体調を崩しやすい季節の変わり目、リラックスや免疫力アップにも欠かせないバスタイム。アロマの香りをプラスすることで、呼吸を深めながら身体もポカポカに。まずは心を緩めることで身体も緩み、私たちに備わっている免疫力本来の働きを取り戻す手助けをしてくれます。今回は簡単な一手間で毎日のお風呂が楽しみになる「アロマバスソルト」を神奈川県葉山で植物を身近に暮らしながらアンティークバイヤーとして活動中のルーシー恩田さんが教えてくれます。

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季節の変わり目と香り

立春が過ぎ、日中は春の気配を感じながらも、朝晩はまだまだ冷え込むこのごろ。先日ふと懐かしい香りがしました。季節が変わるときに一瞬だけ漂うあの香り。そう、儚く刹那的ななかにも、高揚感を感じる「季節の香り」です。視覚、聴覚、触覚などの「五感」の中で唯一ダイレクトに「脳」へ伝わるのが「嗅覚」。嗅覚は脳の「感情と記憶」をつかさどる扁桃体と海馬という場所へ、電気信号となり伝わります。無意識のうちに「香り」が記憶の引き出しを勝手に開いてしまうのです。

春

先日感じた季節の香りを味に例えるならば、過ぎ去る季節にセイグッバイして、来る季節の訪れに心躍りウェルカム! な「甘酸っぱい」香り。どうやら、この香りは年と経験を重ねれば重ねる程、香りが鮮烈になっていくようです(私調べ)。終わりは新しいことの始まり。私たちは「記憶と感情」を、ミルフィーユ層のように積み重ねながら生きています。

心と身体と免疫力

アロマセラピー

季節の変わり目は体調を崩しやすいシーズン、健康な身体に欠かせないのが免疫力です。簡単に言えば細菌やウィルスなどの病原体から、体を守る24時間年中無休の「自己防衛システム」。遺伝的なもの、運動や食事などの生活習慣、環境で個人差はありますが、私たちの身体にノーマル装備されている頼もしい機能です。免疫力を高めるうえで、私が大切だと思っているのが「思考や価値観」、いわゆる「心」です。

東洋医学

東洋医学の概念で重視されているのが「心と身体」の結びつき。心と身体は繋がっていて表裏一体。体調が悪ければ「心(感情や思考)」が不安定になるし、「心(感情や思考)」が不安定だと体調もイマイチ。まさに「病は気から」。ぶっきらぼうに言われると、根性論にも聞こえてしまいますが、「心と身体のバランスが崩れると病気になるわよ!」ということ。仏教の考え方では「心身一如(しんしんいちにょ)」という言葉で、心と身体は一つであると現されています。特に「恐れ」や「怒り」などネガティブな思考は、私たちの身体の免疫システムにダメージを与え、細菌やウイルスに対する抵抗力を弱めてしまいます。だから、ストレスが多い人は風邪をひきやすいのです。

アロマセラピー
心と身体のつながりが学べる2冊。おすすめなので興味があれば是非。

毎日笑って楽しく過ごすことが健康の秘訣。何があっても「これでいいのだ!」と楽観的に過ごすか、悩み多く過ごすかはあなた次第。私は前者を選択しているからか、何年も風邪をひいていません。馬鹿は風邪をひかないってことかしら(照)。

季節が変わるこの時期、風邪予防にも効果的なのが、「アロマ」×「お風呂」の組み合わせです。ジワーっと温まりながら、よい香りをクンクン。心と身体を緩めることは、免疫力アップにも繋がります。

アロマは頼れる民間療法

アロマセラピーは植物の香りを使い、心身の不調を癒して健康維持に役立てる、古くからヨーロッパを中心に親しまれてきた民間療法の一種です。近年では代替療法として提案する病院も増えてきました。医療ではありませんが、生活に取り入れることで、健康や日常生活の質が向上します。

アロマセラピー

自然の植物達はさまざまな作用を持っています。例えばリラックス効果、胃の働きを助け促す作用、ホルモン分泌を調整し整える作用。抗ウイルス作用・抗菌作用、皮膚を整える作用、免疫力を高め感染症の予防にもつながる作用など。

精油
精油には馴染みのあるものから抽出されたものが数多くあります

アロマセラピーで使われる植物の中には、花やハーブ類も多く含まれるので、庭や畑でも見かけるものが沢山。ガーデニングやファーミングに興味があればぜひアロマセラピーも日々の暮らしに取り入れてみてください。

ラベンダー

一家に一本常備していただきたいのが「ラベンダー」。しつこく紹介していますが、やっぱりラベンダーは頼もしい! 私も大好きな香りで、お風呂や掃除、マッサージなどにも大活躍。芳香成分が少量ずつ300以上含まれているため用途が広く、万能に使えるオールラウンダー。その効能の多様さから「疑わしきはラベンダー」といわれるほどです。

疑わしきはとりあえず「ラベンダー」を

ラベンダー

ガーデニングでもよく見かけるラベンダーは、アロマセラピーの原点ともいえる精油。酢酸リナリルとリナロールが主成分のため、「鎮静」、「抗痙攣」、「鎮痛」作用が主な特徴です。難しい成分名はさておき、芳香成分が300以上も含まれているため用途が広い万能選手。心を落ち着け、ストレスを和らげるリラックス効果が高く、不眠にも優れた効果を発揮します。頭痛や月経痛、肩凝りなどの痛みの緩和にも効果的。皮膚の炎症を鎮め再生を早めてくれるので、肌トラブルにも役立ちます。不調を感じたら、とりあえずラベンダー!

ラベンダー

ラベンダーは心、体、感情、精神すべてのバランスを整えてくれる、まさに「心身一如(しんしんいちにょ)」な香りです。入浴と香りはとても相性がよく、組み合わせることで効果が倍増! さらに、香りの成分が鼻&肌から吸収されるので一石二鳥です。庭から摘んだフレッシュハーブを束ねてお風呂に入れるのも好きですが、今回は気軽に使えるラベンダー精油を使い、とことん「心と身体」を緩めましょう。

お風呂で楽しむアロマセラピー「バスソルト」

バスソルト

バスソルトの種類は大きく分けて2つ。一つは「ヒマラヤ岩塩」や「デットシーソルト(死海の塩)」などの天然塩。もう一つは、「エプソムソルト」という精製された硫酸マグネシウムを主成分とするものです。「ソルト」と名前が付いていますが、塩分を含まないので、擦り傷があっても滲みないし、風呂釜を痛める心配もありません。そして岩塩よりも溶けやすいのがポイント。エプソムソルトは血行促進、むくみ改善、肩こりや腰痛の緩和に効果的とされ、欧米では古くから多くの家庭で民間療法的に重宝されてきました。食塩は精製されていて、美容や健康に有効成分となるミネラルをほとんど含まないので、バスソルトには向いていません。今回はコストコに売っている、エプソムソルトにヒマラヤ岩塩が少し混ざっているものを使います。お好みのバスソルトでお試しください。

エプソムソルトと岩塩
左が今回使うエプソムソルトにヒマラヤ岩塩が混ざっているもの、右がヒマラヤ岩塩。

バスソルト作りはとっても簡単です。一言で言えばただ混ぜるだけ! この一瞬の「魔法」でお風呂タイムがプリンセスムードに早変わり♡ 温かいお風呂に浸かりながら、香りを身体に取り込むように「スーハーっ」と深呼吸。余計なことは忘れて、ただこの瞬間だけを楽しみましょう。

ラベンダーとスイートオレンジの「グッドモーニングバスソルト」

アロマバスソルト

朝におすすめなのがラベンダー×スイートオレンジ。ラベンダーの香りでリラックスしながらも、オレンジの温かい香りが喜びと肯定感を呼び起こしてくれるでしょう。「1日の計は朝にあり」です。気持ちのよい1日となるはず。42℃くらいの熱めのお湯で、短時間の入浴がおすすめ。シャワー派の方は、精油を排水溝に数適垂らしてもOKです。

【材料】

  • エプソムソルト 大さじ3
  • ラベンダー精油 7滴
  • スイートオレンジ精油 6滴
アロマバスソルト

【作り方】

  1. エプソムソルトを瓶やガラス容器に入れる
  2. 精油を①に加えよく混ぜて完成

※ スィートオレンジは高濃度の使用は皮膚刺激があるため、敏感肌の方は要注意。スィートオレンジは光毒性が低いとされるが、心配であれば塗布直後は紫外線にあたらないこと。
※ ラベンダーは妊娠初期の使用を避けること。

ラベンダーとパチュリの「グッドナイトバスソルト」

アロマバスソルト

おやすみ前のおすすめは、ラベンダー×パチュリ。ラベンダーは感情のバランスを整え、リラックス効果が高く、良質な睡眠へと誘ってくれます。パチュリはどこか懐かしい、オリエンタル調の東洋的な香り。過剰過ぎる頭の働きを鎮めて、地に足をつける手助けをしてくれます。どんな一日を過ごしたとしても、ピースフルなマインドで眠りに付くことで、毎朝新しい自分に生まれ変わることができます。夜は38〜40℃の少し温めのお湯にゆっくりと入って緊張をほぐしましょう。

【材料】

  • エプソムソルト 大さじ3
  • ラベンダー精油 10滴
  • パチュリ精油 3滴
アロマバスソルト

【作り方】

  1. エプソムソルトを瓶やガラス容器に入れる。
  2. 精油を①に加えよく混ぜて完成。

※ラベンダーとパチュリは妊娠初期の使用を避けること。

アロマセラピー

香りのブレンドのコツは、異なるもの同士を合わせること。例えば、ラベンダー(フローラル系)、オレンジスィート(シトラス系)。フローラルな香りにシトラスの爽やかさが混ざることで、深みと華やかさが生まれます。これは料理も一緒。お汁粉に塩をちょっと入れるだけで甘みが引き立ったり、お肉料理のハチミツソースにローズマリーを加えることでさらに味と香りが引き締まったり。私の勝手な見解では、アロマのブレンド上手は料理上手! 逆もしかりです。

アロマブレンド
私の定番トリートメントオイルのブレンドは、パチュリ、クローブ、イランイラン、カルダモン。料理をする感覚でブレンドしてみてください

英語の慣用句でこんな言葉があります。「Stop and smell the roses」、直訳すると、「立ち止まってバラの香りをかぐ」と言う意味。この言葉はいつも忙しくしている人、余裕がない人に対してよく使われる表現です。つまりは「そんなに急いで生きていると、目の前にある美しいものを見逃してしまうわよ!」という意味。今この瞬間に立ち止まり、自分自身の心や身体を俯瞰する、その手助けをしてくれるのが「香り」アロマセラピー。あなた自身が自分の主治医&ヒーラー(免疫力)です。今夜はゆっくりと、アロマのバスタイムを楽しんでみてはいかがでしょうか?

Credit

ルーシー恩田

写真&文/ルーシー恩田
アンティークバイヤー/IFA認定アロマセラピスト/ITEC認定リフレクソロジスト
20代に訪れたタイ・チャン島でのファスティング(断食)経験から、心・体・生活環境などを全体的にとらえることにより、本来の自然治癒力を高め病気に負けない体づくりを学び啓発される。会社員としてデザインの仕事をしながら英国IFAアロマセラピストの資格を取得。退職後は更なる経験と知識の向上のためイギリスへ渡り、英国ITEC認定リフレクソロジストの資格を取得。現在は家業のイギリスアンティークの買付と販売をしながら、アロマセラピスト的な視点で自家栽培の野菜とハーブを使ったお料理教室やワークショップを開催している。
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