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水引に似て花言葉もめでたい植物ミズヒキ! 特徴や育て方を解説

水引に似て花言葉もめでたい植物ミズヒキ! 特徴や育て方を解説

saiglobalnt/Shutterstock.com

ミズヒキは細く長い花茎を伸ばして、極小の赤や白の花を咲かせる秋の野草です。道端でもよく見かけるように植えっぱなしで育つので、園芸初心者の方にもおすすめです。この記事では、ミズヒキの基本情報や特徴、名前の由来や花言葉、仲間の種類、育て方のポイントについて詳しくご紹介します。

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ミズヒキの基本情報

ミズヒキ
tamu1500/Shutterstock.com

植物名:ミズヒキ
学名:Persicaria filiformis
英名:Jumpseed
和名:ミズヒキ(水引)
その他の名前:金線草、金糸草、水引草
科名:タデ科
属名:イヌタデ属
原産地:東アジア
分類:宿根草(多年草)

ミズヒキはタデ科イヌタデ属の多年草で、日本では林の縁や道端など薄明るい場所で普通に見られる秋の野草です。まるで線のように細く長い花茎を伸ばし、そこに小さな赤い花を穂状に咲かせます。草丈は50〜80cm。花は繊細ですが性質は強健で、さまざまな環境に適応し、こぼれ種でもよく増えます。一見地味ながら和風な見た目が上品なので、ナチュラルガーデンや和の庭によく利用されますが、増えすぎないようコントロールすることも大切です。

ミズヒキの花や葉の特徴

ミズヒキ
tamu1500/Shutterstock.com

園芸分類:草花
開花時期:8〜10月
草丈:50〜80cm
耐寒性:強い
耐暑性:強い
花色:赤(下から見ると白)、白

ミズヒキの開花期は8〜10月で、長い花穂をつけます。花自体は非常に小さく、細長い茎にまばらにつきます。花びらに見える部分はじつは色づいた萼(がく)で、深く4つに割れ、そのうち3枚が赤色、1枚が白色になります。花弁はありません。花が終わると引っつき虫状の種子ができ、その先端が動物の毛などに引っかかって運ばれます。

葉は楕円形や卵形で、両面に荒い産毛が生えています。若い葉にはタデ科特有の紫褐色のV字形の模様が入りますが、花が咲く頃にはかなり薄くなります。また、白い斑が入る園芸種もあります。

タデ科の葉
タデ科の葉によく見られるV字模様。photoPOU/Shutterstock.com

ミズヒキの名前の由来と花言葉

ミズヒキ
SURKED/Shutterstock.com

ミズヒキの名前の由来は、紅白に彩られた細長い花穂を伸ばす花姿が、祝儀袋などに使われる紅白の水引に似ていることからきています。

ミズヒキの花言葉は「慶事」「祭礼」「感謝の気持ち」など。どれもミズヒキの紅白の花を祝い事の象徴と捉えたものと考えられています。

ミズヒキ
水引。Reika/Shutterstock.com

ミズヒキの近縁の仲間や名前が似ている別種の花

ペルシカリア
Peter Turner Photography/Shutterstock.com

ミズヒキの近縁の植物や、見た目や名前が似ている植物もいくつかあります。ここではその中から代表的なものをご紹介します。

ギンミズヒキ

ギンミズヒキ
Brian Woolman/Shutterstock.com

ギンミズヒキはミズヒキの白花品種で、シロミズヒキとも呼ばれます。ミズヒキ同様に花弁はなく、白い萼が花びらのように見えます。

ゴショミズヒキ

ゴショミズヒキ
tamu1500/Shutterstock.com

ゴショミズヒキはミズヒキと見た目がよく似ていますが、花の特徴が少し異なります。ミズヒキは萼片の3つが赤く、1つが白くなるのに対し、ゴショミズヒキは通常のミズヒキの色彩に、萼片がすべて白いものが混じります。また、時期によっては葉にV字が入り、斑入りの葉もあります。

シンミズヒキ

シンミズヒキ
Brian Woolman/Shutterstock.com

シンミズヒキは、花はミズヒキに似ていますが、葉で見分けることができます。シンミズヒキの葉には産毛がなく、光沢とゴムのような質感を持っています。また、ミズヒキのような黒いV字の模様は出ません。シンミズヒキの茎は中空で直立します。

キンミズヒキ

キンミズヒキ
F_studio/Shutterstock.com

キンミズヒキは、ミズヒキという名前が入っていますが、ミズヒキとは異なる分類群の植物です。バラ科の多年草で、林内の縁や山道の脇などでよく見られる野草です。

明るい黄色い花が穂状に咲き、その姿が金色の水引に見立てられてこの名がつけられました。ミズヒキとは花の姿や形が異なり、比較的簡単に見分けられます。

ミズヒキの栽培12カ月カレンダー

開花時期:8〜10月
植え付け・植え替え:3〜4月、9〜10月
肥料:特になし
種まき:9~10月

ミズヒキの栽培環境

ミズヒキ
tamu1500/Shutterstock.com

日当たり・置き場所

【日当たり/屋外】日なた~半日陰で栽培します。日陰にも耐えますが、日照不足だと花が少なくなるので注意しましょう。暑さにも強いですが、真夏の直射日光下では葉焼けを起こすことがあります。

【日当たり/屋内】屋外での栽培が基本です。

【置き場所】水もちのよい肥沃な土壌を好みますが、幅広い環境に適応します。

耐寒性・耐暑性

寒さに強く、北海道でも生育するので、基本的に防寒対策は必要ありません。夏も旺盛に生育し、夏越しも問題なく行えます。

ミズヒキの育て方のポイント

用土

土
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ミズヒキはやせ地でも十分に育ち、用土を選びません。鉢植えの場合は、市販の草花用培養土や、赤玉土小粒と腐葉土を6:4に配合した土を使用するとよいでしょう。

水やり

水やり
Voyagerix/Shutterstock.com

地植えの場合、根付いてからは降雨の水分で足りるため、特別に水やりをする必要はありません。しかし、夏に乾燥が続き、土がカラカラになったときには、たっぷりと水やりをします。

鉢植えの場合は、表土が乾いたらたっぷりと水を与えます。ただし、根腐れを起こさないように水やりのしすぎには注意が必要です。

肥料

肥料
Vaakim/Shutterstock.com

肥料については、それほど必要ではありません。生育が悪いと感じた場合には緩効性肥料を与えるとよいでしょう。

注意する病害虫

特に注意する病害虫はありません。

ミズヒキの詳しい育て方

苗の選び方

ミズヒキの苗はあまり流通していませんが、通信販売などで入手することができます。苗を購入する際は、株元からしっかりと葉が出ているものを選ぶとよいでしょう。

植え付け・植え替え

植え付け
pundapanda/Shutterstock.com

ミズヒキの植え付けや植え替えは、真夏と真冬以外の暖かい日に行いましょう。特に春の3〜4月や秋の9〜10月が適期です。植え付けや植え替え後は、しっかりと根付くまで土が乾燥しないように、適切に水やりをしながら管理することが重要です。

剪定・切り戻し

ミズヒキ
tamu1500/Shutterstock.com

ミズヒキは花後に種子ができ、こぼれ種でどんどん増えていきます。そのため、増えすぎて困るときは、種子ができないように花後にすぐ花茎を切り戻しましょう。

夏越しと冬越し

冬
Paul Maguire/Shutterstock.com

ミズヒキは夏が生育期で、旺盛に生育します。そのため、特に夏越しに必要な作業はありません。一方、冬は地上部が枯れたように見えますが、春には再び出てきます。ミズヒキは耐寒性が強いので、冬越しの対策も特に必要ありません。

増やし方

ミズヒキ
tamu1500/Shutterstock.com

ミズヒキはこぼれ種で何もしなくてもよく増えるため、挿し木や株分けなどをする必要はないでしょう。別の場所に増やしたい場合は、花後にできた種子を採取しましょう。

種まきの適期は秋で、採取した種子を取りまきにすれば、春に発芽し生育します。

ミズヒキを栽培する際の注意点

ガーデニング
Anna Ivanilova/Shutterstock.com

野生味ある姿が楽しめるミズヒキは、丈夫で生育旺盛な反面、こぼれ種で簡単に増え、雑草化してしまいがちです。そのため、これ以上増やしたくない場合は、花後すぐ種子ができる前に切り戻すことが大切です。また、管理が難しい場合は地植えを避けて鉢植えにするとよいでしょう。

また、斑入り種のミズヒキは先祖返りしやすいので注意しましょう。先祖返りとは、改良された品種を育てていると、何代か前の株の形質が出現する現象を指し、斑入り品種から斑が消えてしまうことなどがあります。斑入り品種から緑一色の葉が出てきたら、すぐに取り除くことで斑入りの株を維持することができます。

日本の文化とミズヒキ

ミズヒキ
captainX/Shutterstock.com

ミズヒキは秋の名草として茶花に利用され、美しく野趣味のある姿が茶人にも愛されています。また、秋の季語として和歌や俳句でも多く詠まれるなど、古くから日本では馴染み深い野草です。

丈夫でどんどん増えるミズヒキ

ミズヒキ
tamu1500/Shutterstock.com

ミズヒキは和風な見た目が美しい日本の野草です。非常に丈夫で育てやすいため、園芸用としても魅力のある植物ですが、きちんと管理しないとこぼれ種でどんどん広がってしまうため、栽培の際には注意も必要です。花後に切り取るか鉢植えで育てるなどの管理をして、ご自宅で野趣あふれるミズヒキが育つ風景を楽しんでみてはいかがでしょうか?

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