窓辺につる性植物を這わせると、外からの視線を遮りつつ、花と緑の彩りを楽しむことができ一挙両得。宿根草のクレマチスを窓辺に這わせて、毎年花を楽しんでいるというOさん。今回は、そんなOさんに、クレマチスのカーテンについてお話を伺いました。

Oさん:我が家の出窓は公道に面していて、以前はそこから林が見えたのでカーテンを開けていることが多かったんです。春の若葉が色を増していく様子や野鳥が飛んでくる林の景色を楽しんでいたのですが、数年前にその林が宅地化されてからは人通りも多くなり、外からの視線が気になるようになってきました。
でも、朝から晩までカーテンを閉めっぱなしなのも閉塞感があるので、何かいい方法はないかなと考えた時に、窓辺にクレマチスを這わせることを思いつきました。
編集部:クレマチスを選んだ理由はなんですか?
Oさん:実はいろいろ試してみて、我が家ではクレマチスが一番やりやすいなということに落ち着きました。最初はつるバラを数種這わせていたんですが、誘引がうまくいかなくて。誘引場所として窓枠に取りつけた金具が、バラの枝の重みに耐えられなくて開花中に取れて、バラの枝が公道に倒れてしまったんです。アルミ製の窓なので取りつけられる金具が限られているんですよね。壁に穴を開けて頑丈なフックを取りつけるということも考えたのですが、家の壁に穴が開くことに抵抗があったし、また倒れてバラのトゲで誰か怪我でもしたらいけないのでやめました。
編集部:他にはどんなものを試しましたか。
Oさん:グリーンカーテンになるかなと思って、ゴーヤを試しました。確かにグリーンカーテンにはなりましたが、とにかく食べきれないほど実るんですよ。ゴーヤは食べたいときに買えばいいなって思って一回でやめました。あと、マンデビラというつる植物を咲かせたこともありました。大輪の花がとてもキレイだったんですが、つるが旺盛に伸びすぎて雨樋を伝って屋根の上の方まで行ってしまって、外すのに一苦労でした。

編集部:なるほど。生育が良すぎても困ることがあるんですね。
Oさん:そうなんです。でも、うちはたまたま雨樋が側にあったので這い上ってしまいましたが、場所によっては開花期間も長いので、マンデビラもいいと思います。クレマチスはその点、我が家の出窓を覆うのに生育加減もちょうどよかったんです。つるが細いので、茂ってもバラほど重みがかからないので金具も取れません。
編集部:クレマチスはどんな種類を育てているんですか。
Oさん:クレマチス‘プリンセス・ダイアナ’、‘プリンス・チャールズ’、‘ジャックマニー’、ビオルナの4種です。どれも3m前後の伸長率で、強剪定といって冬前に地際で剪定すると、春にまた伸びてくるタイプのクレマチスです。どの枝を残すとか考えなくてすむので、同じ新枝咲きのタイプに揃えました。

編集部:植え方、仕立て方はどんなふうにしていますか。
Oさん:窓の下に幅200cm・奥行き、高さ50cmほどのコンテナ花壇があり、そこに一株ずつ植栽しています。竹を組み合わせた支柱を立てて、窓の上の方に熱で溶けるタイプのフックを10カ所くらい取り付け、麻紐を張っておくと勝手につるが絡んでいってくれます。一番生育がよいのは‘プリンセス・ダイアナ’。チューリップの花を逆さにしたような赤い小さな花が次々にたくさん咲いて、とても可愛いんです。春先から暖かくなるとぐんぐん伸び始めて、約1カ月で窓辺をすっかり覆ってくれます。5年経ちますが、フックが外れたことはこれまでないですね。
編集部:どのくらいの期間咲いてくれますか。
Oさん:花は一年に2回タイミングがあります。最初は5月から7月までの約2カ月間。7月過ぎてくると葉が茶色くなってくるので、我が家では一旦そこで半分くらいに切り戻して、リセットしています。以前は地際から切っていたのですが、それだと再度窓辺を覆うようになるまでに時間がかかるので、半分くらいに切る方法に変えました。それだと一カ月くらいするとまた窓を覆うようにつるが伸びてきて、8月半ば過ぎから10月くらいまで、2回目の花が楽しめます。

編集部:普段の手入れはどんなふうにされていますか。
Oさん:地植えではなくコンテナ花壇なので、水やりは欠かせません。水やりの際には時々液肥を混ぜています。地植えだったら水やりもあまり必要ないかもしれないですね。これまで害虫や病気にかかったことがないので、本当に手が掛かりません。トゲがないので剪定の際も後始末が楽ですね。
編集部:室内からの眺めはどんな感じですか。
Oさん:光を透かせた葉っぱがとてもキレイです。花の色もチラチラ見えて、可愛いですよ。冬の何カ月かはクレマチスのつるがなくなるので、カフェカーテンと室内の出窓に鉢植えの花を並べて目隠しの代わりにしています。林の景色がなくなってしまったのは残念でしたが、クレマチスの窓辺を我が家の新たな眺めとして楽しんでいます。
Credit

写真&文/3and garden
ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。
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