今回は、少し前になりますが、2018年3月末に開催された「ドゥルノンクール・ワイン試飲会」の様子をお届けしましょう。会場はシャンゼリゼ通りすぐの高級ホテル「フォーシーズンズ ホテル ジョルジュサンク パリ」。もちろん、フランスのホテル格付けにおける最上級「パラス」に認定されています。また、世界的人気を誇る、アメリカ人フローリスト、ジェフ・リーサムさんがアートディレクションを手掛けるホテルとしても有名です。

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ダイナミックで印象的! ジェフ・リーサムさんの魅力

フォーシーズンズ ホテル ジョルジュサンク パリ フォーシーズンズ ホテル ジョルジュサンク パリ

パリにはたくさんのホテルがありますが、写真のような、花そのものの存在感を前に出したお迎え花を飾るところは、多くはありません。その点においても、ここ「フォーシーズンズ ホテル ジョルジュサンク パリ」(以下「ジョルジュサンク パリ」)は他のホテルと一線を画しています。館内のデコレーションのために、なんと、毎週1万2000本の花々がアムステルダムの花市場から届くのだそう! アレンジのデザインは3週間ごとに変わり、それらすべてを、ジェフ・リーサムさんがディレクションしています。彼のこだわりと想いは、「ジョルジュサンク パリ」HPに書かれています。

「私が目指すのは、いままで全く体験したことのない忘れがたい体験を、フォーシーズンズ ホテル ジョルジュサンク パリにいらっしゃったお客さまにお贈りすることです。エントランスホールに足を踏み入れたその瞬間から、客室の扉を開けるまでに至る、そのすべてのシーン、その一歩一歩、その一瞬一瞬が、特別なものとなるように」

「お客さまが文字通り圧倒され、『他のあらゆる場所において、いまだかつて見たことがない』とおっしゃってくださることが何よりも嬉しい。このときに初めて、私が行っていることが実際に意味をもつのです。この瞬間のためだけに、私はアーティストとしての人生を貫きます」

春の喜びを黄色の花木で表現。ランが効果的に使われます

フォーシーズンズ ホテル ジョルジュサンク パリ

今回、訪れたときの「ジョルジュサンク パリ」のエントランスホールのお迎え花です。春を告げる黄色の花木、レンギョウと、格の高さを象徴するランが、ふんだんにいけられていました。これは、1種の花をボリュームたっぷりにいける、ジェフ・リーサムさん特有のスタイルです。豪華さのなかに驚きを兼ね備えている、彼の花のスタイルは、時を経ても古びることが一切ありません。そこには、最高級ホテルたる堂々とした格式、一歩足を踏み入れた瞬間にゲストが感じる特別な雰囲気が漂っていました。

フォーシーズンズ ホテル ジョルジュサンク パリ

エントランスの花は、中央だけではありません。壁のところには、お迎え花と同じ種類のランがびっしりと! 巨大な花器は鏡張りで、黄色の花を映し出す様も美しい演出となっています。

フォーシーズンズ ホテル ジョルジュサンク パリ

こちらは、エントランスホールの先にある中庭です。「ジョルジュサンク パリ」の中庭といえば、このページのトップを飾った、紫色のバンダをずらりと吊った壮大な花のインスタレーションがよく知られています。今回は3月末という時期から、花ではなくグリーンのインスタレーションでした。中央に配したグリーンのアレンジに、植え込みのBonsai(盆栽=bonsaiはもはやフランス語になっています)が潔い品を醸し出し、じつにシックです。色を絞り込む、というシンプルな表現ではありますが、広い空間のトータルコーディネイトがこんなにも効果的だということを、改めて納得させられます。

フォーシーズンズ ホテル ジョルジュサンク パリ

ホテル内の廊下にももちろん、いたるところに花が飾られています。今回は、黄色いランと、黄色いバラ。お迎え花のレンギョウの色と揃えていますね。ミモザに代表されるように、黄色は春を告げる色としてフランスの人々に親しまれています。パリの冬は来る日も来る日もグレーの空。そこに、パッとまぶしい太陽の色を差し込んでくれる、それが黄色なのです。

フォーシーズンズ ホテル ジョルジュサンク パリ

廊下の中央にも、お迎え花と同じアレンジの花が堂々とセッティングされていました。これだけたっぷりと美しい花がある空間に身を置けば、優雅な気分が味わえます。運気が上がる気もしますね! 花を見るためだけに、「ジョルジュサンク パリ」に立ち寄る常連客もいる、というこぼれ話にも納得です。

ランとアジサイのコンビは、パリ流“ラグジュアリー”

フォーシーズンズ ホテル ジョルジュサンク パリ

さて、ここから「ドゥルノンクール・ワイン試飲会」が行われる地下の会場へ移動しましょう。ワインコンサルティングをする天才醸造家として世界的にも名高いステファン・ドゥルノンクールさんは、毎年この時期に自身がコンサルティングを行うワインメーカーを招き、プリムールワインの試飲会を開催しています。プリムールワインとは、完成品として流通する前の若いワイン、新酒のこと。つまり試飲をしながら、約半年後に瓶詰めされる時期の状態を予想して、そのワインの出来をジャッジするのです。

2フロアからなる会場には、ワイン評論家やバイヤーたちが集まっていました。世界中から集まったワインメーカーの数はざっと60社も。ボルドーやブルゴーニュ、ラングドックなど、フランス全土はもちろんのこと、イタリア、ポルトガル、チリ、アメリカ、トルコ、レバノン、イスラエル、シリア、ウクライナ…国の種類も多岐にわたります。

フォーシーズンズ ホテル ジョルジュサンク パリ フォーシーズンズ ホテル ジョルジュサンク パリ

パーティ会場の花は、紫色のラン、バンダとアジサイが主役です。ボール形の花器に白のアジサイを詰め、その上にバンダがあしらわれたボール形の花器がテーブル中央に飾られていました。その周りにはアジサイをちらし、キャンドルも。

前回の「花便り」で、「マンダリンオリエンタル・パリ」のチーフフローリスト、シルヴィアさんが「パラスホテルのイメージは、バンダ(ランを含む)とアジサイである」と教えてくれました。「ジョルジュサンク パリ」のテーブルアレンジにも、そのセオリーがよく表れています。これは、私たちが花を楽しむ際にも参考になりますね。例えば、ラグジュアリーなブーケを贈るとき、特別なお客さまを家に招くときなどに、バンダとアジサイの力を借りて、パラスホテルさながらの演出ができます。

フォーシーズンズ ホテル ジョルジュサンク パリ

最後におまけとして、このカットを。ある場所の一部なのですが、どこだと思いますか? トイレです。ピンクや紫色のビビッドなライトで歴史的建造物をモダンに演出する手法が、ここ数年ヨーロッパの都市で流行しています。そのアイデアが「ジョルジュサンク パリ」にも取り入れられていました。クラシックな油絵が、写真のようにアヴァンギャルドなムードに。クラシックで重厚なものを、ライトだけでモダンにイメージチェンジする…インテリアの参考になります。

Credit

記事協力

角野恵子 Keiko SUMINO-LEBLANC
在仏日本人ジャーナリスト、コーディネーター。日本の企業に就職後、東京在住フランス人ジャーナリストのアシスタントを経て、1997年よりパリに移住し、在仏歴21年に。食とライフスタイルを中心に、日仏の雑誌およびwebで活躍中。共著に「DIYでつくるパリのインテリア」(エクスナレッジ)「パリでうちごはん そして、おいしいおみやげ」(小学館)など。プライベートでは、ふたりのパリジェンヌの母。
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