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コバノズイナは和の庭にも洋の庭にもおすすめ! 特徴や育て方のコツを解説

コバノズイナは和の庭にも洋の庭にもおすすめ! 特徴や育て方のコツを解説

ajisai13/Shutterstock.com

枝先に花穂を長く伸ばし、小さな花をブラシのように密に咲かせるコバノズイナは、甘い香りも魅力の人気の低木です。この記事では、コバノズイナの基本情報や特徴、名前の由来や花言葉、育て方、品種などについて、詳しく解説します。

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コバノズイナの基本情報

コバノズイナ
Peter Turner Photography/Shutterstock.com

植物名:コバノズイナ
学名:Itea virginica
英名:Virginia sweetspire
和名:コバノズイナ(小葉の髄菜)
その他の名前:アメリカズイナ、ハナリョウブ、ヒメリョウブ
科名:ズイナ科(ユキノシタ科)
属名:ズイナ属
原産地:北アメリカ
分類:落葉性低木 

コバノズイナは、ズイナ科(ユキノシタ科)ズイナ属の落葉低木です。原産地はアメリカ東部で、湿地や森、小川や池の近くなどに分布。耐寒性はありますが乾燥した寒風が苦手で、東北以南が栽培適地です。樹高は1〜1.5m、樹形は自然にコンパクトにまとまるので管理がしやすいでしょう。主張しすぎることがないため周囲の景観に馴染みやすく、野趣感のある樹形は和にも洋にも似合います。フラワーアレンジや茶花、盆栽などにも好んで利用され、インテリアに飾っても素敵です。

コバノズイナの花や葉の特徴

コバノズイナ
Peter Turner Photography/Shutterstock.com

園芸分類:庭木
開花時期:5~6月
樹高:1〜1.5m
耐寒性:普通
耐暑性:強い
花色:白

コバノズイナの開花期は5〜6月で、花色は白のみ。枝先に5〜10cmの穂を伸ばし、花径5mmほどの小さな花が下から咲き上がっていきます。甘い香りを放つのも魅力で、花後には実がつきます。コバノズイナの葉は3〜6cmの楕円形です。秋になると紅葉し、その後は落葉します。

コバノズイナの名前の由来や花言葉

コバノズイナ
Rachel Moon/Shutterstock.com

コバノズイナは和名で、漢字では「小葉の髄菜」と書きます。日本に古くから自生してきたズイナよりも葉が小さいことからこの名がつきました。「髄菜」は枝の髄(中心)が、灯火の芯に用いられてきたことに由来するようです。また、「ハナリョウブ」という別名もあります。こちらはリョウブの花に似ていることに由来し、漢字では「花令法」と書きます。ちなみにリョウブは若葉を食用できる樹木で、昔、飢饉に備えて農民にこの植物を植えるようにという令法(官令)が出されたために、「令法(りょうぼう)」の字を当ててリョウブと呼ばれるようになったとか。コバノズイナの学名は、Itea Virginicaです。「Itea」はギリシャ語で「柳」を指します。「Virginica」は「バージニアの」という意味で、原産地がアメリカ・バージニア州であることに由来しています。

コバノズイナの花言葉は「自由」「従順」「少しの欲望」です。

コバノズイナに似たリョウブとはどのような花?

リョウブ
shiro_ring/Shutterstock.com

コバノズイナは、花姿がリョウブに似ていることから、「ハナリョウブ」「ヒメリョウブ」とも呼ばれ、またリョウブと混同して流通することもあります。でも実際は、コバノズイナとリョウブは別の植物です! では、リョウブとはどのような植物なのでしょうか。

リョウブは、リョウブ科リョウブ属の落葉高木です。コバノズイナはズイナ科ズイナ属の落葉低木なので、分類から見ても違う植物であることが分かります。リョウブの開花期は7〜9月で、枝先に10〜15cmほどの花穂をつけ、香りがよく白い花を咲かせます。コバノズイナのほうが、リョウブよりも枝ぶりがやわらかく、葉も繊細なのが相違点です。

コバノズイナの品種

コバノズイナ
‘ヘンリーガーネット’。Peter Turner Photography/Shutterstock.com

コバノズイナは、いくつかの園芸品種があります。ここでは特に人気のある品種について、ご紹介します。

ヘンリーガーネット

樹高が1mほどでコンパクトにまとまるので管理しやすいのが特徴。葉がやや細く、花穂が長く伸びて枝垂れます。特筆すべきは紅葉の美しさで、秋には濃く深い赤色に染まります。

サライブ

‘ヘンリーガーネット’に比べて花穂が短く、枝垂れることなくやや立ち上がるのが特徴。花穂の軸や茎は赤紫色で、葉色や花色とのコントラストがよく映えます。秋が深まると、オレンジがかった赤褐色に紅葉する姿も素敵です。

リトルヘンリー

コバノズイナの矮性品種で、樹高80cm前後にまとまります。特に鉢栽培したい方におすすめの品種。花つきがよく、開花期は多数の花穂を下げて見応えがあります。晩秋になると赤く紅葉します。

コバノズイナの栽培12カ月カレンダー

開花時期:5〜6月
植え付け・植え替え:11〜3月(真冬を除く)
肥料:2月頃、6~7月

コバノズイナの栽培環境

コバノズイナ
Peter Turner Photography/Shutterstock.com

日当たり・置き場所

【日当たり/屋外】日当たり、風通しのよい場所を好みます。明るい半日陰の環境でも育ちますが、あまりに日当たりの悪い場所では花つきが悪くなり、株もひょろひょろと徒長気味に伸びて軟弱になるので注意しましょう。

【日当たり/屋内】一年を通じて屋外で管理します。

【置き場所】有機質に富み、水はけ・水もちのよいふかふかの土壌を好みます。暑さには耐えますが、寒さをやや苦手とするので、冬に冷風が強く吹きつけるような場所に植えるのは避けてください。鉢植えの場合、夏は乾燥しすぎて水切れすることがあるので、半日陰に移動してもよいでしょう。

耐寒性・耐暑性

マイナス10℃程度までの耐寒性があるので、寒風が当たらないよう注意すれば、周年植えっ放しにしてかまいません。

コバノズイナの育て方のポイント

用土

土
bluedog studio/Shutterstock.com

【地植え】

植え付けの約2週間前に、腐葉土や堆肥、緩効性肥料を混ぜ込んで、よく耕しておきます。土づくりをした後にしばらく時間をおくことで、分解が進んで土が熟成し、植え付け後の根張りがよくなります。

【鉢植え】

市販の花木用培養土を利用すると手軽です。

水やり

水やり
topseller/Shutterstock.com

水やりの際は、株が蒸れるのを防ぐために枝葉全体にかけるのではなく、株元の地面を狙って与えてください。

真夏は、気温の高い昼間に与えると、すぐに水の温度が上がり株が弱ってしまうので、朝か夕方の涼しい時間帯に行うことが大切です。

また、真冬は、気温が低くなる夕方に与えると凍結の原因になってしまうので、十分に気温が上がった真昼に行うようにしましょう。

【地植え】

根付いた後は、下から水が上がってくるのでほとんど不要です。ただし、雨が降らない日が続くようなら水やりをして補います。

【鉢植え】

日頃の水やりを忘れずに管理します。ただし、いつも湿った状態にしていると根腐れの原因になるので、与えすぎに注意。土の表面が乾いたら、鉢底から水が流れ出すまで、たっぷりと与えましょう。茎葉がしおれそうにだらんと下がっていたら、水を欲しがっているサイン。植物が発するメッセージを逃さずに、きちんとキャッチしてあげることが、枯らさないポイントです。

真夏は強い日差しによって乾燥しやすくなり、乾燥しすぎると弱ることがあるので、この時期は特に注意が必要です。また、冬は落葉後もカラカラに乾燥させることのないように、適宜水やりを続けてください。

肥料

肥料
New Africa/Shutterstock.com

【地植え・鉢植えともに】

植え付け時には、元肥として緩効性肥料を施しておきましょう。

その後は生育期に入る少し前の2月頃に緩効性肥料を施しましょう。また、開花後の6〜7月に、体力を回復させるため、速効性肥料を施します。

施肥に適したタイミング以外でも、株の状態を見て葉色が冴えず勢いがないようであれば、液肥を施して様子を見守ってください。ただし、肥料を多く与えすぎると葉ばかり茂って花が咲かなくなることもあるので注意しましょう。

注意する病害虫

カイガラムシ
Decha Thapanya/Shutterstock.com

【病気】

病気の心配はほとんどありません。

【害虫】

発生しやすい害虫は、アブラムシ、カイガラムシなどです。

アブラムシは、3月頃から発生しやすくなります。2〜4mmの小さな虫で繁殖力が大変強く、茎葉にびっしりとついて吸汁し、株を弱らせるとともにウイルス病を媒介することにもなってしまいます。見た目もよくないので、発生初期に見つけ次第こすり落としたり、シャワーではじいたりして防除しましょう。虫が苦手な方は、スプレータイプの薬剤を散布して退治するか、植え付け時に土に混ぜ込んで防除するアブラムシ用の粒状薬剤を利用するのがおすすめです。

カイガラムシは、ほとんどの庭木に発生しやすい害虫で、体長は2〜10mm。枝や幹などについて吸汁し、だんだんと木を弱らせていきます。また、カイガラムシの排泄物にすす病が発生して二次被害が起きることもあるので注意。硬い殻に覆われており、薬剤の効果があまり期待できないので、ハブラシなどでこすり落として駆除するとよいでしょう。

コバノズイナの詳しい育て方

植え付け・植え替え

ガーデニング
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コバノズイナの植え付け・植え替えの適期は落葉期ですが、特に寒くなる時期の1月〜2月中旬は避けるとよいでしょう。ほかの時期にも苗木は出回っているので、花苗店などで入手したら早めに植え付けましょう。ただし、真夏と真冬は避けたほうが無難です。

【地植え】

土づくりをしておいた場所に、苗の根鉢よりも1回り大きな穴を掘り、根鉢をくずして植え付けます。最後にたっぷりと水を与えましょう。

地植えにしている場合は、数年は植えたままにしてもかまいません。しかし、大株に育って込み合ってきたら、掘り上げて株分けして植え直し、株の若返りをはかるとよいでしょう。

【鉢植え】

コバノズイナを鉢で栽培する場合は、大きくなるので10号以上の鉢を準備します。用意した鉢の底穴に鉢底ネットを敷き、軽石を1〜2段分入れてから花木用の培養土を半分くらいまで入れましょう。苗を鉢の中に仮置きし、高さを決めたら、根鉢を軽くほぐし、少しずつ土を入れて植え付けます。水やりの際にすぐあふれ出すことのないように、土の量は鉢縁から2〜3cm下の高さまでを目安にし、ウォータースペースを取っておいてください。土が鉢内までしっかり行き渡るように、割りばしなどでつつきながら培養土を足していきます。最後に、鉢底から流れ出すまで、十分に水を与えましょう。

鉢植えで楽しんでいる場合、成長とともに根詰まりして株の勢いが衰えてくるので、1〜2年に1度は植え替えることが大切です。植え替え前に水やりを控えて土が乾いた状態で行うと、作業がしやすくなります。鉢から株を取り出したら根鉢をくずして小さくし、新しい培養土を使って植え直します。

剪定

剪定
Opas Chotiphantawanon/Shutterstock.com

コバノズイナは株立ち状で、地際から細めの枝を放射状に伸ばす樹形が特徴です。

剪定は、「すかし剪定」を基本とします。適期は休眠期の12月か2月下旬〜3月上旬です。自然に樹形は整うのですが、放任していると次々に新しい枝が地際から伸びて込み合い、風通しが悪くなってしまいます。そこで、古い枝や細くて弱々しい枝、生育の邪魔になっている枝を選び、地際から切り取りましょう。この時期に枝先のみを切ると、花が咲かなくなるので注意してください。

増やし方

種まきポット
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挿し木、株分けで増やすことができます。

【挿し木】

挿し木とは、枝葉を切り取って地面に挿しておくと発根して生育を始める性質を生かして増やす方法です。植物の中には挿し木ができないものもありますが、コバノズイナは挿し木で増やせます。

挿し木の適期は、2月下旬〜3月上旬か、6月下旬です。新しく伸びた枝を10〜15cm切り取り、下のほうについている葉は切り取っておきます。採取した枝(挿し穂)は、水を張った容器に1時間ほど入れて水あげしておきましょう。黒ポットを用意して新しい培養土を入れ、水で十分に湿らせておきます。培養土に穴をあけ、穴に挿し穂を挿して土を押さえてください。発根するまでは明るい日陰に置いて乾燥させないように管理します。発根後は日当たり、風通しのよい場所に移動し、十分に育ったら植えたい場所へ定植しましょう。挿し木のメリットは、親株とまったく同じクローンになることです。

【株分け】

株分けの適期は、2月下旬〜3月か10月上旬〜11月下旬です。株を植え付けて数年が経ち、大きく育ったら老化が進むので、「株分け」をして若返りをはかります。株を掘り上げて地際から出ている枝を4〜5本ずつ付けて根を切り分け、再び植え直しましょう。それらの株が再び大きく成長し、同じ姿の株が増えていくというわけです。

枝ものとして飾るのもおすすめ! 長く飾るコツ

コバノズイナ
Payless Images/Shutterstock.com

コバノズイナは花つきがよく、楚々とした風情が素晴らしいので、インテリアに飾ってもよく映えます。一輪挿しにしても、大きな花器に豪華にあしらっても素敵です。枝を活けこむ際、長もちさせるコツは、切り口を十文字に割ることです。さらに熱湯につけてから深めの水に入れると、より水揚げがスムーズになります。花器に活けたら、毎日水を取り替えることが大切です。

コバノズイナの繊細な白い花を楽しもう

コバノズイナ
Kazol Anthony Das/Shutterstock.com

野趣感のある咲き姿が美しく、どんなインテリアにもなじむコバノズイナ。花は甘く香り、秋になれば紅葉も楽しめます。新緑から開花、紅葉まで四季の移ろいを感じられるコバノズイナを、ぜひ庭に取り入れてはいかがでしょうか。

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