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- プリムラ・オブコニカの育て方〜花言葉は「初恋」の可憐な花
冬の花鉢として長く親しまれてきたプリムラ・オブコニカ。花色が豊富でカラフルな品種が多数揃い、寂しくなりがちな冬の窓辺を明るく彩ってくれます。この記事では、プリムラ・オブコニカの基本情報や特徴、名前の由来や花言葉、おすすめの品種、育て方などについて、詳しくご紹介します。
目次
プリムラ・オブコニカの基本情報
植物名:プリムラ・オブコニカ
学名:Primula obconica
英名:Primula obconica、German primrose、poison primrose
和名:トキワザクラ(常盤桜)
その他の名前:シキザキサクラソウ(四季咲き桜草)
科名:サクラソウ科
属名:サクラソウ属(プリムラ属)
原産地:中国
形態:宿根草(多年草)
プリムラ・オブコニカの学名はPrimula obconica で、学名がそのままの流通名になっています。常盤桜(トキワザクラ)、四季咲き桜草(サクラソウ)の別名もあります。サクラソウ科サクラソウ属(プリムラ属)、常緑性の多年草ですが、夏の暑さに弱く夏越しが難しいために、日本では一年草として扱われることもあります。原産地は中国湖北省で、高温多湿に弱く、冬の寒さも苦手とするのが特徴です。草丈は20〜30cmほどです。
冬から春にかけて開花するプリムラ・オブコニカは、シクラメンやポインセチアなどのように、冬に室内を彩る花鉢として愛されてきました。花色が豊富で花が少なくなる時期にカラフルな花を咲かせてくれるので、ギフト用としても人気があります。茎葉には、プリミンと呼ばれるアルカイドを含み、触るとかぶれることがあるので、花がら摘みなどの手入れをする際にはガーデングローブを着用するとよいでしょう。近年は、品種改良によってプリミンをほとんど含まない園芸品種も登場しています。
プリムラ・オブコニカの花や葉の特徴
園芸分類:草花
開花時期:12〜4月
草丈:20〜30cm
耐寒性:弱い
耐暑性:やや弱い
花色:紫、ピンク、白、藤色、サーモンピンク、複色など
プリムラ・オブコニカの開花期は12月〜翌年4月頃で、冬から春にかけて室内を彩る花鉢として親しまれてきました。花茎を長く伸ばし、その先に数輪~十数輪の花を咲かせます。花色は紫、ピンク、白、藤色、サーモンピンク、複色などで、色幅が豊富に揃うため、選ぶ楽しみがあります。産毛が生えた葉には長い葉柄があり、ロゼットを作ります。
プリムラ・オブコニカの名前の由来や花言葉
プリムラ・オブコニカという名前は学名Primula obconicaから。「最初の、初めの」という意味の「primus」と、「逆円錐」という意味の「obconica」というラテン語から名付けられたもので、花の形と早春にほかの花に先駆けて花を咲かせることが由来です。
プリムラ・オブコニカの花言葉は、「初恋」「青春」「少年時代」「しとやかな人」などがあります。
プリムラ・オブコニカの誕生花
プリムラ・オブコニカは、2月19日、3月1日、3月26日、12月9日、12月19日の誕生花とされています。花鉢としてポピュラーに出回っているので、ギフトにしても喜ばれそうです。
プリムラ・オブコニカの代表的な種類
プリムラ・オブコニカは品種改良が進み、かぶれにくい園芸品種も登場しています。ここでは、それらの品種について取り上げます。
‘タッチミー’
オランダのナーセリーが開発した品種で、かぶれの原因となるプリミンをほとんど含まないため安心です。赤、紫、ピンクの濃淡など色幅があるシリーズです。
「プリカント」シリーズ
「プリカント」シリーズは、グリーンがかった白、青紫、赤紫の花色が揃い、いずれもシックなニュアンスカラー。花弁にはフリルが入るのでエレガントな雰囲気をまとっています。アレルギー物質のプリミンをほとんど含まないのが特徴です。
プリムラ・オブコニカの栽培12カ月カレンダー
開花時期:12月〜翌年4月
植え付け・植え替え:9月頃
肥料:10〜4月
種まき:6~7月
プリムラ・オブコニカの栽培環境
日当たり・置き場所
【日当たり/屋外】耐寒性が弱いため、鉢植えでの栽培が基本で、春から秋は屋外でも栽培できます。基本的には半日陰で栽培しますが、あまりに日当たりが悪いとヒョロヒョロと茎葉が間のびして軟弱な株になったり、花つきが悪くなったりするので注意してください。また、多湿も嫌うので雨の当たらない軒下などで管理するとよいでしょう。
【日当たり/屋内】気温が10℃を下回るようになったら取り込み、明るい窓辺で管理しましょう。
【置き場所】高温多湿に弱いので、屋外で栽培しているときは、風通しがよく雨の当たらない軒下などで管理するとよいでしょう。また、室内ではエアコンの風が直接当たらない明るい窓辺に置きます。ただし、あまり窓の近くだと、夜に外気温が伝わって冷え込み、株が弱ることがあるので注意してください。
耐寒性・耐暑性
プリムラ・オブコニカは、寒さに弱いため、鉢植えにして季節に応じて適した場所に移動しながら管理します。耐寒温度は5℃くらいなので、10℃を下回るようになったら室内に取り込みます。また、暑さにも弱いので、風通しのよい涼しい場所で夏越しするとよいでしょう。
プリムラ・オブコニカの育て方
ここからは、プリムラ・オブコニカの鉢植えでの育て方を解説します。
用土
特別な成分は必要がないので、市販の草花用培養土を利用すると手軽です。
水やり
日頃の水やりを忘れずに管理します。ただし、いつも湿った状態にしていると根腐れの原因になるので、与えすぎに注意。土の表面が乾いてから、鉢底から水が流れ出すまで、たっぷりと与えましょう。水やりの際は、株が蒸れるのを防ぐために茎葉全体にかけるのではなく、株元の土を狙って与えてください。茎葉がしおれそうにだらんと下がっていたら、水を欲しがっているサイン。植物が発するメッセージを逃さずに、きちんとキャッチしてあげることが、枯らさないポイントです。
真夏は乾燥しやすいので、水切れには特に注意しましょう。また、気温の高い日中に水やりすると、太陽の熱によって土の温度が上がってお湯のように熱くなってしまうことがあり、株が著しく弱ってしまいます。真夏の水やりは、気温の低い朝か夕方に行いましょう。一方で、真冬は十分に気温が上がった真昼に水やりをすませておくことがポイントです。
肥料
植え付け時に元肥として緩効性肥料を施しておきましょう。
開花期を迎えたら、月に1度を目安に緩効性化成肥料をばら撒き、スコップで軽く中耕して土に馴染ませます。または、10日に1度を目安に液体肥料を与えてもよいでしょう。
注意する病害虫
【病気】
プリムラ・オブコニカに発生しやすい病気は、灰色かび病です。
灰色かび病
灰色かび病は花や葉に発生しやすく、褐色の斑点ができて灰色のカビが広がっていきます。気温が20℃ほどで、多湿の環境下にて発生しやすい病気です。ボトリチス病、ボト病などとも呼ばれています。風通しが悪く込み合いすぎていたり、終わった花や枯れ葉を放置していたりすると発生しやすくなるので注意。花がらをこまめに摘み取り、茎葉が込み合いすぎている場合は、間引いて風通しよく管理しましょう。
【害虫】
プリムラ・オブコニカに発生しやすい害虫は、アブラムシ、ヨトウムシ、ハダニ、スリップスなどです。
アブラムシ
アブラムシは、3月頃から発生しやすくなります。2〜4㎜程度の小さな虫で繁殖力が大変強く、発生すると茎葉にびっしりとついてしまうほどに。植物の茎葉について吸汁し、株を弱らせるとともにウイルス病を媒介することにもなってしまいます。見た目にも不愉快なので、発生初期に見つけ次第こすり落としたり、水ではじいたりして防除しましょう。虫が苦手な方は、スプレータイプの薬剤を散布して退治するか、植え付け時に土に混ぜ込んで防除するアブラムシ用の粒状薬剤を利用するのがおすすめです。
ヨトウムシ
ヨトウムシは蛾の幼虫で、漢字で「夜盗虫」と書き、主に夜に姿を現して茎葉を食害します。大きくなった幼虫は食欲が旺盛で、一晩に株を丸裸にしてしまうほどです。葉から食害し始めるので、異変を察したら幼虫がまだ若いうちに駆除しましょう。発生しやすい時期は4〜6月、9〜10月です。食害の跡が認められたら夜にパトロールして補殺するか、適用する薬剤を散布して防除します。
ハダニ
ハダニは、葉裏に寄生して吸汁する害虫です。体長は0.5㎜ほどと大変小さく、黄緑色や茶色い姿をしています。名前に「ダニ」がつきますが、クモの仲間です。高温で乾燥した環境を好み、梅雨明け以降に大発生しやすいので注意が必要。繁殖力が強く、被害が大きくなると、葉にクモの巣のような網が発生することもあります。ハダニは湿気を嫌うため、予防として高温乾燥期には葉裏にスプレーやシャワーなどで水をかけておくとよいでしょう。
スリップス
スリップスは花や葉につき、吸汁する害虫です。アザミウマの別名を持っています。体長は1〜2㎜ほどで大変小さく、緑や茶色、黒の姿をした昆虫です。群生して植物を弱らせるので注意しましょう。針のような器官を葉などに差し込んで吸汁する際にウイルスを媒介するので、二次被害が発生することもあります。被害が進んだ花や葉は傷がついてかすり状になって、異変が見られるのでよく観察してみてください。花がらや枯れ葉、雑草などに潜みやすいので、株まわりを清潔に保っておきます。土に混ぜるタイプの粒剤を利用して防除してもよいでしょう。
プリムラ・オブコニカの詳しい育て方
苗の選び方
プリムラ・オブコニカの苗を購入する際は、葉色がよく、つぼみがたくさんついたものを選ぶとよいでしょう。
植え付け・植え替え
プリムラ・オブコニカの植え付け適期は9月下旬頃です。
5〜6号鉢を準備します。用意した鉢の底穴に鉢底ネットを敷き、軽石を1〜2段分入れてから草花用の培養土を半分くらいまで入れましょう。苗をポットから取り出して鉢の中に仮置きし、高さを決めたら、根鉢を軽くほぐし、少しずつ土を入れて植え付けます。水やりの際にすぐあふれ出さないように、土の量は鉢縁から2〜3㎝下を目安にし、ウォータースペースを取っておいてください。土が鉢内までしっかり行き渡るように、割りばしなどでつつきながら培養土を足していきます。最後に、鉢底から流れ出すまで、十分に水を与えましょう。
越年して株が大きく育ち、鉢が窮屈そうになっていたら、ひと回り大きな鉢に植え替えます。適期は9月下旬頃です。植え替えの際は、しばらく水やりを控えて土を乾かしておき、作業しやすいようにしておきます。鉢から株を取り出して根がびっしりと詰まっていたら、根鉢を少しずつ崩して古い根や土を取り除きましょう。根をくずして1/2〜1/3まで小さくし、再び植え直します。
日常のお手入れ
プリムラ・オブコニカの季節ごとのお手入れのポイントについてご紹介します。
【花がら摘み】
プリムラ・オブコニカは次々に花が咲くので、終わった花は摘み取りましょう。まめに傷んだ花がらを摘んで株まわりを清潔に保つことで、病害虫発生の抑制につながります。また、いつまでも終わった花を残しておくと、種子をつけようとして株が消耗し、老化が早まって花数が少なくなってしまうので注意。花がらをまめに摘み取ると、次世代を残そうとして次から次に花がつき、長く咲き続けてくれます。種子を採取したい場合は、開花が終わりそうな頃に花がら摘みをやめて、種子をつけさせましょう。
夏越し
プリムラ・オブコニカは、本来は多年草ですが、日本の高温多湿の環境を苦手とし、夏越しが難しいため一年草として扱われる場合もあります。暑さで枯死してしまった場合は処分しましょう。夏越しにチャレンジする場合は、風通しのよい涼しい場所で管理します。
冬越し
プリムラ・オブコニカは寒さを苦手とし、5℃以下になると枯死してしまうことがあります。最低気温が10℃を下回る前に室内に取り込み、日当たりのよい窓辺などに置きましょう。夜は外気温が伝わりにくい場所に置いてください。
増やし方
プリムラ・オブコニカは種まき、株分けで増やすことができます。ここでは、それらの方法についてご紹介します。
【種まき】
プリムラ・オブコニカの種まき適期は6〜7月です。
まず、種まき用のセルトレイを準備してください。トレイに市販の種まき用の用土を入れて十分に湿らせ、1穴当たり数粒ずつ播きます。プリムラ・オブコニカは発芽に光を必要とする好光性種子のため、土をかぶせる必要はありません。種が細かいので、浅く水を張った容器にセルトレイを置いて鉢底から給水します。発芽までは涼しい場所に置き、乾燥しないように適度な水管理をしてください。
双葉が出揃ったら、弱々しい苗を間引いて1本立ちにしましょう。残す苗の根を傷めないように、株元を押さえて抜き取ってください。本葉が4〜5枚出始めたら、セルトレイから鉢上げするタイミングです。3号の黒ポットに草花用の培養土を入れ、セルトレイから苗を抜き取って根鉢をくずさずにそのまま植え付けます。日当たり、風通しのよい場所で育苗しましょう。根がまわるほどに十分育ったら、植えたい場所に定植します。
【株分け】
プリムラ・オブコニカが大株に育っていたら、株分けして増やすことができます。株分けの適期は4〜5月頃か9月下旬頃です。株を掘り上げて数芽ずつつけて根を切り分け、再び植え直しましょう。それらの株が再び大きく成長し、同じ姿の株が増えていくというわけです。あまり強引に引きちぎったり、小分けにしたりすると、株が弱ることがあるので注意してください。
プリムラ・オブコニカを育てる際の注意点
プリムラ・オブコニカは、葉や花茎、萼などにプリミンを含有しています。この物質は、肌に触れると皮膚炎を起こしてしまうことがあるので注意。植え替えや花がら摘みなど、手入れ作業をする際は、必ずゴム手袋を着用しましょう。特に敏感肌の方は要注意です。一度かぶれると、二度目、三度目は症状が重くなることがあります。
プリムラ・オブコニカの鉢花を長く満喫しよう
寒い冬でも、窓辺に置けば明るい花色を見せてくれるプリムラ・オブコニカ。咲く花の種類が少なくなるこの時期は嬉しく、毎年購入している人もいるのではないでしょうか。ぜひ鉢栽培にチャレンジして、お部屋を明るく彩ってみてください。
Credit
文 / 3and garden
スリー・アンド・ガーデン/ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。
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