パリ屈指のファッションストリート、サントノレ通り。ハイブランドのメゾンを眺めつつ歩いていると、突然、圧倒的なスケールのフラワーアレンジが出現します。その場所が「マンダリンオリエンタル・パリ」。館内のアレンジに関するストーリーをお届けします。

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花と蝶で作られた、巨大なイースターアレンジに注目

マンダリンオリエンタル・パリ

ここは「マンダリンオリエンタル・パリ」のエントランスです!

ホテル・マンダリンオリエンタルは、香港を拠点に世界展開する、ラグジュアリーホテルグループ。日本には、東京・日本橋室町に「マンダリンオリエンタル東京」がありますね。

「マンダリンオリエンタル・パリ」は、記念すべきグループ初のヨーロッパ進出を果たしたホテルです。2011年のことでした。そして2014年、フランスのホテル格付けにおける最上級「パラス」に認定され、「リッツ・パリ」や「プラザアテネ」に並ぶ超一流のクオリティが証明されました。

マンダリンオリエンタル・パリ

エントランスの見事な花が示すように、パラスにとって花はとても重要。4月はちょうどイースターシーズンです。お迎え花のアレンジも、イースターを意識した卵形になっていました。使われている花材は、サクラとアジサイです。

「イースターのデコレーションは2週間継続するので、アーティフィシャルフラワーを使っています」と教えてくれたのは、チーフフローリストのシルヴィアさん。

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「通常、お迎え花は、毎週木曜日にいけかえます。1週間に1度替えていくことで、生の花材を使うことができますし、その時の季節感をたっぷりと盛り込むこともできるのです。ただし年に2回、クリスマスとイースターのシーズンだけは別。このふたつの期間は必ず2週間、お迎え花のアレンジをキープするので、アーティフィシャルを取り入れています」

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卵の形にかたどった苔玉を、色とりどりのデコレーション用の蝶で飾り、濃ピンクのアジサイで縁取っています。さらに全体を額縁に収めるように 枝もの(こちらもアーティフィシャル)で囲んだ、2018年イースターのアレンジ。こちらは、日本でも人気が高く、またホテルの専属でもあるフローリスト、バティストさんの指揮のもとに作成されました。

館内のアレンジは、ひとつの共通項でつながっています

エントランスから一歩入ったところに広がるロビー、レストラン、客室、廊下など、ホテル内のあらゆる場所に、フラワーアレンジが飾られています。ゲストがホテルのどこを歩いても花のストーリーがひとつに繋がるよう、それらは、お迎え花のテイストと揃っていました。花は、ホテル全体に調和をもたらすものなのです。

季節の花をふんだんに、それも高価な花材を惜しげもなく使ったアレンジが見られるのは、まさにパラスの醍醐味です。

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こちらは、ロビーの一角。金箔をほどこした暖炉部分を見ると、シュンラン、オンシジウムなど、5種類のランとチューリップのアレンジが。イースターの卵が、ここにもあります。

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正面のローテーブルには、春を告げるスイートピー。ランとは対照的に、なんと可憐なこと。それでいて、深い紫色には確かな気品が漂います。ビバーナムとアマランサスが添えられていました。

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ロビーを左へ行くと、バー8があります。

9トンの大理石カウンターと、スワロフスキーのクリスタルを壁面にちりばめた、パワースポットのようなバーなのですが…。そこへ続く廊下には、高さのあるフラワーアレンジ3連作が並んでいました。

マンダリンオリエンタル・パリ

カラーとビバーナムをメインに、枝もの、アマランサス、スイートピー。お迎え花の枝物と、ロビーのテーブルの花たちが、ここでひとつになっています。

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バーカウンターやテーブル席には、チューリップの一輪挿しが、控えめに置かれています。たった1輪だけ、しかもテーブルの邪魔にならない大きさでありながら、印象的に見せるために、選ばれたのは黒い器です。ちょこんと顔だけ出した黄色のチューリップは、グラフィカルなオブジェのようにも。灰皿やナプキンスタンドとまとめて置かれているのも、ゲストの邪魔にならないようにと、ホテルの気遣いです。

バー8の奥には、「マンダリンオリエンタル・パリ」が誇るガストロノミーレストラン「シュール・ムジュール」(オーダーメイドの意味)があります。ティエリー・マルクスシェフの、二つ星レストランです。

マンダリンオリエンタル・パリ

オートクチュールの仮縫いに使う白い布、トワルを模した壁。上質なミニマリズム、とでも表現したいクリーム色の空間には、大輪のアジサイが存在感たっぷりとあしらわれていました。テーブルには、アジサイと同じ色のスイートピー。

マンダリンオリエンタル・パリ

お迎え花、ロビー、廊下、そしてレストラン『シュール・ムジュール』まで、ひと筋の自然な小川の流れのように、花が調和していますね。

場所は変わって、今度はロビーの右側へ。ファミリーに人気のレストラン『カメリア』があります。こちらはイースターカラー全開!

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廊下に、卵や羽根を使った小さなインスタレーション。春を告げる黄色を基調とし、フリージアがいくつもの小瓶に入っていました。

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昨年頃からパリの花シーンに登場するようになった、ペンペン草も!

ホテル専属フローリストの一日は朝6時から始まります

館内を1周したところで、もういちどシルヴィアさんにお話を伺いましょう。

「最近のパリの花業界は、ストラクチャー(型)のあるアレンジよりも、動きや流れのあるアレンジが主流になっています。つまりニュアンスがカギなのです。作成しながら、必ず距離を取って遠くから全体を眺める、ということを何度も繰り返します」

シルヴィアさんはホテル専属。お仕事の内容も聞いてみました。

「毎日6時に出勤し、ホテル内をパトロールします。元気がなくなった花があれば新鮮な花に取り替えます。すべての花を美しく、完璧に飾るのが私たちの仕事。そのためにホテル内には、私たちのアトリエがあります。専属フローリストは3名です」

「 もっとも神経を使うのは、スイートルームのフラワーアレンジです。 スイートのお客さまはリピーターが多いので、お迎えする私たちもお客さまひとりひとりの花の好みを熟知しています。それを踏まえたうえで、お客さまが部屋に入られた時にすぐに気持ちがなごむように、200平米を超えるスイートルーム全体に花を飾っていきます。リビング、寝室、バスルーム、すべての空間に花を飾りますが、どこにいくつ花を置くというようなルールはありません。殺風景な印象にならないように、かといって過剰にならないように、バランスを見ながらその都度判断します。スイートルームのお客さまが連泊する場合は、3日目に花を総入れ替えするのが決まりです。これは“パラス”のスタンダードです」

他にも、毎週1回入る庭師と連携し、中庭を管理していること、パーティ用の巨大なアレンジにはアーティフィシャルフラワーを使うこと、しかし決してプリサーヴドフラワーは使わないこと、など興味深いお話が尽きませんでした。

Credit

協力:


角野恵子 Keiko SUMINO-LEBLANC
在仏日本人ジャーナリスト、コーディネーター。日本の企業に就職後、東京在住フランス人ジャーナリストのアシスタントを経て、1997年よりパリに移住し、在仏歴21年に。食とライフスタイルを中心に、日仏の雑誌およびwebで活躍中。共著に「DIYでつくるパリのインテリア」(エクスナレッジ)「パリでうちごはん そして、おいしいおみやげ」(小学館)など。プライベートでは、ふたりのパリジェンヌの母。
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