皆さんのご家庭では、どんな趣味を楽しんでいますか? 今回は、家族みんなの趣味を活かせるガーデンをご提案します。健康的で、自然に親しむ趣味を選んでみました。ぜひ楽しく読んで参考にしてくださいね。
目次
オシャレで機能的な駐車スペースを考えよう!
駐車スペースは面積が多く、門回りやアプローチとも関係する部分です。敷地が限られる場合は、アプローチと駐車スペースを併用してデザインすることも多々あります。
ここではカーポートを設置するときに気をつけたいことを盛り込みつつ、機能的かつ楽しいデザインの駐車スペースを提案します。
屋根付きカーポートは法規制を要チェック!
カーポートは、2本または4本の柱で支えられた屋根付きのものをよく見かけますね。雨がしのげる部分は、原則として建築面積に算入されてしまいます。地域の住環境を維持するために、法律で地域ごとに建蔽率(けんぺいりつ)が定められています。建蔽率は敷地に対する建築物の平面的な比率で、おおむね30~60%程度が多いようです。
建蔽率や建築面積の計算方法は以下のようになっています。
建蔽率=建築面積/敷地面積
建築面積=「柱または壁で囲まれた部分」+「軒先から1mを差し引いた部分」
また、容積率も規制の対象になるので注意しましょう。容積率とは、敷地に対する建築物の合計床面積の比率で、おおむね60~80%が多いようです。建築物の合計床面積は建築基準法では「延べ床面積」といいます。計算方法は以下のようになります。
容積率=延べ床面積/敷地面積
延べ床面積=壁やその他の面積で囲まれた部分
少し難しいと思われる方もいらっしゃると思いますが、カーポートだけでなく物置や小屋などの屋根付きスペースを設置する場合は、建築設計事務所に相談することが一番の早道になります。
駐車スペースを兼用したミニバスケットコート
駐車スペースは工夫次第で駐車以外の目的にも活用できます。例えば、お子さんがいるご家庭ではミニバスケットコートを作ってみるのはいかがでしょうか。ミニバスケットボールは、日本では12歳以下の小学生を対象にして行われるバスケット競技で、たくさんの子どもたちが楽しんでいます。子どもたちが最も練習に励むのはシュート練習。狭小地でも、玄関から駐車スペースまで含めれば、最短3.625mのシュート練習のためのコートができます。駐車しているときボールが車に当たっても大丈夫なように、車の脇にネット付きのポールを立てておけば、安心してシュート練習が楽しめます。
スポーツ自転車のデザインウォールをつくろう!
自転車を置くスペースを確保するのは意外と難しいものです。家族では1人1台の時代です。幼少の子どもがいれば、三輪車もあります。普段使う頻度が少ないサイドヤードを、自転車置き場にするのが場所を取らずにベストです。幅が70cm程度の狭い場所でも、屋根付きのサイクルポートを設置できます。
また、ユニークな方法として、スポーツ自転車は壁掛けにして飾れるデザインウォールをつくってみてはいかがでしょうか?
スポーツ自転車は意外に軽くつくられているので、壁掛けにしても大変ではありません。重量については一般にママチャリは16~20kg程度の重さですが、マウンテンバイクは14kg程度、クロスバイクは10~12kg、ロードバイクは10kg以下です。軽いものでは6~7kgのものもあります。両手で持ち上げてフックにかけることができます。
余談ですが、スポーツ自転車の種類と特徴は、舗装された道をスピーディーに走る細いタイヤの「ロードバイク」、舗装されていない山道を走る太くてゴツゴツしているタイヤの「マウンテンバイク」、初めての方でも楽しみやすいロードバイクとマウンテンバイクの中間的な「クロスバイク」があります。ロードとマウンテンをクロスしたバイクであることからクロスバイクと呼ばれています。
家族の趣味を活かすワーキングスペース~陶芸・七宝焼・ネジアート~
家族みんながデッキや作業小屋を陶芸や七宝焼などができるワーキングスペースにしてみましょう。作業小屋は、ウッドデッキと並べてつくり、多用途に対応できるワーキングスペースにしましょう。ここでのいろいろな楽しみ方をご紹介します。
お茶碗や湯飲み、花瓶などの陶芸を楽しむ
湯飲みやお皿、花瓶などの陶芸を楽しんでみましょう。陶芸とは、粘土を練って湯飲みやお皿などを形成し、窯(かま)の中に入れて高温で焼いて陶磁器をつくることをいいます。一般に「焼き物」と呼ばれています。焼き物は、釉薬を塗って焼く「陶磁器」と釉薬を塗らない「土器」とに大別されています。
つくる方法は粘土を細長く伸ばしたものを円筒状に回してつくる「手びねり」と、板状に伸ばして形を皿状に成型した「タタラ成型」、轆轤(ろくろ)といって、円形の金属板の上に粘土を置き、手足や機械で回しながら両手で皿やツボなどの形状を整えていく方法などがあります。子どもから大人まで楽しめる陶芸です。陶芸教室もやっているところもあるので調べて体験してみるのもよいでしょう。
七宝焼でオリジナルのイヤリングやブローチをつくってみよう
ステキなアクセサリーを七宝焼(しっぽうやき)で作ってみましょう。お父さんのカフスボタンやタイピン、お母さんのネックレスやブローチ、イヤリングなどが作れます。
七宝焼とは金属工芸の一種で伝統工芸技法の一つです。銀や銅板などの素材にガラス質の七宝用の絵の具(釉薬)を載せ、炉で750~900℃に焼き付けて装飾する工芸品です。釉薬の載せる量や焼き方の温度差が一様でないので、世界に一つだけの芸術品ができ、プレゼントにもなります。このようなアクセサリーのパーツ素材や材料は、工芸店やネット通販などで購入することができます。
ネジを組み合わせて金属細工「ネジアート」
一風変わった金属の飾り物を見つけました! それは、「ネジアート」という金属細工です。
ネジアートとは、ボルト、座金、ナット、ビスなどをはんだ付けして、恐竜や動物、植物、建築物、乗り物など、あらゆる形状を表現したステンレス製の造形物です。ネジはさまざまな形をしているので、それらを組み合わせて独特な魅力のある表情をした飾り物になります。ホームセンターに出向いて体験イベントなどに参加してみましょう。作りたいものが決まればパーツのセットや、自己流で好みのネジを集めて作るのも楽しそうですね。福井県勝山市に「ネジアート」の店舗があります。興味のある方はネットで調べてみましょう。
コンテナハウスを趣味のワーキングスペースにするには・・・
ここ数年前からコンテナハウスという言葉を聞くようになりました。
コンテナハウスとは、船舶や鉄道などで物資輸送に使われる直方体の鉄製のコンテナを、窓やドアをつけて建築物にしたものです。建築物なので建蔽率や容積率の法的規制があり、固定資産税もかかります。海上用コンテナ(ISO規格)は法的ハードルが高いので、日本国内で販売されているJIS規格の建築用に製造されたコンテナであれば、役所に申請する書類で建築確認申請して建てることができます。
建築物として使えるようにするためには、土地があることはもちろんですが、輸送費、工事費、改装費が必要になります。輸送費は輸送距離によりますが、20フィートで6万~18万円、40フィートで8~30万円程度がかかります。また、コンテナのサイズは、20フィートはW=6.058m、D=2.438m、H=2.591mで約4.5坪。40フィートはW=12.192m、D=2.438m、H=2.591mで約9坪です。
シンクや水栓などの水回り、窓やエアコンなどの工事で15~50万円程度です。この費用をまとめてみると、土地があった場合に単純に計算をすると、20フィートで80万円、40フィートで100万円程度がかかることになります。ワーキングスペースとしての使用であれば、このほかにテーブルやいすなどの家具、どんな作業をするのかによって道具費用は変わります。
住まいとして使う場合には、このほかに内装や外装、断熱材などの改装費、トイレ、風呂、ベッドなど、住まう人の用途に応じて費用が必要になってきます。
気になる耐用年数ですが、約40年程度になります。
住まいにするには高価な買い物ですが、倉庫やワーキングスペースとしては手の届く範囲ではないでしょうか? 興味のある方は法的制限もあるので、建築設計事務所や取扱い専門業者に相談してみましょう。
子どもは昆虫が大好き! スズムシのすみかをつくろう
スズムシは、秋になるとリ~ン、リ~ンと心地よい音色で気持ちを癒してくれます。スズムシはコオロギ科の昆虫で、1.7~2.5cm程度の体長です。昼間は草むらの石や枯れ木などに隠れていて、夜になると、エサや求婚相手を探すために活動を開始します。バッタやコウロギのように飛び跳ねたりせず、地面を歩くだけなので育てやすいです。
スズムシのオスは、メスに関心を持ってもらえるように鳴き声を出します。じつは鳴いているというよりは、右の翅(はね)の裏がヤスリのようになっていて、これを左の翅にこすり合わせて音を出しています。こすり合わせるだけなのに、あんなにキレイな音色になるんですね。
すみかをつくるために用意するもの
スズムシのすみかをつくってみましょう。まず、以下のものを用意しましょう。
1. 透明なプラスチック容器(W:30cm×D:20cm×H:20cm程度)
ホームセンターなどで販売しているもので、スズムシが見えるように透明な容器を選びます。
2. 土(赤玉土、鹿沼土)
園芸店などで販売しています。できるだけ小粒のものを選びましょう。
3. 流木・厚紙
厚紙は三つ折りにしたものを数個つくり立てます。スズムシの隠れ家になります。昼間でも隠れたり、大きくなるにつれて何度も脱皮をするために必要になります。市販されている流木を立てるのも雰囲気が出て自然に見えます。
4. 小皿または割りばし、エサ
エサを入れるお皿です。割りばしにナスやキュウリを指して、土に刺して立てても大丈夫です。
5. スズムシ、スズムシのエサ
スズムシは6~8匹程度をペットショップで購入します。エサも一緒に購入しましょう。
すみかをつくる
図のようにスズムシのすみかをつくります。以下の順番で作業しましょう。
1. 新聞紙を敷いた上に購入した土を広げ、5~6時間日光に当て消毒します。その後、その土を容器に3cm程度の厚みになるように敷き、噴霧器で水をまきます。
2. スズムシの隠れ家をつくります。簡単な方法は三つ折りにした厚紙を2か所立てます。情緒を出すには流木を斜めに立てて、隠れやすい隙間をつくります。
3. お皿にキュウリやナスを並べます。私の子ども頃の経験では、斜めに輪切りしたナスやキュウリを割りばしに刺し、土に立てました。エサはカビが生えないように毎日取り換えましょう。スズムシの成長に必要なたんぱく質補給のため、市販のエサを小皿に入れて置きましょう。たくさん食べるので、こまめに補給しましょう。エサでなくても削り節をすり鉢ですって粉にしても大丈夫です。
産卵前の準備と卵の保管まで
スズムシの美しい鳴き声が終わり死んだあと、死んだオスをメスが食べることがあります。これは、メスのお腹の中の卵を成熟させるためにたんぱく質を補給するためです。このときに産卵の準備のため小粒の鹿沼土と交換します。土は日光消毒してから3cm程度の厚みで入れ替えましょう。カビが生えるのを防ぎます。産卵後メスが死んだら取り除き、全部が死んだら土の上をキレイにして紙などでフタをして保管します。土が乾いたら適度に水の霧吹きをして、日の当たらない風通しのよい場所に保管しましょう。
幼虫の育て方
翌年の5月半ば過ぎに2mm程度の小さいスズムシが生まれます。生まれたら成虫と同じでよいのでエサをあげましょう。キュウリなどのあまり水分が多いエサは幼虫が張り付いて動けなくなるので気をつけましょう。かなり小さい幼虫なので注意して観察することが大切です。愛着を持って育てれば、秋にはステキな鳴き声で気持ちを癒してくれます。
※参考文献:フジテレビ商品研究所・暮らしのLABO博士
家族で楽しむ趣味のガーデンデザイン
それでは趣味を生かしたガーデンデザインを、図面とイラスト入りで提案します。デザイン例は南向きのファサードです。家族みんなの趣味を設定してデザインしました。参考にしてみてください。
家族構成と趣味
◯父(40歳) サイクリング、ネジアート
◯母(35歳) 陶芸(教室を開いている)
◯長男(11歳) スズムシを育てる、ネジアート
◯長女(15歳) 母の影響で陶芸
◯次男(8歳) ミニバスケット(ミニバス)
趣味のガーデンプランは家族構成を設定し、趣味を活かせるデザインを提案しました。
父の休日は、ロードバイクでサイクリングをしています。また、長男と金属細工のネジアートにはまっています。
母の平日は、近所の主婦を招いて陶芸教室、休日は長女と花瓶や湯飲み茶わんなどをつくっています。
長男は、父とはまっている金属細工以外に、昆虫好きでスズムシを育てています。
次男は小学校に入ってからミニバスを始めました。シュートがもっと上手になりたい! が希望です。
ゲートは上吊りタイプのクローズスタイル
水平ライン強調のゲートで門回りを引き締めました。門扉の右側は機能門柱、左右は立て格子にしました。車の出入り部分は上吊りタイプにしています。ワーキングスペースになるアトリエの壁には、オシャレなサインを取り付けたいですね。
ミニバスコートは駐車スペースと玄関に向かうアプローチと兼用で
一般に、駐車スペースと玄関に向かうアプローチスペースを兼用したデザインするケースはよくあります。このプランは、次男のミニバスのシュート練習ができるようにすることも含めました。舗装はミニバスコートのモザイクタイルでラインを入れて、ステキに見えるようにしました。駐車していないときはロングシュートの練習もできます。お隣にボールが飛んでいかないように、ゴール周辺はスノコタイプのバックネットを貼ります。車にも当たらないように、取り外し可能なネットの柵をつけられます。
壁掛けのスポーツ自転車置き場
玄関の脇にサイクルポートを設置しました。お母さんや子どもたちの自転車は平置きにし、余裕をもってサイドヤードにも止められるようにしました。お父さんのロードバイクは、スノコ状の板壁をつくって、フック付きのゴムバンドでロードバイクの2か所を固定します。自転車専用の壁掛けフックも、ネット通販などで購入できます。ロードバイクが映えるように、板壁の色を決めて塗りましょう。スポーツ自転車を飾ったステキなデザインウォールが出来上がります。
雨が降ってもロードバイクが濡れないように、屋根付きにしたり、透明シートのカーテンを付けるなど工夫してみましょう。
家族みんなで楽しめるワーキングスペース
ウッドデッキの東側には4.5m×2.25m程度の広さの片流れ屋根のアトリエをつくり、ワーキングスペースにしました。陶芸や金属細工ができるアトリエです。七宝焼や陶芸用の窯、小型電動ろくろの置き場、粘土や材料を置く収納スペース、つくった陶器を乾かす棚、みんなで作業する大きな机などを配置しました。
ウッドデッキのくつろぎタイムはすず虫の鳴き声で
アトリエの隣にあるシェード付きのウッドデッキは、家族や陶芸教室の受講者が、食事やお茶などの休憩ができるスペースになり便利です。駐車していないときでもツル植物のウォールガーデンで、全面道路の歩行者の視線も気になりません。
夏場の昼間は暑い日差しをカット、秋の夜長はスズムシの鳴き声で心が癒されます。
家族の趣味を生かしたガーデンは、陶芸や七宝焼、金属細工など、いろいろなことを楽しめます。秋の夜長は虫の鳴き声で癒されます。工夫をすれば、ミニバスのシュート練習だってできるスペースも作れます。立派なアトリエをつくらなくても、デッキスペースでできる趣味から始めてみては、いかがでしょうか?
家族みんなで共有できるワーキングスペースで、ステキな趣味を楽しみましょう!
Credit
文&イラスト/松下高弘(まつしたたかひろ)
長野県飯田市生まれ。元東京デザイン専門学校講師。株式会社タカショー発行の『エクステリア&ガーデンテキストブック』監修。ガーデンセラピーコーディネーター1級所持。建築・エクステリアの企画事務所「エムデザインファクトリー」を主宰し、手描きパース・イラスト・CG・模型等のプレゼンテーションや大手ハウスメーカー社員研修、エクステリア業の研修講師およびセミナープロデュースを行う。
著書には、『エクステリアの色とデザイン(グリーン情報)』、『住宅エクステリアのパース・スケッチ・プレゼンが上達する本(彰国社)』など。新刊『気持ちをつかむ住宅インテリアパース(彰国社)』、好評につき絶賛発売中!!
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