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実家や空き家、生え放題の雑草は“不在のサイン”に? 空き家管理で見落とせない防犯対策

実家や空き家、生え放題の雑草は“不在のサイン”に? 空き家管理で見落とせない防犯対策

Toby Howard/Shutterstock.com

たまにしか行けない実家や、相続後そのままになっている空き家。気がかりなのは、建物の傷みだけではありません。庭に雑草が生い茂っていると、手入れが行き届いていない印象が強まり、人の気配がない家に見えて、空き巣や不法投棄、放火のターゲットになるリスクが増加する危険性があります。
見た目や近隣への影響に加えて、防犯面でも不安が増す空き家の雑草問題。だからこそ、頻繁に通えない家では、長く効果が続く資材を上手に取り入れながら管理の負担を減らす工夫が大切です。雑草放置のリスクと負担の少ない管理のコツをご紹介します。

空き家の雑草放置は誰にでも起こる問題

空き家の雑草
captainX/Shutterstock.com

日本では、現在空き家そのものが増えています。総務省が5年ごとに実施している「住宅・土地統計調査」によると、2023年時点の空き家は約900万戸、空き家率は13.8%と過去最高を記録。特に「賃貸・売却用」や「二次的住宅」などを除いた、使用目的のない空き家が増加しています。実家を相続したり、1人暮らしの親が施設に入居するなど、誰にとっても、他人事ではない問題になりつつあります。

また、空き家の所在地と所有者の居住地の関係については、徒歩圏内35.6%、1時間以内35.6%、1~3時間15.7%、3時間超12.5%でした。つまり、所有者の約3割は、片道1時間超の場所に空き家を持っている計算になります。こうした居住地から離れた位置の空き家や、なかなか帰省ができない実家において、頭を悩ませる厄介ごとの1つが「雑草対策」。国土交通省も、空き家の問題は防災・防犯、衛生、景観などに及ぶとしており、問題例の中に「防犯性の低下」「犯罪の誘発」「雑草の繁茂」などを挙げています。

雑草の生えた空き家は防犯上も懸念事項

雑草が伸び放題の庭は「管理されていない家」に見えやすい

割れ窓
Oleksandr Filatov/Shutterstock.com

「割れ窓理論」という理論をご存じでしょうか。

「割れ窓理論」とは、アメリカの犯罪学者ジョージ・ケリング博士により提唱されたもの。1枚の割れた窓ガラスを放置していると、「誰も管理していない」「ルールを守らなくてもよい」という心理が働いてほかの窓ガラスも割られ、次第にその建物全体が荒れ、いずれは街自体の治安が悪くなってしまう――という理論です。ニューヨーク市では「割れ窓理論」を実践し、小さなものであっても1つの無秩序を放置せず、対処することで社会の秩序を保てるという考えにより、大幅に犯罪を抑止したことで注目されました。もちろん、「割れ窓理論」ですべて説明できるというわけではありませんが、荒れた景観が防犯上マイナスに働く可能性は高く、実践運動が行われている自治体も多くあります。

破れた障子
破れた障子や黄色くなった雑草も荒れた雰囲気の元。candy candy/Shutterstock.com

雑草放置の具体的なリスク

雑草
Roman_Kypirev/Shutterstock.com

こうした心理面だけでなく、雑草や庭木が茂りすぎると、死角が生まれて犯行が外から見えにくくなるという単純なリスクも。警察庁の「住まいの防犯対策」でも、見通しの確保が重要とされています。雑草が繁茂し人目に付きにくい状態では、不法侵入やゴミの不法投棄、空き巣などの被害にあう可能性が高まります。また、生い茂った雑草は「この家は誰も管理していない」「人が住んでいない」という不在のサインになり、不法侵入や放火などの犯罪を誘発する恐れもあります。

犯罪の発生場所になる恐れもある

空き家
KoreaKHW/Shutterstock.com

警察庁による「令和7年の犯罪情勢」によると、窃盗犯の認知件数を発生場所ごとに見てみると、発生件数では商業施設や一戸建て住宅が多いものの、増加率においては「空き家」が急増しています。令和2年との比較では307.9%増加し、特に金属類が盗まれる被害が多くなっています。金属価格が高騰している昨今、こうした空き巣のターゲットとなる危険性はますます高まっているといえるでしょう。

雑草は近隣トラブルの火種にも

雑草
Anastasiia Akh/Shutterstock.com

雑草が伸び放題になっている場所は、景観上よくないだけでなく、周囲の治安が悪化するリスクもあることから、近隣住民のストレスに。また、伸び放題に茂った雑草や樹木が敷地からはみ出し、隣家の敷地内に侵入したり、道路の通行の妨げになったりするほか、花粉や種子を周囲に広げてしまう恐れがあります。雑草が繁茂した庭は風通しが悪く、ゴキブリやシロアリなどの害虫の温床や、ネズミやハクビシンといった害獣の隠れ家や餌場になってしまう危険性も見逃せません。実際に、管理不全な土地に対して寄せられる住民からの苦情は、「雑草・雑木の繁茂、落ち葉等の散乱、草木の越境」といった苦情が最も多く、次いで「害虫の発生」「ごみ等の投棄」などが苦情の上位となっているという国土交通省の調査結果もあります。このように、雑草を放置していると、近隣トラブルにも発展しかねません。

空き家の雑草
kuremo/Shutterstock.com

雑草は建物自体の劣化にも悪影響を及ぼします。雑草が周囲を覆うことや、外壁にへばりついたつる性の雑草により建物に湿気がこもり、老朽化が進みやすくなって、倒壊の危険性が高まります。特に通気口をふさいでしまうと床下に湿気がこもりやすくなるので注意が必要。雨どいに枯れ葉が詰まることにより雨水が室内に染み出すなどの問題も生じやすくなります。

「管理不全」の空き家は税金が最大6倍に?

空き家の雑草
travelershigh/Shutterstock.com

雑草が生い茂っているなど、管理が行き届いていない空き家には、行政から助言や指導などが入ることがあります。さらに、放置により倒壊など保安上の危険がある空き家や、適切な管理が行われず著しく景観を損なっている空き家など、特定の条件が認められると、「特定空家」に指定される可能性もあります。

不動産には、固定資産税や地域によっては都市計画税が課されていますが、住宅用地は税負担が軽減されています。ところが、「特定空家」に指定された場合、この特例措置を受けることができません。その結果、場合によってはそれまで1/6に減額されていた固定資産税が本来の税率に戻るため、実質的な負担が一気に跳ね上がります。「あとでやろう」の先延ばしが、大きな金銭的リスクに直結するのです。

遠方の実家や空き家は“何度も通わなくていい対策”が重要

空き家の雑草
captainX/Shutterstock.com

「空き家の雑草」がリスクであることは分かっていても、家から離れた場所の土地など、頻繁に手入れをすることが難しい状況にある場合も多いことでしょう。

そこで、遠方の実家や空き家は、何度も通わなくても済むよう、“一度の手入れで長く効く”雑草対策がポイント。そのためには、草むしりだけでなく、雑草対策の資材を上手に活用するのがおすすめです。

<資材を活用した空き家の主な雑草対策>

対策方法持続性手間費用感手軽さ
除草剤短期~中期安価
防草シート+砂利中期~長期中程度
コンクリート化半永久低 (施工後)高額×

除草剤の散布(短期的・手軽)

除草剤
Natalia Kokhanova/Shutterstock.com
  • メリット: 即効性があり、広い範囲も手間なく短時間で処理が可能。
  • デメリット: 持続期間は長くても1年程度。周辺の植木や隣家の庭木を枯らすリスクに注意。
  • 手間: 低(散布するだけ)
  • 費用: 低(数千円〜)
  • ポイント:商品によって持続期間が異なるので、用途に合わせて選択を。

最も実践しやすいおすすめの方法が、手軽に対処できて効果も期待できる除草剤。散布するだけで手間なく対処でき、即効性もあるため、コストを抑えて対策することができます。除草剤にもさまざまなタイプがありますが、今ある雑草を枯らすだけでなく、土壌を処理して雑草の発芽を抑制する成分を含むものを選ぶことで、効果が長く持続します。

ただし、除草剤の効果期間は長くても1年程度。効果が持続するよう、まきなおす必要があります。除草剤で雑草を処理した後、より効果が長く続く防草シートを敷くなど、ほかの対策と併用するのもおすすめです。また、使用の際は近隣に除草剤が流れないよう、傾斜地での使用は避けるなど配慮しましょう。

防草シート + 砂利(中長期・手軽)

防草シート
Boyloso/Shutterstock.com
  • メリット: 一度施工すれば数年〜10年ほど効果が持続。砂利の音で防犯効果も期待。
  • デメリット: 初期費用や準備が必要。シートの隙間から雑草が生えることも。
  • 手間: 中(整地とシート敷きが必要)
  • 費用: 中〜高(1㎡あたり数千円。DIYならコストを抑えられます)
  • イント:品質によってはすぐに突き破られてしまうため、透水性のある高密度なシートがおすすめ。

中長期的に対策でき、バランスの取れた対策方法が防草シート。商品タイプによりますが、1度シートを敷いてしまえば、数年~10年程度は効果が持続し、雑草管理の手間が大幅に軽減します。整地などの事前準備は必要ですが、自分でシートを敷くこともできるため、コストを抑えて対策することも可能。ただし、シートに隙間があるとそこから雑草が生えてくるため、より確実に施工するには業者に依頼するのもおすすめです。防草シートの上に砂利を敷けば、防草シートを隠して美観が向上するだけでなく、シートを固定したり、踏むと大きな音が鳴る防犯砂利であれば防犯効果も期待できます。

固まる土・コンクリート(長期的・完全防御)

コンクリート
Sigit dan Flora Fauna/Shutterstock.com
  • メリット: ほぼ完全に半永久的に雑草をシャットアウト。
  • デメリット: 費用が高い。照り返しで夏場に温度が上がりやすい。撤去する際に多額の費用がかかる。
  • 手間: 高(業者への依頼が一般的)
  • 費用: 高(1㎡あたり1万円〜)
  • ポイント: 資産価値や解体費用に影響するためよく検討を。

雑草とは永遠にお別れしたい! という場合は、コンクリートや固まる土などを用いて、物理的に地面を覆い尽くしてしまうというのも一案です。基本的に業者に依頼する形になるので手間もかからず、ほぼ完全に雑草の発生を予防することができる“奥の手”ですが、施工には費用が必要になります。また撤去にも費用が掛かり、将来的に売却や解体を考えている場合は資産価値や解体費用にも影響するため、事前に慎重に検討する必要があります。

このほか、クラピアなど雑草をしのぐ繁殖力を持つグラウンドカバーを取り入れて雑草を抑制するという手もありますが、管理しきれないと雑草の繁茂と同じ結果を招きかねないため、慎重に判断するのがおすすめです。

塩をまくのはNG対策!

雑草対策に、塩をまく方法があると聞いたことがある人もいるかもしれませんが、これはNG。塩をまくと確かに雑草は枯れますが、塩分によりコンクリートの基礎や金属部分などが腐食し、構造物の劣化の原因になる恐れがあるほか、雨で溶けて流れれば、隣家の植物や畑を枯らしてしまうことにもつながります。また、塩は分解されることなく半永久的に土壌に残り続け、除去も困難なため、今後植物を育てることができない「枯れた土地」になってしまいます。さらに、土地を売却する際、塩分濃度が高いと土壌汚染とみなされ、資産価値が著しく下がったり、浄化費用を請求される可能性もあります。

塩による除草剤も市販されていますが、リスクを考慮したうえで、将来的に植物を植えることがない墓石周辺などの使用にとどめるのがおすすめです。

長く効く除草・抑草資材を活用して管理負担を減らそう

空き家の雑草
captainX/Shutterstock.com

空き家の雑草放置は、単なる景観の問題だけではありません。公的な資料においても、雑草の繁茂は「管理不全のサイン」と位置付けられ、防犯性の低下や犯罪誘発のリスクと考えられています。

遠方の実家や空き家を維持するためには、以下のポイントを意識した対策を検討しましょう。

  • 「管理されている」という外観の維持:定期的な除草や防草シートの活用などにより、周囲に管理の意思を示す。
  • 物理的な死角の解消:見通しを確保し、不法投棄や不法侵入を未然に防ぐ。
  • 中長期的な視点での資材選び:頻繁に通えない場合は、持続性の高い対策で負担を軽減する。

適切な雑草対策を行うことは、近隣トラブルや資産価値の低下を防ぐだけでなく、地域の安全を守ることにもつながります。ご自身の状況に合わせた無理のない管理方法を選び、健やかな状態に保ちましょう!

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