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なぜ犬はにおいを嗅ぎたがるの? 愛犬の「探したい本能」を室内で叶える簡単な方法「ノーズワーク」

なぜ犬はにおいを嗅ぎたがるの? 愛犬の「探したい本能」を室内で叶える簡単な方法「ノーズワーク」

散歩中、愛犬が道端のにおいをずっと嗅いでいて、なかなか先に進めなかったことはありませんか? 犬にとって「においを嗅ぐ・探す」というこの行動は、好奇心を満たし、頭をフル回転させる大切な時間です。
ハーバルセラピストの資格を持ち、ペットのための自然療法を学ぶ海野美規さんも、そんな日常を送る1人。今回は、愛犬・あんが隠されたおやつに夢中になったエピソードをもとに、室内にいながら愛犬のワクワクを引き出す「ノーズワーク」の魅力や家庭での楽しみ方、ハーブを扱う際の注意点をご紹介します。

愛犬と“嗅覚”の探し物

アキレス腱のおやつ
Dmitriev Mikhail/Shutterstock.com

先日、シェパードを飼っている知人から、我が家の愛犬あんに乾燥した馬のアキレス腱のおやつをいただきました。長さは30cmほどもある大きなものです。

こんなに大きなアキレス腱を目にするのは初めてのあん。最初は少し戸惑っている様子でしたが、すぐに慣れ、夢中になってカミカミするようになりました。お昼寝をするのも忘れてしまうほど、ずっと噛んで遊んでいます。

あまりにも長い時間、夢中になっているので、そろそろおしまいにしようと取り上げ、あんからは見えない高い棚の上にしまいました。

ところが、あんはまだ遊び足りないようです。部屋の中をクンクンと嗅ぎながら、アキレス腱を探し始めました。鼻を床に近づけ、あちらこちらを念入りに捜索する姿は、まるで警察犬のよう!

そして、ついに隠し場所を突き止めたようです。棚の前までやってくると、ちょこんとお座り。顔を上げ、棚の上をじっと見つめたまま、いつまでも待っているのでした。

犬にとって「嗅ぐ」は大事な行動

犬と嗅覚

あんがアキレス腱を探していたとき、頼りにしていたのは、おそらく“鼻”だと思います。

犬の嗅覚は、人間よりもはるかに優れています。私たちが目で見たり、耳で聞いたりして周囲の情報を得るように、犬は鼻を使ってさまざまな情報を集めています。ほかの犬のにおいから相手の情報を読み取ったり、食べ物のありかを探したりと、嗅覚は犬にとって大切な感覚です。

散歩中、犬が道端の草むらや電柱のにおいを熱心に嗅いでいることはありませんか? 私としては、先へ進みたいのに、いつまでもクンクンしている姿にもどかしさを感じてしまいます。でも、犬にとってにおいを嗅ぐことは、周囲の環境を知るための大切な行動なのです。

また、においをたどって探したり、気になるものを見つけたりすることは、犬にとって楽しみのひとつにもなります。鼻を使って自分で探し、見つけるという経験は、日々の暮らしに刺激を与えているのだと思われます。

あんが隠されたアキレス腱を探し当てたのも、そんな嗅覚を使った行動のひとつ。犬の「クンクン」には、私たちが思う以上に大切な意味があるようです。

ノーズワークとは

ノーズワーク
EkaterinaSid/Shutterstock.com

犬が鼻を使ってにおいを探し、目的のものを見つける活動を「ノーズワーク」といいます。

もともとは、犬の優れた嗅覚を生かした探知活動などをヒントに広がったもので、現在では家庭犬が楽しめる遊びとしても親しまれています。特別な道具や広い場所がなくても、おやつやお気に入りのおもちゃを使って、家庭で気軽に始めることができます。

例えば、最初は犬から見える場所におやつを置き、「探してみよう」と促します。慣れてきたら、少しずつ見つけにくい場所に隠してみましょう。犬が鼻を使って探し、見つけられたら、たくさん褒めてあげます。

大切なのは、難しい課題を与えることではなくて、犬が自分のペースでにおいをたどり、探すことそのものを楽しめるようにすることです。

ノーズワークは、激しく走り回る必要がないため、室内でも取り入れやすい遊びです。嗅覚を使って頭を働かせる時間は、日常にちょっとした刺激や楽しみを加えてくれます。

ノーズワーク
Luiza Kamalova/Shutterstock.com

あんがアキレス腱を探していた姿も、鼻を使って目的のものを見つけようとする行動なのですよね。私たちの身近な暮らしの中にも、ノーズワークにつながるヒントが隠れているのかもしれません。

おもちゃ箱のローズマリーサシェ

おもちゃ箱

我が家では、あんのおもちゃ箱に、ローズマリーのサシェを入れています。作り方は簡単。袋が破けないよう二重にした不織布のお茶パックに、乾燥させたローズマリーを入れるだけです。ローズマリーは、基本的には犬が食べても問題ないハーブ。おもちゃ箱の虫よけや、におい対策になればいいな、というくらいの気軽な気持ちで入れています。

ローズマリー
ドライローズマリーのサシェ
自宅で育てたローズマリーをドライにしてサシェに。

あんは、遊びたいおもちゃを箱の中から自分で選ぶのですが、なぜか毎回のようにサシェを引っ張り出してきます。そして、ぽーんと放り投げたり、くわえて振り回したり。おもちゃを選んでいるはずなのに、サシェも遊びのレパートリーに入っているようです。

ローズマリーのサシェ

ローズマリーの香りが気に入っているのでしょうか。それとも、香りは関係なく、不織布のシャカシャカした感触や、投げると動く様子が面白いのでしょうか。あるいは、単に「これは気に入らない! おもちゃ箱から出す!」と思っているだけなのかもしれません。

本当の理由は、あんに聞いてみなければ分かりません。でも、おもちゃ箱から何を選ぶときも、サシェを一度は引っ張り出してくるのです。

犬は、私たちが思いもよらないものに興味を示すことがあります。あんにとって、このサシェはどんな存在なのでしょう。あんの行動は、まだまだ理解できないことがたくさんあります。

犬とハーブを楽しむときの注意

犬とハーブ
Reddogs/Shutterstock.com

ハーブは、香りを楽しんだり、暮らしに取り入れたりできる身近な植物です。でも、犬と一緒に楽しむときには、いくつか気をつけたいことがあります。

まず知っておきたいのは、人間にとって心地よい香りが、犬にとっても心地よいとは限らないということ。犬は嗅覚が優れているため、私たちにはほのかに感じる香りでも、強い刺激になることがあります。犬の様子をよく観察して、香りを嫌がるようなら、無理に近づけないようにしましょう。

また、ハーブの種類によっては、犬が口にすると健康に悪影響を及ぼすものもあります。乾燥させたハーブやハーブを入れたサシェも、犬が自由に噛んだり、中身を食べたりできる状態にするのは避けたいところです。袋が破れて中身を誤食しないよう、犬の手が届かない場所に保管するなどの工夫も必要です。

シニア犬だってノーズワーク

ノーズワーク

ノーズワークを楽しむためのアイテムに、柔らかな布製のボールがあります。ボールにはたくさんのひだがあり、その間におやつを隠して、犬が鼻を使って探し出す仕組みです。

あんは12歳。シニア期を迎え、以前に比べるとボール遊びも長く続かなくなりました。少し遊ぶと、もう満足したのか、すぐに飽きてしまうこともあります。

ノーズワーク

ところが、このノーズワークボールにおやつを隠してみると、様子が変わります。ボールに鼻を近づけ、クンクンとにおいを嗅ぎながら、おやつを一生懸命に探すのです。激しく走り回らなくても、自分の鼻を使って楽しめるのが、ノーズワークの魅力です。

ノーズワーク

犬も年齢を重ねると、体力や運動能力に変化が現れます。また、シニア期には認知機能が低下し、認知症と呼ばれる状態になることもあります。だからこそ、年齢や体調に合わせて体を動かす機会をつくるとともに、においを嗅いだり、何かを探したりするような、頭を使う活動を日々の暮らしに取り入れることも大切です。

もちろん、ノーズワークをすれば認知症を予防できるというわけではないと思います。それでも、愛犬が楽しみながら鼻を使い、自分で探して見つける時間は、毎日の暮らしに心地よい刺激を与えてくれます。

激しい運動が難しくなってきたシニア犬にも、無理のない範囲で楽しめるノーズワーク。愛犬のペースに合わせながら、いつまでも好奇心をくすぐる遊びを取り入れていきたいですね。

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