‘ハーブの女王’ラベンダーの香りの楽しみ方

いい香りのする暮らし──「アロマライフ」。香りを上手に生活の中に取り入れて、心地のいい毎日を送りましょう。そんな暮らしに、まずお奨めしたいのがラベンダー。その甘くさわやかな香りを、ぜひあなたのそばに!
目次
ハーブの女王
ラベンダーは青紫色の花が美しく、しかもその花には素晴らしい芳香があることから「ハーブの女王」と呼ばれてきました。他のハーブ類と同様、もともとは野生の植物で、かつてはインドや中近東、地中海沿岸などの高原地帯に豊富に自生していました。北アフリカのサハラ砂漠も砂漠化する以前はラベンダーの大草原だったのではないかと考えている研究者もいますし、フランスのある作家は1920年代のアフガニスタンで野生のラベンダーの大群落を見て強い印象をうけたことを晩年近くになって出版した回想録に記しています。
人々はそうした野生のラベンダーを刈り集めて、ドライフラワーをつくったり、エッセンシャルオイル(花精油)を抽出したりして、暮らしの中でさまざまに利用していたのです。

ドライフラワーを楽しむ
ラベンダーはドライフラワーにすると花の色がいつまでも褪せず、香りも長く残ります。ですから、花束を室内に飾れば素敵なインテリアになりますし、空気を清浄にする効果も期待できます。
ドライの花粒を集め、小さな布の袋に入れて「サシェ」(匂い袋)をつくるのもよいでしょう。ヨーロッパでは女性たちがスカートの裏側にラベンダーのサシェを縫いつけておくということがよく行われました。また家に来客があるとき、枕の下にラベンダーのサシェを忍ばせておくのは最高のもてなしのひとつとされていました。
サシェを下着類やリネン類のケースに入れておくと、甘くさわやかなラベンダーの香りをつけることができますし、防虫剤としての役目も果たしてくれます。
海外などへの、ちょっと長めの旅行に出かけるときには、ぜひラベンダーのサシェを持っていくとよいでしょう。ラベンダーの香りには不安や興奮を静めてくれる鎮静効果・リラックス効果があることが科学的に確かめられています。初めてのホテルの慣れないベッドでも、サシェがあればそのほのかな甘い香りがあなたを安らかな眠りに誘ってくれることでしょう。

甘い香りで、気分はお姫様
もちろん、旅行にはエッセンシャルオイルの小瓶を持って行くのもおすすめ。ただし、オイルを購入するときは必ず天然のラベンダーから抽出したものであることを確かめるようにしましょう。フランス産や英国産のオイルも市販されていますが、日本人の嗜好にはやはり、軽くすっきりとした香りの国産のオイルのほうが適しています。
香りは、ドライフラワーよりオイルのほうがずっと濃厚。それをバスタブに2〜3滴入れてから入浴すれば、お姫様気分の優雅な芳香浴が楽しめます。
Credit
文/岡崎英生
ラベンダー栽培史研究家。ラベンダーの原産地の一つ、フランス・プロヴァンス地方や北海道富良野地方のラベンダーの栽培史を研究。日本のラベンダー栽培の第一人者、富田忠雄氏に取材した『富良野ラベンダー物語』(遊人工房刊)や訳書『ラベンダーとラバンジン』(クリスティアヌ・ムニエ著、フレググランスジャーナル社)など、ラベンダーに関する著書を執筆。自らも長野の庭でラベンダーを栽培し、暮らしの中で活用している。
Photo/1)OHishiapply/2)Chamille White/3)AS Food studio/Shutterstock.com
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