【元気花】アイビーゼラニウムはハンギングにもおすすめ! 育て方のコツをご紹介!

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光沢のある肉厚な葉をもつアイビーゼラニウム。乾燥に強い性質を生かしてハンギングバスケットや窓辺のフラワーボックスに取り入れるのにおすすめです。この記事では、アイビーゼラニウムの特徴や育て方、品種などについて解説します。
目次
アイビーゼラニウムの特徴とは
長い期間にわたって開花を楽しませてくれるアイビーゼラニウム。その基本情報や特徴について、ご紹介します。
基本情報

アイビーゼラニウムは、フウロソウ科テンジクアオイ属(ペラルゴニウム属)の多年草です。多年草とは、一度植え付ければ越年して毎年花を咲かせるライフサイクルの長い植物のことで、コストパフォーマンスに優れています。アイビーゼラニウムは、ペラルゴニウム属のうち、南アフリカのケープ地方が原産地のペルタツムを中心に交配された園芸品種群を指します。草丈は40〜150cm。乾燥を好むため、ハンギングバスケットなどに向いています。
花や葉の特徴

アイビーゼラニウムの開花期は、4月〜7月中旬、9月中旬〜11月中旬です。花色は白、赤、ピンク、紫、複色、花姿は一重咲き、八重咲きなどがあります。花茎を立ち上げた先端で枝分かれし、複数の花が咲いて大きな色の塊となるので、大変華やかです。葉は肉厚で光沢があり、品種によっては斑が入るものもあります。
アイビーゼラニウムの花言葉は「真の愛情」「結婚」などです。
アイビーゼラニウムとゼラニウムの違いとは

ゼラニウムは、熱帯アフリカ、シリア、オーストラリアなどに分布し、約280種が確認されています。もともとゼラニウム属とされていた植物群は、学問の進化によってゼラニウム属とペラルゴニウム属に分かれました。しかし園芸界ではペラルゴニウム属に分類された植物の多くが、昔からの名残でゼラニウムと呼ばれており、ちょっとややこしくなっています。
園芸界でゼラニウムと呼ばれている植物群は、ゼラニウム、アイビーゼラニウム、センテッドゼラニウム、ペラルゴニウムの4つに大きく分類されます。このうちアイビーゼラニウムは、前述のように南アフリカのケープ地方が原産地のペルタツムを中心に交配された園芸品種群。西洋ヅタのようなフォルムと、肉厚で光沢のある葉が特徴で、枝が下垂する性質を持っています。
アイビーゼラニウムの育て方のポイント8つ
ここまで、アイビーゼラニウムの基本情報や特徴、花言葉などについてご紹介しました。ここからはガーデニングの実践編として、植え付けや水やり、施肥、花がら摘みや病害虫対策など、育て方について詳しく解説します。
1.栽培に適した環境
アイビーゼラニウムは、日当たり、風通しのよい場所を好みます。日当たりの悪い場所では花色や葉色が冴えずに花つきも悪くなり、徒長して軟弱な株になるので、日光不足に注意してください。
土壌は水はけ、水もちのバランスがよく、有機質に富んだふかふかの状態を好みます。また、弱アルカリ性から中性の土壌を好むので、庭植えでは植え付けの1カ月ほど前に苦土石灰を散布しておくのがポイントです。水はけの悪い場所では盛り土をして、周囲より少し高くしておくとよいでしょう。多湿を嫌うので、鉢栽培の場合は水の与えすぎに注意します。
また、アイビーゼラニウムは寒さをやや苦手とするので、寒くなる前に鉢に植え替え、室内の窓辺など日当たりがよく暖かい場所に移動して管理しましょう。
2.用土

【地植え】
アイビーゼラニウムは弱アルカリ性から中性の土壌を好むので、植え付けの1カ月ほど前に苦土石灰を、表土がうっすらと白くなる程度に散布してよく耕しておきます。さらに植え付ける1〜2週間前に、腐葉土や堆肥などの有機質資材を投入し、よく耕して水はけのよい土壌をつくっておくとよいでしょう。このように事前に土づくりをしておくことで次第に分解して土が熟成し、植え付け後の根張りがよくなります。
【鉢植え】
草花の栽培用に配合された園芸用培養土を利用すると便利です。
3.植え付け・植え替え

アイビーゼラニウムの植え付け・植え替えの適期は、4月中旬〜5月、または9〜10月です。ただし、ほかの時期にも苗は出回っているので、花苗店などで入手したら早めに植え付けるとよいでしょう。苗を選ぶ際は、節間が短くがっしりと締まって勢いのあるものを。黄色く傷んだ葉がついているものや虫食い痕のあるもの、ヒョロヒョロと茎葉が長く伸びて弱々しいものは避けたほうが無難です。
【地植え】
土づくりをしておいた場所に、苗の根鉢よりも一回り大きな穴を掘り、軽く根鉢をほぐして植え付けます。最後にたっぷりと水を与えましょう。複数の苗を植える場合は、20〜40cmの間隔を取っておきます。
庭で育てている場合は、寒くなる前に鉢に植え替えて、室内の窓辺など暖かい場所へ移動しましょう。
【鉢植え】
鉢で栽培する場合は、5〜7号の鉢を準備します。用意した鉢の底穴に鉢底ネットを敷き、軽石を1〜2段分入れてから草花用の培養土を半分くらいまで入れましょう。苗をポットから取り出して軽く根鉢をくずし、鉢の中に入れて高さを決めたら、少しずつ土を足して植え付けます。水やりの際にすぐあふれ出さないように、土の量は鉢縁から2〜3cmほど下の高さまでを目安にし、ウォータースペースを取っておいてください。土が鉢内までしっかり行き渡るように、割りばしなどでつつきながら培養土を足していきます。最後に、鉢底から流れ出すまで、十分に水を与えましょう。
鉢植えで楽しんでいる場合、成長とともに根詰まりして株の勢いが衰えてくるので、1〜2年に1度は植え替えることが大切です。植え替え前に水やりを控えて土が乾いた状態で行うと、作業がしやすくなります。鉢から株を取り出してみて、根が詰まっていたら、根鉢をくずして古い根などを切り取りましょう。根鉢を小さくして、元の鉢に新しい培養土を使って植え直します。もっと大きく育てたい場合は、元の鉢よりも大きな鉢を準備し、軽く根鉢をくずす程度にして植え替えてください。
4.水やり

水やりの際は、株が蒸れるのを防ぐために茎葉全体にかけるのではなく、株元の地面を狙って与えましょう。
真夏は、気温の高い昼間に水やりをすると、すぐに水の温度が上がり、株が弱ってしまうので、朝か夕方の涼しい時間帯に行うことが大切です。
また、真冬は、気温が低くなる夕方に水をやると凍結の原因になってしまうので、十分に気温が上がった真昼に行うようにしましょう。
【地植え】
根付いた後は、地植えの場合は下から水が上がってくるのでほとんど不要です。ただし、雨が降らない日が続くようなら水やりをして補います。
【鉢植え】
日頃の水やりを忘れずに管理します。ただし、いつもジメジメした状態にしておくと、根腐れの原因になってしまうので注意。土の表面が乾いたら、鉢底から水が流れ出すまで、たっぷりと与えてください。アイビーゼラニウムは多湿を嫌うので、乾燥気味に管理するのがポイントです。茎葉がしおれそうにだらんと下がっていたら、水を欲しがっているサイン。植物が発するメッセージを逃さずに、きちんとキャッチしてあげることが、枯らさないポイントです。また、冬もカラカラに乾燥させることのないように、控えめにしながら水やりを続けてください。
5.肥料

【地植え・鉢植え共に】
春から秋までの生育期には、10日に1度を目安に液体肥料を与えて、株の勢いを保ちましょう。ただし、真夏はかえって株が弱るので、肥料を切らしておくことがポイントです。
6.日常のお手入れ・注意点

【花がら摘み】
アイビーゼラニウムの終わった花は、適宜摘み取りましょう。株まわりを清潔に保つことで、病害虫発生の抑制につながりますよ! また、いつまでも花がらを残しておくと、種をつけようとして株が消耗し、老化が早まって花数が少なくなってしまうので注意。花がらをまめに摘み取ると、次世代を残そうとして次から次に花がつき、長く咲き続けてくれます。花房が全て咲き終わったら、花茎の根元から切り取りましょう。
【切り戻し】
草姿が乱れてきたら、適宜切り戻して株の若返りをはかります。地際から草丈の半分くらいまでを目安に、深めにカットしましょう。梅雨頃からの高温多湿の時期の前に行うと、株が蒸れやすくなるのを防ぎ、風通しよく管理することができます。
【夏越し】
高温多湿の環境を嫌うため、鉢植えで栽培している場合は梅雨の時期は日当たりのよい軒下などに移動して雨が当たらないようにするとよいでしょう。真夏は風通しがよく、涼しい半日陰の場所へ移動します。
【冬越し】
冬は地植えしている場合も寒くなる前に鉢に植え替えて、室内の窓辺など暖かい場所へ移動します。
7.注意すべき病害虫

【病気】
アイビーゼラニウムが発症しやすい病気は、灰色かび病、うどんこ病などです。
灰色かび病は花や葉に発生しやすく、褐色の斑点ができて灰色のカビが広がっていきます。気温が20℃ほど、かつ多湿の環境下で発生しやすい病気です。ボトリチス病、ボト病などとも呼ばれています。風通しが悪く込み合っていたり、終わった花や枯れ葉を放置していたりすると発生しやすくなるので注意。花がらをこまめに摘み取り、茎葉が込み合っている場合は、間引いて風通しよく管理しましょう。
うどんこ病は、カビによる伝染性の病気です。葉、新梢、つぼみに発生しやすく、表面が白く粉を吹いたような状態になり、放任するとどんどん広がるので注意。対処せずにそのままにしておくと光合成ができなくなり、やがて枯死してしまいます。窒素肥料を施しすぎたり、枝葉が繁茂しすぎて風通しが悪くなったりしていると、発病しやすくなります。うどんこ病が出たら病気の葉を摘み取って処分し、適用の殺菌剤を葉の表と裏に散布して、蔓延するのを防ぎましょう。
【害虫】
アイビーゼラニウムに発生しやすい害虫は、アブラムシ、カイガラムシなどです。
アブラムシは、3月頃から発生しやすくなります。2〜4mmの小さな虫で繁殖力が大変強く、発生すると茎葉にびっしりとついて吸汁し、株を弱らせるとともにウイルス病を媒介することにもなってしまいます。見た目もよくないので、発生初期に見つけ次第こすり落としたり、水ではじいたりして防除しましょう。虫が苦手な方は、スプレータイプの薬剤を散布して退治するか、植え付け時に土に混ぜ込んで防除するアブラムシ用の粒状薬剤を利用するのがおすすめです。
カイガラムシの体長は2〜10mm。枝や幹などについて吸汁し、だんだんと植物を弱らせていきます。また、カイガラムシの排泄物にすす病が発生して二次被害が起きることもあるので注意。硬い殻に覆われており、薬剤の効果があまり期待できないので、ハブラシなどでこすり落として駆除するとよいでしょう。
8.増やし方

アイビーゼラニウムは、挿し芽で増やすことができます。
挿し芽とは、茎葉を切り取って地面に挿しておくと、発根して生育を始める性質を生かして増やす方法です。植物のなかには挿し芽ができないものもありますが、アイビーゼラニウムは挿し芽で増やせます。
アイビーゼラニウムの挿し芽の適期は、6月頃か9〜10月頃です。新しく伸びた茎を2節以上つけて切り口が斜めになるように切り取ります。水の吸い上げと蒸散のバランスを取るために下葉を半分くらいに切り取ります。黒ポットを用意して新しい培養土を入れ、水で十分に湿らせておきます。培養土に植え穴をあけ、穴に挿し穂を挿して土を押さえてください。明るい日陰に置いて適宜水やりをしながら管理し、発根して十分に育ったら植えたい場所へ定植しましょう。挿し芽のメリットは、親株とまったく同じ性質を持ったクローンになることです。
アイビーゼラニウムをハンギングで育てるコツ

アイビーゼラニウムは乾燥を好むため、乾燥しやすいのが難点のハンギングバスケットで活躍する植物です。茎が下垂するように長く伸びるため、高い場所に飾って流れるようなラインを強調し、アイキャッチにするのがおすすめ。花つきをよくするためにも、日当たりのよい場所に飾りましょう。
アイビーゼラニウムの代表的な園芸品種は

アイビーゼラニウムは、多様な品種が揃います。ここでは、特に人気の高い品種を取り上げてご紹介しましょう。
エレガンテ
淡いピンクの花を咲かせる‘エレガンテ’は、‘エレガンス’とも呼ばれています。アイビーに似た肉厚な葉の縁に、白またはピンクの斑が入るのが特徴です。斑は気温が高い時期は白に、気温が低くなるとピンク色になります。草丈は20〜30cmで、コンパクトにまとまりやすいのも長所の一つ。生育旺盛でよく分枝します。
シュガーベイビー
花も葉もやや小ぶりで可憐な姿が魅力。シリーズ展開されて、花色はピンク、紫、白、赤などがあります。草丈は40cmくらいで、匍匐するように生育するので、窓辺のフラワーボックスなどにおすすめ。
トミー
ドイツで生まれた「シビルシリーズ」の一品種が‘トミー’。黒みを帯びたダークレッドのシックな花色で、八重咲きとなる人気の高い品種です。草丈は40cm前後。花つきがよく、ゴージャスな雰囲気をまとっています。
アイビーゼラニウムをハンギングや寄せ植えで楽しもう

適した環境で管理すれば、長い期間にわたって開花を楽しめるアイビーゼラニウム。乾燥を好むので、ハンギングバスケットやコンテナなどで活躍します。さまざまな種類のアイビーゼラニウムを寄せ植えにした大型のハンギングバスケットを作ってアイキャッチにするのも素敵ですね。ぜひ庭やベランダにアイビーゼラニウムを迎えてはいかがでしょうか。
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