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ヒルナンデスで話題のID!福島県会津の郷土料理、ジャガイモで漬ける「いも床」

ヒルナンデスで話題のID!福島県会津の郷土料理、ジャガイモで漬ける「いも床」

ヒルナンデスで放送されて大注目のいも床(いもどこ)。茹でたジャガイモを漬物の「床(とこ)」にする福島県会津の郷土料理です。床漬けというと「ぬか床」の印象が強く、管理が大変と尻込みしがちですが、いも床は材料もシンプルなうえにつくり方や管理もとても簡単なので、初心者でもアッという間に美味しい漬物ができます。家庭菜園でジャガイモを育てている方は小さなクズイモの有効活用にもなり、とても美味しいので、ぜひチャレンジしてみてください。

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イモ床で漬けた素材を使うと、料理が手軽に絶品になります。

材料3つ! 混ぜておくだけで1年もつ、超優秀ないも床のつくり方

会津の伝統的調味料「いも床」は、麹が高価だったために考案された漬物床です。これさえつくっておけば、漬物だけでなく、調味料としていろいろな料理に旨みとコクを与えてくれます。

【材料】

ジャガイモ1kg(中サイズ約10個分)、砂糖(ザラメ)500g、塩400g、赤唐辛子1~2本(好みで) 乾燥昆布1枚(好みで)

【作り方】

  1. ジャガイモを皮ごと茹でて、皮をむいて潰す。
  2. 材料すべてを混ぜ合わせ、一日目くらいを目安に、ザラメと塩がよく馴染んだら完成。

*茹でたてのジャガイモは熱いので、清潔な布巾で包み、ぎゅっと潰すと皮がむきやすいです。


*使う時の目安は、キュウリ1本に小さじ1くらいの分量で。多すぎると塩辛くなるのでご注意ください。

*赤唐辛子や乾燥昆布を入れると、保存性と旨みもアップします。

*常温保存できますが、夏の間は冷蔵保存してください。

初心者でも簡単にできるいも床

冬になると、会津の家では母がさまざまな漬物を仕込みます。「寒」の時期に漬物や味噌などの保存食品類を仕込むと雑菌が入りにくく長持ちするという昔ながらの知恵だといいます。冬の間に仕込んだ漬物や味噌を1年かけて食べるため、会津の食卓には必ず何かしらの漬物がありました。ごはんのおかずとしてだけでなく、来客時のお茶請けにも漬物が並んでいました。

漬物の食べ方で印象深いのは、母が教えてくれた白ごはんの白菜巻きです。炊きたてのご飯に白菜漬けの青く薄い部分を巻いて、醤油をほんの少し垂らすだけなのですが、すごく美味しい。これだけは食欲がなくてもスイスイ食べられました。

そんな風に、幼い頃からずっと当たり前に食べ続けてきた漬物も、実家を離れた途端にあまり食べなくなりました。理由は自分でつくるのは手間がかかるのと、会津には年中手づくりの漬物があったので、漬物を買って食べるという発想がなかったのです。でも、漬物が食べたい……そんなときに母に教えてもらったのが、「いも床漬け」でした。

いも床の発祥

会津には昔から「三五八漬け」という麹を使った漬物があります。名前の由来は、塩、麹、米を3:5:8の割合でつくるから。しかし昔は麹が高価だったため、その代用として大量に余っていたクズイモ(販売できない規格外のジャガイモ)を使ったいも床が考えられたそうです。

ジャガイモを使うと麹のように乳酸発酵しないので管理がしやすく、酸味やクセが少ないのが特徴です。そのため素材そのものの味が生かされ、さらにジャガイモの風味が付与されて独特の旨みとなります。元々は各家庭でつくられていたいも床ですが、管理の簡単さと美味しさから人気が出て、近年ではいも床の全国発送もされるほどになりました。

床漬けというと「ぬか床」の印象が強く、管理が大変と尻込みしてしまいますが、いも床は材料もシンプルなうえに、つくり方、管理もとても簡単なので、初心者でもあっという間に美味しい漬物をつくることができます。さらには万能調味料としても使える優れもの。私はすぐ夢中になり、野菜だけでなく肉や魚などなんでもいも床に漬ける日々がしばらく続きました。会津の家では、夏の間に収穫したジャガイモの中で小さいクズイモが大量に出るため、それを使っていも床をつくっています。家庭菜園でジャガイモを育てている方はぜひ、美味しいのでチャレンジしてみてください。

取材協力/福島県ハイテクプラザ会津若松技術支援センター(醸造・食品科)
http://www4.pref.fukushima.jp/hightech/index-pc.html

いも床漬けは、クセや酸味が少ないため大変食べやすい漬物ができます。野菜が苦手な次女も、いも床に漬けた野菜は甘みが出て食べやすいらしく、モリモリ食べてくれます。

幼い頃に私も手伝っていたジャガイモ掘りは、鍬の掘り加減が難しいのを覚えています。どうしても鍬を使いたくて、間違ってジャガイモにザクザク刺してもったいないことをしていました。現在は私の子どもたちが、イモ掘りを喜んで手伝っています。土からポコポコと出てくるのがとても楽しいようで、大興奮でした。

久しぶりに触った畑の土はふわふわで、とても気持ちがよかったです。このふわふわの土をつくるのにも、ずいぶん時間がかかったのかと思うと気が遠くなります。

大量のジャガイモは収穫後表面が乾くまで陰干しして、小屋に収納します。ちょうど翌年の収穫時まで、一家で食べられるくらいの量をつくっています。

このいも床を使ったレシピを『ジャガイモのお漬物「いも床」のお手軽絶品のシンプルレシピ』でご紹介しています。

Credit

制作&レシピ/本間のぞみ
会津郷土料理研究家。福島県会津若松市生まれ。デザイン事務所のアシスタントを経てガーデニング雑誌編集部に入社。庭のある暮らしや食に関する記事をつくる中で、さまざまな食のプロに出会い魅了され、和菓子店、ベーグル店、ビストロなどで経験を積む。現在2人の子どもを育てながら、地元の母がつくった会津野菜や食品を使ったレシピの提供、また不定期でoisixのグループ会社ふらりーとの社食弁当も提供中。

Photo/3and garden

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