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【写真で解説】『矢車草』ってどっち? ヤグルマソウとヤグルマギク、姿形から生育タイプまで驚きの違い!

【写真で解説】『矢車草』ってどっち? ヤグルマソウとヤグルマギク、姿形から生育タイプまで驚きの違い!

Walter Erhardt/Shutterstock.com

「矢車草(やぐるまそう)」という名前を聞いたとき、あなたはどんな花を思い浮かべますか? ヤグルマソウ(矢車草)とヤグルマギク(矢車菊)は名前がそっくりなため、よく混同されやすい植物です。しかし、じつは姿形も育て方も全く異なる、全く別の植物なのです。この記事では、そんなヤグルマソウとヤグルマギクについて、写真で比較しながら、その驚きの違いを徹底解説。それぞれの見分け方はもちろん、特徴や育て方のポイントまで分かりやすくご紹介します。ぜひ、この記事を参考に、2つの愛らしい花を見分けて楽しんでください。

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ヤグルマソウとヤグルマギクが混同されがちな理由とは

ヤグルマソウとヤグルマギク
ヤグルマソウとヤグルマギク。Hank Asia、Jaren Jai Wicklund/Shutterstock.com

見た目は大きく異なるヤグルマソウとヤグルマギクが混同される理由は、菊の花に似たヤグルマギクを指して「矢車草」と呼ぶことがあるためです。これは、もともとヤグルマギクのことを矢車草と呼んでいたことに由来します。そのため、ヤグルマギクを「矢車草」と呼んでも間違いではないかもしれません。しかし、ヤグルマソウという和名を持つ別の花がすでに存在していたため、ヤグルマギクが正式な呼び方となりました。図鑑などでもヤグルマギクで統一されています。

ヤグルマソウとヤグルマギクの違いや見分け方

Graphic-icons/Shutterstock.com

ヤグルマソウとヤグルマギクは名前こそ似ていますが、姿形は全く異なる植物。それぞれには次のような違いがあります。

科名や生育タイプの違い

ヤグルマソウはユキノシタ科ヤグルマソウ属に属する多年草で、植え付けの翌年以降も花を咲かせます。

一方、ヤグルマギクはキク科ヤグルマギク属に属する一年草で、植え付けた年にしか花を咲かせません。ただし、こぼれ種から育って再び花をつけることも多いため、花壇では一度植えれば何年も楽しめます。

花や葉などの違い

ヤグルマソウとヤグルマギク
ヤグルマソウ(左)とヤグルマギク(右)。EQRoy、romiri /Shutterstock.com

ヤグルマソウはふわふわした白く小さな花を咲かせ、大きな葉は先が五裂に分かれています。また、銅葉や赤葉の品種も存在します。

ヤグルマギクはキクに似た丸い花をたくさん咲かせ、代表的な青のほか、紫やピンク、白などの美しい花色が特徴です。葉は細長い披針形で、下のほうに付く葉は羽状に裂けます。

咲く季節や場所の違い

ヤグルマソウとヤグルマギク
ヤグルマソウ(左)とヤグルマギク(右)。Flower_Garden、crystaldream/Shutterstock.com

ヤグルマソウの開花期は5〜8月。谷沿いの林床などに自生し、半日陰の湿った場所を好むため、シェードガーデンにも適しています。

ヤグルマギクの開花期は4〜7月。日当たりと風通しのよい場所を好みます。乾燥気味の環境が適しており、切り取っても色あせないため、ドライフラワーなどにもよく利用されます。

ヤグルマソウってどんな花?

ヤグルマソウ
Peter Turner Photography/Shutterstock.com

ヤグルマソウとはどのような植物なのか、その特徴や名前の由来、育て方のポイントについて解説します。

ヤグルマソウの基本情報と特徴

ヤグルマソウ
guentermanaus/Shutterstock.com

植物名:ヤグルマソウ
学名:Rodgersia podophylla
英名:rodgersia、Rodger’s bronze leaf
和名:ヤグルマソウ(矢車草)
その他の名前:イツツバ、ゴハ、サルカサなど
科名:ユキノシタ科
属名:ヤグルマソウ属
原産地:日本、朝鮮半島
形態:宿根草(多年草)
園芸分類:草花
開花時期:5〜8月
草丈:90~150cm
耐寒性:強い
耐暑性:普通
花色:白

矢車草はユキノシタ科ヤグルマソウ属の多年草で、原産地は日本や東アジアです。5月から8月にかけて花を咲かせ、かわいらしい小さな白い花が特徴です。

葉は大きく、40cmほどになるものもあり、5枚の小葉からなる掌状複葉です。品種によっては赤葉や銅葉、芽出し銅葉などさまざまな葉があり、観賞の対象となります。草丈は約1mで、湿気を好み半日陰でもよく育つため、シェードガーデンにもおすすめです。

ヤグルマソウの名前の由来や花言葉

ヤグルマソウ
J Need/Shutterstock.com

ヤグルマソウの名前は、葉の形が矢車に似ていることに由来しています。矢車とは、鯉のぼりの先端などについている、輪に矢を放射状につけた風車のようなものを指します。

ヤグルマソウの花言葉は「幸福感」や「清楚」であり、これは小さな白い花の様子にちなんでいます。

ヤグルマソウの栽培環境

環境
Nicola Pulham/Shutterstock.com

ヤグルマソウは半日陰を好みます。直射日光に当たると葉焼けを起こすため、地植えの場合は夏に日が当たらない場所を選び、鉢植えの場合は春や秋は日の当たる場所に置き、夏は半日陰に移動させるとよいでしょう。

水はけと水もちのよい土を好むため、鉢植えの場合の用土は市販の山野草用の培養土や、赤玉土・鹿沼土・川砂を配合したものを使用します。地植えの場合はあまり土質を選びませんが、水はけが悪い場所では腐葉土などを混ぜ込んでおくとよいでしょう。

種まきや植え付けの方法と注意点

種まき
RossHelen/Shutterstock.com

ヤグルマソウは種まきから育てることができますが、あまり流通していません。自家採種する場合は、花が終わった後に種子を採取します。種まきの適期は10月以降です。育苗ポットなどに2〜3粒播いて管理すると、約1カ月で発芽します。

苗の流通も多くはないですが、山野草コーナーやネットショップなどで販売されていることがあります。植え付けの適期は9月下旬〜10月初旬で、鉢植えの場合は苗より一回り大きな鉢に植えます。地植えの場合は湿り気のある場所に間隔を広めにあけて植えましょう。

育て方のポイント

ガーデニング
Lee Charlie/Shutterstock.com

ヤグルマソウは湿気を好むため、水やりは土の表面が乾いたらすぐにたっぷりと与えます。特に夏は乾燥に注意が必要です。冬は休眠期なので、水やりは控えめにします。

肥料は春から夏の生育期に必要ですが、与えすぎると肥料焼けを起こすので注意が必要です。3月と10月に緩効性肥料を与えるか、4〜10月にかけて月に2回を目安に液肥を与えます。

2〜3年に1回、9〜10月にかけて株分けを兼ねて植え替えを行います。花が終わった後は花茎を刈り取り、冬には枯れた葉を取り除いておくと、春に新しい葉が伸びたときに見栄えがよくなります。切り戻しは特に必要ありません。

注意する病害虫

ヤグルマソウ
Joe Kuis/Shutterstock.com

ヤグルマソウは特にかかりやすい病気はありませんが、湿気のある環境で育てるため風通しには注意が必要です。また、過湿による根腐れにも注意が必要です。

害虫では蛾の幼虫の被害に遭うことがあります。蛾は7〜8月に産卵するため、卵がついていないかよく観察することが重要です。

ヤグルマギクってどんな花?

ヤグルマギク
Elizabeth Basten/Shutterstock.com

続いて、ヤグルマギクについて特徴や名前の由来、育て方のポイントについて解説します。

ヤグルマギクの基本情報と特徴

ヤグルマギク
bykot photo/Shutterstock.com

植物名:ヤグルマギク
学名:Centaurea cyanus
英名:cornflower、bachelor’s button
和名:ヤグルマギク(矢車菊)
その他の名前:コーンフラワー、一年草セントーレア
科名:キク科
属名:ヤグルマギク属(ケンタウレア属)
原産地:ヨーロッパ東南部
形態:一年草
園芸分類:草花
開花時期:4〜7月
草丈:30~100cm
耐寒性:強い
耐暑性:普通
花色:青、紫、赤、ピンク、白、複色など

ヤグルマギクはキク科ヤグルマギク属の一年草で、原産地はヨーロッパです。4〜7月に開花し、花色は紫、青、ピンク、白など多彩です。切り花としても人気があり、ドライフラワーとしても楽しむことができます。

草丈は1mになる高性から矮性種までさまざまな品種があります。原種は一重咲きですが、流通している品種の多くは八重咲きです。また、食用としてお茶や料理にも利用されています。食用として育てたい場合はエディブルフラワーとして販売されている苗を購入すると安心です。

ヤグルマギクの名前の由来や花言葉

ヤグルマギク
Tom Meaker/Shutterstock.com

ヤグルマギクという名前は、放射状に広がる花が矢車のように見えることに由来して名付けられました。

花言葉は「繊細」「優美」で、これは花弁が繊細なことや、美しい花姿から。このほかに「教育」「信頼」などの花言葉もあります。

ヤグルマギクの栽培環境

ヤグルマギク
crystaldream/Shutterstock.com

ヤグルマギクは日当たりと水はけがよい場所であれば、特に場所を選ばずに育ちます。やせ地や荒れ地でもよく育ちますが、過湿には弱いため、風通しのよい環境が大切です。

用土は鉢植えの場合は市販の草花用培養土を利用するか、赤玉土と腐葉土を混ぜたものを使用します。地植えの場合は腐葉土を混ぜておくとよいでしょう。

種まきや植え付けの方法と注意点

ヤグルマギクの種子
aniana/Shutterstock.com

ヤグルマギクは市販の種子や花後に採取した種子からでも育てることができます。種まきの適期は春か秋で、ポットに用土を入れて種子を2〜3粒播き、土をかけずに水やりをします。芽が出てある程度育ったら植えたい場所に植え付けましょう。花壇などに直まきしても育ち、こぼれ種からもよく育つので、一年草ですが毎年楽しめることも多いです。

苗を植え付ける場合は秋が適期ですが、ほぼ一年中植え付けることができます。根を切ると生育が悪くなるので、ポットから出したら根を傷つけないように根鉢をくずしたり落としたりせずそのまま植えましょう。

育て方のポイント

ヤグルマギク
simona pavan/Shutterstock.com

水やりは土の表面が乾いたらたっぷりと与えますが、水のやりすぎによる根腐れには注意が必要です。乾燥気味でも育つため、土の表面がしっかり乾くまで水やりを控えます。

肥料はほとんど必要なく、過肥で育ちすぎると茎が折れやすくなります。地植えの場合、植え付け時以外は生育が悪いときに控えめに与え、鉢植えの場合は様子を見ながら月に1回の置き肥か、月に2〜3回の液体肥料を与えます。

ヤグルマギクは直根性の植物なので、植え替えはあまりしないほうがよいでしょう。直根性の植物は根が傷むとダメージが大きく、根付きづらくなります。茎が伸びてきたら適度に摘心することで、草丈を抑え、花をたくさんつけることができます。

注意する病害虫

ヤグルマギク
Nataly Zavyalova/Shutterstock.com

ヤグルマギクは連作すると立枯病が発生することがあります。これはカビが原因の病気で、株全体がしおれて腐ってしまいます。数年ごとに植え場所を変えるなどして連作を避けるようにしましょう。

害虫はアブラムシやヨトウムシがつきやすいので、発見したらすぐに駆除することが重要です。

ヤグルマソウもヤグルマギクも愛らしい花

ヤグルマソウ
Flower_Garden/Shutterstock.com

ヤグルマソウとヤグルマギクは、名前は似ていますが全く異なるタイプの植物です。ヤグルマソウは観賞価値の高いダイナミックな葉に白く小さい花が可愛らしく、半日陰や湿った所を好むのでシェードガーデンの貴重な彩りに。

ヤグルマギク
Oleksandr Filatov/Shutterstock.com

ヤグルマギクはカラフルな丸い花が鮮やかで、こぼれ種でもよく増えるほど丈夫で育てやすく、日当たりがよく乾燥した土地を好むため、初夏の花壇やガーデンにおすすめです。ぜひお好みの花を選んで育ててみてはいかがでしょうか?

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