トップへ戻る

秋の長雨で植物が弱っている! 根腐れ・蒸れを防ぎ、傷んだ株を秋に復活させる「リカバリー術」【後篇】

秋の長雨で植物が弱っている! 根腐れ・蒸れを防ぎ、傷んだ株を秋に復活させる「リカバリー術」【後篇】

Sashko/Shutterstock.com

2026年の秋は、厳しい夏を乗り越えた植物たちに、今度は長雨と日照不足が追い打ちをかけています。土がなかなか乾かず、株元が蒸れたり、弱った根がさらに傷んだりして、「夏を越したのに、急に元気がなくなった」という植物も少なくありません。葉が茶色く枯れ込んだり、茎が間延びしたりした姿を見ると、「もうダメかも」と諦めたくなりますが、まだ株に生きている部分が残っていれば、秋は立て直しのチャンス。前篇でご紹介したダメージ度診断で植物の命がつながっていることを確認できたら、いよいよリカバリーへ。後篇では、長雨の時期だからこそ気をつけたい風通し、土の改善、切り戻し、寄せ植えの更新など、秋に再び新芽を吹かせるための実践的なケアを園芸家・植物バイヤーの伊藤章太郎さんに教わります。

長雨で土がずっと湿っている鉢は「根の環境」を立て直す

根腐れ
根腐れで枯れた株。写真/伊藤章太郎

長く使った鉢土は、繰り返す水やりによって次第に粒の構造が崩れ、排水性や通気性が低下していきます。鉢土がなかなか乾かなくなると、根の周囲に十分な空気が入りにくくなり、根腐れの原因にもなります。土が泥のように締まり、水を与えても抜けにくくなっている場合は、新しい培養土や排水性を高める資材を使って部分的に土を更新します。

ゼオライトで土質改善
通気性と保肥力を高めるために土にゼオライトを混ぜる。RESTOCK images/Shutterstock.com

元の土にゼオライトやパーライトを2割ほど混ぜることで、古い土の通気性と排水性が回復し、根の生育環境が整います。ゼオライトは、重さがあるため水やりで表面に浮き上がらず、長期間土中にとどまり、土の中に空気の通り道を作って根腐れを防ぐほか、肥料分を吸着しゆっくりと供給する保肥力も備えています。

排水性を高めるのに有効なパーライト。写真/伊藤章太郎

一方、パーライトは排水性を高めるのに有効ですが、非常に軽いため、水やりや風によって土の中から徐々に表面へ浮き上がり、流出しやすいという特徴があります。長雨で水はけの悪さが気になる場合はパーライトを、通気性を保ちながら土の保肥力も改善したい場合はゼオライトを取り入れるなど、土の状態に合わせて使い分けましょう。

蒸れを防いで、株の周囲に風の通り道をつくる

花がら
花がらは残さず切っておきましょう。Kate Stock/Shutterstock.com

長雨の時期は水分だけでなく、高い湿度と風通しの悪さにも注意が必要です。葉が茂りすぎて株の内部まで空気が通らなくなっている場合は、黄色くなった葉、枯れ葉、地面に接している傷んだ葉などを取り除きます。花がらも長く残しておくと、湿った状態が続いて傷みや病気のきっかけになることがあります。鉢植えは密集させず、鉢と鉢の間隔を少し広げるだけでも空気が流れやすくなります。

雨後の晴れ間に要注意!

風通し
Alliance Images/Shutterstock.com

また、雨の後の晴れ間は一気に高温になることがあります。ベランダなど熱や湿気がこもりやすい場所では、サーキュレーターや扇風機を活用し、日中の暑い時間帯に植物の周囲に風を送るだけでも、葉の温度を下げて周囲の熱気を逃がす高い効果があります。植物同士の間隔を確保し、鉢を台やスタンドに載せて地面から少し浮かせるのも一案です。

マルチングで根を熱から保護する

マルチング
マルチングしたオンファロデス。写真/伊藤章太郎

植物が傷む大きな原因の1つは、鉢植え・地植え共に温度上昇によって根がダメージを受けることです。これを防ぐために、今からでも取り入れたいのが、土の表面を覆うマルチングです。おすすめの素材は、石英(矢作砂など)やゼオライトなど白色系の無機系資材です。直射日光を反射し、地温上昇を抑制する効果が期待できます。また水分の保持、さらには豪雨時の泥跳ねを防止して土壌由来の病原菌の感染を防ぐというメリットもあります。

生け垣や低木が風を遮っていないか確認

生け垣の整理
生け垣が茂り過ぎていないかチェックを。Irina Starikova1811/Shutterstock.com

地植えの庭の場合は、生け垣や低木が風を遮っていることもあります。その場合、余分な枝をすっきりと整理し、空気の通り道を作ってあげましょう。ただし、ハサミを入れる前に植物の性質を見極めることが大切です。多くの生け垣用樹木は剛健でいつでも剪定できますが、一季咲きのアカシアなどのように、夏から秋口にかけて翌春の花芽を作り始めている種類もあります。この時期に深く切り詰めてしまうと、来年の花芽をすべて失い、春に花が咲かなくなってしまいます。

宿根草の切り戻しは「晴れ間」に軽く

宿根草の切り戻し
徒長して折れたジギタリスの茎を剪定。写真/3and garden

夏の間に徒長して倒れ込んだ宿根草や、枯れ込んだ茎葉を整理するのも、株を立て直す方法の1つです。ただし、秋口に株全体を深く切り戻すのは避けましょう。この時期には、秋の花芽がすでに育っている植物や、翌春に向けた準備を始めている植物があります。全体を強く切り戻すと、これから咲く花まで失ってしまうことがあります。秋の切り戻しは、「株を小さくする」のではなく、「傷んだ部分を整理して風通しを回復させる」程度を目安にします。

特に以下の植物は、秋の開花や株の健康を守るため、強い切り戻しは避けてください。

宿根フロックスの剪定
宿根フロックスは花がらを切る程度に。Radovan1/Shutterstock.com
  • 通年咲き: ネペタ、ガウラなど
  • 早春咲き(翌春の準備を始めるもの):クリスマスローズ、常緑系クレマチスなど
  • 夏咲き(まだちらほら咲いているもの): エキナセア、宿根フロックスなど
  • 秋咲き(開花真っ盛りのもの): カリオプテリス、シュウメイギクなど

そして、2026年のように雨の日が続いている秋には、もう1つ重要なポイントがあります。雨の日や、これから長時間雨が続く直前の切り戻しは避け、できれば晴れ間を選ぶこと。長雨中は「今すぐ切らなければ」と焦らず、植物が乾いたタイミングを待ちましょう。

切り戻した後の管理の約束

水やり
切り戻し後の株の水やりは、株元にそっと。写真/3and garden

ハサミを入れた後の株は非常にデリケートな状態になっています。切り口から雑菌の侵入や過剰な水分による病気や腐敗の発生を防ぐため、切り戻し直後は管理に気をつけましょう。切り口を濡らさないよう、数日間は上から水をかけず、株元だけにそっと水を与えます。また、突発的な雨で濡れないよう、鉢であれば雨の当たらない軒下などへ避難させて静養させることも大切です。

寄せ植えは枯れた株だけをリフレッシュ

寄せ植えの入れ替え
夏から秋へ寄せ植えをリフレッシュ。寄せ植え制作/難波良憲 写真/3and garden

寄せ植えの場合、枯れてしまったものだけを取り除き、生き残った株を生かして秋仕様に再生させることができます。傷んでしまった株は、移植スコップなどを使い、周囲の土ごとバッサリと根を切りながら抜き取ってしまいましょう。隣に植わっている植物の根を傷つける不安があるかもしれませんが、心配は不要です。寄せ植えに適しているような植物の根は丈夫で、根全体の1/3程度までであれば切ってしまっても心配することはありません。怖がらずに、傷んだ株の根をシャープに切り離して抜き取りましょう。株を抜き取った後の空間に、新しい土を足して新しい苗を植え戻す際、元の土にゼオライトやパーライトを2割ほど混ぜることで、古い土の通気性と排水性が回復し、根の生育環境が整います。

これからは「耐久性に優れた」植物選びを

耐久性のある花
夏咲きのおすすめ。ヤブラン(左上)、ワレモコウ(右上)、キキョウ(左下)、トウテイラン(右下)/DebbieHJones、Kabar、JJ YANG/Shutterstock.com KENPEI/ Wikimedia Commons / CC BY 3.0

これからの時代の園芸は、かつての指標だった「耐寒性」よりも、圧倒的な酷暑と乾燥、そして秋の長雨といった大きな気象変化にどう対応できるかも植物選びの重要なポイントになります。そんな、今こそ注目したいのが日本の気候に古くから適応し、さらに昨今の極端な夏の気候にも問題なく順応するほどの高い耐久力を持っている日本在来の野生種、あるいはそれを元に選抜された宿根草です。夏咲きではヤブランやワレモコウ、キキョウ、トウテイランが、秋咲きではフジバカマやツワブキがおすすめ。

フジバカマとツワブキ
秋咲きのおすすめ。フジバカマ(上)、ツワブキ(下)/suntoki、tamu1500/Shutterstock.com

気候そのものを変えることはできませんが、植える場所や土、水やり、風通しを少し見直すことで、植物が受けるダメージは減らすことができます。さらに、耐久性に優れた強い植物を選ぶことも、これからも園芸を楽しむうえでは必要なことになります。

猛暑を越した植物に、今必要なのは「頑張らせない」こと

ガーデニング
Sashko/Shutterstock.com

猛暑で体力を消耗した植物に長雨が重なる2026年の秋。元気がない植物を見ると、水や肥料を与えたり、思い切って切り戻したりと、つい何かをしたくなります。でも、弱っているときほど大切なのは、無理に成長させることではありません。

  • 水を与えすぎない
  • 雨に当てすぎない
  • 蒸れさせない
  • 切りすぎない

まずは根が呼吸でき、葉や株元に風が通る環境を取り戻しましょう。秋雨が落ち着けば、植物にとって過ごしやすい気温の日も増えてきます。夏を生き抜いた株には、まだ回復する力が残っているかもしれません。株の様子をよく観察しながら、焦らず秋のリカバリーを始めてみてください。

季節のおすすめアイテム

ホースガイド ジョウロ  -GARDEN STORY Series-

ホースガイド ジョウロ -GARDEN STORY Series-

庭にホースを伸ばして水まきをする際、ホースが大切な植物をなぎ倒してしまうのを防ぎます。地面にスッと差し込むだけで、花壇の縁やアプローチ横など、ホースが通るルートに手軽に設置できます。ジョウロのモチーフが庭の風景によくマッチ!

人気の記事

連載・特集

GardenStoryを
フォローする

ビギナーさん向け!基本のHOW TO