スリー・アンド・ガーデン/ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。「ガーデンストーリー」書籍第1弾12刷り重版好評『植物と暮らす12カ月の楽しみ方』、書籍第2弾4刷り重版『おしゃれな庭の舞台裏 365日 花あふれる庭のガーデニング』(2冊ともに発行/KADOKAWA)発売中!
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スリー・アンド・ガーデン/ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。「ガーデンストーリー」書籍第1弾12刷り重版好評『植物と暮らす12カ月の楽しみ方』、書籍第2弾4刷り重版『おしゃれな庭の舞台裏 365日 花あふれる庭のガーデニング』(2冊ともに発行/KADOKAWA)発売中!
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公共ガーデン

“ロングライフ・ローメンテナンス”で都立公園を豊かに彩るコンテスト「第4回東京パークガーデンアワード 夢の島公園」全国から選ばれた5人のガーデンコンセプト
第4回会場となる「夢の島公園」 「東京パークガーデンアワード」は、公益財団法人東京都公園協会が主催するコンテストです。気候変動が激しい現代において、“持続可能でロングライフ・ローメンテナンス”なガーデンづくりを目指しています。デザインはもとより、植物や土壌の高度な知識が求められ、今までのものとは一線を画すコンテスト。このアワードを通じて、サステナブルガーデンの制作、普及を後押しします。 今回の舞台となる『夢の島公園』は、東京都江東区にある海辺の都立公園で、運河に囲まれた人工島の中に位置しています。「夢の島」といえば、かつてはゴミの埋め立て地として知られていましたが、その負のイメージを払拭するため、1978年に『夢の島公園』が開園しました。その後、整備が進められ、現在ではユーカリやデイゴ、ヤシなどの熱帯・亜熱帯植物が植えられた緑豊かな海辺の公園に生まれ変わりました。園内には熱帯植物館やスポーツ施設、マリーナ、広大な芝生広場があり、都心からアクセスしやすい人気スポットとなっています。 コンテストのテーマは「海辺のサステナブルガーデン」 今回ガーデンが設けられるエリアは、『夢の島熱帯植物館』西側のグリーンパークの一画で、公園のシンボルであるユーカリの樹林地に面しています。広がる波をイメージした2本のウェーブガーデン(約24㎡)に、海辺の環境に適した宿根草を植栽。背景のユーカリとも調和する、ロングライフ・ローメンテナンスなガーデンが制作されます。2025年12月、土壌改良から作庭が行われ、11月の最終審査を迎えるまで、必要に応じてメンテナンスを実施。近年の激しい気候変動、とくに厳しい酷暑への対応も重要な課題です。3回の審査を経てグランプリが決定するまで、さまざまな予測を立てながら庭と向き合っていくことになります。 「持続可能なロングライフ・ローメンテナンス」であることに加え、審査で見る重要なポイント 2025年に行われた「第3回東京パークガーデンアワード」の審査の様子。今回の審査員は、福岡孝則さん(東京農業大学地域環境科学部 教授)、正木覚さん(環境デザイナー・まちなか緑化士養成講座講師)、吉谷桂子さん(ガーデンデザイナー)、本木一彦さん(東京都建設局公園緑地部長)、植村敦子さん(公益財団法人東京都公園協会 常務理事)。 第4回も“持続可能なロングライフ・ローメンテナンス”であることが欠かせないルールです。丈夫で長生きする宿根草・球根植物(=多年草)を中心に、季節ごとの植え替えをせず、季節の花が順繰りに咲くようデザインすることが求められています。 ●公園の景観と調和していること ●公園利用者の関心が得られる工夫があること●公園利用者が心地よく感じられること●植物が会場の環境に適応していること ●造園技術が高いこと●四季の変化に対応した植物(宿根草など)選びができていること●「持続可能なガーデン」への配慮がなされていること●メンテナンスがしやすいこと●テーマに即しており、デザイナー独自の提案ができていること ●総合評価※各審査は別途定める規定に従い、審査委員による採点と協議により行われます。 第3回開催の砧公園で見られた“ロングライフ・ローメンテナンス”を実現しながら豊かに彩るための工夫 ここ数年、猛烈な酷暑が続いています。この異常な気候変動を乗り切るためには、耐暑性や耐乾性のある植物の選定、そして強くても爆発的に繁茂する種類は避けるなどの知識が必要です。またメンテナンスも欠かせない要素で、手入れのテクニックも審査の対象となります。メンテナンスはガーデナーの申請によって行うことが条件ですが、手入れの頻度(回数)も評価の参考になります。 そこで、「ロングライフ・ローメンテナンス」を実践するために、前回開催のコンテストガーデンで取り入れられた工夫をいくつか紹介します。 1. メンテナンス時の発生材(剪定枝など)をガーデン内で循環するためのバイオネストの設置 ガーデンの中央で大きなオブジェのような存在感を放っていた、印象的なバイオネスト(エリアA)。 2. ガーデンの土中に空気を送り込むための通気口の設置 直径20cmほどの穴に枝を組んで作った通気口。入り口部分にグラスの穂をあしらい、鳥の巣のような愛らしさを演出(エリアB)。 3. テントウムシを呼ぶための、バンカープランツを植栽 テントウムシがエサとして好むアブラムシが早春に集まるように植え込んだ原種のチューリップ(エリアC)。 4. 土中の微生物を活性化させるための、菌糸のステップを配置 キノコの菌床を円盤形に固めたステップ。植物の根の伸長を促すのに効果的(エリアD)。 5. シードヘッドになる植物を積極的に使う カールドン、アリウム、バーバスカム、バーベナのシードヘッドを巧み組み合わせ、秋~冬の景色に深みを与える(エリアE)。 全国から選ばれた5人のガーデンコンセプト どのエリアでガーデンを制作するかを決めるため2025年10月中旬に集合した5名のガーデナー。 コンテストのテーマとルールをふまえて制作するそれぞれのガーデンのコンセプトをご紹介します。 コンテストガーデンA花の巡り、風と大地の詩 【作品のテーマ・制作意図】 海辺という特有の環境に調和しながら、自然の力を活かした設計によって、サステナブルな公共空間のあり方を提案します。風が通り抜け、植物が揺れ、大地がそれを支える——この空間では、自然の要素が互いに響き合いながら機能します。植栽には、乾燥や高温に強く、施肥を行わずとも育つ植物を選定。水やりやメンテナンスを最小限に抑えることで、環境負荷を軽減しながら、美しさと生態系の豊かさを両立する構成としました。また、宿根草とグラス類を中心に、こぼれ種によって自発的に広がる植物を組み合わせることで、季節や年月の変化に応じて風景が移ろい、訪れるたびに異なる表情を見せるよう工夫しています。風に反応する草姿や色彩の変化は、来訪者の感覚に静かに働きかけ、風・植物・大地の関係性を通じて、自然との関わりを見つめ直す場となることを目指しています。 【植栽計画について】 海辺の環境に適応する植物を中心に構成し、自然の力を活かしながら持続的に育つガーデンを目指しました。潮風や強い日差し、乾燥といった海辺特有の条件に耐える宿根草やオーナメンタルグラスを主体とし、無施肥・最小限の水やりで維持できる植物を選定しています。これにより、環境負荷を抑えつつ、自然のリズムに寄り添う植栽管理を実現しています。 また、春から秋まで花が咲き継ぐ「開花リレー」を軸に、季節の移ろいが視覚的にも感じられるよう、色彩の重なりや草姿の変化を丁寧に計画しました。風に揺れるグラス類は海辺の風景に軽やかな動きを与え、球根植物は季節のアクセントとして景観に深みをもたらします。こぼれ種で広がる植物を組み合わせることで、植栽が自ら更新され、年月とともに自然に成熟していく仕組みも取り入れています。さらに、宿根草の間に一年草を適宜加えることで、季節ごとの彩りや変化を柔軟に補い、訪れるたびに異なる表情が楽しめる風景をつくります。こうした構成により、自然の動き・時間の流れ・生態系の豊かさが重なり合う、持続可能な植栽を目指しました。 【主な植物リスト】 宿根草:フロックス ムーディーブルー/ゲラニウム サバニブルー/アスフォデリネ ルテア/ダイアンサス カルスシアノルム/ゴリオリモン コリナム シースプレイ/エキナセア テネシーエンシス/ユーコミス ビッグボーイ/エリンジューム パリフォリウム/バーノニア レターマニー/スクテラリア インカナ/アスター アンレイズグラス類:フェスツカ エリアブルー/ブリザ メディア ラッセルズ/スティパ イチュー/エラグロスティス トリコデス/ペニセタム マクロウルム/アンドロポゴン テルナリウス/ミューレンベルギア カピラリス アルバ球根:スイセン ペーパーホワイト/ミニアイリス ペインテッドレディ/クロッカス ロマンス/ミニチューリップ ヒルデ/ダッチアイリス シンフォニー/カマシア クシッキー/アリウム シルバースプリング/アリウム ピンボールウィザード/ガルトニア カンディカンス/リコリス サンギネア コンテストガーデンB潮風に揺れるプレイフルガーデン-Playful Garden Swaying in the Coastal Breeze- 【作品のテーマ・制作意図】 ■ユーカリ樹林や公園風景を主役にする庭 ―夢の島公園の景観と調和した植物選び― ・公園の象徴であるユーカリ林を主役に、遠くからは樹林の前景として眺める花壇、入り込めばユーカリの壁を借景に、緑に包まれる植栽空間を創出。背後の樹林と庭の植栽がつながるよう視線の抜けや緑の連続感を意識し、園全体との一体感を演出します。 ・バンクシア、カリステモン、ハマゴウやメリアンサスなど、海辺の環境に耐えながら、豪州庭園を有する公園の既存植生や景観、海風の雰囲気に馴染む庭景を演出します。 ・冬季に訪れる来園者にも配慮し、花後も景観を彩るグラスや常緑樹、カラーリーフ類を混植し、季節ごとに表情が変わり、秋冬も映えるガーデンとします。 ■公園遊具・風景のきっかけとしての庭―利用者の関心を引き、居心地を生む仕掛け― ・子ども用遊具が少ない園内に、アスレチックや回遊ごっこを誘発する植栽空間を提案します。地面のウェーブ(アンジュレーション)と植栽の高低差で、歩くたびに景色が見え隠れする立体的な庭を演出し、眺めても歩いても楽しめる空間とします。 ・大人の見守りの視線は通しつつ、子どもにとっては草花のトンネルのように感じられる空間体験を演出します。園路沿いベンチを起点に、子どもの好奇心を植物へ導き、自然への関心を育む場とし、二列花壇の適所に通り抜けポイントを設けることで、アクセス性と回遊性を高めます。 【植栽計画について】 ■潮風に揺れる宿根草の庭 ―海岸環境に寄り添い、四季の移ろいを感じる庭―・バンクシア、カリステモン、ハマゴウ、シーラベンダーやコースタルローズマリーなど、耐風・耐塩・耐乾性に優れた海岸性の樹種をポイント的に配置し、庭全体に変化と海浜の雰囲気を映します。 ・海風に耐え支柱を必要としない樹種と、装飾性が高くもやや繊細な樹種を試験的に混植し、コースタルガーデンの新しい組み合わせを探ります。 ・もたれやすい草姿は、繁りやすい植栽やグラス類のそばに置き、互いに補完し合うよう計画。歩くことで植栽の色や草姿の変化を楽しめる配置とし、訪問者に発見や驚きを与えます。 ・強健種中心で単調になりやすい海辺の環境にも対応し、植栽の組み合わせや色・草姿のコントラストで多様な景観を実現し、季節や光の変化による表情も楽しめる庭を目指します。 ■微地形による環境の多様化と骨格植物の採用 ―気候変動下での持続性を生む工夫・ローメンテナンス―・アンジュレーション(微地形)を設けて排水性を確保し、乾燥に強いグラス類や低木を尾根部分に配置するなど、適所適植で植栽の安定性を高めます。 ・高低差や樹木ボリュームで異なる微気候(採光・通風・排水性の多様化)をつくり、異常気象による植物の全滅リスクを軽減。今後の気候変動(猛暑・豪雨・乾燥)を前提に、グラス類や強健種を一定割合植え込み、庭の骨格を安定化。 ・管理も容易なアガパンサス、エキナセア、グラス類や強剪定も可能な南半球由来の低木を視認性の高い要所(起伏の尾根やコーナー)に配置。マルチングやグランドカバーで乾燥防止と雑草抑制を図ります。 ・赤土を主として燻蒸したそば殻、有機物をすきこんで完熟発酵させた特製客土を用い、持込み雑草を最小化。団粒構造形成による排水性の向上とリン過多にならず、根付きもよい土づくり。あえて無肥料とすることで華美になりすぎない海辺らしい風景づくりと、オージープランツのリン酸やけに配慮。 【主な植物リスト】 宿根草:ユーフォルビア ウルフェニー/ユーフォルビア セギリアナ/トリトマ グリーンシェイド/モナルダ フィッツローザ/エキナセア ミニベル/エキナセア パリダ/シシリンチウム ストリアタム/スターチス ラティフォリウム/ホソバチョウジソウ/オレガノ マルゲリータ/アキレア マシュマログラス類:パンクスグラス プミラロゼア/ミューレンベルギア リンドハイメリ/ペニセタム アロペクロイデス/カレックス フェニックスグリーン/カレックス フラッカ低木:カリステモン ドーソンリバー/コースト バンクシア/グレビレア プーリンダ イルミナ/グレビレア ジョン エバンス/グレビレア ドーン パープル/メラレウカ タイムハニーマータル/ハマゴウ プルプレア/ギョリュウバイ ナニューム ルブルム球根: チューリップ トルケスタニカ/チューリップ シルビア/チューリップ ヒルデ/チューリップ タルダ インタラクション/チューリップ クレティカ パニア/チューリップ マーラ/チューリップ ビオレッタ/カマッシア カエルレア/カマッシア アルバ コンテストガーデンCStewardship Garden:The Way 【作品のテーマ・制作意図】 この庭は、まるで人の一生を映し出すかのような場所。最初は何も育たない砂地が、植物や小さな生き物たちのチカラ、そしてそこに暮らす人々の手によって、ゆっくりと豊かな土壌へと育っていく。それはまるで、子供が成長して大人になり、やがて成熟世代へと人生を重ねていく時間の流れと、重なり合っているかのよう。子供たちは砂のような柔らかな心で庭と遊び、自然からたくさんのことを学ぶ。大人になれば、その庭は家族や友人と収穫や語らいを楽しむ場所になり、成熟世代になれば、その成長した庭を眺めながら穏やかな、心豊かな時を過ごす。この庭は自然と人が共に成長し、砂が子供、豊かな土壌が大人へと成熟していくように、自然の再生と成熟への時、人生の旅路を映す『道』を示している。 【植栽計画について】 砂地を豊かな土壌へと育ててくれるのは植物、微生物、細菌、虫たち、そして少しの人の手。はじめに漉き込む堆肥は、その土地の土壌で作られたもの。なぜなら微生物や細菌は地域性があるからです。どこか遠くから良い資材を持ってきたとしても永続的な自然の循環は行われません。その土地だけの‘自然循環の在り方’を作り出すことが重要です。植える植物たちは潮風や乾燥に強い宿根草、そして環境に溶け込むような亜熱帯の宿根草を主軸とします。植栽は観る人々が‘思わず触りたくなるような’仕掛けを施します。それは、私が日々庭づくりで行っている‘参加型の庭づくり’に基づいています。驚きと興味は参加を促し、よき体験を生み出す。その‘関心’と’体験’こそ、サステナブルを巻き起こすものだと信じています。 【主な植物リスト】 宿根草:ユーパトリウム/トリトマ/ヘリオプシス/オミナエシ/オトコエシ/ペンテスモン/エキナセア/ベロニカなどグラス類:カールフォスター/ミスカンサス/ディプカンシア/カレックス/モリニア/コメガヤなど球根:アリウム/スイセン/ダッチアイリス/フリチラリア/カマシア/オダマキ/ラナンキュラス ラックス/ゲイソリザ/ツベロサム/シラーなど コンテストガーデンDSurFIVE Garden 【作品のテーマ・制作意図】 夏の猛暑や乾燥といった「過酷な環境を生き延びる力強さ(Survive)」×「海の波や生命のうねりを感じさせる (Surf)」を掛け、その植物のパワーが波のように広がり未来へとつながっていくイメージと、五感を刺激する植物の組み合わせを『SurFIVE』という言葉で表現しています。またガーデンのテーマカラーとしてオレンジの花色の植物を多く取り入れ、親しみやすさや太陽のもとで元気に咲く植物の生命力をアピールします。 【植栽計画について】 熱帯を思わせる個性的な形の植物をメインにして、一年を通してはっきりとしたシルエットを保つように計画しています。いくつかの同じ植物を違う場所にもリピートして植えることで、前後の花壇のつながりと、歩きながらガーデンのリズムを感じてもらえるように植物を配置しています。植え付け後は、剪定や水やりなどの手入れを最小限に抑え、人にも植物にとってもサステナブルで美しいガーデンを維持します。 【主な植物リスト】 宿根草: カンナ/クニフォフィア ルーペリ/メリアンサス マヨール/エキノプス /ロシアンセージ/アキレア/バーベナ ボナリエンシスグラス類:カラマグロスティス カールフォスター/カラマグロスティス ブラキトリカ/パニカム シェナンドア/エラグロスティス スペクタビリス球根: アリウム マジック/ミニチューリップ ショーグン/イフェイオン ウィズレーブルー/スイセン タリア コンテストガーデンE「東京サバンナ・バイ・ザ・ベイ」 〜地の記憶と環境を翻訳する庭 【作品のテーマ・制作意図】 かつて廃棄物で埋め立てられたこの島には、現在ユーカリの森を中心とした強健な植生が根づき、都市にありながら原始的で異国的な景観を生み出しています。今回、植栽地となるこの森の縁に広がる強い日射と潮風にさらされた芝生を目にしたとき、「ここは都市の果てに現れたアーバン・サバンナだ!」と直感しました。 植物を単なる装飾に限らず、この地固有の「環境を翻訳する存在」と捉え、来園者が海風・光・湿度・熱といった目に見えない環境を感覚・知覚できる場をつくります。「東京サバンナ」は景観的なサバンナの模倣ではなく、夢の島の歴史と環境条件から必然的に現れた都市の新しい風景です。都市と自然の狭間に生まれたこの庭を通じて、来園者が環境や植物との関わりを見つめ直し、都市園芸の新たな可能性を感じ取るきっかけとなることを願います。そしてこのガーデンが、見た目の美しさと維持のしやすさを兼ね備えた、持続可能な宿根草ガーデンの新しいスタンダードとして育まれれば幸いです。 【植栽計画について】 土地の過酷な条件を読み解き、徹底したローメンテナンス性、持続可能性を踏まえながら、美しく景観が維持できる計画としました。植栽計画は、強光、潮風、乾燥に耐える大型グラスをメインとした外皮構造を先に築き、その内側に小型宿根草を群植する二層構造としました。外層が強い環境要因を受け止めて微気候を生み、内層ではナース植物の効果により小型植物が守られながら安定して育ちます。 植物は侵略性が低く、かつ姿が乱れにくく支柱や過度な手入れを必要としない丈夫な種を厳選しました。内層の植栽は配置の自由度が高く、どこに植えても風景が破綻せず、誰もが維持・再現可能です。また低層種を入れ替えるだけで新たな景観を生み出せる柔軟性も持ち、さらに密植により除草の労力を軽減します。 そして、四季を通じて花や実を供給し、チョウや他の昆虫類に生息の場を与えることで都市に自然のリズムを呼び戻し、この地域の生物多様性に寄与します。「東京サバンナ・バイ・ザ・ベイ」は、美観・管理性・生態系の循環を兼ね備えた、海辺にふさわしい真のサステナブルガーデンの姿を示します。 【主な植物リスト】 宿根草:ビゲロウィア・ヌッタリー/エゾノヨロイグサ/ハマボウフウ/ヒューケラ・シャムロックなどグラス類:カラマグロスティス・カールフォスター/パニカム・ヘビーメタル/セスレリア・オータムナリス/フェスツカ・アメジスティナなど コンテストガーデンを見に行こう! Information 都立夢の島公園「グリーンパーク」内所在地: 東京都江東区夢の島2-1電話: 03-3522-0281https://www.tokyo-park.or.jp/park/yumenoshima/index.html#traffic開園時間:常時開園※サービスセンター及び各施設は、年末年始は休業。営業時間等はサービスセンターへお問い合わせ下さい。入園料:無料(一部有料施設あり)アクセス:東京メトロ有楽町線(Y24)・JR京葉線・りんかい線「新木場」下車、徒歩7分。東京メトロ東西線「東陽町」(T14)から都バス(東陽町-新木場、東陽町-若洲海浜公園)「夢の島」下車。高速湾岸線「新木場インター」より5分駐車場:有料
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観葉・インドアグリーン

クリスマス後が肝心!ポインセチアを枯らさないために“今すぐチェックしたい”3つのこと
まず知っておきたい|ポインセチアは「冬の花」ではありません ポインセチアはメキシコ原産。クリスマスの時期に色づくことから、祝福の印として教会や祭壇を飾る花として親しまれてきました。花言葉も国によって少し異なりますが、共通するのは「祝福」「成功」「喜び」など。そんな幸せな季節を告げるポインセチアですが、原産地では霜が降りることのない温暖な地域で、低木(庭木)として屋外で育つ植物です。 原産地でのポインセチア 原産地のメキシコでは、ポインセチアは鉢花ではなく、庭に植えられる低木として育ちます。Marcel Hamonic/Shutterstock.com 年間を通して温暖 日差しが強く、乾季と雨季がある 地植えで、のびのびと枝を広げて育つ つまり本来は、寒さに当たる前提で進化していない植物なのです。 ポインセチアの生育適温は20〜30℃ ポインセチアが最も快適に過ごせるのは、20〜30℃前後。 10℃を下回るとダメージが出やすい 5℃以下では致命的になることも 逆に真夏の直射日光や高温多湿も苦手 冬も夏も、じつは気をつける必要がある植物。これが「育てるのが難しい」と感じられる理由です。 「葉が落ち始めてしまった!」でもそれ、失敗ではありません 1月以降になると、ポインセチアの赤い色(苞)は徐々に色あせ始め、落ちることがあります。「具合が悪いのかな」「枯らしてしまったのかな」と心配する人が多いですが、これはポインセチアの正常の生育サイクルです。というのも、ポインセチアは1月以降は生育を一旦休止します。ポインセチアの生育サイクルを見てみましょう。 New Africa/Shutterstock.com 初冬(11〜12月)|観賞のピーク 赤い苞が完成 成長はほぼ止まっている 体力は消耗していく時期 真冬(1〜3月)|休止期 生育はほぼストップ 赤い苞が役目を終える 葉が落ちることもある 春以降の生育期のポインセチア。Svetlana111/Shutterstock.com 春(4〜5月)|生育スタート 気温が安定してくる 新芽が動き出す 本当の意味での「生育期」 夏(6〜8月)|成長のピーク 葉を増やす 枝を伸ばす 体力を蓄える時期 秋(9〜10月)|色づきの準備 日照時間が短くなる 夜の長さを感知 花芽分化 → 苞が色づき始める ポインセチアは「一番目立つ時期」と「成長する時期」がズレている 「赤くなる=元気に育っている」ではなく、それはポインセチアが“季節を感じ取った結果”です。クリスマスに赤く色づく頃には、見た目は華やかでも植物としては体力の限界。その後、1月には生育が止まり、春を待つ待機モードに入ります。 ポインセチアの赤い色を楽しむコツ Pixel-Shot/Shutterstock.com 上記の生育サイクルを踏まえたうえで、ポインセチアの赤い葉を最大限に楽しむコツをご紹介します。お店から買ってきたポインセチアは、どれも生き生きとして華やか。それなのに家に迎えると、なぜか調子を崩してしまう。 その原因の多くは、 置き場所 水やり 冬の扱い方 この3点に集中しています。まずは「特別なことをしなくていい」という前提から、気持ちをラクにしていきましょう。 コツ①|置き場所は「明るさ」と「寒さ」を同時に考える ポインセチアが弱る一番の原因は、置き場所のミスマッチです。前述したようにポインセチアは寒さが苦手。「昼は明るく、夜は冷やしすぎない」。この意識だけで、ポインセチアの状態は大きく変わります。 日照が足りない 夜間、窓辺で冷え込みすぎている エアコンや暖房の風が直接当たっている これらはすべて、葉落ちや色あせの引き金になります。 おすすめの置き場所 Pixel-Shot/Shutterstock.com 日中はレース越しでもいいので明るい場所 夜は窓から少し離す 暖房の風が直接当たらない位置 コツ②|水やりは「控えめ」が正解。与えすぎない勇気を ポインセチアで最も多い失敗が水の与えすぎです。クリスマス以降、ポインセチアは1月に向かって、「お休みモード」に移行しています。ですから、水を吸い上げるのもゆっくりモード。根が水を吸い上げないと、鉢の中には水が残りがちになり、過湿による低酸素や冷えで傷むことがあります。 Pixel-Shot/Shutterstock.com 鉢の中まで乾いてから、鉢底から水が流れるまで与える。鉢の中まで乾いたかどうかのチェックは、竹串を鉢底まで差し入れてそのまま10秒ストップ。引き抜いて串が湿っていたり、土がついてきたら水やりはまだ。ほぼ乾いている状態なら水やりしてOKです。 受け皿にたまった水は必ず捨てる。 朝晩の冷え込む時間帯は避け、日中に水やりをする。 「乾いたらたっぷり、乾かないうちは我慢」。このメリハリが、根を健康に保つ最大のポイントです。 【コラム】ポインセチアは多肉質なユーフォルビア科の植物 多肉質な茎を持つポインセチア。そのため乾燥には強い。Ruri Trisasri/Shutterstock.com ポインセチアはユーフォルビア属の植物で、多肉質の茎を持ち、原産地では乾期を経験します。そのため冬の管理では、塊根植物ほど極端ではありませんが、過湿を避けてやや乾かし気味に育てる方が株を傷めにくい特徴があります。 コツ③|今は“育てない”。元気を保つことを目標にする 葉が落ちてきたりすると、元気がなくなってしまったと勘違いして「肥料をあげたほうがいい?」「植え替えたほうがいい?」と何かとかまいたくなるものですが、この時期は何もしないのが正解です。1月へ向かって“お休みモード”に入ろうとするポインセチアに私たちがしてあげられることは、ゆっくり寝かせてあげること。ここで何かをしようとすると、かえって調子を崩します。 肥料は与えない 植え替えもしない 形を整える剪定もしない クリスマス以降のポインセチアのケア 華やかな赤色で楽しませてくれたポインセチアは、お休みモードに入ると赤い苞は落ちます。赤い役目を終えたら、無理をさせず“緑の観葉植物“として春まで楽しみながら休ませてあげましょう。 1月初旬まで楽しんだあとのベストな選択肢 【基本方針】 赤い苞が落ちても、失敗ではない 「もう一度色づかせる」ことは考えない 株を生かすことだけを目標にする ここからは“観賞” → “維持”に切り替えます。 STEP①|置き場所を少し落ち着かせる 年末までは「見せる場所」だったポインセチアを、1月以降は“安定する場所”へ。 明るい室内(直射日光は不要) 夜でも10℃以上 暖房の風が直接当たらない場所 窓辺に置いていた場合は、室内側へ移動するのがおすすめ。Pixel-Shot/Shutterstock.com STEP②|水やりはさらに控えめに 1月以降は生育がほぼ止まります。葉が少なくなってきたら、土の乾きはより遅くなるので、「乾いても、もう1日待つ」くらいでちょうどいいです。 STEP③|肥料・剪定・植え替えはしない 肥料・剪定・植え替えは、この時期にやらないことが、いちばん大事。 STEP④|見た目が変わっても、慌てない 1月以降に起こりやすい変化は、赤い苞が落ち、緑の葉が減り、全体が少し間の抜けた姿になります。でもこれは、全部「正常」です。葉が数枚でも残っていれば、株はちゃんと生きています。 「ここで処分」も、立派な正解 年末まで楽しめたなら、ポインセチアはその役目を十分果たしたと言えます。管理に自信がない場合には、ここで感謝して手放すのも、悪い選択ではありません。無理に維持して弱らせるより、きれいな記憶で終えるのも、ひとつの楽しみ方です。 もし、春まで株を維持できたら、そこからは「チャレンジ路線の入り口」です。 来年もポインセチアを楽しむためのチャレンジ方法 結論から言うと、来年もポインセチアを赤く色づかせるのは、なかなか難易度高めです。夏を元気に越せただけでも立派な成功。もし再び赤く色づかせることができたなら、あなたは素晴らしい「グリーンフィンガー(園芸上手だけが持つ指)」の持ち主です。 来年も赤く色づかせるのは「秋が本番」、でも勝負は“夏越し”でほぼ決まります。ポインセチアを来年も赤くするには、1年を4つのフェーズで考えると分かりやすいです。 時期目的冬(1〜3月)株を生かす春(4〜5月)仕立て直す夏(6〜8月)体力をつける(最重要)秋(9月下旬〜)色づかせる(短日処理) 【STEP1】冬〜早春(1〜3月)|とにかく枯らさない ここは準備期間です。赤い苞が落ちてもOK。緑の葉が残っていれば大成功。 室内管理 10℃以上をキープ 水やりは控えめ(鉢の中まで乾いたら) この時期は肥料・植え替え・強い剪定すべて不要。 【STEP2】春(4〜5月)|切り戻し&植え替え 切り戻し(4月目安) 草丈を半分〜2/3程度にカット 節の上で切る 思い切りが大事 剪定は切ったら枯れるんじゃないか、とビクビクしがちですが、ここで思い切らないとあとが辛くなります。浅く切ると上のほうだけ伸びて間延びした貧弱な姿になり、あとあと支えが必要になり、夏越しの体力もつかず、管理が難しくなります。だから勇気を出して剪定を。剪定で脇芽を出させて、こんもりした株姿にすることが大事。 植え替え(5月) 一回り大きな鉢へ 水はけのよい培養土 元肥は少なめでOK この時点で「観葉植物として元気に育てる」フェーズへ。Farion_O/Shutterstock.com 【STEP3】夏越し(6〜8月)|最大の山場 ここがいちばん重要です。ここで7割決まります。 夏越しの正解環境 屋外の半日陰 直射日光は避ける 風通しのよい場所 夏は成長期。ISmiths/Shutterstock.com 水やりと肥料 表土が乾いたらしっかり水やり 成長期なので肥料は与えてOK(2週に1回程度) 葉がよく茂り、「観葉植物として元気」なら成功です。 夏越しでよくある失敗 日なたに置きっぱなし → 葉焼け 室内に閉じ込める → 蒸れる 水を控えすぎる → 体力不足 【STEP4】秋(9月下旬〜)|いよいよ短日処理 ポインセチアは夜の長さを感知して色づく「短日植物」です。秋分を境に、昼より夜の時間が長くなります。するとポインセチアは「あ、季節が変わった」と判断し、色づく条件が整い始めます。ですから、9月下旬〜10月初旬を目安に「短日処理」をします。 短日処理とは? 毎日、12〜14時間“完全に暗く”する これを8週間以上連続させる 例:18時〜翌8時まで段ボールをかぶせ、夜は絶対に光を当てない(部屋の照明NG) 室内の照明やテレビ、街灯、カーテン越しにもれる光などがあると、ポインセチアは「夜が中断された」と判断し、そこまで進んでいた色づきステップをリセットしてしまいます。重要なのは、完全に暗い状態を毎日連続させること。これが、短日処理は難しい、面倒と言われる所以です。 ポインセチアは10℃を下回るとダメージを受けやすいため、夜間の冷え込みがある地域では、短日処理中でも屋外に置きっぱなしにしないほうが安心です。 暗さと温度を同時に確保できる室内で管理する方が、色づきの成功率は高くなります。 成功するとどうなる? 色づき始めたポインセチアの苞。MD Sadi123/shutterstock.com 11月頃から苞が色づき始める 12月には赤く色づいたポインセチアに ここまで来たら感動モノ。自慢しましょう。 無理せず、楽しみながらお付き合いを。 ポインセチアは、少し誤解されやすい植物です。「冬の花」「寒さに強い」というイメージとは裏腹に、実際は温暖な地域で育つ、繊細な性質を持っています。だからこそ、日本の冬の室内では無理をさせず、その時期に合った付き合い方を選ぶことが大切です。 年末まで美しい赤を楽しみ、1月以降は静かに休ませてあげる。それだけでも、ポインセチアにとっては十分に幸せな時間。もし春まで株を保てたら、それは次の季節への小さな一歩です。 「今年はここまで」「来年はチャレンジしてみる」。どちらも正解。この冬、あなたの家で過ごしたポインセチアが、またひとつ、心に残る季節の記憶になりますように。
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樹木

「サカキは庭に植えてはいけない」は誤解だった⁉ 縁起がよいとされる理由と正しい育て方
サカキの基本情報 NMTD MEDIA/Shutterstock.com 植物名:サカキ学名:Cleyera japonica英名:Japanese cleyera、sakaki和名:サカキ(榊)その他の名前:ホンサカキ(本榊)、マサカキ(真榊)科名:サカキ科属名:サカキ属原産地:日本、朝鮮半島、台湾、中国形態:常緑性小高木 サカキはサカキ科サカキ属の庭木です。学名はCleyera japonica(クレイエラ・ジャポニカ)で、マサカキ、ホンサカキの別名もあります。原産地は日本(本州〜九州)、朝鮮半島、台湾、中国で、暑さに強い一方で寒さにやや弱い性質です。冬もみずみずしい葉を保つ常緑樹で、古くから庭木として愛されてきました。樹高は10mほどで大きくなりますが、毎年の剪定によって程よい大きさにコントロールすることができ、生け垣として仕立てることも可能です。また、祭壇や神棚、神事に供える植物としてもよく知られています。 サカキの花や葉の特徴 tamu1500/Shutterstock.com 園芸分類:庭木開花時期:6〜8月樹高:3~12m耐寒性:普通耐暑性:強い花色:白 サカキの開花期は6〜8月で、花色は白。1cmほどの小さな5弁花がうつむくように咲くのが特徴です。開花後は4〜8mmの丸い緑色の果実がつき、11〜12月に黒く熟します。 サカキの葉は7cm前後の長い楕円形で、枝に互生につき、水平に広がります。常緑の葉は革質で厚く、濃い緑色で光沢があり、葉裏は淡い緑色です。 サカキは生け垣や日当たりの悪い場所にも NMTD MEDIA/Shutterstock.com サカキは萌芽力があって刈り込みによく耐えるので、生け垣や仕立てものなどにも利用できます。また、もともと山野の高木の足元などに自生してきたこともあり日陰に耐えるので、半日陰などにも植栽可能です。 サカキの名前の由来と花言葉 Agung Pebriana/Shutterstock.com サカキという名前の語源は、神と人との境を表す木である「境木(さかき)」の意からという説が一般的です。また、常緑樹で葉が一年中青々と栄えていることから「栄える木」が転じてサカキとなったという説もあります。もともとは、神に捧げる常緑樹全般を「サカキ」と呼んでいましたが、次第に特定の植物を指すようになり、現在のサカキが「サカキ」の名前を得たとされています。 サカキの花言葉は「神聖」「調和」「不変」「神を尊ぶ」「控えめな美点」などです。 神聖な存在としてのサカキ Rammy_Rammy/Shutterstock.com サカキは漢字では「榊」。「木へん」に「神」と書き、前述のとおり神にまつわる神聖な木として古くから大切にされてきました。艶やかな葉のついたサカキの枝を「玉串」として供えるなど神道の儀式には欠かせません。神棚にも「榊立て」という専用の花器があり、自宅でお供えをされている方も多いのではないでしょうか。冬も枯れることなく、一年中変わらずに青々とした姿を保つ常緑樹であることから、神事に多く使われるようになりました。 サカキとヒサカキの違い ヒサカキ。tamu1500/Shutterstock.com 一般に「榊」と呼ばれる植物には、主にサカキ(ホンサカキ、マサカキ)とヒサカキがあります。 ヒサカキはサカキ科ヒサカキ属の常緑樹で、サカキと同様に縁起のよい木とされ、神に供えるサカキとして利用できますが、ヒサカキは仏事にも利用されます。サカキよりも耐寒性があることから、庭木としてはヒサカキのほうがよく利用され、サカキの少ない関東地方以北ではヒサカキをサカキと称し、サカキの代用とすることも多いです。ヒサカキという名前の由来には諸説ありますが、サカキよりも小ぶりなことから小型のサカキを意味する「姫サカキ」に由来するという説と、サカキに似るがサカキではないことから「非サカキ」に由来するという説がよく知られています。 サカキとヒサカキにはいくつかの違いがあり、サカキの葉は長さ7~10cmなのに対し、ヒサカキの葉は3~7cmと少し小さいのが特徴。また、サカキの葉は縁が滑らかなのに対し、ヒサカキの葉は縁に細かなギザギザとした鋸歯があります。ヒサカキのほうが枝葉が密生して茂るため、生け垣などに利用しやすいです。ほかに、ヒサカキのほうが花付き・実付きがよい、サカキの実には長い柄があり、ヒサカキの実にはないなどという違いもあります。 サカキの代表的な種類 Karinisme/Shutterstock.com ノコギリバサカキ 名前のとおり、葉の縁にギザギザとした鋸歯があるのが特徴です。 フクリンサカキ 葉に白やクリーム色の斑が入る品種。主に葉の縁に覆輪状に斑が入りますが、不規則に入ることもよくあります。軽やかな雰囲気で洋風の庭にもよく似合います。葉に模様が入る品種はいくつかあり、フイリサカキとも呼ばれます。 庭でサカキを育ててはいけないと言われる理由 Spndpatty/Shutterstock.com 「サカキは庭に植えてはいけない」と言われることがあります。これは迷信で、庭に植えても問題ないのですが、ここではサカキを庭に植えてはいけないとされる理由を探っていきます。 身分が高い人が植える木だったため サカキは、神様のいる世界と人間が住む世界の境界線にある木という意味があり、神が宿る「依り代」の神木としても尊く扱われてきました。そのため昔は位の高い貴族の邸宅に植えられており、庶民の家にはふさわしくないとされていたとか。その言い伝えが残り、サカキを庭に植えてはいけないと広まったとされています。 害虫がつきやすいため サカキはチャドクガの幼虫に食害されやすい植物です。チャドクガは毒を持ち、毛に触れるとかぶれるため避けられることも理由の一つのようです。またカイガラムシやコガネムシなどがつきやすいことでも知られています。 サカキは縁起がよくない? サカキは神事などでお供えされる神聖な植物なので、縁起のよい植物です。庭に植栽すれば土地を清め、室内で育てれば悪い気を払ってくれるとも考えられています。ただし、神社の庭などによく植えられる神聖な木であることから、世俗な場所である家庭の庭に植えることを遠慮することもあり、そのため「縁起が悪い」とする説もあります。常緑で一年を通してみずみずしい葉を保つ美しい木なので、栽培するのに問題はありません。 風水的にサカキを植えるとよい場所や方角 サカキは邪気を払うとされ、玄関や寝室に近い場所に植えるのがおすすめ。外から悪い運気を家の中に持ち込ませないこと、人の出入りが多く邪気が溜まりやすいことが玄関に向く理由です。地域によっては清浄な場所に植えることがよいとされ、鬼門や裏鬼門は避けたほうがよいとする場合もあります。 サカキの栽培12カ月カレンダー 開花時期:6〜8月植え付け・植え替え:3月中旬〜4月、9月中旬〜10月上旬肥料:2月頃剪定:6~9月、10月(生け垣)種まき:12月頃 サカキの栽培環境 Aryan Tomar/Shutterstock.com 日当たり・置き場所 【日当たり/屋外】日当たりのよい場所から日陰まで、あまり場所を選ばずに栽培できますが。日照が不足すると枝葉が間延びしやすく、日差しが強すぎると葉色がきれいになりにくい傾向があります。日陰の場合はなるべく明るい場所を選び、日なたの場合は西日の当たらない場所に植えるとよいでしょう。 【日当たり/屋内】屋外での栽培が基本です。 【置き場所】水はけがよく腐植質に富んだふかふかとした土壌を好みます。西日が強く照りつける場所は避けたほうが無難です。 耐寒性・耐暑性 暑さには強く、夏越し対策は特に必要ありません。耐寒性もある程度ありますが、栽培適地は関東以西。寒風が吹き付ける場所は避け、マイナス5℃未満になる地域では鉢植えにして冬は取り込むなど防寒対策をするとよいでしょう。 サカキの育て方のポイント 用土 Wstockstudio/Shutterstock.com 【地植え】 植え付けの2〜3週間前に、直径・深さともに50cm程度の穴を掘ります。掘り上げた土に腐葉土や堆肥、緩効性肥料などをよく混ぜ込んで、再び戻しておきましょう。土づくりをした後にしばらく時間をおくことで、分解が進んで土が熟成し、植え付け後の根張りがよくなります。 【鉢植え】 市販の樹木用の培養土を利用すると手軽です。 水やり Afanasiev Andrii/Shutterstock.com 水やりの際は、株が蒸れるのを防ぐために茎葉全体にかけるのではなく、株元の土を狙って与えてください。 真夏は、気温が高い昼間に行うと、すぐに水の温度が上がってぬるま湯のようになり、株が弱ってしまうので、朝か夕方の涼しい時間帯に行うことが大切です。 また、真冬は、気温が低くなる夕方に与えると凍結の原因になってしまうので、十分に気温が上がった日中に与えるようにしましょう。 【地植え】 根付いた後は、下から水が上がってくるのでほとんど不要です。ただし、雨が降らない日が続いて乾燥するようなら水やりをして補います。 【鉢植え】 日頃の水やりを忘れずに管理します。ただし、いつもジメジメとした状態にしておくと、根腐れの原因になってしまいます。土の表面が乾いたら、鉢底から水が流れ出すまで、たっぷりと与えましょう。枝葉がしおれそうにだらんと下がっていたら、水を欲しがっているサイン。植物が発するメッセージを逃さずに、きちんとキャッチしてあげることが、枯らさないポイントです。 肥料 New Africa/Shutterstock.com 【地植え・鉢植えともに】 生育期に入る少し前の2月頃、生育を促すために緩効性化成肥料を株の周囲にまき、周囲の土を軽く耕して土に馴染ませましょう。あまり肥料を多く与えると枝葉が茂りすぎて樹形が乱れやすくなるので、与えすぎには注意してください。 注意する病害虫 traction/Shutterstock.com サカキの栽培で発生しやすい病害虫についてご紹介していきます。特にカイガラムシが発生するとすす病を招きやすいので、注意が必要です。 【病気】 サカキに発生しやすい病気は、炭疽病やすす病などです。 炭疽病は、春や秋の長雨の頃に発生しやすい、カビが原因の伝染性の病気です。葉に円形の褐色の斑点ができるのが特徴で、その後葉に穴があき始め、やがて枯れ込んでいくので早期に対処することが大切です。斑点の部分に胞子ができ、雨の跳ね返りなどで周囲に蔓延していくので、被害を見つけたらすぐに除去して土ごと処分しておきましょう。密植すると発病しやすくなるので、茂りすぎたら葉を間引いて風通しよく管理します。水やり時に株全体に水をかけると、泥の跳ね返りをきっかけに発症しやすくなるので、株元の表土を狙って与えるようにしましょう。 すす病は、一年を通して葉や枝などに発生する病気です。葉に発生すると表面につやがなくなり、病状が進むと黒いすすが全体を覆って見た目が悪いだけでなく、葉に広がると光合成がうまくできなくなり、樹勢が衰えてしまいます。カイガラムシ、アブラムシ、コナジラミの排泄物が原因となるので、これらの害虫を寄せ付けないようにしましょう。込み合っている枝葉があれば、剪定して日当たり、風通しをよくして管理します。 【害虫】 サカキに発生しやすい害虫は、カイガラムシやチャドクガなどです。 カイガラムシは、ほとんどの庭木に発生しやすい害虫で、体長は2〜10mmほど。枝や幹などについて吸汁し、だんだんと木を弱らせていきます。また、カイガラムシの排泄物にすす病が発生して二次被害が起きることもあるので注意。硬い殻に覆われ、薬剤の効果があまり期待できないので、ハブラシなどでこすり落として駆除するとよいでしょう。 チャドクガは蛾の幼虫で、多数の細かい毛に覆われた毛虫です。体長は20〜30mmくらいで、ツバキ科の植物によく発生します。葉裏などに幼虫が大発生することがあり、見た目もよくないので見つけ次第駆除しましょう。チャドクガは毒を持ち、毛に触れるとかぶれて皮膚炎を起こすので、駆除の際には注意が必要です。毛が皮膚につかないように長袖、長ズボン、手袋を着用して作業し、枝ごと切ってビニール袋に入れて処分してください。 サカキの詳しい育て方 選び方 Md. Nadir Hasan/Shutterstock.com がっしりと締まって勢いがある苗木を選びましょう。枝がヒョロヒョロと間のびしているものや葉色が冴えないもの、虫食い痕のあるものは避けたほうが無難です。 植え付け wavebreakmedia/Shutterstock.com 榊の植え付け・植え替えの適期は、3月中旬〜4月か、9月中旬〜10月上旬です。 植え付け適期以外にも苗木は出回っているので、花苗店などで入手したら早めに植え付けるとよいでしょう。ただし、真夏と真冬は避けたほうが無難です。 【地植え】 土づくりをしておいた場所に、苗の根鉢よりも一回り大きな穴を掘り、根鉢を軽く崩して植え付けます。最後にたっぷりと水を与えましょう。 地植えで育てる場合は、環境に合えば植え替える必要はありません。 【鉢植え】 入手した苗よりも1〜2回り大きな鉢を準備します。鉢の底穴に鉢底ネットを敷き、軽石を1〜2段分入れてから樹木用の培養土を半分くらいまで入れましょう。苗木を鉢の中に入れて仮置きし、高さを決めたら、少しずつ土を入れて、植え付けていきましょう。水やりの際にすぐあふれ出すことのないように、土の量は鉢縁から2〜3cm下を目安にし、ウォータースペースを取っておいてください。土が鉢内までしっかり行き渡るように、割りばしなどでつつきながら培養土を足していきます。最後に、鉢底から流れ出すまで、十分に水を与えましょう。 鉢植えで楽しんでいる場合、成長とともに根詰まりして株の勢いが衰えてくるので、1〜2年に1度は植え替えることが大切です。植え替え前に水やりを控えて土が乾いた状態で行うと、作業がしやすくなります。鉢から株を取り出してみて、根が詰まっていたら、根鉢を崩して古い根などを切り取りましょう。根鉢を1/2〜1/3くらいまで小さくして、元の鉢に新しい培養土を使って植え直します。もっと大きく育てたい場合は、元の鉢よりも大きな鉢を準備し、軽く根鉢をくずす程度にして植え替えてください。 剪定 mihalec/Shutterstock.com 【自然樹形を生かした剪定の場合】 自然樹形を生かして剪定する場合は、真冬と真夏を除けばいつ行ってもかまいません。花や実を楽しみたい場合は、芽吹く前の3月頃に行うとよいでしょう。 サカキは自然に樹形が整うので、若木のうちはあまり刈り込んだり強く切り戻したりする必要はありません。木が大きくなって枝葉が込み合っている部分があれば、不要な枝を枝の付け根で切り取って風通しをよくします。不要な枝とは、古くなった枝、勢いよく伸びすぎている枝、ほかの枝に絡んでいる枝、内側に向かって伸びる枝、下に向かって伸びる枝、ひこばえ(株元から勢いよく伸びる枝)などです。 【生け垣を刈り込む場合】 生け垣にしている場合、形が乱れやすくなるので、年に2回ほど刈り込みます。適期は6月と9〜10月です。刈り込む際は、だいたいのアウトラインを決めて、はみ出している枝を刈り込みバサミで切り揃えていくとよいでしょう。 増やし方 サカキは挿し木、種まきで増やすことができます。 【挿し木】 挿し木とは、枝を切り取って土に挿しておくと発根して生育を始める性質を生かして増やす方法です。植物の中には挿し木ができないものがありますが、サカキは挿し木で増やすことができます。 サカキの挿し木の適期は、6月下旬〜7月上旬です。その年に伸びた新しい枝を10〜15cmほどの長さで切り取ります。採取した枝(挿し穂)は、水を張った容器に1時間ほどつけて水あげしておきましょう。その後、吸い上げと蒸散のバランスを取るために下葉を数枚切り取ります。3号くらいの鉢を用意してゴロ土を入れ、新しい培養土を入れて十分に湿らせておきます。培養土に穴をあけ、穴に挿し穂を挿して土を押さえてください。発根するまでは明るい日陰に置いて乾燥させないように管理します。ポットに根が回るまでに成長したら、少し大きな鉢に植え替え、成長とともに鉢増ししながら管理し、苗木として十分な大きさに育ったら、植えたい場所に定植しましょう。挿し木のメリットは、親株とまったく同じ性質を持ったクローンになることです。 【種まき】 サカキは12月頃に果実が熟します。果実を採取して2mmほどの小さな種を果肉の中から取り出し、流水できれいに洗い流してそのまま種まきしましょう。 黒ポットに新しい培養土を入れて十分に湿らせ、種子を数粒播いて軽く土をかぶせたら、明るい日陰で管理します。カラカラに乾燥しないように水の管理に注意し、発芽後は日当たりのよい場所に置きましょう。本葉が2〜3枚ついたら勢いのある苗を1本のみ残し、ほかは間引いて育苗します。ポットに根が回るまでに成長したら、少し大きな鉢に植え替えて鉢増ししながら育成し、苗木として十分な大きさに育ったら植えたい場所に定植しましょう。 サカキの育て方や特徴を知り庭木として楽しもう Honki Kumanyan/Shutterstock.com 神事に用いられるイメージが強いサカキですが、常緑で冬もみずみずしい姿を保ち、日陰にも強いので、生け垣や庭木としても魅力ある樹木です。邪気を払う神聖なサカキを、ぜひ庭に植栽してみてください。
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花と緑

「都道府県の花」3択クイズ! 岩手県の花は次のうちどれ?【Let’s Try! 植物クイズ】Vol.27
魅力あふれる歴史と自然に彩られた岩手県 「岩手県の花」は次の3つのどれ? yspbqh14/Shutterstock.com 世界遺産に登録された平泉や、渓谷美が楽しめる厳美渓、透明度の高い地底湖で名高い龍泉洞などの美しい景勝地があり、また宮沢賢治の故郷としても知られる岩手県。南部鉄器などの伝統工芸品も有名で、わんこそばや盛岡冷麺などのご当地グルメも多彩と、自然から文化まで幅広い魅力があり、訪れる人を魅了する人気の都道府県です。 そんな岩手県を象徴する「木」はナンブアカマツ、「鳥」はキジ、「魚」は南部さけ。それでは、岩手県の花は、次のA~Cのどれでしょう? A ハナショウブ yspbqh14/Shutterstock.com B キリ Dina Rogatnykh/Shutterstock.com C リンドウ yoshi0511/Shutterstock.com ヒント 初夏に香りのある花を咲かせ、格式高い家紋の植物としても知られています。 正解は… ↓ ↓ ↓ ↓ Bキリ Dina Rogatnykh/Shutterstock.com キリの基本データ 学名:Paulownia tomentosa科名:キリ科属名:キリ属原産地:中国中部和名:キリ(桐)別名:キリノキ、ハナギリなど英名:princess tree、empress tree、foxglove-treeなど開花期:4~6月花色:紫形態:落葉性高木樹高:8~15m 古くから庭木として植栽されてきたキリ。日本の樹木では最も軽く、柔らかい材質で知られ、成長が早くて材に狂いが少ない、断熱性や調湿性に優れるという特徴から、タンスや下駄などさまざまな用途に利用されてきました。また「桐紋」は「菊紋」と並んで皇室紋として利用される格式ある家紋で、日本政府の紋章にも採用され、500円硬貨の模様にも使われています。岩手県産のキリは「南部の紫桐」と呼ばれ、品質の高さに定評があり、昭和30年に公募により県の花として決定されました。 キリの開花期は4~6月で、淡い紫色の釣鐘形の花が房状になり新葉の展開に先立つかほぼ同時に開花を始めます。大きな葉もあり、高い位置で開花するため観賞しにくいですが、満開時には全体が薄紫に染まるような美しい景色になります。 Zoran zoo-vrt /Shutterstock.com キリは成長が早く、キリという名前も、切ってもすぐに芽を出すことから「切る」に由来するというのが定説。15~25年で成木となることから、江戸時代頃には女の子が生まれたらキリを植えて、結婚するときにはその木で箪笥を作って持たせるという風習もありました。 大木になるのが早いことから、近年は庭木として使われることはあまりありませんが、広い公園など公共空間の緑化に利用されることがあります。 tamu1500 /Shutterstock.com クイズ一覧はこちら!
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樹木

クリスマス&お正月にぴったり! 日陰に福をためる、スキミアの寄せ植えと花壇
スキミアが“福をためる”理由とは? スキミアが縁起のよい植物として親しまれる理由は、植物としての生育特徴にあります。 1 冬に赤いつぼみを宿すこと スキミアは、秋から冬にかけて赤いつぼみ(または実)をつけ、そのまま寒い季節を越します。赤は日本の暮らしの中で、厄を遠ざけ、生命力を象徴する色。ナンテン(南天)やセンリョウ(千両)などと同じく、冬に赤を宿す植物は、古くから縁起木として親しまれてきました。 2 すぐに咲かず、春まで力をためること スキミアのつぼみは、冬の間に一気に開花することはありません。寒さの中でじっと力を蓄え、春になってから、ようやく小さな花房となって開花します。この「待つ時間」こそが、「福をためる」「運気が熟す」と重ねられてきた理由です。 赤いつぼみは春に白い花となってふんわり咲く。Victoria Sharratt/Shutterstock.com 3 常緑で、姿を大きく変えないこと 一年を通して葉を落とさず、急激に成長しないスキミアは、庭の中で常に安定した存在。家運安定や、変わらぬ日常を象徴する植物としても、縁起を彷彿とさせるのです。 スキミアの基本情報と園芸的なメリット スキミアは、見た目の可憐さに反して、とても実用的な低木です。 分類:ミカン科スキミア属 樹形:常緑低木 樹高:30〜80cm(品種・環境による) 生育スピード:年間5〜10cmと非常にゆっくり 日照:半日陰〜明るい日陰を好む 耐寒性:強い(寒冷地でも冬越ししやすい) 管理:剪定ほぼ不要、病害虫も少なめ ゆっくり育って、ローメンテナンス スキミアは生育が非常に緩やかな低木で、年間5〜10cm程度しか大きくなりません。つまり、植えた姿がほぼそのまま、何年も維持され、剪定は基本的に必要ありません。「気づいたら大きくなりすぎていた」という失敗が起こりにくく、忙しい方や、手が届きにくい花壇の奥には理想的です。 日陰の花壇「後方」を支える優秀な背景植物 花壇の後方は、日照が少なく、手入れに入りにくいため、空間が間延びしがちという難点があります。スキミアは日陰適性が高く、常緑で大きくなりすぎないので、「動かない緑の背景」として最適。前景の草花が入れ替わっても、奥の景色は崩れません。 寄せ植え → 地面へ。ずっと使えるサステナブルな庭づくり 日陰になりがちな庭のエリアにスキミアの彩りを。 スキミアの大きな魅力は、寄せ植えで楽しんだあと、地面に下ろして“庭の一部”としても使い続けられること。 冬:寄せ植えで季節演出 春以降:花後に花壇へ定植 翌年以降:常緑低木として背景づくりに活躍 というように、ワンシーズンで終わらず買い替え不要なので、コスパがよく、サステナブル。“消費する寄せ植え”ではなく、「育て続ける庭づくり」に自然につながります。 病害虫の心配いらず スキミアの葉は厚くて硬めで、香り成分を含むミカン科植物なので、虫にとっては「おいしくない」植物。また、生育が遅く柔らかい新芽も少ないので、他の昆虫もつきにくいのです。極端な過湿や蒸れがない限り、病気になることもほとんどなく、薬剤に頼らず育てられます。 冬の庭に福を招く。スキミアの寄せ植え&花壇 実例5選 冬の庭やアプローチは、どうしても緑の量感が少なく寂しくなりがちです。そんな中で常緑低木のスキミアは、艶やかな緑の葉と赤いつぼみで景色と気持ちの両方を明るくしてくれる存在です。ここでは鉢植え・寄せ植え・花壇での具体的な使い方を実例で紹介します。 実例1|赤を主役にしたクリスマスの寄せ植え スキミアを深みのある赤いパンジーやシクラメン、チェッカーベリーと組み合わせた、華やかな冬の寄せ植え。どの植物も春まで長もちするため、クリスマスシーズンはもちろん、お正月を越しても安定感があります。春になるとスキミアが花を開き、やさしいピンク色の花房が寄せ植えの間をふわふわと埋めてくれます。 冬の装飾として完成度が高い 赤=厄除けの意味合いを演出 花が少ない時期でも「間」が持つ 実例2|落ち着いた色合わせで和洋どちらにも馴染む寄せ植え スキミアの魅力は主張しすぎない端正さ。肉厚でツヤのある葉と、小さく密なつぼみの姿は、和にも洋にも馴染んでくれます。ですから、組み合わせる植物次第で和洋どちらの表情でも引き出せるのもスキミアならでは。この寄せ植えではパープル系のビオラやマツと合わせることで、洋風の中にもほのかな和の空気を添えています。クリスマスから、そのまま迎春用のしつらえとしても重宝する寄せ植えです。 正月飾りを添えても違和感なし 行事が終わっても、そのまま育て続けられる 実例3|白花と合わせて日陰を明るく 左は冬の赤いつぼみ。右は春の開花姿。 日陰に強いスキミアは、庭の北側や壁際を彩るのに最適。暗くなりがちな箇所なので、イベリスやパンジーなど白い花を合わせると空間が明るくなり、さらにスキミアとの紅白コントラストでパッと華やかに。庭の隅々まで福を運んでくれそうです。 日陰でも色が沈まない 冬でも清潔感のある印象 春の開花期へと自然につながる構成 実例4|スキミアを背景にした1マス花壇 小さな植栽スペースでも、生育がゆっくりなスキミアは心強い存在です。常緑のスキミアを後方に配し、つぼみと同系色の宿根草のヒューケラと組み合わせて、庭の骨格を構成。その間に季節の一年草で彩りを添えることで、四季を通して表情の変化を楽しめます。壁や構造物を背景にした門袖前など、日陰になりやすく、メンテナンスに入りにくい場所にもおすすめの植栽例です。 小スペースで背景骨格として活躍 前景に一年草で季節感 実例5|寄せ植えから花壇へ。サステナブルな使い方 冬の寄せ植えで楽しんだスキミアは、春以降に花壇や庭の地植えでも再利用できます。一度きりで終わらず、庭の重要な構成要素として定住させられるのも大きな魅力。日陰になりがちでなかなか植物が育たない箇所や、手入れのしにくい花壇の後方でスキミアは大活躍。常緑でゆっくり育ってくれるので、ほとんど手入れの必要がありません。 庭の北側でもスキミアが活躍。クリスマスローズとも相性抜群。 毎年買い替えない=コスパがよい 植え替えの失敗が少ない 環境にもやさしい庭づくりにつながる スキミアを長く楽しむためのQ&A Debu55y/Shutterstock.com Q1|水やりはどのくらい必要ですか? A|乾きすぎないように、でも与えすぎないほうに気をつけて。 鉢植えの場合は、表土が乾いたらたっぷりが基本。冬は生育がゆっくりなので、水やりの頻度も自然と少なめになります。地植えでは、根づいてしまえば特別な水やりは基本的に不要。極端に雨が少ない時期だけ、様子を見て補います。生育が非常にゆっくりで、日陰がちな場所に植えられているため、乾きよりも湿った状態が長く続くことのほうが不調につながりやすいです。常に湿った状態にならないよう、水のやりすぎには注意しましょう。 Q2|日当たりはどこが適していますか? A|半日陰〜明るい日陰が最適です。 直射日光が強すぎる場所では、葉焼けや乾燥の原因になることがあります。 建物の北側 門袖前 落葉樹の下 など、夏は日陰、冬はやわらかい光が入る場所が理想的です。 Q3|花が終わったあとは、どうすればいい? A|基本的に切らなくてOK。気になる場合だけ花がらを整理します。 春に咲いた花が終わったあと、そのままにしていても生育には大きな問題はありません。見た目が気になる場合は、花房の付け根から軽く切り取る程度で十分です。枝元から切るような強剪定は不要で、むしろ切りすぎないほうが自然な樹形を保てます。 Q4|肥料は必要ですか? A|与えすぎないことが大切。控えめで十分です。 スキミアはもともと生育がゆっくりな植物。肥料を多く与えると、かえってバランスを崩すことがあります。 鉢植え:春に緩効性肥料を少量 地植え:基本的に不要(生育が悪い場合のみ少量) 「育てようとしすぎない」のが、上手に育てるコツです。 Q|ミカン科ですが、アゲハの幼虫はつきませんか? A|ほとんど心配はいりません。 スキミアはミカン科の植物ですが、アゲハチョウが好んで産卵するミカン属(レモンやユズ、キンカンなど)とは異なるスキミア属です。また、葉が厚く硬く、香り成分も強いため、アゲハの幼虫にとっては食べにくい植物です。 そのため、園芸の現場ではスキミアにアゲハの幼虫がついたという例は非常に少なく、基本的には特別な対策をする必要はありません。虫が苦手な方でも、安心して庭や鉢植えに取り入れられる植物といえるでしょう。
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正月飾りにも使われるヒメユズリハとは? ユズリハとの見分け方・ユズリハとの違い・縁起の理由・育て方まで完全ガイド
ヒメユズリハの基本情報 smtd4/Shutterstock.com 植物名:ヒメユズリハ学名:Daphniphyllum teijsmannii英名:False daphne和名:ヒメユズリハ(姫譲葉、姫楪)その他の名前:オヤコグサ(親子草)科名:ユズリハ科属名:ユズリハ属原産地:日本(本州中南部、四国、九州、沖縄)~台湾形態:常緑性高木 ヒメユズリハの学名はDaphniphyllum teijsmanniiです。ユズリハ科ユズリハ属の常緑高木で、冬もみずみずしい葉姿を保ちます。原産地は主に日本、台湾。国内では本州中南部、四国、九州、沖縄に分布し、温暖な気候を好みます。放任してもよく育ち、街路樹や公園などにもよく植栽されています。 ヒメユズリハの花や葉の特徴 High Mountain/Shutterstock.com 園芸分類:庭木開花時期:5〜6月 樹高:3〜10m 耐寒性:やや弱い 耐暑性:強い ヒメユズリハの自然樹高は約10mにも達する高木ですが、毎年の剪定によってほどよい樹高にコントロールすることが可能です。開花期は5〜6月で、雌雄異株で雄木に雄花が、雌木に雌花が咲きます。前年に伸びた枝の葉の付け根に開花しますが、雄花も雌花も花弁がないため花らしくはなくあまり目立ちません。枝先にまとまってつく葉は6~12cmほどで互生し、ユズリハのようには垂れ下がらないため、より爽やかな雰囲気です。花後に楕円形の果実がつき、晩秋になると黒紫色に熟します。果実には毒が含まれるので、間違っても口にしないように注意しましょう。 smtd4/Shutterstock.com ヒメユズリハはシンボルツリーに人気! 【人気の理由➀】常緑で縁起がよいのでシンボルツリーや記念樹に向く scott mirror/Shutterstock.com ユズリハやヒメユズリハは新葉が揃うと古い葉が落ちていくことから、親が成長した子どもに跡を譲る姿にたとえられ、家が絶え間なく続くことを象徴する縁起のよい植物とされており、古くから庭木として好まれてきました。また一年を通してみずみずしい葉を保つエバーグリーンで、生育がゆっくりで管理もしやすいため、その家の顔としてのシンボルツリーや人通りが多い場所からの目隠し用として利用されています。 【人気の理由➁】正月飾りにも利用されている yoshi0511/Shutterstock.com 特に西日本では、ヒメユズリハはユズリハの代用として正月飾りのしめ飾りや鏡餅に添えるほか、神事や豊作祈願などに利用されてきました。そのため縁起のよい植物として庭に植栽されていることが多いようです。 ヒメユズリハの名前の由来と花言葉 HoyaEuny/Shutterstock.com ヒメユズリハは漢字で「姫譲葉」または「姫楪」と書き、ユズリハ(譲葉、楪)よりも葉が小さいことに由来します。ユズリハという名前は、春に新葉が出ると、前年の古い葉が落葉して生え替わり、場を譲るように見えることから名付けられました。 ヒメユズリハの花言葉は「新生」「若返り」「世代交代」で、古い葉と新しい葉の世代交代がはっきりと分かりやすいことが由来となっているようです。また、1月3日の誕生樹とされています。 ヒメユズリハとユズリハの違い ユズリハ。Hank Asia/Shutterstock.com ヒメユズリハとユズリハはユズリハ科ユズリハ属の常緑高木の仲間で、よく似ていますが、葉姿などに違いがあります。ヒメユズリハはユズリハよりも葉が小さく、ユズリハの葉が長さ10~20cm、幅3~7cmなのに対し、ヒメユズリハの葉は長さ6~12cm、幅 3~5cm。ユズリハは葉裏が粉を吹いたように青白いのに対し、ヒメユズリハは黄緑色という違いもあります。また、ユズリハの葉は垂れ下がるようにつくのに対し、ヒメユズリハは垂れ下がらないのも特徴です。 ヒメユズリハの代表的な種類と仲間 tamu1500/Shutterstock.com ここでは、ヒメユズリハの仲間や園芸品種についてご紹介します。 ユズリハ Hank Asia/Shutterstock.com ヒメユズリハはユズリハの仲間です。ユズリハは葉が大きめで垂れ下がり、枝の出方も大ぶりで、ヒメユズリハよりもやや野性みのある印象になります。 エゾユズリハ iPlantsman/Shutterstock.com エゾユズリハは北海道や東北、北陸などに分布しており、寒さに強い性質をもっています。雪の重みに耐えるために横に広がるように伸び、高さ1~3mほどにまとまるのが特徴です。「エゾ」は漢字で「蝦夷」とかき、北海道に由来する名前がつきました。 スルガヒメユズリハ 昔は静岡県付近を「駿河」と呼び、この地域で多く見られることから「スルガ」の名がつきました。葉の厚みが薄く、果実がやや垂れ下がるのが特徴です。 斑入りヒメユズリハ 葉に白やクリーム色の斑が入る園芸品種で、流通量はあまり多くありません。ヒメユズリハより生育スピードが緩やかで、まとまりやすいのが特徴です。 ヒメユズリハの栽培12カ月カレンダー 開花時期:5〜6月植え付け・植え替え適期:3〜5月、9~10月肥料:2〜3月剪定:6月下旬〜7月中旬、11月中旬〜12月種まき:3〜4月 ヒメユズリハの栽培環境 traction/Shutterstock.com 日当たり・置き場所 【日当たり/屋外】日当たり・風通しのよい場所が最適です。半日陰の場所でも生育しますが、あまりに暗い場所では間のびしやすく、生育が悪くなります。 【日当たり/屋内】屋外での栽培が基本です。 【置き場所】やや水もちがよく、腐植質に富んだふかふかとした土壌を好みます。 耐寒性・耐暑性 ヒメユズリハは寒さにはやや弱く、耐寒温度は0~マイナス3℃前後とされているため、栽培適地は中部地方以西の暖地です。関東以北では、ユズリハやエゾユズリハなどより耐寒性のある種類を選ぶとよいでしょう。耐暑性はあるため、夏越し対策は特に必要ありません。 ヒメユズリハの育て方のポイント 用土 funnyangel/Shutterstock.com 【地植え】 植え付けの2〜3週間前に、直径・深さともに50cm程度の穴を掘りましょう。掘り上げた土に腐葉土、堆肥、緩効性肥料などをよく混ぜ込んで、再び植え穴に戻しておきます。土づくりをした後にしばらく時間をおくことで、分解が進んで土が熟成し、植え付け後の根張りがよくなります。 【鉢植え】 樹木用にブレンドされた、市販の培養土を利用すると手軽です。 水やり topseller/Shutterstock.com 水やりの際は、木の幹や枝葉全体にかけるのではなく、株元の土を狙って与えてください。真夏は気温が高い昼間に水やりすると、水がすぐにぬるま湯になって木が弱ってしまうので、朝か夕方の涼しい時間帯に与えることが大切です。反対に、真冬は気温が十分に上がった日中に行います。夕方に水やりすると凍結の原因になるので避けてください。 【地植え】 植え付け後にしっかり根づいて枝葉をぐんぐん伸ばすようになるまでは、乾いたら水やりをしましょう。根づいた後は、地植えの場合は下から水が上がってくるので、ほとんど不要です。ただし、晴天が続いてひどく乾燥する場合は水やりをして補いましょう。 【鉢植え】 日頃から水やりを忘れずに管理します。土の表面が乾いたら、鉢底から水が流れ出すまで、たっぷりと与えましょう。また、枝葉がややだらんと下がっていたら、水を欲しがっているサインです。植物が発するメッセージを逃さずに、きちんとキャッチしてあげることが、枯らさないポイント。特に真夏は高温によって乾燥しやすくなるため、必要に応じて朝夕2回の水やりを行います。冬は生育が止まり、表土も乾きにくくなるので控えめに与えるとよいでしょう。 肥料 New Africa/Shutterstock.com 【地植え・鉢植えともに】 2〜3月に緩効性肥料を与え、土によくなじませましょう。生育期を迎える前に肥料を与えることで、新芽を出すエネルギーとなり旺盛に枝葉を広げることにつながります。 注意する病害虫 Decha Thapanya/Shutterstock.com 【病気】 ヒメユズリハは病気の心配はほとんどありませんが、まれに褐斑病やすす病が発生することがあります。 褐斑病は、カビによる伝染性の病気で、主に葉に褐色またはくすんだ茶色の斑点が現れ、下葉から枯れ上がっていきます。雨が多い時期に発生しやすいのが特徴です。病葉を見つけたらすぐに切り取って処分し、周囲に蔓延するのを防ぎましょう。適用のある薬剤を葉の表と裏に散布して防除します。 すす病は、一年を通して葉や枝などに発生する病気です。葉に発生すると表面につやがなくなり、病状が進むと黒いすすが全体を覆って見た目がよくないだけでなく、葉に広がると光合成がうまくできなくなり、樹勢が衰えてしまいます。カイガラムシ、アブラムシ、コナジラミの排泄物が原因となるので、これらの害虫を寄せ付けないようにしましょう。枝葉が込み合っていれば、剪定して日当たり、風通しをよくして管理します。 【害虫】 ヒメユズリハに発生しやすい害虫は、カイガラムシやカミキリムシなどです。 カイガラムシは、ほとんどの庭木に発生しやすい害虫で、体長は2〜10㎜ほど。枝や幹などについて吸汁し、だんだんと木を弱らせていきます。また、カイガラムシの排泄物にすす病が発生して二次被害が起きることもあるので注意。硬い殻に覆われて薬剤の効果があまり期待できないので、ハブラシなどでこすり落として駆除するとよいでしょう。 カミキリムシは、主に夏から秋に発生しやすくなります。カミキリムシの幼虫が幹に穴をあけて中に侵入し、木質部を旺盛に食い荒らすので注意。被害が進むと木が弱るうえ、中が空洞化して枯れてしまうこともあります。成虫が飛来して卵を産み付けるので、成虫や卵は見つけ次第補殺しましょう。また、木の株元などにおがくず状のフンを見つけたら、木の内部で活動していると推測できます。おがくずが出ている穴があれば、穴に細長いノズルを差し込むタイプの薬剤を散布するなどして駆除してください。 ヒメユズリハの詳しい育て方 植え付け・植え替え wavebreakmedia/Shutterstock.com ヒメユズリハの植え付け・植え替えの適期は3~5月、9~10月の春と秋です。 【地植え】 土づくりをしておいた場所に、苗木の根鉢よりも1回り大きな穴を掘り、軽く根鉢をほぐして植え付けます。最後にたっぷりと水を与えましょう。 栽培適地で地植えした場合、健全に育っていれば植え替える必要はありません。 【鉢植え】 入手した苗よりも1〜2回り大きな鉢を準備します。底穴に鉢底ネットを敷き、軽石を1〜2段分入れてから樹木用の培養土を半分くらいまで入れましょう。軽く根鉢をくずし、鉢の中に入れて仮置きして高さを決めたら、少しずつ土を入れて植え付けます。水やりの際にすぐあふれ出すことのないように、土の量は鉢縁から2〜3㎝下を目安にし、ウォータースペースを取るとよいでしょう。土が鉢内までしっかり行き渡るように、割りばしなどでつつきながら培養土を足していきます。最後に、鉢底から流れ出すまで十分に水を与えます。 鉢植えで楽しんでいる場合、成長とともに根詰まりしてくるので、1〜2年に1度は植え替えましょう。植え替え前に水やりを控えて土が乾いた状態で行うと、作業がしやすくなります。鉢から木を取り出してみて、根が詰まっていたら、根鉢をくずして古い根などを切り取りましょう。根鉢を整理して小さくし、元の鉢に新しい培養土を使って植え直します。もっと大きく育てたい場合は、元の鉢よりも大きな鉢を準備し、軽く根鉢をくずす程度にして植え替えてください。 剪定 mihalec/Shutterstock.com 【地植え・鉢植えともに】 ヒメユズリハの剪定適期は6月下旬〜7月中旬頃、11月中旬〜12月頃です。 一般家庭では、樹高2〜3mまでにおさえる剪定を行うとよいでしょう。ヒメユズリハは比較的樹形が自然に整うので、それほど剪定には手がかりません。地際から出てくるひこばえは付け根から切り取り、枯れ枝や木の内側に向かって伸びている「逆さ枝」、垂直に立ち上がっている「立ち枝」、勢いよく長く伸びている「徒長枝」なども分岐部まで遡って切り取りましょう。また、込みあいすぎている部分があれば、日当たり、風通しがよくなるように、透かし剪定をします。 増やし方 Kunlanan Yarist/Shutterstock.com ヒメユズリハは、種まき、挿し木で増やすことができます。 【種まき】 ヒメユズリハは開花後に果実をつけ、11月頃に黒紫色に熟します。そのタイミングで果実を採取し、種子を取り出して流水でよく洗い流しておきましょう。さらに湿らせた砂と種子を混ぜて密閉袋に入れ、春まで冷暗所で保存しておきます。 ヒメユズリハの種まきの適期は3〜4月です。黒ポットに新しい培養土を入れて十分に水で湿らせます。晩秋に採取しておいた種子を密閉袋から取り出してきれいに洗い流し、黒ポットに数粒播きます。軽く土をかぶせ、明るい日陰で管理。発芽した後は日当たりのよい場所に置きましょう。本葉が2〜3枚ついたら勢いのある苗を1本のみ残し、ほかは間引いて育苗します。ポットに根が回るまでに成長したら、少し大きな鉢に植え替えて鉢増ししながら育成し、苗木として十分な大きさに育ったら、植えたい場所に定植しましょう。 【挿し木】 挿し木とは、枝を切り取って土に挿しておくと発根して生育を始める性質を生かして増やす方法です。植物のなかには挿し木ができないものもありますが、ヒメユズリハは挿し木で増やすことができます。 ヒメユズリハの挿し木の適期は、7月頃です。その年に伸びた新しくて勢いのある枝を10〜15㎝の長さで切り取ります。採取した枝(挿し穂)は、水を張った容器に1時間ほどつけて水あげしておきましょう。その後、吸い上げと蒸散のバランスを取るために下葉を数枚切り取ります。3号くらいの鉢を用意してゴロ土を入れ、新しい培養土を入れて水で十分に湿らせておきます。培養土に穴をあけ、穴に挿し穂を挿して土を押さえてください。発根するまでは明るい日陰に置いて管理します。その後は日当たりのよい場所に置いて育苗し、ポットに根が回るまでに成長したら、少し大きな鉢に植え替えて育てます。苗木として十分な大きさに育ったら、植えたい場所に定植しましょう。挿し木のメリットは、親株とまったく同じ性質を持ったクローンになることです。 ヒメユズリハは樹皮・葉の毒性に注意 Kazu Inoue/Shutterstock.com ヒメユズリハの樹皮や枝葉、果実には有毒成分が含まれているので、庭作業の際にはガーデングローブを着用するなど、取り扱いに注意しましょう。また、ペットや幼児が誤って口にすることがないように管理してください。 縁起がよくてお手入れも簡単! シンボルツリーとして育ててみよう High Mountain/Shutterstock.com ヒメユズリハは新芽が出揃うと古い葉を落とすことから、代替わりと家の繁栄を象徴する縁起植物として愛されてきました。お正月飾りにも重宝するので、シンボルツリーとして庭に植栽してはいかがでしょうか。
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冬のプチ贅沢 “おうち焚き火”入門|準備も片づけもラクラクな便利グッズ5選
庭先が“冬のプチ贅沢ラウンジ”に変わる、おうち焚き火の魅力 ぱちぱちと薪のはぜる音とオレンジ色のゆらぎだけに意識を預けるひとときは、スマホから少し離れて「何もしない贅沢」を味わえる、冬ならではのプチご褒美。 しかも舞台は、遠くのキャンプ場ではなく自分の庭やデッキ。朝は焚き火を囲んで温かいスープやコーヒーと一緒に朝食を、昼は子どもとマシュマロを焼きながら外遊びを、日が傾く時間には読書やおしゃべりを楽しむなど、一日を通して自由なタイミングで火を楽しめるのが「おうち焚き火」のいいところ。思い立ったときにすぐ火を起こせる距離感が、日常の中に炎の時間を取り入れやすくしてくれます。 ファイヤーピット(焚き火台)を中心に、お気に入りのチェアとブランケット、温かい飲み物を用意すれば、そこはもう“冬の焚き火ラウンジ”。重たい荷物を運ぶ必要もなく、キッチンやトイレもすぐそばで、小さな子どもが疲れたらそのまま家の中へ。無理に人里離れた場所へ出かけなくても、庭やテラスがあれば、日常のすぐ横に「火のある時間」をつくることができます。 直火禁止の場所でも楽しめる「ファイヤーピット(焚き火台)」 台座付きの浅いボウル状のファイヤーピット(焚き火台)は、地面から浮いた構造になっているので、熱が下に伝わりにくいのが特徴です。芝生やデッキなど直火が心配な場所でも、耐熱マットやコンクリート平板などを併用すれば使いやすく、庭の景観を守りながら焚き火を楽しめます。 ※芝生や床材の種類によっては、ファイヤーピットを直置きせず、耐熱マットやコンクリート平板など耐熱性の高い下地を敷いてからお使いください。 【ポイント】 火床が高いので地面に焦げ跡がつきにくい ボウル状で灰が飛び散りにくく、後片づけも簡単 シンプルなデザインで、庭の景色になじみやすい 薪を三角に組めば、炎がまっすぐ立ち上がり、寒い夜でも顔まわりまでしっかり温か。マシュマロを炙ったり、ホットワインを片手に炎を眺めたり――冬の庭時間がぐっと豊かになります。 ※床材によっては、耐熱マットやコンクリート平板など耐熱性の高い下地を敷いてからお使いください。 薪もインテリアの一部になる「ウッドストレージ」 焚き火を楽しむなら、薪をどう置いておくかも大切です。そこで役立つのが「ウッドストレージ」。写真のような布製のログキャリータイプなら、薪をまとめて運べるうえ、そのまま玄関脇やデッキに置くだけで、ちょっとしたアウトドアの雰囲気に。 薪が転がらず、足元がすっきり安全 使いたいときにサッと取り出せる 片づけるときは折りたたんでコンパクトに 「薪をストックする」という必需品が、そのまま冬の庭のアクセントにもなります。 火おこしが驚くほどスムーズに「チャコールスターター&ベローズ」 焚き火のハードルになりがちなのが、「火おこしに時間がかかる」こと。でも、チャコールスターター(火おこし器)とベローズ(手動送風機)を組み合わせれば、この悩みが一気に解決します。 チャコールスターターの使い方 1. スターターの中に炭または小割りの薪を入れる。 2. 底部に着火剤や新聞紙をセットして火をつける。 3. ベローズでピンポイントに送風。 4. 煙突効果で上下に空気が流れ、内部が一気に高温に。 5. 炭全体が真っ赤になったら、ファイヤーピットにざっと移す。 チャコールスターターは穴があいた筒状の構造で、どんどん空気が入り、短時間でしっかり火がつくのがポイントです。ベローズはハンドルを開閉するたびに空気が送り込まれ、弱い火やくすぶった炭もみるみる勢いを増します。離れた場所から風を送れるので、火に近づきすぎず安全。 この2つがあれば、「なかなか火がつかない」「うちわで扇ぎ疲れた…」というストレスとはお別れ。冬の貴重な時間を、待ち時間ではなく“焚き火を楽しむ時間”に使えます。 火の後始末まできちんと「灰入れバケツ&シャベル」 最後に忘れてはいけないのが、灰の処理。燃え残った炭は見た目が消えていても、内部が赤くくすぶっていることがあります。そこで活躍するのが「灰入れバケツ&シャベル」です。 耐熱性のあるスチールバケツで、熱を持った灰も安心して回収 付属シャベルで、焚き火台の隅に残った灰もきれいにすくえる フタ付きなので、風で灰が舞い上がらず、そのまま一時保管が可能 完全に冷めたのを確認してから、自治体のルールに沿って処分すれば、後片づけもスマート。「片づけが大変だから焚き火はちょっと…」という方にもおすすめです。 焚き火の遠赤外線でじんわりおいしく! 簡単“おうち焚き火料理” デンマークの伝統的な焚き火パン。棒にパン生地を巻きつけ遠火であぶって焼き上げる。mahc/Shutterstock.com 焚き火の魅力は、炎を眺めるだけでなく、遠赤外線の熱で食べ物がおいしくなることにもあります。炭火と同じように、表面はこんがり、中はふっくらジューシーに火が入るので、ソーセージや串にさしたパン生地など、シンプルな食材でもごちそうに。 ファイヤーピットにしっかりと熾火(おきび)をつくったら、火から少し離した位置でゆっくり回しながら焼くのがコツです。 【レシピ1】朝ごはんにも◎ カリッと香ばしい焚き火ホットドッグ Jordan Feeg/Shutterstock.com 焚き火の遠赤外線は、ソーセージをパリッとジューシーに焼き上げるのが得意。朝ごはんやランチにぴったりの簡単ホットドッグです。 <材料(2人分)> ソーセージ…4本 ロールパン or コッペパン…2個 ケチャップ、マスタード…適量 <作り方> ファイヤーピットで薪を燃やし、炎が落ち着いて熾火になった状態をつくる。 ソーセージを焚き火用の串にさし、熾火の上でゆっくり回しながら焼く。表面がこんがり色づいたらOK。 パンも軽くあぶって、外側を香ばしく温める。 焼きたてのソーセージをパンに挟み、ケチャップとマスタードをかけていただきます。 ※炎の真上では焦げやすいので、火から少し離した位置でじっくり焼くのがコツです。 【レシピ2】甘い香りがたまらない シナモンりんごの包み焼き Viktoria Hodos/shutterstock.com デザートにもおやつにもなる、冬にうれしいホットスイーツ。アルミホイルで包んでファイヤーピットの端に置くだけなので、ほかの料理をしながら同時進行で作れます。 <材料(1人分)> りんご…1個 バター…10g 砂糖またははちみつ…大さじ1〜2 シナモン…少々 <作り方> りんごは上部を横にカットし、芯を取ります。 アルミホイルを二重に重ねて広げ、りんごを並べる。砂糖(またははちみつ)、シナモン、バターをのせ、しっかり包む。 ファイヤーピットの炎が弱い端のほうに置き、10〜15分ほど蒸し焼きにする。 りんごが透き通ってトロッとしてきたら出来上がり。器に盛り、あればバニラアイスを添えても。 アルミホイルを開けた瞬間に立ちのぼる、シナモンとりんごの甘い香りもごちそうです。 【レシピ3】体の芯から温まる 焚き火ミルクココア Sunny Forest/Shutterstock.com 焚き火のそばで飲むホットドリンクは格別。市販のココアパウダーを使えば、あっという間に“焚き火カフェ”の気分が味わえます。 <材料(1人分)> 牛乳…200ml ココアパウダー(加糖タイプでもOK)…大さじ2前後 お好みでマシュマロ…数個 <作り方> 耐熱のマグカップか小鍋に牛乳とココアパウダーを入れ、よく混ぜておく。 ファイヤーピットの上に耐熱スタンドや網を置き、その上でココアを温める。ふつふつと湯気が立ってきたら火から下ろす。 マグに注ぎ、お好みでマシュマロを浮かべてどうぞ。 ※直火で温めるときは、耐熱性のある容器かどうかを必ず確認し、軍手や耐熱グローブを使って火傷に注意しましょう。 庭先で焚き火を楽しむための安全ポイント 冬の焚き火を長く楽しむために、最低限、次の点は守りましょう。 近隣の条例や集合住宅の規約を事前に確認する 強風の日は焚き火をしない ファイヤーピットの周囲に、燃えやすいものを置かない 水の入ったバケツや消火用ホースを必ず用意する 炎が完全に消え、灰が冷めたことを確認してからその場を離れる 庭先を“冬の焚き火ラウンジ”に 山奥へ出かけなくても、自分の庭で安全に楽しむ焚き火時間は、心も体もじんわり温めてくれます。山のキャンプの安全面が気になったり、物価高で遠出を控えたり――。そんな今だからこそ、自分の庭やデッキを“冬のリビング”として育ててみませんか。 直火禁止の場所でも楽しめる「ファイヤーピット(焚き火台)」 薪をセンスよくストックできる「ウッドストレージ」 超スピーディーに火おこしできる「チャコールスターター(火おこし器)」と「ベローズ(手動送風機)」 後始末まで安心な「灰入れバケツ&シャベル」 この5アイテムがあれば、準備から片づけまでスムーズ。この冬は、焚き火アイテムを揃えて、“冬の焚き火ラウンジ”を始めてみませんか。マフラーを巻いて外に出れば、そこには炎のぬくもりと、ゆったり流れる時間が待っています。お気に入りのチェアとブランケットも用意すれば、庭先が冬だけの特等席になりますよ。 使用上のご注意 室内やガレージ内、テント内、タープの下では絶対に使用しない。 着火剤や燃料の代わりにガソリン、灯油、ガス、アルコールなどを使用しない。 火力が大きくなりすぎないよう燃料を載せすぎない(炎が高く上がったり、本体の変形・変色のおそれ)。 起伏や傾斜がない所に設置し、必ず安定した状態で使用する。 着火後は目を離さない。燃焼中は絶対にその場を離れない。
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宿根草・多年草

【12月の花】植えっぱなしで毎年咲く「原種シクラメン」の育て方とおすすめ品種ガイド
原種シクラメンとは? 魅力と園芸品種との違い 私はガーデニングをするとき、シクラメンを「室内用シクラメン」「鉢植え用ガーデンシクラメン」「庭植え用原種シクラメン」というように3つに分類して用途ごとに使い分けています。 室内用シクラメン 古くから贈答用の鉢花として親しまれている園芸品種のシクラメンです。5〜6号鉢(直径15〜18cm)に植わった状態で販売されていることが多く、豪華に仕立てられています。寒さには弱いので、室内の窓辺に飾って楽しむのに最適。夏にしっかり休ませて秋からまた育てれば、翌年も咲きます。ただし、外で夏越しできる環境が必要です。 鉢植え用ガーデンシクラメン 園芸品種のシクラメンの中から、比較的寒さに強い小型種を育成した品種群をガーデンシクラメンと呼びます。庭植えにできますが、霜や雪に当たると花が傷んで復活が難しいので、軒下など屋根がある場所で鉢植えや寄せ植えにするのに向きます。一般的に一年草扱いです。 庭植え用原種シクラメン 原種シクラメンは地中海沿岸の野山に自生する小型種です。霜にも強く、庭に植えっぱなしで毎年花を咲かせます。場所さえ合えば、球根がどんどん太って花数が増えていきます。もちろん、鉢植えでも育てることができます。その魅力は、 小さく素朴な花が愛らしい 葉の模様が美しい 夏に休眠する省エネ植物 手間をかけずに毎年咲く など。 特に、落葉樹の下で他の草花が休んでいる季節に主役になれるのが大きな魅力。庭の冬景色に“静かなドラマ”を生み出してくれます。 鉢植えで複数の原種シクラメンを寄せ植え。 原種シクラメンの育て方のキホン 丈夫でよく増える冬咲きの原種シクラメン・コウム。Alex Manders/Shutterstock.com 原種シクラメンは丈夫で栽培しやすい球根植物ですが、生育サイクルが他の多くの植物と異なるので、まずは生育サイクルを知ることから始めましょう。 【原種シクラメンの生育サイクル】 原種シクラメンは種類によって開花期が異なりますが、夏に休眠して秋に芽吹き、冬〜春に葉で球根を太らせるというサイクルは共通です。 秋に丸い球根の中央からつぼみが出始めた原種シクラメン・ヘデリフォリウム。 【原種シクラメンの季節ごとのお手入れ】 原種シクラメンは「少ない資源で生き延びる」性質が強いため、地植えは基本肥料不要。鉢植えは秋に少量の置き肥だけで十分。肥料のやりすぎは球根のトラブルにつながります。 ■鉢植えのコツ(初心者におすすめ) 水やり:秋〜冬は控えめに、鉢土の表面が乾いたら 置き場所:明るい日陰(北向きの玄関先など) 肥料:緩効性の置き肥を秋に少量 鉢:やや浅いタイプが理想(球根が蒸れにくい) 10年以上鉢植えで育っている原種シクラメンの巨大な球根。 浅い鉢で新しい用土に植え替え。 ■庭植えのコツ 場所:落葉樹の株元(夏は木陰、冬は光が入る理想環境) 土:水はけのよい土。腐葉土をたっぷり混ぜる 植え込み時期:秋(根が動き出すタイミング) 夏は:周りの落葉で自然に覆われ、放任でOK 肥料:基本不要。痩せ地を好み、肥料が多いと葉ばかり茂って花をつけにくい。養分過多は球根腐りのリスク 秋の初めには新芽やつぼみに光が当たるよう、雑草や落ち葉を整理して開花を促す。 【押さえたい3原則】 失敗しないためのポイント理由夏は断水して休ませる休眠期は水が多いと球根腐りの原因に水はけ・風通しのよい半日陰蒸れと直射日光を避けて健全に育つ浅植えにする球根は地表近くで光を感じて成長する 水はけと風通しをよくするために、庭では小高く土を盛った落葉樹の下に植えています。ガーデニングの最中に足を踏み入れると、土が踏み固められて、いつの間にか水はけが悪くなってきてしまうので、ところどころ石を置いてロックガーデン風にし、あまり足を踏み入れないようにも工夫しています。 おすすめ品種5選 葉の模様の美しさ、丈夫さ、冬の庭での活躍度から厳選しました。 1|コウム(Cyclamen coum) 強健で初心者向き。 丸い葉×ピンクや白の花が愛らしい 真冬〜早春に開花 2|ヘデリフォリウム(C. hederifolium) 強健で成長旺盛・群生しやすい 花後に展開する葉模様が美しい 秋に開花 3|グラエカム(C. graecum) Michalis Koulieris/Shutterstock.com 花後に展開する葉模様が芸術的 暑さ・乾燥に強いタイプ 主に秋に開花しヘデリフォリウムよりやや遅い 4|プルプラセンス(C. purpurascens) 17Aleksandr Naumenko/Shutterstock.com 夏も葉が残りやすく、日陰に強い 花色が濃く、特に香りがよい 夏から秋に開花 5|ペルシカム(C. persicum) Plamen Peev/Shutterstock.com 強権で生育が早い 乾燥に強い 真冬から春に開花 原種シクラメンのよくある失敗と対処法 ❌ 夏に水をやる → 球根腐り→ 地上部が枯れたら、完全断水で休眠。 ❌ 深植え → 花つき悪化→ 球根は地表から上部が見えるくらいに浅植え。 ❌ 風通し不足 → 病気→ 周りの植物が混み合いすぎないように。また盛り土で高めに。 ❌ 冬に室内へ取り込む→ 室内は暖かすぎて徒長の原因。寒さには強いので基本屋外で。 原種シクラメンが映える庭デザイン例 秋冬に空くスペースをおしゃれに埋めるという発想で取り入れると、庭が一段と美しくなります。落葉樹の株元にシクラメン・ヘデリフォリウムをかたまりで植えます。開花期は地面から湧き上がるような躍動感が庭に演出できます。 落葉期は光が差し込み、春〜夏は木陰ができるため、夏の休眠を守り、冬に見どころを作る理想の植栽位置です。冬の庭が「沈黙」ではなく「静かな賑わい」を感じられるエリアに。 八重咲きクリスマスローズの株元に、かわいいピンクの原種シクラメン・コウムを寄り添うように配置。冬の主役、クリスマスローズと、地面を彩るシクラメン、それぞれが役割をこなし立体的な景観を生み出しています。“背の高い植物の足元にポイントカラーを置くこと”で、冬〜早春の地際の寂しさをなくすテクニック。 テラコッタ鉢に植えた原種シクラメンを、地植えの庭に置いてなじませるスタイル。鉢の縁に近い位置で花を咲かせる性質と相性がよく、庭のどの角度からでも存在感があります。鉢なら季節に合わせて移動ができるので、日照条件の調整もしやすく初心者向き。また、花期を迎える場所に“旬の色”を連れて来られるのも利点です。 原種シクラメン栽培まとめ & チェックリスト 夏は断水で休眠させる 風通しのよい半日陰 浅植えで球根を呼吸させる 庭植えは落葉樹の下が理想 原種シクラメンは、放任でも毎年かわいい花を咲かせてくれる、頼もしい存在です。ぜひ冬の庭に迎えてみませんか?
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ベランダガーデニング

【ベランダ&室内編】1鉢あれば真似できるクリスマス・ガーデンデコ10選
1鉢から始めるクリスマス・ガーデンデコの楽しみ方 Galina Grebenyuk/Shutterstock.com クリスマスの飾りというと大きなツリーを思い浮かべがちですが、じつは鉢植えが1つあれば十分。お気に入りの植物を主役に、松ぼっくりや木の枝、オーナメント、小さなキャンドル(またはLEDキャンドル)を添えるだけで、ベランダや室内の一角が“私だけのクリスマスガーデン”になります。 植物選びは、寒さに強く、冬も長く楽しめるものが基本。屋外ならミニコニファー、エリカ、チェッカーベリー、クリスマスローズなど。室内に置く場合は、短期間の観賞を前提にシクラメンやヒヤシンスなどを選び、暖房の風が直接当たらない涼しめの場所に置いてあげましょう。 作り方はとてもシンプルです。 まず「どこに置きたいか」(玄関・ベランダのテーブル・窓辺など)を決める。 置き場所の雰囲気に合う鉢植えを1つ選ぶ。 鉢のまわりに、色や素材を揃えた雑貨を“3点前後”までに絞って添える。 この「1鉢+雑貨少し」のルールを守ると、ごちゃつかずに大人っぽい雰囲気に仕上がります。次の章からは、実際の写真をもとに、真似しやすい10のアイデアをご紹介します。 室内で楽しむ1鉢クリスマス・デコ実例 白いシクラメンとキャンドルで楽しむホワイトクリスマス Galina Grebenyuk/Shutterstock.com 器とポットを用意する 3.5号くらいまでの大きさのシクラメンのビニールポットを1つ用意。買ったときのビニールポットのまま使います。 シクラメンのポットが入るサイズの写真のようなスープチューリン(ボウル)を用意します。→ 直接植え込まず、「鉢カバー」として器を使うのがポイントです。 底に“水抜きゾーン”を作る 器の底に鉢底石(軽石) またはハイドロボール(発泡した園芸用の石)を2〜3cmほどの高さで入れます。→ ここが“水のたまり場+空気の層”になり、根腐れ防止クッションになります。 ポットをセットし、すき間を飾る シクラメンのポットを、そのまま器の中央にそっと入れます。 ポットと器のあいだのすき間をミニ松ぼっくりを埋めて、ポットの縁や土が見えないように隠します。→ 写真のように鉢の表面をぐるりと松ぼっくりで囲むと、ぐっとクラシカルな雰囲気に。 水やりのコツ 土の表面を指で触ってカラッと乾いてから水やりします。 できれば一度ポットを器から出し、シンクなどで鉢底から少し流れ出る程度にだけ水を与えるのが理想。 しっかり水が切れてから器に戻します。→ 器の底に水がたまったままにならないようにすることが、長持ちのいちばんのポイントです。 置き場所と育て方の注意 明るくて涼しい場所(10〜15℃前後)がベスト。 暖房の風が直接当たる場所は避けると、花が長くもちます。 室内でじっくり楽しんだあとは、器からポットを取り出して、軒下やベランダの明るい戸外に移すと、春まで花が続きやすくなります。 周囲にミニキャンドルを添えれば、食器棚の一角がクリスマスディスプレイに変身します。キャンドルは炎が葉に触れない十分な距離を取りましょう。 香りも楽しめるヒヤシンスのクリスマス室内ミニ花壇 Galina Grebenyuk/Shutterstock.com 鉢を用意する 直径約9cmの3号テラコッタ鉢を用意し、1鉢につきヒヤシンス球根を1球ずつ使います。 球根をセットする 鉢に土を入れ、ヒヤシンスの球根をのせます。 球根の上部が1/3〜1/2見える高さまで土を足し、ぐらつかないよう周囲からしっかり寄せます。→ ヒヤシンスは過湿が苦手なので、球根を少し露出させておくと腐りにくくなります。 水やりのコツ 水を与えるときは、球根に直接かけず、鉢の縁から土にめがけて静かに注ぎます。 鉢底から水が少し流れ出る程度でOK。受け皿に溜まった水は捨てましょう。 トレイにまとめて飾る 植えた鉢を数個、トレイや大皿の上に並べると、小さな花壇のような雰囲気に。 鉢のまわりにミニ松ぼっくりや星形オーナメントを散らすと、一気にクリスマスムードが高まります。 開花期の楽しみ方 つぼみがほころびて香りが立ってきたら、ダイニングやリビングの棚の上へ。 数日間だけ室内に飾って香りを楽しみ、その後は涼しい場所に戻すと花が長もちします。 ベランダ&玄関先で楽しむ1鉢クリスマス・デコ実例 エリカのバスケットで作る“冬のカフェコーナー” Svetlana Gorbacheva/Shutterstock.com ふんわりとしたエリカ(orカルーナ)の1鉢を、ざっくり編みのバスケットにセット。オーナメントを飾って、小さなLEDライトを絡ませれば、夕暮れどきもほのかにきらめいておすすめです。 エリカは冬の寒さの中でも小さな花を長く咲かせてくれる、ヨーロッパ原産の常緑低木です。細い葉が密に茂り、ふわふわとした穂のような花姿が特徴。寒さや乾燥に強く、晩秋〜冬にかけてのガーデンをやさしく彩ってくれる貴重な存在です。湿気に弱いので、根鉢を乾かし気味に保つと長もちします。 ベランダを“自分だけの冬カフェ”空間にして楽しんで。 真っ赤なシクラメンとランタンで、王道クリスマスカラー Natalia Greeske/Shutterstock.com ビビッドな赤いガーデンシクラメンを赤い鉢に合わせ、同じトーンのランタンや小物を並べるだけで、王道のクリスマスコーナーに。リンゴや木の実、ヒバの枝を足すと、ぐっと華やかさが増します。玄関内側や出窓など、人目につきやすい場所に1鉢ドンと置くのが効果的です。 ガーデンシクラメンは寒さに強いものが多いですが、霜や雪に当たると復活しにくいので、屋根のある場所でのディスプレイがおすすめ。しおれてきた花は株元からねじるようにして取り除きましょう。 赤い実のチェッカーベリーやコニファーと一緒に飾っても。Natalia Greeske/Shutterstock.com クリスマスローズと白い家のオブジェで“冬の小さな街角”を演出 寒さに強いクリスマスローズの鉢を主役に、白い家型のキャンドルホルダーやミニランタンを添えると、まるで雪国の街角のような情景に。シルバーがかったコニファーや松ぼっくりで足もとを彩れば、落ち着いた北欧テイストにまとまります。屋根付きのベランダや明るい玄関ホールにぴったり。 じつは「クリスマスローズ」という名前でも、ほとんどの品種は春(2〜3月)咲き。本当に“クリスマスの頃に咲く”のは、ニゲルとニゲル交配種。写真のような白い大きな一重咲きで、上向き〜やや横向きで咲きます。 白花を集めて“雪積もる森”をベランダに演出 Natalia Greeske/Shutterstock.com 大ぶりのバスケットにクリスマスローズを1鉢すっぽり入れると、それだけで存在感たっぷりの主役鉢に。余裕があれば、ミニコニファーやシクラメン、白実のペルネッティアなど小さめの鉢を横に並べると、“森の入り口”のような雰囲気になります。ガーデンテーブルの上に飾れば、室内からも眺めやすく、クリスマスムードが高まります。 ミニコニファーの素焼き鉢+赤いランタンでベランダデコ Natalia Greeske/Shutterstock.com ミニコニファーを素焼き鉢のまま並べ、1鉢に1つずつ麻ひもと星型オーナメントを結ぶだけの簡単デコ。真ん中に赤いランタンを置けば、雪景色にも映える北欧風のベランダコーナーになります。基本はお好みのコニファー1鉢からスタートし、増やしたくなったら少しずつ鉢数を足して“小さな森”に育てていきましょう。 夕暮れが楽しみになる氷と木の実のアイス・ランタン Natalia Greeske/Shutterstock.com お気に入りの鉢植えの横に、木の実や常緑樹の葉を閉じ込めた氷のランタンをそっと置いてみましょう。中央に穴が開いたケーキ型に、水と赤い身や葉などを入れて凍らせます。夕暮れどき、中央にLEDキャンドルを入れればゆらめく灯りが氷越しににじんで、ベランダや玄関先が一気にロマンチックな冬のガーデンに変わります。 Oksana_Schmidt/Shutterstock.com 浅い容器で紐と一緒に凍らせれば、オーナメントとしても楽しめます。寒い日限定の“消えてしまう飾り”だからこそ、写真に残して楽しみたくなります。 “1鉢のガーデンデコ”で心温かなクリスマスシーズンを Svetlana Gorbacheva/Shutterstock.com 寒い季節こそ、植物がもたらしてくれる小さな灯りや彩りが、日々を温かくしてくれます。大きなツリーや本格的なデコレーションがなくても、鉢植えが一つあれば、ベランダもお部屋もクリスマス仕様に早変わり。 気に入った植物を迎えて、ほんの少し飾りを添えるだけで、そこに冬の物語が生まれます。今年のクリスマスは、あなたの暮らしに寄り添う“1鉢のガーデンデコ”を楽しんでみませんか? 小さな植物たちが、きっと心をほっと明るく照らしてくれるはずです。
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樹木

【開運ガーデニング】庭に植えるだけで運気が上がる⁉ 一年中緑が美しい“常緑の縁起木”7選
一生ものの庭木で運気を向上! 「縁起木」とは Danita Delimont/Shutterstock.com 「縁起木」とは、古くから縁起がよいとされ、魔よけや邪気払いをはじめ、金運アップや幸運を運んできてくれるなどと信じられてきた樹木の俗称のこと。日本には「縁起を担ぐ」という言葉もありますが、植物も「縁起を担ぐ」ために幅広く利用されてきました。「縁起がよい」とされる理由は、神話や伝説にまつわるものや、語呂合わせ、姿や性質に由来するものなどさまざまです。また、日本だけでなく、海外でも同様に縁起がよいと考えられている樹種などもあります。 今回は、日本で縁起がよいとされる樹木の中から、庭木にもおすすめの常緑のものを7種ご紹介します。 1. 難を転じて福となす! ナンテン(南天) Marie Shark/Shutterstock.com 植物名:ナンテン学名:Nandina domestica英名:nandina、heavenly bamboo、sacred bamboo和名:ナンテン(南天)その他の名前:ナンテンショク(南天燭)、ナツテン、ナルテンなど科名:メギ科属名:ナンテン属原産地:日本、中国、東南アジア形態:常緑性低木開花時期:6〜7月樹高:2〜3m耐寒性:普通耐暑性:普通花色:白 Wako Megumi/Shutterstock.com 秋には葉が赤く色づき、晩秋には真っ赤な実をつけて、お正月の飾りにも欠かせないナンテン。名前が「難を転ずる」に通じることから、古くから縁起のよい庭木として愛されてきました。「植えると幸せになる」「茂ると家が栄える」「実がたくさんなると豊かになる」など、ナンテンにはいろいろな言い伝えがあります。また、のど飴でもおなじみですね。防腐の目的でナンテンの葉をお弁当などに添えることもありますが、ナンテンの実や葉には微量ながら有毒成分が含まれるため、口にはしないように注意しましょう。 ナンテンは特に玄関脇など門まわりに植える庭木として人気があります。半日陰を好むため、日当たりが悪い庭の彩りとしてもおすすめ。ただし、日当たりが悪すぎると実付きが悪くなることがあります。土質を選ばずよく育ち、地植えであれば植えっぱなしでほとんど手をかけなくても育ってくれますが、強い西日の差す場所は避けましょう。 縁起の意味:厄よけ・魔よけ 植える場所:玄関先/門まわり/鬼門/半日陰 庭木に向く理由: 日向〜半日陰でよく育ち、環境適応力が高い 放任でも形がまとまりやすい 秋は紅葉、冬は赤い実が美しく、観賞価値も高い 2. 金運アップに⁉ 香りのよいキンモクセイ(金木犀) Toru Kimura/Shutterstock.com 植物名:キンモクセイ学名:Osmanthus fragrans var. aurantiacus英名:Fragrant olive、Sweet olive、Japanese orange Osmanthusなど和名:キンモクセイ(金木犀)その他の名前:センリコウ(千里香)、モクセイ、タンケイ(丹桂)など科名:モクセイ科属名:モクセイ属原産地:中国形態:常緑性高木開花時期:9月下旬〜10月中旬樹高:5〜6m耐寒性:やや弱い耐暑性:普通花色:オレンジ tamu1500/Shutterstock.com 秋に香り豊かな花が咲き、離れたところからでも分かるほどの芳香を漂わせるキンモクセイ。その強い香りが邪気を祓ってよい気を呼び、また黄金色の花が咲くことから金運を引き寄せるともされています。白い花が咲くギンモクセイの変種で、観賞用として古くから親しまれています。ちなみに、日本に伝わったのものはほとんどが雄株のため、果実はあまり見ることがありません。 キンモクセイは公園や街路樹などの公共空間にもよく植栽されるように、丈夫で土質を選ばずよく育ちます。花数を多く楽しむためには、日当たりのよい場所での栽培がおすすめ。高木ですが、成長は遅めなので生け垣にも向きます。乾燥や寒さにはやや弱く、関東北部や東北南部など、霜が降りるような寒冷地ではうまく生育しないことがあります。 縁起の意味: 金運・良縁 植える場所:生け垣/玄関先/門まわり/シンボルツリー 庭木に向く理由: 成長が穏やかで剪定しやすい 病害虫に強く丈夫 強い香りが魔除けとされ、庭木として人気 3. 節分の魔よけにも使われるヒイラギ(柊) Romix Image/Shutterstock.com 植物名:ヒイラギ学名:Osmanthus heterophyllus英名:holly osmanthus、holly olive、false hollyなど和名:ヒイラギ(柊)その他の名前:ヒラギ、オニオドシ、オニノメツキなど科名:モクセイ科属名:モクセイ属原産地:日本、東アジア形態:常緑性小高木開花時期:11〜12月樹高:3〜8m耐寒性:普通耐暑性:普通花色:白 Luca love photo/Shutterstock.com 葉に鋭いトゲを持つ日本原産の常緑樹、ヒイラギ。このトゲトゲの葉が、鬼の目を刺すと信じられてきたことから、魔よけになる縁起のいい木とされ、特に鬼門よけとしても親しまれています。イワシの頭とあわせて節分の飾りにも利用されていますね。このトゲは動物の食害から身を守るためと考えられており、若木のほうがトゲが鋭く、成長した老木ではトゲのない楕円形の葉になることも多いです。ちなみに西洋でも、ヒイラギとよく似たセイヨウヒイラギ(ホーリー)が、クリスマスの飾りなどに利用される聖なる木として親しまれていますが、こちらはモチノキ科の樹木なので別種。ヒイラギが黒紫の実をつけるのに対し、セイヨウヒイラギは赤い実をつけるなどの違いもあります。 ヒイラギは丈夫で育てやすく、半日陰や大気汚染にも耐え、成長がゆっくりで刈り込みにも強いため、庭木としてよく利用されます。葉にトゲがあることから、害獣よけの生け垣としても人気ですが、刺さると痛いので手入れの際などには注意が必要です。 縁起の意味: 魔よけ 植える場所:玄関先/門まわり/生け垣/鬼門/半日陰 庭木に向く理由: 常緑で日陰にも比較的耐える 葉のトゲが害獣よけや防犯にも役立つ コンパクトに仕立てやすく、塀際にも向く 4. 特に女性に向く縁起木! 観賞価値も高い常緑ヤマボウシ F_studio/Shutterstock.com 植物名:常緑ヤマボウシ学名:Cornus hongkongensis英名:Hong Kong dogwood和名:トキワヤマボウシ(常盤山法師)その他の名前:ホンコンエンシス科名:ミズキ科属名:ミズキ属原産地:中国南部~インドシナ半島形態:常緑性小高木開花時期:6〜8月樹高:3〜5m耐寒性:普通耐暑性:強い花色:白、ピンク F_studio/Shutterstock.com 夏に美しい白い花をたくさん咲かせる常緑ヤマボウシ。ヤマボウシは白い花が邪気を払い、また花言葉の「友情」「感謝」「永続性」などには人と人との結びつきを大切にする意味が込められていることから、家族や友人との絆を深める縁起のよい木として扱われています。特に風水では、女性の繁栄や成長、女性との縁を結ぶ期待ができるのだとか。一般のヤマボウシは落葉しますが、常緑ヤマボウシは1年を通してみずみずしい姿が観賞でき、花も美しいので、シンボルツリーにおすすめ。和風の庭にも洋風の庭にもよく似合いますが、冬の寒さはやや苦手。マイナス8℃以下になる寒い地域では、鉢栽培にして季節によって移動できるようにするとよいでしょう。 縁起の意味: 縁結び・家運隆盛 植える場所:シンボルツリー 庭木に向く理由: 常緑で1年中きれい、シンボルツリーに最適 耐病性が高く、害虫も少ない 寒風が強すぎなければ丈夫で管理しやすい 5. 赤い実がなる金運アップの常緑樹 クロガネモチ Romix Image/Shutterstock.com 植物名:クロガネモチ学名:Ilex rotunda英名:Kurogane holly和名:クロガネモチ(黒鉄黐)その他の名前:フクラシバ、フクラモチなど科名:モチノキ科属名:モチノキ属原産地:日本(本州中部〜沖縄)、朝鮮半島南部、台湾、中国中南部、ベトナム形態:常緑性高木開花時期:5〜6月樹高:10~20m耐寒性:普通耐暑性:強い花色:淡紫~クリーム Romix Image/Shutterstock.com 一年中濃い緑を保つ艶のある葉と、晩秋の真っ赤な実が美しいクロガネモチ。名前が「黒金持ち」や「苦労がなく金持ち」など語呂合わせできることから、商売繁盛や金運アップの縁起植物として重宝されてきました。東アジア各国でも縁起のいい樹木として愛されています。 半日陰の場所でも生育し、あまり手がかからず放任してもよく生育するため、寺院や公園などの樹木としてもよく利用されます。ただし、温暖な気候を好むため寒さにはやや弱く、栽培適地は関東以西です。 縁起の意味: 金運・商売繁盛 植える場所:玄関先/門まわり/シンボルツリー/半日陰 庭木に向く理由: 温暖な地域では公園でも多く使われるほど丈夫 成長がゆっくりで管理しやすい 赤い実が美しく、寂しくなりがちな冬の庭の彩りになる 6. 金運アップの黄色い実がなるキンカン(金柑) Valentyn Volkov/Shutterstock.com 植物名:キンカン学名:Citrus japonica英名:Kumquat和名:キンカン(金柑)その他の名前:キンキツ(金橘)、マルミキンカン科名:ミカン科属名:キンカン属原産地:中国形態:常緑性低木開花時期:5~9月樹高:1~2m耐寒性:やや弱い耐暑性:強い花色:白 TAMER YILMAZ/Shutterstock.com 柑橘類は、常緑で、邪気を遠ざける爽やかな香りに、金運に通じる金色の実、また名前の「橘」が「吉」に通じることなどから、縁起のよい樹木とされています。家運隆盛の象徴として正月飾りに欠かせないダイダイ(橙)も柑橘類ですね。そんな柑橘類の中でも金運アップの樹木として知られるのが、名前に「金」の字を持ち、たくさん実るキンカン(金柑)で、風水では西に植えるとよいとされています。食用できる実が収穫できるのも魅力。キンカン属にはさまざまな種類がありますが、食用として人気があるのがネイハキンカン(ニンポウキンカン)です。 日当たりと風通しのよい場所を好み、コンパクトで育てやすい庭木です。寒さにはやや弱く、冬場の気温がマイナス5℃を下回ると生育が難しいため、関東以西での栽培に向きます。 縁起の意味: 金運 植える場所:玄関先/門まわり/シンボルツリー 庭木に向く理由: 常緑で花も咲き、観賞価値が高い 実が収穫できる 丈夫でコンパクトなので、育てやすい 7. 艶やかな葉と実が福を呼ぶセンリョウ(千両) Shepherdsatellite/Shutterstock.com 植物名:センリョウ学名:Sarcandra glabra(Chloranthus glaber)英名:herba sarcandrae、nine-knotted flower、Chloranthusなど和名:センリョウ(千両)その他の名前:クササンゴ(草珊瑚)、ミセンリョウ(実千両)など科名:センリョウ科属名:センリョウ属原産地:日本、朝鮮半島、中国、マレーシアなど東アジアの温帯から熱帯形態:常緑性低木開花時期:6月樹高:0.5~1m耐寒性:普通耐暑性:強い花色:黄緑 KPG-Payless/Shutterstock.com 緑の葉に艶やかな実が目立つセンリョウは、お正月の縁起物にも欠かせません。めでたい名前を持ち、葉の形が小判に似ていること、また美しい実をたくさんつけることから、子孫繁栄や商売繁盛、金運アップなどにつながるとして人気があります。別種ですが、同じく常緑で赤い実がなるマンリョウ(万両)も同様に縁起物とされ、さらに縁起を担いでアリドオシを加えた「千両、万両、有り通し(=いつも大金がある)」という言葉もあります。 林縁に自生しているため、直射日光は苦手で明るい日陰を好みます。手がかからない植物ですが、極端に乾燥すると実付きに影響することがあります。古い枝や細い枝は花付きが悪いので剪定するとよいでしょう。 縁起の意味: 金運・子孫繁栄 植える場所:玄関先/門まわり/日陰/小スペース 庭木に向く理由: 常緑で冬に鮮やかな実が楽しめる 日陰の庭や北側の植栽にも向く コンパクトなので小さな庭にもおすすめ まとめ Wako Megumi/Shutterstock.com 今回は縁起がよいとされる常緑の庭木を7種ご紹介しました。魔よけ、家内安全、金運——縁起木には、古くから人々がさまざまな願いを託してきた歴史があります。そんな意味を知ると、いつもの庭木も少し特別に見えてきますね。ここで取り上げられなかった樹木の中にも、縁起がよいとされるものはまだまだあります。庭木選びに迷っているなら、縁起のよい木という視点で見ても面白いかもしれません。 ただし、大切なのは“縁起そのもの”よりも、四季を通して植物と向き合い、生活に緑を迎える楽しさ。「運気」や「縁起」にこだわりすぎず、好みや環境に合った相性のよい樹木を選び、育てていくことこそが、結果的に心のゆとりや幸せな暮らしにつながっていきます。 ぜひお気に入りの庭木を迎えて、毎日の風景を豊かにする“自分だけの開運ガーデン”を楽しんでください。





















