スリー・アンド・ガーデン/ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。「ガーデンストーリー」書籍第1弾12刷り重版好評『植物と暮らす12カ月の楽しみ方』、書籍第2弾4刷り重版『おしゃれな庭の舞台裏 365日 花あふれる庭のガーデニング』(2冊ともに発行/KADOKAWA)発売中!
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スリー・アンド・ガーデン/ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。「ガーデンストーリー」書籍第1弾12刷り重版好評『植物と暮らす12カ月の楽しみ方』、書籍第2弾4刷り重版『おしゃれな庭の舞台裏 365日 花あふれる庭のガーデニング』(2冊ともに発行/KADOKAWA)発売中!
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宿根草・多年草

夏花壇で活躍するブルーサルビア(サルビア・ファリナセア)の種類・育て方とは? 冬越しできる?
ブルーサルビアの基本情報 Photo Win1/Shutterstock.com 植物名:サルビア・ファリナセア学名:Salvia farinacea英名:mealy sage別名:ブルーサルビア、ミールセージ和名:ケショウサルビア科名:シソ科属名:サルビア属原産地:北アメリカ形態:半耐寒性多年草(一年草扱い) ブルーサルビアは、シソ科サルビア属の半耐寒性の多年草(日本では一年草扱い)。原産地は北アメリカです。初夏に種を播いて育苗すると、夏から晩秋にかけて長く咲いてくれます。暑さには強いのですが、寒さには弱いので、日本の寒い冬を乗り越えられずに冬前には枯れてしまいます(ただし本来は多年草なので、暖地では越冬することもあるようです)。寿命は半年くらいで、ライフサイクルの短い植物といえます。 ブルーサルビアの花や葉の特徴 mariokinhed/Shutterstock.com 園芸分類:草花開花時期:5〜10月草丈:25〜50cm耐寒性:弱い耐暑性:強い花色:青、白 成長すると背丈が25〜50cmほどになり、花壇の中段あたりに向いています。花茎をすらりと上げて穂状になり、縦のラインが強調されるのでガーデンに立体感を出すことができます。花色は、青のほかに白や2色咲きの品種もあります。 ブルーサルビアの名前の由来や花言葉 CuteIdeas/Shutterstock.com ブルーサルビアという名前は、じつのところ通称。この花が一般に出回り始めた頃、サルビアといえば赤い花のサルビア・スプレンデンスのほうが圧倒的に知名度が高かったため、それと区別して覚えやすいように、ブルーサルビアの名称で流通するようになりました。また、青花よりも後発で白花も出回るようになり、「白花のブルーサルビアとはこれいかに」という混乱を回避するために、現在はサルビア・ファリナセアと呼ばれることも多くなっています。 ブルーサルビアの花言葉は、「永遠にあなたのもの」「爽やか」など。これは花色や長期間咲き続けることにちなむとされています。 サルビアの代表的な種類 サルビアの代表種、サルビア・スプレンデンス。Nadya So/Shutterstock.com サルビアの種類は900種以上に及び、セージとも呼ばれハーブや観賞用として利用されるものなど、じつに多様です。日本で観賞用の園芸種として広く流通しているのは、ブルーサルビアの名称で知られるサルビア・ファリナセアのほかに、赤花で最もポピュラーなサルビア・スプレンデンス、長い穂状の花が咲き続けるサルビア・コクシネア、ハーブティーや肉料理の臭み消しなどに使われるコモンセージ(サルビア・オフィシナリス)や、鮮やかな花色が印象的なチェリーセージなどがあります。 ブルーサルビアに似た花 ラベンダー。Vera Larina/Shutterstock.com ブルーサルビアに似た花として、同じくシソ科のラベンダーがあります。ブルーサルビアは葉っぱの形状が長楕円形なのに対し、ラベンダーは細長い形状をしているのが見分けるポイントです。 また、ラベンダーは強い芳香が特徴なので、香りからも判断できます。 ブルーサルビアの栽培12カ月カレンダー 開花時期:5〜10月植え付け時期:5〜7月中旬肥料:真夏を除いた5〜7月、9〜11月上旬入手時期:初夏種まき時期:5月(発芽適温20℃前後) ブルーサルビアの栽培環境 THE CUT/Shutterstock.com 日当たり・置き場所 【日当たり/屋外】日当たり、風通しのよい場所を選びます。日照が不足すると花つきが悪くなったり、ヒョロヒョロとか弱い茎葉が茂って草姿が間のびしたりするので注意。 【日当たり/屋内】屋外での栽培が基本ですが、暖地で冬越しをさせたい場合は、気温が低くなってきたら室内に入れるかカバーをするなど、霜や凍結に注意しましょう。 【置き場所】水はけ、水もちのよい土壌を好みます。地植えの場合は、植え付け前に有機質資材を投入してよく耕し、ふかふかの土作りをしておくとよいでしょう。乾燥を苦手とする傾向があるので、砂質土壌など乾きやすい場所などでの栽培は避けたほうが無難です。 耐寒性・耐暑性 生育適温は15〜25℃。暑さに強い一方で、寒さに弱い性質です。本来は多年草ですが、日本ではうまく冬越しできないために、一年草として扱われています。 ブルーサルビアの育て方 用土 funnyangel/Shutterstock.com 【地植え】 丈夫な性質ですが、酸性に傾いた土壌を嫌うので、植え付ける3〜4週間前に苦土石灰を散布して土に混ぜ込んでおきましょう。さらに1〜2週間前に腐葉土や堆肥などの有機質資材を投入し、よく耕してふかふかの土を作っておきます。特に乾きやすい砂質土壌では、水もちをよくするための土壌改良が必要です。有機質資材を多めに混ぜ込んでおきましょう。事前に土作りをしておくことで、分解が進んで土が熟成します。 【鉢植え・プランター】 草花の栽培用に配合された園芸用培養土やハーブ用の土を利用すると便利です。 水やり wavebreakmedia/Shutterstock.com 株が蒸れるのを防ぐために茎葉全体にかけるのではなく、株元の地面を狙って与えてください。真夏は気温が上がっている昼間に水やりすると、水がすぐにぬるま湯になり、株が弱ってしまうので、朝か夕方の涼しい時間帯に与えることが大切です。 【地植え】 しっかり根づいて茎葉をぐんぐん伸ばすようになるまでは、水切れしないように管理しましょう。根付いた後は、地中から水が上がってくるのでほとんど不要です。ただし、乾燥した環境を苦手とするので、雨が降らない日が続くようなら、水やりをして補います。 【鉢植え・プランター】 日頃の水やりを忘れずに管理します。乾燥すると株が弱るので、水切れには注意。土の表面が乾いたら鉢底から水が流れ出すまで、たっぷりと与えましょう。成長期を迎えてぐんぐん茎葉を広げるようになると、水を欲しがるようになります。気候や株の状態に適した水やりを心がけましょう。茎葉がしおれそうにだらんと下がってきたら、水を欲しがっているサイン。植物が発するメッセージを逃さずにきちんとキャッチすることが、枯れることを防ぐポイントです。特に真夏は高温によって乾燥しやすくなるため、朝夕2回の水やりを欠かさないように注意します。 肥料 New Africa/Shutterstock.com 【地植え/鉢植え・プランター共通】 開花期間が長いので、真夏を除いた5〜7月、9〜11月上旬に、月に1度を目安に緩効性肥料を株の周囲にばらまいて、土によくなじませます。または、開花促進用の液肥を10日に1度ほどを目安に与えてもよいでしょう。 注意する病害虫 nechaevkon/Shutterstock.com 【病気】 ブルーサルビアの栽培では、病気が発生する心配はほとんどありません。 【害虫】 アブラムシ、ヨトウムシ、ハダニの発生に注意します。 アブラムシは、3月頃から発生しやすくなります。2〜4mm程度の小さな虫で繁殖力が大変強く、発生すると植物の茎葉について吸汁し、株を弱らせるとともにウイルス病を媒介することにもなってしまいます。見た目もよくないので、発生初期に見つけ次第こすり落としたり、水ではじいたりして防除しましょう。虫が苦手な方は、スプレータイプの薬剤を散布して退治するか、植え付け時に土に混ぜ込んで防除するアブラムシ用の粒状薬剤を利用するのがおすすめです。 ヨトウムシはヨトウガの幼虫で、極めて食欲旺盛。一晩のうちに花や葉を食い荒らすことがあります。「夜盗虫」と漢字で書く通り、夜に活動する性質を持っています。葉や花に穴があいているのを見つけたら、夜にパトロールして捕殺するか、早いうちに適応する薬剤を散布して防除しましょう。 ハダニは、乾燥が続くと発生しやすい小さな虫で、葉裏などについて吸汁します。大発生すると株が弱るので、葉の表や裏にシャワーを勢いよくかけましょう。小さな虫なので、水の勢いで押し流すことができます。 ブルーサルビアの詳しい育て方 苗の選び方 花苗店で苗を購入する際は、節間が短く茎ががっしりと締まって丈夫なものを選びましょう。また、枯れや病気の兆候のないかよく確認することも重要です。 植え付け・植え替え OlegDoroshin/Shutterstock.com ブルーサルビアの植え付け適期は5〜7月中旬です。ブルーサルビアは基本的には一年草扱いのため、植え替え・鉢替えは行いません。 【地植え】 土作りをしておいた場所に苗よりも一回り大きな穴を掘り、やや根鉢を崩して植え付けます。複数の苗を植え付ける場合は、株間の間隔を20cmほど取りましょう。最後に、たっぷりと水やりします。 【鉢植え・プランター】 鉢の大きさは、6〜7号鉢を準備しましょう。 用意した鉢の底穴に鉢底ネットを敷き、軽石を1〜2段分入れてから培養土を半分くらいまで入れましょう。ブルーサルビアの苗を鉢に仮置きし、高さを決めます。苗をポットから出し、やや根鉢を崩して植え付けましょう。水やりの際にすぐあふれ出すことのないように、土の量は鉢縁から2〜3cmほど下の高さまでを目安にし、ウォータースペースを取るとよいでしょう。土が鉢内までしっかり行き渡るように、割りばしなどでつつきながら培養土を足していきます。最後に、鉢底からたっぷりと流れ出すまで、十分に水を与えましょう。寄せ植えの素材として、大鉢にほかの植物と一緒に植え付けてもOKです。 種まき Taras Garkusha/Shutterstock.com ブルーサルビアは、ビギナーでも種まきから育てられますよ! 種まきからスタートするメリットは、輸送などによる苗への負担がかからず、環境に馴染みやすいことです。敷地が広くてたくさんの苗が欲しい場合には、コストカットにもなりますね。 ただし、ブルーサルビアの苗は初夏から花苗店に出回り始めます。手軽に育てたいなら、苗の植え付けからのスタートがおすすめです。「1〜2株あれば十分」という方も、植え付けからスタートするとよいでしょう。 ブルーサルビアの発芽適温は20℃前後。種まきの適期は、十分に気温が上がった5月頃です。 まず、セルトレイに草花用にブレンドされた市販の培養土を入れます。中央に植え穴をあけて種子を2〜3粒ずつ播き、ごく薄く土をかぶせましょう。最後に浅く水を張った容器に入れて、底から吸水させます。これはジョウロなどで上から水やりすると種子が流れ出してしまうことがあるからです。発芽までは暖かく明るい半日陰で管理し、乾燥しないように適度に水やりをしましょう。 発芽後は日当たりのよい場所で管理します。本葉が2〜3枚ついたら、勢いがあって元気のよい苗を1本のみ残し、ほかは間引きましょう。ヒョロヒョロと伸びた弱々しい苗や、葉が虫に食われている苗、葉が黄色くなっている苗などを選んで間引きます。さらに、黒ポットに培養土を入れて植え替え、10日に1度ほど薄い液肥を与えて育苗します。十分に成長したら花壇や鉢などに植え付けます。 花がら摘み ブルーサルビアは次から次へと花が咲くので、花が終わったら早めに摘み取りましょう。まめに花がらを摘んで株まわりを清潔に保つことで、病害虫発生の抑制につながりますよ! また、いつまでも終わった花を残しておくと、種子をつけようとして株が消耗し、老化が早まって花数が少なくなってしまうので注意。花がらをまめに摘み取ると、次世代を残そうとして次から次に花がつき、長く咲き続けてくれます。 摘心 苗を植え付けるタイミングで、新葉を2枚ほどつけた茎の下で切り取る「摘心(摘芯とも)」を行うと、下から脇芽が出てきます。この脇芽が勢いよく伸びたら、同様に摘心をし、この作業を繰り返すと、分枝が進んでこんもりと茂る株になります。枝の数が多くなるぶん、花数も多くなりますよ! ただし、「寄せ植えの花材の一つとして加えたいので、スマートな姿を保ちたい」といった場合には、不要な作業です。 剪定・切り戻し Andrii Zastrozhnov/Shutterstock.com ブルーサルビアは開花期間が長く、ある程度咲きそろった後は徐々に草姿が乱れてきます。夏には草丈の半分くらいまで刈り取って、風通しよく管理しましょう。秋になると再び勢いを取り戻して生育し始め、晩秋まで開花を楽しめます。また、梅雨時の高温多湿な環境では株が蒸れて傷みやすくなるため、6月頃は風通しをよくするために花が密集しないよう切り戻しをしましょう。 夏越し ブルーサルビアは夏から晩秋にかけて長く元気に咲く花ですが、晩秋まで開花を楽しむなら、夏には草丈の半分くらいまで刈り取って風通しよく管理しましょう。秋になると再び勢いを取り戻して生育し始めます。 冬越し ブルーサルビアは寒さに弱いので、基本的には日本の寒い冬を乗り越えられずに冬前には枯れてしまいますが、本来は多年草なので、暖地では冬越しできることもあるようです。気温が低くなってきたら室内に入れるかカバーをするなど、霜や凍結に注意しましょう。 増やし方 Cautivante.co/Shutterstock.com ブルーサルビアの増やし方には、挿し木、種まきがあります。 【挿し木(挿し芽)】 挿し木(挿し芽とも)とは、茎葉を切り取って地面に挿しておくと発根して生育を始める性質を生かして増やす方法です。たくましいですね! 植物の中には挿し木ができないものもありますが、ブルーサルビアは容易に挿し木の方法で増やせます。 ブルーサルビアの挿し木の適期は、6〜7月です。新しく伸びた枝を2節以上つけて切り口が斜めになるように切り取ります。採取した枝(挿し穂)は、水を張った容器に1時間ほどつけて水あげしておきましょう。その後、水の吸い上げと蒸散のバランスを取るために下葉を2〜3枚取ります。3号くらいの鉢を用意してゴロ土を入れ、新しい培養土を入れて水を入れて十分に湿らせておきます。培養土に3カ所の植え穴をあけ、穴に挿し穂を挿して土を押さえてください。発根するまでは明るい日陰に置いて乾燥させないように管理します。十分に育ったら、植えたい場所へ定植しましょう。挿し木のメリットは、親株とまったく同じ性質を持ったクローンになることです。 【種まき(種取り)】 種子を採取して保存し、翌シーズンに種まきして増やすこともできます。ただし、種子をつけると株が消耗して次々と花を咲かせなくなるので、開花期前半は花がら摘みをして長く楽しみ、そろそろ終わりを迎える頃に花がら摘みをやめて、種子をつけさせるとよいでしょう。種子がはじける頃に莢ごと採取して、よく乾燥させてから種子を取り出します。密封容器に入れて、花名と採取した日を書き入れたラベルをつけ、次の種まきシーズンまで冷暗所で保存しましょう。 採取した種子の播き方は、「種まき」の項を参照してください。 こぼれ種で増える? こぼれ種とは、人為的に種まきをしたものではなく、自然に地面にこぼれ落ちた種子のことを言います。草花の中にはこぼれ種から増えるものもありますが、ブルーサルビアを増やしたい場合は前項で記述したとおり、種まきか挿し木が適切です。 地植えと鉢植え、どっちがいい? ブルーサルビアは、地植えでも鉢植えでも育てることができます。ここでは、その違いや特徴についてご紹介します。 地植えの場合 CuteIdeas/Shutterstock.com 地植えの場合は、鉢植えに比べて根を自由に広げることができるので、株姿が大きくなります。また、地中から水が上がってくるので、水やりもよほど乾燥が続く時以外は基本的には不要。肥料も土中に含まれる養分を吸い上げるので、鉢栽培ほど頻繁に与える必要がありません。また大きく育てれば、ダイナミックな景色をつくることができます。 鉢植えの場合 COULANGES/Shutterstock.com 鉢植えの場合は土の容量が限られるために、まめな水やりのメンテナンスが必要です。また、水やりのたびに肥料成分が流亡しやすいので、施肥の頻度も地植えより高くなります。しかし、日当たりのよい場所など、適した環境に移動しやすいのがメリット。ベランダやテラスなどに配置すれば、居住空間に近い場所を草花で彩ることができます。鉢のデザインや素材にこだわり、草花とのコーディネートも楽しめますね。 花壇や寄せ植えでも! 庭を鮮やかに彩るブルーサルビアを育ててみよう ruangrit junkong/Shutterstock.com この記事では、ブルーサルビアの基本情報から名前の由来、花言葉、育て方まで、詳しく解説しました。暑い真夏にも負けずに、涼しげなクールカラーの花が元気に咲き続け、サマーガーデンには欠かせない草花です。この爽やかなブルーサルビアを、ぜひ庭やベランダで育ててみませんか。
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宿根草・多年草

睡蓮(スイレン)とは ハスとの違いや特徴、育て方を解説
睡蓮の基本情報 Mazur Travel/Shutterstock.com 植物名:スイレン(睡蓮)学名:Nymphaea colorata英名:waterlily和名:睡蓮科名:スイレン科属名:スイレン属原産地 熱帯性睡蓮:熱帯アフリカ、南米、オーストラリア、熱帯アジアなどの熱帯、亜熱帯地域 温帯性睡蓮:ヨーロッパ、アメリカの温帯地域形態:多年生水生植物 「睡蓮」とは、スイレン科スイレン属(Nymphaea属)の植物の総称です。スイレン属の学名である「Nymphaea」は、水の精のnymph(ニンフ)に由来しています。水に浮かぶ涼しげな姿が美しい多年草の水生植物(水草)です。池や沼、緩やかな河川など生育していて、水中の地下茎から長い葉柄を伸ばし、水面に葉や花を浮かべます。 睡蓮の花や葉の特徴 Praew stock/Shutterstock.com 園芸分類:水生植物開花時期:熱帯性睡蓮:7〜10月/温帯性睡蓮:5〜10月耐寒性:熱帯性睡蓮 弱い/温帯性睡蓮 強い耐暑性:熱帯性睡蓮 強い/温帯性睡蓮 普通花色:ピンク、白、黄色など 睡蓮は、その見た目の特徴からも人々に愛される植物です。葉は円形で、切れ込みがあり、ツヤがあります。また、花は水面上に咲き、花托がなく、細長い花びらが特徴です。 睡蓮とハスは似ていますが、違う仲間の植物です。睡蓮の葉が水面に浮かぶのに対し、ハスの葉は水面の上に出て展開します。 睡蓮の花言葉と名前の由来 Andrew Kotura/Shutterstock.com 睡蓮の花言葉は「清純な心」「純情」「甘美」「優しさ」「信頼」などで、色によって異なります。また、古代エジプトにおいては太陽のシンボルとされていたことから、「信仰」という花言葉もあります。 さらに、ギリシャ神話に由来する花言葉として「滅亡」も挙げられます。 学名の由来にもなっているニンフは、プリアポスの言い寄りから逃れるために、水場に入って睡蓮に姿を変えたといわれています。 睡蓮になったニンフは、しばしばギリシャ神話やヨーロッパの伝説で水場に人を引き込む魔物のように描かれることがあります。ヘラクレスの愛人であるヒュラスが水を汲みに水場に近づいた際に、ヒュラスを気に入ったニンフが彼を水場に引き込んでしまったという話のように近づいた人に死をもたらすというイメージから、いつからか「滅亡」という花言葉が与えられたのかもしれませんね。 日本語の「睡蓮」は、睡蓮の花が朝から昼に開き、夕方には眠るように閉じてしまうことから、「眠るハス」ということでこの名がつけられたともいわれています。 睡蓮とハス(蓮)の違いは? 睡蓮によく似たハス。Janon Stock/Shutterstock.com 睡蓮とハスは、過去には同じスイレン科に分類されていましたが、遺伝子解析や花粉構造の研究により、ハスはハス科に分類されるようになりました。 ハスの地下茎には穴があり、この地下茎が「レンコン」として食べる部分になります。睡蓮は球根を持ちます。 上の写真のように睡蓮とハスは似ていますが、見た目でかりやすい違いとしては、睡蓮の葉は艶やかで切れ込みがある円形ですが、ハスには切れ込みがありません。さらに、ハスには浮き葉(水面上にある葉)と立ち葉(水面の上まで伸びて生えている葉)がありますが、睡蓮は浮き葉のみです。 ハスの開花のピークは7~8月中旬頃で、睡蓮より短めです。 日本で睡蓮の咲く時期と見頃 cristalvi/Shutterstock.com 睡蓮には温帯性睡蓮と熱帯性睡蓮があり、それぞれ開花時期が異なります。温帯性睡蓮の開花時期は5月から10月で、熱帯性睡蓮の開花時期は7月から10月です。 どちらも含めると、睡蓮の見頃は6月から9月頃とされています。 また、植え付け時期は3月から7月中旬です。 睡蓮には温帯性と熱帯性の2種類がある Praew stock/Shutterstock.com 前の解説でも少し触れましたが、睡蓮は温帯性と熱帯性に分けられます。ここでは、それぞれの睡蓮について詳しくご紹介します。 温帯性睡蓮 Alex Manders/Shutterstock.com 温帯性睡蓮は、世界の温帯地域に生息しており、越冬が可能です。また、温帯性睡蓮は熱帯性睡蓮よりも花形が豊富なのが特徴です。開花時期は5月中旬から10月。花は昼咲き性で、昼過ぎには閉じてしまうので、開花の様子は午前中しか見られません。フランスの印象派の画家、クロード・モネが愛し、「睡蓮」というタイトルで何枚もの絵を残しましたが、そこに描かれているのは主に温帯性睡蓮だといわれています。 熱帯性睡蓮 icemanphotos/Shutterstock.com 熱帯性睡蓮は、主に熱帯アフリカに生息しており、南米、オーストラリア、熱帯アジアなどの地域にも分布しています。開花時期は7月から10月中旬。水温が15℃を下回ると枯れてしまうので、育てる際は加温をするなど注意が必要です。青色や紫色などのブルー系があり、多彩な花色が特徴です。 代表的な睡蓮の品種 Dark_Side/Shutterstock.com 睡蓮には非常にさまざまな色や花形、芳香があり、また夜咲きの品種もあります。 ここでは代表的な睡蓮の品種について、種類ごとにご紹介します。 ティナ Angelina Kuhnert/Shutterstock.com ティナ(Nymphaea 'Tina')は、熱帯性睡蓮の一種です。紫色の大きく美しい花を咲かせ、人気の高い品種です。繁殖力が強いのも特徴です。 ブルーロータス Natalie magic/Shutterstock.com ブルーロータス(Nymphaea nouchali var. caerulea)は、熱帯性睡蓮の一種で、春から7月頃に青い花を咲かせることで知られています。 ヨザキスイレン guentermanaus/Shutterstock.com ヨザキスイレン(別名エジプトスイレン)は熱帯性睡蓮の一種で、1~3月に花径15〜25cmの大きな白い花を咲かせます。花は夜19時頃に咲き始め、朝9時になると閉じ、これを4〜5日繰り返すという個性的な特徴があります。濃厚で甘いフローラルな香りもあり、「ロータスアブソリュート」などの名がついたアロマオイルにもなっています。 ムラサキシキブ 熱帯性睡蓮には、葉の中央部にムカゴと呼ばれる小さな球根状の芽を付ける種類(ムカゴ種)があります。ムラサキシキブはそのムカゴ種に分類されます。 つぼみも紫色で、花が咲くと、花弁は白で縁取りは紫色というコントラストが美しい品種です。開花時期は7月から10月。 ペンシルベニア ペンシルベニアは、「ブルー・ビューティー」という別名を持つ熱帯性睡蓮。100年以上の歴史を持つ古い品種です。熱帯性睡蓮ならではのブルー系の花が可憐で美しく、高い人気を誇ります。繁殖力も旺盛で、花付きがよいので、初心者にもおすすめです。 レッドフレア Photo/pzAxe/Shutterstock.com レッドフレアは熱帯性睡蓮の一種。こちらも夜咲き系で、中でも最も赤が濃い品種です。 花弁を大きく開く大輪種で、夜咲き種らしい独特の花形も特徴です。葉は銅色で、シックな色の対比バランスがとても美しいです。 ホワイトパール ホワイトパールは熱帯性睡蓮の一種。大輪品種で、純白の花を咲かせます。黄色の蕊(しべ)とのコントラストが美しく、清楚さを感じさせる品種です。 アルバート・グリーンバーグ Photo/Simon Groewe/Shutterstock.com アルバート・グリーンバーグは熱帯性睡蓮の一種。花色は中央が薄い黄色で外へいくほどピンクが濃くなる、グラデーションが美しい花が楽しめます。個体によって、黄色やピンクの濃淡が異なります。葉に紫褐色がかる斑が入るのも特徴です。 オールモスト・ブラック Photo/Yury Petukhov/Shutterstock.com オールモスト・ブラックは熱帯性睡蓮の一種。直訳すると「ほとんど黒色」という名の通り、シックで暗めの赤色の花が目をひきます。花の中心部にいくほど黒味が強くなる珍しい品種です。開花時期は5月から9月です。 アーカンシェル Photo/Victoria Tucholka/Shutterstock.com アーカンシェルは温帯性睡蓮の一種。緑の葉に白や桃色などの斑が入るのが特徴的な品種です。「アーカンシェル」はフランス語で、その意味は英語でいうと「Arch in the sky」、つまり虹のこと。さまざまな色の斑入りの葉から、この名がついたといわれています。開花時期は5月から9月。ほぼ白に近い薄い桃色の細い花を咲かせます。 ピーチ・グロウ Photo/Wanvimol Songthamwat/Shutterstock.com ピーチ・グロウは温帯性睡蓮の一種。花色は、淡いクリームの花弁にほんのりと淡いピンクがのっていて、名前のとおり桃のような色合いが愛らしい品種です。花弁が多く、開花時期や肥料によって黄色みが濃くなったり、ピンクが濃くなったりという変化があります。 ジェームズ・ブライドン Photo/Elena Rostunova/Shutterstock.com ジェームズ・ブライドンは温帯性睡蓮の一種。比較的小型の家庭栽培に向く品種です。花弁の幅が広くふっくらしていて、上向きに美しく整った赤や濃いピンク色の花を咲かせます。 開花時期は6月から9月ですが、暑さには少し弱いため、真夏には開花が止まります。 ダーウィン Photo/eZeePics/Shutterstock.com ダーウィンは温帯性睡蓮の一種。花色はピンクで、中央にいくほど濃く、外側は白に近いというグラデーションがかかった色合いです。花弁数がとても多く、華やかさを放つ品種です。 ヒツジグサ Kristine Rad/Shutterstock.com ヒツジグサは日本に唯一自生するスイレン属の植物で、日本全国に分布しています。冷涼な気候を好み、6~11月に花径3~4cmの小さな花を咲かせます。 ヒツジグサという名前は、羊の刻(午後2~4時)に花を咲かせることからつけられたという説もありますが、実際にヒツジグサが開花するのは、およそ朝10時頃です。 家庭での睡蓮の育て方 美しい花が魅力的な睡蓮は、ご自宅でも育てて楽しむことができます。 ここからは、睡蓮の家での育て方とコツについて解説します。 睡蓮鉢と内鉢を用意 Bowonpat Sakaew/Shutterstock.com 睡蓮を育てるには、株を植え付ける内鉢と、水をためる睡蓮鉢が必要です。 睡蓮鉢は、鉢底に穴のない円形で口径が広いものが一般的です。睡蓮は根の張りが強いため、プラスチックなどではなく、丈夫な陶製の鉢がおすすめです。内鉢と睡蓮鉢のサイズを合わせて購入しましょう。水鉢の大きさは、品種や株の大きさによっても異なりますが、口径30cm以上、水面から土までの深さが10cm以上になるものがよいでしょう。 品種選び Peace-loving/Shutterstock.com 睡蓮の苗は、栽培に適した時期にホームセンターやネット通販で販売されています。 品種選びには、いくつかのポイントがあります。まず、種類によって葉や花のサイズが異なるため、鉢の大きさを踏まえて検討する必要があります。 また、種類によって開花時期や開花する時間も異なるため、自分の生活に合ったものを選ぶとよいでしょう。 土選び Ratthaphong Ekariyasap/Shutterstock.com 睡蓮は肥沃で粘り気の強い土を好みます。腐葉土を底に敷き、赤玉土の小粒を水で練って植え込むか、用意できる場合は、田んぼの土を使って植え込みます。 植え付けの方法 Asrul Hazri/Shutterstock.com 睡蓮の植え付け時期は3~7月です。 内鉢に用土を入れ、苗を植え付けますが、その際、土をしっかり固めて水に浮かないようにすることが重要です。 次に、水を入れた睡蓮鉢に内鉢を沈めます。用土の表面から水面までの高さは5~20cmとなるよう、品種に合わせて調節します。 水やり Prasanthsartgallery/Shutterstock.com 睡蓮は水中で生育するので、こまめに水やりをする必要はありませんが、夏の開花時などは蒸発して水が減りやすいので、水切れを起こさないように水を足してあげましょう。 置き場所と管理 睡蓮を植え付けたら、日当たりのよい場所に置いて管理します。特に熱帯睡蓮の場合は生育に適した水温が25℃以上と高く、15℃を下回ると生育が鈍るので、日当たりのよい暖かい場所で育てましょう。 剪定については、花がらや黄色くなった葉は放置しておくと、水腐りの原因になるので、こまめに根本から切って取り除き、水が汚れないようにしましょう。また時々、鉢の水の1/3~1/2程度を溢れさせながら入れ替えるエアレーションをすると、空気を含んだ新鮮な水を鉢内に送り込むことができます。 睡蓮を栽培する場合、ボウフラ(蚊の幼虫)などの発生を予防するために、一緒にメダカを飼うのもおすすめ。水鉢の中を小さなメダカが動き回っているのを見るのは可愛らしいものです。ただし、水温上昇や農薬に気をつけるなど、メダカの生育にも適した環境を必ず用意してあげましょう。 冬越し 熱帯睡蓮と温帯睡蓮では耐寒性の強さが違うため、冬越しの方法も異なります。 温帯睡蓮は耐寒性が強く、水面が凍る程度なら耐えられるので、屋外での冬越しもOK。株が凍りつかないように深めの水位で管理します。3~4月頃に掘り起こして新しい土に植え替えましょう。 一方熱帯睡蓮は、冬は室内に取り込んだほうが無難。水温が5℃を下回らないように注意し、温度変化の少ない場所で管理します。休眠中は日光を必要としないため、発泡スチロールなどの容器に入れて蓋をしてしまうのも一手。熱帯魚用の水槽ヒーターなどがある場合は、加温して休眠させずに育ててもよいでしょう。 睡蓮を家で栽培してみよう Elena Elisseeva/Shutterstock.com 水辺に幻想的な雰囲気を作り出す睡蓮は、品種もさまざまで選ぶ楽しみがあります。メダカなどを飼育するビオトープに植えても涼しげな風景を作ることができます。 水やりなどの手間も少なく、美しい咲きたての花を身近に鑑賞できる喜びがあります。ぜひご自宅で睡蓮の栽培にチャレンジしてはいかがでしょうか。
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育て方

8月の庭仕事をチェック! ガーデニングカレンダー August
ホースの水の熱湯化にご注意 PhotoJuli86/ shutterstock.com 近年の夏の暑さは想像以上で、猛暑日ともなると、ホースに溜まった水は温かいを通り越し、熱湯化して触れると熱いくらいです。しばらく水を出しっぱなしにして、冷水になったことを確認してから植物にも水やりしましょう。朝の水やりは、遅くとも8時前までに。それ以降は気温がぐんぐん上がり、鉢の中で水がお湯化してしまいます。日が落ちてからもう一度あげてもよいでしょう。 暑い夏は地植えでも水やりを この異常な高温のせいで、植物にも異変が発生しています。地植えの場合、通常は水やりは必要ありませんが、この夏は地植えの草花、野菜もシオシオになっている地域があります。特に地中海沿岸原産のハーブのほとんどは、日本の高温多湿が苦手。夜温の高い日が続くと弱ってしまうので、夕方以降はハーブの周辺に打ち水をして地温を下げましょう。中途半端に水を与えると蒸れを引き起こしてしまうので、水やりをする時は、たっぷりと。 地植えの場合、連日雨が降らない真夏には、上写真左のように株元にじっくり水をやります。地中の根に届くように、1株あたり10秒以上。また、葉の表面のホコリを落としたり、病害虫の発生を予防するために、葉に水をかける「葉水(はみず)」(上写真右)もおこないましょう。 ハダニ対策にシャワー放水 Eileen Kumpf/ shutterstock.com ハダニは高温で乾燥した環境を好みます。風に運ばれてやってくるハダニは、繁殖力が旺盛なため、アッという間に広がります。発生すると葉が白っぽくなり、植物の生育が悪くなります。湿気を嫌うので、こまめにシャワーの水を葉裏にかけながら水やりをするとよいでしょう。ベッドやカーペットなどに繁殖し、アレルギーの原因となるダニ類とは種類が異なります。 春秋型、冬型の多肉は生育停滞期 panattar/ shutterstock.com セダムやエケベリア、セネシオ、センペルビウム、ハオルチア、パキフィツムなど春秋に生育する多肉類は、生育が停滞する時期です。日焼けを起こしやすいので直射日光に当たらないよう遮光し、風通しをよくしましょう。生育停滞期は根が水を吸うスピードも遅いので、用土が完全に乾いたことをしっかり確認してから水をたっぷり与えましょう。冬に生育するリトープス、冬型コーデックスなどは休眠期ですので、断水します。どちらも肥料などは施しません。 真夏の液肥は薄めに Sokolenko/ shutterstock.com この暑いさなか、可愛い花を次々に咲かせてくれる夏の草花。植物は花を咲かせると体力を使うので、1〜2週間に1回、液肥を与えましょう。ただし真夏は肥焼けしやすいので、液肥は通常よりも薄めが安心です。花をたくさん咲かせようと液肥を濃くすると、逆に弱らせてしまいます。 人気の草花は今から予約 暑い、暑いといえども、季節は巡るもの。秋のガーデニングに向けて準備を始める時期です。宿根草や球根花、バラ苗などは8月から「予約販売」が始まっています。ちょっと変わったものや人気の品種は早いもの順。涼しくなって、「そろそろ秋のガーデニングを始めようかなぁ」という気分になった頃にネットショップをのぞいても、素敵なものは軒並み“sold out”になっていることがしばしば。欲しい花、狙っている花があれば、夏に予約しておくのがベストです。 鉢植えやつる植物、樹木の台風対策を Alexander/ shutterstock.com 台風の季節です。暴風雨に備えて、草丈の高い草花は茎が折れないようまとめて縛っておくとよいでしょう。また、鉢やハンギングの置き場所を見直して、飛ばされない場所へ移動しましょう。移動できない場合は、鉢を寄せ集めて、まとめて縛っておきます。アーチやフェンスなどの構造物に誘引したつる植物も、外れて倒れないよう留めつけ場所を増やしましょう。樹木も株元をチェック。この時期はカミキリムシが発生し、幼虫のイモムシが樹木の中を食い荒らしていることがあります。弱った樹木は台風によって倒れやすいので、おがくずなどが出ていないか、ぐらつきがないかなどを確認し、弱っているようなら支えをしたり、ロープでつなぐなどの対策をしましょう。 夏休みの旅行中の水やり Olga Ilina/ shutterstock.com 夏休み中に旅行に出かける際、心配になるのが植物の水やりです。1日水やりをしないだけでも水切れの症状を起こしてしまう時期なので、きちんと水やり対策を施してから出かけましょう。1〜3日くらいなら水を張ったバケツなどに鉢ごとつける腰水が有効です。この場合の腰水は、鉢の底が3cmほど浸かる程度が適量です。鉢がたくさんある場合は、バスタブに集めていっぺんに腰水をしてもよいでしょう。また、鉢を日陰に移動するのも有効です。4日以上の場合は、自動灌水機を設置するとよいでしょう。 夏の草花を切り戻しましょう ペチュニアやサルビア、マリーゴールド、インパチェンスなど、夏にたくさん花を咲かせる草花も、8月中旬を過ぎると草姿が乱れてきます。そのタイミングで一度、茎を1/2〜1/3ほど切って「切り戻し」をすると、1カ月ほどで再びきれいに咲いてきて、秋にも花が楽しめます。 バジルの切り戻し 左/8月初旬の伸びすぎた状態。このタイミングで切り戻しをすると200gの瓶2つほどのバジルペーストができます。中/切り戻しをすると、わき芽が吹いて再び収穫できます。右/スイートバジルの花穂。放置するとタネをつけ、葉が硬くなってきます。 5〜6月にタネを播いたり、7月に苗を植えたりしたバジルは、そろそろ花穂が伸びてきます。そのままでは葉が硬くなるので、摘心してわき芽を増やしましょう。8〜9月上旬に株元から15cm程度で切り戻すと再び枝葉が茂り、10月いっぱいまで柔らかい葉が収穫できます。
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一年草

インパチェンスはカラフルな花が魅力の夏花! 特徴や花言葉、育て方について詳しく解説
インパチェンスの基本情報 Klever_ok/shutterstock.com 植物名:インパチェンス学名:Impatiens walleriana英名:busy Lizzie、balsam、sultana、impatiens和名:アフリカホウセンカその他の名前:インパチエンス科名:ツリフネソウ科属名:ツリフネソウ属(インパチェンス属)原産地:熱帯アフリカ分類:一年草 インパチェンスは、ツリフネソウ科ツリフネソウ属(インパチェンス属)の一年草です。草丈は10〜40cm程度とやや低く、こんもりと茂るので夏花壇の前段〜中段に向いています。コンテナやハンギングバスケットなど寄せ植えの素材として使うと、主役にも脇役にもなる中堅どころといった存在です。初夏から秋までと開花期間が長く、多くの草花が苦手とする半日陰の場所でも育てられます。 インパチェンスのライフサイクルは次の通り。4月下旬〜6月にタネを播くと、10日前後で発芽して、茎葉を旺盛に伸ばします。開花は5〜11月で、期間が長いのが特徴。暑い時期もよく開花し、夏の庭を色彩豊かに彩ってくれます。寒さに弱い性質で、晩秋には枯死します。 インパチェンスの花や葉の特徴 Verra Widhi/shutterstock.com 園芸分類:草花開花時期:5〜11月草丈:10〜40cm耐寒性:弱い耐暑性:やや弱い花色:赤、ピンク、オレンジ、白 花のサイズは3〜4cmで、やや小さめ。花つきがよく、株いっぱいに咲くと色のかたまりとなってよく映えます。花色は、赤、ピンク(濃淡揃う)、オレンジ、白など、カラフルな色調が特徴です。花姿は一重咲きや八重咲きがあり、後ろに突き出た距(きょ)が特徴です。一重咲き品種は庭植えや夏花壇に向きますが、八重咲き品種は雨に弱いものが多いので、鉢植えで育てるのがおすすめです。卵形から楕円形の葉は先がやや尖り、縁にはギザギザがあります。斑入り品種もあります。 インパチェンスの名前の由来と花言葉 Janny2/shutterstock.comisolated on white インパチェンスの名前は、ラテン語の「impatient」に由来し、「我慢できない」という意味です。これは、インパチェンスの熟した莢に触れると、弾けてタネが広範囲に散らばるためで、その様子を「我慢できない」と表現しているのです。和名は、アフリカホウセンカといい、「アフリカからもたらされたホウセンカ」という意味でつけられました。 Reut MG/Shutterstock.com インパチェンスの花言葉は、「鮮やかな人」「強い個性」「私に触れないで」など。「鮮やかな人」はビビッドな花色をそのまま表現したのでしょう。「強い個性」も同様に、パッと目を引く存在感から与えられたと考えられます。 インパチェンスの代表的な種類 Natalie Davis/Shutterstock.com 花つきがよく、ポップなカラーが魅力の「F1ロリポップシリーズ」、八重咲きでバラのような咲き姿を見せる「カリフォルニアローズ・フィエスタシリーズ」、ハイブリッド(交雑種)で栽培難易度が低く育てやすい「スマイルサンシリーズ」などがあります。 F1ロリポップシリーズ 多花性で花径4~5cmほどの花がたくさん咲きます。開花の揃いがよく、株もよく分枝してコンパクトにまとまりやすい品種。 カリフォルニアローズ・フィエスタシリーズ 名前の通り、まるで小さなバラのような咲き姿のバラ咲きインパチェンスのシリーズ。こんもりと茂って花付きよく咲き、花色のバリエーションも楽しめます。 インパチェンスの歴史と分布 Ole Schoener/Shutterstock.com インパチェンスの仲間は、アジアやアフリカに500種以上が分布しています。日本でインパチェンスとして流通しているのは、インパチェンス・ワレリアナ種で、その交雑種も含まれています。 ワレリアナ種はアフリカ東部の熱帯が原産地で、湿り気のある日陰〜半日陰に自生する植物です。19世紀にヨーロッパに渡り、オランダを中心にヨーロッパ、アメリカなどで品種改良が進んで、園芸品種として人気が高まりました。現在では、その品種は2,000を超すといわれています。 インパチェンスの栽培12カ月カレンダー Yui Yuize/Shutterstock.com 開花時期:5~11月植え付け:5月〜7月中旬肥料:5月〜7月中旬、9月下旬〜10月種まき:4月下旬~6月 インパチェンスの栽培環境 yod67/Shutterstock.com 日当たり・置き場所 【日当たり/屋外】日当たりがよく、風通しのよい場所を好みます。日向のほうが花つきはよくなりますが、半日陰〜日陰でも育ち、品種によっては真夏は強い直射日光により傷むことがあります。 【日当たり/屋内】屋外で栽培します。ただし、冬越しに挑戦する場合は、冬は室内の日当たりのよい窓辺などで管理しましょう。 【置き場所】水はけ、水もちのよいフカフカとした土壌でよく育ちます。有機質肥料を施した肥沃な土壌が理想です。 夏に咲く性質ではありますが、日本でも温暖化が進んで、35℃以上になる猛暑日が多くなってきました。サンパチェンスなど暑さに強い品種以外では「近年の強烈な日差しには耐えられない」という報告もありますので、真夏は午前中に光が差して、午後は直射日光を受けない東側で管理するのが無難です。 耐寒性・耐暑性 インパチェンスは本来は多年草ですが、寒さに弱くうまく冬越しできないために、日本では一年草として扱われています。ただし、霜や凍結にあわない環境であれば、冬越しが可能です。気に入った品種があれば鉢植えにして、室内の日当たりのよい窓辺などで管理してみましょう。上手に冬越しができれば、翌春に成長期を迎えると、再び生育し始めます。 耐暑性はある程度ありますが、近年の強い直射日光や真夏の暑さには弱いので、真夏は暑さ対策をするとよいでしょう。 インパチェンスの育て方のポイント 用土 funnyangel/Shutterstock.com 【地植え】 インパチェンスは丈夫な性質で土壌を選びませんが、植え付け前に腐葉土や堆肥などの有機質資材を植え場所に投入し、よく耕してフカフカの土をつくっておくとよいでしょう。 【鉢植え】 草花の栽培用にブレンドされた、市販の園芸用培養土を使うと便利です。 水やり Osetrik/Shutterstock.com 【地植え】 植え付け後にしっかり根づいて茎葉をぐんぐん伸ばすようになるまでは、水切れしないように管理しましょう。根付いた後は、地植えの場合は下から水が上がってくるのでほとんど不要です。ただし、雨が降らずに乾燥が続くようなら、水やりをして補います。真夏は朝か夕方の涼しい時間帯に与えることが大切です。 【鉢植え】 日頃の水やりを忘れずに管理します。土の表面が乾いたら、鉢底から水が流れ出すまで、たっぷりと与えましょう。茎葉がしおれそうにだらんと下がっていたら、水を欲しがっているサインです。植物が発するメッセージを逃さずに、きちんとキャッチしてあげることが、枯らさないポイント。特に真夏は高温によって乾燥しやすくなるため、朝夕2回の水やりを欠かさないように注意します。真夏は昼間に水やりすると水の温度が上がり株が弱ってしまうので、涼しい時間帯に行うことが大切です。 肥料 Vitalii Stock/Shutterstock.com ビギナーの場合、緩効性化成肥料を常備しておくのがおすすめです。植物への汎用性が高く、ニオイがしないため扱いやすいのがメリット。開花期に与える液肥は、開花促進を目的とした配合の製品を選ぶのがおすすめです。 地植え、鉢植えともに、5月〜7月中旬と9月下旬〜10月の期間は、月に1度を目安に緩効性化成肥料を株の周囲にまいて株の勢いを保ちます。鉢植えの場合は、花茎が上がってきた頃から開花が終わるまで、10日に1回を目安に液肥を与えるとよいでしょう。開花期は適切な追肥が必要ですが、夏の高温期に肥料成分が残ると株が弱ることがあるので、夏は肥料を切らして管理するのがポイントです。 注意する病害虫 schankz/Shutterstock.com 【病気】 インパチェンスに発生しやすい病気は、灰色かび病です。梅雨時など多湿になると発生しやすいので、茂りすぎて蒸れやすくなったら、適宜茎葉を切り取って風通しをよくしましょう。また、枯れ葉や終わった花をまめに除去すると、予防できます。 【害虫】 インパチェンスにつきやすい害虫は、アブラムシ、ハダニなどです。アブラムシは、土に混ぜておくタイプの適応薬剤で予防できます。 インパチェンスの詳しい育て方 苗の選び方 インパチェンスの苗を購入するときは、ヒョロヒョロと徒長したものや病害虫の痕があるものは避け、葉色が濃く、つぼみが多い苗を選ぶとよいでしょう。 植え付け Nataly Studio/Shutterstock.com 苗の場合、植え付け適期は、5月〜7月中旬です。タネを播いて育てた場合は、鉢上げした黒ポットの底まで根が回った頃が、定植に適したタイミングです。インパチェンスは開花期間が長いので、園芸店で7月中旬以降も販売している場合があります。その際は、早めに定植しましょう。 【地植え】 腐葉土や堆肥などの有機質資材を投入して、あらかじめ土づくりをしておいた場所に植え付けます。こんもりと茂るので、株間を20〜30cm取っておきましょう。植え付けた後に、たっぷりと水やりします。 【鉢植え】 草花の栽培用に配合された園芸用培養土を利用すると便利です。鉢の大きさは、5〜7号鉢(直径15〜21cm)に1株を目安にするとよいでしょう。用意した鉢の底穴に鉢底ネットを敷き、軽石を1〜2段分入れてから、培養土を半分くらいまで入れましょう。インパチェンスの苗をポットから取り出して鉢に仮置きし、高さを決めます。水やりの際にすぐあふれ出すことのないように、土の量は鉢縁から2〜3cmほど下までを目安にし、ウォータースペースを取るとよいでしょう。土が鉢内や根の間までしっかり行き渡るように、割りばしなどでつつきながら培養土を足していきます。最後に、水を鉢底から流れ出すまで十分に与えましょう。寄せ植えの素材として、大鉢にほかの植物と一緒に植え付けてもOKです。 摘心 Semjonow Juri/Shutterstock.com 植え付け後、幼苗のうちに茎の先端を切り取る「摘心」を繰り返すと、脇芽が出てこんもりとした株姿に成長し、花数も多くなります。 花がら摘み Anton_dios/Shutterstock.com インパチェンスは次から次へと花が咲くので、終わった花は早めに摘み取りましょう。株周りを清潔に保つことで、病害虫発生の抑制につながります。また、いつまでも終わった花を残しておくと、タネをつけようとして株が消耗し、老化が早まって花数が少なくなってしまうので注意。花がらをまめに摘み取ると、次世代を残そうとして次から次に花がつき、長く咲き続けてくれます。 剪定・切り戻し Miss.Suchada Teeramat/Shutterstock.com 苗が出回り始める5月頃に植え付けた場合、真夏を迎える頃に草姿が乱れてきたら、草丈の半分くらいまでを目安に全体を刈り込む「切り戻し」をするとよいでしょう。真夏を過ぎた頃に、再び株が盛り返して勢いよく生育し、秋にはたっぷりと咲く花姿を楽しめます。 ただし、遅めに苗を入手して草姿が乱れていない場合や、真夏も花を楽しみたい場合は、切り戻さずにそのままにしておいてもかまいません。 増やし方 Vladyslav Lehir/Shutterstock.com 【種まき】 広い庭があり、インパチェンスロードや花畑をつくりたい時は、種まきをしてたくさんの苗をつくるとコストを抑えることができます。 種まきの適期は、4月下旬〜6月。インパチェンスの発芽適温は20〜25℃で高温性なので、十分気温が上がった頃に行うと失敗が少なくなります。まず、種まき用のトレイに、赤玉土とピートモスを同量ずつブレンドした土(草花用にブレンドされた培養土を使ってもOK)を入れましょう。インパチェンスのタネを播き、タネが隠れる程度に薄く土をかけます。霧吹きで水やりするか、水を張った容器にトレイを入れて下から給水させましょう。種まきから10日前後で発芽します。 発芽後は明るい半日陰で管理。込んでいる場所があれば、苗が徒長しないように間引きます。本葉が出始めた頃に、一度液肥を少量混ぜて水やりをし、生育を促しましょう。 本葉が4〜6枚ついたら、鉢上げのタイミングです。直径6cmのビニールポットを準備し、赤玉土とピートモスを同量ずつブレンドした土(草花用にブレンドされた培養土を使ってもOK)を入れましょう。種まき用のトレイから苗の根鉢を崩さないように取り出して、ポットに植え付けます。表土には緩効性肥料を置き肥し、最後にたっぷり水やりを。その後は、1週間に1回を目安に液肥を施して育苗します。 【挿し芽】 インパチェンスは、挿し芽で増やすことが可能です。挿し芽の適期は6月か9月下旬。勢いのある茎葉を切り取り、清潔な挿し木用の培養土を育苗用トレイなどに入れて、採取した茎葉(挿し穂)を挿しておきます。摘心したり、切り戻して切り取った茎葉を使ってもOKです。水切れしないように管理すると、しばらくして発根するので、黒ポットなどに植え替えて育苗しましょう。株が大きくなったら、植えたい場所に定植します。挿し芽のメリットは、採取した株のクローンになることです。 インパチェンスはビギナーにおすすめ Yui Yuize/Shutterstock.com インパチェンスは、丈夫で放任してもよく育つので、ビギナーにおすすめの草花。限られたスペースやベランダ、寄せ植えの素材として利用するなら、園芸店やガーデンセンターで苗を購入して植え付けるとよいでしょう。広い敷地でたっぷりと植栽したい場合は、種まきしても容易に育てることができます。また、日陰でも育つので、暗めの場所を明るく彩ってくれる、嬉しい草花です。 ニューギニア・インパチェンスとの違い COULANGES/Shutterstock.com ニューギニア・インパチェンスは、インパチェンスの仲間ですが、熱帯アフリカを原産とするインパチェンスに対し、ニューギニアの高冷地に自生する原種をもとに育成された園芸品種グループです。インパチェンスよりも生育旺盛で、株や葉、花などが大きく、よりエキゾチックな印象です。 家庭でインパチェンスを育ててみよう Chiyacat/Shutterstock.com 日陰でも育つインパチェンスは、夏を代表する草花としてガーデニングでの人気が高いことから、年々品種改良が進んでいます。育てやすさが追求されているのはもちろん、花色のバラエティーが豊かになり、花のサイズが大小あるほか、バラのように花びらを多数重ねるものなど、個性豊かなラインナップが揃います。お気に入りの品種を見つけて、初夏から秋までインパチェンスを楽しんではいかがでしょうか。
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宿根草・多年草

ナツユキカズラは雪のような白花が美しいつる植物! 特徴や育て方を解説
ナツユキカズラの基本情報 Imaxe Press/Shutterstock.com 植物名:ナツユキカズラ学名:Fallopia baldschuanica (Polygonum aubertii、Polygonum baldschuanicum)英名:Silver lace vine、Russian vine和名:ナツユキカズラ(夏雪葛)その他の名前:シルバーレース・バイン、ポリゴナム・オーベルティー科名:タデ科属名:ソバカズラ属原産地:中国西部や中央アジア分類:落葉性つる性低木 ナツユキカズラの学名はFallopia baldschuanica、別名はシルバーレース・バイン、ポリゴナム・オーベルティーなど。タデ科ソバカズラ属の落葉性つる性低木です。原産地は中国西部や中央アジアなどで、暑さや寒さに強い性質を持っています。つるを約10mも伸ばして生育範囲を旺盛に広げますが、剪定によってコンパクトに抑えることは可能です。 ナツユキカズラの花やつるの特徴 aniana/Shutterstock.com 園芸分類:庭木開花時期:7〜10月樹高:3m以上耐寒性:強い耐暑性:強い花色:白、ピンク ナツユキカズラの開花期は7〜10月で、径1cmほどの小さな花がびっしりと枝先を覆うように咲き、名前のとおり雪が積もったような光景に。花色は白が基本ですが、うっすらとピンクを帯びた‘ピンクフラミンゴ’という品種も流通しています。 ナツユキカズラのつるは旺盛に伸びるので、範囲を広げたくない場合はこまめに剪定する必要があります。吸着性はなく、他者に巻きつきながらつるを伸ばします。葉は3〜6cmほどのハート形で、秋に紅葉したあとに落葉します。 ナツユキカズラの名前の由来や花言葉 lindasky76/Shutterstock.com ナツユキカズラ(夏雪葛)の「葛(かずら)」とはつる植物を指し、夏に白い花を咲かせるつる性の樹木という意味で名付けられました。旧学名のポリゴナム・オーベルティーと呼ばれることもあります。 ナツユキカズラの花言葉は「友情」です。 ナツユキカズラと近縁の仲間 Przemyslaw Muszynski/Shutterstock.com ナツユキカズラと同じソバカズラ属の植物には、身近な野草であるイタドリがあります。イタドリにはケイタドリやオオイタドリなどいくつかの種類がありますが、総称してイタドリと呼ばれることが多いです。日本の広い範囲に生息し、道端や空き地などで育つ姿をよく見かけます。「すかんぽ」などとも呼ばれ、食用や薬用にも利用されて広く親しまれている植物です。 ナツユキカズラの栽培12カ月カレンダー 開花時期:7〜10月植え付け・植え替え:4〜5月、10月頃肥料:特になし ナツユキカズラの栽培環境 crystaldream/Shutterstock.com 日当たり・置き場所 【日当たり/屋外】日当たり・風通しのよい場所を好みますが、半日陰でも育ちます。極端に暗い日陰には向きませんが、つるを伸ばして葉を日向に出してやれば問題なく生育します。 【日当たり/屋内】屋外での栽培が基本です。 【置き場所】土質は選びませんが、水はけ・水もちのよい土壌を好むので、地植えする場合は植え付け前に有機質資材を投入してよく耕し、ふかふかの土づくりをしておくとよいでしょう。注意しておきたいのは、旺盛につるを伸ばすために生育範囲が広がりやすいこと。大きくなることを想定し、あらかじめ広いスペースを用意し、ほかの植物の生育を妨げないように配慮しましょう。また、他者に絡みつきながら生育するので、フェンスやパーゴラ、オベリスクなど、支える資材が必要です。道具小屋などの屋根に誘引してもよいでしょう。 耐寒性・耐暑性 夏の暑さにも冬の寒さにも強く、一年を通して戸外で管理できます。 ナツユキカズラの育て方のポイント 用土 funnyangel/Shutterstock.com 【地植え】 植え付ける1〜2週間前に、約50cm四方の穴を掘り、掘り上げた土に腐葉土や堆肥などの有機質資材をよく混ぜます。植え穴に土を戻して、ふかふかの土をつくっておくとよいでしょう。土づくりをした後にしばらく時間をおくことで、分解が進んで土が熟成し、根の生育がよくなります。 【鉢植え】 花木の栽培用に配合された園芸用培養土を利用すると便利です。 水やり Osetrik/Shutterstock.com 水やりの際は、株が蒸れるのを防ぐために、全体にかけるのではなく、株元の地面を狙って与えてください。 真夏は気温の高い昼間に与えると、水がすぐにぬるま湯になり株が弱ってしまうので、朝か夕方の涼しい時間帯に行うことが大切です。真冬は十分に気温の上がった昼間に行います。夕方に与えると凍結の原因になるので注意しましょう。 【地植え】 植え付け後にしっかり根づいて枝葉をぐんぐん伸ばすようになるまでは、水切れしないように管理しましょう。根付いた後は、下から水が上がってくるのでほとんど不要です。ただし、雨が降らずに乾燥が続くようなら、水やりをして補います。 【鉢植え】 日頃の水やりを忘れずに管理します。土の表面が乾いたら、鉢底から水が流れ出すまで、たっぷりと与えましょう。成長期を迎えてぐんぐん枝葉を広げ、多数のつぼみが上がってくるようになると、水を欲しがるようになります。気候や株の状態に適した水やりを心がけましょう。枝葉がしおれそうにだらんと下がっていたら、水を欲しがっているサイン。植物が発するメッセージを逃さずに、きちんとキャッチしてあげることが、枯らさないポイントです。 特に真夏は高温によって乾燥しやすくなるため、朝夕2回の水やりを欠かさないように注意します。 肥料 Sarycheva Olesia/Shutterstock.com 【地植え】 やせ地でも旺盛に生育するので、植え付ける際にしっかり土づくりをしておけば、追肥は不要です。 【鉢植え】 旺盛に生育するので基本的には不要です。ただし、樹姿に勢いがなかったり、葉や花の発色が悪かったりする場合は、3月か10月に液肥を与えて様子を見てください。 注意する病害虫 Masyanya/Shutterstock.com 【病気】 ほとんど病気の心配はありませんが、べと病が発生することがあります。 べと病は糸状菌が原因で、3〜6月、9月下旬〜11月の気温15〜20℃の条件下、かつ気温差が大きいときに発生しやすくなります。葉に黄色みがかった斑紋が現れ、だんだんと広がって枯れ上がっていきます。気温などの条件が揃うとまもなく全体に広がってしまうので注意します。チッ素成分が多い肥料を与えすぎると発生しやすくなります。 【害虫】 発生しやすい害虫は、コガネムシ、ウスカワマイマイなどです。 コガネムシは主に5〜8月に発生しやすく、成虫の体長は2〜3cm。主に葉を旺盛に食害するので、網目状態になっていたら近くにいることが疑われます。外部から飛来してくるので防除しにくく、見つけたらすぐに捕殺しましょう。また、土中に産卵されると、今度は幼虫が根を食い荒らして株を弱らせ、枯死に至ることもあるので注意します。 ウスカワマイマイはカタツムリの1種で、主に5〜6月、9〜10月に発生します。体長は2㎝くらい。主に葉や茎を食害します。昼間は落ち葉の下などに潜んで姿を現しませんが、夜に活動します。植物に不快な粘液がついていたら、ウスカワマイマイの疑いがあるので夜にパトロールして捕殺してください。または、駆除剤を利用して防除してもよいでしょう。多湿を好むので風通しをよくし、落ち葉などは整理して清潔に保っておきます。 ナツユキカズラの詳しい育て方 苗の選び方 苗を購入する際は、節間が短くがっしりと締まって勢いのあるものを選びましょう。 植え付け・植え替え Jurga Jot/Shutterstock.com 植え付け・植え替えの適期は4〜5月か10月頃です。ほかの時期に花苗店などで購入したら、すぐに植えたい場所に定植してください。 【地植え】 土づくりをしておいた場所に、苗木より1回り大きな植え穴を掘り、苗木をポットから出して植え付けます。最後に、たっぷりと水やりします。 地植えにした場合は、環境に合ってよく育っていれば、植え替えの必要はありません。 【鉢植え】 鉢は、購入した苗木のポットより2〜3回り大きなサイズのものを準備しましょう。 用意した鉢の底穴に鉢底ネットを敷き、軽石を1〜2段分入れてから培養土を半分くらいまで入れます。苗木を鉢に仮置きして高さを決めたら、根鉢をくずさずに植え付けます。水やりの際にすぐあふれ出さないように、土の量は鉢縁から2〜3cm下を目安にし、ウォータースペースを取るとよいでしょう。土が鉢内までしっかり行き渡るように、割りばしなどでつつきながら培養土を足していきます。最後に、鉢底からたっぷりと流れ出すまで、十分に水を与えましょう。 ナツユキカズラは旺盛に生育し、植えっぱなしにしておくと根詰まりしてくるので、1〜2年に1度は植え替えます。植え替え前に水やりを控えて土が乾いた状態で行うと、作業がしやすくなります。鉢から出した際に根が回っていたら、根鉢をほぐして1/2から1/3くらいまで小さくして植え替えるとよいでしょう。 誘引・剪定 Ksenia Lada/Shutterstock.com 【誘引】 つるが伸びて行き場をなくしている場合は、適宜フェンスやオベリスクなど構造物に誘引します。 ナツユキカズラのつるは吸着性がないので、壁に這わせたい場合は、ネット(網)やワイヤーなどを利用するとよいでしょう。 【剪定】 ナツユキカズラは旺盛に生育してつるの範囲を広げるので、繁茂しすぎるようなら剪定して生育スペースをコントロールしましょう。樹勢が強いので、そのつど剪定してもかまいませんが、初夏に花芽がついて夏に開花するので、開花を楽しみたい場合はその時期をはずします。大幅に縮小したい場合は、つるがよく見える落葉期に行います。 夏越し・冬越し Wut_Moppie/Shutterstock.com 【夏越し】 暑さに強いので、特に対策の必要はありません。日照りが続いて乾燥するようであれば、十分に水やりをしておきましょう。 【冬越し】 に強いので、戸外で越冬できます。 増やし方 Kunlanan Yarist/Shutterstock.com ナツユキカズラの増やし方は、挿し木です。挿し木とは、枝を切り取って地面に挿しておくと発根して、生育を始める性質を生かして増やす方法です。植物の中には挿し木ができないものもありますが、ナツユキカズラは挿し木で増やすことができます。 挿し木の適期は、5〜9月です。その年に伸びた新しくて勢いのある枝を10〜15cm切り取ります。剪定したときに切った枝を利用してもよいでしょう。採取した枝(挿し穂)は、水を張った容器に1時間ほどつけて水あげしておきます。その後、吸い上げと蒸散のバランスを取るために下葉を数枚切り取ります。3号くらいの鉢を用意してゴロ土を入れ、新しい培養土を入れて水で十分に湿らせておきます。培養土に穴をあけ、穴に挿し穂を挿して土を押さえてください。発根するまでは明るい日陰に置いて管理します。その後は日当たりのよい場所に置いて育苗し、ポットに根が回るまでに成長したら、植えたい場所に定植しましょう。挿し木のメリットは、親株とまったく同じ性質を持ったクローンになることです。 ナツユキカズラを育てるにあたっての注意点 crystaldream/Shutterstock.com ナツユキカズラは丈夫で育てやすい植物ですが、生育旺盛がゆえに手のかかる一面も持っています。ここでは、栽培の注意点についてご紹介します。 他者にむやみに絡まないようにする そばに高い樹木があると、絡みついてつるが登っていくことがあります。すると樹木が日照不足になって弱ったり、絡まったつるをはがす際に幹や枝を傷つけてしまったりすることがあるので注意。建物に絡めている場合も同様です。パーゴラやアーチ、オベリスクなど、あらかじめ仕立てる場所や範囲を決めておき、そこからはみ出たつるは剪定するメンテナンスが必要です。 隣家の敷地まで広がらないようにする つるを盛んに伸ばしてどんどん生育範囲を広げていくので、隣の敷地まで広がらないように注意してください。まめに誘引や剪定をして、隣家などに迷惑がかからないように配慮しましょう。 落ちた花弁で近隣に迷惑がかからないようにする 開花時期は見応えがありますが、逆にいえば花弁が散ると大量のゴミになります。花数が多いと、地面が真っ白になることもあり、放置すると風に舞って周辺へ散らばってしまいます。近隣の迷惑にならないように、落ちた花弁は適宜掃除するようにしましょう。 ナツユキカズラとハツユキカズラの違いとは ハツユキカズラ。meiko_KODAKA/Shutterstock.com ナツユキカズラとハツユキカズラは名前が似ているため、混同されることが多いようです。ここでは、ハツユキカズラの特徴やナツユキカズラとの違いについて、解説します。 ハツユキカズラの特徴 ハツユキカズラは、キョウチクトウ科テイカカズラ属の常緑性つる植物。テイカカズラを品種改良した園芸品種で、学名はTrachelospermum asiaticum(トラケロスペルマム・アジアティクム) ‘Hatsuyukikazura’です。日本の気候によくなじんで寒さ暑さに強く、手をかけずとも丈夫に育ちます。つる性の枝を伸ばして匍匐しながら覆うように茂ります。草丈は10〜30cm程度ですが、つるの長さは50cm以上になります。 ハツユキカズラは、ピンクや不定形の斑が混じる新葉が展開するのが特徴で、主に葉の美しさを楽しむ植物です。新葉はピンクから白の斑入り葉へ変化し、やがては緑一色に変化していきますが、生育期は次々と新葉が出るため、1株でも変化に富んだ葉色を展開します。秋になると、真っ赤に紅葉する姿を楽しめます。 ナツユキカズラとの違いとは ナツユキカズラはタデ科、ハツユキカズラはキョウチクトウ科に属するので、まず分類が異なっています。ナツユキカズラは夏に白い花が豪勢に咲く姿を楽しみますが、ハツユキカズラは花よりも美しい斑入りの葉を観賞するカラーリーフプランツであることが大きな違いです。 雪のようなナツユキカズラの花を自宅で楽しもう rumxde/Shutterstock.com ナツユキカズラは夏に雪を積もらせたかのような咲き姿を見せるつる植物です。丈夫で育てやすい一方で、旺盛に茂るので範囲を広げすぎないようにするメンテナンスも必要。それでも手をかけた分だけ、開花期は息をのむようなシーンを作り出してくれるので、庭の一角に取り入れてはいかがでしょうか。
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ガーデン&ショップ

早くも猛暑に突入!「第2回 東京パークガーデンアワード 神代植物公園」の『サステナブル審査』を迎えた5人の庭と審査の様子をご紹介
年3回審査を行うガーデンコンテスト「東京パークガーデンアワード」 5人のガーデナーが手掛ける日向と日陰の2つのガーデン。最終的な結果が決まるまでに4・7・11月の3回に渡り審査が行われますが、ガーデンの施工から8カ月ほどが経過した今回、第2回目となる『サステナブル審査』が行われました(梅雨を経て猛暑に向けた植栽と耐久性を審査します)。審査期間:2024年7月11日~17日。 審査員は以下の6名。福岡孝則(東京農業大学地域環境科学部 教授)、正木覚(環境デザイナー・まちなか緑化士養成講座 講師)、吉谷桂子(ガーデンデザイナー)、佐々木珠(東京都建設局公園緑地部長)、植村敦子(公益財団法人東京都公園協会 常務理事)、松井映樹(神代植物公園園長) 事前に公表されているコンテスト審査基準 公園の景観と調和していること/公園利用者が美しいと感じられること/植物が会場の環境に適応していること/造園技術が高いこと/四季の変化に対応した植物(宿根草など)選びができていること/「持続可能なガーデン」への配慮がなされていること(ロングライフ) /メンテナンスがしやすいこと(ローメンテナンス)/デザイナー独自の提案ができていること/総合評価 ※各審査は別途定める規定に従い、審査委員による採点と協議により行われます。 今回の評価のポイントは主にガーデンの持久性で、「梅雨を経て、猛暑に向けた植栽がなされ、秋まで庭が維持されるような持久性が考えられているか」。しかし、単に猛暑に耐える庭であることだけが重要ではなく、「植物個々の特性・魅力がしっかり見せられているか」、「葉や花の組み合わせがデザイン的に美しいか」、そして「今回のテーマ=武蔵野の“くさはら”、が表現されているか」などの項目も含めて評価されています。※年によって気象条件が変わるため、開花の時期がずれていても評価に影響しません。※今回行われた審査結果の公表はありません。 7月の審査時期を迎えた5名のガーデンをご紹介 コンテストガーデンAGrasses and Leaves, sometimes Flowers ~草と葉のガーデン〜 【作品のテーマ・制作意図】 武蔵野のくさはらを表現するにあたり、オーナメンタルグラスとカラーリーフ、特徴的な葉を持つ植物をメインにしたガーデンをつくってみたいと思いました。「グラスガーデン」は馴染みが薄かったり、地味にとらえられたりすることもあるかと思いますが、宿根草に加え、球根植物も多用し華やかさをプラスすることで、多くの方に楽しんでいただけるガーデンを目指しています。 【日向のエリア】 開花期を迎えていた植物 バーベナ・ボナリエンシス、ミソハギ、ルドベキア‘タカオ’、ヒオウギ'ゴーンウィズザウインド'、ユーパトリウム‘ベイビージョー’、カノコユリ‘ブラックビューティー’ 【日陰のエリア】 開花期を迎えていた植物 アジサイ‘アナベル’、ノリウツギ'シルバーダラー'、ノリウツギ'バニラストロベリー'、カンパニュラ・ラプンクロイデス、ホスタ‘ハルシオン’、シュウメイギク‘桃一重’ コンテストガーデンB花鳥風月 命巡る草はら 【作品のテーマ・制作意図】 ガーデンの美しさは緑量や花の色目や形状だけで測れるものでなく、空や光や風や生きもの全ての関わり合い、生命の尊さを感じることでガーデンがより輝いて見えます。ガーデンに長く根付いて、地域に馴染む風景、生態系の一部になることを想定し、植えっ放しに耐えられる丈夫な品種を中心に、蜜源植物や、風や光の動きを反映しやすい植物を多く取り入れ、地味な在来種でも組合せや配置で奥行ある豊かな草はらの表現を目指します。 【日向のエリア】 開花期を迎えていた植物 ルドベキア‘ゴールドスターム’、ヒオウギ‘ゴーンウィズザウィンド’、オミナエシ、ルドベキア‘ブラックジャック・ゴールド’、コレオプシス‘レッドシフト’、バーベナ・ボナリエンシス、キキョウ、オトコエシ、ガウラ、ノリウツギ、ペニセタム・ビロサム‘ギンギツネ’、ペニセタム・マクロウルム、エラグロスティス・スペクタビリス 【日陰のエリア】 開花期を迎えていた植物 アジサイ‘アナベル’、ツルバキア、アガパンサス‘トルネード’、アガパンサス‘カーボネラ’、ヒヨドリバナ、ディスカンプシア‘ゴールドタウ’ コンテストガーデンC草原は、やがて森へ還る。 【作品のテーマ・制作意図】 森では、様々な木々が壮絶な生存競争を繰り広げています。しかしそれは草原もまた同じ。草原は生命力に溢れる草花たちの戦いの場です。そしてやがて、草原の中から樹木が芽生え、最終的には森へと遷移していきます。私は、草原から森へと還るこのはじまりの瞬間を、美しくもドラマティックに演出したいと思いました。ここは、森が好きなガーデンデザイナーが解釈し表現したペレニアルガーデンです。 【日向のエリア】 開花期を迎えていた植物 バーベナ・ボナリエンシス、ノコンギク‘夕映え’、フロックス(オイランソウ)‘フジヤマ’、フロックス‘ブルーパラダイス’、ガイラルディア‘グレープセンセーション’、アガスターシェ‘ブルーフォーチュン’、ペルシカリア・ブラックフィールド、エキナセア・パープレア、エキナセア‘プレーリーブレイズグリーン’、オミナエシ、バーベナ‘バンプトン’、ゲラニウム‘タイニーモンスター’、アリウム‘ミレニアム’ 【日陰のエリア】 開花期を迎えていた植物 ノリウツギ、アンジェリカ‘エボニー’、アガスターシェ‘ブラックアダー’、エキノプス(ルリタマアザミ)、バーベナ‘バンプトン’、ホスタ、シャスタデージー コンテストガーデンDfeeling garden ~伝え感じる武蔵野の新しい風景づくり~ 【作品のテーマ・制作意図】 人々の心に残る武蔵野の情景を骨格に、新たな要素を組み足して、これからの愛される武蔵野の風景を植物の魅力や武蔵野の風景を「伝え」「感じる」ことを軸に提案しました。武蔵野の草原を連想させるグラスをベースに、季節の流れの中で、さまざまな色や形の草花がガーデンを彩っていくような配置を心がけました。自然との距離が遠くなった現代で、このガーデンが少しでも自然と人とが寄り添うきっかけになればと思っています。 【日向のエリア】 開花期を迎えていた植物 バーベナ・ボナリエンシス、ヘレニウム‘サヒンズ・アーリー・フラワラー’、ヘリオプシス'ブリーディング・ハーツ’、アガスターシェ‘クレイジーフォーチュン’、アガスターシェ‘ビーリシャスピンク’、オミナエシ、モナルダ、ルドベキア‘ブラックジャックゴールド’、オトコエシ、リアトリス 【日陰のエリア】 開花期を迎えていた植物 アジサイ‘アナベル’、ペルシカリア‘ファイヤーテール’、オトコエシ、オミナエシ コンテストガーデンE武蔵野の“これから”の原風景 【作品のテーマ・制作意図】 世界的に”Climate Change(気候変動)”が叫ばれ、日本でも夏の猛暑、雨不足による水ストレスが植物を苦しめました。農業技術である完熟した堆肥をはじめ有機資材を使い、微生物に富み団粒構造を持つ土壌を作ることからはじめ、これまで武蔵野の草原風景を担ってきた在来植物を中心にガーデンを構成します。都市の暮らしの中でこぼれ落ちてきた技術、植物でこれからの武蔵野の風景を模索していきます。 【日向のエリア】 開花期を迎えていた植物 シラヤマギク、フジアザミ、カワミドリ、キキョウ、タムラソウ、シキンカラマツ 【日陰のエリア】 開花期を迎えていた植物 オオバギボウシ、フシグロセンノウ、シキンカラマツ、スカビオサ‘ムーンダンス’ 今回の「サステナブル審査」では審査員の評価が同じ傾向にあった前回の「ショーアップ審査」とは異なり、評価が分かれる結果となりました。これから迎える盛夏を乗り越え、3回目の「最終審査」まであと4カ月。プロたちの技術力と植物の生命力に目が離せません。庭作りスタートから月々見頃の植物と5名のガーデンを紹介する記事もご覧ください。 園内に新たにお目見えした「JINDAIペレニアルガーデン」 『東京パークガーデンアワード』開催の関連事業として、神代植物公園の園内にある「宿根草園」のリニューアルを市民協働で進める計画、「JINDAIペレニアルガーデンプロジェクト」がスタートしています。 新しい宿根草園の基本計画をつくられたのはガーデンデザイナーで「第2回 東京パークガーデンアワード」の審査員も務める吉谷桂子さん。 その計画をベースに市民が話し合い、実際に植栽をするワークショップが2023年9月から6回にわたって、行われました。「人にも環境にも優しいガーデン」というテーマのもと、ワークショップに参加した市民たちが、「どんな人がどんな時間を過ごせたらいいのか」宿根草園のイメージを膨らませるとともに、植物の配置についても検討をしました。 サクラやアジサイの群生と、芝生のエリアに囲まれた「宿根草園」。瑞々しい緑に宿根草の彩りがつややかに映える7月。 グランドデザインは吉谷さんが手がけた都立代々木公園の「the cloud」と同様、メンテナンスがしやすく景観になじみやすいクラウド(雲)型。ここは花壇を設ける面積が代々木公園よりもずっと広いので、一つひとつのエリアもぐっと広くなっています。 花壇が緑で覆われ、花も咲き始めた6月。 植栽は2023年秋と2024年春の2回。秋は、ワークショップの参加者35人が植物の選定、宿根草や球根類を植え付けました。春は、ワークショップの参加者がホスト役となって、一般参加者を迎え入れ、総勢130人で植栽しました。市民協働によるガーデンづくりには、園内に新しいモデルガーデンを作るだけでなく、「宿根草による環境にも人にも優しいガーデニングの普及啓発」や「市民交流の場づくり」に繋げていくという目的もあります。生きもの観察をしたり、宿根草園をバッグにイベントを行ったり、宿根草園に市民が関わることで、多様な魅力が生まれてくることを期待しています。 春の植え付け当日。総勢130人の大所帯にもかかわらず、素晴らしいチームワークで、スムーズに作業が進んだ。 「神代植物公園は花好きの方が多く来るイメージですが、幅広いさまざまな市民の方々が関わる機会があることで、もっと園を身近な存在に感じてもらえるようになればと考えています。市民といかに連携し、市民がいかに活躍していただけるか。その結果、多様な魅力を作り出し、利用者の増加につながればいいなと思います。公園を使い切る感じですね」と、東京都公園協会 公園事業部 公益推進課の服部睦子さん。2024年は宿根草のガーデンのお手入れとその背景を学ぶ講座が開講中で、受講生が環境に配慮したお手入れを実践しています。 実際に見ていこう「人にも環境にも優しいサステナブルなペレニアルガーデン」 ローメンテナンスでありながら、自然な風景が心地よい宿根草ガーデン。たくさんの生き物の棲み処となっているため農薬などを使わずに、多様性を大切にしながらガーデンを管理しています。「この土地にあった植物を選んで植えています。四季の移ろいを通じて植物が持つ美しさを感じていただきたい」と、神代植物公園 管理係長の斎藤亜理沙さん。 ここからは、植え付け後、開花の最盛期を迎えた7月のガーデンのガーデンを紹介します。 幾重にも植物が重なり、美しい風景を描いているガーデン。この時期はブルーがかったピンクの花が多く、やさしい色彩でまとめられています。 7月に見られる植物は、バーベナ・ボナリエンシスやフロックス、エキナセアなど。紫やピンク、黄色の花々が生き生きと咲き誇っています。 季節感あふれるやさしい表情で訪れる人を迎えてくれる「JINDAIペレニアルガーデン」。現在まだ植栽されていないエリアも残っており、今までとは異なる方向性で植栽する予定です。どんどん表情に深みを増していく宿根草園。ぜひ、コンテストガーデンと併せて訪れてみてください。 コンテストガーデン&宿根草園を見に行こう! Information 都立神代植物公園所在地:東京都調布市深大寺元町5丁目31-10https://www.tokyo-park.or.jp/jindai/電話: 042-483-2300(神代植物公園サービスセンター)開園時間:9:30〜17:00(入園は16:00まで)休園日:月曜日(月曜日が祝日の場合、翌日が休園日、年末年始12/29~翌年1/1)入園料:一般=500円、65歳以上=250円、中学生=200円(都内在住・在学の場合は無料)、小学生以下無料アクセス:京王線調布駅、JR中央線三鷹駅・吉祥寺駅からバス「神代植物公園前」下車すぐ。車の場合は、中央自動車道調布ICから約10分弱。
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宿根草・多年草

バショウはバナナとは何が違う? バショウの特徴や育て方のポイントも解説
バショウの基本情報 Wirestock Creators/Shutterstock.com 植物名:バショウ学名:Musa basjoo英名:Japanese banana、hardy banana、Japanese fibre banana和名:バショウ(芭蕉)その他の名前:ムサ・バショウ、ジャパニーズバナナ科名:バショウ科属名:バショウ属原産地:中国南部分類:宿根草(多年草) バショウの学名はMusa basjooで、バショウ科バショウ属の多年草です。バナナと同じ属で、木のように大きく育ちますが、樹木ではなく実際には草本に分類されます。幹のように見える部分は茎(葉鞘)で、冬に枯れて毎年新しく生え変わります。草丈は3〜5mです。 バショウは原産地が中国で、日本や朝鮮半島で栽培されています。高温多湿に耐え、日本の風土に合っているため、東北以西では露地栽培も可能です。ジャパニーズバナナとも呼ばれます。なお、バナナはミバショウ(実芭蕉)と呼ばれることもあります。 バショウの花や葉の特徴 Emimili/Shutterstock.comna 園芸分類:草花開花時期:7〜9月草丈:3〜5m耐寒性:強い耐暑性:強い花色:淡黄(苞の色) バショウの花期は7〜9月で、雌雄異花です。雄花は長い花序の先端につき、苞葉の内側に15〜20個ほどの花序が並ぶように垂れ下がります。花が咲くと苞葉はめくれて、やがて散ります。一方、雌花は長い花序の基部につきます。 雌花が咲いた後、バナナを小さくしたような実ができます。ただし、結実率は低く、あまり実らないことが特徴です。また、実は果肉が少なく、食用には向きません。 バショウの葉は大きく、長さは2〜3m、幅は30〜60㎝になります。幹のように見える部分は、実際には葉の基部が茎を包み込むように成長した葉鞘で、これを偽茎と呼びます。 バショウの名前の由来や花言葉 momo sama/Shutterstock.com バショウは、古名のハセオ・ハセオバが転訛したものとされています。原産地は中国ですが、英語ではジャパニーズバナナと呼ばれます。これは、植物学者のシーボルトがバショウに「ムサ・バショウ」という学名をつけて学会で発表したことにより、日本のバナナとの認識が広まったためです。ムサはバナナ属を指す学名です。 また、バショウの花言葉は「燃える思い」です。 バショウとバナナとの違い バナナの実。Doikanoy/Shutterstock.com バショウとバナナの株姿は、見た目が非常によく似ており、どちらもバショウ科バショウ属の大型多年草。バショウはバナナの一種で、果実が食べられるかどうかの違いがあります。この2種類を見分けるポイントは、苞の色。バショウは緑色や黄色っぽいのに対し、バナナは上の写真のように紫色です。また、バナナは葉の裏に白っぽい粉をふいていますが、バショウにはありません。 また、バショウは南国風の見た目ですが、耐寒性はマイナス7℃ほどまで寒さに耐えるので、東北以南地域ならば地植えで越冬が可能です。冬は地上部が冬枯れしますが、春になると再び芽を出し生育します。 バショウの栽培12カ月カレンダー 開花時期:7〜9月植え付け・植え替え:4〜9月(真夏を除く)肥料:4月、7月種まき:4~7月 バショウの栽培環境 Valentyn Irin/Shutterstock.com 日当たり・置き場所 【日当たり/屋外】日当たり・風通しのよい場所で育てます。風で葉が破れることがあるため、あまり強く風が当たらない場所がよいでしょう。 【日当たり/屋内】大きくなるため屋外での栽培が基本です。 【置き場所】バショウは地植えにすると地下茎が広がり、かなり大きくなるため、広大なスペースを確保する必要があります。また、地下茎からどんどん増え、管理が大変になることも。大きくなると移植は難しいため、鉢植えのほうが管理しやすくおすすめです。 耐寒性・耐暑性 バショウの耐寒性はマイナス7℃程度で、凍結しない東北以南地域であれば地植えでの栽培が可能です。 バショウの育て方のポイント 用土 blueeyes/Shutterstock.com 土質を選ばず丈夫に育ちますが、水はけ・水もちのよい、有機質に富んだ土を好みます。地植えの場合は、植え付け前に堆肥を混ぜ込み、ふかふかとした土づくりをしておくとよいでしょう。 水やり New Africa/Shutterstock.com 地植えの場合は、基本的に水やりは必要ありません。 鉢植えの場合は、水のやりすぎに注意。土の表面が乾いてからさらに1日おいて、たっぷりと水を与えます。 肥料 New Africa/Shutterstock.com 鉢植えの場合、4月と7月に油かすなどの有機肥料を与えます。しかし、地植えでバショウがよく育っている場合は、特別に施肥をする必要はありません。 注意する病害虫 JustDOne/Shutterstock.com 【病気】 特に注意すべき病気はありません。 【害虫】 ハダニやカイガラムシがつくことがあり、これらの害虫は吸汁して株を弱らせます。ハダニは乾燥すると発生しやすくなるため、定期的に葉の裏に水を散布して予防しましょう。ハダニが発生した場合は、水で流したり粘着テープで駆除します。または、薬剤を散布してもよいでしょう。 カイガラムシは殻に守られているため、薬剤が効きづらい害虫です。そのため、見つけ次第、ヘラやブラシでこすり落とすなどして駆除しましょう。 植え付け・植え替え InfoFlowersPlants/ shutterstock.com 苗の植え付けは4〜9月の間であればいつでも可能ですが、真夏は避けたほうがよいでしょう。 鉢植えの場合、根が回ってきたら大きめの鉢に植え替えます。鉢から株を取り出し、黒ずんだり傷んだりしている根がある場合は取り除きましょう。その後、土はなるべくつけたまま、新しい土を入れた鉢に植え替えます。 日常のお手入れ Feng Cheng/Shutterstock.com バショウは放置しているとかなり大きくなるため、適度に剪定しましょう。伸びすぎた茎や邪魔な葉はざくざくと切ってしまっても問題ありません。 冬になるとバショウは枯れ、春に新しい茎が芽吹きます。そのままにしておいても大丈夫ですが、わらを巻いて保温して越冬させる方法もあります。冬に枯れた葉はこまめに取り除くようにしましょう。 バショウの増やし方 Peter Turner Photography/Shutterstock.com バショウは種まきや株分けで増やすことができます。 ここでは、それぞれの方法についてご紹介します。 【種まき】 encierro/Shutterstock.com バショウはバナナのような実をつけますが、その中には果肉はほとんどなく、黒い種子が多く入っています。もっとも、バショウはあまり結実せず、種子をつけにくい植物です。バショウの種子はネットで販売されていることがあるため、見つけた場合は種まきから育てることもできます。 種まきは春から夏頃が適期です。また、発芽の適温は20〜25℃程度です。 【株分け】 バショウの株分けについては、4〜9月が適期とされています。株分けを行う際には、根に土ができるだけつくように掘り、地下茎をハサミなどで切り分けてから植え付けます。植え付け後はたっぷりと水をやり、数日間は半日陰で管理しましょう。 また、株分けした株が枯れてしまった場合でも、隣から新たな芽が出てくることがあります。そのため、すぐに枯れたと判断せず、少し様子を見たほうがよいでしょう。 バショウが増えすぎたときの対処方法 Jaclyn Vernace/Shutterstock.com バショウを地植えにすると、地下茎がどんどん増えてたくさんの新しい株が生えてきます。増えすぎてしまったら、必要に応じて取り除き、株の勢いをコントロールしましょう。 バショウの株を減らす方法は、スコップなどを使って地下茎をさくさくと切り、取り除きます。その際、残したい株の周りを掘るのは避けて、少し離れた場所にある地下茎を切って取り除きます。 バショウをその場所から完全に撤去したい場合は、重機を使って深く掘り起こし、地下茎をすべて取り除きます。これが難しい場合は、芽が出るたびに地道に掘って手作業で取り除く必要があるため、バショウを地植えにする際は、適した場所かをよく考えてから植えましょう。 バショウを利用した工芸品 MongPro/Shutterstock.com 12〜13世紀の沖縄では、バショウ(糸芭蕉)を利用した工芸品が盛んに作られていました。その中でも、「芭蕉布(バショウフ)」と呼ばれる織物が特に有名です。芭蕉布は透けるほど薄く軽いため、琉球王族の着物が作られたり、徳川家への貢ぎ物となったりしました。 1974年には、芭蕉布はその文化的価値を認められ、国の重要無形文化財として登録されました。また、バショウはこれ以外にも、紙づくりの原料として利用されたり、沖縄の獅子舞の獅子の毛として葉の部分が使われたりしています。 バショウは松尾芭蕉の名前のルーツ beibaoke/Shutterstock.com 「おくのほそ道」などの紀行文や数多くの俳句を残した俳人、松尾芭蕉の名前は、実際にバショウから取られたとされています。当時、彼は俳号を桃青と称していましたが、門徒から寄贈されたバショウの株が立派に育ち、庵の名物となったことから、「芭蕉」と名乗るようになったといわれています。 エキゾチックな風貌が楽しめるバショウを育ててみよう Rizky Rahmat Hidayat/Shutterstock.com バショウは南国風のエキゾチックな雰囲気が魅力の植物です。バナナとは違い食べられる実はつきませんが、耐寒性があるので本州の多くの地域で育てることができます。繁殖力が強いため、扱いやすい鉢植えで楽しんでみてはいかがでしょうか?
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樹木

ネムノキ(ねむの木)はふわふわの花が特徴!育て方のポイントやおすすめ品種を解説
ネムノキの基本情報 xiong yuwen/Shutterstock.com 植物名:ネムノキ学名:Albizia julibrissin英名:Persian silk tree、pink silk tree、mimosa tree和名:ネムノキ(合歓木)その他の名前:ネム、ネブ、ゴウカン、ネブタノキなど科名:マメ科属名:ネムノキ属原産地:日本、朝鮮半島、中国、台湾、ヒマラヤ、インドなど分類:落葉性高木 ネムノキの学名はAlbizia julibrissin(アルビジア・ジュリブリッシン)。和名はネムノキで、漢字では「合歓木」と書きます。ネムノキはネムノキ科ネムノキ属の落葉性高木で、原産地は日本、朝鮮半島、中国、台湾、ヒマラヤ、インドなど。暑さに強く、耐寒性は普通もしくは強い性質で、日本での分布は東北以南です。樹高は地植えにすると自然樹高で10mほどになりますが、毎年の剪定で高さをコントロールすることは可能です。日本の気候になじんで放任しても生育するため、公園などによく植栽されています。花後には、豆の入った莢をつけるのも特徴です。 ネムノキの花・葉・実の特徴 nnattalli/Shutterstock.com 園芸分類:庭木開花時期:6〜7月樹高:4〜10m耐寒性:普通もしくは強い耐暑性:強い花色:ピンク、白 ネムノキの開花期は、6〜7月。基部の白から先端に向かってピンクのグラデーションを描く花色が特徴です。枝先に小さな花が10〜20個集まって咲き、それが1つの花に見えます。ふわふわとした糸のような姿は花弁ではなく、長く伸びたおしべです。 葉は羽状複葉で、鳥の羽根のようなフォルムをしています。葉の軸の両側に楕円形の小さな葉を密につけ、やわらかな質感が魅力。夕方には葉を閉じ、朝には開く性質があります。花後には、10〜15cmほどの莢がつき、中には黒い楕円形の種子が5〜10粒ほど入っています。 ネムノキの莢。Jana Milin/Shutterstock.com ネムノキの名前の由来や花言葉 Reflexpixel/Shutterstock.com ネムノキという名前は、夕方になると葉を閉じ、朝になると葉を開く就眠運動をすることに由来します。夜の帷が下りると眠るように見えることから「眠りの木」と認識されるようになり、呼びやすく「ねむの木」として定着しました。地方によってもさまざまな名前で呼ばれており、京都では「眠りの木(ねふりのき)」、宮崎や大分では「眠り子(ねむりこ)」、宮城や山形では「眠た木(ねむたき)」など、古人も夜に眠る姿に親しみを感じていた様子がうかがえます。また、ネムノキを漢字で書くと「合歓木」。喜び合わさるのがめでたい木という中国名がそのまま浸透しました。 ネムノキの花言葉は「胸のときめき」「夢想」「安らぎ」「歓喜」「創造力」などです。 就眠運動で知られるネムノキの葉。オジギソウのように触ると閉じる性質はありません。islavicek/Shutterstock.com ネムノキの代表的な種類 ネムノキ‘サマーチョコレート’。crystaldream/Shutterstock.com ネムノキには、いくつかの品種があります。ここでは、2つの人気品種をご紹介しましょう。 サマーチョコレート その名のとおり、チョコレート色の葉を持つ、シックな雰囲気の品種です。特性はネムノキと同じですが、日当たりが悪いとチョコレート色の発色が悪くなるので、日当たりのよい場所で育てることがポイントです。あまり流通していない希少品種であることも、人気の高い理由の一つ。 一才ネム 従来のネムノキは、種まきから栽培すると花が咲くまでに10年余りかかります。しかし、一才ネムは若木のうちから開花し、華奢な姿で咲く姿を楽しめます。四季咲きネムノキ、百日咲きネムノキとも呼ばれ、花つきがよいのも長所の一つ。樹高は2〜3mほどでコンパクトにまとまり、小スペースにも向いています。 ネムノキの栽培12カ月カレンダー 開花時期:6〜7月植え付け・植え替え:3月中旬〜4月中旬肥料:1月、3月 ネムノキの栽培環境 Wut_Moppie/Shutterstock.com 日当たり・置き場所 【日当たり/屋外】日当たり・風通しのよい場所を好みます。半日陰でも育ちますが、あまり日照が不足すると花つきが悪くなってしまうので注意してください。 【日当たり/屋内】屋外での栽培が基本です。 【置き場所】水はけ・水もちのよい土壌を好むので、地植えする場合は植え付け前に有機質資材を投入してよく耕し、ふかふかの土づくりをしておくとよいでしょう。 耐寒性・耐暑性 耐寒性は普通もしくは強く、マイナス10~マイナス5℃程度までは耐え、南東北ぐらいまでは一年を通して戸外で管理できます。 ネムノキの育て方のポイント 用土 Wstockstudio/Shutterstock.com 【地植え】 植え付けの2〜3週間前に、直径・深さともに50cm程度の穴を掘ります。掘り上げた土に腐葉土や堆肥、緩効性肥料などをよく混ぜ込んで、再び植え穴に戻しておきます。土づくりをした後にしばらく時間をおくことで、分解が進んで土が熟成し、植え付け後の根張りがよくなります。 【鉢植え】 庭木用にブレンドされた、市販の培養土を利用すると手軽です。 水やり topseller/Shutterstock.com 水やりの際は、株が蒸れるのを防ぐために枝葉全体にかけるのではなく、株元の地面を狙って与えましょう。 真夏は、気温の高い昼間に与えると、すぐに水の温度が上がって株が弱ってしまうので、朝か夕方の涼しい時間帯に行うことが大切です。反対に、真冬は気温が十分に上がった日中に行います。夕方に水やりすると凍結の原因になるので避けてください。 【地植え】 植え付け後、株がしっかり根づいて枝葉をぐんぐん伸ばすようになるまでは、乾いたら水やりをしましょう。根づいた後は、下から水が上がってくるので、ほとんど不要です。ただし、晴天が続いて過度に乾燥している場合は水やりをして補いましょう。 【鉢植え】 日頃から水やりを忘れずに管理します。土の表面が乾いたら、鉢底から水が流れ出すまで、たっぷりと与えましょう。枝葉がややだらんと下がっていたら、水を欲しがっているサインです。植物が発するメッセージを逃さずに、きちんとキャッチしてあげることが、枯らさないポイント。特に真夏は高温によって乾燥しやすくなるため、朝夕2回の水やりを欠かさないように注意します。冬は休眠し、表土も乾きにくくなるので控えめに与えるとよいでしょう。 肥料 sasimoto/Shutterstock.com 植え付け時には、元肥として緩効性肥料を施しておきましょう。 越年後は、庭植えでは毎年1月頃に有機質肥料を、鉢植えでは毎年3月頃に緩効性肥料を株の周囲にまき、土によくなじませましょう。生育期を迎える前に肥料を与えることで、新芽を出すエネルギーとなり旺盛に枝葉を広げることにつながります。 注意する病害虫 Decha Thapanya/Shutterstock.com 【病気】 発生しやすい病気は、すす病です。 すす病は、一年を通して葉や枝などに発生する病気です。葉に発生すると表面につやがなくなり、病状が進むと黒いススのようなものが全体を覆っていきます。見た目が悪くなるだけでなく、葉に広がると光合成がうまくできなくなり、樹勢が衰えてしまいます。カイガラムシ、アブラムシ、コナジラミの排泄物が原因なので、これらの害虫を寄せ付けないようにしましょう。込み合っている枝葉があれば剪定して、日当たり・風通しをよくして管理します。 【害虫】 発生しやすい害虫は、カイガラムシです。 カイガラムシは、ほとんどの庭木に発生しやすい害虫で、体長は2〜10mm。枝や幹などについて吸汁し、だんだんと木を弱らせていきます。また、カイガラムシの排泄物にすす病が発生して二次被害が起きることもあるので注意。硬い殻に覆われて薬剤の効果があまり期待できないので、ハブラシなどでこすり落として駆除するとよいでしょう。 ネムノキの詳しい育て方 植え付け・植え替え Jurga Jot/Shutterstock.com 植え付け・植え替え適期は、3月中旬〜4月中旬です。 【地植え】 土づくりをしておいた場所に、苗の根鉢よりも一回り大きな穴を掘って植え付けます。しっかりと根づくまでは支柱を立てて誘引し、倒伏を防ぐとよいでしょう。最後にたっぷりと水を与えます。根付いたら、支柱を取り外してもかまいません。 地植えの場合、環境に合って健全に育っていれば、植え替えの必要はありません。 【鉢植え】 鉢で栽培する場合は、10号以上の鉢を準備します。用意した鉢の底穴に鉢底ネットを敷き、軽石を1〜2段分入れてから樹木用の培養土を半分くらいまで入れます。苗木を鉢に仮置きし、高さを決めたら、少しずつ土を足して植え付けます。このとき、水やりの際にすぐあふれ出さないように、土の量は鉢縁から2〜3cm下を目安にし、ウォータースペースを取るとよいでしょう。鉢内の隅々まで行き渡るように、割りばしなどでつつきながら培養土を足していきます。しっかりと根づくまでは、支柱を立てて誘引しておくとよいでしょう。最後に、鉢底から流れ出すまで、十分に水やりをします。一年を通して日当たり・風通しのよい場所に置いて管理しましょう。根付いたら、支柱を取り外してもかまいません。 鉢植えで楽しんでいる場合、成長とともに根詰まりして株の勢いが衰えてくるので、1〜2年に1度は植え替えることが大切です。植え替え前に水やりを控えて土が乾いた状態で行うと、作業がしやすくなります。鉢から株を取り出し、軽く根鉢をくずして新しい培養土を使って植え直しましょう。移植には弱いので、あまり根鉢を傷めないように注意してください。 日常のお手入れ Anton Starikov/Shutterstock.com 【マルチング】 やや湿り気のある土壌を好むので、真夏など乾燥しやすい時期は、株元にバークチップなどを施してマルチングをしておくとよいでしょう。 剪定・切り戻し mihalec/Shutterstock.com 剪定適期は4月頃です。枝葉を旺盛に伸ばすタイプではなく、自然に樹形が整うので、込んでいる部分を間引く程度の剪定でかまいません。切る際は、枯れ枝、内向きに伸びている枝、下向きに伸びている枝、ほかの枝に絡んでいる枝など、邪魔になっているものを選びます。適当に枝の途中で切らずに、分岐部まで遡って切り取りましょう。太い枝を切った場合は、切り口に癒合剤を塗って保護しておきます。手元にない場合は、木工用接着剤を厚めに塗ることでも代用可能です。 増やし方 Kunlanan Yarist/Shutterstock.com 根伏せ、種まきで増やすことが可能です。ここでは、それぞれの方法について解説します。 【根伏せ】 根伏せの適期は、4月頃です。 まず、3〜4号鉢に市販の草花用培養土を入れて、十分に水で湿らせておきます。ネムノキの株の周囲を掘り、指の太さくらいの根を10〜15cm採取します。鉢に採取した根を平らに置き、2cmほどの厚みで土をかぶせておきます。水切れしないように管理すると芽を出し、新しい個体として生育し始めます。しばらく育苗し、ポットに十分に根が回った頃に植え付けます。根伏せのメリットは、親株とまったく同じクローンになることです。ただし、接木苗を育てている場合は、台木の種類を増やしてしまうことになるので、根伏せで増やすのはやめたほうがよいでしょう。 種まき 果実か種子を採取し、その種子を播いて増やすことができます。秋に熟した果実から種を取り出して流水でよく洗い、密閉容器に入れて保管しておきます。越年したのち、3月下旬からが種まき適期です。黒ポットに新しい培養土を入れて十分に水で湿らせます。種子を播き、薄く土をかけて明るい日陰で管理。発芽後、本葉が3〜4枚ついたら勢いのある苗を1本のみ残し、ほかは間引いて育苗します。根が回るくらいに成長したら、定植しましょう。種まきから育てると、開花まで10年はかかるとされていますが、花が咲いたときの感激はひとしおです。 ネムノキが詠まれている俳句 SaraGlop/Shutterstock.com ネムノキは「万葉集」にも記述があることから、いにしえの時代から人々の琴線に触れる木であったことが分かりますね。「ねむの木の花」は夏の季語で、ほかに「ねぶの花」「ねむり木」「花合歓」「合昏」「絨花樹」などがあります。ネムノキを詠んだ俳句はたくさんあるので、ここでいくつかご紹介しましょう。 象潟や雨に西施がねぶの花 松尾芭蕉/奥の細道 雨の日やまだきにくれてねむの花 与謝蕪村/新吾子稿 合歓咲くや河水を汲む桔槹(はねつるべ) 河東碧梧桐/三千里 ネムノキとねぶた祭りの関係 Jesse33/Shutterstock.com ネムノキの別名にはネブタノキやネブノキなどがあり、「ねぶた祭り」とよく似ています。 七夕の行事として、「眠り流し」は各地で行われた風習でした。「ねぶた祭り」の起源としては、精霊流しや盆灯籠などの習わしが発展し、地域ごとに特徴のある大灯籠になったという説が一般的。地方によってその習わしはさまざまですが、主に眠気の邪気を祓うためにネムノキを灯籠や笹舟に乗せて川や海に流すなどしたようです。ねぶたの起源には諸説ありますが、この説を採れば、「ねぶた祭り」とネムノキは深く関係していることになります。 ネムノキの愛らしい花と葉を楽しもう Maximillian cabinet/Shutterstock.com 初夏にふわふわとしたピンクの花を咲かせるネムノキ。夕方に葉を閉じて朝には開く性質から、植物の「眠りと目覚め」の生命感を実感でき、愛着も増す庭木です。樹形が自然に整い、葉姿も美しいのでシンボルツリーに迎えてはいかがでしょうか。
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宿根草・多年草

チェリーセージは可愛らしい花を長く咲かせるハーブ! 育て方や魅力を解説
チェリーセージの基本情報 Cristina Ionescu/Shutterstock.com 植物名:チェリーセージ学名:Salvia microphylla/Salvia greggii/Salvia jamensis英名:Baby sage、cherry sage、blackcurrant sage、hot lips salvia和名:チェリーセージその他の名前:サルビア・ミクロフィア、サルビア・グレッギー、サルビア・ヤメンシス科名:シソ科属名:アキギリ属(サルビア属)原産地:メキシコ、アメリカ南部分類:低木 チェリーセージの学名は、Salvia microphylla/Salvia greggii/Salvia jamensis(サルビア・ミクロフィラ、サルビア・グレッギー、その交配種のサルビア・ヤメンシスをまとめてチェリーセージと一般に呼ばれています)。シソ科アキギリ属(サルビア属)で、低木に分類されており、大きくなると1.5mほどになります。ハーブの一種で、芳香を持つのも魅力です。原産地はメキシコやアメリカ南部で、暑さに強い一方、寒さにはやや弱いので、霜対策が必要。関東以西で太平洋側などの暖地では、戸外で管理できます。冬には葉を落として休眠しますが、越年して春の生育期を迎えると、再び新芽を出して旺盛に生育します。 チェリーセージの花や葉の特徴 Alex Manders/Shutterstock.com 園芸分類:草花開花時期:5〜11月草丈:40〜150cm耐寒性:やや弱い耐暑性:強い花色:赤、白、ピンク、黄、オレンジ、紫、複色 チェリーセージの開花時期は5~11月で、長い期間にわたって咲き続けます。基本種の花色は鮮やかな赤。園芸品種も多く、白やピンク、アプリコット、黄色、紫などもあります。花穂をよく立ち上げ、唇のような形の唇形花が下からぽつぽつと咲き上がって穂状になります。野趣的な花姿は、ナチュラルガーデン向きです。切り花やポプリ、ドライフラワー、押し花などにしても楽しめます。 チェリーセージの葉は、軽くもむとフルーツのような甘い香りを放ち、ハーブティーやポプリに利用できます。 チェリーセージの名前の由来や花言葉 Jose Luis Vega/Shutterstock.com チェリーセージの「チェリー」は、さくらんぼのような甘い香りを放つことに由来します。属名のSalvia(サルビア)は、ラテン語の「salvare(治療)」「salveo(健康)」が語源です。 花言葉は「燃ゆる思い」「尊重」「知恵」など。「燃ゆる思い」は赤い花色から。「尊重」は、昔からセージ類が薬草として用いられてきたため、尊いものとして捉えられていたことによります。「知恵」はセージという言葉が賢い人という意味を持つことに由来します。 チェリーセージの種類 サルビア・グレッギー。aniana/Shutterstock.com チェリーセージの主な種類や園芸品種は以下のとおりです。 サルビア・ミクロフィラ チェリーセージというと、この種を指すのが一般的です。花は赤色のほか、赤紫やピンクなどがあります。 サルビア・グレッギー ミクロフィラとよく似ていますが、花弁の基部付近に突起がない点が異なります。 ‘ホット・リップス’ ミクロフィラの園芸品種。季節や気温、環境によって、花色が赤になったり、赤×白の2色咲きになったりと、色が変化する特性があります。 チェリーセージの栽培12カ月カレンダー 開花時期:5〜11月植え付け・植え替え:5月頃、9~10月肥料:5月、9月 チェリーセージの栽培環境 Cristina Ionescu/Shutterstock.com 日当たり・置き場所 【日当たり/屋外】日当たり・風通しのよい場所を選びます。日照が不足すると花つきが悪くなったり、ヒョロヒョロとか弱い茎葉が茂って草姿が間のびしたりするので注意しましょう。 【日当たり/屋内】一年を通して屋外での栽培が基本です。ただし、寒冷地では冬は取り込むとよいでしょう。 【置き場所】酸性土壌を嫌うので、植え付け前に苦土石灰を散布することがポイントです。水はけ・水もちのよい土壌を好むので、有機質資材を投入してよく耕し、ふかふかの土づくりをしておくとよいでしょう。暑さには強い反面、寒さにはやや弱く、冬はマルチングなどで霜や凍結の対策をするとよいでしょう。関東以西の平地では、戸外でも問題なく冬越しができます。 耐寒性・耐暑性 耐寒性は品種にもよりますが、マイナス5℃程度。寒さにより地上部が枯れても翌春にまた芽吹きます。 チェリーセージの育て方のポイント 用土 funnyangel/Shutterstock.com 【地植え】 丈夫な性質であまり土質を選びませんが、酸性に傾いた土壌を嫌うので、植え付ける3〜4週間前に苦土石灰を散布して土に混ぜ込んでおきましょう。さらに1〜2週間前に、腐葉土や堆肥などの有機質資材を投入し、よく耕してふかふかの土をつくっておきます。土づくりをした後にしばらく時間をおくことで、分解が進んで土が熟成します。 【鉢植え】 草花の栽培用に配合された園芸用培養土を利用すると便利です。 水やり topseller/Shutterstock.com 水やりの際は、株が蒸れるのを防ぐために全体にかけるのではなく、株元の地面を狙って与えてください。真夏は気温の高い昼間に与えると、水がすぐにぬるま湯になり株が弱ってしまうので、朝か夕方の涼しい時間帯に行うことが大切です。 また、真冬に水やりする場合は、気温が低くなる夕方に与えると凍結の原因になってしまうので、十分に気温が上がった真昼に与えるようにしましょう。 【地植え】 しっかり根づいて茎葉をぐんぐん伸ばすようになるまでは、水切れしないように管理します。根付いた後は、下から水が上がってくるのでほとんど不要です。ただし、雨が降らない日が続くようなら、水やりをして補います。 【鉢植え】 日頃の水やりを忘れずに管理します。乾燥しすぎると株が弱るので、水切れには注意。土の表面が乾いたら鉢底から水が流れ出すまで、たっぷりと与えましょう。成長期を迎えてぐんぐん茎葉を広げるようになると、水を欲しがるようになります。気候や株の状態に適した水やりを心がけましょう。茎葉がしおれそうにだらんと下がっていたら、水を欲しがっているサイン。植物が発するメッセージを逃さずに、きちんとキャッチしてあげることが、枯らさないポイントです。特に真夏は高温によって乾燥しやすくなるため、朝夕2回の水やりを欠かさないように注意します。 肥料 Sarycheva Olesia/Shutterstock.com 【地植え】 元肥を施して植え付ければ、追肥はほとんど必要ありません。株に勢いがないようであれば、液肥を施して様子を見てください。 越年後は、新芽が旺盛に動き出す5月頃と、暑さがおさまる9月頃に緩効性化成肥料を施します。 【鉢植え】 開花期間が長いので、真夏を除いた5〜7月、9〜11月上旬に開花促進用の液肥を与えます。10日に1度を目安にするとよいでしょう。 病害虫 ほとんど病害虫が発生することはありません。 チェリーセージの詳しい育て方 苗の選び方 節間が短く、茎ががっしりと締まって丈夫な苗を選びましょう。 植え付け・植え替え Vlyaks/Shutterstock.com 植え付け適期は5月頃か、9〜10月です。ただし、ほかの時期にも苗が出回っていることがあるので、花苗店などで入手したら早めに植え付けるとよいでしょう。 【地植え】 土づくりをしておいた場所に、苗よりも一回り大きな穴を掘り、やや根鉢をくずして植え付けます。複数の苗を植え付ける場合は、30〜40cmの間隔を取りましょう。最後に、たっぷりと水やりします。 根付いて順調に生育していれば植え替える必要はありません。 【鉢植え】 鉢の大きさは、6〜7号鉢を準備しましょう。 用意した鉢の底穴に鉢底ネットを敷き、軽石を1〜2段分入れてから培養土を半分くらいまで入れます。苗を鉢に仮置きし高さを決めたら、やや根鉢をくずして植え付けます。水やりの際にすぐあふれ出すことのないように、土の量は鉢縁から2〜3cm下を目安にし、ウォータースペースを取るとよいでしょう。土が鉢内までしっかり行き渡るように、割りばしなどでつつきながら培養土を足していきます。最後に、鉢底からたっぷりと流れ出すまで、十分に水を与えます。寄せ植えの素材として大鉢にほかの植物と一緒に植え付けてもOKです。 鉢植えで楽しんでいる場合、成長とともに根詰まりして株の勢いが衰えてくるので、1年に1度は植え替えることが大切です。植え替え前に水やりを控えて土が乾いた状態で行うと、作業がしやすくなります。鉢から株を取り出して根鉢をくずし、新しい培養土を使って植え直しましょう。 日常のお手入れ mihalec/Shutterstock.com 【摘心】 苗を植え付けるタイミングで、新葉を2枚ほどつけた茎の頂部を切り取る「摘心」を行うと、下からわき芽が出てきます。このわき芽が勢いよく伸びたら、同様に摘心し、この作業を繰り返すと、分枝が進んでこんもりと茂った株になります。枝の数が多くなる分、花数も多くなるのがメリットです。ただし、「寄せ植えの花材の1つとして加えたいので、スマートな姿を保ちたい」といった場合には、不要な作業です。 【花がら摘み】 チェリーセージは花穂を立ち上げて、下から順に咲き上がっていきます。花穂が咲き終わったら、一番下の分岐点で摘み取ります。次から次へと花が咲くので、早めに摘み取りましょう。まめに花穂を摘み、落ちている花弁なども掃除して株まわりを清潔に保つことで、病害虫の抑制につながります。また、いつまでも終わった花穂を残しておくと、種をつけようとして株が消耗し、老化が早まって花数が少なくなってしまうので注意。花がらをまめに摘み取ると、次世代を残そうとして次から次に花がつき、長く咲き続けてくれます。 剪定・切り戻し Tom Meaker/Shutterstock.com 【剪定(切り戻し)】 チェリーセージは開花期間が長く、ある程度咲きそろった後は徐々に草姿が乱れてきます。夏前には草丈の半分くらいまで刈り取って、風通しよく管理しましょう。すると秋から再び勢いを取り戻して生育し始め、晩秋まで開花を楽しめます。 【冬越し前の刈り取り】 冬にチェリーセージの地上部が枯れたら、地際で刈り取っておきます。霜が降りる地域などでは、バークチップなどで厚めにマルチングをして、寒さ対策をしておくとよいでしょう。 増やし方 Kunlanan Yarist/Shutterstock.com 挿し木、種まきで増やすことができます。 【挿し木】 挿し木とは、枝葉を切り取って地面に挿しておくと発根して生育を始める性質を生かして増やす方法です。植物の中には挿し木ができないものもありますが、チェリーセージは容易に挿し木で増やせます。 挿し木の適期は、6月頃です。新しく伸びた枝を2節以上つけて切り口が斜めになるように切り取ります。採取した枝(挿し穂)は、水を張った容器に1時間ほどつけて水あげしておきましょう。その後、水の吸い上げと蒸散のバランスを取るために下葉を2〜3枚切り取ります。3号くらいの鉢を用意して新しい培養土を入れ、水で十分に湿らせておきます。培養土に3カ所の穴をあけ、穴に挿し穂を挿して土を押さえてください。発根するまでは明るい日陰に置いて乾燥させないように管理します。十分に育ったら、植えたい場所へ定植しましょう。挿し木のメリットは、親株とまったく同じ性質を持ったクローンになることです。 【種まき】 チェリーセージは、ビギナーでも種まきから育てられます。種まきからスタートするメリットは、輸送などによる苗への負担がかからず、環境になじみやすいことです。敷地が広くてたくさんの苗が欲しい場合には、コストカットにもなりますね。 発芽適温は20℃前後。種まきの適期は、春まきなら十分に気温が上がった5月頃、秋まきなら9月下旬〜10月です。 まず、セルトレイに草花用にブレンドされた市販の培養土を入れます。中央に穴をあけて種子を2〜3粒ずつ播き、ごく薄く土をかぶせましょう。最後に浅く水を張った容器に入れて、底から給水します。これはジョウロなどで上から水やりすると水流によって種が流れ出してしまうことがあるからです。発芽までは暖かく明るい半日陰で管理し、乾燥しないように適度に水やりをしましょう。 発芽後は日当たりのよい場所で管理します。本葉が2〜3枚ついたら、勢いがあって元気のよい苗を1本のみ残し、ほかは間引きましょう。ヒョロヒョロと伸びて弱々しい苗や葉が虫に食われている苗、葉が黄色くなっている苗などを選んで間引きます。間引いた後は、黒ポットに培養土を入れて植え替えます。10日に1度ほど薄い液肥を与えて育苗し、十分に成長したら花壇や鉢などに植え付けます。 チェリーセージを植えてはいけない⁉︎ 間違った情報に注意 tamu1500/Shutterstock.com 「チェリーセージを庭に植えてはいけない」と、ネットの情報に書かれているのを目にしたことがあるかもしれませんが、他のガーデンプランツと比較して注意を払わなければいけないほど、危険な植物ではありません。ここでは、植えてはいけないといわれている項目について検証します。 大きくなりすぎることはない “繁殖力が旺盛でどんどん広がるため、地植えでは特に注意が必要”という説明がされている記載を見かけますが、チェリーセージは茎が細く、温暖な地域でも冬に枯れ込む場合もあり、大きくならないことが多いです。※品種や環境によっては、大きくなることがあります(西日本の海沿いのごく温暖な地域など)。 また、近年は40〜50cmに収まる品種も多く、大型の宿根草に比べればコンパクトな種類です。こぼれ種や地下茎で広がって手に負えなくなるなどということもないので、隣家の土地まで侵食する恐れを感じる必要はありません。もし、株が増えて大きさを抑えたいならば、他の宿根草の手入れと同様に、間引き剪定や株分け、花がら摘みを行って種子がつかないようにすれば、こぼれ種による増殖の心配もありません。 毒成分を含むとのうわさがある シソ科アキギリ属のセージに分類されるチェリーセージは、芳香を持つハーブの一種です。“身体に有害な成分が含まれている可能性がある”という記述が一部のネット記事に見られますが、他のハーブの利用と同様に、幼児や妊婦の利用にはやや注意が必要という範囲内です。大量摂取や高用量・長期間の使用には注意が必要ですが、一般的な使用法であれば過度に恐れる必要はありません。チェリーセージが特筆して毒性があるといううわさに惑わされず、香りのよい丈夫なハーブとして、上手に利用しましょう。 チェリーセージのコンパニオンプランツ効果とは Helen J Davies/Shutterstock.com チェリーセージは甘い香りを持っていますが、この香りを嫌ってアブラムシなどが寄りつかないとされています。そのため、コンパニオンプランツとしてアブラムシなどがつきやすい植物と一緒に植えるとよく、キャベツやニンジン、ローズマリーなどと相性がよいようです。 チェリーセージの木質化を防ぐ方法 cynoclub/Shutterstock.com チェリーセージは低木に分類されており、株が古くなると木質化してきます。すると緑の枝が茶色くなり、新しい枝が出にくくなってきます。そこで木質化した枝は切り戻し、株元から新しい枝が生えるようにするとよいでしょう。挿し木して新しい株を作るのも一案です。 チェリーセージで夏から秋にかけての庭を華やかに COULANGES/Shutterstock.com 甘い香りを漂わせるハーブの一種で、夏から秋にかけて長くガーデンを彩ってくれるチェリーセージ。株姿が乱れてきたら、切り戻しながら管理するのがポイントです。庭やベランダなどに取り入れて、楚々とした花姿を愛でてはいかがでしょうか。
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テーブルヤシはエキゾチックな雰囲気で人気の観葉植物! 特徴や育て方を詳しく解説
テーブルヤシの基本情報 iluphoto/Shutterstock.com 植物名:テーブルヤシ学名:Chamaedorea英名:Parlor Palm和名:テーブルヤシその他の名前:チャメドレア科名:ヤシ科属名:テーブルヤシ属(チャメドレア属)原産地:中南米分類:常緑性低木 テーブルヤシは、ヤシ科テーブルヤシ属(チャメドレア属、Chamaedorea)の常緑性低木です。原産地の中南米には、およそ100種類のテーブルヤシが分布しています。その中でも観葉植物として親しまれているのは数種類で、一般にテーブルヤシという名前で流通しているのは、エレガンス(C. elegans)という種類。成長が遅く耐陰性があるため、インテリアに向いている植物です。 テーブルヤシの花や葉の特徴 IvanaStevanoski/Shutterstock.com 園芸分類:観葉植物開花時期:4〜6月(雌木)樹高:10〜300cm耐寒性:やや弱い耐暑性:強い花色:黄 テーブルヤシには雄木と雌木があり、雌木は成長すると4~6月にかけて花茎に小さな黄色い花をたくさん咲かせます。一方、雄木には花はつきません。テーブルヤシの花は花弁がなく、細長く連なった黄色い実のような形になります。 また、葉は茎の中央部分から細長く広がり、上に向かってどんどん伸びていきます。 テーブルヤシの名前の由来や花言葉 Rudenko Alla/Shutterstock.com テーブルヤシという名前は、文字どおりテーブルの上でも育てられるほど小さいという見た目に由来します。また、属名のChamaedoreaは、ギリシャ語の「chamai」(小さい)と「dorea」(贈り物)を組み合わせたもので、「小さな贈り物」を意味します。英名はparlor palm。「parlor」は「居間」、「palm」は「ヤシ」で、室内で育てるヤシという意味です。 テーブルヤシの花言葉は「あなたを見守る」です。これは、ヤシ科の中でも小さく、そばで見守るように成長する姿をイメージしたものとされています。 テーブルヤシの種類 チャメドレア・メタリカ。Sophie Leguil/Shutterstock.com テーブルヤシというと、一般にはチャメドレア・エレガンスを指しますが、ほかにもさまざまな種類があります。主な品種とその特徴をご紹介します。 チャメドレア・エルンペンス キレバテーブルヤシとも呼ばれます。成長すると3mを超える大型種で、小さな葉を交互にいくつもつけます。 チャメドレア・テネラ ヒメテーブルヤシとも呼ばれます。葉は革質でツヤのある灰緑色、耐寒性・耐陰性ともに強い品種です。 メキシコケンチャ 渓流沿いに自生するヤシで、幹がなく株立ち状にふんわりと葉を広げます。テーブルヤシの中でも寒さに強い品種です。 チャメドレア・メタリカ 幅広でユニークな形の葉は、メタリックな輝きが特徴。チャメドレア・テネラとよく似ているため、混同されることもあります。 テーブルヤシの栽培12カ月カレンダー 開花時期:4〜6月(雌木)植え付け・植え替え:5〜6月肥料:5〜10月 テーブルヤシの栽培環境 Mid Tran Designer/Shutterstock.com 日当たり・置き場所 【日当たり/屋外】直射日光がやや苦手で、耐寒性が弱いため、屋内での栽培が基本です。戸外で管理する場合は、真夏は直射日光が当たらない明るい日陰に置き、冬は室内に取り込みましょう。 【日当たり/屋内】耐陰性があるため、屋内で栽培できます。風通しよく管理しましょう。 【置き場所】11~4月は、ガラス越しに日が当たる場所が最適です。5~10月は、レースのカーテン越しに日が当たる場所に置くとよいでしょう。風通し・水はけのよい環境を好みますが、エアコンの風が直接当たる場所は避けましょう。 耐寒性・耐暑性 テーブルヤシの生育適温は20~30℃で暑さには強いですが、35℃以上の猛暑が続くと生育が鈍ります。最低気温の目安は5℃程度です。 テーブルヤシの育て方のポイント 用土 svetograph/Shutterstock.com テーブルヤシは水はけのよい土を好みます。市販の観葉植物用の培養土の中でも排水性を重視したものを選ぶか、赤玉土を1割ほど混ぜるとよいでしょう。 水やり Olya Detry/Shutterstock.com テーブルヤシは根腐れしやすいため、水のやりすぎには注意が必要です。土の表面が乾燥してからたっぷりと水を与え、受け皿にたまった水は捨てましょう。冬場はあまり水を必要としないため、表土が乾いてさらに4日ほど経ってから水を与えるとよいでしょう。また、葉水をしておくと害虫予防になります。 肥料 Marina Meshcherskaia/Shutterstock.com 春から秋にかけて2カ月に1回を目安に、観葉植物用の緩効性肥料を与えます。 注意する病害虫 Illizium/Shutterstock.com 【病気】 注意する病気は特にありません。 【害虫】 風通しの悪い場所に置くと害虫が発生しやすくなるので注意します。 夏と乾燥する冬は、ハダニに注意が必要です。ハダニは葉の裏に棲みつくため、こまめにチェックし、見つけたらすぐに駆除します。また、霧吹きなどで葉水をするとハダニの予防になります。 夏はカイガラムシにも注意が必要です。カイガラムシの成虫は殻で覆われていて薬剤が効きにくいため、歯ブラシなどで擦り落としましょう。 また、アブラムシにも注意が必要です。アブラムシを見つけたら、洗い流すか薬剤を散布して駆除します。 テーブルヤシの詳しい育て方 苗の選び方 ぐらつかずしっかりしていて、葉の色艶がよい苗を選ぶとよいでしょう。 植え付け・植え替え Mike_O/Shutterstock.com テーブルヤシの植え替えは、一般に2~3年に1回のペースで行います。小さめの鉢の場合は、毎年植え替えましょう。また、鉢底から根が出てきたときも植え替えます。植え替えの適期は5~6月です。 株を大きくしたくない場合は、根を1/3ほど落とし、元のサイズの鉢に新しい土を入れて植え直しましょう。 剪定・切り戻し Lapa Smile/Shutterstock.com テーブルヤシは5~10月の間に剪定します。剪定により、古い葉や茂りすぎている部分を切り落とし、風通しを確保することができます。ただし、雌木で花を楽しみたい場合は、花芽を落とさないよう注意が必要です。また、葉が密集しすぎているときは、剪定ではなく株分けをするとよいでしょう。 増やし方 Oksana Lyskova/Shutterstock.com テーブルヤシは株分けで増やすのが一般的です。 株分けの方法は、次のとおりです。まず新しい鉢に新しい土を入れておきます。次に、株を取り出して根をほぐし、土を落とします。その後、株を2~3個に分け、それぞれを新しい鉢に植え付けます。植え付けた後は、たっぷりと水をやります。 テーブルヤシのハイドロカルチャー栽培の方法 Firn/Shutterstock.com テーブルヤシは、土を使わずに育てるハイドロカルチャーという方法で育てるのもおすすめです。ハイドロカルチャーは、粘土を高温で焼いて発泡させたボール状の石、ハイドロボールなどを使って水で栽培する方法です。培養土などを使わないのでテーブルの上に土がこぼれることがなく、衛生的で見た目にもスマートでおしゃれな雰囲気です。 ハイドロカルチャー栽培は、次のとおりです。まず、穴のあいていない容器の底に根腐れ防止剤を敷きます。次に、ハイドロボールを容器の半分ほど入れ、その上に土を落としたテーブルヤシを置きます。その後、根の隙間にハイドロボールを詰め、株がぐらつかないように周囲を少し突き固めたら水を入れます。水の量は容器の1/4ほどが適量です。水はこまめに取り換えましょう。 テーブルヤシが枯れる原因と対策 Tatyana_Cheremukhina/Shutterstock.com テーブルヤシが枯れてしまう原因は、いくつか考えられます。ここでは、主な原因と対策について解説します。 根腐れ Nata.dobrovolskaya/Shutterstock.com テーブルヤシは、水やりのしすぎで根が湿った状態が続くと、酸素が吸収できずに腐ることがあります。根腐れが起こると、葉が変色したり茎がへたったりするで、すぐに植え替えることが重要です。植え替え時には、黒く腐った根は清潔なハサミでカットしましょう。 根腐れを防ぐためには、常にジメジメとした環境にしないことが大切。水やりは、表土が乾いてから(特に冬は表土が乾いてさらに数日たってから)行うようにしましょう。 葉焼け mizy/Shutterstock.com テーブルヤシの葉は薄いため、強い日射しに当たると葉焼けを起こしやすいので注意。葉が茶色くなり、カラカラの状態になると、元に戻すことはできません。傷んだ葉をカットして、強い日光が当たらない場所に移動します。 根詰まり Andrii Spy_k/Shutterstock.com テーブルヤシの成長はゆっくりですが、根が伸びる速度は速いため、定期的な植え替えが必要となります。植え替えを行わないと根詰まりを起こし、最終的には枯れてしまうことも。 鉢の底から根が出てきたときや、土が水をなかなか吸収しないときは、根詰まりしている可能性があります。その場合は、すみやかに一回り大きな鉢に植え替えましょう。根詰まりを起こさないよう、2~3年に1回は植え替えることが重要です。 テーブルヤシを大きくしないコツ Krasnikova Kat/Shutterstock.com テーブルヤシの株を小さく保つためには、植え替えの際に根を1/3ほど落とし、同じサイズの鉢に植え付けます。また、肥料はあまり与えないようにして、光の強すぎない明るい日陰で管理しましょう。 テーブルヤシで室内をおしゃれな雰囲気にしよう Shadow Inspiration/Shutterstock.com テーブルヤシは小型で耐陰性もあるので、室内で育てるのにぴったりの観葉植物です。育てやすく流通も多いので、初心者の方にもおすすめです。細い葉が涼しげな樹姿はモダンな雰囲気で、アジアンテイストなどにも合わせやすく、グリーンインテリアとして活躍してくれます。テーブルヤシを育てておしゃれなインテリアに挑戦してみてはいかがでしょうか。





















