ライスフラワーは可愛らしい小花が魅力! 特徴や育て方を詳しく解説
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小さな花が集まる楚々とした咲き姿が魅力的なライスフラワーは、切り花にして飾っても美しく、庭でもインテリアでも存在感が光る植物です。オージープランツの1種で、葉には爽やかな香りもあります。この記事では、ライスフラワーの基本情報や種類、利用の仕方、育て方について詳しくご紹介します。
目次
ライスフラワーの基本情報

植物名:ライスフラワー
学名:Ozothamnus diosmifolius
英名:rice flower、white dogwood、pill flower、sago bush
和名:ライスフラワー
その他の名前:サゴフラワー
科名:キク科
属名:オゾタムヌス属
原産地:オーストラリア北東部
形態:常緑性低木
ライスフラワーの学名は、Ozothamnus diosmifolius(オゾタムヌス・ディオスミフォリウス)。キク科オゾタムヌス属の低木で、原産地はオーストラリア北東部。乾燥した気候を好み、日本の暑さ寒さや多湿を乗り切れずに枯れることが多いため、一年草として扱われることもあります。春から初夏にかけて咲く花に観賞価値があり、切り花やドライフラワーとしても人気です。樹高は30〜300cmで、よく枝分かれして株立ち状になります。定期的に剪定すれば、コンパクトな姿を保つことができます。
ライスフラワーの花や葉の特徴

園芸分類:草花・庭木
開花時期:3月下旬〜6月上旬
樹高:30〜300cm
耐寒性:やや弱い~普通
耐暑性:やや弱い
花色:ピンク、白
ライスフラワーの開花期は3月下旬〜6月上旬で、ぷちぷちとしたつぼみが愛らしく、花もちもよいので、長く楽しめます。花色はピンク、白。咲き始めはピンク色ですが、咲き進むにつれて白へと変化していきます。1つの花は米粒のように小さいのですが、花茎を伸ばした先に集散花序を形成し、多数集まって咲いて色の塊となるので大変華やかです。
ハーブのような香りも楽しめる
細い線形のライスフラワーの葉には、爽やかな芳香があります。葉を摘んだり触ってたりすると香りがたつので、ぜひ試してみてください。
ライスフラワーの名前の由来と花言葉

ライスフラワーという流通名は、つぼみをつけた姿がお米に似ていることからつけられたとされています。花言葉は「豊かさ」「豊かな実り」などです。
ライスフラワーの主な品種

ライスフラワーの花色はピンクまたは白ですが、園芸品種が多く、ピンクの色幅が揃っているのが特徴です。濃いピンクから淡いピンク、くすんだピンクなどもあります。主な品種はローズレッドが印象的な‘キャンディーレッド’、濃いピンクの‘ロイヤルピンク’、優しいパステルピンクの‘ソフトピンク’、アプリコット色の‘マーマレード’など。
ライスフラワーの活用方法

ライスフラワーは花もちがよいため、庭で育てるだけでなく、摘み取って活用するのもおすすめ。ここでは、活用の仕方についてご紹介します。
切り花として楽しむ

ライスフラワーは花もちがよいので、開花したら切り花としても楽しめます。長めに茎を切り取り、下のほうについている葉は取り去っておきましょう。切り口は斜めにカットしてから、縦に割り目を入れてください。さらに茎の中のわたをとっておくと、水揚げしやすくなります。茎がまっすぐになるように紙などで巻いてから、たっぷり水を張った深めの器に入れて2〜4時間ほど待ちましょう。すると、花瓶に飾ったあとの花もちがよくなります。ただし、花瓶の水は、毎日取り替えてください。
ドライフラワーにする

ライスフラワーは、ドライにしても花が落ちにくく、長く楽しめます。開花し始めた頃に茎の下のほうでカットし、下葉は取り去っておきます。束ねて輪ゴムでとめ、直射日光の当たらない涼しい場所に逆さにして吊り下げます。3週間ほどでドライになるので、インテリアに飾ったり、リースの花材などに利用してもよいでしょう。
寄せ植えや花束のアクセントにも

ライスフラワーは個性的な花姿がアクセントになるので、寄せ植えにも向いています。大鉢に開花期の合う草花やカラーリーフプランツと一緒に植えて楽しむのもおすすめです。また、切り花にしてブーケやフラワーアレンジメントに利用しても見栄えがします。
ライスフラワーの栽培12カ月カレンダー
開花時期:3月下旬〜6月上旬
植え付け・植え替え:5月中旬〜6月
肥料:4~6月、9月中旬〜10月
挿し木:5〜6月、10月頃
ライスフラワーの栽培環境

日当たり・置き場所
【日当たり/屋外】日当たりがよく、風通しのよい場所で管理します。日照不足になると葉色が冴えなくなったり、か弱い枝がヒョロヒョロと徒長したりするので注意してください。
【日当たり/屋内】一年を通して基本的に屋外で管理しますが、寒さに弱いので、冬は日当たりのよい窓辺などに取り込んでもよいでしょう。
【置き場所】多湿を嫌うので、水はけのよい土づくりをします。梅雨明け以降から秋の彼岸くらいまでは、雨の当たらない涼しい半日陰の場所に移動しましょう。冬は冷たい風が吹きつける場所を避け、凍結しない日当たりのよい軒下や、室内の窓辺や温室などで管理するとよいでしょう。
耐寒性・耐暑性
高温多湿を嫌うため、夏は雨の当たらない涼しい半日陰の場所に移動しましょう。寒さにも弱いので、冬は寒風を避け、凍結しない日当たりのよい軒下などで管理します。室内の窓辺や温室などに取り込んでもよいでしょう。
ライスフラワーの育て方のポイント
ライスフラワーは、暑さや寒さを苦手とするので、基本的に鉢栽培とし、季節に応じて適した場所に移動しながら管理することがポイントです。
用土

花鉢を入手した場合は、開花が終わるまではそのまま植え替えずに花姿を楽しみましょう。水はけと通気性のよい土壌を好むので、ポット苗を入手した場合、ハーブ用にブレンドされた培養土を利用して植え替えると手軽です。自身で配合するなら、赤玉土小粒5、腐葉土3、軽石2の割合でブレンドするとよいでしょう。
水やり

ライスフラワーは鉢栽培が基本で、地植えに比べて乾燥しやすいために日頃の水やりを忘れずに管理します。ただし多湿を嫌い、いつも湿った状態にしていると根腐れの原因になるので、与えすぎに注意。土の表面が乾いたら、鉢底から水が流れ出すまで、たっぷりと与えましょう。枝葉がしおれそうにだらんと下がっていたら、水を欲しがっているサイン。植物が発するメッセージを逃さずに、きちんとキャッチしてあげることが、枯らさないポイントです。
水やりの際は、株が蒸れるのを防ぐために茎葉全体にかけるのではなく、株元の土を狙って与えてください。特に花弁に水がかかると、傷みやすくなるので注意が必要です。
また、真夏に水やりする場合は、気温が高い昼間に行うと、すぐに水の温度が上がって株が弱ってしまうので、朝か夕方の涼しい時間帯に与えることが大切です。一方、真冬に水やりする場合は、気温が低くなる夕方に行うと凍結の原因になるので、十分に気温が上がった日中に与えるようにしましょう。
肥料

鉢栽培の場合は、水やりとともに肥料成分が流亡しやすいので、春と秋に追肥を与え、肥料を切らさないように管理することが大切です。
生育期の4〜6月は、緩効性肥料を月に1度を目安に株の周囲にばらまいて、軽く耕して土に馴染ませます。または、10日に1度を目安に液体肥料を与えてもよいでしょう。7〜8月の真夏は、肥料を与えるとかえって株が弱ることがあるので、肥料を切らして管理します。涼しくなった9月中旬〜10月に、緩効性肥料または液肥を与えて株の勢いを取り戻しましょう。
注意する病害虫

【病気】
ライスフラワーの栽培では、病気の心配はほとんどありません。
【害虫】
ライスフラワーの栽培では、害虫の心配はほとんどありませんが、アブラムシが発生することがあります。
アブラムシは、3月頃から発生しやすくなります。2〜4mmの小さな虫で繁殖力が大変強く、茎葉にびっしりとついて吸汁し、株を弱らせるとともにウイルス病を媒介することにもなってしまいます。見た目もよくないので、発生初期に見つけ次第こすり落としたり、水ではじいたりして防除しましょう。虫が苦手な方は、スプレータイプの薬剤を散布して退治するか、植え付け時に土に混ぜ込んで防除するアブラムシ用の粒状薬剤を利用するのがおすすめです。
ライスフラワーの詳しい育て方
苗の選び方
ライスフラワーの苗を購入する際は、葉に元気があり、株元がぐらついていないものを選ぶとよいでしょう。
植え付け

ライスフラワーの植え付けの適期は、5月中旬〜6月です。
まず、入手した苗木より1〜2回り大きな鉢を準備します。底穴に鉢底ネットを敷き、軽石を1〜2段分入れてからハーブ用に配合された培養土を半分くらいまで入れます。苗をポットから取り出して鉢の中に仮置きし、高さを決めたら、根鉢を軽くほぐし、少しずつ土を入れて植え付けます。水やりの際にすぐあふれ出すことのないように、土の量は鉢縁から2〜3cm下を目安にし、ウォータースペースを取っておいてください。土が鉢内までしっかり行き渡るように、割りばしなどでつつきながら培養土を足していきます。最後に、鉢底から流れ出すまで、十分に水を与えます。
植え替え

鉢植えで楽しんでいると、成長とともに根詰まりして株の勢いが衰えてくるので、1〜2年に1度は植え替えることが大切です。植え替え前に水やりを控えて土が乾いた状態で行うと、作業がしやすくなります。鉢から株を取り出して根鉢をくずし、古い根が絡み合っているようであればカットして整理しましょう。植え替えの際には、新しい培養土を使います。もっと大きく育てたい場合は、前よりも大きな鉢を準備し、軽く根鉢をくずす程度にして植え替えてください。
暑さ・寒さ対策

ライスフラワーの原産地はオーストラリアで、雨の少ない乾燥した気候のもとで自生する植物です。雨が多くて蒸し暑く、冬の寒さが厳しい日本とは気候がまったく異なるので、季節によって適切にケアしてあげることがポイントです。
夏には、直射日光にさらされない軒下などに移動しましょう。風通しのよい涼しい場所がベターです。そのような場所がなければ、遮光ネットや寒冷紗などを張って対処してください。ライスフラワーは乾燥を好むとはいえ、真夏は鉢土がすぐに乾いて水切れしやすくなるので、水の管理にも注意しましょう。
冬は日中にひだまりになる軒下など凍結しない場所に移動しましょう。株元にはバークチップなどをマルチングしておきます。凍結する地域では、室内や温室に取り込んで日当たりのよい窓辺などで管理するとよいでしょう。
増やし方
ライスフラワーは、挿し木で増やすことができます。挿し木とは、枝葉を切り取って土に挿しておくと、発根して生育を始める性質を生かして増やす方法です。植物の中には挿し木ができないものもありますが、ライスフラワーは挿し木で増やせます。
ライスフラワーの挿し木の適期は5〜6月、または10月頃です。新しく伸びた枝を選び、5cm程度を目安に切り口が斜めになるように切り取ります。葉は先端の2〜3枚を残して下の葉は切り取ってください。採取した枝(挿し穂)は、水を張った容器に1時間ほど入れて水あげしておきましょう。黒ポットを用意して新しい培養土を入れ、水で十分に湿らせておきます。培養土に穴をあけ、穴に挿し穂を挿して土を押さえてください。発根するまでは明るい日陰に置いて乾燥させないように管理します。発根後は日当たり・風通しのよい場所に移動し、土が乾いてから水やりします。十分に育ったら植えたい場所へ定植しましょう。挿し木のメリットは、親株とまったく同じクローンになることです。
ライスフラワーを育てる際のポイント

ライスフラワーを育てる際に、注意しておきたいポイントをまとめました。栽培の参考にしてください。
開花後に剪定する
ライスフラワーを剪定せずに放任していると、枝葉が上へ上へと伸びて樹形が乱れてきます。見栄えのよい状態を保つために、剪定して樹形を整えましょう。剪定の適期は開花後です。樹高の半分くらいまでを目安に切り戻します。枝が内側に伸びて邪魔になっているものや、交差しているものなど、込み合っている部分があれば、間引くように剪定して風通しをよくしましょう。
常に濡れている状態にならないようにする
オーストラリアの乾燥した気候のもとで自生してきたライスフラワーは、多湿の環境を非常に嫌います。切り花にして飾っていても、水に浸かっている茎から傷んでくるくらいです。鉢栽培も長雨に当たると根腐れを起こしやすくなり、株が弱って病害虫を招きやすくなるので注意。雨の当たらない場所に置き、適した水の管理を行うことが、ライスフラワーを栽培する際の最大のポイントです。
ライスフラワーを育ててみよう

ライスフラワーは、夏越しや冬越しが難しいといわれていますが、その魅力的な咲き姿を見ると迎え入れたくなるもの。鉢植えにして、季節ごとに適した場所に移動しながら管理するのがポイントです。ぜひ栽培にチャレンジしてみてください。
Credit
文 / 3and garden

スリー・アンド・ガーデン/ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。2026壁掛けカレンダー『ガーデンストーリー』 植物と暮らす12カ月の楽しみ 2026 Calendar (発行/KADOKAWA)好評発売中!
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