橋本景子さんが提案する「冬の庭で遊ぼう!」
多くの植物が休眠し、次に訪れる花盛りのシーズンのための庭仕事にいそしむ冬。作業の合間にちょっと息抜きできる、この時期ならではの庭遊びをご存じですか? ここでは、千葉県在住の橋本景子さんが冬に楽しむ庭遊びのアイデアを5つご紹介します。
目次
冬の庭仕事の合間の楽しみ
色とりどりのバラが咲き、さまざまなグラデーションの緑が庭を覆っていた華やかさはすっかり消えて、眠っているような静けさに包まれている冬。この時期は、春に備えてバラの剪定・誘引をしたり、肥料を入れたり、枯れた宿根草の整理をしたり、土壌改良をしたり……と、作業はたくさん待っています。
私は、そんな作業の合間に、剪定した枝葉を利用してリースを作ったり、摘んだ花を水に浮かべたりと、楽しみながら寒い冬を乗り越えています。
庭遊び① 花氷を作ろう
千葉県の北部とはいえ、冷え込むのは朝だけで、平均最低気温も0℃を下回ることはあまりない日々ですが「明日は庭仕事できるかな?」と、毎日のように天気予報のチェックをしています。
たまに冷え込んで気温が下がる朝、それも、零下になるような予報が出たら、花氷に挑戦します。
ここ数年、毎年挑戦していますが、きれいに凍ったのは2016年だけ。
アイビーをリースの土台のように巻き、そこに庭のビオラを差し込んで、花が浮かんでこないように細いワイヤーで固定します。
昼間も気温がほとんど0℃から上がらない日が2、3日続く頃を狙って、西側のベランダでゆっくりと凍らせたら、完璧に花を水の中に沈めた「水中花」が「氷中花」に変身しました。
写真は、いつかの寒い冬に、何日もかけて凍らせた、まるで絵画のような質感が面白いビオラのリースの花氷。庭の名残のバラも入れました。
庭遊び② 雪と遊ぼう
雪もめったに降りませんが、珍しく積もった朝には、庭に出て雪遊びを楽しみます。
誘引が終わったバラのつるやハボタンのリースにうっすらと積もる雪。
庭の花で目鼻をつけた小さな雪だるまを作ったり……。
クリスマスのリースに使った針葉樹をリースにして屋外に置いておくと、とても長もちします。咲いていたビオラを追加して純白の雪をバックに撮ると、色も映えます。
洋裁用のボディを土台にして作った針葉樹のスカート。ここにもうっすら雪が積もってロマンチックな雰囲気がプラスされました。
めったに降らない雪なので、降ったら溶けるまで楽しみ尽くそうと意気込むのですが、今シーズンは、千葉ではどうやら積雪のチャンスはほとんど無さそうですね。
庭遊び③ リースを作ろう
「リース」と聞くと、材料は何を使おうかと身構えがちですが、私が作る庭のリースは、「シンプル」かつ「簡単」。
それは、庭の掃除をしながら、伸びすぎてカットした植物をくるりと丸めるだけ。ワイヤーも何も必要ない、「丸めるだけ30秒リース」、おすすめです。
アイビーのリース
寄せ植えの素材としても重宝するので、どなたの庭にも1本は植えてあるであろうアイビー。ご存じのように、放っておくとどんどん伸びるので、定期的なカットが必要です。長めにカットしたら、くるりと丸めるだけで立派なリースが出来上がりました!
あっという間に壁面を覆い尽くすプミラも定期的にカットして「丸めるだけリース」に。小さめのリースをたくさん作って壁面に吊るしても楽しい眺めに。
冬咲きクレマチスのリース
アイビーを土台にしたシンプルなリースに、伸びすぎてお隣さんにお邪魔している冬咲きのクレマチス‘日枝’を容赦なくカットして巻きつけたり。
花が咲いているまま、クレマチスのつるを丸いリース。そのまま放置したら、果球が乾いてフワフワぽんぽんが可愛いリースになりました。
偶然の産物でしたが、これも美しくて、‘日枝’がたくさん咲いた年には作ってみたくなります。
ヘクソカズラのリース
ある年、可愛らしい花と金色の実が欲しくて、つい庭に植えてしまったヘクソカズラ。想像以上に庭中に繁殖して大変なことになり、撤去しましたが、そのまま捨てるのが悔しくて、丸めてリースにしてみました。
これは細かい作業が必要だったので30秒では作れませんでしたが、鳥の巣のような繊細で面白いリースが完成しました。
剪定した枝や紅葉した葉で作るスワッグ
バラの誘引をする年明けには、邪魔になるつる系の植物は剪定してしまうのですが、まだ咲いているバラをカットしながら、紅葉した植物と一緒にアレンジしたり、スワッグを作ったりと、そんな時間も大好きです。
黄葉したホスタと、庭に残っていたわずかなグリーンを束ねてスワッグを。庭で細かく割いたニューサイランの葉をリボン代わりに。
剪定誘引をしながら、「(冬薔薇)ふゆそうび」と呼ばれる、この時期のバラをカットしてバードバスに。寒さで自然にドライフラワーになったバラは、独特の存在感です。
庭遊び④ 芽出し球根を植えてみよう
「ヒヤシンスの水栽培、失敗しちゃった」という方、結構いらっしゃいますよね?
お花屋さんに出回る芽出し球根は割高感がありますが、秋から植える球根に比べて早くに花が見られますし、何よりも失敗が少ないです。
好きな球根を買ってきたら、そのまま素焼きのポットに植え替えてもよし、アレンジしても楽しいもの。
球根が出回る時期ならば、夜間でも軒下などに置いておけば、間違いなく咲きます。また、室内の日光不足や暖房による徒長の心配もありません。
咲き終わったら、庭にそっと植え込んであげれば、また来年も咲いてくれますよ。
そのまま植える場合もハイゴケなどでお洒落してあげると、ワンランクアップの見栄えです。ガラス、ワイヤー、アイアン、ホーローなど、どんな器にもアレンジ可能です。
3月3日の雛祭りを庭でやってみよう! と、小さなポットを階段に並べてみました。我ながらなかなか楽しい企画。でも、ここを歩くのは大変でした(笑)。
庭遊び⑤ そして、やっぱりビオラが好き
立春が過ぎると、寒さのなかにも春の兆しが見え、縮こまっていたパンジーやビオラたちも、少しずつ眼を覚ましてきます。
どんどん咲き始めたら、室内で楽しみましょう。
花瓶じゃなくても、水を入れる深さがあれば立派な花器になります。
古いロイヤルコペンハーデンのスープ皿にビオラを浮かべて、ビオラスープに。
琥珀色のアンティークのシェリーグラスにも。
カフェオレボウルにもビオラ。浮かべたり、縁に沿って並べたりと自由に。
古いガラスの金魚鉢(だったかな?)にたくさん浮かべて、上からも横からも見える花を楽しんだり。
冬の庭仕事、楽しみながら進めませんか?
この季節は、剪定や誘引など、あまり得意でない人には楽しくない作業が続きますが、「カットした植物をどうやって飾ろうか?」「まだ咲いている花にどうやって第二の人生を送らせてあげようか?」なんて、寂しい冬の庭で、どんな風に楽しもうかとそればかり考えている私の庭仕事。
春のようにバラの花がら摘みに追われる心配もありませんので、作業も寒い朝は避けて、「午後から始めよう」くらいのつもりで、ゆったりと。
何もない地面をよく観察して、眠っていた植物たちの小さな芽を発見する嬉しさも、この時期ならでは。
庭のあちこちから植物のエネルギーをいただくためにも、自分のペースで頑張りましょう。
冬の作業が苦痛な人にこそ、こんな風に楽しみながらの庭仕事をおすすめします。
Credit
写真・文/橋本景子
千葉県流山市在住。ガーデングユニットNoraの一人として毎年5月にオープンガーデンを開催中。趣味は、そこに庭があると聞くと北海道から沖縄まで足を運び、自分の目で素敵な庭を発見すること。アメブロ公式ブロガーであり、雑誌『Garden Diary』にて連載中。インスタグラムでのフォロワーも3.4万人に。大好きなDIYで狭い敷地を生かした庭をどうつくろうかと日々奮闘中。花より枯れたリーフの美しさに萌える。
Noraレポート https://ameblo.jp/kay1219/
インスタグラム kay_hashimoto
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