メルボルンに駐在した際にオーストラリア特有の植物に魅了され、帰国後はオーストラリアの植物を中心としたガーデニングを楽しむベテランガーデナーの遠藤昭さん。神奈川県の自宅の庭で、100種以上のオージープランツを育てた経験の持ち主である遠藤さんに、オージープランツを簡単に増やせる挿し木の方法を教えていただきました。

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オーストラリアの豊かなガーデンライフ

グレビレア‘ムーンライト’
代表的なオージープランツの一つ、グレビレア‘ムーンライト’

僕は現在プロのガーデナーとして、日本の茶庭からオージーガーデンまで幅広い造園と、コンテナガーデンや花壇のデザイン制作、そして「バラの育て方」や「多肉植物のリース作り」などの講習会を幅広くさせていただいているが、やっぱり得意分野はオージープランツである。

ハーデンベルギア
ハーデンベルギア

僕は30年前に、メルボルンに駐在員として5年間過ごし、オーストラリア人の豊かなライフスタイルにカルチャーショックを受けた。日本で最近ようやく話題になっている働き方改革が既に熟成され、現地の同僚たちは、当時の日本のサラリーマンでは考えられない、お金ではない豊かな生活を楽しんでいた。そんな5年間を過ごした傍らには、常にユニークなオージープランツがあった。毎週末のように仲間とバーベキューパーティーをした庭にはグレビレアやカンガルーポーが咲き、郊外にドライブに行けばツリーファーンやユーカリの林があり、花屋の店頭にはバンクシアが溢れんばかりに咲いていた。

ボトルブラシ
ピンクのボトルブラシ。日本でもブラシノキと呼ばれて普及している。

帰国後、オーストラリアの植物を育て始めたが、その先には、いつもオーストラリアのライフスタイルへの憧れがあった。オージープランツを育てることで、豊かなライフスタイルを保持したかったのだ。オージープランツは、それだけでもちろん素敵だけれども、オージープランツの普及と共に、オージーライフスタイルも広めたいというのが本音である。

さて、本題に入ろう。日本で挿し木というと、キク、アジサイ、ツバキなどを思い浮かべるが、じつはオージープランツの多くは、挿し木で簡単に増やせるのだ。実際、僕は、家のオージープランツから挿し木でたくさんの苗木をつくり、職場の植物園で手ごろな価格で販売し、オージープランツの普及をさせてもらっている。

そこで、今日はオージープランツの挿し木について説明したい。

意外と簡単!
オージープランツの挿し木方法

それでは早速、オージープランツの挿し木方法について解説しよう。6~7月が挿し木の適期だ。基本は、日本で一般的に行われているアジサイなどの挿し木と同じである。

挿し穂
右から、グレビレア‘ムーンライト’、ボトルブラシ(ピンク花)、ウエストリンギア、ボトルブラシ(緑花)、メラレウカ‘レボリューションゴールド’、ハーデンベルギアの6本の挿し穂。

写真は、挿し穂と呼ばれるもの。挿し穂とは、挿し木に利用する枝や茎のことで、これを土に挿して発根させ、挿し木苗をつくる。健康な株から勢いのよい枝を選んで挿し穂にするとよい。

用意するもの

挿し木にする枝、鹿沼土、活力剤、発根促進剤

挿し木の手順

  1. まず、挿し木にする枝を集める。乾かないように、枝を切ったらすぐに水を入れたバケツに浸ける。
    オージープランツ
  2. 枝を10cm程度に切って挿し穂をつくる。挿し穂をつくる際は、葉からの過度な蒸散を防いで挿し穂の負担を軽くするため、大きな葉がある場合は半分程度に小さくするとよい。また、土に挿す部分に葉がある場合は取り除く。
    挿し穂
  3. つくった挿し穂を活力剤を入れた水に1時間程度浸ける。ここでは「メネデール」を使用した。
    挿し木
  4. 挿し床にする容器に鹿沼土を入れ、土を湿らせておく。
    挿し木
  5. 湿らせた鹿沼土に棒で穴をあけ、植え穴をつくる。
    挿し木
  6. 発根促進剤を挿し穂の先端に付ける。ここでは「ルートン」を使用。
    挿し木

    挿し木
    発根促進剤の「ルートン」がしっかり付着した挿し穂。
  7. 穴に挿し穂を植え付ける。
    挿し木
  8. 植え付けたら、軽く押さえて倒れないようにする。
    挿し木
  9. 植物の名前が分からなくならないよう、それぞれの挿し穂に名札を立てる。
    プランツタグ
挿し床

これで挿し床のでき上がり。この後、日陰で湿度を保つようにすると1~2カ月で発根する。

挿し木で育てた苗は、親の性質をそのまま受け継ぐ。実生に比べ、開花までの期間が短縮されるため、翌年には開花することも多い。

以下が挿し木1年後の姿。早いものは花をつける。

挿し木苗 挿し木苗
グレビレア‘ムーンライト’の挿し木苗
花芽を付けたグレビレア‘ムーンライト’の挿し木苗。

4年も経つと、どれも立派な姿になる。下の写真は、挿し木苗から育ったボトルブラシとメラレウカ‘レボリューションゴールド’。我が家の庭で大きく成長している。

ボトルブラシ
ボトルブラシ。
メラレウカ‘レボリューションゴールド’
メラレウカ‘レボリューションゴールド’。

この数年で、職場の川崎市緑化センターで、挿し木から育てたオージープランツの苗木を、おそらく数百本以上販売・普及してきたと思う。彼方此方で大きく育ち、開花している姿を想像するだけでウキウキする。仲間が増えるのは楽しいことだ。

これからも挿し木でオージープランツを増やし、オージープランツの普及を継続するとともに、豊かなオージーライフスタイルを広めていきたいと思う。

Credit

写真&文/遠藤 昭
30代にメルボルンに駐在し、オーストラリア特有の植物に魅了される。帰国後は、神奈川県の自宅でオーストラリアの植物を中心としたガーデニングに熱中し、100種以上のオージープランツを育てた経験の持ち主。ガーデニングコンテストの受賞歴多数。現在は、川崎市緑化センター緑化相談員を担当しながら、コンテナガーデン、多肉植物、バラ栽培などの講習会も実施。園芸文化の普及啓蒙活動をライフワークとする。著書『庭づくり 困った解決アドバイス Q&A100』(主婦と生活社)。

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