バレンタインにイギリスの温かいデザートはいかが?〈チョコレートセルフソーシングプディング〉

ブレッド&バタープディングなど、イギリスには温かい状態でいただくお菓子がいろいろありますが、寒い冬は、そんな温かくてとろりとしたデザートが特に美味しい季節です。バレンタインデーも近いので、今回はチョコレート味のものをご紹介。イギリス菓子研究家でパティシエのThe Pudding Party Tomoさんに教えていただきます。
目次
作り立てを楽しむ「おうちおやつ」

イギリスには名前だけでは想像できないお菓子がたくさんあります。ファッジ、ジャムローリーポーリー、スティッキートフィープディング……。こんな名前を聞いてワクワクするのは、私だけでしょうか?

今回ご紹介するチョコレートセルフソーシングプディングも、その一つでしょう。チョコレートのお菓子ということはわかりますね。イギリスではデザート全般のことをプディングと言うので、チョコレートのデザート。そして、セルフソーシングというのは、ひとりでにソースができる、という意味です。フランス菓子の、フォンダンショコラのいとこのような感じと思っていただければよいでしょうか。

以前の記事で、レモン風味のセルフソーシングプディングをご紹介しました。その時も、作り方が面白いと思われたかもしれませんが、今回はまた、その時ともちょっと違います。
途中で「どうしてこんなこと思いついたの?!」「これで本当に大丈夫?!」と思ってしまう、理科の実験のような工程があります。イギリスには、そんな不思議な作り方のプディングが他にもあるのですが、もしかしたら、昔々、誰かが間違えて作ったものがたまたまとっても美味しかった、ということで残ったレシピなのかもしれませんね。
じつは、私がこのお菓子を知ったのは、イギリスのホテルで働いていた時ではなく、日本に帰国してからのことです。現地で買い集めたイギリス菓子の本に作り方があって、なんだ、これは⁉︎ と興味を持ち、それから何度も作りました。作ってみて分かったのは、このお菓子は作り立てが一番美味しいということ。大勢のお客様がいらっしゃるホテルやティールーム、パブなどでは、タイミングよくサーブするのが難しい一品です。家庭で手作りしてこそ、その美味しさを存分に味わえる。そういったお菓子のレシピがイギリスにはたくさんあるのですが、私はそれがイギリス菓子の大きな魅力だと思っています。

パブといえば、イギリスの田舎に行くとパブのご飯もとっても美味しいので、機会があればぜひお試しください。パブ飯といえばフィッシュ&チップスが有名でおすすめですが、パブの中には、ちょっと凝ったコース料理を出すガストロパブなどもあります。勉強がてら、私もよく行きました。

さて、チョコレートセルフソーシングプディングの作り方に話を戻しますと、なんと、容器に入ったケーキ生地の上に、液状のココアをジャバジャバとかけて焼く、というもの。表面はバシャバシャの液体だけど大丈夫? と、不安になりますが、焼くと、あら不思議! ココア液が生地の下にいき、うまい具合にチョコレートのソースに変身しているという訳です。
焼き立てはソースが結構ありますが、時間が経つにつれて生地にどんどん吸収されてしまうので、やはり、作り立てをすぐ、みんなで食べるのがおすすめです! 全部食べられなければ、冷蔵庫で保管しましょう。その場合はソースが少なくなりますが、それでも十分美味しく、レンジで温めて、バニラアイスクリームを添えれば最高。作り立ては断然アイスクリームがおすすめですが、翌日なら生クリームをそのままかけて食べるのも美味しいです。
それでは、作っていきましょう。
チョコレートセルフソーシングプディングの作り方

材料(容量1,000mlの耐熱容器1個分)
〈ケーキ〉
- チョコレート……50g
- 無塩バター……50g
- 牛乳……75ml
- 卵……2つ
- 薄力粉……125g
- ココア……25g
- きび砂糖……70g
- 塩……ひとつまみ
- ベーキングパウダー……小さじ1
〈ソース〉
- 水……300ml
- ココア……15g
- マスカバド糖……100g (他の砂糖でも代用可)
作り方
1.チョコレートを刻む。オーブンを180℃に予熱する。

2.小鍋でバターを溶かし、ボウルに入れる(レンジで様子を見ながら溶かしてもよい)。

3.バターに、溶いた卵と牛乳を入れて混ぜる。

4.薄力粉、ココア、砂糖、塩、ベーキングパウダーをふるい入れ、混ぜる。



5.刻んだチョコレートを入れ、ゴムベラでさっくり混ぜる。

6.バター(分量外)を塗った型に生地を流し入れる。

7.ソースを作る。分量の水を沸かし、ココア、砂糖を入れて混ぜる。



8.7のソースを6の生地の上に流し入れ、予熱したオーブンで約30分焼く。


9.焼き上がり!

ケーキの縁からグツグツと沸いたソースが見えています。

今回は仕上げに粉糖(分量外)を振りましたが、ココアを振っても美味しいです。もちろん、そのままでもOK。

あ〜、パイ皿からこのまま直接食べてしまいたい!
いちごを添えるのはオプションですが、酸味がアクセントになって美味しいですよ!
寒い冬の季節にぴったりのプディング、ぜひ作ってみてください。
Credit
写真&文 / The Pudding Party Tomo - イギリス菓子研究家/パティシエ -

イギリスのプディングの美味しさをもっと多くの人に知ってもらいたいと活動する、イギリス菓子研究家、パティシエ。ル・コルドン・ブルー横浜校にて菓子ディプロムを取得。英国コッツウォルズのスリーウェイズ・ハウス・ホテルにてイギリス伝統菓子作りの腕を磨く。
〈The Pudding Party Tomoとイギリス菓子作り〉 https://youtube.com/channel/UCV1hGcG5t0SELBBiuJ1GqBA
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