秋のお月見には、おだんごとともに欠かせないアイテムがススキ。秋に穂を出して、光に当たるとシルバー色に輝く姿は美しく、季節感をもたらしてくれます。近年、都会や住宅街ではススキを探して摘み取ることは難しくなっていますから、自宅で育てて秋の演出をするのはいかがでしょう。この記事では、ススキの基本情報や特徴、種類、詳しい育て方など、幅広く取り上げていきます。

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ススキとは?

ススキは、丈夫な性質で植えっぱなしにしても元気に育つので、ビギナーにおすすめの植物です。ここでは、ススキの基本情報や特徴についてご紹介します。

基本データ

ススキ
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ススキは、イネ科ススキ属の多年草です。原産地は、中国、朝鮮半島、日本、台湾などで、暑さにも寒さにも大変強い性質を持っています。昔から日本の野山で自生してきたこともあって環境に馴染みやすく、放任してもよく育ちます。むしろ元気いっぱいに育ちすぎて巨大化し、庭のほかの植物との調和が取りづらくなりやすいので、大きくしすぎないためのメンテナンスが必要な植物です。

ススキは、一度植えつければ毎年観賞を楽しめる息の長い植物で、コストパフォーマンスに優れるといえます。ライフサイクルは次の通りです。春から新芽が吹き始め、多数の茎葉を伸ばします。9〜10月頃に長さ15cm前後の穂を展開。穂が出始めた頃は光を受けると銀色に見えて美しく、さらにふわふわとした綿毛をつけた種をつけて風に乗って飛んでいきます。冬になると地上部を枯らして休眠するので、地際で刈り取ってもかまいません。しかし、茶色くなった葉に霜や雪がかかる姿に風情があるとして、残して楽しむこともあるようです。冬に地上部が枯れたからといって完全に枯れたわけではなく、地下の根は生きていて、冬を乗り越えてまた生育期の春を迎えたら新芽を出す……というサイクルを繰り返します。

特徴

ススキ
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ススキは、平地や山野などに昔から自生してきた植物で、グラス類にも分類されています。グラス類とは、イネ科やカヤツリグサ科の細長い葉をもつ植物のこと。地際から葉を放射状に長く伸ばし、風にサラサラと揺れる姿に観賞価値があり、フォルムの美しさからオーナメンタルグラスとも呼ばれています。

ススキの草丈は100〜200cmほど。丈夫な地下茎を持ち、多数の葉を放射状に立ち上げます。葉は細長くてかたく、縁がカギ状になっているので、皮膚に擦れると切れて流血することもあるので、作業の際にはガーデニング用のグローブをはめて傷ができるのを防ぎましょう。夏から秋にかけて、花茎を立ち上げて花穂をつけ、光を受けるシルバー色に輝いて美しいのが魅力。種類によっては花穂が赤みを帯びているものもあります。

日本には、中秋の名月を愛でる習慣がありますが、月見の席ではススキを飾るのが習わしとなっています。秋の七草にも数えられているススキは、秋の到来を演出するとっておきのアイテムとなるので庭や鉢栽培で育て、花穂が出た頃に生け花として室内に飾るのもいいですね。また、その野趣感あふれる風情から、ナチュラルガーデンや和風のガーデンに似合うので、ぜひ取り入れてはいかがでしょうか。

ススキの種類とは?

ホタルガヤ
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ススキには、多様な種類があることをご存知でしょうか。野山で自生する姿をイメージすると「庭で育てるには大きくなりすぎない?」と、心配する方もいるかもしれませんね。実はガーデニングで重宝されている、繊細なフォルムのススキもあるので、ここではおすすめの3種類をご紹介しましょう。

イトススキ

葉の幅が5mmほどで大変細く、よりしなやかで繊細な表情をもちます。草丈は80cmほどで小ぶりなうえに、葉が立ち上がって株幅が広がりすぎないのも魅力です。斑入りの品種もあります。

タカハノススキ

細い葉に、白い虎斑が入り、古くから愛されてきたススキの一種です。草丈はかなり小ぶりで50〜80cmほど。肥料を与えすぎたり、夏に暑すぎたりする場合に、斑が入らなくなることもあります。斑の入り方、フォルムともにスタイリッシュで人気が高く、寄せ植えの花材としても重宝しますよ!

シマススキ

草丈は100〜200cmほどで、葉に白いストライプ状の斑が入ります。真夏の暑さや強い日差しでも斑が抜けることがない、強健な性質です。暑い時期もクールに演出するカラーリーフプランツとしても活躍します。

ススキの育て方とは?

ここまで、ススキの基本情報や特徴、種類など、幅広くご紹介してきました。では、ここからはガーデニングの実践編として、ススキの育て方について解説。苗の植え付けからスタートし、水やりや肥料などの日頃のメンテナンス、健やかに育てるためのポイントや気をつけたい病害虫など、細かくガイドしていきます。

栽培環境

ススキ
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ススキは日当たりがよく、風通しのよい場所を好みます。日当たりの悪い場所では、ヒョロヒョロとか弱い茎葉が茂って草姿が乱れることもあるので注意。基本的にススキは暑さ寒さに強く、日本の気候によく馴染んで放任してもよく育ちます。土壌は水はけ、水もちのよい、有機質に富むふかふかとした環境を好みます。常に水がたまっているようなジメジメとしている土壌では生育が悪くなるので、川砂を混ぜるなどして、水はけのよい土壌に改良しましょう。

土作り

土作り
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【庭植え】

丈夫な性質で土壌を選びませんが、植え付ける1〜2週間前に腐葉土や堆肥などの有機質資材を植え場所に投入し、よく耕してふかふかの土を作っておくとよいでしょう。特に水がたまりやすく水はけの悪い土壌では、川砂やパーライトなど水はけをよくする土壌改良資材を混ぜ、周囲より土を持って高くしておくとよいでしょう。土づくりは植え付け直前ではなく、数週間前に行っておくことで、分解が進んで土が熟成します。

【鉢植え】

草花の栽培用に配合された園芸用培養土を利用すると便利です。

植え付け・植え替え

植え付け
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ススキの栽培は、花苗店やホームセンターなどで販売されている苗を入手し、植え付けることからスタートするのが一般的です。苗を購入する際は、がっしりと締まって丈夫なものを選びましょう。

苗の植え付け・植え替え適期は、2〜3月です。ただし、観賞期などそれ以外の時期に苗を入手した場合は、早めに植えたい場所に植え付けます。

【庭植え】

土作りをしておいた場所に苗よりも一回り大きなを穴を掘って植えつけます。苗をポットから出したら根鉢をやや崩して植えましょう。複数の苗を植え付ける場合は、草丈に応じて40〜100cmほどの間隔を取りましょう。最後に、たっぷりと水やりします。

ススキは多年草のため、数年は植えっぱなしにしてもかまいません。しかし、大株に育って庭全体のバランスを崩すほどに巨大化してきたら、規模縮小のための植え替えをします。掘り上げて株分けし、小さくして植え直すとよいでしょう。あまりに繁茂しすぎるようなら、根が周囲に広がりすぎないように、株の周囲に仕切り板を埋め込み、根が伸びすぎないように制限するのも一案です。

【鉢植え】

6〜8号鉢に1株を目安に植え付けます。

用意した鉢の底穴に鉢底ネットを敷き、軽石を1〜2段分入れてから培養土を半分くらいまで入れましょう。ススキの苗を鉢に仮置きし、高さを決めます。苗をポットから出して根鉢を軽く崩して植え付けましょう。水やりの際にすぐ水があふれ出すことのないように、土の量は鉢縁から2〜3cmほど下の高さまでを目安にし、ウォータースペースを取るとよいでしょう。土が鉢内までしっかり行き渡るように、割りばしなどでつつきながら培養土を足していきます。最後に、鉢底からたっぷりと水が流れ出すまで、十分に水を与えましょう。寄せ植えの素材として大鉢にほかの植物と一緒に植え付けてもOKです。

ススキは生育が旺盛なので、根詰まりを防ぐために1年に1度は植え替えましょう。植え替えの適期は、休眠中の2〜3月です。1〜2回り大きな鉢を用意して鉢増ししてもいいですし、同じ鉢に植え直してもかまいません。同じ鉢を用いたい場合は根鉢を崩して古い根を整理し、株分けして小さくしてから植え直します。

水やり

水やり
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株が蒸れるのを防ぐために茎葉全体にかけるのではなく、株元の地面を狙って与えてください。

真夏に水やりする場合は、気温が上がっている昼間に行うと、すぐに水の温度が上がってぬるま湯のようになってしまいます。すると株が弱ってしまうので、朝か夕方の涼しい時間帯に行うことが大切です。また、真冬は夕方に水やりすると凍結の原因になるので、十分気温の上がった昼間に与えるようにしてください。

【庭植え】

根付いた後は、地植えの場合は下から水が上がってくるのでほとんど不要です。ただし、雨が降らずに乾燥が続くようなら、水やりをして補います。

【鉢植え】

日頃の水やりを忘れずに管理します。土の表面が乾いたら、鉢底から水が流れ出すまで、たっぷりと与えましょう。茎葉がしおれそうにだらんと下がっていたら、水を欲しがっているサイン。植物が発するメッセージを逃さずに、きちんとキャッチしてあげることが、枯らさないポイントです。特に真夏は水を欲しがるので、朝夕2回の水やりを行いましょう。冬は葉を落として休眠するので、控えめに与える程度にします。

肥料

肥料
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【庭植え】

生命力旺盛で繁茂力が強いため、基本的に必要ありません。

【鉢植え】

肥料を与える期間は生育期の4〜10月です。

株の状態を見て、勢いがないようであれば草花用の緩効性化成肥料または液体肥料を少量施します。あまり量が多すぎると茂りすぎるので、与えすぎに注意してください。特に葉に斑が入るタカノハススキは、チッ素分を多く含む肥料を与えると、斑が入らなくなることがあるので、肥料を与えないほうが無難です。

葉刈り

剪定
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5月下旬〜6月に、繁茂しすぎるのを防ぐために、地際から30〜50cmほどの高さで茎葉を刈り取りましょう。この時期よりも遅くに切り取ると、秋に美しい穂が出なくなってしまうので、タイミングを逃さないことが大切です。

ただし、小型の種類ではこの作業は不要です。また、大きくしてダイナミックな景色を作りたい場合も、葉刈りをせずに自由に茂らせてください。

増やし方

植え替え
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ススキは、株分けして増やすことができます。適期は2〜3月です。

株分けとは、大株に育った多年草を掘り上げ、数芽をつけて根を切り分けて植え直し、ふやしていく方法です。小さく切り分けることで、株が若返る効果もあります。

ススキは大株に育つと掘り上げるのが大変になるうえに、株分けする際にはノコギリを使って分けなければならないほどに根が込み合ってしまいます。あまり巨大化する前に、数年おきに掘り上げて株を小さくし、現状維持を保つようにしておくとよいでしょう。ただし、あまりに小さく切り分けすぎると弱ってしまうので、注意してください。

注意すべき病害虫

アブラムシ
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【病気】

ススキには病気の心配は特にありません。

【害虫】

ススキに発生しやすい害虫は、アブラムシ、カバキコバチグモです。

アブラムシは、3月頃から発生しやすくなります。2〜4mm程度の小さな虫で繁殖力が大変強く、発生すると茎葉にびっしりとついて吸汁し、株を弱らせるとともにウイルス病を媒介することにもなってしまいます。見た目にも悪いので、発生初期に見つけ次第こすり落としたり、水ではじいたりして防除しましょう。虫が苦手な方は、スプレータイプの薬剤を散布して退治するか、植え付け時に土に混ぜ込んで防除するアブラムシ用の粒剤を利用するのがおすすめです。

カバキコバチグモは毒グモの一種で、ススキの葉を巻いて巣作りすることがあります。あまり攻撃性はないので、素手で捕まえない限りはかまれることはありません。しかし、産卵期を迎えた雌グモは攻撃的になるので、うっかり巣を触ってしまってかまれることがあります。かまれると、激しい痛みが数日続くので注意が必要です。基本的には益虫とされているので、薬剤などで駆除せずにそのまま見守り、夏に巻いている葉などを見つけたら、触らないように注意を払うとよいでしょう。

観賞用として人気のススキ! 気軽に育てよう

お月見
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秋になると美しい穂を伸ばして、季節の移ろいを教えてくれるススキ。昔から日本に自生してきた植物で、環境に馴染みやすく放任してもよく育つので、ビギナーにもおすすめです。穂が出揃ったら、和の器に活けてインテリアに飾っても素敵ですね。秋の到来を強く感じられるアイテムとしてぜひ庭や鉢植えに取り入れて、お月見の季節に愛でてはいかがでしょうか。

Credit

文/3and garden
ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。

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