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レースラベンダーは葉も花も楽しめる! 栽培ポイントやアレンジ法を解説

レースラベンダーは葉も花も楽しめる! 栽培ポイントやアレンジ法を解説

roollooralla/Shutterstock.com

多様な種類が揃い、ガーデニングでも人気のラベンダー。その中でも、レースラベンダーは深い切れ込みが入る葉の繊細なフォルムが美しく、開花期以外でも葉姿を観賞できるのが特徴です。この記事では、レースラベンダーの基本情報や特徴、名前の由来や花言葉、種類、育て方、楽しみ方などについてご紹介します。

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レースラベンダーの基本情報

レースラベンダー
N.Stertz/Shutterstock.com

植物名:レースラベンダー
学名:Lavandula pinnata
英名:fernleaf lavender、jagged lavender
和名:レースラベンダー
その他の名前:ピナータラベンダー
科名:シソ科
属名:ラバンデュラ属
原産地:カナリア諸島
分類:常緑性小低木

レースラベンダーの学名はLavandula pinnata (ラバンデュラ・ピナータ)。シソ科ラバンデュラ属の常緑性小低木で、原産地はカナリア諸島。ラベンダーの中では、比較的耐暑性がある反面、寒さに弱い性質を持っています。樹高は30〜60cm。冬でもみずみずしい葉を保つため、エバーグリーンとして利用できます。花に芳香はありますが、それほど強くはなく、観賞用として楽しまれることが多いです。

レースラベンダーの花や葉の特徴

レースラベンダー
peterpanTW/Shutterstock.com

園芸分類:草花
開花時期:4〜7月、9~11月
樹高:30〜60cm
耐寒性:やや弱い
耐暑性:やや弱い
花色:紫

レースラベンダーの開花期は4~7月、9~11月です。よく返り咲く性質があり、環境が合えば真冬に咲くこともあります。花色は紫色で、花穂を立ち上げて下から上に咲き上がっていきます。

葉には細かい切れ込みが入り、レースのような繊細な質感が印象的。また、表面に産毛が密生していることから涼しげなシルバーリーフに見え、常緑性のため一年を通してカラーリーフプランツとして楽しめます。

レースラベンダーの名前の由来や花言葉

レースラベンダー
N.Stertz/Shutterstock.com

「ラベンダー」という名前はラテン語の「lavare」から来ています。「洗う」という意味を持ち、ラベンダーが沐浴や洗濯に利用されたり傷口を洗うのに使われたりしたことが由来です。レースラベンダーという名前は、葉に細かい切れ込みが入り、レースのようなフォルムを持つことに由来します。

花言葉は「あなたを待っています」「沈黙」「繊細」など。ラベンダーという名の少女が愛を告白できず1輪の花になってしまったというストーリーがもとになっています。「沈黙」はラベンダーの香りにリラックス効果があることが由来のようです。

ラベンダーの主な品種

ラベンダー畑
JeanLucIchard/Shutterstock.com

香りがよく、ハーブとしても利用されるラベンダーには、レースラベンダーのほかにもさまざまな種類があります。ここでは代表的な品種をいくつかご紹介します。

イングリッシュラベンダー(コモンラベンダー)

イングリッシュラベンダー
Iva Vagnerova/Shutterstock.com

フランスのプロバンス地方が原産。ラベンダーの中でも特にかぐわしい芳香を持ち、鮮やかな紫色の花も美しく人気の高い代表的な種類。高温多湿に弱く、寒さに強いため、冷涼な地域での栽培に向きます。トゥルーラベンダーとも呼ばれ、香水などの原料にも主にこの品種の精油が使われます。

ラバンディン

ラバンディン‘グロッソ’
ラバンディン‘グロッソ’。tamu1500/Shutterstock.com

スパイクラベンダーとイングリッシュラベンダーの交配種。比較的耐暑性があり、寒さにも強く育てやすい種類です。イングリッシュラベンダーの栽培が難しい温暖な地域でも栽培できます。ポピュラーな品種に、生育旺盛で香りがよく、花も美しい‘グロッソ’があります。

フレンチラベンダー

フレンチラベンダー
High Mountain/Shutterstock.com

主に花を楽しむラベンダーで、ウサギの耳のような苞が特徴の可愛らしい品種。耐寒性はやや弱いものの耐暑性に富み、夏越ししやすい反面が楽で、栽培しやすい種類です。

レースラベンダーの栽培12カ月カレンダー

開花時期:4〜7月、9~11月
植え付け・植え替え:3月下旬〜4月、10月頃
肥料:3月下旬〜4月、10月頃
種まき:5月頃

レースラベンダーの栽培環境

レースラベンダー
Burning Bright/Shutterstock.com

日当たり・置き場所

【日当たり/屋外】日当たり・風通しのよい場所を好みます。日照が不足すると花つきが悪くなり、ひょろひょろと徒長ぎみに伸びて軟弱な株になるので注意しましょう。

【日当たり/屋内】一年を通して屋外での栽培が基本ですが、地域によっては冬は室内に取り込んで冬越しさせます。

【置き場所】高温多湿が苦手で、水はけのよい環境を好むため、土を盛って周囲より高くしたり、レイズドベッドや傾斜地に植え付けたりするのも一案です。夏は午前のみ日がさす東側などに植え、鉢植えの場合は雨が当たらない、風通しのよい涼しい半日陰に移動して管理するとよいでしょう。軒下やベランダに置くと花が傷みにくく、長く楽しめます。

耐寒性・耐暑性

耐暑性はありますが過湿に弱く、日本の高温多湿な夏は苦手。鉢植えの場合は、雨が当たらない風通しのよい半日陰に移動して夏越しさせるとよいでしょう。地植えの場合は、開花後には鉢に植え替えるのも一案です。また、ラベンダーの中では寒さに弱く、霜や凍結によって枯れてしまうため、霜が降りる地域では軒下などに置くか、室内に取り込んで越冬させるとよいでしょう。

レースラベンダーの育て方のポイント

用土

土
funnyangel/Shutterstock.com

【地植え】

植え付けの約1カ月前に、苦土石灰を散布してよく耕しておきます。2週間前に腐葉土や堆肥、緩効性肥料を混ぜ込んで、よく耕し、有機質に富んで水はけ・水もちのよい土壌をつくります。水はけをよくするために、周囲より土を盛っておくのもおすすめです。土づくりをした後にしばらく時間をおくことで、分解が進んで土が熟成し、植え付け後の根張りがよくなります。

【鉢植え】

市販のハーブ用培養土を利用すると手軽です。

水やり

水やり
wavebreakmedia/Shutterstock.com

過湿が苦手なので、乾燥気味に管理します。水やりの際は、株が蒸れるのを防ぐために茎葉全体にかけるのではなく、株元の地面を狙って与えてください。

真夏は、気温が高い昼間に与えると、すぐに水の温度が上がり株が弱ってしまうので、朝か夕方の涼しい時間帯に行うことが大切です。

また、真冬は、気温が低くなる夕方に与えると凍結の原因になってしまうので、十分に気温が上がった日中に行いましょう。

【地植え】

根付いた後は、下から水が上がってくるのでほとんど不要です。ただし、雨が降らず乾燥が続くようなら水やりをして補います。

【鉢植え】

日頃の水やりを忘れずに管理します。ただし、いつも湿った状態にしていると根腐れの原因になるので、与えすぎに注意。土の表面が乾いたら、鉢底から水が流れ出すまで、たっぷりと与えましょう。茎葉がしおれそうにだらんと下がっていたら、水を欲しがっているサイン。植物が発するメッセージを逃さずに、きちんとキャッチしてあげることが、枯らさないポイントです。

肥料

肥料
Pawel Beres/Shutterstock.com

【地植え・鉢植え共に】

植え付けの際に元肥を施しておけば、1年目の追肥は必要ありません。ただし、株に勢いがないようであれば、液肥を与えて様子を見ましょう。

越年後は、3月下旬〜4月上旬と10月頃に、緩効性化成肥料を少量施します。

注意する病害虫

アブラムシ
nechaevkon/Shutterstock.com

【病気】

発生しやすい病気は、うどんこ病、灰色かび病などです。

うどんこ病は、カビによる伝染性の病気です。葉、新梢、つぼみに発生しやすく、表面が白く粉を吹いたような状態になり、放置するとどんどん広がって光合成ができなくなり、やがて枯死してしまいます。窒素肥料を施しすぎたり、枝葉が繁茂しすぎて風通しが悪くなったりしていると、発病しやすくなります。うどんこ病が出たら病気の葉を摘み取って処分し、適用のある殺菌剤を葉の表と裏に散布して、蔓延するのを防ぎましょう。

灰色かび病は花や葉に発生しやすく、褐色の斑点ができて灰色のカビが広がっていきます。気温が20℃ほど、かつ多湿の環境下で発生しやすく、ボトリチス病、ボト病などとも呼ばれています。風通しが悪く込み合っていたり、終わった花や枯れ葉を放置していたりすると発生しやすくなるので注意。花がらをこまめに摘み取り、茎葉が込み合っている場合は、間引いて風通しよく管理しましょう。

【害虫】

レースラベンダーに発生しやすい害虫は、アブラムシ、ハダニなどです。

アブラムシは、3月頃から発生しやすくなります。2〜4mmの小さな虫で繁殖力が大変強く、葉にびっしりとついて吸汁し、株を弱らせるとともにウイルス病を媒介することにもなってしまいます。見た目もよくないので、発生初期に見つけ次第こすり落としたり、水ではじいたりして防除しましょう。虫が苦手な方は、スプレータイプの薬剤を散布して退治するか、植え付け時に土に混ぜ込んで防除するアブラムシ用の粒状薬剤を利用するのがおすすめです。

ハダニは、葉裏に寄生して吸汁する害虫です。体長は0.5mmほどと大変小さく、黄緑色や茶色い姿をしています。名前に「ダニ」がつきますが、クモの仲間です。高温で乾燥した環境を好み、梅雨明け以降に大発生しやすいので注意が必要。繁殖力が強く、被害が大きくなると、葉にクモの巣のような網が発生することもあります。

レースラベンダーの詳しい育て方

苗の選び方

苗を購入する際は、葉色がよく、節間が詰まって間のびしていないしっかりとしたものを選ぶとよいでしょう。

植え付け・植え替え

ガーデニング
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レースラベンダーの植え付け・植え替えの適期は、3月下旬〜4月か、10月頃です。ただし、植え付け適期以外にも苗は出回っているので、花苗店などで入手したら早めに植え付けるとよいでしょう。

【地植え】

土づくりをしておいた場所に、苗の根鉢よりも1回り大きな穴を掘り、根鉢を軽くくずして植え付けます。最後にたっぷりと水を与えましょう。複数の苗を植える場合は、20〜30cmの間隔を取っておきます。水やりや降雨時の泥はねによって病気が発生するのを防ぐために、表土にバークチップなどを敷いておくとよいでしょう。

地植えにしている場合は、数年は植えたままにしてもかまいません。

【鉢植え】

鉢で栽培する場合は、5〜6号の鉢を準備します。用意した鉢の底穴に鉢底ネットを敷き、軽石を1〜2段分入れてからハーブ用の培養土を半分くらいまで入れましょう。苗を鉢の中に仮置きして高さを決めたら、根鉢を軽くほぐし、少しずつ土を入れて植え付けます。水やりの際にすぐあふれ出すことのないように、土の量は鉢縁から2〜3cm下を目安にし、ウォータースペースを取っておいてください。土が鉢内までしっかり行き渡るように、割りばしなどでつつきながら培養土を足していきます。水やりや降雨時の泥はねによって病気が発生するのを防ぐために、表土にバークチップなどを敷いておくとよいでしょう。最後に、鉢底から流れ出すまで、十分に水を与えます。

鉢植えで楽しんでいる場合、成長とともに根詰まりして株の勢いが衰えてくるので、2〜3年に1度は植え替えることが大切です。植え替え前に水やりを控えて土が乾いた状態で行うと、作業がしやすくなります。鉢から株を取り出して根鉢をくずし、新しい培養土を使って植え直します。もっと大きく育てたい場合は、前よりも大きな鉢を準備し、軽く根鉢をくずす程度にして植え替えてください。

日常のお手入れ

レースラベンダー
Reallyice/Shutterstock.com

【花がら摘み】

株の消耗を防ぎ、蒸れを防ぐためにも、終わった花は早めに切り取ります。花がらを切り取る際は、花茎をたどってわき芽の上でカットするとよいでしょう。特に株が弱りやすい夏は、花が咲いたら早めに収穫し、切り花やドライフラワーとして楽しむのがおすすめです。

剪定・切り戻し

剪定
Andrii Zastrozhnov/Shutterstock.com

【切り戻し】

開花がひと通り終わった頃に、草丈の半分くらいまで切り戻すと、高温多湿による蒸れを防いで夏越ししやすくなります。また9〜10月に、夏を乗り切って草姿が乱れていたら、再び切り戻すとよいでしょう。

【透かし剪定】

レースラベンダーは蒸れに弱いため、株が茂りすぎて込み合っている部分があれば、間引き剪定をします。枝葉を透かすのが目的で、込み合っている部分の枝のうち、弱々しい枝を選んで地際で切り取りましょう。

増やし方

種まき
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レースラベンダーは、種まきや挿し木で増やすことができます。ここでは、それぞれの方法についてご紹介します。

【種まき】

種まきから増やしたい場合、開花後に種子を採取します。開花期が終わりを迎える頃に花がら摘みをやめ、熟したら採種して密閉容器に入れ、翌春まで保管しておきましょう。ただし、品種改良された園芸品種の場合は、親と同じ性質になるとは限りません。

種まき適期は、3〜4月です。

種まき用のトレイに水で湿らせた草花用培養土を入れて種子を播き、ごく薄く覆土してください。種子が流れ出すことがないように、トレイより1回り大きな容器に浅く水を張り、トレイを入れて底面から吸水させます。乾燥しないように管理すると、2週間ほどで発芽します。

発芽したら日当たりがよく、風通しのよい場所で管理しましょう。本葉が2〜3枚出始めたら、黒ポットに植え替えて育苗します。しっかりした株に育ったら、植えたい場所に定植しましょう。

【挿し木】

挿し木とは、枝葉を切り取って地面に挿しておくと発根して生育を始める性質を生かして増やす方法です。植物の中には挿し木ができないものもありますが、レースラベンダーは挿し木で増やすことができます。

レースラベンダーの挿し木の適期は、5〜6月か、9月下旬〜10月です。新しく伸びた枝を10㎝くらいつけて切り口が斜めになるように切り取ります。採取した枝(挿し穂)は、水を張った容器に1時間ほどつけて水あげしておきましょう。その後、水の吸い上げと蒸散のバランスを取るために下葉を数枚切り取ります。黒ポットを用意して新しい培養土を入れ、水で十分に湿らせておきます。培養土に穴をあけ、穴に挿し穂を挿して土を押さえてください。発根するまでは明るい日陰に置いて乾燥させないように管理します。発根後は日当たり・風通しのよい場所に移動し、十分に育ったら植えたい場所へ定植しましょう。挿し木のメリットは、親株とまったく同じ性質を持ったクローンになることです。

レースラベンダーのアレンジ

レースラベンダー
roollooralla/Shutterstock.com

レースラベンダーは、花が咲いたら早めにカットすると、種子をつけるためのエネルギーを省力して株への負担を減らすことができます。カットした花は切り花として楽しんだり、ドライフラワー、クラフトなどにも利用できます。

切り花

切った花を室内に飾って楽しむ場合は、花瓶、花切りバサミ、水をたっぷり張れる深さのある容器を用意しましょう。採取したラベンダーは、活けたときに水につかる部分の葉を取り除いておきます。容器にたっぷり水を入れて、水の中で茎の先端を斜めに切ります。1時間ほどそのまま休ませた後、水を少なめに入れた花瓶に飾ります。水は毎日こまめに替えましょう。

ドライフラワー

ドライフラワーにする場合は、あらかじめ紐とハサミを用意しておきます。ラベンダーは開花後に乾燥させると花びらが落ちるので、開花前に摘み取るのがおすすめです。つぼみのついた茎葉を採取した後、葉を取り除いて束ね、きつめに結びます。風通しのよい日陰に逆さに吊しておくと、1週間ほどで水分が抜けてドライフラワーになります。

ラベンダースティック(ラベンダーバンドルズ)

Photo/萩尾昌美

ラベンダースティックとは、切り花のラベンダーとリボンで作るクラフト品です。一般に香りの強いイングリッシュラベンダーやラバンディンが使われますが、香りは弱いもののレースラベンダーでも作ることができます。

まず、花穂がしっかりついた切り花を9~13本と、糸、細めのリボン約150cmを用意しておきます。

切り花は1日水を抜いてしんなりさせ、虫がいれば取り除いておきます。先端の花穂以外の花穂や葉を取り除いて束ね、枝の下部は切り揃えておきましょう。花穂の下を糸で縛って固定し、花穂に向かって枝を折り返します。折り返した部分を上に持ってリボンを差し、編み込んでいきましょう。花穂を編み込み終えたら、束ねた枝もリボンで巻いてスティック状にします。

レースラベンダーでさまざまなアレンジを楽しもう

レースラベンダー
Yuri Kara/Shutterstock.com

花も葉も美しく、繊細な表情を持つレースラベンダー。ほどよい芳香を持ち、切り花やドライフラワー、クラフトなどにも利用できます。暑さや寒さにはやや弱いものの、きちんとケアすれば、よく返り咲いてくれます。ぜひ庭やベランダに迎え入れてみてください。

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