スリー・アンド・ガーデン/ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。「ガーデンストーリー」書籍第1弾12刷り重版好評『植物と暮らす12カ月の楽しみ方』、書籍第2弾4刷り重版『おしゃれな庭の舞台裏 365日 花あふれる庭のガーデニング』(2冊ともに発行/KADOKAWA)発売中!
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スリー・アンド・ガーデン/ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。「ガーデンストーリー」書籍第1弾12刷り重版好評『植物と暮らす12カ月の楽しみ方』、書籍第2弾4刷り重版『おしゃれな庭の舞台裏 365日 花あふれる庭のガーデニング』(2冊ともに発行/KADOKAWA)発売中!
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ツルニチニチソウの育て方|半日陰も明るく彩る強健グラウンドカバー! 失敗しないコツや注意点を解説
ツルニチニチソウの基本情報 Masayuki/Shutterstock.com 植物名:ツルニチニチソウ学名:Vinca major英名:bigleaf periwinkle、large periwinkle、greater periwinkleなど和名:ツルニチニチソウ(蔓日々草)その他の名前:ツルビンカ科名:キョウチクトウ科属名:ツルニチニチソウ属(ビンカ属)原産地:南ヨーロッパから北アフリカ形態:多年草(または亜低木) ツルニチニチソウの学名はVinca major。キョウチクトウ科ツルニチニチソウ属(ビンカ属)の多年草または亜低木で、原産地は南ヨーロッパから北アフリカにかけて。つる性で匍匐するようによく広がり、グラウンドカバープランツやハンギングバスケットなどで活躍します。暑さや寒さには強く、一般地では周年戸外で管理できます。 ツルニチニチソウの花や葉の特徴 haris M/Shutterstock.com 園芸分類:草花開花時期:3月下旬〜6月上旬草丈:数m耐寒性:普通耐暑性:強い花色:青紫 開花期は3月下旬〜6月上旬。筒状で花びらが5つに分かれた風車のような青紫の花を咲かせます。卵形の葉は先端が細くなって鈍く尖ります。数mと旺盛に伸びるつるは地表を這うように成長し、節から根を下ろしてよく増えます。常緑性のため冬でもみずみずしい葉姿を楽しめ、斑入り種はカラーリーフプランツとしても人気です。 ツルニチニチソウが人気の理由 Snezana Milosevic/Shutterstock.com ツルニチニチソウは強健な性質で放任してもよく育ち、病害虫の心配もほとんどありません。常緑性の多年草または亜低木で一年を通して美しい葉姿を保ち、また一度植え付ければ毎年の開花を楽しめるのが特徴です。半日陰でも生育し、葉にクリーム色が散る斑入り種を選べば、北側の庭などを明るく彩ってくれるので人気があります。 ツルニチニチソウの名前の由来と花言葉 Kabar/Shutterstock.com ツルニチニチソウは漢字で書くと「蔓日々草」。つる性で、同じくキョウチクトウ科のニチニチソウに似た花を咲かせることから名づけられました。ちなみに、ニチニチソウは「ビンカ」という別名もありますが、ビンカはツルニチニチソウの学名。ラテン語で「結ぶ」を意味し、つるを花輪に利用したことに由来します。なぜニチニチソウの学名からではないのか疑問に思うかもしれませんが、以前はニチニチソウの学名がVinca rosea(現学名はCatharanthus roseus)であったことが理由です。 ツルニチニチソウの花言葉は、「楽しき思い出」「生涯の友情」など。楚々とした花姿ながらも強健な性質がこれらの花言葉の背景にあるようです。 ツルニチニチソウの代表的な種類 日本でよく流通している種類には、ツルニチニチソウと、それよりも小型のヒメツルニチニチソウの2種類があります。 ツルニチニチソウ Vinca major Gabriela Beres/Shutterstock.com 花径約5cm程度の一般的なツルニチニチソウ。学名の「major」は「大きい」を意味します。耐寒性は普通程度にあり、耐暑性が強いため、温暖な地域での栽培に向きます。成長スピードが速く、広い範囲をカバーします。 ヒメツルニチニチソウ Vinca minor MNStudio/Shutterstock.com 花径は約2cmと、ツルニチニチソウよりも花や葉が一回り小さいのが特徴で、寄せ植えなどにも使いやすいです。学名の「minor」は「小さい」を意味します。ツルニチニチソウよりも耐寒性や耐陰性が強い一方、耐暑性は普通程度とやや弱めで、寒冷地での植栽に適しています。生育もツルニチニチソウよりはゆっくりで、比較的コンパクトにまとまります。薄紫や赤紫、白などの花色があり、八重咲き品種もあります。 N.Stertz/Shutterstock.com 斑入り品種 Ihor Hvozdetskyi/Shutterstock.com ツルニチニチソウの斑入り品種は人気が高く、カラーリーフのグラウンドカバーとしても活躍します。斑には中斑や覆輪などのタイプがあります。斑入り品種は花が少ない傾向にあります。 葉の中央に入るゴールドの斑が明るい印象のヒメツルニチニチソウ‘イルミネーション’。N.Stertz/Shutterstock.com ツルニチニチソウの栽培12カ月カレンダー 開花時期:3月下旬~6月上旬植え付け・植え替え:3月下旬〜5月上旬、10月頃肥料:3月下旬〜5月上旬(元肥)、6月上旬(鉢植え) ツルニチニチソウの栽培環境 Wiert nieuman/Shutterstock.com 日当たり・置き場所 【日当たり/屋外】基本的に日当たりと風通しのよい場所を好みますが、半日陰の環境でもよく育ちます。斑入り品種は真夏に強い日差しを浴びると葉焼けすることがあるため、午前だけ日が差すような東側か、木漏れ日がチラチラと差す落葉樹の株元など、半日陰の涼しい場所で夏越しさせるとよいでしょう。 【日当たり/屋内】屋外での栽培が基本ですが、耐陰性があるため室内でも栽培できます。ただし、日照が不足すると花が咲かなくなるため、窓辺など明るい環境で育てましょう。 【置き場所】水はけのよい環境を好みます。腐葉土や堆肥を多めにすき込み、有機質に富んでふかふかとした土づくりをしておくとよいでしょう。ヒメツルニチニチソウや斑入り品種は、夏は半日陰で管理するのが無難です。 耐寒性・耐暑性 ツルニチニチソウの耐寒温度はマイナス5℃程度と耐寒性はありますが、寒冷地では落葉することがあります。耐暑性は強く、特に夏越しの対策は必要ありませんが、斑入り品種は葉焼けに注意が必要です。ヒメツルニチニチソウはツルニチニチソウよりも寒さに強く、耐寒温度はマイナス10~15℃です。 ツルニチニチソウの育て方のポイント 用土 funnyangel/Shutterstock.com 【地植え】 植え付けの約2週間前に、植える場所に腐葉土や堆肥、緩効性肥料を混ぜ込んで、よく耕しておいてください。土づくりをした後にしばらく時間をおくことで、分解が進んで土が熟成し、植え付け後の根張りがよくなります。 【鉢植え】 市販の草花用の培養土を利用すると手軽です。自身でブレンドする場合は、赤玉土小粒5、腐葉土4、砂1の割合で配合し、水はけのよい土を作るのがおすすめです。 水やり wavebreakmedia/Shutterstock.com 水やりの際は、株が蒸れるのを防ぐために茎葉全体にかけるのではなく、株元周辺の表土を狙って与えてください。 真夏は、気温が高い昼間に行うと、すぐに水の温度が上がってぬるま湯のようになり、株が弱ってしまうので、早朝か夕方の涼しい時間帯に行うことが大切です。 また、真冬は、気温が低くなる夕方に与えると凍結の原因になってしまうので、十分に気温が上がった日中に与えるようにしましょう。 【地植え】 根付いた後は、地植えの場合は下から水が上がってくるのでほとんど不要です。ただし、雨が降らない日が続くようなら水やりをして補います。 【鉢植え】 日頃の水やりを忘れずに管理します。ただし、いつもジメジメとした状態にしておくと、根腐れの原因になってしまいます。土の表面がしっかり乾いてから、鉢底から水が流れ出すまで、たっぷりと与えましょう。茎葉がしおれそうにだらんと下がっていたら、水を欲しがっているサイン。植物が発するメッセージを逃さずに、きちんとキャッチしてあげることが、枯らさないポイントです。 肥料 New Africa/Shutterstock.com 【地植え】 植え付け時に元肥として緩効性肥料を施しておきましょう。その後の追肥は不要です。 【鉢植え】 植え付け時に元肥として緩効性肥料を施しておきましょう。その後は6月上旬に、緩効性肥料を株の周囲にばらまき、軽く耕して周囲の土に馴染ませます。 注意する病害虫 Catherine Eckert/Shutterstock.com 【病気】 は病気の心配はほとんどありませんが、まれに立ち枯れ病が発生することがあります。 立ち枯れ病は根や地際の茎から感染する病気で、だんだん生育が悪くなり、葉が黄色くなって株全体に広がり、やがて腐って枯れてしまいます。発生初期に適用する殺菌剤をかけて防除しましょう。病気が広がるようなら、抜き取って処分します。 【害虫】 害虫の心配はほとんどありませんが、まれにハダニやカイガラムシが発生することがあります。 ハダニは、葉裏に寄生して吸汁する害虫です。体長は0.5mmほどと大変小さく、黄緑色や茶色い姿をしています。名前に「ダニ」がつきますが、クモの仲間です。高温で乾燥した環境を好み、梅雨明け以降に大発生しやすいので注意が必要。繁殖力が強く、被害が大きくなると、葉にクモの巣のような網が発生することもあります。ハダニは湿気を嫌うため、予防として高温乾燥期に葉裏にスプレーやシャワーなどで水をかけておくとよいでしょう。 カイガラムシの体長は2〜10mmほど。茎などについて吸汁し、だんだんと株を弱らせていきます。また、カイガラムシの排泄物にすす病が発生して二次被害が起きることもあるので注意。発見したら、ハブラシなどでこすり落として駆除するとよいでしょう。 ツルニチニチソウの詳しい育て方 苗の選び方 葉の色艶がよく、株元からつるが多く出て、節間が詰まって間延びしていないがっしりとした苗を選ぶとよいでしょう。 植え付け・植え替え Vasyliuk/Shutterstock.com ツルニチニチソウの植え付け適期は、3月下旬〜5月上旬、10月頃です。ただし、植え付け適期以外にも苗は出回っているので、花苗店などで入手したら早めに植え付けるとよいでしょう。 【地植え】 土づくりをしておいた場所に、苗の根鉢よりも一回り大きな穴を掘り、根鉢をくずさずに植え付けましょう。最後にたっぷりと水を与えます。複数の苗を植える場合は、40〜60㎝の間隔を取って植え付けます。 地植えの場合は、毎年植え替える必要はありません。しかし3〜4年植えっ放しにしていると大株に育ち、根が込んで株が老化してくるので、株分けして植え替えるとよいでしょう。 【鉢植え】 鉢で栽培する場合は、入手した苗よりも1〜2回り大きな鉢を準備します。鉢の底穴に鉢底ネットを敷き、軽石を1〜2段分入れてから培養土を半分くらいまで入れましょう。苗を仮置きして高さを決めたら、少しずつ土を入れて植え付けていきましょう。水やりの際にすぐ水があふれ出すことのないように、土の量は鉢縁から2〜3㎝下を目安にし、ウォータースペースを取っておいてください。土が鉢内までしっかり行き渡るように、割りばしなどでつつきながら培養土を足していきます。最後に、鉢底から流れ出すまで、十分に水を与えましょう。大きな鉢を準備し、ほかの草花と寄せ植えにしてもOKです。 鉢植えで楽しんでいる場合、成長とともに根詰まりして株の勢いが衰えてくるので、1〜2年に1度は植え替えることが大切です。植え替え前に水やりを控えて土が乾いた状態で行うと、作業がしやすくなります。鉢から株を取り出して古い根を整理して根鉢をくずし、新しい培養土を使って植え直します。もっと大きく育てたい場合は、元の鉢よりも大きな鉢を準備し、軽く根鉢をくずす程度にして植え替えてください。 剪定と刈り込み Aleksei Golovanov/Shutterstock.com 密に茂って風通しが悪いと病害虫が発生しやすくなるため、適宜剪定しましょう。つるを伸ばして旺盛に生育するので、繁茂しすぎていたら間引くように透かし剪定をします。どこで切ってもよく、再び茎葉を伸ばすので強めに切り戻してもかまいません。斑入りの品種から緑葉が発生したら、元から切り取りましょう。 増やし方 Kunlanan Yarist/Shutterstock.com ツルニチニチソウは、茎伏せや挿し芽、株分けなどで増やすことができます。この章では、それぞれの方法についてご紹介します。 【茎伏せ】 茎伏せとは、茎を地面に誘引して土をかぶせ、発根したら切り離して新しい株を作るという増やし方。ツルニチニチソウは勝手に発根して増えるほど生育旺盛なので、伸びたつるを横に寝かせ、葉のない部分に土をかぶせて動かないように固定しておくだけで、発根して簡単に増やすことができます。 【挿し芽】 挿し芽とは、茎を切り取って土に挿しておくと発根して生育を始める性質を生かして増やす方法です。植物の中には挿し芽ができないものもありますが、ツルニチニチソウは挿し芽で増やすことができます。 挿し芽の適期は、5〜6月です。その年に伸びた新しくて勢いのある茎を10〜15㎝の長さで切り取ります。採取した茎葉(挿し穂)は、水を張った容器に1時間ほどつけて水あげしておきましょう。その後、吸い上げと蒸散のバランスを取るために下葉を切り取ります。3号くらいの鉢を用意してゴロ土を入れ、新しい培養土を入れて水で十分に湿らせておきます。培養土に穴をあけ、穴に挿し穂を挿して土を押さえてください。発根するまでは明るい日陰に置き、乾燥させないように管理します。その後は日当たりのよい場所に置いて育苗し、ポットに根が回るまでに成長したら、植えたい場所に定植しましょう。挿し芽のメリットは、親株とまったく同じ性質を持ったクローンになることです。 【株分け】 株分けの適期は3月下旬〜5月上旬か、10月頃です。株を植え付けて数年が経ち、大きく育ったら株の老化が進むので、株分けをして若返りを図ります。株を掘り上げて、数芽ずつつけて根を切り分け、再び植え直しましょう。それらの株が再び大きく成長し、同じ姿の株が増えていくというわけです。 ツルニチニチソウ栽培の注意点とトラブル対策 Gosia1982/Shutterstock.com ツルニチニチソウの栽培では、繁茂しすぎて困るなどの相談が寄せられます。この章では、栽培の注意点とトラブル対策についてガイドします。 繁殖力が強すぎる場合の対処法 ツルニチニチソウは、旺盛に生育するので「繁茂しすぎて困る」という声が上がります。地植えの場合は追肥をせずに管理し、定期的につるを剪定して広がりすぎないようにしましょう。生育範囲を制限したい場合は波板状の根止めシートなどを埋めて囲うなど、園芸資材の利用もおすすめです。 枯れる・元気がないときの原因と対策 ツルニチニチソウは、半日陰の環境でも生育しますが、あまりに日当たりが悪く暗い環境下では株が弱ってしまうので、日照不足になりすぎていないか、日当たり具合をチェックしてみてください。また多湿を嫌うので、水はけのよい土づくりも大切です。水辺に近い場所や低い場所、粘土質で水はけが悪い土壌には向いていません。植え付けの際は周囲よりも少し高い場所を選び、水はけが悪い場所では腐葉土や堆肥、川砂を混ぜるなどの土壌改良もしておきましょう。 植える場所の注意 ツルニチニチソウは繁茂力が強いため、花壇に植えると勢力を広げすぎてほかの植物との調和を乱すことがあります。混植する場合には、波板状の根止めシートなどを埋めて囲い、生育範囲を制限しておくとよいでしょう。 毒性に注意 ツルニチニチソウは全草にアルカロイド系の有毒成分を含みます。口にしなければ問題はありませんが、子どもやペットの誤食には注意が必要です。また、肌が弱い人は剪定時の樹液によりかぶれることがあるので、手袋を着用して作業すると安心です。 外来種としての扱いと地域での注意点 ツルニチニチソウは、重点対策外来種に指定されています。特に規制はありませんが、お住まいの地域の条例や自治体のガイドラインを確認しておきましょう。自宅の敷地外に持ち出して野生化させないことも大切です。非常に強健で、ちぎれたつるからも根付くため、剪定したつるや抜いた株も不用意に捨てないようにしましょう。 ツルニチニチソウを育ててみよう Nahhana/Shutterstock.com 涼しげな青紫や白の花を咲かせるツルニチニチソウは、強健な性質で放任してもよく育つのでビギナーにもおすすめ。半日陰でもよく育つので、斑入り種を選べばカラーリーフプランツとして暗めの場所を明るく見せる役割も果たしてくれます。ぜひ庭やベランダに迎え入れてみてください。
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【春の花】小さいけれど強い植物! 一度植えれば毎年咲く、可憐でお得な「スズラン」の育て方
スズランの基本情報 Agata Buczek/Shutterstock.com 植物名:スズラン学名:Convallaria英名:lily of the valley和名:鈴蘭その他の名前:君影草科名:キジカクシ科(クサスギカズラ科)属名:スズラン属原産地:東アジア、北アジア、ヨーロッパ形態:多年草 スズランは、キジカクシ科スズラン属の多年草です。原産地はヨーロッパ、東アジア、北アジア。夏の暑さに弱い一方で、寒さには大変強く、北海道を代表する花となっています。 スズランのライフサイクルは、以下の通りです。4月頃に新芽が動き始めて葉を展開し、4~5月に開花。6月頃に赤い実をつけます。そのまま葉を広げて秋までは青々としていますが、晩秋になると地上部を枯らして休眠します。ただし、枯れたと判断して掘り上げて捨てないでください。冬を越せば、また春に新芽を出して生育期に入ります。このように、一度植え付ければ毎年開花を楽しませてくれる、コストパフォーマンスに優れる植物です。 一つ注意していただきたいのは、スズランは全草に毒を含有していること。詳しくは後の項目で触れますが、取り扱いには十分注意してください。毒を持っているために病害虫がつきにくいというメリットもあります。 スズランの花や葉の特徴 Suriya Wattanalee/Shutterstock.com 園芸分類:草花開花時期:4~5月草丈:15~20cm耐寒性:強い耐暑性:弱い~やや弱い花色:白、ピンク スズランの草丈は15~20cmと小ぶりですが、環境に合えば50cmほどの大株になることもあります。花茎を伸ばした先に、白いベル形の花が咲きます。1つの花は1cmに満たないほど小さく可憐ですが、花茎には10個ほどの花が連なり、清楚な華やかさが持ち味。花色はポピュラーな白のほか、ピンクの品種もあります。 スズランの葉は長さ20cmほどで、大きな長楕円形です。4月下旬から5月にかけて、葉と同じくらいの高さの花茎を伸ばし、花後には赤く小さな丸い果実を実らせます。なお、可憐な見た目とは反対に、花や根をはじめ全草に強い毒があります。 スズランの名前の由来と花言葉 manabun/Shutterstock.com スズランの名前は、花の形が鈴に、葉の姿が蘭に似ていることに由来します。英名のLily of the valleyは、ラテン語の学名「谷間の百合」を訳したものです。 花言葉は、春の訪れを象徴する「再び幸せが訪れる」や、清らかな花姿にちなんだ「純粋」「謙虚」など。詳しくは後述しますが、フランスでは相手の幸せを願ってこの花を贈る習慣があります。 人々に愛されてきたスズラン ヨーロッパでは「幸運を運ぶ花」「春の訪れのシンボル」とされて愛されてきたスズラン。ここからは、スズランが人の文化においてどのように親しまれてきたのかを紹介します。 5月1日はスズランの日 Eudyptula/Shutterstock.com フランスでは5月1日は「スズランの日(jour de muguet)」。スズランは「もらった人には幸運が訪れる」とされていることから、大切な人に感謝を込めて、スズランを贈る日です。 「スズランの日」の歴史は古く、16世紀までさかのぼります。フランス国王シャルル9世がスズランを贈られて大変喜び、「幸せを分けてあげよう」と毎年宮廷の女性たちへ贈ったことが始まりでした。この習慣が庶民へ広がり、「贈られた人に幸運が訪れる」という風説が定着しました。 スズランにまつわる伝説や風習 Shutova Elena/Shutterstock.com スズランにまつわる伝説や風習も数多くあります。 ヨーロッパでは、キリストが殉教したときに、聖母マリアが流した涙からスズランが生まれたという言い伝えがあります。また、森の守護聖人セントレオナードが3日間の死闘の末に大蛇を倒した際、彼が流した血の跡からスズランが咲いた伝説も有名です。 古くからの言い伝えによって、スズランは純潔の象徴とされ、人々に癒やしや幸福をもたらす特別な花として、現代でも深く愛され続けています。 スズランの香り Nataliia Melnychuk/Shutterstock.com スズランはバラ、ジャスミンと並ぶ三大花香(フローラルノート)の1つで、香水の世界でも重要な存在です。 ただし、スズランの香りは抽出が大変難しいため、調香師が科学的に再現したものが香水に使用されています。 スズランの代表的な品種 スズラン Convallaria keiskei Kirsanov Valeriy Vladimirovich/Shutterstock.com スズランは、ヨーロッパ原産のドイツスズランが一般的に流通していますが、日本原産のスズランもあります。日本原産のスズランは本州中部以北に自生しており、寒さには強いものの高温多湿には弱く、山野草として流通しています。開花する位置が低く、葉に隠れるようにして咲く楚々とした風情が魅力です。 ドイツスズラン Convallaria majalis ocatmatreis/Shutterstock.com ドイツスズランは、葉が大きく艶やかなのが特徴で、開花する位置が高く、花には芳香があります。可愛らしいピンク色の花を咲かせるピンクスズランや、大きめの花が咲くドリーン’が人気。 ‘アルボストリアタ’ Convallaria majalis 'Albostriata' Walter Erhardt/Shutterstock.com 葉にストライプ状に黄色い斑が入る‘アルボストリアタ’は、花が咲かない時期もカラーリーフプランツとして楽しめます。 鈴蘭水仙との違い Kabar/Shutterstock.com 鈴蘭水仙(スズランスイセン)、別名スノーフレークは、ヒガンバナ科で、キジカクシ科のスズランとは花姿がよく似ていますが、違う花です。 スズランとの見分け方のポイントは、花弁の先。緑の斑点が入っていれば、鈴蘭水仙です。 またスズランが4~5月に咲くのに対し、鈴蘭水仙は2~3月とやや早咲きです。鈴蘭よりも草丈が高く、30〜40cm。葉は水仙のように細長く立ち上がるので、やや幅広の葉を低い位置で広げるスズランと見分けやすいでしょう。 スズランの栽培12カ月カレンダー 開花時期:4月~5月植え替え適期:10月上旬~12月上旬、4月上旬~5月上旬肥料:4月~5月上旬(元肥)、6月上旬(追肥)、10月~12月上旬(追肥)植え付け:10月上旬~12月上旬、4月上旬~5月上旬 スズランの栽培環境 Irkhabar/Shutterstock.com 日当たり・置き場所 スズランは乾燥にやや弱く、直射日光に当たると葉焼けの恐れもあるため、適度に湿度がある半日陰が置き場所に適しています。夏に日陰になる落葉樹の根元などがおすすめです。 屋内の置き場所は、レースのカーテン越しに光が届くような、涼しい窓際が理想的です。ただし、暖房の風が直接当たると乾燥で株が弱るため注意しましょう。 耐寒性・耐暑性 スズランは耐寒性が強い植物なので、氷点下になる寒冷地でも屋外での冬越しが可能です。冬になると枯れたように見えますが、地下茎は生きており、春になるとまた活動をはじめます。 一方で耐暑性はやや弱く、高温多湿や直射日光で弱ってしまいます。涼しく風通しの良い場所で管理しましょう。 スズランの育て方のポイント 用土 Peter Kniez/Shutterstock.com 【地植え】 スズランは多湿を嫌い、水はけのよい土壌を好みます。植え付けの際は腐葉土や堆肥など有機質資材を土壌にすき込んでふかふかの土づくりをし、やや盛り土をしておきましょう。 【鉢植え】 用土は、草花用にブレンドされた園芸用培養土を使うと便利です。 水やり wavebreakmedia/Shutterstock.com 【地植え】 植え付け後にしっかり根づいて茎葉をぐんぐん伸ばすようになるまでは、乾いたら水やりをしましょう。根づいた後は、地植えの場合は下から水が上がってくるので、ほとんど不要です。ただし、晴天が続いて乾燥しすぎる場合は水やりをして補いましょう。真夏は昼間に水やりするとすぐにお湯状になり、株が弱ってしまうので、朝か夕方の涼しい時間帯に与えることが大切です。 【鉢植え】 日頃から水やりを忘れずに管理します。土の表面が乾いたら、鉢底から水が流れ出すまで、たっぷりと与えましょう。茎葉がややだらんと下がっていたら、水を欲しがっているサイン。植物が発するメッセージを逃さずに、きちんとキャッチしてあげることが、枯らさないポイントです。 また、真夏は高温によって乾燥しやすくなるため、直射日光が当たらない半日陰の場所で管理し、朝夕2回の水やりを欠かさないようにします。真夏は気温が上がっている昼間に水やりすると、すぐにお湯状になり、株が弱ってしまうので、朝タの涼しい時間帯に行うことが大切です。冬は休眠していますが、水やりをやめずに控えめに与えて管理します。 肥料 Singkham/Shutterstock.com スズランは、一度植え付ければ毎年花を咲かせる息の長い植物なので、肥料を補って株の勢いを保ちましょう。地植え、鉢植えともに、新芽が吹き出す前の3月~4月上旬と、開花後の6月頃が適期です。 【地植え】 牛糞堆肥などの有機質肥料を株の周りにまいて、軽く耕して土にすき込みます。 【鉢植え】 においが発生しない緩効性化成肥料を使うと便利です。鉢栽培では水やりのたびに肥料成分が流れ出すので、開花期にはリン酸分を多めに配合した液体肥料を補うと、花数が多くなります。製品に書かれている希釈倍率や用法を守って与えるようにしましょう。 注意する病害虫 見た目は可憐なスズランですが、意外と病害虫が発生しにくい植物なんです! 特に虫が苦手な方には、庭やベランダに迎え入れるのに、おすすめの植物といえます。 スズランの詳しい育て方 苗の選び方 スズランの苗を選ぶ際は、株元がしっかりとしていて、葉にハリと艶がある健康なものがおすすめです。春なら、葉の間からふっくらとした花芽が確認できるものを選ぶと、すぐに開花した姿を楽しめます。 植え付け・植え替え Nataly Studio/Shutterstock.com スズランの植え付けは、3月か11月~12月上旬が適期です。花苗店などで開花株を買い求めた場合は、植えたい場所へ早めに定植します。 【地植え】 土づくりをしておいた場所に、入手した苗の根鉢より1~2回り大きな穴を掘って、植え付けましょう。複数株を植え付ける場合は、約20cmの間隔を取っておきます。最後にたっぷりと水やりをしておきましょう。 一度植え付けたら、3~5年は植えっぱなしにしてもかまいません。しかし、大株に育って地下茎が込んでくると生育が衰えるので、掘り上げて株分けし、植え替えましょう。 【鉢植え】 鉢の大きさは、5~6号鉢に1株を目安にするとよいでしょう。用意した鉢の底穴に鉢底ネットを敷き、軽石を1~2段分入れてから培養土を半分くらいまで入れましょう。スズランの苗をポットから取り出して鉢に仮置きし、高さを決めます。水やりの際にすぐあふれ出さないように、土の量は鉢縁から2~3cmほど下の高さまでを目安にし、ウォータースペースを取るとよいでしょう。土が鉢内までしっかり行き渡るように、割りばしなどでつつきながら用土を足していきます。最後に、鉢底からたっぷりと流れ出すまで、十分に水を与えましょう。寄せ植えの素材として、大鉢にほかの植物と一緒に植え付けてもOKです。 鉢植えで育てている場合、1~2年に1度を目安に植え替えます。根が鉢底からはみ出して根詰まりし、生育が鈍くなっているようなら、植え替えましょう。鉢から株を出して根をほぐし、1~2回り大きな鉢に植え替えます。大株にしたくない場合は、4~5芽つけて株を切り分ける「株分け」をし、数鉢に植え直すとよいでしょう。 日常の手入れ FunFamilyRu/Shutterstock.com スズランは、花茎を立ち上げて花を咲かせるので、つぼみがつかなくなったら花茎の元から切り取ります。タネを採取しないのであれば、花がらはまめに取り、株まわりを清潔に保っておきましょう。いつまでも終わった花を残しておくと、タネをつけようとして株が消耗し、老化が早まって花数が少なくなってしまうので注意。 花がらをまめに摘み取ると、次世代を残そうとして次から次に花がつき、長く咲き続けてくれます。 増やし方 【株分け】 植え替える際に大株に育っていたら、4~5芽つけて根を切り分ける「株分け」をし、植え直します。株の若返りにもつながり、切り分けた分だけ株を増やすことができます。株分けのメリットは、同じ花が見られるクローンが増えることです。スズランは全草に毒を含むため、作業の際にはゴム手袋をはめておきましょう。 【種まき】 スズランのタネはほとんど流通していないので、種まきをする場合は花がら摘みをせずに実をつけさせてタネを採取します。スズランは全草に毒を持っているので、作業の際には必ずゴム手袋をはめましょう。グリーンの実が熟れて赤くなった頃に、実を採取して皮をむき、果肉からタネを取り出しましょう。タネが乾燥しないうちに、種まき用のトレイに用土を入れて播き、半日陰に置いて水やりを忘れないように管理します。翌年の春頃に発芽し、本葉が数枚ついたら黒ポットに鉢上げして育苗しましょう。種まきから発芽までかなり時間がかかるので、ビギナーさんなら苗を園芸店で購入するか、株分けして増やす方法がおすすめです。 スズランの毒に気をつけよう! スズランに病害虫が発生しにくいのは、全草に毒を持っているからです。スズランに含まれる有毒成分は30種を超えるとされ、摂取すると頭痛や嘔吐、めまいや不整脈、血圧低下などの症状が現れます。中でもスズランに含まれる強い有毒成分のコンバラトキシンは致死量が約18mg前後ですから、微量を摂取しても死を招く危険性があります。実際に、スズランをコップに活けておいたところ、そのコップの水を幼児が誤飲して、死亡した例もあるほど。花粉にも毒を含むため食卓に飾るのは厳禁ですし、ペットや幼児のいる家庭では、手の届かない場所に置くなどの注意が必要です。ガーデニングをする際も、必ずゴム手袋をして取り扱いましょう。 スズランは水栽培で育てることもできる Dzha33/Shutterstock.com スズランは、ヒヤシンスのように水栽培をすることが可能です。日当たりのよい室内で育てることができ、身近なところで日々成長する様子を楽しめます。土を使わないため手軽で、小さな瓶を利用して水栽培すれば、場所を取らず、移動も簡単。液肥を正しく用いて養分をサポートすれば、順調に生育しますよ!ただし、前述のように全草に毒を持っているので、置き場所や取り扱いには注意しましょう。 来年も花を咲かせるためのコツは? Prilutskiy/Shutterstock.com スズランは多年草なので、一度植え付ければ、春には毎年開花を楽しめます。しかし、「1年目は開花してくれたのに、気づいたら消えていた、なぜ !? 」という声がよく聞かれます。そこで、スズランを毎年咲かせるためのポイントをまとめました。 暑い夏を乗り切る スズランは、日本の暑い夏が大の苦手。夏をうまくしのぐことが最大のポイントといえるでしょう。真夏は直射日光にさらされるのを防ぐ以外に、風通しがよく涼しい場所で管理するのがポイント。いっそのこと鉢植えにして、クーラーのきいた部屋に取り込み、レースカーテン越しの日が入るような場所で管理するのも一案です。その場合、水は乾燥させない程度に、蒸れないように控えめに与えるとよいでしょう。 地下茎を育成する スズランは地下茎にエネルギーを溜めて、翌年の開花に備えます。花が咲き終わったあとは株が消耗しているので、必ず肥料を与えることが大切です。これを「花を咲かせてくれてありがとう、来年もよろしくね」という目的で施す「お礼肥(おれいごえ)」といいます。葉が光合成をして地下茎にしっかりとエネルギーを蓄えられるように、邪魔になるからといって茎葉を紐などで束ねることも厳禁です。 スズランの花が咲かない理由 Viktoriia Kolosova/Shutterstock.com スズランが咲かない理由には、以下があります。 株の過密 数年植え替えをせずにいると、株が過密になって風通しが悪くなり、栄養が行き渡らなくなります。2〜3年に一度は株分けや植え替えを行い、適切な密度に調整しましょう。 日照不足 スズランは半日陰での栽培が推奨されていますが、花を咲かせるには春先にしっかり日光に当てて球根を太らせることが大切です。開花期が近くなったら、日当たりを注意深く確認しましょう。 肥料の過不足 肥料は与え過ぎても、少なすぎても生育に影響します。適度な量を心がけましょう。 間違った剪定 花後にすぐ葉を切り取ってしまうなど、間違った剪定を行うと、十分に光合成ができずに株が弱り、花が付きづらくなります。 スズランは小さくても丈夫!夏はしっかり管理しよう Prilutskiy/Shutterstock.com 春先に見せてくれる花姿は可憐で、人気が高いスズラン。病害虫がつきにくく、ガーデニングのビギナーでも育てやすい植物です。暑さに弱い性質がキーポイントになりますが、夏越しさえできれば、生命力が強くてよく増え、毎年開花してくれます。ぜひガーデンやベランダに迎え入れて、スズランを愛でてはいかがでしょうか。
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都立公園を新たな花の魅力で彩る画期的コンテスト「第4回 東京パークガーデンアワード」夢の島公園【4月続々開花中】
第4回コンテスト会場は「都立夢の島公園」 ユーカリやデイゴ、ヤシなどの熱帯・亜熱帯植物が茂る緑豊かな都立夢の島公園。コンテストガーデンの並びには、熱帯植物館も隣接。 2022年に代々木公園から始まった「東京パークガーデンアワード」。第2回の神代植物公園、第3回の砧公園に続き、4回目の舞台となる「夢の島公園」は、運河に囲まれた人工島の中にある都立公園です。園内には、熱帯植物館やスポーツ施設、マリーナ、広大な芝生広場があり、都心からもアクセスしやすい人気のスポット。この海辺の公園で、コンテストが繰り広げられます。 第4回のテーマは「海辺のサステナブルガーデン」 今回ガーデンが設けられるエリアは、『夢の島熱帯植物館』西側のグリーンパークの一画で、公園のシンボルであるユーカリの樹林地に面しています。広がる波をイメージした2本のウェーブガーデン(約24㎡)に、海辺の環境に適した宿根草を植栽。背景のユーカリとも調和する、ロングライフ・ローメンテナンスなガーデンが制作されます。2025年12月、土壌改良から作庭が行われ、11月の最終審査を迎えるまで、必要に応じてメンテナンスを実施。近年の激しい気候変動、とくに厳しい酷暑への対応も重要な課題です。3回の審査を経てグランプリが決定するまで、5名の入賞者はさまざまな予測を立てながら庭と向き合っていくことになります。 第4回のコンテストガーデン コンテストガーデンが設けられた敷地の平面図。A〜Eの各面積は約24㎡ 。どのエリアでガーデンを制作するかは、2025年10月に抽選で決定。 各コンテストガーデンは、波打つ曲線で縁取られた高さ15㎝ほどの木枠の中に作られました。4月の様子。 公園内の通路に沿って2対1組のウェーブガーデンが5つ並んでいます。常緑のユーカリを背景に、通路からコンテストエリア全体を眺めたり、2対のウェーブガーデンの間の通路を歩きながら、AからEへと移り変わる景色を楽しめるのも魅力。植物をすぐそばに感じられる、心地よい空間です。 写真左手前の西から東に向けて、A・B・C・D・Eの順にガーデンが並ぶ、4月の様子。右奥に見えるガラス張りの温室は、夢の島熱帯植物館。 2025年12月に行われた作庭時、ガーデン制作に関わった皆さん。 【第4回 東京パークガーデンアワード in 夢の島公園 最終審査までのスケジュール】 コンテストに挑戦する5名の入賞者が1年を通してガーデン制作に挑む「東京パークガーデンアワード」。2025年12月中旬に、それぞれの区画で作庭が完了しました。その後、4月は春の見頃を迎えた観賞性を審査する『ショーアップ審査』、7月は梅雨を経て猛暑に向けた植栽と耐久性を審査する『サステナブル審査』、11月は秋の見頃の観賞性と年間の管理状況を審査する『ファイナル審査』が行われ、グランプリが決定します。 【審査基準】公園の景観と調和していること/公園利用者の関心を得られる工夫があること/公園利用者が心地よく感じられること/植物が会場の環境に適応していること/造園技術が高いこと/四季の変化に対応した植物(宿根草など)選びができていること/「持続可能なガーデン」への配慮がなされていること /メンテナンスがしやすいこと/テーマに即しており、デザイナー独自の提案ができていること/総合評価 ※各審査は別途定める規定に従い、審査委員による採点と協議により行われます。 全国から選ばれた入賞者5名のガーデンコンセプトと月々の様子 コンテストのテーマとルールをふまえて制作される5つのガーデン。それぞれのガーデナーが目指す庭を、作者の制作意図や図面、植物リストの一部を紹介しながら、月々の様子を撮影した写真とともにお伝えします。 Pick up 月々の植物の様子 4月の植物の様子 チューリップ・ヒルデ(Aエリア)、フリチラリア・ツンベルギー(Bエリア)、チューリップ‘シルビア’(Bエリア)、フリチラリア・ペルシカ(Cエリア) シラー・シベリカ‘アルバ’(Cエリア)、ラナンキュラス・ラックス‘サティロス’(Dエリア)、チューリップ‘ショーグン’(Dエリア)、フロックス・ディバリカタ‘ラファミー’(Eエリア) 3月の植物の様子 ミニアイリス‘ペインテッドレディ’(Aエリア)、シラー‘ミスクトスケンコアナ’(Aエリア)、ムスカリ‘アズレウム’(Aエリア)、クロッカス‘ロマンス’(Aエリア) グレビレア・プーリンダイルミナ(Bエリア)、ユーフォルビア・ウルフェニー(Bエリア)、チューリップ・ヒルデ(Bエリア)、アルメリア‘モーニングスターディープピンク’ (Eエリア) コンテストガーデンA花の巡り、風と大地の詩 【作品のテーマ・制作意図】 海辺という特有の環境に調和しながら、自然の力を活かした設計によって、サステナブルな公共空間のあり方を提案します。風が通り抜け、植物が揺れ、大地がそれを支える——この空間では、自然の要素が互いに響き合いながら機能します。植栽には、乾燥や高温に強く、施肥を行わずとも育つ植物を選定。水やりやメンテナンスを最小限に抑えることで、環境負荷を軽減しながら、美しさと生態系の豊かさを両立する構成としました。また、宿根草とグラス類を中心に、こぼれ種によって自発的に広がる植物を組み合わせることで、季節や年月の変化に応じて風景が移ろい、訪れるたびに異なる表情を見せるよう工夫しています。風に反応する草姿や色彩の変化は、来訪者の感覚に静かに働きかけ、風・植物・大地の関係性を通じて、自然との関わりを見つめ直す場となることを目指しています。 【主な植物リスト】 宿根草:フロックス‘ムーディーブルー’/ゲラニウム‘サバニブルー’/アスフォデリネ・ルテア/ダイアンサス・カルスシアノルム/ゴリオリモン・コリナム‘シースプレイ’/エキナセア・テネシーエンシス/ユーコミス‘ビッグボーイ’/エリンジューム・パリフォリウム/バーノニア・レターマニー/スクテラリア・インカナ/アスター‘アンレイズ’グラス類:フェスツカ‘エリアブルー’/ブリザ・メディア‘ラッセルズ’/スティパ・イチュー/エラグロスティス・トリコデス/ペニセタム・マクロウルム/アンドロポゴン・テルナリウス/ミューレンベルギア・カピラリス・アルバ球根:スイセン‘ペーパーホワイト’/ミニアイリス‘ペインテッドレディ’/クロッカス‘ロマンス’/ミニチューリップ‘ヒルデ’/ダッチアイリス‘シンフォニー’/カマシア・クシッキー/アリウム・シルバースプリング/アリウム‘ピンボールウィザード’/ガルトニア・カンディカンス/リコリス・サンギネア コンテストガーデンA 月々の変化 4月の様子 白×青×黄を基調とした花色が爽やかで、花咲く野原のようなナチュラルなデザインが、眺める人の心を和ませてくれます。一方、ところどころで大きな葉を伸ばすジャーマンアイリスやアリウム‘ピンボールウィザード’がアクセントとなり、景色に力強さをプラス。これから季節が進むにつれ、風景の印象がどのように移り変わっていくのか、今後の展開が楽しみです。 【写真中の主な植物】上左/ユーフォルビア・ウルフェニー、フロックス‘ムーディブルー’ほか 上右/ユーフォルビア・ウルフェニー、ムスカリ‘アズレウム’、スイセン‘ペーパーホワイト’ほか 下左/ユーフォルビア・ウルフェニー、スイセン‘ペーパーホワイト’、ネペタ‘フェリックスほか 下右/ユーフォルビア・ウルフェニー、スイセン‘ペーパーホワイト’、チューリップ・タリア’ 3月の様子 ミニアイリス‘ペインテッドレディ’、シラー‘ミスクトスケンコアナ’、クロッカス‘ロマンス’など、可憐な小球根が次々に開花し、早春ならではの愛らしい風景が広がっています。小球根のかたわらでは、盛りを迎えたユーフォルビア・ウェルフェニーが小さな花々を見守るようにやさしく佇み、庭の表情をいっそう豊かにしてくれています。先月中旬から咲いているミニアイリスはそろそろ見頃の終盤に差しかかり、これからは白いスイセンへと、開花のバトンが引き継がれていきます。 【写真中の主な植物】上左/ユーフォルビア・ウルフェニー、ミニアイリス‘キャサリンホジキン’、シラー‘ミスクトスケンコアナ’、クロッカス‘ロマンス’ほか 上右/シラー‘ミスクトスケンコアナ’、クロッカス‘ロマンス’、ムスカリ‘アズレウム’ほか 下左/スイセン‘ペーパーホワイト’、クロッカス‘ロマンス’、ギリア‘レプタンサ’、フェスツカ‘アメジスティナ’ほか 下右/アスフォデリネ・ルテア、カマッシア‘クシキー’ 2月の様子 まだ寒々しさの残るガーデンの中で、チューリップやスイセン、クロッカスの芽が、艶やかな緑の彩りを添えています。成長前のグラス類やロゼット状の植物などが休眠している姿には、地味ながらも、どこか味わいが感じられます。 【写真中の主な植物】上左/ユーフォルビア・ウルフェニー、ペニセタム・マクロウルム、フェスツカ‘エリジャブルー’ほか 上右/エリンジウム・バリフォリウム、ダイアンサス・カルスシアノルム 下左/エラグロスティス・トリコデス、アリウム‘丹頂’ほか 下右/フェスツカ・アメジスティナ、ダッチアイリス‘シンフォニー’、ミニチューリップ‘ヒルデ’、アリウム‘シルバースプリング’ほか 1月の様子 どことなく荒涼とした雰囲気が漂うこの時期。植え付け時から数輪の白花をつけているスキゾスティリス・コッキネア‘シルキーピンク’が、冬の日差しを受けて、ぽつんと一点、輝きを放っています。ほかにもミニスイセンや球根の芽吹きがところどころに見られ、まだ遠いながらも、春の訪れをほんのりと感じさせてくれます。 【写真中の主な植物】上左/スキゾスティリス・コッキネア‘シルキーピンク’、ユーフォルビア・ウルフェニー、ジャーマンアイリスほか 上右/アスフォデリネ・ルテア 下左/アリウム ‘シルバースプリング’ 下右/スイセン‘初雪’、アガパンサス‘ゲッティホワイト’ほか 12月の様子 コンテストガーデンA『花の巡り、風と大地の詩』12月中旬、作庭後の様子。 コンテストガーデンB潮風に揺れるプレイフルガーデン-Playful Garden Swaying in the Coastal Breeze- 【作品のテーマ・制作意図】 ■ユーカリ樹林や公園風景を主役にする庭 ―夢の島公園の景観と調和した植物選び―・公園の象徴であるユーカリ林を主役に、遠くからは樹林の前景として眺める花壇、入り込めばユーカリの壁を借景に、緑に包まれる植栽空間を創出。背後の樹林と庭の植栽がつながるよう視線の抜けや緑の連続感を意識し、園全体との一体感を演出します。・バンクシア、カリステモン、ハマゴウやメリアンサスなど、海辺の環境に耐えながら、豪州庭園を有する公園の既存植生や景観、海風の雰囲気に馴染む庭景を演出します。・冬季に訪れる来園者にも配慮し、花後も景観を彩るグラスや常緑樹、カラーリーフ類を混植し、季節ごとに表情が変わり、秋冬も映えるガーデンとします。 ■公園遊具・風景のきっかけとしての庭―利用者の関心を引き、居心地を生む仕掛け―・子ども用遊具が少ない園内に、アスレチックや回遊ごっこを誘発する植栽空間を提案します。地面のウェーブ(アンジュレーション)と植栽の高低差で、歩くたびに景色が見え隠れする立体的な庭を演出し、眺めても歩いても楽しめる空間とします。・大人の見守りの視線は通しつつ、子どもにとっては草花のトンネルのように感じられる空間体験を演出します。園路沿いベンチを起点に、子どもの好奇心を植物へ導き、自然への関心を育む場とし、二列花壇の適所に通り抜けポイントを設けることで、アクセス性と回遊性を高めます。 【主な植物リスト】 宿根草:ユーフォルビア・ウルフェニー/ユーフォルビア・セギリアナ/トリトマ‘グリーンシェイド’/モナルダ・フィッツローザ/エキナセア‘ミニベル’/エキナセア・パリダ/シシリンチウム・ストリアタム/スターチス・ラティフォリウム/ホソバチョウジソウ/オレガノ‘マルゲリータ’/アキレア‘マシュマロ’グラス類:パンクスグラス‘プミラロゼア’/ミューレンベルギア・リンドハイメリ/ペニセタム・アロペクロイデス/カレックス‘フェニックスグリーン’/カレックス・フラッカ低木:カリステモン・ドーソンリバー/コースト・バンクシア/グレビレア‘プーリンダ・イルミナ’/グレビレア ・ジョンエバンス/グレビレア‘ドーン・パープル’/メラレウカ‘タイムハニーマータル’/ハマゴウ‘プルプレア’/ギョリュウバイ‘ナニューム・ルブルム’球根: チューリップ・トルケスタニカ/チューリップ‘シルビア’/チューリップ‘ヒルデ’/チューリップ・タルダ‘インタラクション’/チューリップ・クレティカ‘パニア’/チューリップ・マーラ/チューリップ‘ビオレッタ’/カマッシア‘カエルレア’/カマッシア‘アルバ’ コンテストガーデンB 月々の変化 4月の様子 楚々とした佇まいが魅力の瑞々しい原種チューリップ数種と、ドライな雰囲気を持つオージープランツのグレビレアが、ともに満開を迎えています。周囲には、若緑のグラデーションが美しい宿根草が配され、異なる趣をもつ植物が見事につながり、一体感のある風景を演出。また、低木類が生み出す陰影が植栽全体の表情に奥行きを与え、見応えのある景色を楽しませてくれます。 【写真中の主な植物】上左/グレビレア‘プーリンダ・イルミナ’、チューリップ‘シルビア’、カリステモン‘ドーンリバー’ほか 上右/メリアンサス・マヨール、チューリップ・クレティカ ‘ハニア’ ほか 下左/グレビレア‘プーリンダ・イルミナ’、メリアンサス・マヨール、チューリップ・クレティカ ‘ハニア’ ほか 下右/ユーフォルビア・ウルフェニー、チューリップ‘シルビア’、コーストバンクシア、ヒルベリーほか 3月の様子 当初から低木などで立体的にデザインされていたガーデンですが、そこに瑞々しい葉を伸ばす宿根草や、グレビレアの赤い花といった彩りが加わり、少しずつにぎわいを見せ始めています。なだらかな斜面の陽だまりでは、原種チューリップ・ヒルデの第一号が開花。冬の終わりにカットバックしたグラス類は、古葉の塊の中から幾本もの新芽を伸ばし始めています。 【写真中の主な植物】上左/グレビレア・プーリンダイルミナ、ウエストリンギア‘スモーキー’、メリアンサス・マヨールほか 上右/チューリップ・ヒルデ、ジギタリス‘クリームベル’ほか 下左/ユーフォルビア・ウルフェニー、コーストバンクシアほか 下右/チューリップ‘シルビア’、ダイアンサス・カルシアノルム、アルテミシア‘モリスストレイン’ほか 2月の様子 パンパスグラスの枯葉がバッサリと刈り込まれ、すっきりとした姿に。切り口のフォルムもユニークです。ユーフォルビアは茎を伸ばし、うなだれながらも花穂をつける準備を始めています。また、数種の原種系チューリップが愛らしい芽を出し始めました。 【写真中の主な植物】上左/オレガノ‘マルゲリータ’、メリアンサス・マヨールほか 上右/ユーフォルビア・ウルフェニーほか 下左/チューリップ・ヒルデほか 下右/チューリップ・シルビアほか 1月の様子 常緑の植物を多く取り入れているこのガーデンでは、真冬でもグリーンのにぎやかなグラデーションを楽しむことができます。マルチングの色とのコントラストも美しく、寒さにあたって赤みを帯びた葉や、やや退色した緑など、この時期ならではの葉色が、植栽全体の表情を豊かに演出しています。 【写真中の主な植物】上左/ウエストリンギア‘スモーキー’、メリアンサス・マヨール、グレビレア‘プーリンダ・イルミナ’ほか 上右/ジギタリス‘クリームベル’、オレガノ‘マルゲリータ’、ヒルベリーほか 下左/アガパンサス‘ファイアーワークス’ 、ユーフォルビア・ウルフェニーほか 下右/矮性パンパスグラス、メリアンサス・マヨールほか 12月の様子 コンテストガーデンB『潮風に揺れるプレイフルガーデン -Playful Garden Swaying in the Coastal Breeze-』12月中旬、作庭後の様子。 コンテストガーデンCStewardship Garden:The Way 【作品のテーマ・制作意図】 この庭は、まるで人の一生を映し出すかのような場所。最初は何も育たない砂地が、植物や小さな生き物たちのチカラ、そしてそこに暮らす人々の手によって、ゆっくりと豊かな土壌へと育っていく。それはまるで、子供が成長して大人になり、やがて成熟世代へと人生を重ねていく時間の流れと、重なり合っているかのよう。子供たちは砂のような柔らかな心で庭と遊び、自然からたくさんのことを学ぶ。大人になれば、その庭は家族や友人と収穫や語らいを楽しむ場所になり、成熟世代になれば、その成長した庭を眺めながら穏やかな、心豊かな時を過ごす。この庭は自然と人が共に成長し、砂が子供、豊かな土壌が大人へと成熟していくように、自然の再生と成熟への時、人生の旅路を映す『道』を示している。 【主な植物リスト】 宿根草:ユーパトリウム/トリトマ/ヘリオプシス/オミナエシ/オトコエシ/ペンテスモン/エキナセア/ベロニカなどグラス類:カールフォスター/ミスカンサス/ディプカンシア/カレックス/モリニア/コメガヤなど球根:アリウム/スイセン/ダッチアイリス/フリチラリア/カマシア/オダマキ/ラナンキュラス・ラックス/ゲイソリザ/ツベロサム/シラーなど コンテストガーデンC 月々の変化 4月の様子 ガーデンの中央では、‘オレンジ・ビューティー’とペルシカ、2種のフリチラリアが花茎をぐんと伸ばして開花。個性的な組み合わせで印象深い風景を描いています。それとは対照的に、砂浜のエリアでは、ほんの小さな花を咲かせるシラー・シベリカ‘アルバ’やムスカリ、ゲラニウム・ツベロサムが可憐な表情を見せ、繊細でやさしい景色を演出しています。 【写真中の主な植物】上左/スイセン‘タリア’、フリチラリア・ペルシカほか 上右&下左/フリチラリア‘オレンジ・ビューティー’、フリチラリア・ペルシカほか 下右/シラー・シベリカ‘アルバ’、ムスカリ‘ダブルマジック’ほか 3月の様子 ガーデンの中でもひときわ青々と成長している数株のラナンキュラス・ラックスが、いよいよ花芽を上げ始めました。クルミの殻を押し上げて芽を出した球根の中には、殻を帽子のように載せたまま葉を伸ばしているものもあり、どことなくメルヘンな雰囲気を漂わせています。また、堆肥でカバーしたエリアでは球根の成長が力強く進む一方、両端の砂のエリアの成長は穏やか。さまざまな芽吹きが庭全体に豊かな表情をもたらしています。 【写真中の主な植物】上左/ラナンキュラス・ラックス‘サティロス’、アキレア‘テラコッタ’、ディスカンプシア・パラダほか 上右/ラナンキュラス・ラックス‘ミネルバ’、ペンステモン‘ハスカーレッド’ 下左/アリウム・シューベルティ、アリウム・コワニー、アリウム‘レッドモヒカン’ 下右/カマッシア‘アルバ’、ムスカリ‘ダブルマジック’ほか 2月の様子 3種類のマルチングを施した個性的なガーデンには、オーナメンタルな株姿のカレックス‘プレーリーファイアー’や銅葉のペンステモン‘ハスカーレッド’がよく似合います。先月から芽吹いていたアリウム‘レッドモヒカン’に続き、アリウム・コワニーやアリウム・シューベルティも芽を出し始めました。 上左/ペンステモン‘ハスカーレッド’、オダマキほか 上右/カレックス‘プレーリーファイアー’ 下左/ラナンキュラス・ラックス‘アリアドネ’、アリウム‘レッドモヒカン’、アリウム・コワニーほか 下右/アリウム・シューベルティ 1月の様子 あちこちに植えられたラナンキュラス・ラックスの青々とした葉が、どことなく寂しい冬の植栽にやわらかな彩りを添えています。植物がまだ小ぶりなこの時期は、3種類のマルチング(バークチップ、クルミの殻、洗い砂)の遊び心がいっそう際立ち、デザイナーのこだわりを感じさせます。 【写真中の主な植物】上左/カラマグロスティス・ブラキトリカ、ラナンキュラス・ラックス‘アリアドネ’、セダム‘マトロナ’ほか 上右/カラマグロスティス・ブラキトリカ、ペンステモン‘ハスカーレッド’、ほか 下左/カレックス‘プレーリーファイアー’、ラナンキュラス・ラックス‘アリアドネ’、ペンステモン‘ハスカーレッド’ほか 下右/カラマグロスティス‘カールフォスター’、ベロニカ‘フェアリーテイル’、ペンステモン‘ハスカーレッド’ほか 12月の様子 コンテストガーデンC『Stewardship Garden:The Way』12月中旬、作庭後の様子。 コンテストガーデンDSurFIVE Garden 【作品のテーマ・制作意図】 夏の猛暑や乾燥といった「過酷な環境を生き延びる力強さ(Survive)」×「海の波や生命のうねりを感じさせる (Surf)」を掛け、その植物のパワーが波のように広がり未来へとつながっていくイメージと、五感を刺激する植物の組み合わせを『SurFIVE』という言葉で表現しています。またガーデンのテーマカラーとしてオレンジの花色の植物を多く取り入れ、親しみやすさや太陽のもとで元気に咲く植物の生命力をアピールします。 【主な植物リスト】 宿根草: カンナ/クニフォフィア・ルーペリ/メリアンサス・マヨール/エキノプス /ロシアンセージ/アキレア/バーベナ・ボナリエンシスグラス類:カラマグロスティス‘カールフォスター’/カラマグロスティス・ブラキトリカ/パニカム‘シェナンドア’/エラグロスティス・スペクタビリス球根: アリウム‘マジック’/ミニチューリップ‘ショーグン’/イフェイオン‘ウィズレーブルー’/スイセン‘タリア’ コンテストガーデンD 月々の変化 4月の様子 先月まで静かだったガーデンは、球根類が一気に花を咲かせ始め、本格的な春の訪れを感じさせています。白×青×オレンジのビビッドな花色が際立ち、全体的にパキッとした印象です。そのにぎやかな花々を取り囲むように、宿根草の葉がふんわりと茂り、ボリューム感のある景観をつくり出しています。遠くから眺めても目を引く、表情豊かなガーデンです。 【写真中の主な植物】上左/上右/スイセン・タリア、チューリップ‘ショーグン’、ムスカリほか 下左/キンギョソウ‘ブラックプリンス’、ムスカリほか 下右/ハナニラほか 3月の様子 先月まで、ガーデンの大部分がバークの色で覆われていましたが、球根類が一斉に芽吹き始めてから、景色は一気に瑞々しく彩り豊かな表情へと変わりました。芽吹いたばかりの緑が、ひときわ美しく輝いています。まだ丈の低い宿根草と球根類のなかで、メリアンサス・マヨールが存在感を放ち、まるで象徴的なアイコンのように、ガーデン全体の成長を牽引しています。 【写真中の主な植物】上左/アリウム‘マジック’、フェスツカ・グラウカ‘ブルーセレクト’、アキレア‘テラコッタ’、バーベナ ボナリエンシスほか 上右/ムスカリ、フェスツカ・グラウカ‘ブルーセレクト’ほか 下左/アリウム‘マジック’ 、エキノプス‘リトロ’、スイセン ‘タリア’ ほか 下右/メリアンサス・マヨール、銅葉キンギョソウほか 2月の様子 成長の早い銅葉キンギョソウと、丈のあるメリアンサス・マヨールの組み合わせが、この時季ならではの見どころです。ブルーグレーの葉が美しいアシズリノジギクの、こんもりとした姿も印象的。一角では、ムスカリ・アルメニアカムの芽出しが確認できます。 【写真中の主な植物】上左/銅葉キンギョソウ‘ブラックプリンス’、メリアンサス・マヨール 上右/アシズリノジギク 下左/サルビア・ネモローサ‘カラドンナ’、ゲウム‘トータリータンジェリン’ほか 下右/ムスカリ・アルメニアカム 1月の様子 大きめなバークでごつごつとマルチングされたガーデンは、一見ワイルドな印象です。しかし、植物はやわらかな趣の宿根草が多く使われていて、そのギャップが面白みを感じさせます。この時期は、メリアンサス・マヨールがオーナメンタルな存在感を発揮。 【写真中の主な植物】上左/カラマグロスティス‘カールフォスター’、クニフォフィア ‘ルーペリ’ほか 上右/アキレア‘ウォルタープング’、サルビア・ネモローサ‘カラドンナ’、ラックス‘ラックス’ほか 下左/メリアンサス・マヨール、銅葉キンギョソウ ‘ブラックプリンス’ほか 下右/ラナンキュラス・ラックス ‘サティロス’、エキノプス ‘リトロ’ほか 12月の様子 コンテストガーデンD『SurFIVE Garden』12月中旬、作庭後の様子。 コンテストガーデンE「東京サバンナ・バイ・ザ・ベイ」 〜地の記憶と環境を翻訳する庭 【作品のテーマ・制作意図】 かつて廃棄物で埋め立てられたこの島には、現在ユーカリの森を中心とした強健な植生が根づき、都市にありながら原始的で異国的な景観を生み出しています。今回、植栽地となるこの森の縁に広がる強い日射と潮風にさらされた芝生を目にしたとき、「ここは都市の果てに現れたアーバン・サバンナだ!」と直感しました。 植物を単なる装飾に限らず、この地固有の「環境を翻訳する存在」と捉え、来園者が海風・光・湿度・熱といった目に見えない環境を感覚・知覚できる場をつくります。「東京サバンナ」は景観的なサバンナの模倣ではなく、夢の島の歴史と環境条件から必然的に現れた都市の新しい風景です。都市と自然の狭間に生まれたこの庭を通じて、来園者が環境や植物との関わりを見つめ直し、都市園芸の新たな可能性を感じ取るきっかけとなることを願います。そしてこのガーデンが、見た目の美しさと維持のしやすさを兼ね備えた、持続可能な宿根草ガーデンの新しいスタンダードとして育まれれば幸いです。 【主な植物リスト】 宿根草:ビゲロウィア・ヌッタリー/エゾノヨロイグサ/ハマボウフウ/ヒューケラ・シャムロックなどグラス類:カラマグロスティス‘カールフォスター’/パニカム・ヘビーメタル/セスレリア・オータムナリス/フェスツカ・アメジスティナなど コンテストガーデンE 月々の変化 4月の様子 ほかの植物よりひと足早く丈を伸ばしていたフロックス‘ラファミー’が満開を迎えました。春風にふわふわと揺れる淡いブルーの花が可憐で、ナチュラルな風景を描いています。先月から咲いているアルメリアのピンクの花も花数を増やし、ゲウムやネペタもちらほらと花を咲かせ始めました。まだ小さく柔らかなグラスの葉が、やさしく目に映ります。 【写真中の主な植物】上左/フロックス・ディバリカタ‘ラファミー’ 上右/アルメリア‘モーニングスターディープピンク’ほか 下左/ゲウム‘マイタイ’、セスレリア‘グリーンハイブリッド’ほか 下右/ネペタ‘キャッツパジャマ’、ゲウム‘バナナダイキリ’ほか 3月の様子 長い乾季を越えて雨季を迎えたサバンナのように、ガーデンが静かに動き出しました。宿根草はまだ成長を始めたばかりで、近くに寄らないとその姿がよく見えないほどですが、そんななか、早くもアルメリア ‘モーニングスターディープピンク’が一輪、小さな花を咲かせ始めています。 【写真中の主な植物】上左/フロックス・ディバリカタ‘ラファミー’ 上右/アリウム‘ミレニアム’ほか 下左/アンテミス‘ドワーフフォーム’ 下右/アルメリア‘モーニングスターディープピンク’ 2月の様子 先月はまだ見られなかった植物があちこちで姿を現し、静けさに包まれていたガーデンも、少しずつ活動を始めました。苗はまだ小さいものの、さまざまな葉形が見られ、デザイン的にバラエティに富んでいるのが、この段階からうかがえます。 【写真中の主な植物】上左/フロックス・ディバリカタ‘ラファミー’ 上右/ダイアンサス・カルシアナム 下左/ペルシカリア・アフィニス 下右/トリトマ‘グリーンジェイド’ 1月の様子 バーク堆肥でマルチングされたガーデンには、植物たちがまだまだぬくぬくと眠っているかのような静けさが広がっています。しかし表土をよく観察すると、小さな葉をのぞかせ始めた宿根草の姿があり、強い生命力が感じられます。これからどのような風景が描かれていくのか、まったく想像がつかないだけに、今後の成長への期待がいっそう高まります。 【写真中の主な植物】上左/ゲウム‘バナナダイキリ’ 上右/リベルティア‘ゴールドストライプ’ 下左/ヒゲロウィア・ヌッタリー 下右/ポテンティラ‘ヘレンジェーン’ 12月の様子 コンテストガーデンE『「東京サバンナ・バイ・ザ・ベイ」 〜地の記憶と環境を翻訳する庭』12月中旬、作庭後の様子。 5つの花壇のコンセプトと作庭について詳しいレポートはこちらをチェック! コンテストガーデンを見に行こう! Information 都立夢の島公園「グリーンパーク」内所在地: 東京都江東区夢の島2-1電話: 03-3522-0281https://www.tokyo-park.or.jp/park/yumenoshima/index.html#traffic開園時間:常時開園※サービスセンター及び各施設は、年末年始は休業。営業時間等はサービスセンターへお問い合わせ下さい。入園料:無料(一部有料施設あり)アクセス:東京メトロ有楽町線(Y24)・JR京葉線・りんかい線「新木場」下車、徒歩7分。東京メトロ東西線「東陽町」(T14)から都バス(東陽町-新木場、東陽町-若洲海浜公園)「夢の島」下車。高速湾岸線「新木場インター」より5分駐車場:有料
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Fukuoka Flower Show 2026がすごかった! 最優秀賞の庭、話題の花、映える演出まで総まとめ
庭を“展示”で終わらせず、都市の文化へ昇華する5日間 「Fukuoka Flower Show 2026」は、この春リニューアルした福岡市植物園を会場に、3月22日から26日まで開催されました。国際水準のガーデンコンテストやベランダガーデン、ハンギングバスケット、品種のコンテスト、レストラン・カフェ、ステージプログラムなど充実のコンテンツで、25日は21時までのライトアップも開催。 まずは注目のガーデンコンテストからご紹介します。 FFS Garden of the Year(最優秀賞)は「The Spirit of the Forest ― 森のスピリット ―」 注目のガーデンコンテストのFFS Garden of the Year(最優秀賞)を受賞したのは「The Spirit of the Forest ― 森のスピリット ―」。この作品は、京都の芦生の森や東京の明治神宮への訪問から着想を得ています。まるで静かな森のような空間をつくり出し、来訪者に思索や内省の機会を与えると同時に、日本の森林の未来についての物語を伝えることを目指した庭です。人工林をやさしく間伐することで、森の床に再び光が届き、より多様で強靭な森林の再生が促される姿を表現しました。 手がけたのは、英国のガーデンデザイナー、デイヴ・グリーン氏。RHSで10年以上の経験を持ち、2019年のRHSハンプトンコートパレスガーデンフェスティバルでゴールドメダル、2025年のRHSチェルシーフラワーショー・スモールショーガーデン部門でもゴールドメダルを受賞。2025年大阪・関西万博の英国パビリオン植栽デザインと監修も担当しました。今回の施工は、にわむすびとOne Flower FUKUOKAが担当。国際的な設計者のビジョンを、地域の施工チームがかたちにした点も、この庭の見どころのひとつです。 直立に切り出されたスギ材の板と、ヒノキ材のデッキやベンチには、森林管理から得られた木材が用いられている。木の自然な香りは安らぎを与え、五感を使って空間を体験する手助けとなる。 木漏れ日、葉の陰影、葉ずれの音……森の気配を美しく写し取った庭 樹木の枝葉がつくるやわらかな明暗、下草の重なりが生む奥行き、視線を少しずつ遮ったり抜いたりする植栽の組み方。その一つひとつが、ただ植物を美しく配置するためだけではなく、森に身を置いたときに感じる感覚の総体を立ち上げるために働いているように見えました。 枝葉を通した光は時間とともに移ろい、同じ場所でも表情が変化し、また風が吹けば葉がかすかに触れ合い、耳心地のよい葉ずれの音が。森の中でふと感じる木漏れ日、葉の陰影、葉ずれの音、湿り気を含んだ空気といった、自然の中で起こる繊細な事象そのものが、庭というかたちに置き換えられていました。最優秀賞という結果は、そうした静かな表現の確かさと強さが高く受け止められたことを感じさせます。 ベストコンストラクション(最優秀施工賞)&ピープルズチョイスのW受賞「A Garden Where Kindness Blooms ― やさしさの芽吹く庭 ―」 ベストコンストラクション(最優秀施工賞)は「A Garden Where Kindness Blooms ― やさしさの芽吹く庭 ―」。自然を感じ、触れ合う体験を通して、生命への共感と思いやりを育むことをテーマにした庭です。かやぶき屋根の小屋、地域の木々や草花、あぜ道のような園路、林の小径、バイオネスト型コンポストなどを組み合わせ、自然の循環や生きものの気配を身近に感じられる空間として構想されました。 手がけたのは、造園設計や花とみどりの活動を行う藤井宏海さん。2023年・2024年の「一人一花フラワーチャンピオンシップ」最優秀賞、2025年の「FUKUOKA FLOWER SHOW pre-event ガーデンコンテスト」メンター賞などの実績を持つデザイナーです。 施工はHOUSE、マタケ造景株式会社、ソラアルキ、有限会社成富石材造園、茅葺き かぜおり、魁 左官が担当し、西日本短期大学西川研究室も施工協力として参加しました。かやぶき屋根の小屋、あぜ道のような園路、自然な植栽のつながりといった魅力は、こうした多分野のチームが力を合わせて、コンセプトを実際の空間へと丁寧に落とし込んだからこそと感じさせます。 小花が入り混じる“野原のような風景”を、緻密な植栽で立ち上げた この庭は最優秀施工賞に加え、来場者投票によるピープルズチョイスでもガーデンコンテスト部門の1位に選ばれました。小さな花々が入り混じって咲く、野原のようにやわらかな風景に、「なんか懐かしい」と来場者の足を止めていました。ぱっと見には自然に咲き広がっているように見えますが、実際にはこうした景色をデザインと植栽で成立させるのは、高難度といえます。高さも咲くタイミングも異なる植物を重ねながら、つくり込みすぎず、しかし散漫にも見せない。その絶妙なバランスの上に、この庭の自然な美しさは成り立っていました。 実際の植栽リストを見ても、その工夫がよく分かります。高木にはウラジロガシ、ヤマサザンカ、リンボク、ヤマザクラ、アブラチャン、中低木にはミツバツツジ、ユキヤナギ、コデマリ、シジミバナなどを配し、その足元にワスレナグサ、チドリソウ、リナリア、ムラサキハナナ、ビスカリア、モモイロタンポポ、ムスカリなどの草花を重ねています。なかでもユニークなのは、春のナズナやスズシロ、ハコベラといった七草を植栽の一部として取り込んでいたこと。 ガーデンコンテストでは、完成度の高い花壇的植栽や、強いテーマ性を持つ植栽構成を見ることは多くありますが、こうした春の野の景色や日本の季節感、食や文化とつながる植物が庭の中に織り込まれているのは、新鮮かつ見応えがあり、見る人の感情も揺さぶったようです。 このガーデンコンテストは、英国RHSチェルシーフラワーショーに準拠し、実際にRHSの副会長を務めるジェームズ・アレクサンダー・シンクレア氏と理事のリズ・ニコルソン氏が来日し審査を実施。RHSが公開するショーガーデンの審査では、コンセプトの実現度、独創性、全体の完成度、平面・立体の空間構成、施工精度、植栽デザイン、植物の品質や健康状態まで、多面的に評価されます。 2つのゴールドメダルは方向性は異なりますが、どちらも単なる装飾ではなく、庭という表現で何を伝えたいのかが明確だった点などが共通していました。 ベランダガーデン、ハンギングバスケットなど “暮らしに近い花”の魅力も ショーガーデンが大きな見どころである一方で、ハンギングバスケットやベランダガーデンのコンテストも、今回のイベントに親しみやすさを与えていました。ベランダガーデン部門はエフェクトの「Urban Escape Balcony ~都会の上に浮かぶ、私だけのリゾート~」がベストベランダ賞とピープルズチョイス賞をダブル受賞。 ハンギングバスケット部門では、大阪府の高見周一さんの作品「情熱と挑戦」(写真右)が最優秀賞を受賞。春の花のグラデーションでテーマがよく表現されている点、細部まで丁寧に作り込まれた完成度の高さが高評価となりました。また、ピープルズチョイス賞には福岡県の長野恭子さんの作品「Spring Flowers」(写真左)が選ばれました。 これらの部門は来場者が「自分の暮らしにも花を取り入れたい」と感じられるのが魅力。大きな夢の庭と、限られたスペースでも楽しめる庭。その両方が同じ会場にあることで、イベント全体に厚みが生まれていました。 フォトスポットが随所に!来場者の高揚感を引き出した“ショーとしての演出力” Fukuoka Flower Show 2026 の魅力は、優れた庭や花の展示が並んでいたことだけではありません。会場には来場者が自然と足を止め、写真を撮りたくなる仕掛けが随所に散りばめられていました。 入口で来場者を迎える鮮やかなピンクのウェルカム装飾には、「FUKUOKA FLOWER SHOW」のサインが大きく掲げられ、会場に入る前から“特別な場所に来た”という期待感を作り出していました。昼は青空の下で華やかに映え、夜は照明を受けていっそうドラマチックな表情に。まず最初に多くの人が足を止めるフォトスポットになっていました。 そして、その期待感を会場の中でさらに膨らませていたのが、石原和幸氏が手がけたシンボルガーデン「春の彩 ~360° パステルバンケット~」です。頭上を覆うように広がる構造物の外側はみずみずしい切り花で装飾され、内側にはドライフラワーが贅沢にあしらわれ、さらに周辺を植栽やコンテナが彩るという、非常に凝ったつくり。 切り花、ドライフラワー、植栽という異なる花の手法をひとつの空間に重ね合わせたことで、庭であり、装飾であり、舞台でもあるような、独特の華やかさが生まれていました。記念撮影を楽しむ来場者が絶えなかったのも納得で、ここには“作品を見る”だけでなく、“その中に入って主役になれる”ような楽しさがありました。 この“花の中で過ごす特別感”は、飲食スペースにも及んでいました。福岡の人気店・実力店が集まる花と美食のガーデンレストラン・カフェエリアは、テーブルが並ぶテントの天井内側にドライフラワーが飾られ、その前にはルピナスやデルフィニウムなどの花々が植え込まれたガーデンが。美しい庭を眺めながら、福岡の食やお酒を味わえるこの空間は、レストランというより“花に包まれた祝祭の客席”のようで、ショー全体に一段上の特別感を与えていました。夜間開催の日には、各ガーデンのライトアップに加え、夜限定のレストランメニューも用意され大勢の人でにぎわいました。 まだ知らない花に出会えるのもショーの醍醐味。来場者投票で選ばれた「FFSプランツアワード」 左/ゴールドメダルに輝いた石原産業株式会社の「Phalaenopsis Blue Gene」。中/シルバーメダルはDOLCE'S の「多肉植物 アエオニウム属 ピンクウィッチ綴化」。右/ブロンズに選ばれたのは吉村農園の「種子系八重咲きパンジー・プリンセスKEIKO」。 会場を歩いていると、“こんな植物があるのか”と足を止めたくなる、新しい品種や珍しい植物に出会えることも、このショーならではの大きな楽しみ。その象徴となっていたのが、FFSプランツアワードです。 この企画は国内有数の種苗会社などが手がけた新品種・優良種を集め、Fukuoka Flower Show 2026から福岡、そして全国のまちへ広げていく花や植物を決定するもの。来場者投票約5,000票によって選ばれた結果、上記の3品種が受賞しました。受賞品種には今後、受賞ロゴが付けられ、全国の園芸店などで販売される予定です。 さらに、受賞品種だけでなく、会場にはこれからの園芸シーンを予感させるような新しい植物や、まだ広くは知られていない魅力的な品種も並んでいました。その代表が、しなやかに枝垂れてやさしいアーチを描く、コンパクトな樹形が魅力の「フィラデルファス プチパフューム ピンク」。 実物は残念ながらまだ開花前でしたが、展示パネルでは魅力的な芳香をもつ花を初夏から少なくとも6週間にわたって数百輪咲かせること、さらに大気汚染や乾燥にも強く、都市部や沿岸部でも育てやすいことが紹介されていました。15年にわたる育種の末に誕生した、世界でも珍しいピンク花のフィラデルファスとされており、香り、花つき、育てやすさを兼ね備えた、これから人気が広がりそうな木本植物として強い印象を残しました。 また、日本初登場として紹介されていた「バラ アミローズ」も注目を集めていました。アプリコットからピンクへと移ろう花色に加え、長い開花期間と耐病性を備え、観賞性と育てやすさを兼ね備えた新しいバラとして印象に残りました。 植物園の中から街へ。フラワーショーを福岡の景色にしようとした試み 植物園の中で見た花の世界が、そのまま街へつながっていたのもFukuoka Flower Show 2026の大きな特徴。福岡のまちを彩る「まちなか花装飾」は、会場の外へも美しさをにじませ、まち全体の価値向上につながっていました。 博多駅前広場に登場した高さ4.5mのフラワーインスタレーション「春と再生」。福岡県の海岸に漂着した流木、山を荒らし伐採される蔓、約1,500本。行き場を失ったロスフラワー、約1,000本。福岡県産の生花・花苗・生木・造花、合わせて15,000本を使用した圧巻の作品。 初開催となったFukuoka Flower Show 2026は、完成度の高い庭を並べるだけのイベントではありませんでした。森の光や音まで感じさせる庭、春の野を思わせる植栽、暮らしに近いベランダガーデンやハンギング、まだ知らない新品種との出会い、そして思わず写真を撮りたくなる華やかな演出まで、花と庭の楽しみ方を立体的に見せてくれる場でした。植物園の中で始まった感動が街へも広がっていく構成からは、福岡がこのフラワーショーを一過性の催しではなく、都市文化として育てていこうとする意志も感じられます。初回でここまで見応えがあるなら、次回はどんな庭と花に出会えるのか。そんな期待を抱かせる第一歩だったと言えそうです。
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【5月のGWは横浜へ!】日本最大級の花と緑の祭典「横浜フラワー&ガーデンフェスティバル2026」開催
「ガーデンシティ横浜」で花盛りの季節を満喫しよう! マリンタワーや観光船氷川丸を背景にバラ咲く景色が楽しめる山下公園(右3枚)と横浜ベイブリッジを望む高台に宿根草とバラが調和する港の見える丘公園(左上と下中)、ローズトンネルに無数のバラが咲く「横浜イングリッシュガーデン」(左下)。右上/Princess_Anmitsu/shutterstock.com その他/3and garden 約1,900株ものバラが港を背景に咲く「山下公園」をはじめ、イングリッシュローズの庭・香りの庭・バラとカスケードの庭などでバラと草花が咲き競う「港の見える丘公園」、2,200品種のバラをコレクションする「横浜イングリッシュガーデン」など、多くの花の名所が点在する横浜市。港の春は、3月下旬のサクラからはじまり、4月上旬にはチューリップ、そして市の花でもあるバラへと華やかに咲き継いでいきます。バラが街のいたるところを彩る5月のゴールデンウィークには、花と緑が主役の一大イベント「横浜フラワー&ガーデンフェスティバル2026」が開催されます。横浜市の各所のお花見散策とセットで、イベントへも足を運んでみてはいかがでしょうか。 すべての園芸ファンのための花と緑のフェスティバル開催 「横浜フラワー&ガーデンフェスティバル2026」の会場は、横浜港を背にした「パシフィコ横浜」展示ホールA・B。Hamdan Yoshida/shutterstock.com 日本で37年ぶりとなる最上位(A1)クラスの国際園芸博覧会「GREEN×EXPO 2027」の開催を控える横浜市。その世界的プロジェクトのプレ・イベントでもある「横浜フラワー&ガーデンフェスティバル2026」は、ショーガーデンやモデルガーデン、植物の最新品種の展示をはじめ、園芸業界を牽引する企業による展示やショップ、花緑にまつわる著名人が続々登場するステージ、ワークショップなど、多彩なコンテンツが満載。すべての園芸ファンのためのワクワクがぎゅっと詰まった3日間です。 入ってすぐ引き込まれる! トップクリエイターたちが魅せる「花緑の世界」 左から/天野麻里絵さん(ガーデンデザイナー・ガーデナー)、阿部容子さん(造園家・ガーデンデザイナー)、河本麻記子さん(バラ育種家) イベントの目玉となる「メインガーデン」では、才能あふれるガーデナーが手掛ける最新のガーデン空間が来場者を迎えます。まず注目したいのは、天野麻里絵さんと阿部容子さんという実力派2名によるコラボレーションです。「憧れのガーデン」をテーマに、4つの美しいガーデンシーンが展開されます。さらに、人気のバラ育種家である河本麻記子さんがアトリエからインスピレーションを得た特別な展示も予定され、バラファンにとって期待の空間となるでしょう。 ローラン・ボーニッシュさんが手がけた2025年の展示、「フレンチローズが咲く庭に佇む小さな家」。 また、フラワーデザイナーのローラン・ボーニッシュさんが、「La cabane au fond du jardin. ~庭の奥に佇む1軒の小屋~」と題した展示を行います。四季の移ろいとともに自然と調和して暮らす「La cabane(小屋)」の世界観を表現し、会場でのライブパフォーマンスも予定されています。プロの技と世界観を間近で体感できる絶好のチャンスです。 花緑を愛するゲストが続々登場する2つのステージ モデル・タレントとして活躍し、自らDIYや庭づくりを手掛けている森泉さんをはじめ、華道家の假屋崎省吾さん、庭師・俳優の村雨辰剛さん、ガーデンデザイナーの吉谷桂子さん、園芸超人のカーメン君など、豪華ゲストが勢ぞろい! 園芸家や園芸デザイナー、ガーデンデザイナー、ローズアンバサダー、熱帯植物栽培家など今、ガーデニング業界で活躍中のステージゲストが続々登場し、トークショーや園芸セミナー、デモンストレーションなど多彩なプログラムが予定されています。TVや雑誌などメディアで有名な方々の生の声が聞ける貴重な機会をお見逃しなく。 花と緑の楽しさ100人100通り! 植物のトレンドをキャッチ バラの街・横浜からトレンドのバラ一挙公開 「バラの街」横浜ならではの特別企画が「横浜ローズコレクション」です。ここでは、最新品種から人気のバラ、そしてインフルエンサーがおすすめするトレンドのガーデンローズまでが一堂に揃い、華やかなバラの競演を堪能できます。現在展示が予定されている注目の品種をご紹介します。 写真左からエメトワ/フランスのデルバール社からデビューした大輪のロゼット咲きのバラです。「Aime-toe(自分を愛して)」という意味が込められており、豊かで爽やかな香りも魅力。ぜひ、会場で香りを確認してください。紫式部/日本のブランド「ロサ オリエンティス プログレッシオ」が手掛けた品種です。茶色を帯びた落ち着いた藤紫の花を咲かせ、慎ましくも気品ある佇まいを感じさせるバラです。アンソレイユ/フランスのメイアン社が誇る、鮮やかな黄色のバラです。「陽だまり」を意味する名の通り、温かみのある大輪の花を咲かせ、優しい香りも大きな魅力となっています。 写真左からティアーモ/ドイツのコルデス社から誕生した、情熱的な愛を思わせる真紅のバラです。花弁がしっかりとして、照葉も美しいのが特徴。育てやすい品種としても人気を集めています。トワイライト ヨコハマ/日本のバラの育種家、河合伸志さんが手掛ける品種です。しなやかで軽やかな枝に、夕暮れの空を思わせる繊細な青みを帯びた花を咲かせます。タルト アブリコ/日本のブランド「ローズ ドゥ メルスリー」が手掛けた品種です。タルト菓子をイメージして命名され、コロンとした可愛らしいカップ咲きと、フルーツとダマスクの甘い香りが魅力です。 さらに会場では、日本全国から集められた最高品質のばら切花のなかから、日本一のバラ栽培技術を決定する「日本ばら切花品評会」も同時開催されます。 最新品種や日本のガーデニングのいまを知る多様な花と緑のコンテンツ あなたも審査員! ガーデニングコンテスト&日本バラ切花〜新品種展示と人気投票〜 日頃から培ってきたデザイン力、植え付けの技術、提案性などを活かした美しい作品がずらりと並ぶガーデニングコンテストを会場内で開催! 部門は、①ミニガーデン部門 ②コンテナガーデン部門 ③ハンギングバスケット部門の3つ。来場者による人気投票と、審査員による部門別の審査結果は会場で発表。ガーデニングのヒントを得るコンテスト展示の機会をお見逃しなく。 Japan品質のクオリティーが高い花々を鑑賞 バラ以外にも、日々のガーデニングのインスピレーションを刺激する多彩な企画が満載です。「ジャパンセレクション」では、市場に出回る前の新品種を含む、最新の鉢花や切り花が勢揃い。種苗メーカーが開発した新商品や、個人育種家が作った新品種の咲きたての花々が見られる貴重な機会です。また、会場での人気投票も実施され、次世代のトレンドをいち早くチェックできます。 「花とみどり 和の楽しみ〜牡丹〜」では、ナビゲーターに村雨辰剛さんを迎え、日本一の牡丹の産地である島根県・大根島から届く見事な牡丹もご覧いただけます。由志園の協力により、華やかな和の展示が実現します。 市民パワーで街に緑を 公園愛護会など、横浜を美しく彩る市民活動を紹介するコナーでは、ガーデナーの永江晴子さんによる「水やりが楽になるモデルガーデン」も披露されるなど、実践的なお庭づくりのヒントが得られます。 大人から子どもまで楽しめるステージ&体験型ワークショップ 会場では展示を見るだけでなく、実際に参加して楽しめるコンテンツも充実しています。これまでやってみたかったガーデニングに関するさまざまなテーマを、ご友人やご家族と一緒に体験するチャンス! 新しい趣味の扉が開くこの機会、ぜひご参加ください! 木育キャラバン/「東京おもちゃ美術館」所蔵の国産の木のおもちゃが、横浜フラワー&ガーデンフェスティバルにやってきます!たくさんの木のおもちゃで遊びながら森や樹々など自然のぬくもりを五感で感じることができる、親子で楽しめるコンテンツです。参加費:無料 楽しい!たねダンゴ/いま話題の「たねダンゴ」は、新しい種まきの手法。泥んこ遊び感覚で土ダンゴを作りながら、種や花について学べる楽しい講座です。作ったたねダンゴを、お家で花壇やプランターに植えつけて育てることができます。参加費:300円(税込) 植木屋さんになってみよう/お子様向けの職業体験コーナー。ブルーベリーの苗植え替え体験や、つつじの剪定体験を、プロの職人さんが丁寧にお教えします。植木屋さんなりきり記念写真や、ブルーベリーとつつじの苗木をお持ち帰りいただけます。参加費:800円(税込) ハンギングバスケット・寄せ植え体験ワークショップ/ハンギングバスケットマスターのアドバイスを受けながら寄せ植えを作るワークショップです。初心者の方はもちろん、お子様も楽しめる内容なので親子での参加も大歓迎! 参加費:1,500〜4,000円(税込) ミニ畳づくり&いけばな体験/和文化を象徴する、畳といけばなのワークショップです。「ミニ畳を作ろう 参加費:800円(税込)」と「自分だけの和空間づくり ミニ畳×いけばな体験 参加費:2,500円(税込)」の2タイプ。どなたでも簡単に作れるミニ畳に合わせて季節のお花をいけてみませんか? 芳香バラを使ったフラワーアレンジメント/香りのバラを使って、癒やしのフラワーアレンジメントを作ります。作品はお持ち帰りいただき、ご自宅で花のある暮らしを楽しみませんか? 参加費:1,500円(税込) バラの香り調香ワークショップ/カラフルな8種のバラの香りビーズを自分好みに調香して、オリジナルのサシェをつくります。参加費:1,000円(税込) 大のこぎり丸太切り体験/大きな2人挽きノコギリでヒノキの丸太を輪切りにする体験です。頑張って切り落とした丸太は、記念にプレゼント! スタッフがお手伝いしますので、お一人でも気軽にご参加ください。参加費:無料 香るエッグポマンダーをつくりましょう/エッグポマンダーは、卵の殻の中に香るハーブポプリを入れ、外側に自分で選んだ素敵な布を貼って完成させます。可愛く仕上げた作品を、ぜひご自宅に飾って香りも楽しんでください。参加費:1,200円(税込) 押し花であそぼう/色とりどりの押し花を使って、自分だけのアート作品を作りませんか? ①世界にひとつの押し花カード、②花柄のポーチ、③お肌にやさしい押し花タトゥーの3つの楽しい体験からお選びいただけます。参加費:100〜800円(税込) midori-ba ワークショップ/みどりの共創コミュニティ「midori-ba(みどりば)」の仲間たちによる楽しいワークショップです。お花いっぱいの帽子を作って、元テーマパークダンサーが率いるパレードに出かける「フェアリーガーデンパーティー 参加費:2,500円〜(税込)」や、「藍の種まきワークショップ 参加費:500円(税込)」などを開催予定。 園芸相談/(公社)日本家庭園芸普及協会が認定する園芸の指導者「グリーンアドバイザー」がガーデニングや植物の栽培に関する日頃のお悩みにお答えします。参加費:無料 ご家族連れで一日中たっぷりと楽しめる幅広いコンテンツがあるのも、本イベントの大きな魅力です。各実施タイムスケジュールやお申し込み方法は、以下よりチェックを! チケット好評発売中!今年のGWはパシフィコ横浜へ 「横浜フラワー&ガーデンフェスティバル2026」は、ガーデニングにまつわる最新のトレンドに触れ、知識を深め、美しい花々に癒やされる、まさにガーデニングファンにとって楽しみが凝縮したイベントです。 出展者やステージ出演者、コンテンツ情報なども続々と発表されていますので、ぜひ公式サイトで最新情報をチェックしてみてください。 「ガーデンストーリー×青山ガーデン」ブースでは、人気ガーデンアイテムを展示&販売! 当サイト「ガーデンストーリー」も、ガーデニング&エクステリア専門のオンラインショップ「青山ガーデン」とコラボで、会場中央奥37番ブースに出展いたします。 ブースでは、ガーデングッズの新ブランド「GARDEN STORY Series(ガーデンストーリーシリーズ)」商品を展示&販売(イベント限定特別価格あり)! 商品を実際に手に取ってご覧いただける貴重な機会です。また、次回企画に向けての投票イベント(タネのプレゼントあり!)も開催します。 ドイツ生まれの園芸ツールブランド「GARDENA(ガルデナ)」の各種ハサミの試し切り&販売も。 また、当日ガーデンストーリーの書籍(KADOKAWA発行)『花や実を育てる飾る食べる 植物と暮らす12カ月の楽しみ方』または『おしゃれな庭の舞台裏 365日 花あふれる庭のガーデニング』をご購入いただいた方には、ガーデンストーリーオリジナルのオーガニックコットン巾着を先着30名様にプレゼント。 そして初日5月2日(土)には、11:50〜12:30にガーデンステージにて、ガーデンストーリー編集長・倉重香理によるトークショーを、また同日のガーデンストーリーのブースでは、エム・アンド・ビー・フローラの難波良憲さんによる寄せ植えデモンストレーション(時間未定)を行います。 皆様のお越しをお待ちしております! 無料会員限定で20組様へ、ペアチケットをプレゼント! 2026年5月2日(土)~4日(月)に神奈川県横浜市「パシフィコ横浜」で開催3年目となる「横浜フラワー&ガーデンフェスティバル2026」の入場チケットを、無料会員制度「ガーデンストーリークラブ」会員限定で20組40名様に抽選でプレゼント! 応募方法 ●新規会員登録の方①下記リンクの記事より無料会員制度「ガーデンストーリークラブ」にご登録。 ②自動返信メールに記載の応募フォームからご応募。※自動返信メールが届かない場合は、info@gardenstory.jp までご連絡ください。 ●会員登録済の方4月10日12:00配信のメールマガジンに記載の応募フォームからご応募ください。●応募締切 4月22日(水)9:00ご応募お待ちしております! Information 「横浜フラワー&ガーデンフェスティバル2026」開催日時 2026年5月2日(土)~4日(月) 10:00~17:00 ※最終日16:00まで ※入場は閉場時間の30分前まで会場 パシフィコ横浜 展示ホールA・B入場料 前売券 ¥1,600 当日券 ¥2,000 中学生以下無料 ※税込 チケット購入はこちら(https://yfg-fes.jp/ticket/)主催 横浜フラワー&ガーデンフェスティバル2026実行委員会 ガーデンネックレス横浜実行委員会 (公社)日本家庭園芸普及協会 (株)NHKエデュケーショナル (一社)JFTD (株)横浜国際平和会議場 (公社)2027年国際園芸博覧会協会 (公財)横浜市緑の協会共催 横浜市後援 農林水産省、国土交通省、神奈川県、NHK横浜放送局、UR都市機構、都市緑化機構、全国花みどり協会
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「都道府県の花」3択クイズ! 山形県の花は次のうちどれ?【Let’s Try! 植物クイズ】Vol.41
「山形県の花」は次の3つのどれ? Shirakami/Shutterstock.com その名のとおり周囲を山に囲まれた山形県。日本百名山に数えられる山も多く、面積の72%を山地が占めています。観光地として知られる蔵王や、信仰が息づく出羽三山、松尾芭蕉ゆかりの山寺(宝珠山立石寺)、フォトジェニックな街並みが人気の銀山温泉など、雄大な自然と歴史が感じられるスポットが数あり、観光地としても人気。特産の美味しい食べ物も目白押しです。 そんな山形県を象徴する「鳥」はオシドリ、「魚」はサクラマス、「獣」はカモシカです。それでは、山形県の花は、次のA~Cのどれでしょう? A べにばな(紅花) Viktor Kovtun/Shutterstock.com B 桜の花 Foofa Jearanaisil/Shutterstock.com C ユリ Toshio Umekawa/Shutterstock.com ヒント 3世紀頃に日本に渡来したとされ、現在は山形県が生産日本一。開花期には一面に咲く光景が楽しめ、各所でイベントも開催されます。 正解は… ↓ ↓ ↓ ↓ A べにばな(紅花) Viktor Kovtun/Shutterstock.com ベニバナの基本データ 学名:Carthamus tinctorius科名:キク科属名:ベニバナ属原産地:中近東和名:ベニバナ(紅花)ベニバナの別名:末摘花(すえつむはな)、サフラワー、ベニアイ(紅藍)、クレノアイ(呉藍)などベニバナの英名:safflower、false saffron、dyer's-saffronなど開花期:6~7月花色:黄~オレンジ~紅形態:一年草(越年草)草丈:60~120cm 口紅や染料、また油の原材料として、古くから珍重されてきたベニバナ。万葉集にも登場し、また源氏物語の「末摘花」はベニバナの別名であるなど、藍や紫根などとともに染料植物の代表的な存在で、中近東からシルクロードを経て日本に渡来し、次第に全国に広まっていったとされています。山形では江戸時代頃に栽培が拡大し、その質のよさから「最上紅花」の名で知られ、「米の百倍、 金の十倍」の価値があるとうたわれたほどです。現在も山形県が生産量日本一。昭和57年に山形県の花として制定されました。ちなみに、同じく生産量日本一を誇る「さくらんぼ」は、県の木として制定されています。 High Mountain/Shutterstock.com ベニバナはキク科ベニバナ属の一年草で、春か秋に種まきをすると、初夏~夏に、細い花弁のアザミに似た花姿で開花します。咲き始めは濃い黄色で、次第に赤みを増してオレンジ色になり、しぼむ頃には紅色になります。深い緑色の葉や総苞にはトゲがありますが、トゲのない改良品種もあります。花後には白い痩果ができます。 wasanajai/Shutterstock.com 学名のCarthamusは「染める」、tinctoriusは「染色用の」という意味の言葉に由来し、どちらもベニバナが染料となることが名前の由来。染料として使われるのは花弁で、より濃い紅色に染まるようベニバナをつぶして発酵させ、成形・乾燥させた紅餅も利用されます。また、種子からはベニバナ油が抽出されます。 Singha Songsak P/Shutterstock.com ベニバナを自宅で育てる場合は、種まきからスタートするとよいでしょう。種まきは9~10月、または3~4月が適期です。直根性なので、根を傷めないように直まきがおすすめ。日当たり・風通しのよい乾燥した環境を好み、20℃前後でよく生育します。草丈が高くなるので、倒伏防止に支柱を立てておくとよいでしょう。一年草で、花後は種子をつけて枯れてしまうため、植え替えの必要はありません。 High Mountain/Shutterstock.com クイズ一覧はこちら!
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いま高尾山で出会える春のスミレ7選 タカオスミレの見頃と見分け方も
高尾山で出会いたい代表的なスミレ7種 高尾山の登山道。TakeZero1/Shutterstock.com 東京都心から約1時間。東京都八王子市にある、標高599mの高尾山は、都心からのアクセスもよく、日帰りでもハイキングや自然を堪能できる人気の国定公園です。多種多様な動植物が生息する高尾山にあって、特に人気が高い花の1つが「スミレ」。 日本には50~60種の野生のスミレがあり、スミレ大国ともいわれますが、そのうち、18種のスミレを見ることができるといわれているのが、この山です。じつは高尾山は「スミレの山」とも呼ばれるほど、スミレ観察で有名な山。登山道沿いで十数種類のスミレを観察することができ、スミレ愛好家にとってはまさに宝の山なのです。 高尾山ではコースによって出会いやすいスミレが異なるため、歩く道を意識すると観察がいっそう楽しくなります。そんな高尾山で代表的なスミレを7種、観察しやすいルートの目安とともにピックアップしてご紹介します。 <高尾山の登山ルート> 出典:高尾ビジターセンター タカオスミレ(高尾菫) 高尾山のスミレを語る上で欠かせないのが、その名を冠したタカオスミレ(高尾菫)です。高尾山で発見され、1928年に新種として発表されたこのスミレは、まさに高尾山のスミレを象徴する存在です。約1.5~2cmの小さな花は白く、花びらには細かい紫色の筋が入り、繊細な美しさを持ちます。 タカオスミレの最大の特徴は葉の色。白い花とのコントラストが美しい、濃いチョコレート色の葉を持ちます。じつは、タカオスミレはヒカゲスミレというスミレの変種なのですが、ヒカゲスミレは葉が緑色。高尾山の特定の環境で葉が茶色くなったものが「タカオスミレ」として定着したため、この葉の色がタカオスミレを成立させるポイントになるのです。 見頃:4月中旬〜下旬 観察できる場所:1号路、6号路、蛇滝コース、日影沢コース(裏高尾)など アオイスミレ(葵菫) 名前の由来は、葉の形がフタバアオイの葉に似ていることから。フタバアオイは徳川家の家紋にも使われています。スミレの中でも早咲きで、林床部の日当たりのよい場所でよく見られます。花色は淡紫色で、白に近いものもあり、花弁が波打つようになるのが特徴です。展開前の葉は両側から巻いてくるのも特徴。 見頃:3月中旬~4月上旬 観察できる場所:3号路、稲荷山コース、日影沢コースなど ヒナスミレ(雛菫) tamosoho/Photolibrary 小さめで可愛らしいことから「雛」という名がついた可憐なスミレ。早咲きで、透明感のある淡いピンク色の花を咲かせます。日陰を好みますが、開花にはある程度の光が必要です。先が細く尖った葉は、裏側が紫色を帯びます。 見頃:3月中旬~4月上旬 観察できる場所:3号路、稲荷山コースなど タチツボスミレ(立坪菫) Billysfam/Shutterstock.com 日本を代表するスミレの1つで、全国のたいていの場所で見ることができ、高尾山でも最もよく見られるスミレです。淡紫色の花はすっきりと整った印象で、群れ咲く様子を見ることができます。個体数が多いことから、変異も多くあります。 見頃:3月中旬~4月下旬 観察できる場所:全てのコース エイザンスミレ(叡山菫) 里人/Photolibrary 比叡山に咲くことが名前の由来。一見スミレとは思えないほど、葉が深く裂けているのが特徴です。花は直径2~2.5cmとやや大きめで、紅色が強いものから白に近いものまであります。 見頃:3月下旬~4月中旬 観察できる場所:3号路、5号路、稲荷山コースなど マルバスミレ(丸葉菫) 花も葉も丸みを帯び、親しみやすい印象のスミレ。純白の花を咲かせますが、時に淡いピンクを帯びることもあります。群生している姿もよく見ることができます。 見頃:3月下旬~4月中旬 観察できる場所:1号路、3号路、蛇滝コース、日影沢コースなど ナガバノスミレサイシン(長葉の菫細辛) その名のとおり、細長い葉が特徴で、葉の裏側は紫色を帯びます。淡紫色のやや大きめの花を咲かせ、距(きょ)は短め。開花期にはまだ葉が展開しきらず基部が巻いていることも多いです。太平洋側の雪の少ない地域に多く分布します。 見頃:3月下旬~4月中旬 観察できる場所:全てのコース <高尾山のスミレ 開花の目安カレンダー> スミレを見分ける観察ポイント Svetlana Zhukova/Shutterstock.com スミレはよく似た種類も多く、一見同じ花に見えるかもしれませんが、識別ポイントを押さえて種類を同定できると、スミレ観察の楽しさは何倍も広がります。はじめは図鑑を引きながらでも、次第に顔見知りの品種も増えてくるはず。スミレ識別の主な4つのチェックポイントをご紹介します。 地上茎の有無 地上茎のあるタイプのスミレ。Lana Brow/Shutterstock.com スミレの仲間を見分ける大きなポイントが地上茎の有無。茎を伸ばしてそこから枝分かれして茎葉や花を付けているものは地上茎があるタイプ。一方、地際から直接葉柄や花茎を伸ばしているものは地上茎がないタイプ。どちらのタイプなのかを見分けることで、よく似たスミレも品種が異なることを発見できます。 花弁の色と側弁(そくべん)の毛 〇で囲んだ部分の毛もヒントに。Svetlana Zhukova/Shutterstock.com スミレというと紫色のイメージがあるかもしれません。ですが、薄紫色、黄色、紅紫色、白など、花弁の色はさまざまで、品種を絞りこむ糸口になります。また、側弁の基部の内側に毛が生えているかどうかも、品種を識別する上での重要なポイント。 葉の色形 スミレを観察する際は、花だけでなく葉の色や形もぜひ観察してみてください。種類によって卵形やハート形、細長いものなどの特徴があり、識別のヒントになります。また、葉の表側だけでなく裏側の色も忘れずにチェックを。 距や托葉の形 thompson01/Shutterstock.com 距とは、花の後ろに突き出るようにして伸びる筒のような部分のこと。短いものから細長いものまであります。また、葉柄の基部につく小さな托葉の形も品種同定の手がかり。 そのほか、本格的な同定では、めしべの形や根、地下茎の状態なども重要な手がかりになります。ただし、高尾山のような自然公園で掘って確かめたりするのはNG。野のスミレはその場でそっと観察するのが基本です。 <高尾山のスミレ 簡易見分け表> 今回ご紹介した7種以外にも、高尾山にはたくさんの種類のスミレを見ることができます。中には特徴がよく似たスミレもあり、また個体差により中間的な特徴を持つものもあるので、この表はあくまで目安として、図鑑で前後のページなども確認してみましょう。ガイドウォークなどに参加すれば、解説付きで一層スミレの世界を楽しめますよ。 スミレ観察の際の持ち物と注意 スミレを観察する際はハイキング用の動きやすい恰好とともに、次の2つを準備しておくのがおすすめです。 ルーペや接写レンズ 小さなスミレの細かい部分をじっくり観察するには、ルーペや接写レンズなど、拡大して見られるツールがあると便利です。 ポケット植物図鑑 スミレを見つけたらその場で種類を確認できるように、持ち運べるポケットサイズのスミレ図鑑があると、観察が一層楽しくなります。スマホのアプリやインターネットサイトなどを利用するのも一案です。 スミレを始め、高尾山に生息する植物は貴重な自生種です。絶対に摘んだり持ち帰ったりせず、傷つけないのがマナーです。また、うっかり踏んでしまわないように、登山道を外れないで観察するようにしましょう。 身近に出会えるスミレ タチツボスミレ。shepherdsatellite/Shutterstock.com さて、高尾山は別名「スミレの山」といわれるほどたくさんのスミレが生息していますが、そもそも日本はスミレ大国。各地域にさまざまな種類のスミレが咲き、高度によっても異なる種類のスミレに出会うことができます。 そして、スミレは人間の手が入っていない原生林に多く見られるかというと、決してそんなことはありません。最も多くのスミレを見ることができるのは、人の手が入った雑木林の林縁や、田んぼのあぜ道など、人間の生活に近い場所。スミレは人の暮らしの傍らに咲いている花なのです。 ですから、いつもの暮らしの中でも足元に目を向ければ、道端や空き地、時に道路のアスファルトの隙間から、小さな花を咲かせるたくましいスミレの花を見ることができるはず。そんな身近なスミレにも、もちろん名前があるので、同定に挑戦してみても楽しいですよ。 スミレに会いに出かけよう MATSUDONDON/Shutterstock.com 春を告げるスミレは、その小さな花にたくさんのチャームポイントがあり、古くから人々に愛されてきた花です。一度その魅力に気づくと、繊細な美しさやわずかな違いに魅了され、ハマってしまう人も後を絶ちません。今年はカメラやルーペを片手に、高尾山の足元に広がる小さな世界を覗きに行ってみませんか?
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あなたは分かる? 道端で目にする身近な野草の名前クイズ【Let’s Try! 植物クイズ】Vol.40
特徴的な姿を持つ身近な花 紫ピンクの花が愛らしい冒頭写真の野草。北海道を除く日本全国に分布し、畑や道端、野原などで一般に見かける身近な花です。花の大きさは2cmほど。細い筒状の花は、先端が唇のように上下に分かれた唇形花。まるで小さなヘビがパカッと大きく口を開けているようにも見えますね。下唇には濃色の斑点もあります。 花だけでなく、もう少し離れて株全体の様子を見てみましょう。 High Mountain/Shutterstock.com この姿にピンと来た方も多いのでは? 草丈は10~30cmほど。葉は浅く切れ込みが入った扇形で、茎を包むように対生し、数段重なります。花は葉の付け根付近から飛び出すようにつきます。よく観察すると、茎は四角形で稜(りょう)があります。 totoriri2024/Shutterstock.com 春に群生して咲くと、野原一面がまるで薄紅紫のカーペットに覆われたかのような風景に。 さて、この野草はなんでしょう? 正解は… ↓ ↓ ↓ ↓ ホトケノザ High Mountain/Shutterstock.com ホトケノザの基本データ 学名:Lamium amplexicaule科名:シソ科属名:オドリコソウ属原産地:日本、アジア、ヨーロッパ、北アフリカなどのユーラシア大陸、アフリカ大陸和名:ホトケノザ(仏の座)別名:サンガイグサ(三階草)英名:henbit、henbit deadnettleなど形態:一年草または越年草草丈:10~30cm ホトケノザはユーラシア大陸、北アフリカ大陸原産で、世界中に広く分布しています。道端や野原などでごく普通に見かける野草で、秋に発芽して冬を越し、翌春開花するものが多いため、開花のピークは3~5月。ただし、環境に合えば季節を問わず生育し、早ければ12月頃から開花します。花は通常紅紫色に斑点が入りますが、薄いピンクや白花のもの、斑点がないものなど個体差も見られます。 LFRabanedo /Shutterstock.com ホトケノザという名前は、半円形の葉が対生し、茎の周りを取り囲むように円形につくことを仏像の台座に見立てたことから。葉が段々になってつくことから、サンガイグサ(三階草)という別名もあります。花には甘い蜜があり、花を抜き取って付け根から蜜を吸って楽しんだことがある人も多いかもしれません。ただし、道端の花は排気ガスや農薬、動物の排泄物などにより汚染されていることもあるので注意しましょう。 totoriri2024/Shutterstock.com ホトケノザは、開花する通常の花のほか、つぼみのままで結実する閉鎖花もあるのが特徴。種子にはアリが好むエライオソームという物質が付着し、これによってアリにより遠くまで運ばれることも知られています。 タンポポやオオイヌノフグリとともに咲くホトケノザ。High Mountain /Shutterstock.com 春の七草の「ホトケノザ」との違い コオニタビラコ。Peace-loving/Shutterstock.com 春の七草の1つにも「ホトケノザ」がありますね。じつはこちらの「ホトケノザ」は、今回ご紹介したホトケノザとは別種。コオニタビラコ(小鬼田平子)というキク科の植物の別名です。タンポポのように大きく切れ込みの入った葉は丸みがあり、春に花茎を伸ばして直径1cm弱の小さな黄色い花を咲かせます。コオニタビラコは若葉を食用にできますが、一方のシソ科のホトケノザは美味しくなく食用できないので注意しましょう。 ホトケノザとヒメオドリコソウの違い ヒメオドリコソウ。Jitka Kratochvilova/Shutterstock.com ホトケノザとよく似た春の野草に、ヒメオドリコソウがあります。 ヒメオドリコソウはヨーロッパ原産の越年草で、日本にも帰化してどこにでも見られる一般的な雑草です。ホトケノザと同じくシソ科オドリコソウ属の植物で、同じような環境を好むのか、隣り合うようにして咲いている姿もよく見かけます。 左がホトケノザ、右がヒメオドリコソウ。Emilio100/Shutterstock.com ホトケノザとヒメオドリコソウは、花の形はよく似ていますが、ポイントを押さえておけば簡単に見分けることができます。見分けやすいポイントは、葉の色形と花のつき方です。 ホトケノザの葉は茎の周りを取り囲む円形の台のようにつくのに対し、ヒメオドリコソウはスペード形の葉が密につき、上部の葉が赤紫色に色づくことが多いのが特徴です。また、ホトケノザは葉の上に花が突き出るよう上向きについてよく目立つのに対し、ヒメオドリコソウの花は葉の隙間から顔をのぞかせるように横向きに咲きます。 一見似ている2つの野草ですが、意外と見分けは簡単。春の道端で見かけたら、ぜひどちらなのか見分けにトライしてみてくださいね。 クイズ一覧はこちら!
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樹木

ソメイヨシノの後に満開! 長く春を楽しめる華やかな庭木「ハナカイドウ」とは?
ハナカイドウの基本情報 cwn_photo_KOREA/Shutterstock.com 植物名:ハナカイドウ学名:Malus halliana英名:Flowering crab apple和名:花海棠その他の名前:ネムリバナ(睡花)、カイコウ(海紅)科名:バラ科属名:リンゴ属原産地:中国形態:低木 ハナカイドウは、バラ科リンゴ属の落葉低木で、原産地は中国です。学名はMalus halliana。栽培適地は北海道南部~九州で、暑さにも寒さにも強く、放任してもよく育ちます。丈夫で育てやすいため、庭木はもちろん盆栽としても古くから親しまれてきました。自然樹高は4mほどになるので、家庭で栽培する場合は剪定によって2mまでに樹高を抑えるとよいでしょう。冬にはすっかり葉を落とす落葉樹で、秋には小さな赤い実がつき、紅葉も楽しめます。 ハナカイドウの花や葉の特徴や開花時期 scott mirror/Shutterstock.com 園芸分類:花木・庭木開花時期:4月中旬~5月上旬樹高:150~500cm耐寒性:普通耐暑性:普通花色:ピンク ハナカイドウの開花期は4月中旬~5月上旬で、花色は淡いピンクです。花茎を長めに伸ばし、径3~4cmほどの花が半開状態で下向きに開花。種類によって一重咲き、半八重咲きがあります。大変花つきがよく、木を埋め尽くすように咲いて見応えがあるので、人気の高い花木です。 また、ハナカイドウの葉は縁にノコギリのようなギザギザがある楕円形です。柔らかく弾力がある枝は剪定がしやすく、盆栽においても高い人気があります。 ハナカイドウの名前の由来と花言葉 traction/Shutterstock.com ハナカイドウは漢字で「花海棠」と書きます。「棠」は梨という意味があり、「海棠」は海外から伝えられた梨という意味になるそうです。中国では「海棠」の名で通っており、日本にもそのまま伝えられてカイドウとも呼ばれています。また、別名のスイシカイドウ(垂糸海棠)は、花茎を長く伸ばして垂れ下がるように咲く様子から名づけられたようです。 ハナカイドウの花言葉は、「艶麗」「美人の眠り」「温和」「友情」など。中国では昔から親しまれてきた花で、牡丹と並んで美人の代名詞となっています。唐の時代には、玄宗皇帝が酔って眠る楊貴妃をこの花にたとえたことから、「美人の眠り」という花言葉が与えられたようです。 ハナカイドウとミカイドウ 左は下向きに咲くハナカイドウ、右は上向きに咲くミカイドウ。walkdragon&guan zhe/Shutterstock.com ハナカイドウの近縁種に、ミカイドウ(実海棠)があります。江戸時代にはミカイドウをカイドウと呼んでいたため、混同されがち。ハナカイドウは花が下向きに咲きますが、ミカイドウは上向きに咲くので、これが見分けるポイントです。また、ミカイドウは秋に2cm前後のリンゴのような果実がつき、食用できます。 なお、ミカイドウは近縁種であるノカイドウ、ズミとともに、山野草の愛好家や盆栽愛好家などからミヤマカイドウ(深山海棠/Malus micromalus)の名で呼ばれることもあります。 ハナカイドウの代表的な種類 ヤエカイドウ(八重海棠) Malus halliana‘Parkmanii' 白やピンクの八重咲の花が華やかなヤエカイドウ。ハナカイドウのなかでも特に美しい花を咲かせるため、人気が高い品種です。庭木、鉢植えどちらでも育てられます。 シダレカイドウ(枝垂れ海棠) Malus halliana‘Pendula’ その名の通り、枝が垂れるように育つ独特な品種。垂れ下がった枝からこぼれるように咲く姿が優美で、ヤエカイドウとともに人気があります。庭木や広いスペースの植栽にも用いられます。 ウケザキカイドウ(受咲海棠) Malus beniringo 別名リンキ、ベニリングなどと呼ばれている品種。花がまっすぐ上を向いて咲く、ハナカイドウのなかでは珍しい姿です。茎や葉にもハリがあり、ほぼ直立するように成長します。 ミツザキカイドウ 東北から北海道にかけて分布する品種。別名ズミ、コナシなどと呼ばれています。寒冷で、湿度の高い環境を好むハナカイドウです。 斑入りカイドウ 葉に白い斑が散っている品種。新芽のころが斑が鮮やかに出て、成長するにつれて色のトーンが下がります。薄ピンクの花を咲かせますが、花つきはあまりよくないとされています。 ハナカイドウの栽培12カ月カレンダー 開花時期:4月中旬~5月上旬植え付け:12月〜翌年3月植え替え:1〜2月肥料:1~2月、5月 ハナカイドウの栽培環境 walkdragon/Shutterstock.com 日当たり・置き場所 ハナカイドウは日当たりのよい場所を好みます。ただし、乾燥に弱いため、強い西日が差す場所は避けて管理しましょう。土が乾きやすい夏場は特に注意が必要です。 一方で、日当たりが悪いと枝がひょろひょろと伸びてしまいます。 耐寒性・耐暑性 ハナカイドウの耐寒性や耐暑性は普通です。品種によっては寒い環境の方が生育によい種類もあり、基本的には戸外で冬越しが可能です。暑さにもある程度は耐えますが、乾燥に弱いため、水切れを起こさないよう注意しましょう。 ハナカイドウの育て方のポイント 用土 blueeyes/Shutterstock.com 【地植え】 植え付けの2~3週間前に、直径、深さともに50cm程度の植え穴を掘りましょう。掘り上げた土に腐葉土や堆肥、緩効性肥料などをよく混ぜ込んで、再び植え穴に戻しておきます。砂質土などの水はけがよすぎる土壌であれば、腐葉土や堆肥を多めにすき込んで土壌改良しておくとよいでしょう。肥料などを混ぜ込んだ後にしばらく時間をおくことで、分解が進んで土が熟成し、植え付け後の根張りがよくなります。 【鉢植え】 樹木用にブレンドされた、市販の培養土を利用すると手軽です。自身で配合土を作りたい場合は、赤玉土4、腐葉土3、黒土3の割合でブレンドするとよいでしょう。 水やり Zoom Team/Shutterstock.com 水やりの際は、木の幹や枝葉全体にかけるのではなく、株元の地面を狙って与えてください。真夏は気温の高い昼間に水やりすると、水がすぐにぬるま湯になって木が弱ってしまうので、朝かタ方の涼しい時間帯に与えることが大切です。反対に、真冬は気温が十分に上がった日中に行います。タ方に水やりすると凍結の原因になるので避けてください。 【地植え】 植え付け後にしっかり根づいて茎葉をぐんぐん伸ばすようになるまでは、乾いたら水やりをしましょう。根づいた後は、地植えの場合は下から水が上がってくるので、ほとんど不要です。ただし、晴天が続いてひどく乾燥する場合は、水やりをして補いましょう。 【鉢植え】 日頃から水やりを忘れずに管理します。ハナカイドウは乾燥を嫌うので、水切れには注意。土の表面が乾いたら、鉢底から水が流れ出すまでたっぷりと与えましょう。また、茎葉がだらんと下がっていたら、水を欲しがっているサインです。植物が発するメッセージを逃さずに、きちんとキャッチして対処することが、枯らさないポイント。特に真夏は高温によって乾燥しやすくなるため、朝夕2回の水やりを欠かさないように注意します。冬は生育が止まり、表土も乾きにくくなるので控えめに与えるとよいでしょう。 肥料 Vitalii Stock/Shutterstock.com 【地植え·鉢植えともに】 休眠から目覚めて生育が始まる前の1~2月に、緩効性肥料を施します。この時期に与える肥料は、新芽を吹き出すためのエネルギー源となります。 また、開花が終わった5月頃にも緩効性肥料を与え、土によくなじませます。これは、たっぷりと花を咲かせてエネルギーを消耗した木に、体力を回復させる目的で与えるもので、「お礼肥(おれいごえ)」といいます。「たくさんの花を咲かせてくれてありがとう」という気持ちを込めて、肥料をあげてくださいね。 注意する病害虫 Happy_Nati/Shutterstock.com 【病気】 ハナカイドウがかかりやすい病気は、赤星病、うどんこ病などです。赤星病は、葉の表面にオレンジ色の斑点が現れ、次第に大きくなって葉が枯れていき、樹勢も衰えます。見つけ次第葉を処分し、殺菌剤を散布して防除しましょう。 ハナカイドウを栽培する際には、近くにカイツカイブキなどビャクシン類の植物を植えないようにしてください。なぜならカイツカイブキは赤星病の中間宿主となる植物で、病原菌は冬に葉や枝に潜んで春になると胞子を飛ばし、近くのハナカイドウなどの木に寄生して発病するからです。 うどんこ病は、発生すると葉の表面に白い粉が吹いたようなカビが見られます。光合成を阻害されたり、葉から養分を吸収されたりして、生育が悪くなります。放置してひどくなると枯れてしまうこともあるので注意。兆候が見られたら早期に殺菌剤などを散布して対処しましょう。乾燥する時期に発生しやすい傾向にあるので、水もち、水はけのよい土壌づくりと、適切な水やりの管理が回避のカギです。窒素成分の多い肥料を与えすぎるのも、発症のきっかけになります。 ハナカイドウは病気が発生しやすい庭木なので、予防として定期的に殺菌剤などを散布しておくとよいでしょう。 【害虫】 ハナカイドウの栽培で発生しやすい害虫は、アブラムシのほか、ハマキムシやカイガラムシ、カミキリムシなど、害虫の食害にも注意が必要です。 アブラムシは、3月頃から発生しやすくなります。2〜4mm程度の小さな虫で繁殖力が大変強く、発生すると茎葉にびっしりとついて吸汁し、株を弱らせてしまいます。見た目も悪いので、発生初期に見つけ次第こすり落としたり、水ではじいたりして防除しましょう。虫が苦手な方は、スプレータイプの薬剤を散布して退治するか、植え付け時に土に混ぜ込んで防除するアブラムシ用の粒剤を利用する方法もあります。 ハマキムシは蛾の幼虫で、葉や花を食害します。葉をくるくると巻いたり、重ね合わせたりした中に生息して食害し続けるので、見つけ次第除去しましょう。 カイガラムシは木の幹や枝について樹液を吸い、植物を弱らせます。殻を持っており薬剤が効きづらいので、歯ブラシなどで物理的に取り除きましょう。 カミキリムシは木の内部に入り込み、中身を食べる害虫です。食害が発生している場所の周囲にはオガクズが見られるようになるので、見つけたら噴射タイプの薬剤で対処しましょう。 ハナカイドウの詳しい育て方 walkdragon/Shutterstock.com 苗の選び方 ハナカイドウの苗を選ぶ際は、まず幹の状態を観察しましょう。太くしっかりとした幹を持つ苗がおすすめです。また茎や葉の裏などに病害虫がついていないかもチェックしておきましょう。 植え付け・植え替え SujaImages/Shutterstock.com ハナカイドウの植え付け適期は、落葉期の12月~翌年3月です。 【地植え】 土づくりをしておいた場所に、苗の根鉢よりも一回り大きな穴を掘り、軽く根鉢をほぐして植え付けます。しっかりと根づくまでは、支柱を立てて誘引し、倒伏を防ぐとよいでしょう。最後にたっぷりと水を与えます。 生育適地の北海道南部以南なら、日本の暑さや寒さに耐え、鉢上げして養生する必要はないので、そのまま植えっぱなしにしてかまいません。 【鉢植え】 鉢で栽培する場合は、8~10号鉢を準備します。用意した鉢の底穴に鉢底ネットを敷き、軽石を1~2段分入れてから樹木用の培養土を半分くらいまで入れましょう。苗木をポットから取り出して軽く根鉢をくずし、鉢に仮置きして高さを決めたら、少しずつ土を入れて植え付けます。水やりの際にあふれ出さないよう、土の量は鉢縁から2~3cm下を目安にし、ウォータースペースを取るとよいでしょう。土が鉢内までしっかり行き渡るように、割りばしなどでつつきながら培養土を足していきます。ハナカイドウがしっかりと根づくまでは支柱を立てて誘引し、倒伏を防ぎましょう。最後に、鉢底から流れ出すまで、十分に水を与えます。 鉢植えで楽しんでいる場合、成長とともに根詰まりしてくるので、2~3年に1度は植え替えることが大切です。植え替えの適期は、1~2月。植え替え前に水やりを控えて土が乾いた状態で行うと、作業がしやすくなります。鉢から木を取り出してみて、根が詰まっていたら、根鉢をくずして古い根を切り取るなどして小さくし、元の鉢に新しい培養土を使って植え直します。もっと大きく育てたい場合は、元の鉢よりも大きな鉢を準備し、軽く根鉢を崩す程度にして植え替えてください。 剪定・切り戻し mihalec/Shutterstock.com ハナカイドウは剪定や切り戻しをすることで、花芽が増えて花つきがよくなります。また枝の数を減らすことで、株の風通しがよくなり、病害虫も発生しにくくなります。 剪定時期は冬、梅雨~初夏です。冬は枯れ枝や、交差している枝、並行して伸びている枝などを枝元から切ります。夏は徒長している枝を切り戻しましょう。ジグザグに伸びるように計算して選定すると、バランスよく伸びます。 夏越し・冬越し ハナカイドウは強すぎる日差しに当てると弱ってしまう恐れがあります。夏は一日中、太陽が当たる場所を避けて、ほどほどに日が当たる場所で管理しましょう。風通しがよく、湿度がこもらない環境も重要です。 冬は基本的に戸外での管理で問題ありません。ただし、寒冷地など気温が下がる地域では、幹や枝を不織布などで覆い、防寒対策を行うと安心です。 増やし方 Mila Naumova/Shutterstock.com ハナカイドウは挿し木で増やすことができます。 插し木とは、枝を切り取って地面に挿しておくと発根して生育を始める性質を生かして増やす方法です。植物の中には挿し木ができないものもありますが、ハナカイドウは成功率は低いものの、插し木で増やすことができます。 ハナカイドウの挿し木の適期は、6~7月です。その年に伸びた新しい枝を10~15cmほどの長さで切り取ります。成功率が高いわけではないので、多めに挿し木をしておくとよいでしょう。採取した枝(挿し穂)は、水を張った容器に1時間ほどつけて水あげしておきましょう。その後、吸い上げと蒸散のバランスを取るために下 葉を数枚切り取ります。3号くらいの鉢を用意してゴロ土を入れ、新しい培養土を入れて水で十分に湿らせておきます。培養土に穴をあけ、穴に挿し穂を植えて土を押さえてください。発根するまでは明るい日陰に置いて管理します。その後は日当たりのよい場所に置いて育苗し、大きく育ったら植えたい場所に定植しましょう。插し木のメリットは、親株とまったく同じ性質を持ったクローンになることです。 ハナカイドウが咲かない原因は? walkdragon/Shutterstock.com 花芽を落としてしまった ハナカイドウの花が咲かない理由としてまず挙げられるのは、剪定や切り戻しの際に花芽を落としてしまうことです。花が咲いた直後の6月中旬頃、来期咲く花芽ができるので、花芽のついた枝を切り落としてしまわないよう注意しましょう。 また開花時期である春に剪定を行うと、木の成長を妨げてしまうことがあります。前述したとおり、剪定は冬もしくは花芽ができる直前の梅雨~初夏がおすすめです。 日照不足 日照不足も、ハナカイドウの花が咲かない一因です。ハナカイドウは日当たりのよい場所でよく育つので、半日陰や日陰で管理していると、花つきが悪くなります。地植えで花が咲かない場合は、植え替えて場所を移してみるのも一つの方法です。 病害虫による被害 剪定や日照不足に原因がない場合、病害虫による被害の可能性もあるでしょう。病害虫により木が弱ると、花を咲かせる元気もなくなってしまいます。葉の裏や幹、枝などをつぶさに観察して、木の健康状態をチェックすることが大切です。 ソメイヨシノより長く春を楽しめるハナカイドウ walkdragon/Shutterstock.com ハナカイドウは、ソメイヨシノが終わる頃から開花し始め、満開時には爛漫な咲き姿を楽しめる華やかな花木です。ソメイヨシノと一緒に植えて、開花リレーを楽しむのもいいですね。開花、新緑、結実、紅葉と、季節によって表情を変えるハナカイドウを庭に取り入れ、四季の移ろいを感じられる演出をしてはいかがでしょうか。
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一年草

【春の花】ほったらかしでも毎年咲く! こぼれ種で増える丈夫な春花「ムラサキハナナ」の育て方
ムラサキハナナ(オオアラセイトウ)の基本情報 mimi-TOKYO/Shutterstock.com 植物名:オオアラセイトウ学名:Orychophragmus violaceus英名:Chinese violet cress和名:オオアラセイトウ(大紫羅欄花)その他の名前:ムラサキハナナ(紫花菜)、ショカツサイ(諸葛菜)、ハナダイコン(花大根)、シキンソウ(紫金草)など科名:アブラナ科属名:オオアラセイトウ属原産地:中国形態:一年草 ムラサキハナナは漢字で「紫花菜」と書きます。アブラナ科オオアラセイトウ属の一年草で、原産地は中国です。日本には江戸時代に伝わったとされており、今や野生化して野原でも見られる帰化植物になっています。花苗店でも苗や種子が販売されている、ポピュラーな草花です。強健な性質でこぼれ種でどんどん増えるほど繁殖力があり、春になると河原や土手、道路脇などで群生している姿も見られます。 ムラサキハナナのライフサイクルは以下の通りです。秋に種を播いて発芽した後に新芽が動き出し、冬の間は地面を這うようにして葉を放射状に伸ばすロゼット状態で冬を越します。暖かくなると再び茎葉が立ち上がり、旺盛に葉を展開していきます。春に紫色の花がたくさん開花しますが、一年草なので開花後は枯死する短いライフサイクルをたどります。 ムラサキハナナ(オオアラセイトウ)の花や葉の特徴 KenshowT/Shutterstock.com 園芸分類:草花開花時期:3〜5月草丈:40〜60cm耐寒性:強い耐暑性:弱い花色:紫~白 ムラサキハナナの草丈は40〜60cm、株幅は30〜50cmなので、花壇の中段ほどに植栽するとよいでしょう。開花期は3〜5月。花色は紫ですが、個体によって濃い紫から淡い紫、ピンク、白に近いものまで色幅があります。まっすぐ伸びた茎先に、2〜3cmほどのダイコンに似た十字形の一重咲きの花が次々に咲き続きます。茎の下のほうの葉は葉柄があって羽状に裂け、上のほうの葉は長楕円形で茎を抱くようにつきます。花後には細長い実が横に広がるようにつきます。 ムラサキハナナ(オオアラセイトウ)の名前の由来と花言葉 acchity/Shutterstock.com ムラサキハナナには多くの名前がありますが、その由来を一部ご紹介します。 【学名】Orychophragmus violaceus ムラサキハナナの学名はオリコフラグマス・ビオラセウス。「Orychophragmus」はギリシャ語の「Orych」(「掘り出す」「穴」という意味)、「phragmus」(「垣根」という意味)がミックスした言葉で、オオアラセイトウ属を指しています。「violaceus」はスミレ色の花色という意味です。 【英名】Chinese violet cress ムラサキハナナの英名は、チャイニーズ・バイオレット・クレス。「Chinese」は「中国」、「violet」は「紫」、「cress」はクレソン、アブラナ科の食用植物の総称です。「中国から持ち込まれた、紫色の花が咲くアブラナ科の植物」という意味が込められています。 ムラサキハナナ 漢字で「紫花菜」と書き、国内では最もポピュラーな呼称です。「菜の花に似た一重の紫色の花」が咲くことに由来しています。ただし、菜の花はアブラナ科アブラナ属ですが、ムラサキハナナはアブラナ科オオアラセイトウ属で、別属です。 オオアラセイトウ 漢字で「大紫羅欄花」と書き、植物学者の牧野富太郎が命名しました。一重咲きストックの和名「アラセイトウ」から名付けられたとされています。 ハナダイコン ムラサキハナナは、花がダイコンの花に似ていることからハナダイコンとも呼ばれています。ただし、一般にハナダイコンとされるHesperis matronalis(ヘスペリス・マトロナリス、アブラナ科ハナダイコン属の多年草)はムラサキハナナとは別種の植物なので注意しましょう。ムラサキハナナとハナダイコンは同じアブラナ科でよく似ていますが、ハナダイコンは夕方から夜にかけて芳香を漂わせること、ムラサキハナナとは異なり葉が茎を抱かないことなどが特徴です。 一般的にハナダイコンと呼ばれるヘスペリス・マトロナリス。Vladimir Arndt/Shutterstock.com ショカツサイ(諸葛菜) 三国志・蜀の国で活躍した軍師・諸葛孔明が戦の陣を張った際に、ムラサキハナナの種をまき、兵士たちの食用とした逸話が残っていることから、「諸葛菜」と呼ばれることがあります。 シキンソウ(紫金草) 南京の紫金山(しきんざん)に咲くことが由来。日中戦争中に紫金山周辺でこの花を見た日本陸軍の山口誠太郎氏が、侵略に対する懺悔と平和への祈りを込めてその種子を持ち帰り、各地に広めたとされています。 ムラサキハナナの花言葉は「聡明」「優秀」「あふれる知性」「癒やし」「変わらぬ愛」など。「聡明」「優秀」「あふれる知性」は、中国の三国志の蜀で活躍した天才軍師・諸葛孔明に因んでいます。4月4日の誕生花ともされています。 ムラサキハナナ(オオアラセイトウ)の種類 Cornflakes/Shutterstock.com ムラサキハナナの園芸品種は流通していません。ムラサキハナナは個体差があり、花色は濃い紫から淡い紫、ピンクなどがあります。 ムラサキハナナ(オオアラセイトウ)の栽培12カ月カレンダー 開花時期:3〜5月植え付け:3〜4月肥料:9~11月(元肥)種まき:9~10月 ムラサキハナナ(オオアラセイトウ)の栽培環境 badboydt7/Shutterstock.com 日当たり・置き場所 【日当たり/屋外】日当たりがよく、風通しのよい場所を好みますが、明るい半日陰でも育ちます。 【日当たり/屋内】開花には一定の寒さが必要なので、寒さにあてるためにも屋外での栽培が基本です。 【置き場所】土質を選ぶことなく、乾燥しやすい場所でもよく耐える丈夫な性質です。野生化するほど強健で、放任してもよく育ちます。 耐寒性・耐暑性 耐寒温度はマイナス5℃前後で、寒冷地を除いて特に寒さ対策をしなくても冬越しします。寒冷地では霜や凍結を防ぐため防寒対策をするとよいでしょう。暑さには弱く、夏には枯れる一年草なので、夏越し対策は必要ありません。 ムラサキハナナ(オオアラセイトウ)の育て方のポイント 用土 funnyangel/Shutterstock.com 【地植え】 植え付ける1〜2週間前に、腐葉土や堆肥などの有機質資材を植え場所に投入し、よく耕してふかふかの土をつくっておきましょう。土づくりをした後にしばらく時間をおくことで、分解が進んで土が熟成し、植え付け後の根張りがよくなります。 【鉢植え】 草花の栽培用に配合された園芸用培養土を利用すると便利です。 水やり Osetrik/Shutterstock.com 株が蒸れるのを防ぐために株全体にかけるのではなく、株元の地面を狙って与えてください。冬越しする場合は、夕方に水やりすると凍結の原因になるので、十分に気温が上がった真昼に行いましょう。 【地植え】 植え付け後にしっかり根づいて茎葉をぐんぐん伸ばすようになるまでは、水切れしないように管理しましょう。根付いた後はほとんど不要です。ただし、雨が降らずに乾燥が続くようなら、水やりをして補います。 【鉢植え】 日頃の水やりを忘れずに管理します。ただし、毎日決まった分量の水やりをすればいいというものでもありません。動物が毎日の食事が必要なのとは違って、植物は適した水分量を保つことが大切なのです。乾きすぎるとしおれてしまいますし、反対に常にジメジメと湿った状態にしておくと、病気が発生しやすく株が弱りやすくなります。土が乾くタイミングは、季節や天候によっても異なるので、まずは土や株の状態を観察しましょう。土の表面が白く乾いていたら、鉢底から水が流れ出すまで、たっぷりと与えてください。「株の状態を見て」と書きましたが、水が十分にあれば茎葉は勢いよく隅々までピンと伸ばしています。もしも茎葉がしおれそうにだらんと下がっていたら、水を欲しがっているサイン。植物が発するメッセージを逃さずに、きちんとキャッチしてあげることが、枯らさないポイントです。 肥料 Sarycheva Olesia/Shutterstock.com 【地植え】 植え付け時に十分な土づくりをしていれば、追肥は不要です。多肥にすると茎葉ばかりが勢いよく茂って、花数が少なくなるので注意します。株の状態を見て、生育に勢いがないようであれば、速効性のある液肥を与えて様子を見てください。 【鉢植え】 開花期に液肥を月に2回ほど与えて、株の勢いを保ちましょう。 注意する病害虫 ハモグリバエの食害痕。Thiti Sukapan/Shutterstock.com 【病気】 ムラサキハナナに発生しやすい病気は、黒斑病などです。 黒斑病は春や秋の長雨の頃に発生しやすくなります。カビが原因で発生する伝染性の病気で、葉に発生しやすく、最初は黒または褐色の小さな斑点が発生。病斑は3〜15mmくらいで、下葉からだんだん上の葉へと広がっていきます。症状が進むと葉が縮れて黄色または褐色になり、やがて枯死します。肥料の与えすぎに注意し、株と株同士の間が狭い場合や、茎葉が茂りすぎて鬱蒼とした状態などで発病しやすくなるので、茂りすぎたら葉を間引いて風通しよく管理してください。発病した葉はただちに切り取って処分し、適用する薬剤を散布して様子を見ます。 【害虫】 ムラサキハナナに発生しやすい害虫は、アオムシやヨトウムシ、ハモグリバエなどです。 アオムシは、モンシロチョウの幼虫です。葉裏などに卵を産み、孵化した幼虫は旺盛に葉を食害します。葉に穴があいているのを見つけたら、葉を裏返すなどして幼虫がついていないか確認し、見つけ次第捕殺します。大きくなるとギョッとするほどのサイズになり、葉脈のみを残して食べ尽くすほどの害を与えるので、早めの対処が大切です。 ヨトウムシは蛾の幼虫で、漢字で「夜盗虫」と書き、主に夜に姿を現して茎葉を食害します。大きくなった幼虫は食欲が旺盛で、一晩に株を丸裸にしてしまうほどです。葉から食害し始めるので、異変を察したら幼虫がまだ若いうちに駆除しましょう。発生しやすい時期は4〜6月、9〜10月です。食害の痕跡が認められたら夜にパトロールして補殺するか、適用する薬剤を散布して防除します。 ハモグリバエは初夏~秋にかけてさまざまな植物に発生しやすい害虫です。卵を葉の中に産み付け、孵化した幼虫が葉の中を食べながら進んでいくため、食害痕が白い線のように残るのが特徴で、「エカキムシ(絵描き虫)」の別名もあります。幼虫がいる痕跡を見つけたら、食害痕の先端にいる幼虫を押しつぶして駆除するか、葉ごと切り取って処分しましょう。 ムラサキハナナ(オオアラセイトウ)の詳しい育て方 苗の選び方 苗を購入する際は、節間が間のびしておらず、がっしりと締まって勢いのあるものを選びましょう。 植え付け Vlyaks/Shutterstock.com 苗の植え付け適期は、3〜4月です。この時期以外に花苗店で苗を購入した際は、早めに定植しましょう。 【地植え】 土づくりをしておいた場所に、ムラサキハナナの苗をポットから出して根鉢を崩さずに植え付けます。複数の苗を植える場合は、約15cmの間隔を取っておきましょう。植え付けた後に、たっぷりと水やりします。 【鉢植え】 鉢のサイズは、5〜6号鉢を準備します。 底穴に鉢底ネットを敷き、軽石を1〜2段分入れてから培養土を半分くらいまで入れましょう。苗を鉢に仮置きし、高さを決めたら、根鉢をくずさずに植え付けましょう。水やりの際にすぐ水があふれ出すことのないように、土の量は鉢縁から2〜3cm下を目安にし、ウォータースペースを取っておいてください。土が鉢内までしっかり行き渡るように、割りばしなどでつつきながら培養土を足していきます。最後に、鉢底からたっぷりと流れ出すまで、十分に水を与えましょう。寄せ植えの素材として、大鉢にほかの植物と一緒に植え付けてもOKです。 日常の手入れ marekuliasz/Shutterstock.com 【花がら摘み】 ムラサキハナナの終わった花は、早めに摘み取りましょう。株まわりを清潔に保つことで、病害虫の抑制につながります。また、いつまでも終わった花を残しておくと、種子をつけようとして株が消耗し、老化が早まって花数が少なくなってしまうので注意。花がらをまめに摘み取ると、次世代を残そうとして次から次に花がつき、長く咲き続けてくれます。 種子の収穫 tamu1500/Shutterstock.com ムラサキハナナは容易に種まきして栽培でき、こぼれ種でもよく増える強健な花です。花が終わった後に花がらを摘まずにそのままにしておくと莢ができるので、茶色く熟すのを待って採種しましょう。種子はそのまま播くか、冷暗所で保存しておき、適期に種まきします。毎年開花を楽しめるので、大変コストパフォーマンスが高い草花だといえますね。 増やし方 Montana Isabella/Shutterstock.com ムラサキハナナは、種まきをして増やします。種まきからスタートするメリットは、輸送などによる苗への負担がかからず、環境に馴染みやすいことです。秋に種をまいて越年させ、春に開花させますが、冬の寒さを経験させると生育期にはスイッチが入ったように旺盛に生育し始めます。敷地が広く、たくさんの苗を植え付けたい場合は、コストカットにもなりますね。 ムラサキハナナの種まきの適期は、9月下旬〜11月です。庭に直まきしても、ポットにまいて育苗してもかまいません。 【直まき】 植えたい場所に2〜3粒ずつ播いて薄く覆土し、水やりをしておきます。種子同士の間隔は、15㎝ほどあけておきましょう。しばらく待つと、双葉が揃います。さらに本葉が出揃った頃に勢いのある苗を1本残し、徒長していたり虫に食われたりしている苗を間引きます。冬の間は地面を這うようにして葉を放射状に伸ばすロゼット状態で越年します。寒さに大変強く、霜が降りても弱ることはありません。春になって暖かくなると、茎葉が立ち上がってきて旺盛に生育し始めます。 【ポットまき】 黒ポットに2〜3粒ずつ種子を播き、薄く覆土し、水やりをしておきます。しばらく待つと、双葉が揃います。さらに本葉が出揃った頃に勢いのある苗を1本残し、徒長していたり虫に食われたりしている苗を間引きます。本葉が数枚ついたら、植えたい場所に根鉢を崩さずに定植します。 ムラサキハナナは、こぼれ種でもどんどん増える強健な性質を持っています。「まさかこんなところから芽を出すなんて!?」と驚くことも。生命力が強すぎて、あちこちから芽を出して庭の他の草花との調和を乱してしまうこともあります。とはいえ、間引くのは簡単なので、邪魔になっているものは抜き取って処分するか、育てたい場所に移植するとよいでしょう。 風に揺れる花々が魅力! 和風・洋風のどちらの庭にもおすすめ Guppy2416/Shutterstock.com 菜の花に似た、紫色の一重咲きになる花が愛らしいムラサキハナナ。そよ風にゆらゆらと揺れるたおやかな姿は愛らしく、和風・洋風どちらの庭にも相性よく楚々とまとまります。ビギナーでも育てやすいので、庭やベランダに迎え入れてはいかがでしょうか。






















