数ある植物の中から今、注目の植物をピックアップするシリーズ「Now blooming」。ガーデナーや育種家、ナーセリーなど、植物の達人たちへの取材をもとに編集部がセレクトした植えどき・買い時・咲き時のオススメ植物をご紹介します。今回は、開花を心待ちにするファンが多い花の女王、バラをピックアップ。

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バラの開花前線は5〜7月に日本を北上します

2018年4月下旬に神奈川「横浜イングリッシュガーデン」で開花した‘ジャクリーヌ・デュ・プレ’。

バラは、花形や花色、株姿などに幅広いバリエーションがある樹木のグループです。花が咲くのは、主に春から初夏で、例年では5月の連休頃から九州地方で開花がスタートし、関東地方では5月中旬、東北地方では6月、北海道では7月上旬と、同じバラ科のサクラの開花前線と同様にバラの開花前線も北上します。

2018年、埼玉県ではキモッコウバラが4月中旬には開花。バラの専門家も驚くほどバラの開花が早まっている。

2018年の今年は例年になく開花が早まり、バラの中でもいち早く咲き始めるキモッコウバラが、早い地域では4月中旬に咲き出し、バラ愛好家を驚かせています。

2018年4月下旬に神奈川「横浜イングリッシュガーデン」で開花した一季咲きの‘スパニッシュ・ビューティ’。

春から初夏に開花のピークが訪れるバラにも、早咲きから遅咲きがあり、早咲きにはつるバラのキモッコウバラや白花のモッコウバラ、半八重の‘ジャクリーヌ・デュ・プレ’、‘スパニッシュ・ビューティ’が代表的です。これらのバラの咲き姿を覚えておくと、街中や自宅の庭で咲いた花を見つけたら「バラの開花シーズンがこれからいよいよ始まる」と知ることができます。

2017年5月下旬に屋根を覆い尽くし、満開になった東京・菊池邸のロサ・ムリガニー。

早咲きのバラが1~2週間ほどで満開を迎えると、多くの品種が次々と咲き始め、 ‘ロサ・ムリガニー’や‘エクセルサ’、‘スーパー・フェアリー’などの遅咲きのバラにバトンタッチしていきます。バラだけで図鑑がつくれるほど種類が多いので、早咲き、中間咲き、遅咲きを意識して組み合わせることで、自宅の庭でもバラの開花シーズンを長く楽しむことができます。

11月中旬に神奈川「横浜イングリッシュガーデン」で年内最後の花を咲かせる四季咲き性の‘アイスバーグ’。写真の木立性とつる性もある。

バラの種類には、一年で春に一度開花する「一季咲き」と、春の開花以降も数回返り咲く「返り咲き」や、春から秋まで繰り返して咲く「四季咲き」があります。また、樹形には大きく分けて、自立する「木立性(ブッシュローズ)」、つるが長く伸びる「つる性(クライミングローズ)」、木立性とつる性の中間に位置する「半つる性(シュラブローズ)」の3タイプがあり、コンパクトな木立性や半つる性は鉢植えで育てることもできます。スペースがあれば、庭植えでアーチやオベリスク、フェンスなどに絡めるなど、立体的に花を咲かせることもでき、いろいろな仕立て方で景色をつくれるのもバラの魅力の一つです。

バラの買い時は春と秋

春に流通する蕾つきの鉢植え苗。通信販売でも取り寄せができます。

バラの苗は、一年中購入することができますが、花が咲いている様子を見て選べるのは5月です。前年には出回っていなかった新品種などがお披露目されるのもこの時期。苗は、ガーデンセンターやバラの専門店に限らず、多くのバラを植えているローズガーデンや観光ガーデン、日本全国で行われるバラのイベント会場などでも多種並ぶので、お気に入りの品種と出会える絶好のタイミングです。

花形のバリエーションを解説した記事はこちら
進化がとまらない!多彩なバラの花形から個性的な8種をご紹介
バラの花形を知りたい!「一重」と「八重」咲きのバラをご紹介

失敗しないバラ選びの方法

一年で4mほどつるが伸び、無数の花を咲かせる一季咲きの‘ブラッシュ・ランブラー’。

バラとの出会いからまだ日が浅く、どれを選べばいいのか目移りして迷ったら、秋までじっくり考えて栽培の準備をするのも一つの方法です。四季咲き性のバラなら、春の開花以降、夏を越え、再び涼しくなった秋にまた開花します。つる性のバラは、植え付けてから何年かかけて屋根に届くほどつるを伸ばす品種もあります。

イギリス「ロイヤル・ボタニック・ガーデンズ・キュー」のパーゴラを覆い尽くすつるバラ‘ボビー・ジェイムズ’。

半つる性やつる性バラのように、大きく育つ品種は、一度植え付けたらできるだけ植え替えをせず、構造物に誘引をしながら何年もかけて育てていく必要があるので、花が気に入ったからと思いつきで植えてしまうと、その後の管理に苦労することがあります。気が長い話と思うかもしれませんが、春以降はどんな風に育つか、どこに植えてどんな姿で育てていくか、次の苗の買い時シーズンである秋〜冬までにじっくり検討することも、バラ栽培を失敗しないコツです。

全国各地に咲くバラに会いに行くのも、これからの季節の楽しみ。標高約950mの場所にある長野県「軽井沢レイクガーデン」では、8月中旬頃に二番花が見頃に。

まず苗を買う前に図鑑やバラのカタログをじっくり読み、実際に育てている友人の庭や観光ガーデンに通って、情報を得てからバラ栽培をスタートさせた人もいます。自分好みのバラについて研究しているうちに、ますますバラを好きになり、長く付き合っていきたいと確信したというエピソードもあります。

進化する丈夫で育てやすいバラ

フランス「バガテル公園」の入り口に彩りを添えるレモンイエローのバラは耐病性がある‘リモンチェッロ’。2017年春撮影。

「バラを育てるのはなんだか難しそう」「病気や害虫に悩まされないだろうか」など、心配する人も多いですが、近年のバラはめざましく進化していて、魅力的な形や色、香りのよさに加え、病害虫に強く、誰もが育てやすい丈夫な品種が続々と生み出されています。近年のヨーロッパでは公園での農薬散布が規制されるなどの理由から、病気に強いバラが増え、日本でもそれらを入手することができます。強い性質を持ったバラの品種については、ガーデニングや園芸の雑誌、バラ専門店のカタログなどでも新情報を得ることができます。

早咲きで丈夫な性質の‘ダブル・ノックアウト’。

病気に強く、誰もが育てやすい丈夫なバラは年々増えています。世界中に多くのファンがいるバラを、ぜひ身近に育てて、花のある暮らしを充実させませんか。

Credit

写真&文/3and garden
ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。

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