かわい・たかし/千葉大学大学院園芸学研究科修了後、大手種苗会社の研究員などの経歴を経たのち、フリーとして活躍の場を広げる。現在は横浜イングリッシュガーデンを拠点に、育種や全国各地での講演や講座、バラ園のアドバイスやガーデンデザインを行う。著書に『美しく育てやすい バラ銘花図鑑』(日本文芸社)、『バラ講座 剪定と手入れの12か月(NHK趣味の園芸)』(NHK出版)監修など。
河合伸志 -植物専門家・バラ育種家-
かわい・たかし/千葉大学大学院園芸学研究科修了後、大手種苗会社の研究員などの経歴を経たのち、フリーとして活躍の場を広げる。現在は横浜イングリッシュガーデンを拠点に、育種や全国各地での講演や講座、バラ園のアドバイスやガーデンデザインを行う。著書に『美しく育てやすい バラ銘花図鑑』(日本文芸社)、『バラ講座 剪定と手入れの12か月(NHK趣味の園芸)』(NHK出版)監修など。
河合伸志 -植物専門家・バラ育種家-の記事
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育て方

バラの大敵・黒星病の予防&対策をバラの専門家が解説
バラの大敵・黒星病 黒星病を発生した葉。にじんだような黒色の斑点が生じ、斑点の周囲が黄変している。 バラを栽培する人の多くが直面する、厄介なバラの病気が黒星病(くろほしびょう)。発生した葉には黒色の斑点が生じ、やがて黄変して落葉します。被害が進行すると次々に葉が落ち、やがて丸坊主になってしまいます。このような状態になると、光合成ができないため生育が著しく悪化してしまいます。また、生育期に養分をため込むことができなかった株は寒い冬を乗り越えられずに、最悪の場合は枯死してしまうことも。寒さの厳しい地域ほど枯死しやすいので、注意を要します。また、黒星病は感染力がとても強く、一つの株に発生することで、瞬く間に周囲の株にも拡大し、庭全体に大きな被害が出ることもあります。そのため、発生してしまった場合には、被害が広がらないうちに早めに対処することが重要です。バラは育て方が難しいと思われていますが、それはこの黒星病という致命的な病害が存在するからです。すなわち、この病害の発生を上手に防除することは、バラ栽培の成功の秘訣と言えます。 黒星病の発生しやすい時期は雨が多い季節 黒星病の原因は、カビの一種(糸状菌)。黒星病の原因菌は濡れた状態など多湿な環境で胞子が繁殖しやすく、被害が拡大していきます。そのため、雨の多い季節に被害が発生しやすいです。日本では梅雨の他に秋雨や台風などとバラの生育期に雨が多く、4~11月の東京の降水量はパリやロンドンの約3倍。この数値を見るだけでも分かるように、ヨーロッパよりも日本での栽培には苦労するのです。ちなみに、適切な管理をしていた株では、発生はつぼみが大きくなり始める4月中旬以降から発生し、一時ピークは開花期から梅雨頃になります。梅雨明け後の高温期は、暑さによって病害の進行はやや抑えられるものの、発生し続けます。気温が低下し始める秋からは再度発生しやすくなり、バラが休眠する12月まで続きます。 黒星病の早期発見は株内部のチェックを 上記のように、黒星病は一度発生するとあっという間に被害が拡大し、収束させるのに苦労します。早期発・早期対処を心がけましょう。一般に黒星病は株の内部の込み合った場所などから発生しやすく、また黒星病への耐性は品種間で大きく異なります。早期発見のコツは、耐病性が劣る品種の株内部をこまめに確認することです。バラを見る時に、人の目線は生育している新芽やつぼみに向かいがちです。意識的に枝や葉に隠れて見えない株内部を観察することが大切です。なお、発生が確認された場合はすみやかに対策に移ります。 黒星病の対策 黒星病が発生したらただちに対策をします。まずは罹病した葉(1枚の小葉に発生している場合でも5枚など複数枚をセットで)を葉柄から丁寧にむしり取ります。続いて罹病した葉に隣接した葉も同様にむしり取ります。一見して病斑が見られない葉でも多くの場合は既に感染していて、数日の間に発症することが多いです。病害を早期に抑え込むためにも、思い切って摘み取りましょう。また既に落葉してしまった葉も、丁寧に拾い集めます。発生の度合いが著しくほとんどの葉に病斑が見られる場合は、9月上旬までであれば思い切って丸坊主にしてリセットしてしまう方が、早期に病害を抑えられる場合もあります。この一連の作業はとても大切で、摘み取りをせずに下記の薬剤散布をしても、なかなか病害を完治することができません。 病葉の摘み取りなどが終わったら、次に殺菌剤を散布します。現在のところ病害を抑えるためには治療効果のある殺菌剤を散布する以外には、残念ながら有効な手段はありません。株数が少ない場合は、「マイローズスプレー」など治療効果がある市販のスプレー剤が便利です。株数が多い場合は、サプロール乳剤など市販の適応のある薬剤を薄めて散布します。黒星病は雨と密接に関係しているので、鉢植えの場合は雨の当たりにくい場所に移動することも対策になります。なお、一度の殺菌剤の散布で病害が抑えられないこともあり、そのような場合は病葉摘みを継続しながら1週間間隔を目安に、複数回散布を継続します。 このように、黒星病は一度発生してしまうと、完治させるには苦労します。そのため、発生しにくくするために予防散布を行う場合もあります。予防には「ベニカXファインスプレー」などのような予防効果のあるスプレー剤やオーソサイド水和剤(希釈して使用)などがあります。 品種選びも大切な黒星病対策 黒星病への耐性は品種間で大きく異なります。全く出ないモッコウバラのような品種から、‘チャールストン’や‘ブルー・ムーン’のような弱い品種までの差はとても大きく、黒星病で悩んでいる人はなるべく耐病性の強い品種を選ぶこともその対策の一つと言えます。なお、耐病性の品種の目安としてはADRの認証品種などが参考になります。 ただし、どんなに耐病性の強い品種を選んでも(モッコウバラ、キモッコウバラを除く)、日本の気候条件(関東地方以西の平地)では何もせずに被害を免れることは不可能で、完全な無農薬栽培の場合は最終的には発病・落葉することが多いです。 黒星病の具体的な対策手順 以下ではスプレー剤の散布による黒星病対策の事例を紹介します。 準備するもの ・薬剤(スプレー剤) *市販の薬剤を希釈して使用する場合には、薬剤、計量器(秤やスポイトなど)、カップ(希釈時に使用)、噴霧器などが必要になります。 ・マスク・ゴム手袋・ゴミ袋など 黒星病対策 手順1 最初に黒星病の症状が出ている葉を、小葉ごと付け根から摘み取り捨てます。その際に摘み取った葉を放置すると、他の葉や株に感染が拡大する可能性があるため、必ずゴミ袋などに入れて集め処分します。すでに落ちてしまった葉も、丁寧に拾い集めます。4~9月上旬までであれば、罹病が著しい場合は、思いきって丸坊主になるように1枚残らず摘み取ってしまうのも一案です。 写真はすべて黒星病の症状が出ている葉。葉に斑点が入り、黄変しているのが特徴(罹病初期は黒斑のみの場合もある)。葉を取り除く際は、5枚葉、7枚葉などの小葉を全部セットで付け根から摘み取って捨てる。 黒星病対策 手順2 マスクとゴム手袋を着用し、薬剤を株全体にまんべんなく散布します。葉表、葉裏の両方に散布をし、薬剤が軽くしたたり落ちる程度まで行います。散布の際には、薬剤に書かれている注意事項を確認してから使いましょう。 葉裏も忘れずにしっかり散布を。 薬剤散布を行う際は、気温がなるべく低い朝夕の時間帯を選び、子どもやペット、近隣家庭などに影響がないよう配慮しましょう。なお上記の通り、一度の殺菌剤の散布で病害が抑えられないこともあり、そのような場合は病葉摘みを継続しながら1週間間隔を目安に、複数回散布を継続します。その際には、薬剤の総使用回数を遵守し、病原菌の薬剤耐性獲得を防ぐために、なるべく異なる作用で治療や予防の効果を示す薬剤をローテーション散布するようにします。 *薬剤の取り扱いの際には、目的に合った薬剤を選び、記載されている注意事項をよく読み、十分注意してください。
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樹木

【初めてのバラ選び】河合伸志さんに教わる世界で最も厳しいADR認証
初めてのバラ選び、迷ったら? 5〜6月は、バラの花が咲いている開花株の鉢苗が流通する時期です。赤やピンク、白、紫、黄色、茶色などのカラーバリエーションはもちろん、コロンとした可愛い花形やフリル状の艶やかな花姿など、バラの個性は多彩さを極める一方、初めてバラを選ぶ初心者さんは、何をどう選べばよいのか迷ってしまうものですが、バラ選びで困った時に役に立つのが「ADR(Allgemeine Deutsche Rosenneuheitenprüfung)」。 世界で最も厳しいバラの品種認証システム 取材協力/京成バラ園芸 ADRとは、ドイツで作られたバラの品種認証システムで、その審査は世界で最も厳しいことで知られています。ドイツ全土11カ所で3年間、薬剤散布をせずに露地(屋外の地植え)で試験栽培をし、花の美しさ・連続開花性・耐寒性・耐病性などが一定の基準を満たした品種だけを「ADR」ローズとして認証されます。毎年、約50品種のバラが試験栽培に加わり、今まで多数の品種が試験され、2018年現在200品種強がADRローズとしての認証を得ています。ただし、過去にはさらに+179品種が認証されていましたが、それらは現在では取り消されています。ADRの一つの特徴は過去に認証された品種であっても、現在の基準に満たなくなったものは認証が取り下げられることです。 ‘アンジェラ’/Sergio Yoneda/Shutterstock.com 実際、取り消された品種の中にはこれまで初心者向けの代名詞的存在であった‘アンジェラ’や、殿堂入りに銘花である‘アイスバーグ’や‘エリナ’といった品種、‘スイート・メイディランド’など2000年以降に作出された比較的新しい品種も含まれています。しかし、認証を取り下げられたからといって、これらの品種の価値が失われたのかといえば、そんなことは全くなく、今でも魅力ある花であることには変わりありません。 つまり、それほどADRの審査基準は日々進化し、厳しくなっているということです。私が日本でのADRローズの生育を見る限り、2010年以降にADRの認証を得ている品種は、耐病性の点では相当に優れていて、初心者でも手軽に栽培できます。 ‘アイスバーグ’/PAUL ATKINSON/Shutterstock.com ADRに認証されたバラにはカタログやラベルにそのマークが付けられています。花選びに迷ったら、ADRのマークのあるものを選ぶようにすると、栽培にあまり苦労することなくバラを育てることができます。 ・京成バラ園芸ネット通販 ADRオススメ24品種はこちら 病虫害に強く丈夫で育てやすいバラを目指して さて、ADRの審査基準が年々厳しくなっている理由は、ヨーロッパでの環境意識の高まりなどが背景にあります。環境に負荷をかけないよう、薬剤散布の必要がないバラを目指すことと、欧米の公園などでは日本のサツキのような感覚でバラを多数植栽するため、手間のかからないバラが求められていることがその理由です。というのも、バラには黒星病(くろほしびょう/黒点病と呼ぶ場合もある)やうどんこ病などの病気がつきものだからです。中でも黒星病は、葉に黒いシミのような斑点ができ、やがて黄変・落葉してしまうバラの代表的な病気で、落葉することでバラは光合成ができず、生育が著しく衰える原因になる深刻な病害です。 黒星病は雨が多い環境下で発生しやすく、日本では梅雨や秋雨などがバラの生育期と重なるため、この時期に黒星病にかかり落葉してしまうと、冬の寒さなどに耐えられずに枝が枯れ込み、株が衰退しやがて枯死してしまいます。黒星病などのバラの病害は基本的に薬剤で防除しますが、そうした作業を少しでも軽減するには、病気(特に黒星病)に強いバラを選ぶことが大事。その一つの指標になるのがADRなのです。ただし、ヨーロッパと比較してバラの生育期の雨量が約3倍の日本では特に黒星病の発生率がより高くなり、さらには日本の平地では耐暑性も求められるため、日本独自の審査システムができれば、育てやすいバラの評価は、さらに日本の気候に即した正確なものになるはずです。 ・具体的な予防や対策については、こちら『バラの大敵・黒星病の予防&対策の方法を解説』 ADR認証の魅力あふれるバラ ADR認証の ‘メルヘンツァウバー’(取り扱い:京成バラ園芸)。Photo/W. Kordes' Söhne さて、そんなADR受賞品種のなかで、特にオススメなのが‘メルヘン・ツァウバー’という品種です。これまで「病気に強いバラ」というと、いまいち花姿や香りの魅力に欠ける傾向にあったように思いますが、この花は病害虫に強くとても丈夫で、繰り返しよく咲くうえに、アプリコットピンクのグラデーションが繊細で、花姿もエレガント。ティー系の香りが程よく香り、日本人の好みに合いそうな、初心者の方にはぜひオススメしたいバラです。 ADR認証の ‘ノヴァーリス’ (取り扱い:京成バラ園芸)。写真/河合伸志 強いバラを選んだうえで、基本的な育て方を知っていればバラは、ガーデニングの初心者にも十分育てられます。 バラ栽培の最新情報がギュッと1冊に! 2019年4月に発売された新書『バラ講座 剪定と手入れの12か月』(発行:NHK出版)では、バラを育てるのは初めての人はもちろん、もっとバラを上手に育ててみたい人にも役立つ知識が河合伸志さん監修のもと、たっぷりと掲載されています。上記でご紹介したADR受賞品種も登場していますよ。 ・ NHK出版『バラ講座 剪定と手入れの12か月』のお取り寄せはこちら 近年ますますバリエーションが豊かになったバラの花の魅力や、バラ栽培の際に知っておきたい用語集と道具、バラの12か月管理・作業カレンダーも網羅。バラ栽培で「今」すべきことを知り、読み進めながらお手入れしているうちに、自然と身につくように考えられたテキストです。 バラ栽培でまず大切なのは品種選び、と提唱する河合さんによる「丈夫なバラ」とは何か。その理由とともに、「初めて育てる初心者におすすめの丈夫なバラ」の項では、鉢植え、庭植え、誘引して楽しむなどの栽培シーン別に37品種が紹介されています。各品種は、黒星病とうどんこ病の耐性を5段階で評価しているうえ、ADR認証を受けている品種も登場。失敗しない品種選びが叶います。 “バラを育てる12か月”の6月は「黒星病にかかった株の回復法」と「タイミングを逃さずに行いたいシュートの手入れ」。 この本で一番多くのページを割き、ていねいに紹介されているのが、“バラを育てる12か月”。2018-2019年にTV放送されたNHK「趣味の園芸」の1年間のバラの手入れの作業プロセスが、多数の写真と忠実なイラストとともに解説されています。 バラ栽培で「どうしたらいいか分からない!」という声が多い大事な作業「剪定」も、樹形や花の大きさ、仕立てたい形などを手掛かりに、自分の株はどれに該当し、いつ何をすべきかが解説されています。また、この書籍が手元にある人限定で、PCやスマホから河合さんが登場する剪定動画も見られるという嬉しい特典つき。 バラ栽培で遭遇する病害虫の発生時期や具体的な駆除方法も必見。 近年の夏の厳しい暑さが原因で現れる症状や対処法、台風対策、手入れの適期を逃した場合に行う駆け込み作業に至るまで網羅、ガーデニングを趣味とする人の立場に立った最新の栽培解説書『バラ講座 剪定と手入れの12か月』。 この一冊を手元に、バラ栽培に困ったときにいつでもアクセスしてお悩み&問題を解決、バラと暮らす一年を楽しみましょう!
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ガーデン&ショップ

世界バラ会連合会議で「横浜イングリッシュガーデン」が栄誉ある賞を受賞!
2018年は世界バラ会連合発足50周年の記念の年 1976年に選出された「バラの栄誉の殿堂」第1号‘ピース’。Photo/Patrick Civello/Shutterstock.com 1968年にイギリス、ロンドンにて発足し、今年で50周年を迎えたバラ愛好家たちの世界的組織「世界バラ会連合(The World Federation of Rose Societies ※以下WFRS)」は、バラに関する知識や情報交換などを目的として、会議や展示会を行い、3年に一度、バラの歴史が長い国・都市で「世界バラ会連合会議(World Rose Convention)」を開催し、「バラの栄誉の殿堂」や「優秀庭園賞」などの賞の付与なども行っています。発足50周年となる2018年は、6月28日~7月4日にデンマーク・コペンハーゲンを開催地として大会が行われました。 大会で注目される権威ある賞「バラの栄誉の殿堂(Rose Hall of Fame)」 1983年に選出された「バラの栄誉の殿堂」品種‘アイスバーグ’。Photo/alybaba/Shutterstock.com 2006年の大阪大会では、写真の‘ピエール・ドゥ・ロンサール’と‘エリナ’が「バラの栄誉の殿堂」として選出されました。Photo/3and garden 大会で授与される注目の賞の一つである「バラの栄誉の殿堂」は、世界中のどの環境でも育てやすいことや、誰が見ても美しい品種であること、多くの国で長く愛されていることなどが審査基準となり、第1回の‘ピース’をはじめ、‘アイスバーグ’や‘ニュー・ドーン’、‘ピエール・ドゥ・ロンサール’など、日本でも人気がある品種が多数選ばれています。 Photo/Patrick baehl de Lescure/Shutterstock.com 2018年に「バラの栄誉の殿堂」に選ばれたのは、2000年にアメリカのラドラー氏によって作出された‘ノック・アウト’です。バラにとってダメージとなる黒星病やうどんこ病に強い抵抗力があり、地域によっては無農薬栽培で育てることができるほど耐病性に優れています。また、春から晩秋まで咲き続けるブッシュローズ(木立性)で、バラには珍しく花がら摘み以外のメンテナンスが少なくてよいので、バラ栽培の初心者だけでなく、公共空間の景観をつくるバラとしても活用されています。 優れた庭園に贈られる「優秀庭園賞」 2018年に「優秀庭園賞」に選ばれた神奈川県横浜市の「横浜イングリッシュガーデン」。 大会で授与される「優秀庭園賞」は、数あるローズガーデンの中から、歴史的、教育的、景観的な各視点により特に優れた庭園に贈られるもので、庭園としての美しさに加え、メンテナンスの質がよいことや、学術的に価値がある品種を栽培しているなどの総合的な評価により選ばれます。 「優秀庭園賞」の表彰は、1998年からスタートし、2018年開催のコペンハーゲン大会までで世界各地の64カ所の庭園が受賞。日本では、岐阜県「花フェスタ記念公園」、広島県「福山市バラ園」、大阪府「靭(うつぼ)公園」、東京都「神代植物公園ばら園」、千葉県「京成バラ園」、千葉県「佐倉草ぶえの丘バラ園」、静岡県「アカオハーブ&ローズガーデン」の7つの庭園が受賞してきました。 日本で8つめの「優秀庭園賞」は神奈川「横浜イングリッシュガーデン」 日本ばら会から推奨を受けたWFRSのケルビン・トリンパー会長とヘルガ・ブリシェ元会長は、2017年11月に横浜イングリッシュガーデンを視察訪問しました。その際、ケルビン会長からあがった評価点は以下の項目でした。 6,600m² と小さな庭園であるが、バラだけでなく数多くの花木や宿根草、一年草などが組み合わされた美しいデザインである。 オールドローズ、つるバラ、シュラブ、各種の四季咲き性のバラや野生種のコレクションは、1,800品種を超え、どれも良好な生育をしていて、管理水準が非常に高い。 自国品種の保護の観点からも、その中に500種以上の日本のバラのコレクションが含まれていることは、とても素晴らしい。 品種プレートは正確に表示されていて、来園者にも分かりやすくなっている。 季節のテーマに合ったプログラムや子ども向けの教育プログラムを運営している。 これらの評価により見事受賞となった神奈川「横浜イングリッシュガーデン」から、2012年よりスーパーバイザーとしてガーデンデザイン、植栽管理を行っている河合伸志さんが、デンマーク、コペンハーゲンへ駆けつけ、第18回「世界バラ連合」、「優秀庭園賞」授与式に出席しました。 壇上にて賞状を受け取る河合伸志さん。 河合伸志さんとWFRSのケルビン・トリンパー会長の記念ショット。 これまで「優秀庭園賞」を受賞してきた世界各地の庭園に、「横浜イングリッシュガーデン」が仲間入り。WFRSのホームページ内「Award of Garden Excellence」でも紹介されています。 この度見事受賞となった「横浜イングリッシュガーデン」では、先にご紹介した「バラの栄誉の殿堂」入りのバラも多数見ることができます。 横浜イングリッシュガーデンの一年を追った『横浜イングリッシュガーデンの四季【花巡り・ガーデン案内 〜神奈川〜】』の記事もご覧ください。
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育て方

バラの専門家が教える! 鉢植えバラの剪定方法
鉢植えバラの剪定 メリット・デメリット バラを栽培する際に、剪定は必要不可欠な作業というイメージがありますが、実際には全く剪定しなくてもバラは咲きます。ではなぜ剪定を行うのかというと、次のようなメリットがあるからです。 バラは新しい勢いのよい枝(シュート)が発生すると、古枝が徐々に衰退しやがて枯れていきます。このようにバラは新陳代謝を繰り返している植物なので、剪定で古い枝を除去し、新枝を残すことでそれを助けることになります。 剪定の際には小枝や枯れ枝を切り取ります。それによって、株内部の蒸れが解消され、病害が発生しにくくなります。また、薬剤散布の際に、薬剤がかかりやすくもなります。 小枝や枯れ枝が除去されることで見た目がスッキリし、鑑賞上の美観が得られます。 株の樹高や株形を剪定によって調整できます。鉢植えでは、剪定によってコンパクトにすることで、風などで倒れにくくもなります。 しかし、剪定作業にはメリットだけでなくデメリットもあります。生きている枝には養分があるため、剪定をすればするほど株から養分を奪うことになります。弱った株や老株に強い剪定を行うと、養分のロスによるマイナス面の方が大きく現れ、成育がより悪くなったり、酷い場合はそのまま枯れてしまうこともあります。枝を切り取るという剪定作業は、バラにとってメリット・デメリットの両方があるので、それらを考慮し接点を十分に見極めることが大切です。 ここでは、ある程度順調に生育している鉢栽培のバラの剪定について解説します。生育不良の鉢栽培のバラの剪定については、『バラの専門家が教える! 生育不良の鉢バラの剪定方法』でご紹介しています。 健全に生育している鉢植えバラの剪定方法 前年度に切った位置よりも枝が伸び、枝数も多く概ね順調に生育しているミニバラ‘ロズマリン89’。ミニバラの中では耐病性があり、育てやすい品種。 バラの剪定はいつ行う? バラの剪定適期は、バラが完全に休眠する冬季(関東以西の平地であれば12月下旬~2月頃)です。寒さの厳しい高冷地や北国では冬季に枝が枯れ込むことがあるので、寒さが緩み始めた頃が適期になります。剪定時期が早すぎたり遅すぎたりすると、樹液が動いているため、切り口から水分と共に養分が流出してしまい、結果として株の養分を大きくロスしてしまいます。適期を守ることはとても重要です。 鉢植えのバラは、鉢の分だけ高さがあり、また鉢とのバランスを考慮すると、庭植えの株よりもやや強めに剪定した方が、開花期の姿がよくなります。 鉢植えバラの剪定の手順 1.葉を先に取り除く 株全体の姿が分かりやすくなるよう、残っている葉があれば摘み取ります。多少葉があっても、全体の姿が判別できれば、ほかの作業と並行しながら取り除いてもOKです。ただし、剪定後に葉を残すと翌年に病害虫を持ち越してしまうこともあるので、最終的には全ての葉を取り除きます。 2.枯れ枝を切る 茶色く枯れた枝をつけ根から切ります。 3.弱小枝を切る 開花の見込めない前年(12月に剪定する場合は当年)に伸びた細い枝(弱小枝)をつけ根から切ります。この品種は小輪なので、竹串の太さ以下の枝を弱小枝の目安とします。 【弱小枝の目安】 弱小枝のおおまかな目安としては、大輪品種では鉛筆の太さよりも細い枝、中輪品種は割りばしよりも細い枝、小輪品種は竹串よりも細い枝になります。ただし大輪品種であっても枝が細めの品種があるなど、品種特性の差もあるので、その辺は考慮して判断します。また生育の悪い大輪品種は、鉛筆を基準にすると枝が全てなくなってしまうことがあるので、生育の度合いに応じて判断することも大切です。 4.コンパクトな樹形になるよう切り詰める 今回の株は鉢の大きさとのバランスを考えると、なるべく小さくしたほうが見た目がよくなるので、思い切って前年度の剪定位置から10~15㎝ほど残して切り詰めます。また、この品種は枝が横に張るので、枝を切る際にはなるべく外芽で切ります。 【外芽】 外芽とは株の中心方向とは反対の外側に向かって芽を指し示します。反対に、株の中心方向を向いている芽は内芽といいます。バラは芽の向いている方向に新しい枝を伸ばすので、枝がそもそも横に張るように伸びる品種は、芽の向きをある程度考慮して剪定しないと、株が片寄った形になってしまうことがあります(直立性の品種の場合は、さほど芽の向きを考えなくても株型は崩れにくいです)。 5.株元の掃除 剪定後の株に葉が残っている場合は摘み取ります。また同時に株元の落ち葉などを掃除し、落とした枝や枯れ葉をすべて取り除きます。株元の掃除は、病害虫を翌年に持ち越さないためにとても重要な作業です。 ここまでで剪定が完了しました。上写真のように、コンパクトな樹形を維持するため、今回の株は全体の約半分の高さまで切り詰めました。剪定後は、翌年によい花を咲かせるために、忘れずに肥料を与えましょう。 6.寒肥 剪定後に与える肥料は、園芸店などで販売されている固形の有機肥料がおすすめです。肥料を与える際は、株の周囲の土の上に置くだけでOK。1鉢にどの程度の量を施すかは、肥料毎のパッケージの記載に従いましょう。鉢植えの場合、与えすぎた肥料を取り除くことは困難なので、過剰の施肥には注意します。使用した肥料:「バイオゴールドオリジナル」 これで鉢植えバラの冬の剪定と手入れは完了です。肥料を施した後の置き場所は、春、暖かくなるまでは日陰でも構いませんが、芽が動き始めたら日当たりがよい場所に移動しましょう。水やりも徐々に増やしながら、開花までお世話を頑張ってください。開花が楽しみですね。 剪定前にやっておきたい植え替えや水やり、管理については、『晩秋から初冬はバラの鉢替えシーズン!専門家が解説する5つの手順』の記事をご覧ください。 剪定後にやっておきたいカイガラムシ対策については、『バラの専門家が教える! バラにつく厄介な害虫・カイガラムシの対策』の記事をご覧ください。
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育て方

バラの専門家が教える! バラにつく厄介な害虫・カイガラムシの対策
カイガラムシとは? カイガラムシには多数の種類があり、そのうちの数種がバラに被害を及ぼします。もっともよくみられるのが、バラシロカイガラムシという種類で、成虫は米粒以下の丸い貝殻状の姿をし、幼虫は細長い形をしています。幼虫は移動ができますが、成虫は移動できません。繁殖力が非常に強く、少しくらいなら大丈夫と思っていると、瞬く間に枝が真っ白になってしまいます。カイガラムシは雨の当たりにくい環境や、風通しの悪い場所では特に発生しやすく、ベランダでの栽培でしばしば問題になります。 カイガラムシは何もないところから突然自然発生することはありません。多くの場合、苗にくっついていてそれを持ち込んでしまったり、隣近所の株から移ってきます。分かりやすい害虫なので、苗購入時には害虫が発生していないかをよく確認することが大切です。 細長い白いツブツブがカイガラムシの幼虫。 成虫になると、薄く平べったい姿に変化。手足は退化し、動かなくなります。 カイガラムシの対策 バラのカイガラムシ対策は、冬の剪定時に行うのがオススメです。剪定後の株は、枝の量が一年で最も少なく、葉がないことは害虫を見付けやすくなり、また薬剤をスムーズにかけることもできます。剪定の方法については、『バラの専門家が教える! 鉢植えで育てるバラの剪定方法』をご覧ください。 <用意するもの> ・歯ブラシ(かため)・カイガラムシ退治用のスプレー・農薬用マスク・手袋 歯ブラシはかためのものを使います。古くなったものなどで十分です。ただし、金ブラシなどを使用すると、枝が傷ついてしまうことがあるので避けましょう。 まずは移動できない成虫を歯ブラシを使って枝から掻き落とします。落ちた成虫は移動できないためそのまま枯死してしまいます。カイガラムシがよく潜んでいる場所は、枝の股の部分や樹皮の下(樹皮は剥いでしまっても問題ない)、誘引紐やラベルの下などです。カイガラムシを1匹見つけたら、絶対にいろいろな箇所にいると思って徹底的に調べてください。株全体を注意深く観察し、見落としがないようにブラッシングしましょう。 カイガラムシをブラシで落としたら、カイガラムシ退治用スプレーを株全体にかけます。ここで使用したのは「カイガラムシエアゾール」。手軽に使えるジェット噴射でしっかりと噴霧でき、季節を選ばずに使用できます。「カイガラムシエアゾール」/住友化学園芸 https://www.sc-engei.co.jp/guide/detail/1426.html スプレーをする際には、薬剤を吸い込まないよう農薬用マスクをつけ、肌を露出しない服装で手袋をはめて作業します。枝の裏側など、かけ忘れがないように注意しながら、株全体にしっかり散布しましょう。 これでカイガラムシ対策は完了。カイガラムシはいつの間にか大発生していることがあるので、こまめに株の状態を確認し、見つけたら掻き落とすなど早めに対処をすることが大切です。 カイガラムシと人間の意外な関わり Photo/Pere Rubi/Shutterstock.com カイガラムシの一種にコチニールカイガラムシという種類がいるのですが、この名前、どこかで聞いたことがないでしょうか? コチニールカイガラムシなど一部のカイガラムシが持つ色素化合物を取り出したものが、コチニール色素。染料や食品添加物として使用される赤色の色素です。濃厚な赤色を染めるための染料として古くから重用され、現代でも天然の着色料として、かまぼこなどの食品や化粧品の色素として使用されています。 Photo/liliya Vantsura/Shutterstock.com 酸性ではオレンジ色、アルカリ性では赤紫色を発色するこの色素は、かつてはリキュール「カンパリ」の着色料としても使用されていました。 日常生活では厄介者扱いされているカイガラムシですが、実は人間にとってとても有用な生物でもあるのです。 併せて読みたい
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育て方

バラの専門家がズバリ答える! コンパクトに育つブッシュローズと生育不良の株の剪定
コンパクトに生育するブッシュローズの剪定 ブッシュローズの剪定時期は、関東以西の平地であればバラが完全に休眠する12月下旬~2月頃です(寒冷地では寒さが緩んだ頃が適期)。つるバラを栽培している人は、つるバラの剪定・誘引を優先し、その終了後に行います。剪定時期が早すぎたり遅すぎたりすると、樹液が動いているため切り口から水分が噴出し、株の養分をロスしてしまいます。 ブッシュローズとひと口に言っても、よく伸びて樹高が高くなる品種や、コンパクトに生育するものなどさまざま。タイプに合わせた剪定が必要です。ここでは、コンパクトに生育するブッシュローズの剪定方法を解説します。よく伸びるタイプのブッシュローズの剪定は、『バラの専門家がズバリ答える! ブッシュローズの剪定方法 基本編』をご覧ください。 一般的な背の高くなるブッシュローズの場合、順調に生育していれば、上写真のように剪定では1/3強まで切り詰めますが、コンパクトに生育するブッシュローズの場合は、それほど切り詰める必要はありません。それでは、コンパクトに生育するブッシュローズの剪定はどのように行うのか、 ‘イヴ・ピアジェ’を例に、剪定の手順を解説します。 Photo/88studio/Shutterstock.com ‘イヴ・ピアジェ’花径14㎝ほどのシャクヤク咲きの大輪花。樹勢がやや弱く、耐病性も低く育てにくい品種の一つだが、力のついた株が咲かせる大きな花は圧巻の迫力がある。また、ダマスク系の強い香りも魅力的。樹高1.2mほど。 剪定前の‘イヴ・ピアジェ’。樹高1mほどで、秋でもさほど高くならない。 用意するもの ・剪定ばさみ・トゲに引っかかってもよい服・革手袋・ゴミ袋(ビニール袋は破れやすいので、切った枝は新聞紙などで巻くか、紙袋に入れてから捨てるのがオススメです) 剪定の手順 葉を取り除く株全体の姿が分かりやすくなるよう、残っている葉があれば取り除きます。多少葉があっても、全体の姿が分かる場合は、ほかの作業と並行して取り除いてもOKです。 枯れ枝を切る茶色くなった枯れ枝を付け根から切ります。切り残しがないよう根元から丁寧に作業します。うどん粉病が枝まで広がってしまうと、枝が灰色になり、枯れているかどうかの判別がしにくいことがあります。枯れ枝かどうかの判別ができない場合は、枝先を切ってみます。生きている枝は、内部が緑色をしています。 弱小枝を切る花の咲かない前年に伸びた細い枝(弱小枝/12月に剪定する場合は当年に伸びた枝)をつけ根から切ります。この株の場合は、鉛筆の太さ以下の枝を弱小枝として切ります。※弱小枝の目安弱小枝のおおまかな目安としては、大輪品種では鉛筆以下、中輪品種は割りばし以下、小輪品種は竹串以下になります。ただし大輪品種であっても枝が細めの品種があるなど、品種特性の差もあるので、そのあたりは考慮して判断します。また生育の悪い大輪品種は、鉛筆以下を基準にすると枝がなくなってしまうことがあるので、生育の度合いに応じて基準以下の細い枝でも残すようにします。 古枝を切る枯れ枝と弱小枝を切った結果、古枝(前年以前の枝)だけになってしまった枝を元から切ります(慣れてくれば②~④の作業は一度にできるようになります)。古枝(前年以前の枝)と前年の枝の区別は、前年の枝のほうが表面がつややかで、トゲもしっかりと残っています。また赤い小さな芽が葉の付け根ごとにあります。古枝は表面につやがなく、トゲも欠けていたり灰色っぽい乾いた質感です。また赤い芽も少なく、芽が黒くなっていることが多いです。 枝を軽く切り詰めるコンパクトに生育する品種は、特に樹高を下げる必要がないので、体力を温存するために、枯れ枝や弱小枝、古枝を切り除いた後は、樹形を整えるように軽く切り詰めましょう。高く伸びるブッシュローズの剪定に比べると切り詰めの度合いは小さく、全体の1/3程度を切り詰めます。‘イヴ・ピアジェ’は株が横張りなので、春以降に伸びた枝が混み合ってこないよう、外芽(外側を向いた芽)の上で切るようにします(新しい枝は芽の方向に伸びていきます)。 掃除をして完了剪定後の株に葉が残っている場合は摘み取ります。同時に株元を掃除し、落とした枝や枯れ葉を全て取り除きます。この作業は、病害の予防にとても重要です。 コンパクトに生育するブッシュローズの剪定は、これで完了です。 ブッシュローズの剪定は、よく伸びる樹高の高い品種はがっつり剪定し、コンパクトな品種は軽く剪定するので、切り詰めというよりは枝を透かすイメージになります。しかしながら、すべてのバラの株がこの2つにきっちり分けられる訳ではありません。中間の状態のものも存在し、それらは状況に合わせて切り詰めの度合いを変えます。 生育の悪いバラの剪定 育てているバラの生育が悪い場合、剪定をする際には注意が必要です。調子が悪い株を不用意に剪定すると、かえって株を弱らせてしまうことになります。そこで、枯れ枝を切り、残っている葉を取り除く以外は、極力剪定を控えます。贅沢をいえないので、弱小枝も大切に残します。 ここでは、調子の悪い‘楽園’を例に、生育の悪いバラの剪定方法を解説します。この株は植え付け1年後で、周りに植えてある既存のバラに圧倒され、さらに追い討ちをかけるように黒点病が発生したこともあり、生育が悪い状態です。 ‘楽園’花径は約10cmで、明るいオレンジ色で花弁の裏は黄色を帯びる。早咲きで花付きがよく、香りも強い。樹高1.2mほどとコンパクトでまとまりよく生育するが、黒星病には注意が必要。 調子の悪いバラを剪定する場合、手順は3つのみ。1.枯れ枝をつけ根から切ります。2.残った葉を落とします。3.非常に枝が込み合っている場合に限り、多少枝を透かすように弱小枝を切り取ります。 これで剪定は終了です。このバラは大輪品種なので、本来ならば鉛筆以下の太さの枝は切り落とすのですが、今回は竹串程度の細い枝も残しました。弱った株の場合、あまりハサミを入れずに株の体力を温存し、春以降の生育に繋ぎます。
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バラの専門家がズバリ答える! ブッシュローズの剪定方法【基本編】
剪定ってなに? バラは常に枝の新陳代謝を繰り返しながら生育する植物で、サクラやケヤキのように、1本の幹が年々太っていくような育ち方ではありません(ハコネサンショウバラを除く)。通常、バラは新しい勢いのある枝(シュート)が発生すると、古い枝が衰えて枯れていくという、枝の新旧の入れ代わりを繰り返しています。 野生のバラは誰も剪定をしていませんが、花を咲かせています。また、園芸品種であっても、剪定せずに放置した株が花を咲かせているのを見かけることがあります。従って、バラは剪定を行わなくても、花を咲かせることが可能であるといえます。 では、なぜ剪定作業が必要なのでしょうか? それは、作業をすることによって得られるメリットがあるためです。 バラの剪定 メリット・デメリット 剪定作業を行うことによって得られる主なメリットとしては、次の4つが挙げられます。 ①古枝を除去し、新枝を成長させることで、新陳代謝をスムーズにすることが可能になります。②小枝や枯れ枝を除去することで、株内部の蒸れが解消され、病害が発生しにくくなります。また、薬剤散布の際に、まんべんなく薬剤を噴霧することができるようになります。③小枝や枯れ枝を除去することで、観賞上の美観が得られます。④株の大きさや株形を調整し、目的の位置で花を咲かせることができます。また、雪国では、剪定を行うことにより、雪害を軽減することができます。 一方で、弱った株や老株に強い剪定を行うと、そのまま枯死に至ることがあります。このことから、枯れ枝や枯れつつある枝を切り取る以外の剪定作業は、バラにとっては基本的には養分のロスを生じるデメリットであるということが分かります。 以上の点からポイントとなるのは、剪定作業によって得られるメリットと、作業により生じるデメリットがあるので、その接点をいかに見極めるかということです。 ブッシュローズの剪定方法 ブッシュローズの剪定適期 ブッシュローズの剪定時期は、関東以西の平地であればバラが完全に休眠する12月下旬~2月頃です(寒冷地では寒さが緩んだ頃が適期)。つるバラを栽培している人は、つるバラの剪定・誘引を優先し、その終了後に行います。剪定時期が早すぎたり遅すぎたりすると、バラの中で樹液が動いているため、切り口から水分が噴出し株の養分をロスしてしまいます。 それではさっそく、ブッシュ・ローズを剪定していきましょう。 ここでは、バラ‘アキレス’を例に、剪定の手順を説明します。 ‘アキレス’白地に赤桃色のくっきりとした覆輪が入る、花径8㎝ほどの中輪花を数輪の房で咲かせる。花には強く爽やかなティー系の香りがある。樹勢がとても強く、樹高1.8mほどまで伸び、逞しく生育する。 剪定前の‘アキレス’。樹高2mほどまで伸びている。冬の寒さである程度落葉して全体像が見えるので、手順①の葉を取り除く作業は行いません。 用意するもの ・剪定ばさみ・トゲに引っかかってもよい服・革手袋・ゴミ袋(ビニール袋は破れやすいので、切った枝は新聞紙などで巻くか、紙袋に入れてから捨てるのがオススメです) 剪定の手順 葉を取り除く株全体の姿が分かりやすくなるよう、残っている葉があれば取り除きます。多少葉があっても、全体の姿が分かるのであれば、ほかの作業と並行して取り除いてもOKです。 枯れ枝を切る茶色くなった枯れ枝を付け根から切ります。切り残しがないよう根元から丁寧に作業します。うどん粉病が枝まで広がってしまうと、枝が灰色になり、枯れているかの判別がしにくいことがあります。枯れ枝かどうかの判別ができない場合は、枝先を切ってみます。生きている枝は、内部が緑色をしています。 弱小枝を切る花の咲かない前年に伸びた細い枝(弱小枝)(12月に剪定する場合は当年に伸びた枝)を付け根から切ります。この株の場合は、割りばしの太さ以下の枝を弱小枝として切ります。※弱小枝の目安弱小枝のおおまかな目安としては、大輪品種では鉛筆以下、中輪品種は割りばし以下、小輪品種は竹串以下になります。ただし大輪品種であっても枝が細めの品種があるなど、品種特性の差もあるので、そのあたりは考慮して判断します。また生育の悪い大輪品種は、鉛筆以下を基準にすると枝がなくなってしまうことがあるので、生育の度合いに応じて基準以下の細い枝でも残すようにします。 古枝を切る枯れ枝と弱小枝を切った結果、古枝(前年以前の枝)だけになってしまった枝を元から切ります(慣れてくれば②~④の作業は一度にできるようになります)。古枝(前年以前の枝)と前年の枝の区別は、前年の枝のほうが表面がつややかで、トゲもしっかりと残っています。また赤い小さな芽が葉の付け根ごとにあります。古枝は表面につやがなく、トゲも欠けていたり灰色っぽい乾いた質感です。また赤い芽も少なく、芽が黒くなっていることが多いです。 枝を切り詰めるよく伸びて樹高が高い品種は、前年の枝を2~3節(10~15㎝)残して切り詰めます。コンパクトな品種で、特に樹高を下げる必要がない場合は、株形を整えるように軽く切り詰めます。枝を切る際は、芽の上で切るようにします。この株は順調に生育し樹高も高いので、剪定の際は思い切って前年の枝を2~3節(10~15㎝)残して切り詰めました。結果として、剪定後は剪定前の1/3強くらいの高さに。 掃除をして完了剪定後の株に葉が残っている場合は摘み取ります。同時に株元を掃除し、落とした枝や枯れ葉をすべて取り除きます。この作業は、病害の予防にとても重要です。 すべての剪定作業は10分もかからず終了。生育がよい株ならば、大胆に切り詰めても大丈夫です。 コンパクトに生育する品種や、調子のよくないバラの剪定は、『バラの専門家がズバリ答える! コンパクトに育つブッシュローズと生育不良の株の剪定』をご覧ください。
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新枝咲きや旧枝咲きってなに? 冬の間にクレマチスの剪定をしよう!
冬季に休眠する、主要7系統のタイプ 上記の代表7系統のクレマチスは、いずれも冬季に休眠します(フロリダ系は半休眠状態で一部の葉が落葉せずに残ることがあります)。7系統のうち早咲き大輪系は旧枝咲き(品種によっては新枝にも花を咲かせることがあります)、遅咲き大輪系とフロリダ系は新旧両枝咲き、ヴィチセラ系、テキセンシス系、ヴィオルナ系、インティグリフォリア系は新枝咲き(品種や生育状況によっては新旧両枝咲き)になります。 旧枝咲きクレマチスの剪定・誘引(早咲き大輪系) 旧枝咲きのクレマチスは、前年に伸びたつるに既に花芽を形成しているので、必要以上に切り詰めてしまうと花が咲かなくなったり、花数が減ってしまいます。枯れたつるや枯れ葉などを切り取り、再度誘引をします。 左は、‘子福桜’に誘引した剪定前の早咲き大輪系の‘マリー・ボワスロ’。右は5月上旬の花の頃。 剪定するクレマチス:‘マリー・ボワスロ’ (早咲き大輪系)古くから栽培されている品種で、かつては‘マダム・ヴァン・ホーテ’の名前で流通していた。花径15㎝を超える巨大輪。やや性質の弱い早咲き大輪系の中では強健種で、つるも太く伸長力もあり旺盛に生育する。関東以西の平地ではゴールデンウィーク後半頃から咲き、‘つるピース’や‘群舞’‘ジャクリーヌ・デュ・プレ’など早咲きのつるバラと合わせるのに向く。春以降は時々返り咲くが、花は一番花ほど大きくはない。 新枝咲きとは違い、地上部のほとんどが枯れずに残る旧枝咲き。前年の枝の節々に花芽を付けるので、地上部を切り取ってしまうと翌年花が咲きません。よく見ると、節にはもうふっくらとした花芽が準備されています。 旧枝咲きクレマチスの剪定・誘引の手順 翌年の新芽が節に用意されています。 クレマチスは葉が枯れても落ちずにそのまま残ります。これは葉柄の部分が周囲のいろいろなものに巻きいてつるを固定しているためで、野生の状態ではとても役に立ちますが、ガーデンでは枯れた葉が見苦しいので、まずは枯れ葉を葉柄ごと切り取ります。その際、新しい芽がなく、枯れてしまっている枝があれば、併せて切り落とします。 芽を欠かないように注意しながら葉を切り落とします。 枯れ葉や枯れ枝を整理し終わったつるを誘引します。旧枝咲きのクレマチスは、生育開始から開花期までに伸びるつるの長さは10~30㎝(品種によって異なる)と短いので、咲かせたい位置より少しだけ伸び代を残して麻紐などで固定します。つるが長すぎる場合は、下のほうでとぐろを巻かせ先端の位置を調整します(下記の新旧両枝咲きの例を参照)。 剪定・誘引後。枯れ葉がなくなり、すっきりしました。株元の掃除も忘れずに。 新旧両枝咲きクレマチスの剪定・誘引(遅咲き大輪系、フロリダ系、ヴィチセラ系とインティグリフォリア系の一部の品種) 新旧両枝咲きのクレマチスは、前年に伸びたつるの多くが枯死しますが、基部のほうは生き残っています。旧枝咲き同様に枯れたつるや枯れ葉などを切り取り、再度誘引しますが、旧枝咲きほどつるは長く残らないので作業は簡単です。開花期までに新しいつるが50~200㎝(品種によって異なる)と長く伸びるので、誘引はそのことを念頭に行います。また切り取る分量が多いため、十分に休眠し枝が完全に枯れるのを待ってから作業をしないと、養分を大きくロスしてしまいます。 フェンスに誘引された2種の新旧両枝咲きのクレマチス。右は、フロリダ系の‘レディ・キョウコ’(ピンクの丸印)、左はヴィチセラ系の‘ヴィチセラ・ロゼア’(ブルーの丸印)。 剪定するクレマチス右側:‘レディ・キョウコ’(フロリダ系)淡い紫色の八重咲きで、多数の花が節々に開花する。つるは細く、やや立ち枯れ病に弱いが、それをカバーするほどの魅力的な花を咲かせる。一番花以降も切り戻しと追肥で再び開花する。関東以西の平地ではゴールデンウィークあけから開花し、中生から晩生の多くのつるバラと開花期が合う。 剪定するクレマチス左側:‘ヴィチセラ・ロゼア’(ヴィチセラ系)軽やかな淡いピンクのベル形の花を節々に多数咲かせる。つるは太く、旺盛に生育する強健種。冬季は前年のつるの下のほうが生き残る。一番花以降も切り戻しと追肥で再び開花する。関東以西の平地では5月末から開花し、‘エクセルサ’や‘エゼル’など、最晩生のつるバラと開花期が合う。 壁沿いに植えられた2種のクレマチスを剪定し誘引します。まずは、壁の右側に植えてある‘レディ・キョウコ’からスタート。 新旧両枝咲きのクレマチスの剪定・誘引の手順 新旧両枝咲きのクレマチス‘レディ・キョウコを誘引場所から抜き出して全体をチェック。 枝先と基部に、元気な芽があります。基部の部分まで切り詰めてもいいのですが、枝を長く残したほうが、枝に蓄えられている養分をロスすることがないので、株の状態も考え、今回は枝先の芽も生かすことにしました。 上部から株元までに残っている枯れ葉とその葉柄を切り落として、つるを整理します。 つるを長く残したので、枝の伸び代をつくるために、写真のようにとぐろを巻くようにつるを丸めて、下方で誘引します。春になると、上に向かって勢いよく枝が伸びるので、こまめに誘引します。 次は、壁の左側に植わっている、‘ヴィチセラ・ロゼア’です。つるを元から辿りながら、生きている部分と枯れている部分を確認します。 芽がないつるの上部は枯れているので切り落とし、除去します。その後、残した枝のすべての枯れ葉とその葉柄を切り取ります。 整理が終わり、1本1本のつるが分かるようになったら、誘引します。 つるを数本まとめ、伸び代を残すため、下方で軽くとぐろを巻くようにしながら誘引します。一見、込み合うように思えるかもしれませんが、新しいつるが伸びてきたら、こまめに誘引することで解決します。 剪定・誘引後。フェンス全体を覆っていたクレマチスの枯れ葉や枯れたつるを落として誘引したことで、すっきりとした見た目になりました。春には左右のクレマチスの新しいつるが勢いよく伸び始めます。新旧両枝咲きのクレマチスはつるが長く伸びるので、伸びるに任せたままだと、互いが絡まり合って開花時の姿が乱れます。つるが壁をまんべんなく覆うように、定期的に誘引するよう心がけます。 新枝咲きクレマチスの剪定・誘引(ヴィチセラ系、テキセンシス系、ヴィオルナ系、インティグリフォリア系 品種や生育状況によっては新旧両枝咲きの場合もあります) 新枝咲きのクレマチスは、前年に伸びたつるが地際まで枯死するので、バッサリ切るだけととても簡単です。株全体が枯れてしまったようにも思えますが、つるの基部には新しい芽を確認することができます。また切り取る分量が多いため、十分に休眠し、枝が完全に枯れるのを待ってから作業をしないと、養分を大きくロスしてしまいます。 アーチに絡んだ剪定前のインティグリフォリア系‘籠口(篭口)’茶色く見えるのが、すべて枯れたクレマチスの葉とつる。 剪定するクレマチス:‘籠口(篭口)’(インティグリフォリア系)正式にはインティグリフォリア系とヴィオルナ系の雑種で、両方の特徴を持ち合わせている。艶やかな紫色のベル形の花は、両系統の中間タイプで、葉柄も中間でわずかに絡みつく程度。5月中旬より咲き始め、結実しにくいこともあり、肥料さえ切らさなければ10月上旬まで咲き続ける。中生から晩生、最晩生のつるバラと開花期が合う。生育が極めて旺盛で、伸長力があり育てやすい。世界的に栽培される国産品種。 新枝咲きのクレマチスの剪定手順 新枝咲きのクレマチスの冬剪定は、地際までバッサリと切ります。地上部はすでに枯れていて、ここから新しい芽を吹くことはないので、残す必要はありません。 新枝咲きの品種は、地上部を残さなくていいので、バラと一緒に植えても剪定がとても簡単なのが嬉しいところ。一見して株が枯れてしまっているようにも見えますが、株元付近をよく見ると、新しい芽(○印の中)が準備されています。 剪定が済んだら、絡んでいたつるを外して処分します。 剪定後。アーチに絡めてあるつるバラの枝が見えるほどすっきりしました。春には新しいつるが勢いよく伸びるので、こまめに誘引します。 併せて
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バラの専門家が診断! 花数が増えないバラと調子が悪いバラのメンテナンス法
生育不良Aタイプの鉢替え 【現状】5年ほど前から育てているのになかなか大きくならない四季咲き性のブッシュローズ‘シェアリング・ア・ハピネス’。2年に1度程度鉢替えをしていたが、今年の夏以降、返り咲かないうえ、株元にスミレの葉が生い茂りバラの元気がなくなったため、晩秋に植え替え(鉢替え)をし、油かすを施した。 河合さんの診断 まるで万年一年生のようなバラですね。適した時期に施肥しなかったことや、水切れと過湿を繰り返し乾湿差が大きい管理をしていたようにも見えます。鉢の縁まで用土がいっぱいでウォーター・スペースがないので、これでは十分に水も与えられません。不調な株は、最初に根の状態を確かめましょう。 一応、新しい白い根が伸び始めていますが、あまり根が張っていません。最近になって根が伸びてきたようで、一応回復の方向に向かっていると思われます。用土は団粒構造が崩れて微塵が多く、水はけも悪そうなので、思い切って古い用土を落として、バラの栽培に適した新しい用土に植え替えましょう。 表土と側面を少しずつ熊手で崩して、古い土をできるだけ取り除きます。 植え込みの手順は、『バラの専門家が解説! 秋バラがまだ開花中の鉢植えのメンテナンス方法』を参考にしてください。しっかりとウォーター・スペースを確保しながら、台木の接ぎ口が鉢から大きく飛び出ないようにやや深めに植えることで、鉢の上に苗が浮き上がっているように見えなくなり、開花期の見た目も大幅にアップします。そして、肥料を混ぜ込んだ新しい用土に植え込みます。今回は、天然素材をブレンドし、有効菌も豊富な培養土『バイオゴールドの土』に、天然有機肥料の『クラシック元肥』をブレンドして植え込みました(両資材ともに販売元:タクト)。 植え替え後の水やりのペースを改善 水切れを恐れて、表土が乾いていたら毎日水をやっていたそうですが、12〜3月はバラの休眠期なので、表土が乾燥してから1~2日後に与えるようにします。また、水は鉢底の穴から流れ出るくらいたっぷりと与えます。置き場所によって異なりますが、3〜7日に1度のペースになります。根を張らせるためにも暖かな日だまりに置きましょう。そして1〜2月に寒肥と剪定を行います。 生育不良Bタイプの鉢替え 【現状】春に開花株を入手して栽培をスタートした四季咲き性のブッシュローズ‘クロッシェ’。春の花後にうどんこ病が発生したため、有機液肥を時々与えながら様子を見ていた。夏に一度返り咲いたが、再び葉が落ちたため、有機液肥を与えていたところ、秋には葉がすべて落ちてしまった。今回は一回り大きな鉢に植え替えて、春までにもっと大きくしたい。 河合さんの診断 まずは鉢から根を抜き出してみましょう。おっと、これは重症! 常に土が湿ったままで根腐れを起こしていて、白い根が一本もありません。用土からはヘドロのような臭いもします。左写真の真っ黒な塊が腐ってしまった根鉢です。このような株は株元を持って振っただけでポロポロと土が落ちてしまいます(写真右)。 回復の処置1 根を洗う 腐ってしまった根をすべてきれいに取り除くため、水に入れて軽く根を洗います。ご覧のように、根の量が極端に少なく、弱々しい印象です。この状態から春までに回復させるため、通常の植え替えとは異なる手順で植え込み、養生させる必要があります。 回復の処置2 鉢増しはNG 通常、春から約半年以上育ててきた鉢植えのバラは、1~2回り大きな鉢に植え替え(鉢増し)をしてもよいはずなのですが、今回は根腐れを起こしているため、元の鉢に戻します(今回はより小さな鉢がなかったため元の鉢に植えましたが、本当であれば1~2回り小さな鉢に植えたほうがよいです)。一度鉢を水洗いして、鉢底石を入れて植え込む準備をします。 回復の処置3 肥料分が入っていない用土に植える 根が傷んでしまったバラは、挿し木をするのと同じ方法で、肥料分が含まれていない土に植えて根を再生させます。肥料分が多い用土に植え付けると、根腐れがより進行して枯死してしまいます(輸入苗を植え付けるときも今回と同様に行うと、スムーズに活着します)。今回は肥料分が含まれていない天然素材100%の「バイオゴールドの土 ストレスゼロ」を使います。水洗いした根は、隙間にしっかり土が入り込むように、植え込む前に乾燥した土をまぶし、根の水分を除去することで根と根が付着するのが防げます。 写真左が土をまぶした直後の根の様子。細かな根が1本ずつ離れていることが確認できます。これを新しい土を少し入れた鉢の中央にそっとすえ、培養土を周りに入れながら割り箸や棒などで土をつつき、根の間に土が入り込むようにします。 水をやって作業完了! 水をたっぷり与え、しばらくは様子を見ながら、株のもっている力で根が再生してくるのを待ちます。この時、根が弱っているからといってむやみに活力剤や液肥を与えると、かえって苗を枯らしてしまうことがあります。軽度の生育不良の場合は、これらが役に立ちますが、今回のような生死の境にいる重症な場合は慎重に対処します。
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バラの専門家が解説! 秋バラがまだ開花中の鉢植えのメンテナンス方法
8号鉢以下で栽培中のバラは、1年に1度「鉢替え」が必要 【現状】園芸店で9月ごろ、株全体に花がよく咲いていたミニバラ‘ロズマリン89’を購入し、一度花が終わったので一回り大きい鉢に植え替えて12月になりました。このまま次の春まで何もしなくてよいのか。それとも植え替えが必要なのか。まだ花が咲いているので、咲き終わるまで待っていればいいのか分からない株。 河合さんの診断 やや肥料が切れていたためか秋バラの花数は少ないものの、おおむね順調に生育していると思われます。鉢が小さく、このままさらに1年栽培すると、さまざまな要因で生育が悪くなると想定されるので、鉢替えをオススメします。 根鉢を崩して新しい用土で植え付ける作業を「鉢替え」といい、その間隔は8号鉢以上の大鉢(直径28㎝以上)なら2~3年に1度が目安ですが、それ以下の鉢の場合はできるだけ1年に1度行いましょう。鉢替えの際には根が切断されますが、春の生育開始時期までに十分に根が再生するためにも、作業は早めに行い、理想的には12月末くらいまでに、遅くても1月中旬までには行います(関東以西の平地の場合)。 用意するものは、バラ専用用土、元肥、鉢底石(鉢底のサイズに合わせて量を調整。ここでは軽石をネットに入れたものを1つ使用)、剪定鋏、シャベル、熊手。 秋バラが残っている株はまず花がらをすべて切る 花を切り落とす理由は、この後に行う鉢替えで根鉢を崩す際に根が切断されて一時的に給水能力が低下するため、水を多く必要とする花(新芽がある場合は新芽も)が残っていると株が脱水症状を起こす危険性があるためです。一方、堅く成熟した葉は、脱水症状を起こす可能性が低く、むしろ根の再生を助けるので残します。また、この時期はすでに株が休眠に向かっており、この後、落葉する兆候があるため(葉の色から判断)葉は取らなくてもよいでしょう。 枯れた枝は切る 枯れた枝を残したままでは見た目にもよくないので、切り落とします。本格的な剪定には時期が早く、十分に休眠していないこの時期に剪定を行うと養分のロスが多くなるので、これ以外の枝は切らずに残します。なお、枝が長く作業しにくい場合は、適度に切り詰めてから行っても構いません。 鉢から根鉢を取り出す 鉢から抜いた根鉢は鉢底まで根が回り、細かな新しい根が出ています。鉢底石を取り外して固まった根をほぐし、同じ鉢に再び植え込むために、古い土を落として新しい用土が入るスペースを確保します。 固まった根をほぐす まずは熊手などで表層をよく崩して、期せずして生えているオキザリスやカタバミなどの抜きにくい雑草や雑草の種子などを用土ごと取り除きます。次にサイドや底の根の塊を崩すようにかき取ります。この時に根が切れますが、気にせずに進めましょう。写真右くらいの状態まで根がほぐれたら終わりです。鉢替え前の根鉢の3~5割程度崩しても問題はありません。 植え込む鉢の準備 これまで使っていた鉢に再び植え込む場合、根鉢を抜いた鉢は一度水で洗います。見た目にもきれいになり、雑草の種子なども洗い流されます。鉢底に網を敷いたら鉢底石を入れます。 新しい用土の準備 バラ専用用土に元肥を混ぜて植え込み用土を準備します。今回は、天然素材をブレンドし、有効菌も豊富な培養土『バイオゴールドの土』に、天然有機肥料の『クラシック元肥』をブレンドしました(両資材ともに販売元:タクト)。この用土は水はけがよいのに水もちにも優れ、デリケートな植物の栽培にも向く用土です。 鉢に株を植え込む 根鉢の大きさに合わせて鉢底石の上に用土を入れたら、植えた後のバランスや見た目をよくするために、鉢の縁の高さに台木の接ぎ口がくるよう中央に株をすえます。 根の周囲にある程度用土を入れたら、割り箸や棒などでつつき根の間にしっかり土が入るようにします。今回は根鉢をかなり崩したので、根の間に新しい用土がしっかり入るように意識してまんべんなくつつきましょう。ウォーター・スペース(灌水の際に水を溜める部分)を残すため、鉢の縁から3〜5㎝ほど下まで土を入れたら完了です。なお接ぎ木苗はなるべく深めに植え付けたほうが、花が咲いた時の見栄えがよくなります。 水をたっぷりやって完了! 仕上げに水をやりますが、根の回復を助ける活力剤を与えるのもオススメです。活力剤『バイオゴールドバイタル』(販売元:タクト)は、水が少し茶色く色づく程度に薄めて使用します(1ℓにキャップ2杯/10㏄が目安)。 活力剤を入れた水をたっぷり与えます(鉢底から水が流れ出るまで)。植え込み直後の鉢植えは、粉塵が鉢底から流れ出るため、ベランダなどでは容器に入れて水をやるとよいでしょう。 株の状況にもよりますが、一連の写真の作業は約10分程度で終わります。ぜひ、鉢替えの時期を逃さずに、バラを健やかに育てましょう。 もし、バラの生育状態がよくないと感じたら、『バラの専門家が診断! 花数が増えないバラと調子が悪いバラのメンテナンス法』を参考に植え替えをしましょう。 併せて読みた


















