【イチゴは秋が植えどき!】花も激カワの新品種 初心者でも成功する栽培のコツとおすすめ品種紹介
みんな大好き真っ赤なイチゴは今まさに、秋が苗の植えどき。秋に植えると冬の間の寒さで株が充実し、花芽ができて春にはかわいい花がたくさん咲きます。新しく登場しているイチゴの新品種はおいしいだけでなく、花も激カワ! ガーデンやベランダの彩りにもおすすめです。見てかわいい、収穫して楽しい、味わっておいしい、魅力満載のおすすめイチゴと、初心者でも失敗しない栽培のコツをご紹介します。
目次
イチゴには実がなる時期の異なる2種類があります
イチゴには、秋に苗を植え付けて翌年の初夏に収穫する「一季なりイチゴ」と、春から秋にかけて長く収穫できる「四季なりイチゴ」の2種類があります。
「一季なりイチゴ」の特徴
今まさに苗が出回り、植えどきを迎えている「一季なりイチゴ」は、毎年、春になると花を咲かせて実をつける多年草です。秋に植え、冬の寒さに当たることでググッと甘みが増し、おいしいのが大きな特徴。‘とちおとめ’や‘紅ほっぺ’など、スーパーでよく見かけるイチゴは一季なりイチゴです。秋にしか苗が出回らないので今時期の店頭を要チェック!
「四季なりイチゴ」の特徴
四季なりイチゴは、温度や日照などの条件にあまり左右されずに、4〜11月まで繰り返し花を咲かせ実をつけるのが特徴です。植え付け時期は秋と春の2回あり、苗もその頃に出回ります。
ガーデンの彩りに大活躍する花も激カワのイチゴ紹介
そんなちょっと珍しいイチゴの中でも注目はイチゴの花。イチゴはバラ科の植物で、野バラを小さくしたようなかわいい花が咲きます。通常は白い一重の花が咲きますが、赤やピンク、はたまたふりっふりの八重咲きピンクも新登場! 花も実も楽しめるイチゴをご紹介します。
ピンクの八重咲きの花にキュン!‘キューピットドロップ’
■一季なり
■植えどき/秋
■開花期/4〜5月
■収穫期/5〜6月
‘キューピットドロップ’は、かわいらしいピンク色の完全八重咲き花の一季なりイチゴです。ラベルには「観賞用」と書いてありますが、他品種と一緒に栽培して受粉させると、愛らしい丸い果実を収穫できます。
秋が苗の植えどきで、冬の寒さにあたって春はググッと株が大きく生育します。5月に開花期を迎える頃には八重咲きのピンクの花がタランと枝垂れるようにたくさん咲き、その可憐な姿にキュン! する人が激増中。
甘みが強い‘ベリーポップあまいろは’
■一季なり
■植えどき/秋
■開花期/4〜5月
■収穫期/5〜6月
イチゴの甘さと品種が愛されることを願ってつけられた名前もかわいい‘ベリーポップあまいろは’。花は野バラに似た白の一重の花が咲き、その後に大粒で糖度12〜13度の甘い果実が実ります。‘ベリーポップあまいろは’は1株でも実をつける自家結実性ですが、‘キューピットドロップ’の受粉株としてもおすすめ。
濃いローズピンクの花がかわいい‘トスカーナ’
■四季なり
■植えどき/秋と春
■開花期/4〜9月
■収穫期/5〜10月
ヨーロッパで賞を受賞した多収穫の四季なりイチゴです。ローズピンクのよく目立つ花が繰り返し咲き、花と赤い実が同時に1株につく姿はガーデンや鉢植えの彩りとしてもおすすめです。糖度は8~10度。ハンギングバスケットで育てると、ほふく枝が最大1mまで伸び、圧巻!
ルビーレッドの花が際立つ‘ルビーアン’
■四季なり
■植えどき/秋と春
■開花期/4〜9月
■収穫期/5〜10月
目を引く鮮やかなルビーレッドの花が楽しめる四季なりイチゴです。実はキレイな円錐形。ランナーが出にくい性質なので、花壇や鉢など、ハンギングバスケットなどで観賞をメインで楽しむのがおすすめ。
イチゴを上手に育てるためのコツ
一季なりイチゴは低温にあうことで花芽ができるので、苗は秋に植え付けます。茎の根元(クラウン)を埋めないように植えることが大切です。
イチゴを育てる土を用意します
■最も手軽なのは市販の野菜用培養土を使うことです。生育に必要な肥料(元肥)があらかじめ入っており、イチゴをはじめ、さまざまな野菜に幅広く使えます。培養土の中には、イチゴに特化して肥料のバランスなどを調整した、専用の土もあるのでそちらもおすすめ。
■自分で土をブレンドする場合は、【赤玉土(小粒)6〜7:腐葉土3〜4】の割合で混ぜたものをベースにし、日当たりがよく、土の乾きやすいベランダでは、ここに水分や肥料分を蓄えやすいバーミキュライトを加えます。反対に水はけが悪いときは、多孔質で排水性や通気性の高いパーライトを加えます。さらに、効き目が緩やかで長く持続する緩効性の肥料を元肥として加えます。「野菜用」と書かれたものであれば、元肥にも栽培の途中で与える追肥にも向いています。
よいイチゴ苗を選びましょう
植え付けに適しているのは、本葉が3〜4枚以上出ていて、葉にハリがありきれいな緑色のものです。葉が黄色っぽく変色していたり、茶色い斑点が出ていたりするものは、病気や害虫の心配があり、うまく育たない可能性があります。
イチゴ苗の植え付けのポイント
2株以上植える場合は、苗どうしの間隔を20cmほどあけます。イチゴの苗には、ランナーと呼ばれる茎を切り離した跡があります。株元から斜めに出た短い茎がランナーで、その反対側に花や実がつくので、向きをそろえます。植える際は、株の中心の新芽が集まった部分(クラウン)を埋めないように気をつけましょう。ジョウロでたっぷりと水やりして、植え付けは完了です。
イチゴのお手入れ
■置き場所/日当たりのよい場所にプランターを置いて育てましょう。
■水やり/やり過ぎても、少な過ぎてもよくないので、こまめに土の状態をチェックして、表土が乾いていたらプランターの底から流れ出るまでたっぷりと与えるようにします。冬の間も、水やりは忘れずに続けましょう。
■追肥/イチゴが成長を始める2月中旬頃に、固形の緩効性肥料、または液体肥料を追肥します。最初の花が咲いたら同様に2回目の追肥を行い、その後は収穫が終わる時期まで定期的に追肥を続けましょう。追肥の量や頻度は製品によって異なるので、パッケージに記載されている通りに与えます。
■ランナーの処理/イチゴの株から伸びてくる細いヒモのような枝を「ランナー」といいます。ランナーの先には新芽が育ち、それが土に根付くと、新しい株になります。畑で育てている場合は、周りの地面に勝手に根付いて成長することもあります。ただし、実がなり始めるころにランナーを伸ばし放題にしておくと、ランナーのほうに養分をとられて実つきが悪くなることがあるので、収穫期の間は株元からランナーをハサミでカットしましょう。収穫が終わる6月中旬頃になったら、ランナーを伸ばし小苗を育てます。
イチゴの人工授粉
イチゴは花の中心にある雌しべに雄しべの花粉がつき、受粉することで、実が大きくなります。イチゴの雌しべは、花の中心の黄色い三角形の部分にたくさん集まっていて、雄しべはそれを取り囲むように並んでいます。花粉のたくさん出る朝のうちに、毛のやわらかい筆などで花の中心をそっとなでて、雌しべに雄しべの花粉をまんべんなくつけます。一つ一つの雌しべに花粉がつくことで実が大きくなるので、筆や梵天の先を花の中心にそっと当て、くるくるとなでるようにして授粉を行います。授粉にムラがあると実がうまく育たないので、まんべんなくていねいに行います。特に自家結実性のない‘キューピットドロップ’は、他の品種の雄しべを受粉させる必要があります。
イチゴの収穫
開花から収穫までは、30〜50日ほどかかります。へたのすぐ下まで赤く色づくと完熟の印。ジャムなどにする場合は熟れたものから収穫し冷凍保存し、十分な量になったら調理します。
イチゴの増やし方
収穫期が過ぎたらランナーを伸ばします。ランナーには間隔をあけていくつかの子株がつきます。親株に最も近い子株は、その後の成長が不安定になりやすいので、次の新しい苗候補には向きません。親株から数えて2番目以降の子株を選びます。培養土を入れた3号ポリポットの上にランナーをつけたまま子株を置き、株元をUピンなどで押さえて土に固定します。水やりをしながら1週間ほど経つと、子株から根が伸びて土に根付きます。根付いたらランナーを切り離します。子株は日当たりと風通しのよい場所に置き、水やりを続けながら、秋の植え付けまで育てます。
イチゴの夏越し
イチゴの生育に適した温度は18〜25℃で、暑さにはあまり強くありません。真夏は直射日光を避け、半日陰に移動させるなどの対策をしましょう。特にマンションなどのベランダで育てている場合、日差しの照り返しで高温になりがちなので、半日陰に移動させるか、すだれやシェードを設置し日差しをやわらげます。
また、床のコンクリートの熱はポットの土にも伝わり、根を傷める原因になるので、すのこを敷いたり、ガーデンラックに載せたりして、地面からの熱を遮るようにしましょう。乾きにも注意し、水やりには朝夕の涼しい時間帯に。
気を付けたいイチゴの病害虫
アブラムシ
春先になると現れます。やわらかい新芽などに集まって植物の汁を吸い、病気を媒介します。新芽の内側や葉の裏側などに隠れていることが多いので、ときどきチェックし、見つけたら手で取ります。
ハダニ
さまざまな植物につくダニの一種で、体の大きさが0.5mmほどと小さく、肉眼では見つけにくい害虫です。葉の裏側について植物の汁を吸い、吸汁された葉は表面に白い斑点が現れます。ときどき葉裏に霧吹きで勢いよく水をかけると防げます。気温が高く乾燥する時期や軒下やベランダなどの雨の当たらない場所は要注意。
ナメクジ
葉や茎、花、果実などを食害します。じめじめと湿った環境を好み、日中は落ち葉の下やプランターの裏側などに隠れて、夜や雨の日に活動します。ナメクジが這った跡を見つけたら、周囲を探して割り箸などで取り除きましょう。寄生虫を持っている場合があるので、駆除するときは素手で触らないようにしてください。防除薬のほか、ハンギングで栽培することでも被害が防げます。
うどんこ病
葉の表面にうどんこ(小麦粉)を振り撒いたような白い斑点ができ、進行すると葉が枯れてしまいます。症状の出た葉を見つけたら早めに取り除きましょう。風通しのよい環境を作ることで防除できます。
灰色かび病
湿気の多い環境や、水やりによる泥の跳ね返りなどで出やすい病気で、初期は葉や花びら、果実が、水がしみたように変色します。進行すると灰色がかったカビが発生します。見つけたらすぐに取り除きましょう。これも、風通しのよい環境を作ることで防除できます。また、水やりの時は上からかけず、株元の土にそっと与えることが大切です。熟した実を放置するのも病気の原因になるので、実はこまめに収穫しましょう。
Credit
文&写真(クレジット記載以外) / 3and garden
スリー・アンド・ガーデン/ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。
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