はSNSとかでビジュアルセンスに長けているじゃないですか。そういう若い感性で花をつくったら、どんなふうになるのか、ぜひ見てみたいと思います。 川越) ぜひ、みなさんもタネを播いてみませんか。誰でも参加できますよ。ベテランも新人も、手にしているタネは同じですから、同じスタートラインから出発できるところも、パンジー・ビオラの育種の面白さです。必ずしも経験年数がすべてじゃなくて、初心者がすごい花を生み出す可能性が十分にあるってところが素敵だと思いませんか。それにタネから育ててみれば、一つの花の背景にあるいろんな人の苦労や喜びにも思いを馳せることができるようになるんですよ。ここまで花を完成させるのは大変だったろうなとか、この花がどういう経緯を辿ってここまで来たのかなとか。キレイだっていうだけで終わらない世界が広がるんですよね。 ぜひ、タネを播いてみてください。この世界がどんなに豊かで美しいか、感じられるはずですよ。 Information Andersen アナーセン 宮崎県宮崎市跡江1380−9 TEL & FAX 0985-48-2668 OPEN 10:00 – 18:00 月曜定休 http://andersen-flower.com Credit 写真&文/3and garden ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。
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暮らし

桜の季節をよろこぶ「紅い器で愉しむ春茶会」
食と器を愛でるイベント 北海道・札幌を拠点に作陶を続けている高橋里美さんの作品は、平皿や茶碗、酒器やマグカップ、花器など、日々の生活で出番が多いアイテムを中心に、使い勝手のいい形とサイズ感で人気があります。特に、磁器には珍しい紅色を基調とした作品が特徴です。 「この深い紅色の八角のお皿に一目惚れして、数年前購入したのが高橋さんとの出会いでした」というのは、フードスタイリストの黒瀬佐紀子さん。今回、東京での作品展を開催するにあたり、高橋さんの作品を身近に感じてもらえる機会になればと、フードスタイリストの黒瀬佐紀子さんによる食を組み合わせたイベントが行われました。 高橋さんの作品は、札幌にあるご自宅のアトリエで生まれます。制作の工程は、成形後、素焼きに7時間、その後釉薬を施し、窯で10時間焼いて、冷ますために2日ほど要します。鮮やかな紅色を出すのは、赤色釉の銅(辰砂/しんしゃ)で、焼く前の色は、なんとエメラルドグリーン。窯内の酸素の状況によって赤の濃度が変わり、時には桜のようなピンク色になるそう。「陶芸は、土物からスタートしましたが、ガラス質が色に染まる磁器づくりに気持ちが動いたことをきっかけに、今のスタイルに。紅は色出しが難しいといわれていますが、自分が思う色に到達するまでの研究も楽しいです」と高橋さん。 この会に参加した女性たちは、食事をしながら高橋さんの作品に実際に触れ、持ちやすいサイズ感や湯切れのよい注ぎ口、また料理を引き立てる色に驚かされる機会となりました。 紅い器と春の味が競演する食事会 「紅い器で愉しむ春茶会」は、ほんのり桜の香りが移った桜茶からスタート。まず一品目は、まるで桜餅のような「桜餅風、中華おこわ」。桜色から濃い紅へとグラデーションに色づいた八角の器に料理が引き立ち、食欲をそそります。 春をイメージした前菜は、左から卵とかぶの葉のひと口寿司、菜の花のサーモン巻き、炙りイカとプチヴェールのスモークオイル和え、野沢菜とクリームチーズの玉子巻き、筍とパプリカとわさび菜の肉巻きピーナッツソース添え、ポテトサラダに紫のカリフラワーの酢漬け乗せと、いくつもの春の味を堪能できる一皿。 続けて、ウォータークレソンと筍が彩る海老しんじょ、六角の赤い器にドライトマト味噌漬けの鳥焼きにスイスチャードを添えて。パースニップ、タルティーボ、ニンジン、などを塩こしょう、オリーブオイルでローストした野菜盛り。食事のしめには、アマランサスの新芽と菜花の緑、ラディッシュの赤が引き立つ春のちらし寿司。旬の野菜がカラフルで目にも楽しい春の味の創作コース料理です。 これまで聞きなれない野菜の名前の登場に驚きながら、素材一つひとつをしっかり味わう2時間でした。 フードスタイリストを仕事にしながら、数々の器に触れてきた黒瀬さん。高橋さんの器を使った感想は? 「最初は、こんなに鮮やかな赤色は難しいなと思いましたが、どんな料理も、盛りつけてみると不思議と引き立つんです。紅といっても、見る光線によって、奥に黒や紫、青を感じる飽きのこない赤で。なんといっても、料理が美味しく映える器との出会いは嬉しいですね」 旬の料理が引き立つ食器や味覚を探して、春到来の喜びを目でも舌でも、ぜひ味わいましょう。
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一年草

千変万化の個性を競い合う個人育種パンジー&ビオラ最先端レポート②
(『千変万化の個性を競い合う個人育種パンジー&ビオラ最先端レポート①』より続き) 川越さん(以下敬称略) 私はこの平成という時代は、パンジー・ビオラという花の歴史において、記録されるべき時代だと思っています。というのも、平成になってパンジー・ビオラは日本独自の進化が始まり、その進化は劇的な速さで進んでいます。菊や朝顔も、江戸時代に育種が盛んになって独自の変化を遂げ、現在は日本の花として認識されていますが、そもそもそれらは外国からやってきたものです。それを日本人の美意識で進化発展させ、今では日本の伝統園芸植物として世界中に知らしめるまでになっています。そして、パンジー・ビオラは今、まさにそれと同様の歴史を辿っているところなんです。 編集部) 個人育種のパンジー・ビオラには、日本らしさが反映されているということですか。 川越) ええ、確実に。外国から来たものは、日本にその花が入ってきた時点で、既に外国で完成された美意識とともにやってくるわけです。パンジー・ビオラに関していえば、原種の細弁に対して花弁をどれほど丸く整えるかが育種目標の一つ。ですから、乱れているものは親株に残しちゃいけないという選抜基準があったわけです。でも八重咲きの始まりというのは、花弁の乱れだったんですよ。花弁が乱れた一株から始まって、3代目くらいで完全な八重咲きとして分離できる系統ができてしまったんですね。もしも最初からこんな美しい八重咲きの完成形が見えていたなら、ヨーロッパの人も選抜したかもしれませんが、最初の段階では、ちょっとした花弁の乱れなんです。そこに価値を見出すところに、日本独自の美意識が反映されているんです。少なくとも花弁が切れた花とか、「焼け」の入る花なんて、海外だったら汚いといって選抜から外され、淘汰されていくと思います。 編集部) 「欠損品」ということですね。 川越) 一つの基準から見ればそうです。でも、「欠点」と思われていたものに価値を見出して、こんなに独自性豊かな美しい世界をつくれるというところが、日本人らしさであり、私にはそこがとても魅力的なんです。そういうセンスを日本人は持っているんですね。欠点にすら積極的に価値を見出すことのできる柔軟性と独自性、そして見出しただけでなく、それを磨き上げて発展させ、新しい美の様式をつくることができるという点。そういうところは、まさしく「侘び寂び」という日本人ならではの感覚だと思います。ですから、ここにある平成のパンジー・ビオラは、間違いなく日本だからこそ生まれた花姿なんですね。 そして、そういう花をつくる人がいて、それに共鳴できる人もいるからこそ、ここまで発展しているんですね。この展覧会は10年目を迎えますが、第1回目にこの平塚さんが作出した‘ドリームワンダー’という「焼け」の入る花を見て、お客さんが「渋くていいわー」と言ったんです。変な言い方ですけど、普通の宮崎の田舎のおばちゃんですよ。ですが、これらのパンジー・ビオラに対して「渋くていい」なんて感覚を持てるというのは、まさしくそれこそが日本人の美意識なんですね。 編集部) 面白いですね。この風土に培われた文化とか美意識が、おばちゃんの何気ない一言にも感じられますね。 川越) 本当ですよね。近年は“エボルベ”の登場によって青染み(ブルーイング発色)の「くすみ」系の色合いが流行しましたが、パンジー・ビオラは進化が早いので、また来年はガラッと変わったものが出てくるはずですよ。今度はクリアな色や鮮やかな色が注目されています。この振れ幅、多様性が魅力なんです。やる人が増えれば増える分だけ、この多様性は広がっていきます。だから、この育種という楽しみをどんどんたくさんの人に知っていただいて、多くの人に参加していただいて、この花の世界が無限に広がっていくのをずっと見ていたいなと思います。みんなが参加してくれたおかげで、ここまで広がったんですよ。 (『千変万化の個性を競い合う個人育種パンジー&ビオラ最先端レポート③』へ続く) Information Andersen アナーセン 宮崎県宮崎市跡江1380−9 TEL & FAX 0985-48-2668 OPEN 10:00 – 18:00 月曜定休 http://andersen-flower.com Credit 写真&文/3and garden ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。
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一年草

千変万化の個性を競い合う個人育種パンジー&ビオラ最先端レポート①
編集部) アナーセンさんで開催されるこのパンジー・ビオラ作品展は、今年10年目を迎えるということですが、市場では目にしない個性的な花ばかりが一堂に会していて驚くばかりです。これらの花はどういったものなのでしょうか。 川越さん(以下敬称略) これらはすべて個人育種のパンジー・ビオラなんです。育種というと、専門的で難しそうな世界に聞こえるかもしれませんが、実はそんなことはなくて、誰でもできるんですよ。育種は異なる花同士を掛け合わせてタネをつくり、それを播いて新しい花を生み出すのですが、特にこのパンジー・ビオラは一年草で種を播いて3カ月後には結果が出ますし、もともと交雑しやすく新しい花が生まれやすいので、育種しやすいんです。花なんか育てたことないっていう人でも、できますよ。実際、今回作品展に出品している育種家さんには、そういう主婦の方もいます。 編集部) 今年は何人くらいの方が参加したのですか? 川越) 25人の個人育種家の方と、企業では横浜植木さん、ゲブラナガトヨさんにもご協力いただきました。宮崎の育種家さんが多いのですが、全国の育種家さんたちも参加してくださっています。回数を重ねるごとに本当にたくさんの方が参加してくださるようになって、女性の育種家の方もとても増えましたよ。女性の感性は育種の世界で際立って特徴的ですね。 編集部) それは例えば、どんな特徴があるんでしょう。 川越) 例えば、女性的な美的感覚を最初に発揮されたのは、落合けいこさん(やまね工房)です。落合さんの代表作は八重咲きですが、一重咲きも柔らかい色合いで、花弁に独特のフリルがかかっていて、それがとてもエレガントなんです。彼女の作品に‘ドレスデン’という八重咲きの品種がありますが、一輪でもコサージュにできそうな、花弁が豊かに20枚くらい重なっているもので、とても印象的な花です。落合さんの登場によって、女性たちが「私にもできるかもしれない」と、育種の世界に参加し始めたことが、パンジー・ビオラの世界を近年、新たに広げています。 それからコウロギノブコさん(興梠花卉園)。コウロギさんは「造形のコウロギ」とも呼ばれていて、「反転咲き」という、花弁をシクラメンのようにひるがえして咲く個性的な花形を完成させました。この花から派生していろいろな品種が生まれています。 彼女自身が今取り組んでいるのは、パンジー・ビオラに未だかつてないグリーンの花色。年々、緑が濃くなってきていて、新しい花の完成にワクワクします。 編集部) なるほど、皆さんそれぞれに個性があるんですね。 川越) 人によって求めるものが違うので、同じタネからスタートしたとしても、選抜を繰り返していくうちに全然違う世界ができ上がってくるんです。これがとても大事なことです。この多様性がとっても大事。育種の場合は、人と同じじゃダメなんですね。 かといって、先ほども言ったように、始めるのは決して難しい世界じゃないんです。今回出品してくださっている、ありまひろこさんは、私がタネを3年前に差し上げたところ、すっかり育種の世界にはまってしまいました。それまでタネを播いて苗を育てるなんてことをしたことがなかったんですが、今は大輪のフリルというテーマに取り組んでいます。ブラックやワインカラーの渋めの色目で、独特のラッフルが際立つ花です。 編集部) 花径7〜8㎝くらいあるでしょうか。とてもインパクトがありますね。 川越) ええ、素敵でしょう。それから石村あさみさんの網目(ベイン)模様。網目模様自体はこれまでにもあるのですが、彼女のは可愛らしい繊細な感じに仕上がっているのが特徴です。それから、「がく羽」も彼女のテーマですね。通常ガクは5枚ですが、その2枚が花弁に変化しているというレアな個体から選抜したものです。突然変異で出たものですが、このガクの2枚を大きくしていけば、もっとインパクトの強いものができて、またこれまでにない面白いグループができ上がるはずです。しかし、誰もまだやったことがないので、どうしたらいいのかが分からない手探り状態。もしかしたらこの2枚のガクだけでなく、全てのガクが花弁に変わる可能性もあるので、とにかく追求する面白さがありますね。 編集部) こんなふうに、突然変異として生まれた個体を親株として育種に使うということもあるんですね。 川越) ええ、あるのですが、突然変異で出た特徴というのは、必ずしも次世代の花に受け継がれるわけではないんです。これは交配したものでもそうですが、親株と同じ特徴を持っているという保証はないんです。育種は運みたいなところもあって、伝わらなければ一代限りなんですね。残したい特徴を固定させるためには運もあるし、もちろん丹念なデータ収集も必要で、そうやって何世代も選抜を繰り返して、ある程度安定したものは、流通にのっていくことができます。ですから、商業的に考えた場合には手間がかかりすぎて、必ずしも生産性がいいとはいえないんです。 編集部) なるほど。でも、そもそも個人育種の場合は、選抜の目的が必ずしも商業的ではないからこそ、自分の求める姿を追求できるということもあるのですね。 川越) ええ。運もあるけれど、その前にどの花を選抜するのかというのは、その人の感性次第です。同じように見えるたくさんの花の中から、花の個性を発見する目を持たなければなりません。そして、自分がいいと思う個性を次世代でさらに際立たせるよう、目を磨いて、感性を磨いて選抜を繰り返していきます。ですから、ある意味、ここに並ぶ個人育種家のパンジー・ビオラは、工芸的な価値があると思いますよ。 例えば、「ブルーイング」はその名のとおり花色が「青味を帯びる」現象ですが、その色合いは藍を水で薄めたようなぼかしの色合い。これは大牟田尚徳さん(アイディアルフワラー)が選抜した“エボルベ”というシリーズの1系統で、本来はローズやピンクで出ていたのが、アプリコットやブラウンなどにブルーのぼかしが重なる色が出て、パンジー・ビオラでこんな色表現ができるのかと驚きを以て迎えられた花色です。 編集部) 絵描きが嫉妬しそうな魅惑の色ですね。 川越) ええ、本当に。芸術的ですよね。それから平塚弘子さんの‘ドリームワンダー’など、「焼け」といわれる形質を持った花も特筆すべき新たな系統です。「焼け」というのは、花弁の中にシルバーでキラキラと光る部分ができる形質のことをそう呼んでいます。それから、木村靖さん(Kim農園)のブロッチ覆輪や斑入り。花弁の中心の黒い部分をブロッチと呼ぶのですが、これは海外で完成された一つのパンジー・ビオラの美の完成形でもあるんです。しかし、ブロッチを上の花弁にもこんなにキレイに出すのは本当に手間がかかって大変。斑入りも大変なんです。だから種苗会社はやらないんですが、すごく個性的でしょう。 編集部) そうですね。みんなパンジー・ビオラですけど、ここにあるものは似たものってないですね。 川越) 佐藤清史さんの育成品で「切れ弁」という形質を持った“ギザギザビオラ”も、パンジー・ビオラの概念を変えるような個性ですよ。カーネーションのように花弁の縁に切れ込みが入る花なんですが、佐藤さんは16年ほど前に市販品種からたった一株出現した個体から採種を繰り返し、ここまでの変異を広げてきました。育種というと「交配」がメインのように考えられがちですが、このように変異個体の拾い上げも重要なんです。それは「狙ってできるものではない」形質が多いからなんですね。この切れ弁と大牟田さんの色を掛け合わせて誕生したものもあります。 編集部) 「狙ってできるわけではない」というと、もう神様の領域ですね。神様の領域と人の感性とで、この世にない花が生まれているんですね。昨年まではこの世にはなかった花が、全国からここに集まっていることにも驚きです。花き市場などで行われる新作発表会はよくありますが、アナーセンさんはフラワーショップですものね。 川越) ええ。アナーセンのオーナー、川口のり子さんの「宮崎から新しい花文化を発信したい」という想い、もちろん私にもパンジー・ビオラの魅力をたくさんの方に伝えたいという想いがあって、それから育種家さんたちの想いがあって、10年間実現してきた作品展です。ここにある花のほとんどは、育種家さんたちから親株をレンタルしているんですよ。 編集部) 親株といえば、タネをとるための、いわば育種では最も大事な株ですよね。すごい信頼関係の上に成り立っている作品展なんですね。 川越) 本当にありがたいことです。ここには間違いなく日本の最先端のパンジー・ビオラが集まっていますが、それを宮崎の花屋さんでやっているというのは、面白いかもしれませんね。 (『千変万化の個性を競い合う個人育種パンジー&ビオラ最先端レポート②』へ続く) information Andersen アナーセン 宮崎県宮崎市跡江1380−9 TEL & FAX 0985-48-2668 OPEN 10:00 – 18:00 月曜定休 http://andersen-flower.com Credit 写真&文/3and garden ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。





















