バレンタインの季節。チョコレートの黒い箱に、チョコレート色の花とハボタンでビターなアレンジ
もうすぐバレンタイン。バラエティー豊かなチョコレートが街中に並ぶ季節です。バレンタインシーズンには、花アレンジもチョコレートをテーマに楽しんでみませんか? 今回のウェブ上フラワーアレンジレッスンでは、チョコレートの空き箱などを使った、ビターチョコレートをイメージしたシックなアレンジの作り方を、フラワースタイリストの海野美規さんに教わります。
目次
バレンタインのチョコをイメージして
もうすぐバレンタイン。チョコレート好き、スイーツ好きの方にはワクワクのシーズンですね。私は、義理チョコにも本命チョコにもすっかり無縁ですが、今年はどんなチョコレートが登場するかなと、デパートのチョコレート特設コーナーを見て回るのがこの季節の楽しみです。
さて、バレンタインシーズンには、花アレンジもチョコレートをテーマに楽しんでみませんか。今回のアレンジレッスンでは、チョコレート色の器、チョコレートが入っていた箱などを使ったアレンジのアイデアを3種類ご紹介。アレンジは、ビターチョコレートをイメージした、シックな色の組み合わせで作ります。
チョコレート色の器とチョコレートの黒い箱
アレンジメントを作るにあたり、まずはチョコレート色の器を集めてみました。
家の中を探してみると、チョコレート色のレザー素材の小さな箱、コーヒーやココアが入っていた缶や箱、そして、チョコレートが入っていた浅めの黒い箱などがありました。私はいつか何かに使えるかも~と思うと、箱や缶を捨てられない性分で、いつの間にかたくさん集まってしまいました。
これらの缶や箱をアレンジの器に使いましょう。チョコレート色や、チョコレートが入っていた黒い箱は、シックで大人っぽいアレンジに仕上がります。今回は、浅いチョコレートの箱、チョコレート色のキューブ形の箱、コーヒーの入っていた空き缶の3つに、それぞれアレンジをしてみました。
それぞれのアレンジで使った花
<浅いチョコレートの箱のアレンジ>
・ハボタン ・チョコレートコスモス ・スカビオサ ・ビオラ ・プリムラ ・シルバーレース
チョコレートが入っていた黒い箱を器にアレンジを作ります。浅い箱は、花を活けるのにはちょっと難しいかもしれませんが、器に合う花を選ぶと可愛らしくアレンジできます。この時期に庭に咲く花は、茎が短いものが多いので、そんな花を使うのも一つの方法。花苗として売られているハボタンやプリムラなども使います。
我が家の庭には、小ぶりのハボタンの苗物があります。色もきれいですし、アレンジするにはサイズがちょうどよくて使いやすいです。
アレンジには、そのまま使ったり、葉を一枚一枚切り取って使います。浅い器だからこそできる使い方です。葉を重ねることで、葉色のグラデーションを楽しむこともできますよ。葉の一部が水に入っていれば長持ちしますので、水から出ないよう注意します。
その他、人気のチョコレート色やブラック系などの、シックな色のビオラやパンジー、スカビオサなどを選んでアレンジすると素敵です。チョコレートコスモスは、名前の通りチョコレート色が美しいですね。
<チョコレート色のキューブ形の箱のアレンジ>
・チョコレートコスモス ・スカビオサ ・ギリア ・ビオラ
器と花をチョコレート色のお揃いにしたアレンジです。チョコレートコスモスと黒系スカビオサをメインにしました。差し色として鮮やかなブルーのギリアを合わせて、少し軽やかな印象に。アレンジを作る際には、グルーピング(同じ色をまとめる)すると、すっきりまとまります。
<コーヒーの入っていた空き缶のアレンジ>
・パンジー ・ビオラ ・キヌサヤエンドウ
シックな色のコーヒーの空き缶には、明るい色の花をアレンジしました。
それぞれのアレンジの手順
<浅いチョコレートの箱のアレンジ>
- 紅茶の入っていた浅く丸い缶を「落とし」とし、この缶に水を入れて花を活けていきます。
- ハボタンの枝を高低差をつけて入れます。
- ハボタンの葉を1枚ずつ入れていきます。
- 葉の間に、シルバーレース、チョコレートコスモス、スカビオサ、ビオラ、プリムラを入れていきます。
- アレンジができ上がったら、浅いチョコレートの箱の中にセットします。
アレンジ前に箱の中に缶をセットしてから活け始めても、どちらでも構いません。
<チョコレート色のキューブ形の箱のアレンジ>
- キューブ形の箱にちょうど入るガラスの小さな器をセットして水を入れます。
- チョコレート色の花(チョコレートコスモス、スカビオサ)を合わせてアレンジします。
- ビオラ、ギリアを入れます。
<コーヒーの入っていた空き缶のアレンジ>
- コーヒーの缶の中に直接水を入れます。
- 明るい色のパンジーやビオラを入れます。
- アクセントに、庭で栽培しているキヌサヤエンドウも入れました。
ウィーンの伝統菓子“ザッハトルテ”は、今も昔もチョコレートケーキの王様
チョコレートケーキで思い出すのは、ウィーンの銘菓「Sachertorte(ザッハトルテ)」です。私が以前住んでいたハンガリーの首都ブダペストから車で3時間のウィーンに、ザッハトルテで有名な「Hotel Sacher(ホテル・ザッハー)」と「Demel(デメル)」がありました。
ウィーンを初めて訪れた際には、本場で本家本元のザッハトルテを食べるのが楽しみの一つでした。「わぁ、これが本場で食べるザッハトルテ!」と感動しながら味わっていただきました。お味はというと、きっと美味しかったのでしょうけれど、正直なところどうだったかよく覚えていなくて、今思えば、ウィーン、カフェ・ザッハー、ザッハトルテ、アインシュペンナー(日本で言うウィンナーコーヒー)、もうこれだけで雰囲気に酔いしれてしまったようです。
ザッハトルテは、1832年にオーストリアの宰相メッテルニヒのリクエストで、当時16歳だったフランツ・ザッハーが初めて作りました。チョコレート風味の「ザッハマッセ」と呼ばれる生地に、アプリコットジャムを塗り、「ショコラーデン・グラジュール」というチョコレートフォンダンでコーティングしたケーキです。
フランツ・ザッハーはザッハトルテで財を成し、その後息子がホテル・ザッハーを開業し成功します。そのまた息子の代に経営難に陥った時、ウィーン王室御用達のケーキ店デメルが、ザッハトルテを販売してもよいという条件で資金援助をし、レシピも手にしました。
その後、ザッハー家はデメル家に対してザッハトルテの名称の使用を禁じる裁判を起こし、7年もの間争いました。結果として、オリジナルを名乗るのはザッハーであるが、デメルも「デメルのザッハトルテ」として販売してよいこととなりました。
今ではいろいろなお店で「ザッハトルテ」の名前を目にしますが、大変な歴史があったことに驚きます。
4年前に蔵前に初上陸して以来話題の「DANDELION CHOCOLATE(ダンデライオン チョコレート)」。今年の1月からバレンタインデーの少し後まで、カフェのメニューにザッハトルテが登場するとネットニュースで知りました。
DANDELION CHOCOLATEといえば、カカオ豆からチョコレートバーになるまで一貫して行うBean to Bar(ビーントゥバー)で製造しているブランドです。2000年代後半からアメリカでBean to Barがクラフトチョコレートのムーブメントを興しました。
そんな新しいコンセプト、新しい考え方のチョコレートブランドが、200年近く前の古典的なチョコレートケーキを手がける! ということに、私は少し意外な感じがしました。この伝統的なクラシックなスタイルのチョコレートケーキは、色褪せることなく、これまでもこれからもずっと変わらずに世界中で愛され続けるケーキであることは間違いないでしょう。
若いチョコレートブランド流のザッハトルテ。う~ん、ぜひ食べてみたいです。
Credit
写真・文/海野美規(Unno Miki)
フラワー&フォトスタイリスト。ハーバルセラピスト。愛犬あんとの暮らしを通じて、動物のための自然療法を学ぶ。パリで『エコール・フランセーズ・ドゥ・デコラシオン・フローラル』に入門、ディプロムを取得。『アトリエ・サンク』の山本由美氏、『From Nature』の神田隆氏に師事。『草月流』師範。フランス、ハンガリー、シンガポールでの暮らしを経て、現在日本でパリスタイル・フラワーアレンジメントの教室『Petit Salon MILOU(プチ・サロン・ミロウ)』を主宰。
参考:『お菓子の由来物語』(猫井登著・幻冬舎刊)
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