静かな雨の休日や、忙しい一日の終わりに、リラックスして本を開いてみませんか。ここでは、植物好きの方にぜひチェックして欲しい、注目の新刊本をピックアップ。ページをめくれば、植物の美しさや不思議さなど、きっと新たな発見や物語に出合えます。

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『絵図と写真でたどる 明治の園芸と緑化』

近藤三雄・平野正裕 著
誠文堂新光社刊

変化朝顔や植木市など、最近では話題に上ることの多い江戸時代の園芸。それに比べると、明治時代の園芸について語られる機会は多くはありませんでした。そんな明治期の園芸にスポットを当てたのが、この『絵図と写真でたどる 明治の園芸と緑化』。さまざまな視点から明治期の園芸界がどのように動いていたかについて知ることができる一冊です。

 

ページをめくると、当時のカタログに収録されていた植物画が次々に目に飛び込んできます。色鮮やかで美しいこれらのイラストを見ているだけでも楽しいのですが、もちろん文章にも貴重な情報がたっぷりで、資料としての価値も十分。各国での万国博覧会における園芸植物事情や、日本国内での屋上庭園の誕生、変わったところでは造花の歴史についてのコラムまで、いろいろな切り口から日本の園芸の歴史をたどっています。江戸時代までには少なかった海外との交流が活発になり、シーボルトが紹介して欧米で高い評価を受けたユリなどの日本の園芸植物の輸出、そして現在バラの町として知られる横浜へのバラの輸入などは、この時期に植物や情報が活発に行き来していたことがうかがえます。

 

明治期の日本における街路樹の成り立ちや、現存する最古の海外向け英文カタログの全容など、貴重な資料が盛りだくさん。この時代の日本園芸を支えた会社でもある横浜植木の協力により、ディープで正確な情報が詰まった一冊になっています。明治時代の「花と緑の文明開化」の中で、どんなことが起きていたのか。本を開いて探しに行ってみませんか?

 

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