東京に桜満開のニュースが届いた3月下旬、東京・台東区にある古民家のギャラリーを会場に、紅や桜色の器をつくる北海道の陶芸家、高橋里美さんの作品展が開かれました。会期中は、高橋さんの器を主役にした「春茶会」も開催。フードスタイリスト、黒瀬佐紀子さんによる春を彩る料理と抹茶のおもてなしをレポートします。
目次
食と器を愛でるイベント
北海道・札幌を拠点に作陶を続けている高橋里美さんの作品は、平皿や茶碗、酒器やマグカップ、花器など、日々の生活で出番が多いアイテムを中心に、使い勝手のいい形とサイズ感で人気があります。特に、磁器には珍しい紅色を基調とした作品が特徴です。
「この深い紅色の八角のお皿に一目惚れして、数年前購入したのが高橋さんとの出会いでした」というのは、フードスタイリストの黒瀬佐紀子さん。今回、東京での作品展を開催するにあたり、高橋さんの作品を身近に感じてもらえる機会になればと、フードスタイリストの黒瀬佐紀子さんによる食を組み合わせたイベントが行われました。





高橋さんの作品は、札幌にあるご自宅のアトリエで生まれます。制作の工程は、成形後、素焼きに7時間、その後釉薬を施し、窯で10時間焼いて、冷ますために2日ほど要します。鮮やかな紅色を出すのは、赤色釉の銅(辰砂/しんしゃ)で、焼く前の色は、なんとエメラルドグリーン。窯内の酸素の状況によって赤の濃度が変わり、時には桜のようなピンク色になるそう。「陶芸は、土物からスタートしましたが、ガラス質が色に染まる磁器づくりに気持ちが動いたことをきっかけに、今のスタイルに。紅は色出しが難しいといわれていますが、自分が思う色に到達するまでの研究も楽しいです」と高橋さん。

この会に参加した女性たちは、食事をしながら高橋さんの作品に実際に触れ、持ちやすいサイズ感や湯切れのよい注ぎ口、また料理を引き立てる色に驚かされる機会となりました。
紅い器と春の味が競演する食事会


「紅い器で愉しむ春茶会」は、ほんのり桜の香りが移った桜茶からスタート。まず一品目は、まるで桜餅のような「桜餅風、中華おこわ」。桜色から濃い紅へとグラデーションに色づいた八角の器に料理が引き立ち、食欲をそそります。

春をイメージした前菜は、左から卵とかぶの葉のひと口寿司、菜の花のサーモン巻き、炙りイカとプチヴェールのスモークオイル和え、野沢菜とクリームチーズの玉子巻き、筍とパプリカとわさび菜の肉巻きピーナッツソース添え、ポテトサラダに紫のカリフラワーの酢漬け乗せと、いくつもの春の味を堪能できる一皿。

続けて、ウォータークレソンと筍が彩る海老しんじょ、六角の赤い器にドライトマト味噌漬けの鳥焼きにスイスチャードを添えて。パースニップ、タルティーボ、ニンジン、などを塩こしょう、オリーブオイルでローストした野菜盛り。食事のしめには、アマランサスの新芽と菜花の緑、ラディッシュの赤が引き立つ春のちらし寿司。旬の野菜がカラフルで目にも楽しい春の味の創作コース料理です。
これまで聞きなれない野菜の名前の登場に驚きながら、素材一つひとつをしっかり味わう2時間でした。


フードスタイリストを仕事にしながら、数々の器に触れてきた黒瀬さん。高橋さんの器を使った感想は?
「最初は、こんなに鮮やかな赤色は難しいなと思いましたが、どんな料理も、盛りつけてみると不思議と引き立つんです。紅といっても、見る光線によって、奥に黒や紫、青を感じる飽きのこない赤で。なんといっても、料理が美味しく映える器との出会いは嬉しいですね」
旬の料理が引き立つ食器や味覚を探して、春到来の喜びを目でも舌でも、ぜひ味わいましょう。

Information
「そら塾」東京都台東区根岸3-13-25 http://sorajyuku.ciao.jp/
陶芸家 高橋里見 https://sato101.exblog.jp
Credit
写真&文 / 3and garden

スリー・アンド・ガーデン/ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。2026壁掛けカレンダー『ガーデンストーリー』 植物と暮らす12カ月の楽しみ 2026 Calendar (発行/KADOKAWA)好評発売中!
- リンク
記事をシェアする
おすすめアイテム
壁掛け時計&温度計(GARDEN STORY Series)
優雅な曲線とリリーモチーフで飾られた、デコラティブな壁掛け時計&温度計。片面は時刻を読みやすいステーションクロック、もう片面は植物の管理に役立つ温度計になっています。アンティークな外観は、フェンスや壁のデザインポイントとなるアイテムとしても。
新着記事
-
ガーデン&ショップ

「第4回東京パークガーデンアワード夢の島公園」ガーデナー5名の“庭づくり”をレポート
2025年12月中旬、第4回目となる「東京パークガーデンアワード」の作庭が、夢の島公園(東京・江東区)でスタートしました。 作庭期間の5日間、書類審査で選ばれた5人の入賞者はそれぞれ独自の方法で土壌を整え、吟…
-
宿根草・多年草

これ何だ?「クサレダマ」|風変わりな名前をもつ植物たち
「クサレダマ」——。まるで妖怪か、あるいは妖怪が振り回す武器のような名前だと思いませんか。そんな禍々しい名のものをぶん投げられたら、ひどいことになりそうな予感。でも、じつはクサレダマは「腐った玉」でも…
-
花と緑

「都道府県の花」3択クイズ! 秋田県の花は次のうちどれ?【Let’s Try! 植物クイズ】Vol.31
日本の47都道府県にはそれぞれ、シンボルとなる花・木・鳥があります。中には魚や動物を定めているところも。地域を象徴する花は、古くから日本で親しまれたものもあれば、海外から伝わった比較的新しいものもあり…


























