スリー・アンド・ガーデン/ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。「ガーデンストーリー」書籍第1弾12刷り重版好評『植物と暮らす12カ月の楽しみ方』、書籍第2弾4刷り重版『おしゃれな庭の舞台裏 365日 花あふれる庭のガーデニング』(2冊ともに発行/KADOKAWA)発売中!
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スリー・アンド・ガーデン/ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。「ガーデンストーリー」書籍第1弾12刷り重版好評『植物と暮らす12カ月の楽しみ方』、書籍第2弾4刷り重版『おしゃれな庭の舞台裏 365日 花あふれる庭のガーデニング』(2冊ともに発行/KADOKAWA)発売中!
3and gardenの記事
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一年草

ナスタチウムはどんな花? 特徴や花言葉、育て方について
ナスタチウムの特徴について ビビッドなオレンジや黄色の花が目を引くナスタチウムは、どのような特徴や種類があるのでしょうか。ここでは、ナスタチウムの基本情報についてガイドしていきます。 ナスタチウムの見た目と特徴 Bembo20/Shutterstock.com ナスタチウムはノウゼンハレン科ノウゼンハレン属(トロパエオルム属)の一年草です。ハスに似た丸い葉を持ち、黄色やオレンジ色の花を咲かせることから、金蓮花(きんれんか)という別名もあります。4〜5月頃に種を播くと、6月から11月上旬まで開花。ただし、夏の暑さにやや株が弱り、7月下旬〜8月は花数が少なくなります。暑さが一段落すると再び開花しますが、晩秋になると枯死してしまうので、半年くらいの短いライフサイクルです。原産地はペルー、コロンビアで、寒さには弱い性質をもっています。草丈は20〜300cmで、這うように広がっていくのが特徴です。 ナスタチウムの代表的な種類 Khairil Azhar Junos/Shutterstock.com ナスタチウムは原産地で約50種類が分布しています。ガーデニングで最も流通しているのがマユス (Tradescantia.majus)です。園芸品種も多く見られ、矮性種で草丈20cmほどにまとまる‘チップトップ’、矮性種で草丈20cmほど、かつ葉に斑が入る‘アラスカ’のほか、紫がかったピンク色の花を咲かせる‘パープルエンペラー’、パステルピンクの‘レディーバードローズ’、パステルイエローの‘ミルクルメイド’などが注目品種です。 ナスタチウムはハーブとして使われる artem Evdokimov/Shutterstock.com ナスタチウムは、ハーブとしても利用されます。花や葉にはクレソンに似た独特の香りと辛みがあり、果実や種子も辛味と酸味があります。ビタミンやミネラルを豊富に含んでおり、サラダの彩りなどにおすすめです。 ナスタチウムの花言葉 COULANGES/Shutterstock.com ナスタチウムの花言葉は、「勝利」「困難に打ち勝つ」など。これは草姿に由来し、丸い葉が盾を、赤い花が血を浴びた鎧をイメージさせ、戦いに赴く戦士を想起させるためです。 ナスタチウムが咲く時期と見頃 Edita Medeina/Shutterstock.com ナスタチウムの開花時期は、4月下旬〜7月、9月〜11月上旬で、開花期間が長い植物の一つです。ただし熱帯地方原産とはいえ、高山地帯に自生するので、夏の暑さにやや弱い傾向にあり、真夏は開花が止みがちとなります。花色は黄色、赤、オレンジ、ピンク、黒みがかった茶色、複色など。花径は5〜7cmで、一重咲き、八重咲きなどがあります。 ナスタチウムの育て方 ここまで、ナスタチウムの基本情報や花や葉の特徴、代表的な種類、花言葉などについてご紹介してきました。では、ここからはガーデニングの実践編として、ナスタチウムの栽培方法について、詳しく解説します。 適した栽培環境 Aniana/Shutterstock.com ナスタチウムの栽培には、日当たり・風通しのよい場所が最適です。ただし、やや暑さを苦手とするので、地植えの場合は午前のみ光が差し込む東側で栽培するか、夏前に鉢上げして涼しい半日陰などで管理するとよいでしょう。 また、水はけ・水もちがよくバランスのとれた土壌づくりがポイントです。有機質資材をすき込んでふかふかとした土壌にし、周囲より少し土を盛って高くしておくと水はけがよくなります。 土づくり funnyangel/Shutterstock.com 【地植え】 丈夫な性質で土壌を選びませんが、植え付ける1〜2週間前に腐葉土や堆肥などの有機質資材を投入し、よく耕して水はけのよい土壌をつくっておくとよいでしょう。土に肥料などを混ぜ込んだ後にしばらく時間をおくことで、分解が進んで土が熟成し、植え付け後の根張りがよくなります。 【鉢植え】 草花の栽培用に配合された園芸用培養土を利用すると便利です。 植え付け・植え替え OlegDoroshin/Shutterstock.com ナスタチウムの植え付けの適期は3月下旬〜5月です。花苗店で苗を購入する際は、節間が短く茎ががっしりと締まって勢いがあるものを選びましょう。 【地植え】 土づくりをしておいた場所に、苗を植え付けます。複数の苗を植え付ける場合は、20〜30㎝の間隔を取っておきましょう。あまり密に植え付けると、風通しが悪くなって株が蒸れることがあるので、余裕を持たせておくのが無難です。植え付けた後は、たっぷりと水やりをしておきましょう。 ナスタチウムは夏秋咲きの一年草で、寒くなると枯れてしまうため植え替える必要はありません。枯れて株まわりが汚くなる前に抜き取って処分します。 【鉢植え】 鉢の大きさは、5〜6号鉢を準備します。 用意した鉢の底穴に鉢底ネットを敷き、軽石を1〜2段分入れてから培養土を半分くらいまで入れましょう。苗を鉢に仮置きし、高さを決めます。苗をポットから出してみて根が白く回っているようなら、軽く根鉢をくずしてから植え付けましょう。水やりの際にすぐあふれ出すことのないように、土の量は鉢縁から2〜3cmほど下の高さまでを目安にし、ウォータースペースを取るとよいでしょう。土が鉢内までしっかり行き渡るように、割りばしなどでつつきながら培養土を足していきます。最後に、鉢底からたっぷりと流れ出すまで、十分に水を与えましょう。寄せ植えの素材として、大鉢にほかの植物と一緒に植え付けてもOKです。 ナスタチウムは夏秋咲きの一年草で、寒くなると枯れてしまうため植え替える必要はありません。枯れて株まわりが汚くなる前に抜き取って処分します。 水やり cam3957/Shutterstock.com 株が蒸れるのを防ぐために茎葉全体にかけるのではなく、株元の地面を狙って与えてください。 真夏は、気温の高い昼間に与えると、すぐに水の温度が上がって株が弱ってしまうので、朝か夕方の涼しい時間帯に行うことが大切です。 【地植え】 根付いた後は、地植えの場合は下から水が上がってくるのでほとんど不要です。ただし、雨が降らない日が続くようなら水やりをして補います。 【鉢植え】 日頃の水やりを忘れずに管理します。ただし、いつもジメジメした状態にしておくと、根腐れの原因になってしまうので注意。土の表面がしっかり乾いたら、鉢底から水が流れ出すまで、たっぷりと与えてください。茎葉がしおれそうにだらんと下がっていたら、水を欲しがっているサイン。植物が発するメッセージを逃さずに、きちんとキャッチしてあげることが、枯らさないポイントです。 肥料 New Africa/Shutterstock.com 【地植え】 元肥として緩効性肥料を施してあれば、追肥の必要はありません。真夏を除き、株の生育に勢いがないようであれば、液肥を与えて様子を見てください。真夏は暑さのせいで株が弱ってしまい、かえって肥料やけすることがあるため、与えずに切らしておきましょう。 【鉢植え】 株の状態を見て勢いがないようであれば、6月〜7月中旬と9月〜10月上旬に、緩効性化成肥料を少量、株の周囲にまきます。スコップなどで軽く耕し、土に馴染ませておきましょう。開花期間中は、緩効性化成肥料をやめて速効性タイプの肥料を与えるのも一案。開花を促すタイプの液体肥料を、10日に1度を目安に与えて株の勢いを保ちます。窒素成分の多い肥料を与えると、茎葉ばかりが茂って花つきが悪くなるので、与える際には注意してください。 真夏は暑さのせいで株が弱ってしまい、かえって肥料やけすることがあるため、与えずに切らしておきましょう。 日頃の手入れ Andrii Zastrozhnov/Shutterstock.com 【花がら摘み】 ナスタチウムは次々に花が咲くので、終わった花は早めに摘み取りましょう。まめに花がらを摘んで株まわりを清潔に保つことで、病害虫発生の抑制につながりますよ! また、いつまでも花がらを残しておくと、種をつけようとして株が消耗し、老化が早まって花数が少なくなってしまうので注意。花がらをまめに摘み取ると、次世代を残そうとして次から次に花がつき、長く咲き続けてくれます。 【切り戻し】 草姿が乱れてきたら7月下旬に切り戻して、株の若返りをはかります。地際から草丈の半分〜1/3の高さを目安に、深めにカットしましょう。すると新芽を出して株が盛り返し、再び開花し始めます。 病気や害虫など注意点 devil79sd/Shutterstock.com 【病気】 ナスタチウムが発症しやすい病気は、立ち枯れ病などです。 立ち枯れ病は、根や地際の茎から感染する病気です。だんだん生育が悪くなり、葉が黄色くなって株全体に病気が広がり、やがて腐って枯れてしまいます。発生初期に適用のある殺菌剤をかけて防除しましょう。病気が広がるようなら、抜き取って処分します。 【害虫】 ナスタチウムに発生しやすい害虫は、ハダニ、ナメクジなどです。 ハダニは、葉裏に寄生して吸汁する害虫です。体長は0.5mmほどと大変小さく、黄緑色や茶色い姿をしています。名前に「ダニ」がつきますが、クモの仲間です。高温で乾燥した環境を好み、梅雨明け以降に大発生しやすいので注意が必要。繁殖力が強く、被害が大きくなると、葉にクモの巣のような網が発生することもあります。ハダニは湿気を嫌うため、高温乾燥期には葉裏にスプレーやシャワーなどで水をかけて予防するとよいでしょう。 ナメクジは花やつぼみ、新芽、新葉、果実などを食害します。体長は40〜50mmで、頭にツノが2つあり、茶色でぬらぬらとした粘液に覆われているのが特徴。昼間は鉢底や落ち葉の下などに潜んで姿を現しませんが、夜に活動します。植物に不快な粘液がついていたら、ナメクジの疑いがあるので夜にパトロールして捕殺してください。または、ナメクジ用の駆除剤を利用して防除してもよいでしょう。多湿を好むので、風通しをよくし、落ち葉などは整理して株まわりを清潔に保っておきます。 ナスタチウムの増やし方 ナスタチウムは、種まきと挿し芽で増やすことができます。 【種まき】 ナスタチウムは、ビギナーでも種まきから育てられますよ! 種まきからスタートするメリットは、輸送などによる苗への負担がかからず、環境に馴染みやすいことです。敷地が広くてたくさんの苗が欲しい場合には、コストカットにもなりますね。 ナスタチウムの発芽適温は20℃前後。種まきの適期は、4〜5月頃です。種を播く前に、種の外皮を削り、一晩水に浸けて吸水させておくとよいでしょう。種まき用のセルトレイに市販の草花用培養土を入れて種を播き、薄く覆土してください。種が流れ出すことがないように、トレイより一回り大きな容器に浅く水を張り、トレイを入れて底面から吸水させます。発芽までは半日陰の場所に置いて、乾燥しないように管理しましょう。 発芽したら、日当たり・風通しのよい場所へ移動します。本葉が2〜3枚出始めたら、黒ポットに植え替えて育苗します。10日に1度を目安に、液肥を与えると生育がよくなります。本葉が5〜6枚ついてしっかりした株に育ったら、植えたい場所に定植しましょう。 ナスタチウムはこぼれ種で増えるほど生命力が旺盛なので、花壇やコンテナなど育てたい場所に直に播いてもかまいません。 【挿し芽】 挿し芽とは、茎葉を切り取って地面に挿しておくと発根して生育を始める性質を生かして増やす方法です。植物の中には挿し芽ができないものもありますが、ナスタチウムは挿し芽で増やせます。 ナスタチウムの挿し芽の適期は、6月頃です。新しく伸びた茎葉を2節以上つけて切り口が斜めになるように切り取ります。採取した茎葉(挿し穂)は、水を張った容器に1時間ほどつけて水あげしておきましょう。その後、水の吸い上げと蒸散のバランスを取るために下葉を2〜3枚切り取ります。黒ポットを用意して新しい培養土を入れ、十分に湿らせておきます。培養土に植え穴をあけ、穴に挿し穂を挿して土を押さえてください。発根するまでは明るい日陰に置いて乾燥させないように管理します。成長して根が回ってきたら植えたい場所へ定植しましょう。挿し芽のメリットは、親株とまったく同じ性質を持ったクローンになることです。 家庭でナスタチウムを育ててみよう Nadya So/Shutterstock.com オレンジを中心にビビッドカラーのイメージが強いナスタチウム。近年は品種改良が進んで、パステルピンクやパステルイエローなどの花色も出回るようになり、注目を浴びています。比較的強健で、放任してもよく育つので、ガーデニングのビギナーにもおすすめです。ぜひ庭やベランダに迎え入れてみてはいかがでしょうか。
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園芸用品

霧吹き・水さし・ジョウロ・ホース、水やりの腕をあげる8つの選び方
水やりと水量の話 鉢植えの植物に水をやる時は、毎日ちょっぴりずつ水をやるのではなく、鉢土が乾いてきたタイミングを見て鉢底からあふれるぐらいたっぷりと水を注ぐことが原則です。植物によっては乾燥気味を好むものから、たくさん水を必要とするものまで様々。植物が水を欲しているかどうかを見極めるためには日々の実践経験が不可欠で、「水やり3年」といわれるほど奥が深いものでもあります。 ジョウロとひとくちにいっても、容量や重さ、蓮口のサイズなどで排水の量や使い勝手が変わります。 蓮口付きの鉄製ジョウロ 蓮口が取り外しでき、2〜5ℓ入る容量が大きいジョウロは、大きいサイズのコンテナなどに水やりするときに便利。鉄製なので丈夫で長持ちします。容量が大きい分、水を入れると思ったよりも重く感じますが、取っ手が2つあることでしっかりホールドでき、水をこぼさず運ぶことができます。また、2つの取っ手を左右の手でしっかり持ち、微妙に角度を調整できるのでめがけた場所へ排水することができます。 蓮口がないアルミ缶ジョウロ 蓮口がなく、排水口が本体よりも遠い場所で長いジョウロは、太い水の流れが一直線にあふれ出ます。排水口が細いので、葉に水を当てたくない植物(ペチュニアなど)の根元付近にピンポイントで水やりができます。1度に2〜5ℓ入るたっぷりサイズなので水を入れると重いですが、鉄製に比べてアルミ缶は比較的軽く運ぶことができます。短時間でたくさんの水をやりたいときに便利。 細目の蓮口付きジョウロ まるで絹糸を引くような細い水の流れを生み出せる細かい穴が開いた蓮口。蓮口の面を上向きにすれば、水の勢いが抑えられます。流れ出る水の量が少ないので、ちょっと水やりに時間はかかりますが、柔らかな水流は、種を播いた後の水やりや、繊細な草花、葉水にぴったりです。 小ぶりのプラスチック製ジョウロ 容量が1ℓ以下の小ぶりなジョウロは、多肉の寄せ植えや小さな観葉植物など、室内の植物へ少量水やりをするときに手軽に使えて便利。インテリアとして窓辺の片隅に置いて、日常使いにしたいデザイン。 細口の小ぶりなジョウロ 口が細く長いジョウロは、狙ったところだけに水を注げるのが最大のメリット。小さなジョウロなら水を入れても重くならず、安定して使えます。周囲を汚したくないお部屋での水やりや、ペチュニアなど葉に水がかからないほうが良い植物の根元への水やりに。 ホース 花壇など地植えの場所には、断然ホースで水やりするのが便利。大抵の製品がホースの先に水流の調節ノズルが付いているので、シャワー状の水流でじっくり水やりができたり、少し遠い場所にめがけてジェット噴射したりと、状況に合わせて色々な水流を出すことができます。写真のような、アイアン製のどっしりと重いホースリールが一体になったものなら、水流で動いたりせず安定して使えます。広い庭では、要所要所にそれぞれホースリールを用意すると便利。 ピッチャー 口が大きなピッチャーは、全体にたっぷり水を掛けることができます。たとえば、ベランダで「気がついたら水が足りなくて植物が枯れかけている!」など、ピンチの状態でも急いで水をたっぷりやることができます。また、切った花を一時的に水揚げするときや、花瓶替わりに使うこともできます。 霧吹き 多肉や観葉植物など室内栽培に必須の霧吹き。根元に水やりするだけでは、地上部が乾燥して葉ダニなどが発生するため、ときどき霧吹きで葉水をしましょう。雨がかからないベランダでも霧吹きを使って、葉に潤いを与えましょう。ジョウロでは流されてしまう小さな種への水やりにも。 水やり道具を使い分けて腕をあげましょう 育てる植物の種類が増えるごとに、それぞれに合った水のやり方についても考えるようになります。重いジョウロを持ってでも、スピーディーに水やりを終わらせたいなら容量が大きいジョウロを使いたいし、植物と対話しながら時間をかけてゆっくり水やりをするなど、生活スタイルによってもジョウロの選び方が変わってきます。 ジョウロは、ガーデンショップによって扱っているデザインや容量、素材などが違うので、見た目だけではなく実際に手にとって自分が水やりするときのことを想像して選んでください。アンティークショップなどでは、使い込まれた味のあるジョウロにも出合うことができます。ガーデニングの本場、英国で使い込まれたジョウロを使ったら、ガーデニングの腕があがるかも?
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宿根草・多年草

まるで綿飴のように咲く! 植えっぱなしで夏の庭を華やかに彩る宿根フロックス
宿根フロックスとは エキナセアやカライトソウとともに夏の庭を愛らしく彩る宿根フロックス。Sergey V Kalyakin/Shutterstock.com 宿根フロックスは、ハナシノブ科クサキョウチクトウ属(Phlox フロックス属)の多年生植物。原産地は北アメリカ、北東アジア。高山帯から森林や草原地帯まで幅広く生息しています。 夏の庭で摘んだ宿根フロックスとユリを飾って。Daykiney/Shutterstock.com 日本への渡来時期の詳細は不明ですが、江戸時代の書物に登場することから、その頃までには日本にやってきたことが分かります。濃いピンクの5弁の小さな花を房状に咲かせる豪華な花姿。甘い香り。江戸時代の遊郭の華、「花魁」を思わせることからか、「花魁草(オイランソウ)」と名付けられ親しまれてきました。 また、「クサキョウチクトウ」の別名もあります。小型の夾竹桃の意味。花の形、花期が似ていることから名付けられました。 白い宿根フロックスの涼しげな景色。Sergey and Marina Pyataev/Shutterstock.com 真夏の花というイメージが強い植物でしたが、近年改良が進み、春咲き、夏咲き、花色も白、ピンク、赤、ブルー、絞り、と多彩な展開を見せています。斑入り葉もありますから、花のない時期にも楽しめます。現在では「宿根フロックス」の名称で流通していることが多いです。 夏咲きの宿根フロックスは草丈が100cm前後に大きくなるものも多く、広い庭の中景を彩るのに最適です。小花が密集して株を覆うように咲くため、色の効果が抜群です。 宿根フロックスの品種 宿根フロックスの中で、人気の品種を春咲きタイプと夏咲きタイプに分けてご紹介します。 【春咲きタイプ】 花期は4~6月。草丈は15~40cm。花は横に広がって咲きます。日向から半日陰、水はけのよい場所を好みます。花後、葉の緑は残りますが、冬には地上部は枯れ、翌年の3月に新芽を出します。 ① フロックス‘ビルベーカー’ markgeza/Shutterstock.com ピンク色の花が一面に広がり、春らしい柔らかな風景を作ります。花がらをこまめに摘むと、3カ月近く花を楽しめます。 ② フロックス ‘ホワイト・パヒューム’ Sergey V Kalyakin/Shutterstock.com 花色は白。葉や茎が細く繊細。名前の通り芳香花をたくさん咲かせます。 ③ フロックス‘クラウズ・オブ・パヒューム’ Alex Manders/Shutterstock.com 花色は淡いブルー。花期には株を覆うように花を咲かせ、いい香りを漂わせます。暑さ、寒さに強く丈夫な性質です。 ④ フロックス‘モントローザ・トリカラー’ VladimirShnip/Shutterstock.com 葉に白い斑が入る品種。季節によって白い斑がピンク色を帯びます。花色はブルー。花と葉の組み合わせがロマンチックで美しい。芳香花。 ⑤ フロックス・ピロサ 桃色の花が可憐な品種。高温多湿を嫌うので、風通しのよい場所に植えましょう。 【夏咲きタイプ】 花期は6月~9月初め。草丈60~100cmの比較的大型のものが多いです。 暑い中でも元気に咲く夏の代表的な宿根草で、性質が強く土質を選びません。日当たり・水はけのよい場所なら、放任で毎年咲き大きくなります。乾燥には強いですが、蒸れるとうどんこ病になりやすいので、混み合ってきたら株分けをしましょう。 ① フロックス‘スターファイヤー’ Galina Bolshakova 69/Shutterstock.com 花色は鮮やかな赤。葉や茎が黒みを帯びて花の色を引き立てています。花茎が太く、ピラミッド状に盛り上がる豪華な花をしっかり支えている様は、夏花壇のまさに“スター”的存在です。 ② フロックス‘クレオパトラ’ VladimirShnip/Shutterstock.com 花は小さめですが、きれいなチェリーピンクが存在感抜群です。草丈が30~40cmと夏咲きタイプの中では低めのほうです。 ③ フロックス‘ブルー・パラダイス’ Sergey V Kalyakin/Shutterstock.com 咲き始めは赤紫で、咲き進むと徐々に青く変化します。生育が早く丈夫で、100cmにもなる大型種。1輪が4cmもある大輪花が咲きそろう姿は見事。香りも素晴らしく、ブルー系の中では特におすすめの品種です。 ④ フロックス‘ジェイド’ Anna Gratys/Shutterstock.com 可愛い丸弁の白花で、花弁に淡いグリーンの縁取りが入ります。夏の庭に爽やかな印象をもたらしてくれます。草丈は50cm程度でコンパクト。性質が丈夫で、花もちもいいです。 ⑤ フロックス‘ペパーミント・ツイスター’ Andrew Pustiakin/Shutterstock.com 白地にピンクのパラソル模様が入る、お洒落で爽やかな品種。草丈は60cm程度。ほかの色の濃いフロックスと取り合わせてもよくマッチします。切り花としても注目されています。 ⑥ フロックス‘ミスリンガード’ Tony Baggett/Shutterstock.com ウエディングドレスを連想させる純白の花です。草丈90cmほどに伸び、ボリュームのある姿は夏のホワイトガーデンに欠かせない存在です。6~9月と長く咲きます。 ⑦ フロックス‘クレームドマント’ Anna Gratys/Shutterstock.com 白い花弁の中心にピンク色のボカシが入るエレガントな花が房状に咲きます。さらにクリーム色の斑入りは花期以外もリーフプランツとして楽しめます。植栽に変化を与えてくれる、おすすめの品種です。 フロックスの育て方 宿根フロックスは日本の気候に適した植物ですから、あまり手をかけずに育ちます。 スターファイヤーのような高性種は後方へ植栽。SHARKY PHOTOGRAPHY/Shutterstock.com 植え付け場所 日当たり・水はけのよい場所に植え付けます。蒸れると、うどんこ病が発生する恐れがありますから、風通しのよい場所を選びましょう。 群植すると、開花期は見事な景観を作ります。大きく育ちますから、株間を30~40cm取りましょう。また、品種によって草丈が異なりますので、「スターファイヤー」のような高性種は庭の後方か、もしくは中心部に植えるとよいでしょう。 植え付け時期 春は3~5月、秋は9~11月に植え付けます。 用土・肥料・水やり 宿根フロックスは多湿を嫌いますから、地植えの場合は植え付け時にたっぷり腐葉土をすき込み、元肥として堆肥と緩効性化成肥料を与えます。 鉢植えの場合は、市販の草花用培養土を使い、緩効性化成肥料を与えます。追肥は特に必要ありません。毎年春の発芽前に元肥と同じものを株間にすき込みます。 水やりは植え付け時にたっぷり与え、その後は土の表面が乾いたら与えるようにします。地植えは根付いたら必要ありません。宿根フロックスは、基本的に乾燥には強いです。 Galina Bolshakova 69/Shutterstock.com 摘心と切り戻し 草丈が15cmくらいのうちに主軸の成長を止めると脇芽がたくさん出て花つきがよくなります。花が咲き終わったら花穂の切り戻しをしてください。次々に花穂が上がって長く楽しむことができます。 病害虫 6月と9~10月にうどんこ病が発生しやすいので、株間をゆったり取って風通しをよくし、予防に努めましょう。発生したら蔓延する前に、うどんこ病にかかった部分を取り去ってください。 冬越し 地上部が枯れたら株元を少し残して切り戻します。耐寒性は高いですから、特に対策をしなくても冬越しできます。春3月頃、再び芽吹きます。 Sergejs Filimon/Shutterstock.com 増やし方 株分けと根伏せで増やします。適期は春の3~5月、秋の10月です。共に植え替え時に行います。 株分けはあまり小さく分けず、1株に5芽程度つくように分けると、その後の生育もよく元気に育ちます。 根伏せは、株を掘り上げたら、まず土を洗い落とします。元気な若い根を選んで、7〜12cmに切り取ります。根の先端部を切り落として用土の入ったポットや箱に寝かせた状態で埋めてください。水を切らさないように明るい日陰で管理し、発芽を待ちます。 Sergey V Kalyakin/Shutterstock.com 宿根フロックスの魅力は、「丈夫さ」と「多彩な花色」です。あなたの庭をさらにダイナミックに、また優しく柔らかに見せたいと願うとき、必ずぴったりの品種が見つかります。 そして、丈夫な宿根草ですから、一度根づいたら春から秋まで途切れることなく、庭を美しく彩ってくれます。夏枯れに悩むことなく、元気でゴージャスな花が楽しめるのがうれしいですね。 宿根フロックスのもう一つの魅力は、「香り」です。品種によってさまざまな香りがありますから、ぜひお気に入りを見つけてください。
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寄せ植え・花壇

【半日陰の寄せ植え】ヤマアジサイとインパチェンスの寄せ植え
小ぶりな花が寄せ植えにぴったりのヤマアジサイ 住宅街の庭では、建物に日が遮られて、一日中日が当たっている庭はなかなかありません。一日のうち数時間だけ日が当たる場所を半日陰と呼びますが、そうした場所で美しく映える花の代表がアジサイ。なかでもヤマアジサイは、古くから日本の山野に自生してきた花木で、気候に馴染み育てやすく、ガーデニングビギナーにもおすすめです。豪華な西洋アジサイとは異なり、野趣あふれる花姿は趣があり、株が小型のものは小さな庭や寄せ植えにも向きます。今回の寄せ植えの主役には、そんな小型のヤマアジサイ‘伊予獅子てまり’を用いました。 ヤマアジサイは根の生育が旺盛で、生育期には水を盛んに吸い上げるので、鉢はある程度大きさと深さがあるもののほうが乾きにくく向いています。 華奢な枝に小ぶりの花を咲かせるヤマアジサイ‘倉木てまり’や‘伊予獅子てまり’。花色は土壌の酸性度によって変わり、酸性だと青色に、アルカリ性だとピンク色になります。 濃いブルーが印象的なヤマアジサイ‘藍姫’も小ぶりで寄せ植えに好適。 半日陰できれいに咲くインパチェンス 寄せ植えでは、同じ環境を好む草花を選ぶ必要がありますので、同様に半日陰を好む草花をヤマアジサイの株元に入れました。インパチェンスはアジサイと開花期が同じで、半日陰を好むので、組み合わせるにはぴったり。ここではバラのように花心が渦巻いて咲くインパチェンス‘カリフォルニアローズ フィエスタ’のアップルブロッサムをセレクト。やさしい水色のヤマアジサイによく似合うふんわりしたパウダーピンクの花です。ほかに斑入りコデマリ‘ピンクアイス’、黒い葉が美しいヒューケラ、銀葉のラミウムを合わせました。すべて半日陰を好む植物です。 半日陰でよく育つラミウム。銀葉が美しく、ピンクや黄色などの花色がある。 花と花の間に入れる葉ものがポイント 植栽のレイアウトは、中央にヤマアジサイ、次にヒューケラ、鉢縁にいくに従い草丈の低い植物を配置しています。ヤマアジサイは小ぶりの品種を選んでいますが、植えた直後のインパチェンスは草丈が15〜20cm程度なので、間にやや空間が生まれます。その空間をちょうどよくつなぐのが、黒っぽい葉色のヒューケラ。ヤマアジサイとインパチェンスの花と花の間には、ヒューケラのようなリーフプランツを入れるのがポイントです。花を引き立ててより美しく見せる役目を果たします。インパチェンスは生育するに従い、こんもりと茂って草丈も高くなってきます。 インパチェンスで半日陰を華やかに! インパチェンスは初夏から秋までよく咲き、半日陰の庭を彩る夏の一年草の代表です。草丈は10〜40cmで、こんもりと茂るので、花壇の前方や寄せ植えの素材として重宝します。花径3〜4cmの愛らしい花は株を覆うようにバランスよく咲き、主役にも脇役にもなるので、使い勝手も抜群。ヤマアジサイとの寄せ植えでは準主役として共演しましたが、上の写真のように主役としても活躍してくれます。ここでは、バラ咲きの人気品種インパチェンス‘カリフォルニアローズ フィエスタ’を主役に、周りに半日陰を好むラミウムやアジュガを植栽しました。 日陰の庭に人気の「バラ咲き」 ‘カリフォルニアローズ フィエスタ’ とりわけバラのように優雅な花姿で人気のインパチェンス‘カリフォルニアローズ フィエスタ’は、寄せ植えの主役としても存在感を発揮します。この品種は「暑さに強いバラ咲きインパチェンス」として、20年を超えて愛されている人気品種で、カラーバリエーションも豊富。春から晩秋まで長く咲き続け、日陰を鮮やかに彩ってくれます。 半日陰の寄せ植えのお手入れと注意点 植え付け時に緩効性肥料を用い、追肥として緩効性肥料を与えるか、定期的に液肥を施しながら育てます。水は表面の土が乾いたら、鉢底から流れ出るまでたっぷりとあげましょう。暗い場所はナメクジやダンゴムシも好み、花や葉を食べられることがあるので、専用の忌避剤などを用いて対策をしておくとよいでしょう。もし薬剤を用いたくないなら、ナメクジは夜行性なので夜のパトロールで捕獲しましょう。 インパチェンスのお手入れ 長く咲かせるために、植え付け時に緩効性肥料を用い、追肥として緩効性肥料を月に1度与えるか、定期的に液肥を施しながら育てます。株が大きくなって間のびしてきたら、7月頃に地上部を15cm程度残して、刈り込みます。刈り込んだ後、追肥を与えることで、もう一度きれいな姿で花を楽しめます。一年草なので晩秋に花が咲かなくなってきたら寿命です。 ヤマアジサイのお手入れ ヤマアジサイは5〜7月に開花し、晩秋には落葉しますが、枯れたのではなく休眠しているだけです。翌春には再び新芽を出して生育し始めるという、一度植え付ければ長い期間にわたって毎年の開花を楽しめる、コストパフォーマンスの高い植物です。10月頃には翌年のための花芽がつくので、花が終わったら9月までには剪定し、液肥を与えましょう。枝にある節を3〜5個残し、節の上2〜3cmのところでカットして切り戻し、樹高を低くします。古くなっている枝があれば、根元から切り取って新しい枝に更新します。 日当たりに恵まれない庭でも、花を選べば華やかに空間を彩ることができます。今回ご紹介した半日陰を好む植物の寄せ植えは、玄関ポーチなど庇があり陰ができる場所に最適です。暗くなりがちな場所に華やかな寄せ植えがあれば、パッと明るく美しく見えますよ。
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おすすめ植物(その他)

アイリスの育て方 夢見るような花色&丈夫でコスパ最高の球根植物
多彩な花色が虹のように美しい「アイリス」の花言葉 Kylbabka, alfotokunst/Shutterstock.com 「アイリス」という名前は、ギリシャ神話の虹の神イリスに由来します(英名ではアイリス、仏名ではイリス)。ギリシャ神話では、イリスは虹を神格化した存在として七色に輝く衣をまとい、大きな翼を持つ美しい女神。天と地とを結ぶ使者です。アイリスの花言葉は「メッセージ」「吉報」「希望」などがあります。 MaCross-Photography/Shutterstock.com その花色は、青、紫、白、黄、ピンク…。一つの花の中にいくつもの色がグラデーション状ににじんでいる様は、まさに虹の女神の衣のよう。花弁の縁が彩られるバイカラーやドラマチックなダークカラーまで多彩。花弁の縁が、ひるがえったドレスの裾のようにヒラヒラと優雅なフリル状になっているのはジャーマンアイリスで、花形が大きく特に花色のバリエーションが豊富です。魅惑的な花色があふれるアイリスは画家ゴッホも心酔し、何枚もの作品を残しています。 青が印象的なアイリス。Daniella Danilejko/Shutterstock.com ゴッホが描いた「アイリス」1889年5月、油彩、ケディ・センター蔵 ゴッホはとりわけ紫と黄の補色対比に惹かれ、弟のテオへの手紙の中にもその色彩について伝えています。 一枚の方は、真黄色のきんぽうげが一面に咲いた野原で、紫の花に緑の葉の菖蒲のある溝、背景に町、数本の灰色のねこ柳、青空の帯。1961年 岩波文庫 ヴィンセント・ファン・ゴッホ著、ボンゲル編、硲伊之助訳『ゴッホの手紙(中)テオドル宛』より ブルーの花の中に1輪黄色のアイリスを交ぜて花瓶に。ゴッホは花瓶に飾ったアイリスの作品も残している。Daykiney/Shutterstock.com 魅惑的な黄色と紫とブラウンの入り交じるアイリス。Tootles, gardenia68/Shutterstock.com アイリスには、まさしくゴッホが惹かれた紫と黄の補色対比で構成されている花が多くあり、1輪でインパクトを残すユニークな花色も少なくありません。庭の中でもアイリスを用い、同様の色の組み合わせで花壇を構成する場合がしばしばあります。 紫のアイリスの周りを黄色の花のアルケミラモリスやヘメロカリスで彩った補色対比の花壇。英国ヒドコート・マナー・ガーデン。 シャープなラインと優雅な花形は庭での映えも抜群! 淡い紫色のシャクナゲの花を背景に咲くアイリス。縦のシャープな線が背景と対照的で美しさが際立つ。 アイリスはその花色だけではなく、すっきりと縦に伸びる剣状の姿も美しいのが特徴です。花が終わった後にも、細くシャープな葉はオーナメンタルグラスとして活躍してくれるでしょう。草丈は40〜70cmで、他の草花とも組み合わせやすい高さです。 青い縁取りの個性的なアイリスとアリウムの組み合わせ。John A. Anderson/Shutterstock.com バラの群生を背景に咲くダークパープルのアイリス。横浜イングリッシュガーデン。 アヤメ、カキツバタ、ハナショウブ アイリスは、アヤメ科アヤメ属(アイリス属)の多年草。学名はIris。原産地は北半球の温帯地域です。日本では「アヤメ」というと「アイリス・サンギニア」を指しますが、広くアヤメ属のカキツバタやハナショウブなども仲間です。 スラリとした粋な美人たちを「いずれ、アヤメかカキツバタ」と褒め称える言葉があります。どちらなのか、一見分かりにくいのですが、花弁の付け根の模様で見分けることができます。 Mariia Romanyk, F_studio, Natalia van D/Shutterstock.com 付け根が網目状のものが「アヤメ①」、白い筋が「カキツバタ②」、黄色い筋が「ハナショウブ③」。また生育環境の違いでも、大きく、陸生(アヤメ、ジャーマンアイリス、ダッチアイリス)、水生(カキツバタ)、半乾湿地生(ハナショウブ)に分けられます。 なお、5月5日端午の節句に飾られる「ショウブ」はアヤメ科ではなく、サトイモ科です。ややこしいですが、それだけ魅力があり、古くから多くの園芸種も作出されています。 「ほととぎす 鳴くやさつきの あやめぐさ あやめも知らぬ 恋もするかな」 古今集には、読み人知らず(作者不明)として、こんな和歌が詠まれています。恋をしてあやめぐさの模様のように、どうにもならない思いの乱れに悩んでいる、といった意味でしょうか。素敵ですね。 ジャーマンアイリスの育て方 アヤメ属の植物はいずれも、寒さにも暑さにも強く、丈夫で育てやすいです。その中でも陸生でガーデンに気軽に取り入れやすく、さまざまな園芸品種があり、多彩な花色を楽しめるジャーマンアイリスの育て方をご紹介します。 花期と植え付け時期 開花は5月半ばから7月半ば。五月晴れの蒼天の下、また梅雨の雨の日にも鮮やかな花を咲かせてくれます。草丈は40〜70cm。 ジャーマンアイリスの球根(塊状の根)は、春と秋の2回販売されます。植え付けは、3月と9月下旬が適期。 植え付け場所 ジャーマンアイリスは、日当たりと風通しがよくて、水のたまらない場所を好みます。酸性土を嫌うので、植え付け前に苦土石灰をまいておきましょう。また、腐葉土を入れておくと水はけがよくなって、根張りにいい影響を与えます。 ジャーマンアイリスは、何より土が過湿になることを嫌うので、20〜30cm土を高く盛って植え付けましょう。球根の間隔は40〜50cmあけます。球根の半分が土の上に出るように、芽を上に向けて、球根を土に軽く押しつけます。 鉢植えの場合は、24cmの素焼き鉢に1球を目安に植え付けます。植え付け後は、土が湿っていれば水やりは不要です。 球根が半分表面へ出るように、芽を上にして植える。 肥料 植え付け後1年間は肥料を与えません。肥料が多すぎると病気が発生する原因になります。2年目以降は、窒素分の少ない液肥を生育期間に3回ほど与えます。緩効性肥料を株間に与えてもいいでしょう。 病害虫 病気で注意するのは、株元が腐り、葉が枯死する軟腐病。株元に雑草が茂ると日当たりや風通しが悪く病気の発生原因になるので、清潔な環境を保つようにします。 増やし方 ジャーマンアイリスは植えっぱなしでよく増えるので、2〜3年に1度、株分けを兼ねて植え替えをします。株が元気になり、花付きもよくなります。 植え替え適期は9〜10月。清潔なナイフやハサミで、1つの株に芽が1〜3個付くように株元を切り分けます。分けた株は葉を半分くらい切り落とします。それぞれの株を、球根の背中が土から半分くらい出るように浅く植え付けてください。 Maya Kruchankova/Shutteestock.com 品種 ジャーマンアイリスは1800年代にドイツやフランスで品種改良が進み、現在ではアメリカでさまざまな品種が作り出されています。 ひらひらした透き通る花弁が魅力的で、色も多彩。アイリスは立ち上がる上弁、垂れ下がる下弁で構成されていて、上弁と下弁が違う色の複色種、また上弁と下弁が同じ色の単色種、花弁を異なる色で縁取る覆輪種などがあります。 春と秋に開花が楽しめる二期咲き種、甘い上品な香りを漂わせる芳香種などもあり、よりどりみどり、迷うほど豊富なラインアップの中から好みの花が選べます。 カキツバタ、ハナショウブの楽しみ方 pianoman555/Shutterstock.com カキツバタは水生植物ですから、根元が水の中にひたっていなければなりません。鉢に植えたカキツバタを水鉢に入れることで、簡単に育てることができます。メダカなどを飼っているビオトープに入れても楽しめます。 一方、ハナショウブは水生植物ではありません。乾燥しすぎないところであれば、どんな場所でも育てられます。ただし、つぼみを持ち開花する頃は十分な水やりが必要です。乾燥すると花がきれいに開かずしぼんでしまいます。鉢植えでは、鉢受けにたっぷり水を張っておきましょう。 5月下旬から6月にかけて、各地の「花菖蒲園」でハナショウブが開花を迎えます。 明治神宮御苑内の花菖蒲田(150種1,500本)、東京都葛飾区の堀切菖蒲園(200種1,500本)などが有名ですが、日本各地にもっと規模の大きい花菖蒲園があります。お住まいの近くの花菖蒲園に、ぜひおでかけになってください。ハナショウブの美しさと同時に、伝統的な日本庭園の趣も味わえることでしょう。
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ガーデン&ショップ

都市公園に全国初の「ガーデンセラピー」を体感できるユニバーサルガーデン
庭が人へもたらす生理学的作用 2004年の浜名湖花博でつくられた「花の美術館 モネの庭」を再整備した浜名湖ガーデンパーク内の「印象派庭園 花美の庭」。(*) 画家のクロード・モネは草花を絵の具代わりに、キャンバスの上に絵を描くように庭づくりに没頭し、「生きた美術館」と評される美しい庭を残しました。しかし今、庭は芸術的価値を持った観賞の対象としてだけでなく、私たちの暮らしや心身に好影響をもたらす空間として、新たな価値が見いだされつつあります。 緑の血圧正常化作用 緑を見てホッとしたり、美しい風景に癒やされるという感覚は、誰しも経験があるでしょう。これまで体験的なものとして知られてきたこうした感覚に、千葉大学大学院・園芸学研究科の岩崎寛准教授は、血圧の正常化など緑が心身にもたらす生理的作用を発見。緑を見ることで恒常性回路が崩れる要因であるストレス刺激が緩和され、自己治癒力を高める効能があることを解明しました。 緑のストレス減少作用 また、オランダのある市民農園では、読書とガーデニングを比較したストレス値の計測実験が実施され、ガーデニングのほうが読書よりもストレスホルモンを軽減するという結果が得られました。さらに、東京都市大学総合研究所・環境学部の飯島健太郎教授が行った実験では、ガーデニングをしなくても、単に緑との距離が近いほど、ストレスホルモンが減少することが分かっています。このように、これまで「癒やし」という言葉で表現されてきた庭の効果には、生理学的作用があることが科学的に裏付けされ始めています。 理学療法的効果をもたらすガーデンデザイン 一方、こうした生理学的な作用に対し、理学的な療法効果を得られる空間としてガーデン設計を行っているのが、造園家の阿部容子さんです。阿部さんはアメリカ園芸療法協会会員として、米国のカンファレンスで学んだ知識や技術を生かした庭設計を行っています。 整形外科の屋上ガーデン。車椅子の人が移動しやすい、高さを上げた芝生の花壇。足裏刺激も得られる歩行訓練の場所として活用されている。 「理学的な療法効果とは、簡単にいえば、リハビリ効果がその一つです」と阿部さんは話します。例えば、過去に阿部さんが設計施工した整形外科の屋上ガーデンでは、加齢や事故、病気などさまざまな事情により身体機能が失われた方が、庭を歩くことでリハビリ効果が得られるよう道幅や距離、花壇の高さなどを専門医の意見を取り入れながら設計しました。そうした特別な事情がない場合でも、個人邸ではより使う人の心身の事情に寄り添って、背丈や腕幅、足の昇降高、視力など個人のフィジカルデータを反映した設計をすることで、その人がより快適に過ごせる庭づくりを行っています。 「もちろん、美しいというのは大前提。それに加えて、その人にフィットする機能を庭に落とし込むのが、私のガーデンデザインの信条です」(阿部容子さん) 浜名湖ガーデンパークに誕生する「ガーデンセラピー」を体感できるガーデン こうした庭の生理学的・理学的な療法効果を体感できるのが、浜名湖ガーデンパークに誕生するユニバーサルガーデンです。このプロジェクトは2024年春、浜名湖花博20周年を記念した「浜名湖花博20周年記念事業実行委員会(県部会)」の事業の一環で、阿部容子さんがデザインを担当。ガーデンセラピーを取り入れたデザインが予定されています。 浜名湖花博20周年記念事業は、内閣が提唱する国家戦略とも呼応する「デジタル田園都市(ガーデンシティ)」をテーマとしており、高齢化社会における健康寿命の延長や多様性を理解するための世代間交流など、浜名湖周辺の環境を活かした、自然の癒やしと現代の利便性を体感できるライフスタイルの提案の場として展開されます。 阿部さんがセミナー内でセラピーガーデンの実例として示した米国シカゴボタニックガーデンの「イネイブリングガーデン」。車椅子のガーデナーが設計した。Photo/Cicago botanic garden 2023年4月24日、ガーデンセラピーという新たな庭の価値観を取り入れたユニバーサルガーデンの設計を担当する阿部容子さんのセミナーが開催されました。セミナーには市内外の造園業者や学生など約35名が参加。ユニバーサルガーデン及びガーデンセラピーの考え方や認知機能に好影響を及ぼす特定の植物を取り入れたガーデン設計アイデア、療法的効果に積極的にアプローチする庭での五感刺激の方策などについて、阿部さんが解説し、参加者が熱心にメモを取る姿が見られました。 2023年4月24日に開催されたセミナーの様子。 市民の健康増進に寄与する新しい都市公園の提案 2024年春の浜名湖花博20周年記念事業へ向けて再整備されている浜名湖ガーデンパーク。(*) 浜名湖ガーデンパークという都市公園において、ガーデンセラピーを体感できるユニバーサルガーデンが展開される意義について、阿部さんに伺いました。 「庭は、これから向かう超高齢化社会において、さまざまな療法効果を得られる住宅の必須機能として位置付けられていくでしょう。しかし、まだその情報発信は十分ではありませんし、体感できる場所もありません。ですから、今回のユニバーサルガーデンでは、さまざまな庭の療法的効果を体感できる場所であると同時に、市民の皆さんがこのガーデンからさまざまなアイデアを持ち帰って、ご自宅の庭で実践できるセラピーガーデンのモデルガーデン的役割を担う必要があると思っています。訪れて楽しい場所であると同時に、市民生活の向上のための情報発信基地という役目も、浜名湖花博20周年記念事業が掲げる新しい都市公園のあり方として重要なポイントだと考えています」 造園家の阿部容子さん。 公園という不特定多数の人が利用する場所では、誰もが利用しやすいデザインとしてユニバーサルデザインを意識する必要がありますが、今回は「誰もが」という条件に応える一つのデザインに限定しない形を、阿部さんは考えています。 「例えば、回遊路を全部、車椅子で通れるスロープにしておけばユニバーサルなのかといったら、そう単純なものではありません。車椅子ユーザーにもさまざまな体格の人がいますし、介助の必要がある方もない方もおられ、お使いの車椅子の機能も異なります。場合によっては長いスロープより、車椅子で上がれる高さにした階段状の道のほうが安心な方もいらっしゃいます。また、足腰の弱った方には、高さや手すりのデザインに配慮した階段のほうが、スロープを歩き続けるより楽なことがありますし、健康な方にとってはスタスタ上がれる階段のほうが快適でしょう。 ですから、複数の選択肢を用意することによって、ガーデンを訪れた方がご自身のそのときの事情に合わせて園路を選んでこの庭を楽しみ、またいろいろな方法で楽しむ他の人の姿を目にすることで、他者への相互理解も進み、多様性を自然と受け入れる社会に繋がっていくとも思います。そして、ここを訪れた皆さんが、さまざまなことを体験し、自宅の庭にそのアイデアを持ち帰ってご自身の生活に生かしたいと思ったとき、今回セミナーに参加してくださったプロの造園業者の方々が、セラピーガーデンの設計知識を生かして活躍してくれたら理想的ですよね。そうなれば、県が掲げるデジタル田園都市構想が着実に実現化されていくのではないかと、私自身とても楽しみにしています」 コロナや社会情勢のめまぐるしい変化を受け、私たちの暮らし方や価値観も大きな変革期を迎えてさまざまな模索がされています。浜名湖花博20周年記念事業で推進されるプロジェクトは、新時代の暮らし方への一つの明確な回答として、2024年の春の開幕が大きな期待とともに待たれます。
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観光ガーデン

至高のバラ「ブルガリアン・ローズ」が横浜イングリッシュガーデンに登場
世界一のバラの香料を生産するブルガリア「バラの谷」 朝日を浴びて輝き出すバラの谷。nikolay100/Shutterstock.com ブルガリアの中部、バルカン山脈の南に位置し、スレドナ・ゴラ山脈との間に挟まれた東西約140kmの細長い渓谷、通称「バラの谷」。5月、吸う息や吐く息さえもバラ色に染まりそうなほど、谷はブルガリアン・ローズのピンク色で埋め尽くされます。ブルガリアン・ローズはロサ・ダマスケナ、カザンラクの名前でも知られるオールドローズの一つで、樹高は人の背丈程度。春にピンク色のクシュクシュとした愛らしい花を咲かせますが、何よりも人を引きつけるのは、その香りです。ブルガリアン・ローズの香りは「ダマスク香」というバラを代表する甘く芳しい香りで、さまざまな現代の園芸品種にも受け継がれています。 花は一つひとつ丁寧に手摘みされる。macondo/Shutterstock.com バラの谷では何世紀にもわたってバラの栽培が行われ、国家事業の一つとしてローズオイルが生産されてきました。北海道とほぼ緯度を同じくし、湿気が少なく冷涼なこの地で生産されるローズオイルは、その品質の高さから「黄金の液体」と称され、シャネルなど多くのメゾンが自社の香水にブルガリアン・ローズオイルを用いています。高い品質を維持するために、ブルガリアにはバラの花やローズオイルの栽培者・扱い業者の権利と義務を法制化したバラ製造に関する法律があり、世界に誇る品質が守られてきました。 摘み取られたブルガリアン・ローズは袋詰めされ、すぐに抽出所へ。RaDoll/Shutterstock.com ブルガリア国立バラ研究所は品質維持のための中枢機関で、ローズオイルやローズウォーターの分析・評価・認定を行うとともに、その効果効能についての化学的・薬理学的な研究が進められてきました。ダマスクローズは他国でも栽培されローズオイルの生産が行われていますが、生産地や抽出の技術などによってローズオイルに含まれる成分には大きな差が生まれます。 Anita Ben/Shutterstock.com バラの谷のローズオイルは275 種類以上ものマクロ、ミクロ成分を含有し、複合的かつ絶妙な構成配分であることが分かっています。ゆえに調香師の世界では、単にダマスクローズオイルではなく、「ブルガリアのダマスクローズオイル」を用いることが重要なポイントであることは常識です。「至高の香り」と呼ばれるバラの谷のローズオイルは香水として用いられるだけでなく、その多彩な微量要素の働きにより疾病治療や美容、女性特有の不調などに古くから利用されてきました。 ブルガリア国立バラ研究所からYEGに寄贈された特別な1株 そんなバラの国、ブルガリアから、神奈川県横浜市のローズガーデン「横浜イングリッシュガーデン」にブルガリアン・ローズがやってきました。バラの谷の東端に位置する街、カザンラクの名前でも呼ばれるこのバラは、日本でも苗が市販されていますが、今回やってきたのは、駐日ブルガリア共和国大使館マリエタ・アラバジエヴァ大使を通し、ブルガリア国立バラ研究所から寄贈された貴重な1株。2023年4月28日(金)に、マリエタ・アラバジエヴァ大使とテレビ神奈川熊谷典和社長による植樹式が執り行われ、ブルガリアン・ローズが横浜イングリッシュガーデンの芝地エリアに根をおろしました。 左から「横浜イングリッシュガーデン」スーパーバイザーの河合伸志さん、ブルガリア大使、テレビ神奈川熊谷典和社長。 ブルガリア大使のバラの楽しみ方 バラはブルガリアの国花で、女の子の名前にバラが使われていたり、ブルガリアでは人々の暮らしにとても身近な存在だといいます。大使ご自身もバラが大好きで、公邸にもカザンラクが植えられています。 「この季節は朝、カザンラクの香りをかぎに庭に出るのがとても楽しみなんです。バラは観賞するだけでなく、ブルガリアではバラジャムやバラの蜂蜜など、食卓にもしばしば登場します。これらは胃によいことでも知られ、私はパンケーキやヨーグルトに入れて食べるのが好きです。ローズオイル生産の副産物として抽出されるローズウォーターは最も身近な化粧水で、肌の水分を保持するのにとてもいいんですよ」(マリエタ・アラバジエヴァ大使) 植樹式当日は、駐日ブルガリア共和国一等書記官のペトラ・ニコラエフ氏によって、ブルガリアの観光と歴史を紹介する講演が開催。1kgのローズオイルを得るために3,000kgものバラの花びらが必要であることや、毎年開催されるバラ祭りについて、またバラと並んでブルガリアの特産品であるヨーグルトを使った夏のスープなどが紹介され、ブルガリアの奥深い魅力に触れる機会となりました。 この投稿をInstagramで見る 横浜イングリッシュガーデン-公式アカウント(@yokohama_eg_official)がシェアした投稿 また、園内の芝地エリアでは軽快な音楽とともにブルガリアの伝統舞踊が披露されました。その様子を上記の公式インスタグラムで紹介しています。 バラがより強く香る時間帯の「早朝プレミアム開園」実施中! 4/22(土)~5/21(日)の期間中には、毎年好評の「早朝プレミアム開園」も実施。期間中は通常より2時間早く、8時に開園。清々しい早朝の園内で、ブルガリアからきた貴重なブルガリアン・ローズの香りを堪能してみませんか。植樹した木は芝生エリアにあり、まだまだこれからつぼみが開きます。ただし春の一季咲きなので、この期間をお見逃しなく。売店にも特設コーナーを設置し、ブルガリアン・ローズの化粧水やジャム、蜂蜜を販売しています。 ブルガリア大使の食卓にも上るバラの蜂蜜は、売店で購入できます。 今年のバラの開花は、これまでの温暖な気候の影響で、例年になく全体的に早いペースとなりそうです。ブルガリアからやってきた貴重なブルガリアン・ローズとともに、横浜イングリッシュガーデンにはさまざまなバラが咲いています。バラの香りにどっぷり浸るひとときは、この季節だけの贅沢。芳純なバラの香りを堪能しに、ぜひ横浜イングリッシュガーデンへお出かけください。 ●『見渡す限りバラが咲く! 特別な時間を過ごせるバラ園「横浜イングリッシュガーデン」』では、「ローズ・フェスティバル2023」の見所をご紹介しています。
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宿根草・多年草

小さくて可愛い花が長期間咲くカラミンサ! 爽やかな香りも楽しめるハーブ
カラミンサはこんな花! まずは基本情報を確認しよう カラミンサはシソ科トウバナ属(カラミンサ属)の多年草。原産地は南ヨーロッパ、地中海沿岸で、寒さに強い性質を持っています。花の名前は、学名のCalaminthaがそのまま使われています。「カラミント」と呼ばれることもあるようです。 カラミンサの草丈は15〜50cmで、爽やかなミントの香りがあります。花色は淡いピンク、白、淡い紫。花穂を長く伸ばした先に小さな花をいくつも連ね、一つひとつの花は小さいものの、花つきがよいので開花期は大変華やかです。 カラミンサは多年草のため、ライフサイクルが長いのが特徴。春に成長期を迎えて新芽をたくさん出し、5月中旬〜11月上旬に開花、冬になると地上部を枯らします。しかし枯れたわけではなく、地中で休眠して越年し、春になると再び新芽を出し始める……ということを繰り返し、一度植え付ければ長く楽しめる植物です。 カラミンサの代表的な種類 カラミンサは、主に7種が世界各地に分布しているとされていますが、日本で一般に流通しているのは主に2種類です。ここでは、カラミンサの代表的な種類についてご紹介します。 最も流通している品種のカラミンサ・ネペタ カラミンサ・ネペタは、最もポピュラーに出回っており、コモン・カラミンサとも呼ばれています。花色は白、淡い紫で、花のサイズは1〜2cm。小さな花が花茎にたくさんつき、群植すると見応えがあります。 一回り大きな花を咲かせるカラミンサ・グランディフローラ カラミンサ・グランディフローラは花径2〜3cmと、ネペタよりも少し花のサイズが大きめです。花色は淡いピンクで、華やかな雰囲気が素敵です。園芸品種の‘バリエガータ’は、葉に白い斑が入るので、カラーリーフとして利用することもできます。 カラミンサを元気に育てるコツ ここまで、カラミンサの基本情報や種類についてご紹介してきました。では、ここからはガーデニングの実践編として、カラミンサの育て方について、詳しく解説します。 カラミンサに適した栽培環境 カラミンサは、日当たり・風通しのよい場所を好みます。水はけがよければ、朝のみ日が差す東側や木漏れ日がチラチラと差す程度の半日陰の場所でも栽培できますが、日照不足だと花つきが悪くなったり、徒長して茎葉がヒョロヒョロと長く伸びて倒れやすくなるので注意してください。 水はけ・水もちのよい土壌を好みます。極端な乾燥を嫌うので、適度な水分管理が必要です。 カラミンサは寒さには強いので、特に防寒の必要はありません。 カラミンサに適した土づくり 【地植え】 植え付けの約2週間前に腐葉土や堆肥、緩効性肥料を混ぜ込んで、よく耕してください。土づくりの後にしばらく時間をおくことで、分解が進んで土が熟成し、植え付け後の根張りがよくなります。 【鉢植え】 ハーブ用にブレンドされた、市販の培養土を利用すると手軽です。自身で配合土を作りたい場合は、赤玉土小粒6、軽石1、腐葉土3の割合でブレンドするとよいでしょう。 カラミンサの植え付けと植え替え カラミンサの植え付け・植え替えの適期は、3〜4月か、9月下旬〜11月上旬です。ただし、そのほかの時期にも苗は出回っているので、花苗店などで入手したら早めに植え付けるとよいでしょう。 【地植え】 土づくりをしておいた場所に、苗の根鉢よりも一回り大きな穴を掘り、軽く根鉢をほぐして植え付けます。最後にたっぷりと水を与えます。株が大きく育つので、複数の苗を植える場合は、40㎝くらいの間隔を取っておきましょう。 庭で育てている場合、環境に合えば植え替える必要はありません。 【鉢植え】 鉢で栽培する場合は、6〜8号鉢を準備します。用意した鉢の底穴に鉢底ネットを敷き、軽石を1〜2段分入れてからハーブ用の培養土を半分くらいまで入れましょう。苗をポットから取り出して軽く根鉢をくずし、鉢に仮置きして高さを決めたら、少しずつ土を入れて植え付けます。水やりの際にすぐあふれ出さないように、土の量は鉢縁から2〜3cmほど下の高さまでを目安にし、ウォータースペースを取っておいてください。土が鉢内までしっかり行き渡るように、割りばしなどでつつきながら培養土を足していきます。最後に、鉢底から流れ出すまで、十分に水を与えましょう。 鉢植えで楽しんでいる場合、成長とともに根詰まりして株の勢いが衰えてくるので、1〜2年に1度は植え替えることが大切です。植え替え前には水やりを控えて土が乾いた状態で行うと、作業がしやすくなります。鉢から株を取り出してみて、根が詰まっていたら、根鉢をくずして古い根などを切り取りましょう。根鉢を1/2〜1/3くらいまで小さくし、元の鉢に新しい培養土を使って植え直します。もっと大きく育てたい場合は、元の鉢よりも大きな鉢を準備し、軽く根鉢をくずす程度にして植え替えてください。 カラミンサの水やり 水やりの際は、株が蒸れるのを防ぐために茎葉全体にかけるのではなく、株元の地面を狙って与えましょう。 真夏に水やりする場合は、朝か夕方の涼しい時間帯に行うことが大切です。気温の高い昼間に行うと、すぐに水の温度が上がり、株が弱ってしまいます。 また、真冬に水やりする場合は、気温が低くなる夕方に与えると凍結の原因になってしまうので、十分に気温が上がった真昼に与えるようにしましょう。 【地植え】 根付いた後は、地植えの場合は下から水が上がってくるのでほとんど不要です。ただし、雨が降らない日が続くようなら水やりをして補います。 【鉢植え】 カラミンサは、極端に乾燥するのを嫌うので、日頃の水やりを忘れずに管理します。ただし、多湿が苦手で、いつもジメジメした状態にしておくと、根腐れの原因になってしまいます。土の表面がしっかり乾いたら、鉢底から水が流れ出すまで、たっぷりと与えてください。茎葉がしおれそうにだらんと下がってきたら、水を欲しがっているサイン。植物が発するメッセージを逃さずに、きちんとキャッチしてあげることが、枯らさないポイントです。また、冬に地上部が枯れても、カラカラに乾燥させることのないように、適宜水やりを続けてください。 カラミンサの肥料 【地植え・鉢植えともに】 やせ地で育つほど強健な性質なので、1年目は、植え付け時に元肥として緩効性肥料を施してあれば、追肥の必要はありません。 2年目以降は、春に新芽が動き出す少し前の3月上旬と、気温が落ち着く9月下旬に、緩効性肥料を株の周りにまいて軽く耕し、土に馴染ませておきましょう。 成長が旺盛なカラミンサは切り戻しが必要 多湿になると株が蒸れて弱ることがあるので、梅雨前に切り戻して風通しよく管理します。地際から10〜20cmの高さを目安にカットして、込み合っている部分があれば、すかし剪定をしておくとよいでしょう。 カラミンサを育てるうえで気をつけておきたい病気や害虫 【病気】 ほとんど病気の心配はありませんが、まれにうどんこ病や灰色かび病が発生することがあります。 うどんこ病は、カビによる伝染性の病気です。葉、新梢、つぼみに発生しやすく、表面が白く粉を吹いたような状態になり、放任するとどんどん広がるので注意。対処せずにそのままにしておくと光合成ができなくなり、やがて枯死してしまいます。窒素肥料を施しすぎたり、枝葉が繁茂しすぎて風通しが悪くなったりしていると、発病しやすくなります。うどんこ病が出たら、病気の葉を摘み取って処分しましょう。 灰色かび病は花や葉に発生しやすく、褐色の斑点ができて灰色のカビが広がっていきます。気温が20℃ほどの多湿の環境下で発生しやすい病気です。ボトリチス病、ボト病などとも呼ばれています。風通しが悪く込み合っていたり、終わった花や枯れ葉を放置していたりすると発生しやすくなるので注意。花がらをこまめに摘み取り、茎葉が込み合っている場合は、間引いて風通しよく管理しましょう。 【害虫】 カラミンサはほとんど害虫発生の心配はありません。 カラミンサを冬越しさせるのに対策をすべき? カラミンサは、基本的に寒くなると落葉して越年します。枯れ葉などをいつまでも残しておくと、病害虫の越年場所となってしまうことがあるので、地上部が枯れたら枯れ葉や茎を地際で刈り取っておくとよいでしょう。 カラミンサは寒さに大変強く、種類にもよりますが、マイナス10℃まで耐えるとされています。そのため庭植えの場合は、植えっぱなしにしてもかまいません。鉢栽培の場合も室内などに取り入れる必要はなく、戸外に置いたままにして越冬できます。 カラミンサの増やし方は3種類 カラミンサは、種まき、挿し芽、株分けで増やすことができます。 花後に種を採取して種まき! こぼれ種でも増える 種まきするメリットは、輸送などによる苗への負担がかからず、環境に馴染みやすいことです。敷地が広くてたくさんの苗が欲しい場合には、コストカットにもなります。カラミンサはこぼれ種で増えるほど、強健な性質なので、種まきは容易です。 カラミンサの種まきの適期は4月頃で、発芽適温は20℃くらいです。種まき用のセルトレイにハーブ用にブレンドされた市販の培養土を入れ、1穴あたり1〜2粒ずつ播きます。種が隠れる程度に土を薄くかけ、はす口をつけたジョウロで高い位置から優しい水流で水やりをしましょう。乾燥しないように管理し、発芽後は日当たりがよく、風通しのよい場所で管理します。本葉が2〜3枚出始めたら、黒ポットに植え替えて育苗しましょう。ポットに根が回ってしっかりした株に育ったら、植えたい場所に定植します。 手間はかかるが挿し芽でも容易に増やせる! 挿し芽とは、茎葉を切り取って地面に挿しておくと発根して生育を始める性質を生かして増やす方法です。植物のなかには挿し芽ができないものもありますが、カラミンサは挿し芽で増やせます。 カラミンサの挿し芽の適期は、3〜4月か9月下旬〜11月上旬です。新しく伸びた枝を2節以上つけて切り口が斜めになるように切り取ります。採取した枝(挿し穂)は、水を張った容器に1時間ほどつけて水あげしておきましょう。その後、水の吸い上げと蒸散のバランスを取るために、下葉を2〜3枚切り取ります。セルトレイを用意して新しい培養土を入れ、水で十分に湿らせておきます。培養土に植え穴をあけ、穴に挿し穂を挿して土を押さえてください。発根するまでは明るい日陰に置いて、乾燥させないように管理します。根が回ってきたら黒ポットに鉢上げして育苗し、十分に育ったら植えたい場所へ定植しましょう。挿し芽のメリットは、親株とまったく同じ性質を持ったクローンになることです。 株が大きくなったら株分けで増やせる! カラミンサは株分けして増やすことができ、適期は9月下旬〜11月上旬です。株を植え付けて数年が経ち、大きく育ったら株の老化が進むので、「株分け」をして若返りを図ります。株を掘り上げて数芽ずつ付けて根を切り分け、再び植え直します。それらの株が再び大きく成長し、株が増えていくというわけです。 花期が長いカラミンサは寄せ植えにもピッタリ カラミンサは、草丈が50cmほどにまで成長するので、花壇では中段あたりで活躍。茎葉を多数立ち上げて小さな花を咲かせるので、空間を埋める役割やメインとなる花の引き立て役として重宝します。草丈や株幅が大きくなるので、寄せ植えの花材として利用するなら大鉢を用意してください。脇役として後方や中央に配するのもいいですが、単植でこんもりと仕立てて楽しむのも素敵です。 ミントのようないい香りがするカラミンサはハーブとして楽しめる カラミンサは、ミントのような清涼感のある香りを持っています。生葉をハーブティーにしたり、だしパックに入れて湯船に浮かべ、ハーバルバスとして利用することもできます。 春から秋まで花が楽しめるカラミンサを育ててみよう! 開花期が長く、長い期間にわたって庭を彩ってくれるカラミンサ。強健な性質で、管理の手間がかからないのでビギナーにもおすすめ。寄せ植えや花壇などで活躍するほか、ハーブとしても楽しめるので、ぜひ庭やベランダで育ててみてはいかがでしょうか。
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ガーデニング

被害報告拡大中! この時期に発生する害虫・ヨトウムシの基礎知識と対策を解説
こんな被害、出ていませんか? 葉表だけ残して食べられ、ところどころ半透明になったキャベツの葉。Toporovska Alla/Shutterstock.com バラのつぼみを食べるヨトウムシ。SSSHY/Shutterstock.com 次々に花が咲く楽しい5月。この季節、ガーデンを見回っていると、虫の姿は見えないのに、かすり状に半透明になった葉や大きな穴があいた葉を見つけたり、半分にかじられたバラのつぼみを見かけたり、また葉の上に点々と黒いフンがのっていることがあるかもしれません。もし心当たりがあるガーデナーさんは要注意! 初夏に発生報告が増える害虫、ヨトウムシに狙われているサインです。ヨトウムシはキャベツなどの野菜やバラ、草花などほとんどの植物につき、葉や花を食害します。2023年は季節の進みが早く、ヨトウムシも例年より早くから発生しているよう。すでにSNSでもヨトウムシの発生に関する嘆きの声がいくつも投稿されています。 ヨトウムシとは (左)ヨトウガの成虫。Tomasz Klejdysz/Shutterstock.com(右)若齢幼虫は緑色で、成長した幼虫は茶色になります。Sarah2/Shutterstock.com ヨトウムシは、ヨトウガという蛾の幼虫のことで、ハスモンヨトウやシロイチモジヨトウの幼虫も、まとめてヨトウムシと呼びます。漢字では「夜盗虫」と書くように、昼間は地中や葉陰に潜んでいて、夜に活動する害虫です。そのため、昼間はなかなか見つけにくいのが特徴。非常に食欲旺盛で、大きく育った幼虫はひと晩で花や葉をパクパク食べ尽くすので、朝には丸坊主の無残な姿になってしまい、悔しい思いをするガーデナーも多いです。しかも成長するにしたがって薬剤が効きにくくなるとされる厄介な害虫なので、できるだけ初期のうちに対策をすることが重要です。 開花目前にして、つぼみを全て食べられてしまったデルフィニウム。 ヨトウムシ発生時の初期症状と注意すべきサイン かすり状の葉は、ヨトウムシ発生の重要なサイン。Toporovska Alla/Shutterstock.com ヨトウガ(成虫)は飛来すると、葉裏に100~200個もの卵をまとめて産みつけます。ふ化直後の幼虫は葉裏に群生し、裏側から葉を食べるため、葉表を残してかすり状に食害された痕が残ります。このかすり状に半透明になった葉があれば、ふ化直後のヨトウムシがいるサインかも。葉をめくって裏にヨトウムシがいないか確かめましょう。 成長したヨトウムシは分散して食害するようになり、また葉や花に穴があきます。葉脈を残して葉に大きな穴があいたり、葉の上にフンがあるなど食害の痕跡はあるのに、犯人の虫が見当たらない場合、株元の土の中や葉裏、葉陰をよく観察したり、夜にパトロールしてみると見つけることができるかもしれません。ヨトウムシがいたら、見つけ次第捕殺します。 成長したヨトウムシは葉に大穴をあけて食害します。Amelia Martin/Shutterstock.com ヨトウムシの発生と対策の時期は今! ヨトウムシの対策ポイントは、できるだけ発生初期のうちに叩くこと。特に卵塊の状態や、ふ化直後の群生している状態であれば、問題の葉を切り取って処分するだけでOKです。しかし成長してからでは被害が大きくなるだけでなく、ヨトウムシが分散してしまうので、一網打尽にすることはできません。成長すると薬剤も効きにくくなるため、早めに対処することが重要です。 参考:『決定版 野菜の病気と害虫対策BOOK』(草間祐輔著・家の光協会) ヨトウムシが発生しやすい時期は、初夏と秋の年2回。初夏は4~6月、秋は9~12月に発生します。4月に羽化したヨトウガがすぐに卵を産み付け、その後成長したヨトウムシは土の中で蛹(さなぎ)になり、9月に成虫になって葉裏に卵を産みます。そして11月に蛹になったヨトウムシが地中で越冬し、また4月に羽化する、というライフサイクルを繰り返します。このライフサイクルの中で、まだ葉裏に群生しているヨトウムシを効率的に防除できるベストタイミングは、5月中旬と9月上旬。ぜひこのボーナスタイムを逃さないよう、ヨトウムシの発生サインをチェックして、早期発見・対処に努めましょう。 ヨトウムシの対策方法 先に触れたように、ヨトウムシの最も効率的な対策は、発生初期の群生している段階で、葉っぱごと処分してしまうこと。そのためにも、ヨトウムシの発生シーズンには害虫発生のサインが現れた葉裏のチェックを欠かさずに行いましょう。そのほかのヨトウムシ対策には、次のようなものがあります。 薬剤を利用する 薬剤を利用してヨトウムシの対策をする場合、定植時に土に混ぜるタイプの殺虫剤を使うか、発生初期に適用のある薬剤を散布します。ふ化直後の幼虫は葉裏にいることが多いので、葉裏も忘れずにしっかり散布しましょう。 トラップを仕掛ける ヨトウムシは米ぬかを好み、地面に穴を掘って米ぬかを入れたり、米ぬかを入れた容器を埋めておくと、おびき寄せることができるとされています。おびき寄せたヨトウムシは捕殺しましょう。成虫を誘引・捕殺するフェロモントラップも市販されています。また、夜行性のヨトウガは、明るい環境では行動が鈍るため、防蛾灯を利用するのも効果が期待できます。ただし、夜間に明るい環境を保つと、植物の生育に影響が出る可能性もあるので注意しましょう。 初夏はヨトウムシ対策も忘れずに! さまざまな花が開花し、美しいガーデンシーズンを迎えます。開花前のつぼみを食べられて悔しい思いをしないためにも、ヨトウムシ対策を忘れずにしておきましょう。効率的にヨトウムシを退治できるこの時期を逃さず、労せずして美しいガーデンを守りましょう!
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おすすめ植物(その他)

春爛漫の季節を彩る花々! 4月に咲く人気の花20選
チューリップユリ科多年草/主な花色:赤・ピンク・白・黄・オレンジ・紫・黒・緑・複色/主な開花期:3月~5月上旬 Olena Z/Shutterstock.com 春のガーデンを彩る代表的な花、チューリップ。八重咲きやユリ咲き、フリンジ咲き、パーロット咲きなどさまざまな花形があり、花色も豊富で、子どもから大人まで年代問わず広く愛されています。最近では植えっぱなしで咲く原種系のチューリップも人気があります。ガーデニング初心者にも育てやすく、地植えでも鉢植えでも育てられます。球根の植え付け適期は秋、10~11月頃。紅葉を目安にするとよいでしょう。1月中頃から芽出し球根も出回ります。植えっぱなしでも翌年も咲きますが、園芸品種の場合は花がきれいに咲かないことが多いので、確実に咲かせたい場合は毎年植え替えるとよいでしょう。チューリップの花言葉は「思いやり」です。 ●チューリップの育て方。コツとお手入れ、植え替えや寄せ植えを一挙紹介します サクラバラ科高木/主な花色:白・ピンク/開花期:3~4月 555hot8p10 /shutterstock.com 日本の春といえば、誰もが思い浮かべるであろうサクラ。一斉に咲く満開のサクラは、まるで夢のような景色を作ってくれます。サクラは野生種や300以上もあるとされる園芸品種を含めたサクラ属の総称で、種類によっては10月頃から咲き始めるものもあり、また緋色や緑などの珍しい花色もあります。4月には、代表的な品種である‘染井吉野’に少し遅れて咲く山桜などが見頃に。種類により大きく育つので、スペースを十分に確保し、日当たりのよい場所で育てます。剪定の適期は12~3月上旬。成長期に強い剪定をすると長期間開花しなくなるので、強剪定をしなくて済むよう、小さなときから樹形を整えながら育てましょう。サクラの花言葉は「精神の美」「優美な女性」などです。 ●あなたが知らないサクラの一面があるかも? 美しいサクラの品種をご紹介 ネモフィラムラサキ科一年草/主な花色:青・複色/開花期:4~5月 kumikomii/Shutterstock.com 青空のような、澄んだ明るいブルーの花色が美しいネモフィラ。ネモフィラの名所として知られる「国営ひたち海浜公園」の一面に咲く光景が有名ですが、這うように広がり、たっぷりと花を咲かせるので、群植するとカーペットのように面を彩ってくれます。パステルブルーの小花はチューリップなどの春の花との相性が抜群で、寄せ植えや花壇にもぴったり。白の覆輪が入る黒花や、花弁に紫のドットが入る白花の品種もあります。春先に苗が出回りますが、10月頃に種まきをしても簡単に育てられます。一年草なので開花後は抜き取りましょう。ネモフィラの花言葉は「可憐」「どこでも成功」「あなたを許す」などです。 ●【人気】ネモフィラの青い花を咲かせよう! 育て方一挙公開 オステオスペルマムキク科多年草/主な花色: 紫・白・オレンジ・黄・ピンク・複色/開花期:4~6月 Leecy Jones/Shutterstock.com やさしいニュアンスカラーからビビッドなネオンカラーまで、おしゃれな花色が満載のオステオスペルマム。コンパクトにまとまるので、寄せ植えでも扱いやすい花です。パッと開いた上向きの花姿は、鉢の中でも存在感抜群。早春から出回り、春から初夏まで次々と花を咲かせます。日当たり・風通しのよい場所を好みますが、高温多湿に弱いので、梅雨から夏は西日の当たる場所を避け、雨の当たらない半日陰などで管理するとよいでしょう。生育が盛んになり始めた頃に摘心を繰り返すと、わき芽が出てこんもりと成長し、花数も多くなります。開花中はこまめに花がらを摘み、草姿が乱れてきたら草丈の半分くらいまで切り戻すとよいでしょう。オステオスペルマムの花言葉は「元気」「無邪気」などです。 ●【春の寄せ植え】おしゃれカラー満載のオステオスペルマムの寄せ植え6実例 ハナモモバラ科高木/主な花色:白・赤・ピンク・複色/開花期:3月中旬~4月中旬 Princess_Anmitsu/Shutterstock.com 古くから日本人にも親しまれてきたモモ。3月3日のひな祭りには欠かせない花ですね。その中でも、特に花を観賞する花木として扱われるものをハナモモと呼びます。その名の通りの桃色のほか、白や鮮やかな赤などの可愛らしい花を、枝を覆うようにたっぷりと咲かせます。枝垂れ性やほうき立ち性、矮性など、樹形の種類も多いので、栽培スペースに合わせて選ぶことができます。鉢植えや盆栽として楽しむことも可能です。植え付けの適期は11~3月の休眠期。日当たりと水はけのよい環境を好み、日当たりが悪いと枝ばかり伸びて花つきが悪くなるので注意しましょう。剪定は花後、新芽が伸び始める前の6月頃に行い、8月以降は枯れ枝や重なった枝を切る程度にとどめます。また、ひこばえや主幹から芽吹いた小枝は、見つけ次第切り取りましょう。ハナモモの花言葉は「私はあなたのとりこ」「天下無敵」「気立てのよさ」などです。 ●【春の花】 桃の花の特徴・品種・育て方を徹底解説 ハナミズキミズキ科高木/主な花色:白・ピンク・赤/開花期:4月中旬~5月中旬 Brian Teal/Shutterstock.com 街路樹として見かけることが多いハナミズキ。街路樹に選ばれるということは、強い生命力があり、放任してもよく育つ証で、シンボルツリーとしても人気があります。花弁に見える部分は苞で、じつはその真ん中に丸く集まったものが花の本体。花つきがよく、満開時には見応えのある景色となるほか、夏には緑陰をもたらし、秋には紅葉して小さな赤い実をつけるなど、季節を通じて楽しめる花木です。植え付けの適期は、休眠期の12〜3月。樹形を整える剪定は12〜2月に行い、開花後の5月は軽い剪定にとどめます。土壌が乾燥しすぎると弱りやすいので、西日が強く当たる場所は避けたほうが無難です。鉢栽培の場合は水切れに注意しましょう。ハナミズキの花言葉は「返礼」「永続性」などです。 ●ハナミズキの特徴と育て方! 苗木の植え方や剪定についてご紹介 ヤマブキバラ科低木/主な花色:黄/開花期:4~5月 写真/海野美規 北海道から九州まで分布し、鮮やかな黄色の花を咲かせるヤマブキ。『万葉集』や『後拾遺和歌集』の歌にも詠まれている日本原産の花で、一重、八重のどちらも古くから日本人に親しまれてきました。耐寒性、耐暑性ともに強く、育てやすいので、特別手をかけなくても毎年美しい花を楽しむことができます。水はけがよく、腐植質に富んだ土壌に植え、夏は乾燥に注意しましょう。地際から枝が次々に伸びてくるので、スペースは広めに確保しておくとよいでしょう。ヤマブキの花言葉は「気品」「崇高」「金運」などです。 ●【春の花】一重咲きヤマブキを楽しむ〜アレンジ5選〜 オダマキキンポウゲ科多年草/主な花色:白・ピンク・赤・オレンジ・黄・青・紫・茶・黒/開花期:4~6月 Crystal Schumacher-Cox/Shutterstock.com オダマキにはミヤマオダマキなど日本原産の自生種と、ヨーロッパや北米を原産とする西洋オダマキがあります。特に西洋オダマキは非常に多くの園芸品種があり、花色や花姿のバリエーションが豊富で、ガーデニングでも人気の花です。複雑で個性的な造形の花は繊細そうに見えますが、性質は丈夫で育てやすいので、ガーデニング初心者にもおすすめ。少しブルーがかった葉の美しさも魅力です。強い直射日光はやや苦手なので、午前中は日向、午後は明るい日陰になる場所などで育て、夏は遮光するなどして葉焼けや高温障害を防ぐとよいでしょう。オダマキの花言葉は「愚か」「決意」などです。 ●コスパ最高! 一度植えれば数十年毎春咲き続ける「オダマキ」 ラベンダーシソ科低木/主な花色:紫・白・ピンク/開花期:4~7月 aniana/Shutterstock.com 鮮やかな紫色の花と、リラックスできる優雅で豊かな香りから、ハーブの中でも人気の高いラベンダー。芳香剤やせっけん、ハーブティーなど、暮らしの中でも馴染み深い香りの一つです。ラベンダーは古くから、鎮静作用や体の不調を整える効果が期待できる薬用植物として利用されてきました。香りのよいコモンラベンダーや、ウサギの耳のような苞葉を持つフレンチラベンダーなど、いろいろな種類があります。高温多湿に弱いので、温暖な地域では‘グロッソ’など比較的暑さに強い品種を選ぶとよいでしょう。酸性土壌を嫌うので、少量の苦土石灰を加えると生育がよくなります。日当たりと風通し、水はけがよく、西日の当たらない場所で育てましょう。ラベンダーの花言葉は、「沈黙」「清潔」「期待」「あなたを待っています」などです。 ●ラベンダーの剪定は品種ごとに微妙に時期が違う!育て方のコツとお手入れ、植え替えや寄せ植えを一挙紹介します モッコウバラバラ科つる性低木/主な花色:黄・白/開花期:4~5月 写真/遠藤昭 ふんわりとした優しい黄色や白の花を、株いっぱいにたわわに咲かせるモッコウバラ。早咲きで、他のバラよりも一足早く開花期を迎えます。トゲがないために扱いやすく、丈夫で育てやすいので、ガーデニング初心者にもおすすめ。フェンスやアーチに誘引すれば、庭を華やかに演出してくれます。八重のキモッコウバラには香りはほとんどありませんが、白の一重花を咲かせるロサ・バンクシアエ・ノルマリスは香りがあることで知られています。モッコウバラの植え付け適期は10~11月頃。開花後、7月上旬までに剪定を行い、枝を整理すると共に、咲き終わった枝を切り戻します。枝の成長が止まった冬に誘引を行いましょう。モッコウバラの花言葉は「純潔」「あなたにふさわしい人」「初恋」「幼いころの幸せな時間」「素朴な美」などです。 ●素晴らしき我が友! モッコウバラの思い出 アネモネキンポウゲ科多年草/主な花色:白・赤・ピンク・青・紫・複色/開花期:2~5月 yuri-ss/Shutterstock.com ギリシャ語で風を意味するアネモネは、春の風が吹く頃に赤や青、紫色などの鮮やかな花を咲かせる人気の球根植物です。華やかな大輪咲きや素朴な一重咲きなどがあり、花色も豊富。耐寒性が強く、日当たり・水はけ・風通しのよい場所で管理すれば、何年も咲き続けてくれます。球根から育てる場合、植え付け適期は10~11月。そのまま植えると急激に吸水して球根が腐ることがあるので、植え付け前に軽く湿らせたバーミキュライトに球根を埋め、冷蔵庫で1週間程度保管するなど、吸水処理を行っておくとよいでしょう。春先に出回る苗を購入しても育てられます。アネモネの花言葉は「はかない恋」「見放された」「恋の苦しみ」「君を愛す」「希望」などです。 ●アネモネの育て方。コツとお手入れ、植え替えや寄せ植えを一挙紹介します クレマチスキンポウゲ科つる性多年草/主な花色:白・青・赤・ピンク・茶・黄・黒・複色/開花期:4月中旬~10月 写真/おぎはら植物園 つる植物の女王とも呼ばれるクレマチス。自由奔放に伸びるしなやかなつると、美しい花が魅力で、バラと合わせる植物としても人気があります。数多くの品種や野生種があり、いくつかの系統に分類されていますが、系統によって管理方法が異なるので、それぞれに合わせて育てましょう。ガーデニング初心者は新枝咲きの品種を選ぶと、冬にばっさりと切り戻せば翌春に新しい枝を伸ばして花を咲かせるので、管理が簡単です。根を切られることや移植を嫌うので、植え付ける前に植え場所をよく考えてから、根をいじらないように植えましょう。植え付けの際は、つるを1~2節分埋める深植えにします。クレマチスの花言葉は「精神の美」「旅人の喜び」「策略」などです。 ●「知名度なくても素晴らしい!クレマチス5種」専門家が選ぶ珠玉の品種 ルピナスマメ科一年草/主な花色:白・赤・ピンク・オレンジ・黄・紫・複色/開花期:4月下旬~6月 Vixit/Shutterstock.com 花穂を垂直に立ち上げて、鈴なりに花を咲かせるルピナス。フジを逆さまにしたような姿から、「昇り藤」とも呼ばれます。カラフルで大きな花穂はガーデンの中でも存在感抜群です。耐寒性が強い反面、耐暑性が弱く、宿根草の品種も暖地では一年草として扱われます。日当たり・水はけのよい場所で育て、過湿にならないよう気をつけましょう。酸性土壌を嫌うので、苦土石灰などで酸度調整をしておきます。また連作も避けましょう。苗を植えるほか、種まきからでも簡単に育てられます。ルピナスの花言葉は「想像力」「いつも幸せ」「あなたは私の安らぎ」などです。 ●ルピナスの育て方! 美しい花を咲かせるためのポイントもご紹介! ワスレナグサムラサキ科一年草/主な花色:青・ピンク/開花期:3月下旬~6月上旬 写真/海野美規 「私を忘れないで」という、なんともロマンチックな名前のワスレナグサは、細い茎に星のような小さなブルーの花が可愛らしい、春花壇の名脇役。寄せ植えやフラワーアレンジにも欠かせない存在です。一つひとつの花は小さいですが、たくさん咲くので、群植すれば青いカーペットのような風景に。苗からでも、また10月頃に種まきをしても育てられます。水切れを嫌うので、乾燥させすぎないように注意しましょう。こぼれ種でもよく増えるので、庭のあちこちから顔を出したワスレナグサは、必要に応じて移植しましょう。ワスレナグサの花言葉は「私を忘れないで」「真実の愛」「思い出」などです。 ●春に群生して咲く青い花! ワスレナグサ(勿忘草)の特徴や種類・育て方などを徹底解説 ドウダンツツジツツジ科低木/主な花色:白・ピンク/開花期:4月中旬~5月上旬 croquette/Shutterstock.com 春に小さな壺形の花を、鈴なりに咲かせるドウダンツツジ。樹高1〜2mほどの低木で、枝が細かく分かれて葉が密に茂るので、生け垣としてもよく利用されます。可愛らしい花だけでなく、美しい新緑や、秋の真っ赤な紅葉など、季節の移ろいを感じさせてくれます。日本原産の植物なので、手をかけなくても育つ丈夫さも魅力。酸性土壌を好むので、酸度未調整のピートモスなどをすき込んでおくとよいでしょう。日陰では花つきや紅葉の発色が悪くなるので、日当たりのよい場所で育てます。また、根が浅く張り、真夏は乾燥しやすいので、株元をマルチングしたり、鉢植えは半日陰へ移動すると無難です。ドウダンツツジの花言葉は「上品」「節制」などです。 ●花と紅葉が楽しめる! ドウダンツツジの特徴や種類・育て方を解説 フジマメ科つる性花木/主な花色:紫・白・ピンク・黄/開花期:4月下旬~5月中旬 Marina Andrejchenko/Shutterstock.com たっぷりとした房状の花序が、頭上から降り注ぐように咲くフジは、日本原産のつる性花木で、その美しさから人気が高く、品種数も多く世界中で植栽されています。代表的な紫色以外にもさまざまな花色がありますが、花色によって開花期が少し異なり、薄紅、紫、白、黄の順に開花していきます。藤棚を作るほか、フェンスなどに誘引して仕立てることもできます。根が切れると傷みやすいので、植え付けの際は根を切らないように注意し、長く伸びた根は巻くようにして植えましょう。フジの花言葉は「優しさ」「歓迎」「決して離れない」「恋に酔う」「忠実」などです。 ●藤の花が見頃を迎える季節は? 知っておくと観賞をより楽しめる豆知識も デルフィニウムキンポウゲ科多年草/主な花色:白・ピンク・青・紫・複色/開花期:4月下旬~6月 TMsara/Shutterstock.com イングリッシュガーデンに欠かせない花の一つ、デルフィニウム。まっすぐ伸ばした花茎にたくさんの花を咲かせ、ガーデンに縦のラインを演出してくれます。デルフィニウムの種類には、ボリュームのある大型のエラータム系や、華奢で繊細なシネンセ(シネンシス)系、中間的なベラドンナ系があります。ちなみにデルフィニウムという名は、つぼみの形がイルカに似ていることから、ギリシャ語でイルカを意味するDelphisに由来します。春と秋に苗が出回るほか、種まきから育てることもできます。花穂が下から咲き上がるので、咲ききった花茎は株元から切り戻すと、二番花を楽しめる場合もあります。デルフィニウムの花言葉は「清明」です。 ●イングリッシュガーデンの名脇役! デルフィニウムが華やかに咲く庭づくり スイートピーマメ科つる性一年草/主な花色:白・赤・ピンク・紫・オレンジ・複色/開花期:4~6月 Laura Bartlett/Shutterstock.com まるでチョウが羽ばたいているようなマメ科特有の花姿と、甘く優しい香りが人気のスイートピー。つるを伸ばして周囲に巻きひげを絡ませながら成長し、美しく上品な色合いの花を咲かせます。ぐんぐん伸びるつるは2〜3mほどになるので、フェンスに這わせたり、アーチを作ったりと立体的な仕立てが楽しめます。食用のマメに似たさやがつきますが、スイートピーの実やさやには有毒物質が含まれるので、口にしないよう注意しましょう。日当たりと風通しのよい場所に植え、つるを誘引しながら育てます。直根性なので、苗を植える際は根をいじらないようにしましょう。種まきからでも栽培できます。スイートピーの花言葉は「門出」「やさしい思い出」「繊細」「デリケートな喜び」などです。 ●スイートピーの育て方。コツとお手入れ、植え替えや寄せ植えを一挙紹介します スズランキジカクシ科多年草/主な花色:白・ピンク/開花期:3月中旬~5月上旬 Suriya Wattanalee/Shutterstock.com 春に小さなベル形の白い花を連ねて咲かせるスズランは、清楚な雰囲気が人気の球根植物。芳香があり、特にガーデンでよく使われるドイツスズランは強い香りを持っています。草丈は15〜20cmとコンパクトに育ちます。スズランには毒性があるので、作業の際にはガーデニング用の手袋をはめるなど注意しましょう。苗の植え付け適期は10〜12月上旬と4月。建物の東側や落葉樹の株元など、真夏は半日陰になるような場所を選んで浅めに植え付けます。晩秋には休眠して地上部が枯れますが、越年して再び春には生育し始めます。スズランの花言葉は「再び幸せが訪れる」「純粋」などです。 ●小さいけれど強い植物! スズランの特徴や種類・育て方をご紹介 ライラックモクセイ科高木/主な花色:紫・白・赤紫/開花期:4~5月 NikolayTsyu/Shuterstock.com ヨーロッパ生まれのライラックは、北国の初夏を告げる花木。美しいラベンダー色の花穂をたくさんつけ、辺り一面に芳香を漂わせます。ライラックは英名で、フランス語のリラという名前でも親しまれています。寒さに強いので、寒冷地での栽培におすすめ。樹高が1m程度とコンパクトに収まるヒメライラックなら、鉢植えでの栽培も楽しめます。水はけのよい土壌と日当たりを好みますが、西日に弱いので、西日が当たらない場所で育てましょう。暖地ではほとんど剪定の必要はありません。ライラックの花言葉は「思い出」「友情」「謙虚」などです。 ●ライラック物語【写真家・松本路子のルーフバルコニー便り】 4月に見頃を迎える人気の花を育てよう! 今回は、4月に咲くガーデニングで人気の花を20種類ご紹介しました。ここで取り上げたもの以外にも、まだまだたくさんあります。ぜひお気に入りの花を見つけて、4月のガーデニングを楽しんでみてくださいね。



















