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アルメリアはどんな植物? 育て方・増やし方・栽培時の注意点も解説

アルメリアはどんな植物? 育て方・増やし方・栽培時の注意点も解説

Anna Gratys/Shutterstock.com

アルメリアは細長い花茎を伸ばした先に、可愛らしいボール状の花を咲かせる多年草です。花壇で活躍するほか、切り花としても利用できます。この記事では、アルメリアの基本情報や特徴、名前の由来や花言葉、品種、育て方、増やし方、活用方法など、詳しくご紹介します。

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アルメリアの基本情報

アルメリア
Wirestock Creators/Shutterstock.com

植物名:アルメリア
学名:Armeria
英名:sea thrift、thrift、sea pink
和名:ハマカンザシ(浜簪)
その他の名前:マツバカンザシ(松葉簪)、オオハマカンザシ
科名:イソマツ科
属名:ハマカンザシ属(アルメリア属)
原産地:ヨーロッパ、北アフリカなど
形態:宿根草(多年草)

アルメリアの学名はArmeriaで、学名がそのまま流通名になっています。和名はハマカンザシ、オオハマカンザシ。イソマツ科ハマカンザシ属(アルメリア属)の多年草です。ボール状に咲く花が特徴。常緑性で、冬でもみずみずしい葉姿を保ちます。原産地はヨーロッパ、北アフリカなどで、寒さには強い一方で蒸れに弱く、夏越しが栽培のポイントです。開花期は3〜5月。海岸に自生し、塩分に強いという特徴があります。

アルメリアの花や葉の特徴

アルメリア
crystaldream/Shutterstock.com

園芸分類:草花
開花時期:3〜5月
草丈:5〜60cm
耐寒性:強い
耐暑性:強い
花色:赤、ピンク、白

アルメリアの花色は赤、ピンク、白。3~5月に、花茎の先に小花が半球状に集まった頭状花序をつけます。常緑の葉は細長く、こんもりと密に茂ってロゼットを形成します。

アルメリアの名前の由来と花言葉

海岸のアルメリア
Robert Harding Video/Shutterstock.com

アルメリアの学名Armeriaの語源「armer」は、ケルト語で「海に」という意味があり、海岸に自生していることから名付けられたと考えられます。また和名はハマカンザシ(浜簪)で、こちらも海の近くで咲くことと、細い花茎の先に咲く丸い花を簪に見立てて名付けられました。アルメリアの花言葉は「思いやり」「共感」「愛らしさ」「歓待」などです。

アルメリアの品種

アルメリア
Aleksandr Stepanov/Shutterstock.com

アルメリアにはたくさんの種類があり、北半球を中心に50種ほどが確認されています。草丈は5〜60cmほどで、種によって幅があります。最もポピュラーに流通しているのはアルメリア・マリチマで、園芸品種も多様です。ほかに高性種のプセウドアルメリア、小型のジュニペリフォリアなどもあります。

アルメリアの活用方法

アルメリア
R. Maximiliane/Shutterstock.com

日本で一般的に流通しているアルメリアは、草丈が10〜20cmなので花壇の縁取りやロックガーデンの隙間などに向いています。鉢植えにしてもよく、花もちがよいので切り花としても利用可能です。

アルメリアの栽培12カ月カレンダー

開花時期:3〜5月
植え付け・植え替え:3〜5月、10~11月
肥料:3〜4月、10~11月
種まき:4月頃、10月頃

アルメリアの栽培環境

アルメリア
Valeriya Stupina/Shutterstock.com

日当たり・置き場所

【日当たり/屋外】アルメリアの栽培は、日当たり、風通しのよい場所が最適です。日当たりが悪い場所では間伸びぎみの頼りない草姿になり、花数が減ってしまうので注意しましょう。

【日当たり/屋内】一年を通して屋外で栽培します。基本的に開花には低温が必要なので、冬はしっかりと寒さに当てましょう。

【置き場所】西日の当たらない場所を選び、水はけ・水もちがよくバランスのとれた土壌づくりがポイントです。有機質資材をすき込んでふかふかとした土壌にし、周囲より少し土を盛って高くしておくと水はけがよくなります。高温多湿の環境が苦手で、粘土質の土壌や、水場に近くて低い場所など、水はけが悪くてジメジメとした環境を嫌うため注意しましょう。鉢栽培では、梅雨時期などは軒下などに移動して雨が当たらない場所で管理するとよいでしょう。また、塩分に強く、海岸が近い地域でも栽培できます。

耐寒性・耐暑性

耐寒性・耐暑性ともにあり、特に対策は必要ありません。ただし高温多湿には弱いため、夏場は風通しをよくして35℃以下になるように管理し、暑さが厳しい真夏は遮光するか涼しい日陰に移動するのが無難です。

アルメリアの育て方のポイント

用土

土
funnyangel/Shutterstock.com

【地植え】

植え付けの1〜2週間前に腐葉土や堆肥などの有機質資材を植え場所に投入し、よく耕して水はけのよい土壌をつくっておくとよいでしょう。植え付けの少し前に土づくりをしておくことで次第に分解して土が熟成し、植え付け後の根張りがよくなります。

【鉢植え】

草花の栽培用に配合された園芸用培養土を利用すると便利です。

水やり

水やり
Osetrik/Shutterstock.com

水やりの際は、株が蒸れるのを防ぐために茎葉全体にかけるのではなく、株元の土を狙って与えてください。

真夏に水やりする場合は、気温が上がっている昼間に行うと、すぐに水の温度が上がってぬるま湯のようになり、株が弱ってしまうので、朝か夕方の涼しい時間帯に与えることが大切です。

また、真冬に水やりする場合は、気温が低くなる夕方に行うと凍結の原因になってしまうので、十分に気温が上がった日中に与えるようにしましょう。

【地植え】

根付いた後は下から水が上がってくるのでほとんど不要です。ただし、雨が降らない日が続くようなら水やりをして補います。

【鉢植え】

日頃の水やりを忘れずに管理します。ただしアルメリアは多湿を嫌うので、いつもジメジメとした状態にしておくと、根腐れの原因になってしまうので注意。土の表面が乾いたら、鉢底から水が流れ出すまで、たっぷりと与えてください。茎葉がしおれそうにだらんと下がっていたら、水を欲しがっているサイン。植物が発するメッセージを逃さずに、きちんとキャッチしてあげることが、枯らさないポイントです。

肥料

肥料
Pawel Beres/Shutterstock.com

【地植え・鉢植えともに】

3〜4月と10〜11月に、緩効性肥料を月に1度を目安に株の周囲にばら撒いて、表土を軽く耕して馴染ませます。地植えでは控えめにしても構いませんが、鉢植えの場合は水やりと共に肥料成分が流れ出しやすいので、肥料切れに注意して株の勢いを保ちましょう。

注意する病害虫

アブラムシ
nechaevkon/Shutterstock.com

【病気】

アルメリアが発症しやすい病気は、うどんこ病、灰色かび病などです。

うどんこ病は、カビによる伝染性の病気です。茎葉やつぼみに発生しやすく、表面が白く粉を吹いたような状態になり、放置するとどんどん広がって光合成ができなくなり、やがて枯死してしまいます。窒素肥料を施しすぎたり、枝葉が繁茂しすぎて風通しが悪くなったりしていると、発病しやすくなります。うどんこ病が出たら病気の葉を摘み取って処分し、適用する殺菌剤を葉の表と裏に散布して、蔓延するのを防ぎましょう。

灰色かび病は花や葉に発生しやすく、褐色の斑点ができて灰色のカビが広がっていきます。気温が20℃ほど、かつ多湿の環境下で発生しやすい病気で、ボトリチス病、ボト病などとも呼ばれています。風通しが悪く込み合っていたり、終わった花や枯れ葉を放置していたりすると発生しやすくなるので注意。花がらをこまめに摘み取り、茎葉が込み合っている場合は、間引いて風通しよく管理しましょう。

【害虫】

アルメリアに発生しやすい害虫は、アブラムシ、アザミウマなどです。

アブラムシは、3月頃から発生しやすくなります。2〜4mmの小さな虫で繁殖力が大変強く、発生すると茎葉にびっしりとついて吸汁し、株を弱らせるとともにウイルス病を媒介することにもなってしまいます。見た目もよくないので、発生初期に見つけ次第こすり落としたり、水ではじいたりして防除しましょう。虫が苦手な方は、スプレータイプの薬剤を散布して退治するか、植え付け時に土に混ぜ込んで防除するアブラムシ用の粒状薬剤を利用するのがおすすめです。

アザミウマは花や葉につき、吸汁する害虫です。スリップスの別名を持っています。体長は1〜2mmと大変小さく、緑や茶色、黒の姿をした昆虫です。群生して植物を弱らせるので注意しましょう。針のような器官を葉などに差し込んで吸汁する際にウイルスを媒介するので、二次被害が発生することもあります。被害が進んだ花や葉は傷がついてかすり状になる異変が見られるのでよく観察してみてください。花がらや枯れ葉、雑草などに潜みやすいので、株まわりを清潔に保っておきます。土に混ぜるタイプの粒剤を利用して防除してもよいでしょう。

アルメリアの詳しい育て方

苗の選び方

アルメリアの苗を選ぶ際は、節間が短くがっしりと締まって勢いのあるものを選びます。傷んだ葉がついているものや虫食い跡のあるもの、ヒョロヒョロと茎葉が長く伸びて弱々しいものは避けたほうが無難です。

植え付け・植え替え

ガーデニング
AlenKadr/Shutterstock.com

アルメリアの植え付け適期は、3〜5月か10〜11月です。ただし、植え付け適期以外にも苗は出回っているので、花苗店などで入手したら早めに植え付けるとよいでしょう。

【地植え】

土づくりをしておいた場所に、アルメリアの苗を植え付けます。複数の苗を植え付ける場合は、20〜40㎝の間隔を取っておきましょう。あまり密に植え付けると、風通しが悪くなって株が蒸れることがあるので、余裕を持たせておきましょう。

地植えにしている場合は、数年は植えたままにしてもかまいません。しかし、大株に育って込み合ってきたら掘り上げ、株分けして植え直し、株の若返りをはかるとよいでしょう。

【鉢植え】

鉢の大きさは、入手した苗よりも1〜2回りほど大きい鉢を準備します。

用意した鉢の底穴に鉢底ネットを敷き、軽石を1〜2段分入れてから培養土を半分くらいまで入れましょう。アルメリアの苗を鉢に仮置きし、高さを決めます。苗をポットから出してみて根が白く回っているようなら、軽く根鉢をくずしてから植え付けましょう。水やりの際にすぐ水があふれ出すことのないように、土の量は鉢縁から2〜3㎝下を目安にし、ウォータースペースを取るとよいでしょう。土が鉢内までしっかり行き渡るように、割りばしなどでつつきながら培養土を足していきます。最後に、鉢底からたっぷりと水が流れ出すまで、十分に水を与えましょう。寄せ植えの素材として、大鉢にほかの植物と一緒に植え付けてもOKです。

鉢植えで楽しんでいる場合、成長とともに根詰まりして株の勢いが衰えてくるので、1〜2年に1度は植え替えることが大切。植え替えの適期は3〜5月か10〜11月です。植え替え前に水やりを控えて土が乾いた状態で行うと、作業がしやすくなります。鉢から株を取り出して根鉢をくずし、新しい培養土を使って植え直します。もっと大きく育てたい場合は、元の鉢よりも大きな鉢を準備し、軽く根鉢をくずす程度にして植え替えてください。

暑さ・寒さ対策

ワラ
暑さや寒さ避けの対策にも有効なワラ。Photo/長田節子

●夏越し

【地植え】

一日中、日差しが強く照りつける場所では遮光ネットを張り、株元に敷きワラをして暑さ・乾燥対策をするとよいでしょう。真夏は鉢に植え替えて、風通しがよく涼しい場所で夏越しするのも一案です。

【鉢植え】

強い日差しが照りつけ続ける暑い環境にさらされると弱るので、風通しのよい涼しい場所に移動して管理しましょう。

●冬越し

【地植え】

寒さには強いので戸外で越冬できますが、株元に敷きワラをしておくとよいでしょう。

【鉢植え】

寒さには強いので、戸外で越冬できます。

日常の管理

marekuliasz/Shutterstock.com
marekuliasz/Shutterstock.com

【花がら摘み】

アルメリアは次々に花が咲くので、花がら摘みは必須の作業。終わった花は早めに摘み取りましょう。こまめに花がらを摘んで株まわりを清潔に保つことで、病害虫発生の抑制につながります。また、いつまでも終わった花を残しておくと、種をつけようとして株が消耗し、老化が早まって花数が少なくなってしまうので注意。花がらをまめに摘み取ると、次世代を残そうとして次から次に花がつき、長く咲き続けてくれます。

増やし方

種まき
Montana Isabella/Shutterstock.com

アルメリアは、株分け、挿し芽、種まきで増やすことができます。ここでは、それぞれの方法についてご紹介します。

【株分け】

アルメリアの株分け適期は3〜5月か10〜11月です。株を植え付けて数年が経ち、大きく育ったら株の老化が進むので、「株分け」をして若返りを図ります。株を掘り上げて数芽ずつつけて根を切り分け、再び植え直しましょう。それらの株が再び大きく成長し、同じ姿の株が増えていくというわけです。

【挿し芽】

挿し芽とは、茎葉を切り取って地面に挿しておくと発根して生育を始める性質を生かして増やす方法です。植物のなかには挿し芽ができないものもありますが、アルメリアは挿し芽で増やせます。

アルメリアの挿し芽の適期は、6月頃か10月頃です。新しく伸びた茎葉を切り取ります。黒ポットを用意して新しい培養土を入れ、水を入れて十分に湿らせておきます。培養土に穴をあけ、穴に切り取った茎葉を挿して土を押さえてください。発根するまでは明るい日陰に置いて乾燥させないように管理します。成長して根が回ってきたら植えたい場所へ定植しましょう。挿し芽のメリットは、親株とまったく同じ性質を持ったクローンになることです。

【種まき】

アルメリアの種まきの適期は、4月頃か、10月頃です。種まき用のセルトレイに市販の草花用培養土を入れて種をまき、薄く覆土してください。種が流れ出すことがないように、トレイより一回り大きな容器に浅く水を張り、トレイを入れて底面から吸水させます。発芽までは半日陰の場所に置いて、乾燥しないように管理しましょう。

発芽後は日当たりがよく、風通しのよい場所へ移動します。本葉が2〜3枚出始めたら、黒ポットに植え替えて育苗します。直根性のため、根を傷めないように扱いましょう。10日に1度を目安に、液肥を与えると生育がよくなります。しっかりした株に育ったら、植えたい場所に根鉢をくずさずに定植しましょう。

アルメリアを育てる際の注意点

アルメリア
Alex Manders/Shutterstock.com

アルメリアが順調に育っていない場合、その対処法についてご紹介します。

葉が変色していたらすぐに取り除く

アルメリアの葉が、生育期なのにもかかわらず黄色や茶色、黒などに変色することがあります。これは株が蒸れているか、病気を発症しているかのサイン。掘り上げて株分けし、風通しのよい場所に植え直します。病気を発症しているようであれば、変色した葉を除去し、適用する薬剤を散布して様子を見ましょう。

花が咲かないときは育てる場所を変える

開花期がきてもつぼみがつかない場合は、適した環境ではない可能性があります。日当たり、風通しのよい場所に植え直しましょう。多湿の環境を嫌うので、じめじめとした環境であればパーライトや川砂などを施して水はけをよくし、周囲よりも土を盛って植え直してみてください。

アルメリアの栽培に挑戦しよう

アルメリア
photoPOU/Shutterstock.com

アルメリアは高温多湿の環境による蒸れさえ注意すれば、丈夫に育つ草花です。可憐な咲き姿は、ロックガーデンやボーダー花壇などで本領を発揮します。また寄せ植えにも素敵なアクセントとして活躍します。ぜひ庭の景色づくりに取り入れてみてください。

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