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【人気のインテリアグリーン】エクメアの育て方・人気品種・増やし方まで徹底解説!

【人気のインテリアグリーン】エクメアの育て方・人気品種・増やし方まで徹底解説!

Steve Bower/Shutterstock.com

シャープでスタイリッシュな葉姿に、ピンクや紫の個性的な花苞。エクメアはインテリアグリーンとしても人気急上昇中のトロピカルプランツです。この記事では、初心者でも安心して育てられるエクメアの基本的な育て方から、珍しい品種の特徴、株の増やし方まで、分かりやすく解説。おしゃれで育てやすい植物を探している方にぴったりの一鉢、ぜひチェックを!

エクメアの基本情報

エクメア
durisw/Shutterstock.com

植物名:エクメア
学名:Aechmea
英名:Aechmea、urn plant、Silver vase plant
和名:シマサンゴアナナス
科名:パイナップル科
属名:サンゴアナナス属
原産地:熱帯アメリカ
形態:多年草

エクメアはパイナップル科サンゴアナナス属の多年草です。常緑性で、一年を通してみずみずしい葉姿を保ちます。原産地は熱帯アメリカで、180〜250種が分布しています。暑さに強いものの、寒さには大変弱く、耐寒温度は10〜15℃ほど。鉢栽培にして季節によって適した場所に移動しながら管理するのがポイントです。草丈は自生地で20〜100cmほどです。

エクメアのほとんどは着生植物で、樹木や岩などに根を伸ばして生育します。森の中など半日陰の中で自生しており、葉の中心部に水を溜めて生育する性質を持つのが特徴。そのため、他の植物と比べて植え付けや水やりの方法が異なっています。

このように、株の中心部や葉の隙間に水を溜める性質を持つ植物は「タンクブロメリア」と呼ばれ、エクメアはその一種です。

エクメアの花や葉の特徴

エクメア・ファッシアータ
一般的にエクメアとして流通しているエクメア・ファッシアータ。Photology1971/Shutterstock.com

園芸分類:観葉植物
開花時期:5〜10月
草丈:20〜100cm
耐寒性:弱い
耐暑性:強い
花色:赤、ピンク、青紫など

一般的にエクメアとして流通しているエクメア・ファッシアータの開花期は5〜10月。植え付けてから開花するまでは1〜2年かかります。花色はピンク、赤、青紫など。エキゾチックなフォルムの花のように見えるのは、花を保護する葉の一種の苞で、花は苞の隙間から顔を出します。花は2〜3日で終わりますが、苞は長く観賞することができます。ちなみに、エクメアの中には花茎を伸ばして花を咲かせる種類もあり、エクメア・ファッシアータとは全く異なる花姿になることもあります。

エクメア‘ファンタジア’
花茎を伸ばして花を咲かせるエクメア‘ファンタジア’。Khairil Azhar Junos/Shutterstock.com

縁にギザギザのある葉は、ロゼット状になるのが特徴。放射状に葉を広げる姿が美しく、葉色は明るいグリーンやブロンズ色、縞状に斑が入るものなど、種や品種が多彩に揃います。

エクメアの名前の由来と花言葉

エクメア
Esin Deniz/Shutterstock.com

エクメアの学名はAechmeaで、学名がそのまま流通名になっています。「エクメア」とは、ギリシャ語で「尖った」「槍」という意味の「aichme」に由来し、株姿が名前の由来となっているようです。和名は「シマサンゴアナナス」で、葉に縞模様が入って、花がサンゴのようだとして名付けられました。「アナナス」はパイナップルをさします。

花言葉は「思慕の情」「他人を思う気持ち」などです。

エクメアの代表的な種類

エクメア
finchfocus/Shutterstock.com

エクメアは180〜250種ほどが確認されており、多様な種が揃って観葉植物として人気のある植物です。ここでは、なかでも人気の種や品種を取り上げてご紹介します。

エクメア・ファッシアータ(ファシアータ)

エクメア・ファッシアータ
Maggie Vong/Shutterstock.com

国内で最もポピュラーに流通する種類で、誤って“ファスキアタ”とも表記されることもあります。エクメアといえばこの種を指すことも多く、和名のシマサンゴアナナスも本来はこのエクメア・ファッシアータのことで、園芸品種も多数あります。濃いグリーンの葉に白の横縞が多数入っているのが特徴。花色は紫で、鮮やかなピンクの苞は長く残ります。成長時の高さは約60cm。

エクメア・ムルフォーディ・マルバ

ややシルバーを帯びた幅広の葉は肉厚で、縁にトゲが発生します。90cm近くまで成長する大型の品種です。

エクメア・フォスターズ・フェイバリット

赤みの強いブロンズ色の幅広の葉を広げます。葉の間から花茎を伸ばし、弓なりにしなった先端に赤い花を連ねます。あまり流通していない希少品種です。

エクメア・ガモセパラ

エクメア・ガモセパラ
aziseptian/Shutterstock.com

葉は明るいグリーンで、つやのある細長い葉を多数伸ばします。花茎を長く立ち上げ、その先端にピンクと紫の小さな花を多数つけます。苞はグリーンの線形で、あまり目立ちません。小型で草丈は20〜30cmほど。ブラジル原産であまり流通していない希少種です。空中湿度が高い環境を好むので、一年を通して霧吹きで葉水を与えましょう。エクメアのなかでは寒さに強いほうで、5℃くらいまで耐えます。夏に直射日光を当てると葉焼けしやすいので注意しましょう。

エクメア・チャンティニー

エクメア・チャンティニー‘ブラック’
エクメア・チャンティニー‘ブラック’。Khampan Nasinprom/Shutterstock.com

原産地はベネズエラからペルーにかけて。葉はやや肉厚な幅広タイプで、縁にトゲを持っています。葉には横縞が多数入り、スタイリッシュな葉姿をしているので、リビングに飾ると映えそうです。園芸品種も流通しており、黒っぽい葉に白のラインが入る‘ブラック’は特に人気があります。

エクメア‘ブルーベリー’

エクメア‘ブルーベリー’
Daniel Fung/Shutterstock.com

観葉植物としてではなく、花材やドライフラワーとして流通している品種です。長く伸ばした赤い花茎に、青紫の花がびっしりとつきます。カラフルな花は個性的な魅力を放ち、切り花をインテリアに飾るのもおすすめです。

エクメア・レクルバータ

エクメア・レクルバータ
mspoli/Shutterstock.com

細めの葉を放射状に伸ばすタイプで、葉色は明るいライムグリーンからブロンズ色、黒みの強いブロンズ色など。葉姿もシャープに伸ばすものもあれば、ややカールするものなど多様で、選ぶ楽しみがあります。湿度の高い環境を好むため、葉水を与えてメンテナンスをしましょう。

エクメア・オーランディアナ・シーディング

エクメア・オーランディアナ
エクメア・オーランディアナ。Tanya_Terekhina/Shutterstock.com

コンパクトにまとまる小型タイプ。葉の縁にトゲを持ち、根本がクリーム色から葉先がワインレッドになり、ゼブラ調に黒い斑やワインレッドの斑が入り、目を引く存在となります。あまり流通していない希少な品種。

エクメア・チャンティニー・ショーグン

日本で作られた園芸品種で「将軍」の名前がついています。肉厚で幅広の葉にはトゲがあり、ダイナミックに葉を広げます。グリーンの葉に、はっきりとした白の縞模様が入るのが特徴的。最低気温は10℃以上を保ちましょう。入手が難しい希少品種です。

エクメア・チャンティニー・サムライ

日本で生まれた、大変人気の高い園芸品種です。グリーンの葉には、中心に縦向きの黄色い縞が入り、加えて規則的に白い斑が横向きの縞模様が入ります。

エクメアの栽培12カ月カレンダー

開花時期:5〜10月
植え付け・植え替え:5〜9月
肥料:5〜10月
株分け:5~6月

エクメアの栽培環境

エクメア
Oliver Hoffmann/Shutterstock.com

日当たり・置き場所

【日当たり/屋外】基本的に半日陰の場所に置きます。ただし、極端に日当たりの悪い場所では葉色が悪くなったり、ヒョロヒョロとか弱い茎葉が茂って株姿が間のびしたりするので注意しましょう。

【日当たり/屋内】エクメアは屋内で栽培できます。極端に暗い場所では生育が悪くなるので、日当たりのよい場所に置くとよいでしょう。

【置き場所】レースのカーテン越しの日光が当たる場所など、柔らかい光が当たる場所で栽培します。

耐寒性・耐暑性

寒さに弱く、耐寒性は10〜15℃ほど。最低でも10℃を保つ必要があり、15℃以上あればより安心です。冬は室内に取り込んで冬越しします。暑さには強いほうですが、35℃以上では生育が悪くなります。また、強い直射日光が当たると葉焼けの原因になるので、屋外に出す場合は半日陰で管理しましょう。

エクメアの育て方のポイント

植え付けに適した資材

水ゴケ
水ゴケ。Th_Gim/Shutterstock.com

エクメアは木の幹や枝、岩などに根を伸ばして生育する着生植物です。したがって、水ゴケまたはヤシ殻、着生用ランの配合土、軽石、ベラボンなどを使って栽培します。いずれも排水性が高く、根腐れしにくい素材です。ビギナーなら乾燥しているか、湿り気があるのかが判別しやすい水ゴケがおすすめ。使用する場合は、まずは乾燥している水ゴケを水に浸けて十分に湿らせてから用います。

エクメア
TA BLUE Capture/Shutterstock.com

エクメアは、株の中心部や葉の隙間に水を溜めて水分を得る性質が、タンクに水を溜めているかのようだとして、「タンクブロメリア」とも呼ばれる植物の1つ。したがって、水やりの際は株の中心部に水が集まるように株の上から水を与えます。

ただし、エクメアの自生地のように一年を通して暖かい気候であれば、水を与えた後はそのままでよいのですが、冬は少し水やりの仕方を変更する必要があります。冬になると、エクメアは日本の寒い気候を苦手とするため、生育がとまります。そのため、中心部に水を溜めたままにしていると株が腐ってしまうのです。冬は株元に水やりをして水ゴケを湿らす程度にしましょう。水がかかって中心部に水が溜まっていたら、抜いておきます。

肥料

肥料
Sarycheva Olesia/Shutterstock.com

エクメアは着生植物のため大変丈夫で、特に肥料を与えなくとも育ちます。しかし、株に勢いがない場合や、株を大きくしたい場合は、5〜10月に株の状態を見ながら液体肥料を与えるとよいでしょう。室内で育てている場合、肥料のにおいが気になるのであれば、化成肥料を選ぶのがおすすめです。

注意する病害虫

ハダニ
Catherine Eckert/Shutterstock.com

【病気】

エクメアに発生しやすい病気は、斑点病です。

斑点病にかかりやすいのは主に4〜10月です。カビが原因で発生する病気で、20〜25℃の気温、かつ多湿な環境で発生しやすくなります。主に葉に発生し、最初は同心円状の班点が出始めて、多数の病班が広がると枯れてしまいます。下葉からだんだん上の葉へと広がっていくので注意。肥料の与えすぎに注意し、茎葉が茂りすぎていると発病しやすくなるので、茂りすぎたら葉を間引いて風通しよく管理しましょう。発病した葉はただちに切り取って処分し、適用する薬剤を散布して様子を見ます。

エクメアは高湿度を好む一方、風通しが悪いとカビや病気の原因になります。葉水と換気のバランスが大切です。

【害虫】

エクメアに発生しやすい害虫は、カイガラムシ、ハダニなどです。

カイガラムシの体長は2〜10mmほど。枝や幹などについて吸汁し、だんだんと木を弱らせていきます。また、カイガラムシの排泄物にすす病が発生して二次被害が起きることもあるので注意。硬い殻に覆われており、薬剤の効果があまり期待できないので、ハブラシなどでこすり落として駆除するとよいでしょう。

ハダニは、葉裏に寄生して吸汁する害虫です。体長は0.5mmほどと大変小さく、黄緑色や茶色い姿をしています。名前に「ダニ」がつきますが、クモの仲間です。高温で乾燥した環境を好み、梅雨明け以降に大発生しやすいので注意が必要。繁殖力が強く、被害が大きくなると、葉にクモの巣のような網が発生することもあります。ハダニは湿気を嫌うため、予防として高温乾燥期に葉裏にスプレーやシャワーなどで水をかけておくとよいでしょう。

エクメアの詳しい育て方

苗の選び方

葉の色艶がよく、適度に潤いのある苗を選びましょう。

植え付け・植え替え

ミズゴケ
Bowonpat Sakaew/Shutterstock.com

エクメアは着生植物のため、植え付け・植え替えの方法がほかの植物とは異なります。

【植え付け】

エクメアの植え付け適期は、5〜9月です。ここでは、着生植物の植え付けの資材として最もポピュラーな水ゴケを用いる方法について解説します。

水ゴケは乾燥した状態で販売されているので、水を張った器に浸け込んで十分に湿らせておきます。植え付ける鉢は、購入した苗の1〜2回り大きなサイズを準備しましょう。水を張った器に入れておいた水ゴケを取り出し、しっかりと絞ります。エクメアの苗を鉢から出し、水ゴケがついていたら取り外し、根に水ゴケを少しずつ巻いていきましょう。鉢の直径と同じくらいになるまで巻いてから、新しく用意した鉢に入れ込みます。さらに水ゴケをしっかりと詰め、ウォータースペースを残して完了です。

【植え替え】

エクメアの植え替え適期は、5〜9月です。ほかの植物のように根詰まりすることはほとんどありませんが、子株が増えて窮屈になると見栄えが悪くなったり、水やりがしにくくなるので、植え替えをして美しい株姿を保ちます。また、水ゴケが傷んで見栄えが悪くなっていたら、新しいものに交換するとよいでしょう。

鉢からエクメアを取り出して水ゴケをすべて取り外し、込み合った葉や子株があれば取り外しておきましょう。湿らせた水ゴケを根に巻き直し、鉢の直径と同じくらいになるまで巻いてから、新しく用意した鉢に入れ込みます。さらに水ゴケをしっかりと詰め、ウォータースペースを残して完了です。

日常のお手入れ

剪定
mihalec/Shutterstock.com

【下葉の除去】

エクメアは成長とともに外葉から枯れていくので、古くなって傷んだ葉があれば、元から切り取りましょう。

【花苞切り】

花苞の色が褪せたり、枯れたりしたら早めに取り除き、株の体力の消耗を防ぎます。

【鉢回し】

エクメアは放射状に葉を伸ばすため、鉢を動かさずにいると一定方向に生育が偏ってしまうことがあります。葉に均等に光が当たるように、定期的に鉢を回して管理するとよいでしょう。

夏越し・冬越し

エクメア
Bigc Studio/Shutterstock.com

【夏越し】

暑さには強いほうですが、35℃を超えてくると、生育が悪くなります。また、真夏の強い日差しを浴びると葉焼けすることがあります。7〜9月は、屋外に置く場合は必ず半日陰に移動し、室内に置く場合は、レースのカーテンなどで遮光するとよいでしょう。風通しが悪いと株が蒸れてだんだんと弱ってきたり、腐ったりすることがあるので注意します。

【冬越し】

エクメアは寒さには大変弱く、冬は10〜15℃を下回る場所では株が弱るので、戸外に置いている場合は温室や室内に取り込みましょう。日中は日光が差す窓辺に置くとよく、夜は外から冷気が伝わるようであれば、少し離してください。

増やし方

エクメア
Santi Wiwatchaikul/Shutterstock.com

エクメアは株分けで増やします。株分けの適期は、5〜6月です。

まずエクメアの株を鉢から抜き取り、水ゴケをすべて取り除きます。子株がいくつもついていたら、すべて切り取って分離します。親株に再び湿らせた水ゴケを巻き、もう一度鉢に戻しましょう。最後に株の上から水やりをして、葉の中央に水を溜めておきます。

子株は小さめの鉢に植えて増やします。もし親株が古くなり、株姿も乱れていたり、大きくなって邪魔になっていたりしたら、親株は処分して子株を大きくしていくのも一案です。

インパクト大のエクメアはおしゃれなインテリアグリーンとしてもおすすめ!

エクメア
Jana Milin/Shutterstock.com

フォルムの美しい葉姿が周年観賞でき、またエキゾチックな花も魅力的なエクメア。着生植物ならではの管理の仕方をマスターすれば、それほど手間のかからない観葉植物です。インテリアに似合うエクメアを選び、リビングや個室に鉢を飾ってはいかがでしょうか。

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