住宅と外構を一体で設計するときに、エクステリアライティングはどのように捉えられているのでしょうか?ライティングによって昼の見え方と夜の見え方を変えたり、統一性を持たせるにはどんな工夫が必要なのか、ハウスメーカーの外構設計者に照明の考え方をお聞きしました。

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全ての案件をイチから設計する会社が手掛けた家

愛知県を中心に分譲住宅と注文住宅の設計施工、そして販売をしているアーレックス。
写真は豊田市住宅展示場で、外構の素材と最新照明器具を紹介するスペースを新たに設けていることからも、エクステリアへのこだわりを感じることができる。

アーレックスではプランの使い回しを一切せず、設計チームが分譲も注文も図面を一から作成しているだけでなく、エクステリアも外注せずに設計・施工管理を行っている。

「もともと住宅地の開発・販売を手がけていたオーナーが『より上質な住宅を、そして注文住宅のクオリティを分譲住宅の適正な価格で提供したい』と10年前にアーレックスを設立しました」と説明するのはエクステリア設計室の梶原章宏さん。年間約250棟手がける住宅、すべてのエクステリアを担当している。

建築を風景になじませる光

写真/アーレックス

ラスティックなスレート石をモチーフにした大判タイルの外壁が堂々とした印象の夜景。スポットライト2灯で浮かび上がらせている。雑木林を借景としているので、自然石や山採りの植栽を使ってファザードを風景と調和させた。

一般的に住宅業界ではクライアントの予算に合わせてプランを進めるため、最後に施工する外構は、予算が削られがちだが、アーレックスでは積極的にコストをかける。それは建物だけでなく外構も重要な要素であると考えているからだ。

梶原さんが大切にしているのは、立地条件や建物の個性など、あらゆる要素を活かしきることで、住宅の魅力を顕在させる外構。エクステリア照明設計の基本的なスタンスも〝ライティング〞や〝ライトアップ〞という特別な意識ではなく、調和を図るうえで必要となる〝素材のひとつ〞として考えているという。

周りの環境に合わせてライティングを決定

写真/アーレックス

梶原さんが手がけた分譲住宅の事例が2015年に竣工した名古屋市名東区の住宅だ。竹林に囲まれた丘陵地の細い道を登ると、開けた先で道路が分岐する。その分岐点に立っている温かな光に包まれたこの住宅は、すでにこの地区のランドマークとなっているようだ。

アプローチは生活動線と来客時用の2つをつくった。左端のタイル張りステップから玄関に向かって伸びるアプローチが来客用。壁に設置したスポットライトで足元を照らしている。

「市内から向かう道が多少暗いので、この住宅に関しましては、従来よりもエクステリア照明の存在感を意識して設計しました」と梶原さんはいう。

圧巻なのは、あえて開口部をつくらずに住宅の顔とした大判タイルの壁面である。設計者の意図を汲んで垂直と水平方向に向けて照らした2灯の照明が、タイルと櫛目仕上げの左官壁の表情を引き立て、この住宅の存在感を確かなものにしている。夜、道行く人が立ち止まって見つめる様子に、町の風景としてこの家が風格を放ち始めたことを梶原さんは実感しているそうだ。

2灯のスポットライトで作り出した美しい照明

写真/アーレックス

照明は植栽の根元や石の間に設置した小さなスポットライトのみ。外壁に沿わせるように照らし、主に間接光で明るさを確保している。もちろん地窓から漏れるインテリア照明も計算に入れている。

自然石の間に設置した2灯のスポットライトで垂直と水平方向に外壁を照らしている。駐車場から荷物を運びやすいようにポストの壁裏に緩やかなステップをつくり、日常生活のアプローチとした。

地元の石を使うことで、より愛着のある外構に

写真/アーレックス

来客用のアプローチのステップは木曽石、植え込みには美濃石を、どちらも地元の自然石にこだわって配置。フェイジョアの根本に設置したスポットライトがポストのある腰壁の間接照明として機能している。

 

 

引用元/『HomeGarden&EXTERIOR vol.3』より
写真提供/アーレックス

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