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寒い季節は愛犬の水分量に注意。オシッコトラブルにはクランベリーで

寒い季節は愛犬の水分量に注意。オシッコトラブルにはクランベリーで

ハーバルセラピストの資格を持ち、ペットのための自然療法も学ぶ海野美規さん。今回は、犬が水をあまり飲まなくなる冬の時期に気をつけたいオシッコトラブルと、トラブル対策に効果が見込めるクランベリーの効能や取り入れ方について伺いました。

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寒くなった! 愛犬あんが水をあまり飲まなくなった

犬の水分管理

いよいよ寒い季節となりました。暑いのが苦手な我が家の愛犬あんは、気温が 15℃を下回ると、俄然元気が出てきて、朝と夕方の散歩がとても楽しいようです。散歩から帰り、お茶を薄めたぬるま湯(緑茶のフットバス)で頭から足先まで全身を拭くと、満足そうな顔でゆったりと休憩モードになります。一休みしたところで、おやつタイム。そしていつもここでお水を飲むはずなのですが、この時期になると、水をあまり飲まなくなります。夏はガブガブ飲んでいたのに、今は飲んだとしてもちびちびと少量です。 食後もあまり飲みません。犬も寒くなると、自然と水分を摂らなくなってしまうようで、少し心配になります。

犬が水を飲まない理由

犬の水分管理

犬が水を飲まないのには、いくつか原因があるようで、例えば、口の中に何か疾患があるとか、何かの病気を抱えていることもあったり、シニア犬では、喉の乾きに鈍感になっていることもあったり。こういう場合は、しっかり獣医師に診ていただかなくてはなりません。

また、犬の散歩中に、知り合いの方からこんな話を聞きました。その方は、あんと同じ犬種、柴犬Rくんの飼い主さん。「あんちゃん、昨日の台風の時、ずっと寝ていたでしょう」と言われました。確かに、台風の接近の前から通り過ぎるまで、あんはソファーの上で丸くなり、時々寝返りをうつくらいしか動きませんでした。ポカポカのよいお天気の日のお昼寝とは明らかに違って、 寝ているといってもリラックスしている感じではありませんでした。Rくんも、ご飯の時以外ずっと寝ていたと言っていました。なんでも、犬がオオカミだった頃、嵐や低気圧がやってくることを察知すると、なるべく体力を奪われないようなところで丸くなって、嵐の通り過ぎるのをじっと待ったということなのです。

台風など極端な低気圧の時は、人間でも体調を崩す人がいます。私も雨が降りそうな時や、雨が続くと頭痛がします。人間より耳がよい犬にとっては、気圧や風の音などに対する感受性が、人間よりはるかに強いので、受けているダメージもはるかに大きいのではないかということです。自律神経のバランスを崩し、頭痛、めまい、貧血、食欲不振、下痢、嘔吐などの症状が出る犬もいるようです。

こんな時にはトイレもしません。あんが子犬の頃は、家の中の決められたところでトイレをしていましたが、 2歳を過ぎた頃からまったく家ではしなくなりました。トイレのために外に出られないからか、体調が悪くて歩きたくないからでしょうか。台風の日、雨の日、寒い日は、犬なりに、本能的に水分は控えようと思っているのかなと思います。

犬に必要な一日の水分量は?

水を飲む犬
Jaromir Chalabala/Shutterstock.com

犬が一日に必要とする水の量はどのくらいかと調べてみました。 健康的な犬の一日分の飲水量は、「体重1kg につき50mlから60ml を目安にするとよい」とのことです。あんは、だいたい体重が11kgですので、600ml程度は飲まないといけないということになります。500ml のペットボトル 1 本分とは、意外と多い! このところの、あんの水を飲む様子を見ていると、ぜんぜん足りていません! もっと飲むように勧めなくてはなりません。

犬は、コーヒーや紅茶、ジュースなどを飲むことはなく、水分といえば、”水”。ほかに飲ませてよい水分といえば、ヤギミルクなど、限られたものしかありません。代わりに、食事の中で工夫することがおすすめです。例えば、おかゆやスープなど、汁が多めのご飯にすると、水分をより摂りやすくなります。冬は、温かいスープ多めのおかずで、水分補給とポカポカ冷え対策をするとよいですね。

こちらの記事も参考にどうぞ。

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オシッコのトラブルにクランベリー

クランベリー

水は、成犬の体重の約 60~70%を占め、10%の水分が不足しただけで死を招くことさえある、生命にとっては必須です。もちろん人間も、すべての生き物にも、なくてはならないものだということは、いうまでもありませんね。

また、犬に多いとされる病気の一つの結石症は、十分な水を摂って排泄することが大切で、水分不足になると事態はどんどん悪化してしまうそうです。 そして、雌犬やシニア犬で心配なのは、膀胱炎です。トイレを我慢したり、水分量が少なくなったりする冬は、免疫力が落ちることも加わって、膀胱への細菌感染のリスクが高まります。

こういった排尿の不調で起こる膀胱炎などの感染症や、オシッコが出にくくなる尿石症などのトラブルには、クランベリーが効果を発揮するといわれています。

「クランベリーに多く含まれているキナ酸は、体内で馬尿酸という酸性物質になり、尿中に排泄されます。これはアルカリ尿を正常な状態の ph に近づけると言われています。アルカリ性の尿は、感染を起こしやすく、結石もできやすくなります。そのようなときに、クランベリージュースやビタミンCが多いものを摂取するとアルカリ尿が酸性化することにより、尿路感染や尿路結石の予防となります」

(MEDICAL HERB41 特集「クランベリー」/日本メディカルハーブ協会より)

クランベリーはとても頼りになるハーブの一つです。

そもそも、クランベリーって?

クランベリー

クランベリーは、北アメリカ北部、東部が原産。ツツジ科スノキ属ツルコケモモ亜属の果樹です。この赤い実が、可愛いだけではなく、前述のような優れた成分を含んでいるなんて驚きです。

クランベリーは、アメリカやカナダではポピュラーな果実で、クリスマスや感謝祭の七面鳥の料理には欠かせないクランベリーソースが有名ですが、お菓子やパンにもよく使用されています。スーパーなどで冷凍の袋入りで買うことができ、とても身近な食材です。

クランベリーソースといえば、私は、ハンガリーに住んでいた頃に、あのIKEAのカフェテリアで食べた、スウェーデン風ミートボールに赤いソースが添えられていたのを思い出します。てっきりクランベリーソースだと思っていましたが、じつは、リンゴンベリーという植物のソース(ジャム)でした。

リンゴンベリーとは、コケモモのこと。クランベリーと同じツツジ科スノキ属の植物であること、どちらも寒冷地で育つことは同じで、とても近い兄弟のような植物だそうです。クランベリーはアメリカ・カナダなどで大量に栽培されているのに対し、リンゴンベリーは栽培されているというより、スカンジナビア地域で自生しているというところが、大きく違う点です。

どちらにしても、肉料理に欠かせない赤いソースは、ツツジ科植物の可愛い赤い実で作られていることを知りました。

クランベリー

先日、お花屋さんの前を通りかかったら、クランベリーの鉢植えが並んでいました。リンゴのように丸く、まだこれから赤みが増していくのかなという色合いも、なんだかリンゴに似ていてとても可愛い! これはぜひ育ててみたいと思い、一つ買って帰りました。

クランベリーには多くの種類があって、食用になるものと、観賞用のものとがあるそうですが、「クランベリーは生食ではおいしくないのでジャムなどに加工してください」とお店のラベルに書いてありました。これもジャムになるのかなと、今は小さな鉢植えのクランベリーが大きく育って、赤い実をたくさんつけているのを思い浮かべたら、ちょっとワクワクします。あっ、でもこれは観賞用でしょうか。

愛犬の食事に取り入れやすい
クランベリー入りのおやつ

クランベリーの犬用おやつ

犬の場合も同じ効果が期待できるとして、クランベリー100%の粉末がカプセルに入ったサプリメントがあったり、クランベリーエキス入りのビスケットもあります。 カプセルに入った粉末は、おかずの上にふりかけたりして与えることができます。ヨーグルトに混ぜてもいいそうですよ。手作りのお菓子に入れてもいいですね。

クランベリーの犬用サプリ
日々の食事にクランベリーの粉末を振りかけて。
クランベリーの犬用ビスケット
手軽に取り入れやすい、クランベリー入りのビスケット。

クランベリー入りのビスケットは手軽に取り入れることができて嬉しいです。味もおいしいようで、あんはよく食べます。 ドッグフードに入っているものもありますので、お店で選ぶときに、ぜひチェックしてみてください。

クランベリーの犬用ビスケット クランベリーの犬用おやつ

あんは、今のところオシッコトラブルはありません。もしこれから先、あんにオシッコのトラブルが起こったときには、もちろん、かかりつけの獣医の先生に診ていただくのは当然ですが、クランベリーのサプリメントがあるということを頭の隅に置いておきたいと思います。

注意:
疾患のある場合や、薬を服用中の場合、ハーブでは対処できない深刻な場合は、必ず専門の医師に相談してください。
ハーブを使用する際は専門家に相談してください。

Credit

写真・文/海野美規(Unno Miki)
フラワー&フォトスタイリスト。ハーバルセラピスト。愛犬あんとの暮らしを通じて、動物のための自然療法を学ぶ。パリで『エコール・フランセーズ・ドゥ・デコラシオン・フローラル』に入門、ディプロムを取得。『アトリエ・サンク』の山本由美氏、『From Nature』の神田隆氏に師事。『草月流』師範。フランス、ハンガリー、シンガポールでの暮らしを経て、現在日本でパリスタイル・フラワーアレンジメントの教室『Petit Salon MILOU(プチ・サロン・ミロウ)』を主宰。

https://www.annegarden.jp

参考:
『ホリスティックケアカウンセラー養成講座テキスト』
『メディカルハーブの事典』(林真一郎編・東京堂出版刊)

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