カボチャのランタンとお菓子を楽しむドイツのハロウィン

近年、日本でも急速に広がりを見せているハロウィン。秋になると、町のあちこちがハロウィンらしい雰囲気を漂わせ始めます。今回は、ドイツ出身のエルフリーデ・フジ=ツェルナーさんに、ドイツでのハロウィン事情と、ハロウィンに食べたいカボチャの簡単レシピを伺いました。
目次
ドイツでも広まりつつあるハロウィン

最近、日本でも一般的に親しまれるようになってきたハロウィンですが、ドイツ出身の私が、初めてハロウィンという文化に触れた場所は、実はアメリカ。今から30年以上前にアメリカで過ごしていた頃のことです。
初めてハロウィンを体験した時には、この10月31日の狂騒に少しばかり衝撃を受けました。不気味なデコレーションがそこかしこに飾られ、お店には奇妙でぞっとするようなコスチュームや商品が並びます。私はこのハロウィン熱に困惑してしまい、あまり楽しむことはできませんでした。近年になって、ドイツ国内でもアメリカで体験したようなハロウィンが広まってきましたが、正直にいうと、私自身は今でもそれほどハロウィンに熱心というわけではありません。
ドイツにもあるハロウィン風のお祭り
さて、私がハロウィンを知った時にはもう大人になっていたので、「Trick or Treat!」の合言葉と共に、仮装してドアからドアへと訪ねまわった思い出はありません。この楽しみは、子どもたちのためのもの。ハロウィンではお決まりの光景ですが、ドイツのお祭りにも、これとよく似た風習があります。
例えばFasching(ファッシング)と呼ばれるドイツのカーニバル(謝肉祭)。主に2月頃に行われるお祭りです。この行事では子どもたちが衣装を身に着けるのですが、お姫様のようなものからゴーストや海賊のようなものまで、さまざまな種類のコスチュームが見られます。
また、ドイツでは11月11日にはSt. Martin’s Day、聖マルティヌスの日という祝日もあります。キリスト教の祝日の一つで、この日私たちは手作りのランタンで祝い、夜には子どもたちが、そのランタンを持って暗い中町中を歩いたり、家々を訪ねたりします。
どちらも、少しハロウィンに似たところがある風習だと思いませんか?
ハロウィンの楽しみ

先に書いた通り、私の家はクリスマスなどに比べ、ハロウィンに関してはさほど熱心ではありません。現在私が働いているドイツの学校でも、ハロウィン熱が盛り上がっているわけではないようです。周囲では子どもたちが仮装をしたり、大人のためのハロウィンパーティーが開かれたりするくらいですが、もちろんハロウィンの楽しみ方は家族によってそれぞれです。都市部では、子どもたちが「SÜSSES ODER SAURES!」といいながら、家々を巡ることもあるそうです。これは、ドイツ語で「Trick or Treat!」と同じ意味。幼稚園や学校によっては、壁や窓にちょっと怖い装飾をすることもありますよ。

そんな私がハロウィンで最も楽しみにしているのは、可愛くてちょっとおかしなハロウィンモチーフのスイーツです。ハロウィンが近づくと、いろいろなお店がハロウィンらしい飾りつけを始めますが、特に私が好きなのがベーカリー。店先に並ぶ、ゴーストやクモ、コウモリ、カボチャなど、ハロウィンモチーフのお菓子を眺めているだけでも楽しくなります。お店には、たくさんのキャンディーもバリエーション豊かに揃います。可愛いお菓子をいろいろ選べるのは、とても嬉しい自分へのご褒美になりますね。
そうそう、お店のデコレーションといえば、花屋さんの飾りも忘れてはいけません。花屋さんに立ち寄ると、ハロウィンのシンボルを取り入れたグッズを鉢苗に飾ったり、黒やオレンジのリボンを使ってイベントの雰囲気を盛り上げたりしています。お店にとっては、ハロウィンも商品が売れるいい機会として大歓迎なのかもしれませんね。
ハロウィンに欠かせないカボチャ

ハロウィンの時期になると、町のあちらこちらに見られるものにもう一つ、カボチャのランタンがあります。大きなカボチャをくりぬいてキャンドルを入れ、家の前に飾るカボチャのランタンは、私も好きなデコレーション。一つひとつ異なるカボチャの「顔」が、すでに夜の長い10月のドイツの夜を照らしてくれます。昼間のカボチャも、オレンジや赤に色づく紅葉がよく似合って素敵ですね。

さて、私が暮らしている地域では、ハロウィンが近づくと、飾り用のカボチャや食用のカボチャがズラリと並んで積み上がる、カボチャの販売所が町のあちらこちらに現れます。必要な代金を横にある料金ボックスに入れれば、好きなカボチャを選んで持っていくことができるというシステムです。カボチャの値段は場所によってずいぶん異なるようですよ。
近所にも3カ所の販売所がありますが、料金ボックスの見た目もさまざま。ボックスは非常に重いのがポイントで、持ち出しできないようになっています。
こういったカボチャの販売所は、専門の農家に限らず、プライベートガーデナーが育てているカボチャを販売することもあります。例えば下の写真は、プライベートガーデンでカボチャを育てている人の販売所。

こちらの大きなボックスに並ぶのは、農家が育てたカボチャです。

場所によっては、ホオズキが一緒に販売されていることもありますよ。

こうして手に入れたカボチャは、その大きさや形、種類に合わせて、そのまま飾ったり、中身をくりぬいてランタンにしたり、食用にしたり。たくさんのカボチャが出回る時期ならではの楽しみです。

簡単に作れてハロウィン気分が盛り上がるレシピ

さて、ハロウィンといえば欠かせないのが、ハロウィンらしいお菓子と食事ですね。カップケーキはアイシングやチョコレートなどを使ってデコレーションをすると、とっても可愛いハロウィンスイーツになります。コウモリやゴースト、クモなど、自由なアイデアで楽しんでみてはいかがでしょう。ハロウィン柄のカップで作るのもいいですね。この時期になると、既製のお菓子やデコレーションするためのグッズがたくさん出回るので、上手に利用すると、手の込んだお菓子を作らなくても手軽にハロウィン気分が味わえます。
また、カボチャもハロウィンの食卓には欠かせません。ここでは、カボチャをたっぷり使った手軽で美味しいレシピを一つ、簡単にご紹介します。
カボチャのキッシュ

材料:
- 北海道カボチャ 700g(正味)
- タマネギ 150g
- ベーコン 150g
- サワークリーム 200g
- 薄力粉 250g
- バター 125g
- パルメザンチーズ 40g
- 卵 4個
- 油 大さじ2
- 塩 小さじ1/2
- 冷水 大さじ1
- 塩・コショウ 適量
作り方:
- バターは小さく切り、薄力粉はふるっておく。キッシュ型にバター少々(分量外)を塗って準備しておく。オーブンは200℃に予熱しておく。
- ボウルに薄力粉、塩、卵1個、バターを入れ、冷水を加えてよく混ぜる。
- 粉けがなくなってきたら手で捏ねてまとめ、ラップに包んで冷蔵庫で30分落ち着かせる。
- カボチャは洗ってタネを取り除き、適当な大きさにカットする。タマネギ、ベーコンも小さく切る。
- フライパンに油少々(分量外)を引いて温め、タマネギとベーコンを炒め、火が通ったら取り出す。
- 同じフライパンに油大さじ2を入れ、カボチャと塩コショウ少々を入れ、7~8分火を通す。火を止めてそのまま冷ましておく。
- 残りの卵3個、サワークリーム、パルメザンチーズ20g、塩コショウ少々をよく混ぜる。
- 生地を冷蔵庫から出してキッシュ型に合わせて丸く伸ばし、型に入れて数カ所フォークで穴をあけておく。
- 生地を敷いた型に、炒めたカボチャ、ベーコン、タマネギを入れ、その上から7を注ぎ、残りのパルメザンチーズ20gをのせる。
- 200℃に予熱したオーブンで約40分焼き、火が通ったらでき上がり。
カボチャをたっぷり使ったキッシュは秋の味。お好みでパン粉をのせても美味しいですよ。ハロウィンの食卓に作ってみてはいかがでしょうか?
Credit

ストーリー/Elfriede Fuji-Zellner
ガーデナー。南ドイツ、バイエルン出身。幼い頃から豊かな自然や動物に囲まれて育つ。プロのガーデナーを志してドイツで“Technician in Horticulture(園芸技術者)”の学位を取得。ベルギー、スイス、アメリカ、日本など、各国で経験を積む。日本原産の植物や日本庭園の魅力に惹かれて20年以上前に日本に移り住み、現在は神奈川県にて暮らしている。ガーデニングや植物、自然を通じたコミュニケーションが大好きで、子ども向けにガーデニングワークショップやスクールガーデンサークルなどで活動中。
Photo/Friedrich Strauss/Stockfood, Stockfood
取材/3and garden
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