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暑い季節の犬との暮らし。精油を活用して快適に

暑い季節の犬との暮らし。精油を活用して快適に

夏になると、ペットと共に暮らす人の悩みの種が、蚊。ハーバルセラピストの資格を持ち、ペットのための自然療法も学ぶ海野美規さんが、人間にも犬にも安心して使える虫除けスプレーと、気になるニオイにさっと対処できる精油を使った消臭スプレーの作り方をご紹介します。

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人間用・犬用兼用で。虫除けスプレー

今年も暑い夏がやってきました。記録的な猛暑となった2018年は、「あまりの暑さに、蚊が減った?」ということが話題になりました。なんでも、蚊は、26℃~32℃で活動が活発になるという研究発表があるそうです。35℃を超えると蚊は活動を停止するということで、蚊がいないのは嬉しいけれど、毎日そんな猛暑では、蚊でなくても、人間も犬も活動したくなくなりますね。気温もほどほどに、蚊の活動もほどほどな夏であってと願うばかりです。

虫除けスプレーは、愛犬との夏の散歩には必需品です。外出する時には、これまで人間用と犬用と2本用意していましたが、それでは持っていくアイテムが多くなりすぎてしまいます。夏のお出かけには、飲料水、ぺったんこボウル、掛け流し用水、マナーペーパー、ビニール袋、タオル、ウエットティッシュ、保冷剤と保冷ベスト、おもちゃ、これらをコンパクトにまとめてバッグに詰め込みます。ここに、人間用と犬用の虫除けスプレーを2本入れると、さらにかさ張ります。それに、とっさの時に慌てて、人間用のスプレーを犬にシュッシュッとしてしまったら大変です。そこで、人間も犬も一緒に使える兼用のスプレーがあると便利! ということで、手作りすることにしました。

市販の薬剤系の人間用虫除けスプレーは、犬に使うことはできません。精油(エッセンシャルオイル)は、植物の花、葉、果皮、果実などから抽出した天然の素材です。精油の選び方と使用量を適切にすれば、犬にも十分使えます。もちろん100%植物から抽出した、信頼のできる精油を使います。

精油を使った自然派虫除けスプレーの人間用と犬用との違いは、精油の量が多いか少ないかですから、犬に合わせて精油を控えめに作れば、一緒に使えるスプレーになります。

人間も犬も使える虫除けスプレーの作り方

虫除けスプレーの作り方

材料(50mlスプレー容器1本分)

  • 精製水 50ml
  • 精油 3滴(レモングラス1滴 ユーカリ2滴)

作り方

  1. スプレー容器に精製水を入れる。
  2. 精油を入れて、よく混ぜる。

注意すること

虫除けスプレー

毎回よく振ってから使ってください。あまり長い時間持続しないので、30分~1時間ごとにスプレーしてください。

犬には直接スプレーせず、一旦、人の手につけてから塗るようにしたほうが安全です。

2週間くらいで使い切るようにします。

ソファーやクッション用に。消臭スプレー

手作り消臭スプレー

ソファーやクッションにカバーをかけていれば、こまめに洗濯することができますが、さっと消臭したいという時には、やはりスプレーが便利です。重曹と精油を使って、消臭スプレーを手作りしましょう。

材料(200mlボトル一本分)

手作り消臭スプレー
  • ぬるま湯 200ml
  • 重曹 小さじ1杯
  • 精油 10~12滴ほど(ラベンダー6滴、ユーカリ6滴)

作り方

  1. ぬるま湯で重曹を溶かして、ボトルに入れる。
    消臭スプレーの作り方 手作り消臭スプレー
  2. 精油を入れる。
  3. ボトルをよく振って混ぜる。
    手作り消臭スプレーの作り方

重曹は、犬が舐めても安心な食用のものを使いましょう。

掃除に精油を活用。フローリングの水拭きに。

精油で掃除

我が家の愛犬、柴犬のあんは、昼間にたっぷり昼寝をします。夕食後から私が就寝するまでの時間は、あんにとって楽しいレクリエーションタイムで、ひたすらボール遊びをします。投げたボールを走って取りに行き、くわえて持ってくる。時々休憩をしてまた続けます。私はテレビを観たいんだけど…と思うのですが、まぁまぁ、なんとか付き合って、ボールを投げてあげます。

あんがボール遊びをすると、特にこの季節、フローリングの床に足跡がいっぱい付きます。エアコンを入れていても、あんだけが暑そうにハーハーして、肉球を触るとじっとりと湿っています。この足で走り回るので、フローリングはベタベタです。

こういう時のお掃除にも、精油を活用しています。

最初にドライタイプのシートをつけたフローリングワイパーで、ホコリや犬の毛を取り除きます。その後、モップで水拭きをするのですが、そのバケツの中に精油を数滴入れておくのです。掃除の後、犬がまた床の上で寝そべったり、舐めたりすることを考えて、精油は少なめにします。

おすすめの精油

お勧めの精油

虫除け、消臭スプレーに使う精油は、レモングラス、ユーカリ、ユーカリレモン、ラベンダー、ペパーミント、ティートリー、ローズマリーなどがおすすめです。それぞれ、防虫、抗菌、殺菌、消臭などの作用があり、虫が嫌う香りでもあります。

柑橘系の香りや、ミントの香りが苦手な犬も多いようですので、愛犬の様子を見て精油を選んでください。はじめは精油の量を少なめにして様子を見てください。ご紹介したレシピは少なめです。

さて、前述の床拭き掃除には、私はモミの精油を使っています。モミは殺菌・抗菌作用を持ち、消臭作用も期待できることから、お部屋の空気洗浄として活用できます。掃除をしている時も、拭き終わった後も、スーッとモミの清涼感のある香りがして、森林浴をしているようなとても清々しい香りが広がります。

クリスマスの季節、モミの木のリースやツリーが部屋にあるだけで、空気も気持もリフレッシュされますね。同じモミの香りですから、クリスマスの時と同じ感覚に浸ることができます。そして、床の犬の足跡も、ベタベタも解消して、すっきりいい気持ちになります。

私は、クリスマスの頃に使ったモミの精油が残っていて、もったいないと思い、使い始めました。それ以来、床の水拭きには、モミの香り。爽やかで、とても気に入っています。

犬は人間の話す言葉を理解する⁉

散歩で知り合いになった犬の飼い主さんと、よく話題になることがあります。それは「犬は絶対に人の話が分かっているよね」ということです。特に、「おやつ」「ごはん」「お散歩」など、自分に都合のよい言葉はよく分かるといいます。それと、褒める言葉も理解しているようで、「かわいい」「お利口さん」には敏感に反応します。我が家の愛犬あんも例外ではなく、例えば、歩道の隅をトボトボ歩いていたとしても、前方から来た女子高生のグループに「きゃ~、わぁ~、かわいい~」と言われると、背筋も首も耳もピンとして、得意げにスタスタと足取りが変わります。さらに嬉しい時は、ピョンピョン跳ねて走り出します。

「かわいい~」という言葉を発する時、人は声が高くなりますし、感情も上向き。皆ニコニコしています。若いお嬢さんたちに褒められて、私も嬉しくなってクスッと笑うと、その様子をあんが見ていて、「かわいい」は、よいことだと理解し、ウキウキするのかなと想像します。

2016年8月29日付の学術誌「サイエンス」に掲載された研究で、犬の脳も人間と似た方法で情報を処理していることが判明したと発表されたそうです。人間の会話では単語とイントネーションのどちらも大切で、犬にとっても同様なのかは、これまで分かっていなかったのですが、最新の脳スキャンによれば、飼い主が「いい子だね!」と言葉を掛けるとき、犬は単語とその言い方の両方を聞いているということです。つまり、犬と飼い主とのコミュニケーションは、日常的に自然な形で言葉と感情がセットになっているということなのです。

あんとの散歩中に、私は、「蚊がいるよ。怖い、怖い」という言葉をよく発します。蚊がブンブン飛んでいる草むらに、あんがのそのそと入ってしまうことがあります。そんなところに、私もついていくのは嫌だし、あんも早く草むらから出さなくてはいけないので、「蚊! 怖い!」を連発します。すると、何やら一所懸命ニオイを嗅いでいたあんが、すぐにぴょんと飛び上がって、急いで私のところに戻って来ます。きっとこの時の私の言葉と感情が、「こわい」ことだと、あんにインプットされているのでしょう。蚊=こわい が、あんにしっかり伝わっていてよかったと思っています。

Credit

写真・文/海野美規(Unno Miki)
フラワー&フォトスタイリスト。ハーバルセラピスト。愛犬あんとの暮らしを通じて、動物のための自然療法を学ぶ。パリで『エコール・フランセーズ・ドゥ・デコラシオン・フローラル』に入門、ディプロムを取得。『アトリエ・サンク』の山本由美氏、『From Nature』の神田隆氏に師事。『草月流』師範。フランス、ハンガリー、シンガポールでの暮らしを経て、現在日本でパリスタイル・フラワーアレンジメントの教室『Petit Salon MILOU(プチ・サロン・ミロウ)』を主宰。
http://www.annegarden.jp

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