30代にメルボルンに駐在し、オーストラリア特有の植物に魅了された遠藤昭さん。帰国後は、オーストラリアの植物を中心としたガーデニングに熱中し、神奈川県の自宅の庭で100種以上のオージープランツを育てた経験の持ち主。ガーデニングコンテストでも数々の受賞歴があり、60㎡の庭づくりの経験は20年になるという遠藤さんに、住宅街の庭で育てがいのあるオススメプランツを解説していただきます。

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名前の由来はカンガルー足!?

今回のオススメ植物は、カンガルーポー(Kangaroo paw 学名Anigozanthos)である。なんともユニークな花の形で、オーストラリアらしい花だ。優雅とか可憐さはないが、野性味があり、カッコよく男らしい。そう、ダンディーという言葉が似合う花だと思う。

最近は、品種改良でさまざまな品種が販売されているが、大きくは8種類とされている。その変化が面白い。カンガルーポーのポー(Paw)とは、動物の爪のある足のことである。カンガルーの足に似ていることから名がついた。カンガルーのPawを見ると、なるほどと思うはずだ。花の周りが短い毛で覆われた可愛い花だ。

日本では鉢植え一年草として春先に販売されることが多いが、品種によっては、庭に植えて宿根草として楽しむこともできる。鉢植えで販売されている株は矮化処理されている場合が多く、小さいが、地植えにすると花茎の長さは2mほどに成長することもある。花後は、ドライフラワーとしても人気だ。

横浜の庭で越冬するカンガルーポー

我が家の庭では、タネから育てて15年ほどになる株があり、冬越しをしている。宿根草なので、株分けで増やすこともできる。その場合、株分けは4~5月頃に行う。また、タネから育てることも比較的簡単だ。

カンガルーポーのタネ播き

3月の彼岸過ぎにタネを播くと、5月のゴールデンウィークには写真左のような芽が出揃う。そして、1年後には10㎝ほどになって、2年後には開花する。以後、毎年毎年、花が咲き続ける宿根草だ。写真のカンガルーポーは10年以上前に西オーストラリア旅行でタネを入手したもの。

他のオージープランツと植栽すると、とてもモダンでスタイリッシュな庭ができる。

見た目もユニークなので、多肉植物などとの相性がとてもよい。

もともとは西オーストラリアに自生する植物で、西オーストラリアの原野では、あちらこちらで見かける。原生のカンガルーポーは野性味があり、伸びやかだ。

オーストラリアでは庭に植える草花としても人気で、パースの園芸店には、カンガルーポーだけで一つの売り場ができていた。

カンガルーポーの育て方

最近は、品種改良の園芸品種が多くなり、必ずしもすべてが当てはまるわけではないが、まず、海外原産の植物を育てる時に大切なことは、原産地の気候風土を知ることである。カンガルーポーが原生する西オーストラリアの原野は、パース周辺の地中海式気候から内陸部は半乾燥地帯である。このカンガルーポーは、そんな夏はもちろん、年中、日本に比べたら日照が長く、乾燥した気候で育つ。また、西オーストラリアの原野の土は痩せていて、特にリン酸をあまり含まない土壌だ。

したがって、一番嫌うのは日本の夏の蒸し暑さと雨。そして、水はけの悪い肥沃な土地は適さない。つまり気をつけたいのは以下だ。
1) 日当たり、風通しをよくする。
2) 水はけをよくし、乾燥気味にする。
3) 雨に当てない(水やりも葉にはかけない)。
4) 肥料は控えめに。特にリン酸には注意。
5) 氷点下を避け、霜に当てない。

以上の条件は、鉢植えでなら管理しやすいが、地植えで育てる場合は、私がこれまでオススメしてきたオージープランツと同様な工夫が必要である。庭へ植えつける時は、根鉢の下に軽石を敷いて水はけをよくする。

冬は氷点下まで気温が下がったり、強い霜に当ててしまうと枯れるので、家の南側の霜の当たりにくい場所に植えて、寒い日には不織布で巻くなどの防寒も時には必要になる。

雪が降っても数日なら枯れることはない。積雪後は、かぶった雪を落としたり周囲の雪をどかしたりする必要があることは気をつけておこう。

Credit

写真&文/遠藤 昭

30代にメルボルンに駐在し、オーストラリア特有の植物に魅了される。帰国後は、神奈川県の自宅でオーストラリアの植物を中心としたガーデニングに熱中し、100種以上のオージープランツを育てた経験の持ち主。ガーデニングコンテストの受賞歴多数。現在は、川崎市緑化センター緑化相談員を担当しながら、コンテナガーデン、多肉植物、バラ栽培などの講習会も実施。園芸文化の普及啓蒙活動をライフワークとする。著書『庭づくり 困った解決アドバイス Q&A100』(主婦と生活社)

 

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