東京農業大学卒業、同大学院農学研究科前期博士課程中退(花卉園芸学専攻)。大手種苗会社の研究農場で花き栽培と育種業務に従事後、株式会社花ごころ研究室で「花ちゃん培養土」等の家庭園芸用の用土と肥料の研究開発や普及業務を経て、現在は肥料用土の品質保証等の技術情報及び肥料用土関連法、商標等の知財関連法と契約業務等の法務を担当。家庭園芸肥料・用土協議会理事代理や(公社)日本家庭園芸普及協会当協会のグリーンアドバイザー委員会のCPD制度担当副委員長及びたねダンゴ技術委員、GA認定講習会講師、たねダンゴ指導研修講師を勤める。家庭園芸用の肥料用土について「ガーデンセンター」や「花と緑のガイド」など雑誌に寄稿している。土壌医、1級造園施工管理技士、GA園芸ソムリエ。
河合秀治 -土壌医-
東京農業大学卒業、同大学院農学研究科前期博士課程中退(花卉園芸学専攻)。大手種苗会社の研究農場で花き栽培と育種業務に従事後、株式会社花ごころ研究室で「花ちゃん培養土」等の家庭園芸用の用土と肥料の研究開発や普及業務を経て、現在は肥料用土の品質保証等の技術情報及び肥料用土関連法、商標等の知財関連法と契約業務等の法務を担当。家庭園芸肥料・用土協議会理事代理や(公社)日本家庭園芸普及協会当協会のグリーンアドバイザー委員会のCPD制度担当副委員長及びたねダンゴ技術委員、GA認定講習会講師、たねダンゴ指導研修講師を勤める。家庭園芸用の肥料用土について「ガーデンセンター」や「花と緑のガイド」など雑誌に寄稿している。土壌医、1級造園施工管理技士、GA園芸ソムリエ。
河合秀治 -土壌医-の記事
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土作り
花の勢いを復活! 庭植えのバラを元気にする土の入れ替え方法をご紹介
「今年のバラは花が少なかったかな?」「アッという間に散ってしまった」「きれいな花が咲かなくなってしまった」など、思い当たることがありませんか? それは、バラが弱りかけている証拠です。株が弱って花が咲かなくなる前に、株の活力を取り戻しましょう。養分や水分を吸収する根の環境を変える土壌改良が最も効果的です。 土壌がどうなったら庭植えのバラは元気になるのか? まずバラの周りの土壌をチェックしましょう 土が固くなっている。 →土が固いと根が張れません。 バラの株元がへこんで水が溜まりやすくなっている。 →株元がへこんでいると過湿になって根腐れを起こし、土壌病害を誘発します。 バラの接ぎ目の下が土の表面に出ている。 →接ぎ目の下が土で隠れていないと、太くて強い新しい幹が発生しにくくなります。 太い根が地面を張っている。 →土が固いので根が地中に入れず養分や水分が吸いにくくなります。 こんなことになっていないでしょうか? 次に日常の管理を振り返って見ましょう。 日ごろの管理はどうしていましたか? 肥料は与えたことがないか、気が向いた時に与えたことがある。 →定期的、特に毎年寒肥を与えないと株が弱り、株元から強くて太い芽が出なくなります。茎が細くなると花が咲かないか、小さくなります。 一度植えたままで、土壌改良をしたことがない。 →土が固くなって根が養分や水分を吸収しにくくなります。 剪定をしたことがない。 →剪定をしないと、着花に関係しない細い枝が増えて株の栄養を無駄に消耗します。 さて、株の周りの土壌をどのようにすれば、バラは元気になって素敵な花を数多く咲かせてくれるのでしょうか? 次の改善が必要です。 土を柔らかくする。 十分な量の施肥をする。 株の周りの排水性をよくする。 株元を乾かさない。 不必要な枝を剪定しておく。 1と2は土壌改良と寒肥を行います。3と4は株の周りから土を寄せるか、他の土を使って株元を隠します。5は毎年冬に剪定を行います。剪定の方法は他の記事を参考にしてください。 土壌改良の方法は面倒でしょうか? バラの指南書通りに土壌改良をすると、なんだか大変そうですね。そうです、書いてあることを全てやればひと仕事になります。その通りにやれば最高ですが、そこまでしなくてもバラを元気にすることはできます。以下に3つの方法を記載します。 簡単な土壌改良方法 株の周りの土の表面を竹べらやスコップなどでつついて柔らかく崩します。枝先の下に牛ふん堆肥とリン酸分を多く含む有機質肥料をまき、土と混ぜます。株元に柔らかくなった土を寄せて置きます。土が足りなければ、他から持ってきて土を盛ります。 基本的な土壌改良方法 まず、株元や周りの土の表面をスコップなどで崩しておきます。次に株の大きさに合わせて、深さ20㎝の穴を枝先の下に2~4つ掘ります。その中に適量の牛ふん堆肥、有機質肥料、過リン酸石灰(よう燐やリン酸分を多く含む緩効性化成肥料も使えます)を入れて埋め戻します。次年度は、今年掘った穴の位置を避けて土壌改良を施します。最後に、株元に土を寄せて完成です。株の生育が著しく悪いときは、株の枝先の下に深さ20㎝程度の溝を、株を囲むように掘り、溝の中に前記の土壌改良材や肥料を入れて埋め戻します。 間に合わせになる土壌改良方法 毎年、最低限でもやっておきたい土壌改良方法です。株の周りの土の表面を竹べらやスコップなどでつついて柔らかくしてから、施肥し、その後に牛ふん堆肥で株元を隠すようにマルチングします。 栽培時の土壌改良材の選び方と効果について 栽培中の庭植えのバラの土壌改良材をご紹介します。寒肥と同時に土壌改良を行います。土壌改良材と共に肥料を与えます。 牛ふん堆肥 畜舎から排出される牛ふんと敷料を堆積発酵させた堆肥です。主要3成分などを含み、地力を高めます。有機質の分解により肥料成分が有効化されるので、効果がゆっくり長く続いて、肥料切れの防止に役立ちます。多量に連用すると水はけがかえって悪くなることがあります。掘り上げた土に対して2割の使用量を上限とします。それ以上に多くの有機質用土で土壌改良する場合は、バーク堆肥をオススメします。 バーク堆肥 公園や街路樹などの剪定材の樹皮や樹芯を粉砕後に堆積発酵させた木質堆肥です。土の団粒化に効果的です。牛ふん堆肥に比べ分解が遅いので、排水性などの物理性を長く維持する土壌改良効果に優れます。牛ふん堆肥より劣りますが、主要3成分などの肥料成分を含み、地力を高めます。 有機質肥料 油かすなどをベースにした有機質肥料は、土壌の団粒化を促す効果もあります。また、微生物によって分解されてから肥料成分が溶け出すので、冬の時期に比較的多めに与えても障害が出ません(通常は追肥の2~3倍の量を寒肥で与えます)。 リン酸質肥料 リン酸は花芽をつけるのに欠かせない肥料成分です。土壌改良材ではありませんが、寒肥の時に与えないと、春の開花時に十分な効果が望めません。通常は過リン酸石灰(過石)を利用しますが、熔成燐肥(よう燐)やリン酸成分の多い緩効性化成肥料を利用することもできます。 リサイクル材 前記の個々の資材を使うのが大変な方は、プランターの土などの古い土を改良するリサイクル材でも代用できます。
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育て方
年数を経たバラの活力を蘇らせる! 鉢植えにピッタリな植え替え法
バラは育てやすく、季節ごとに素敵な花を楽しませてくれます。それでも年数を経ると、日々水やりをし、時期に合わせて肥料を与えていても、以前は大きな花を咲かせていた鉢バラの花が小さくなってきたり、以前咲いていた秋の花もあまり咲かなくなったりしていませんか。そんな時こそ、思い切って植え替えをしましょう。植え替えは鉢バラにとっては住み替えとなり、心機一転、新しい環境で根を伸ばし、以前にも増して素敵な花をたくさん咲かせてくれるでしょう。 鉢バラの植え替えをする必要性がありますか? 鉢土が古くなっていませんか? 植物が住みづらくなっていませんか? 普段から適切な管理をしていても花が咲きにくくなったら、鉢土をチェックしましょう。バラを植えた用土は、年々劣化します。 ・「肥料成分が少なくなる」 ・「鉢土の表面が固くなって水が浸み込みにくくなる」 ・「用土の粒がつぶれて水はけが悪くなる」 ・「鉢土の隙間に根が入り込んで空気が通りにくくなる」 ・「有機質が少なくなって土壌微生物による栄養補給ができなくなる」 など、鉢土の環境は悪化して植物の生育を妨げるようになります。養分は肥料として後から補えますが、その他の物理性(保水力、排水性、空気の層)、化学性(pH、EC、保肥力)、生物性(微生物の多様性)などは簡単には変えられません。鉢土の環境が悪くなると、植物が育ちにくくなります。 鉢土は植物の住処によく例えられます。人でも住処の環境が快適だと暮らす人々に活気があふれます。植物にとっては養分や水分、酸素が充実した土が快適な住処。それらを根が吸収して、活気ある充実した新芽や太い茎を育て、大きな花を数多く咲かせてくれます。12月から1月は、鉢バラの植え替え適期です。植え替えたバラから太くて元気な茎を育て、大きくて数多くの花を春から楽しみましょう。 鉢植えのバラにはどんな用土が向いていますか? バラは庭植えでも栽培できるので、多くのタイプの用土に適応します。だだし、鉢土の特徴として、 1.植物を支えられる重さ 2.水はけのよさ が特に求められます。 1の課題に対しては、木バラが大きく育って倒れないために、ピートモスなどで植えられている場合は、適当な重さの用土で必ず植え替えをします。時期は、12月から1月が適期ですが、4月上旬までなら植え替えられます。 2に対しては鉢土の場合は、鉢の中に水たまりができやすいので、やや粗めの粒で重さのある用土が適しています。バラは生長が早いので、窒素肥料を多く必要とします。夏の肥料切れに対応できる牛ふん堆肥が特にオススメです。しかし、牛ふん堆肥を多く使うと肥料化に伴う分解が早いので、排水性なども早く悪くなります。ゆっくりと分解するバーク堆肥をベースにした鉢土は、排水性などの物理性や生物性がよい状態長く保たれます。 保水性や保肥力やpH・ECは最初から適した配合にしておくのがベストですが、栽培管理でも対応できます。鉢土の排水性を高めると土の乾きが早くなったり、肥料成分が流出しやすくなります。そんな時は、鉢ごと半日陰に移動するとか、追肥の間隔を短くします。夏のお盆あけに鉢バラに施肥をするのは、肥料切れ防止になります。pHやECは、水はけのよい鉢土に定期的に適量の追肥をしていれば、生育に影響する値にはなりません。バラ専用の用土を使うのが最も適していますが、メーカー製品の培養土(バーク堆肥ベースが適しています)に赤玉土を2〜3割ほど混ぜて使用することもできます。 用土に使われる各単用土の効果について 以下では、バラの鉢土によく使われる単用土の効果について説明します。培養土を改良して使う時の参考にしてください。普段は混ぜて利用している各単用土が、バラの根にとってどんな働きをしているのか考えてみるのも面白いかもしれませんね。 用土の効果 1.赤玉土 酸化鉄などで団粒化した赤土を乾燥後にふるいにかけて粒の大きさを揃えた単用土です。主に鹿沼地方で産出されます。雑草の種や病原性微生物の混入もなく、保水力や保肥力に富みます。また粒状なので、排水性にも優れます。木本性の植物を支えるのに適した重さなので、木バラの鉢栽培に適しています。有機質用土や肥料分を加えて使用します。 2.ココナッツファイバー ヤシの実から繊維を除いた後に残ったコマや短い繊維です。分解が極めて遅いので、長く排水性などの物理性を維持します。軽量でカリ成分に富み、水やりで失いやすいカリ成分の補給に役立ちます。 3.バーク堆肥 公園や街路樹などの剪定材の樹皮や樹芯を粉砕後に堆積発酵させた木質堆肥です。土の団粒化に効果的です。牛ふん堆肥に比べ分解が遅いので、排水性などの物理性を長く維持する土壌改良効果に優れます。牛ふん堆肥より劣りますが、主要3成分などの肥料成分を含み、地力を高めます。 4.牛ふん堆肥 畜舎から排出される牛ふんと敷料を堆積発酵させた堆肥です。主要3成分などの肥料成分を含み、地力を高めます。有機質の分解により肥料成分が有効化されるので、肥効がゆっくり長く続き、肥料切れの防止に役立ちます。配合量が多い用土で2年以上鉢植えしていると、バラの根張りが悪くなる傾向があります。使用量は1割程度にとどめます。 5.腐葉土 カシやクヌギなどの葉脈が固い葉を利用した時に、窒素飢餓などの障害が起きないように堆積腐熟させた有機質の単用土。古くから鉢土や畑土に利用されていますが、近年適した原料が入手しにくくなっているので、市販の複合用土の配合に使うことが少なくなりました。 6.ピートモス 水ごけが泥炭化した単用土です。保水性と保肥力に優れますが、排水性に劣ります。苗として店舗で販売されている時にはピートモスで仮植えされています。そのままだと雨ざらしで育てるのが難しいので、専用用土で植え替えるか、適宜鉱物質の単用土を加えて植え替えします。 7.abコンポ ココナッツファイバーと植物性原料の堆肥を混合した肥料効果を併せ持った土壌改良資材です。バラの根の生育に役立ちます。 鉢土の環境をチェックして、美しい花をお楽しみくださいね。