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観葉植物で人気のソテツが食べられる? 特徴と育て方をご紹介!
皆さんは「ソテツ」という植物をご存じですか? ソテツはさまざまな場所に植えられているので、名前には馴染みがないという人でも、見たことがあるかもしれません。室内でも育てることができ、観葉植物としても人気の高い植物です。この記事では、そんなソテツの生態から育て方までを丁寧に解説していきます!
目次
ソテツとは
ソテツは、ソテツ科ソテツ属(Cycas サイカス属)に分類される常緑性の低木です。日本やインドネシアが原産で、国内では八丈島や九州南部以南に自生しています。見た目はヤシの木に似た、南国らしい姿の植物です。
「ソテツ」という名前は、木が弱った時に根元に鉄を打ち込んだら元気になったことから、「鉄」で「蘇生」するという意味で名付けられました。
じつはソテツにも花が咲きますが、毎年咲くわけではありません。なんと10~15年に1度しか咲かない希少な花です。開花期は6~7月で、雄花はトウモロコシのような形をしていて、雌花はふんわりとしたドームのような形です。
ソテツの花言葉
ソテツの花言葉は「雄々しい」で、その大きくたくましい姿からつけられたといわれています。公園やロータリーなどで観賞用としてよく植えられているソテツは、高さおよそ3~5mですが、南西諸島に自生しているものは、8mほどになるものもあります。
ソテツのたくましさの秘密
雄々しいという花言葉が似合うソテツですが、その生態も非常にたくましさにあふれています。
ソテツの仲間は、なんとおよそ2万年~1万5千年前からこの地球上に存在していたといわれています。最も繁栄していたのは、まだ恐竜がいたジュラ紀といわれ、その時代の地層からソテツの仲間の化石が数多く発見されています。
一方、現在のソテツは1年間に数センチしか成長しませんが、根っこにはとてもたくましい特徴が隠されています。それは、ソテツの根には「シアノバクテリア」という、空気中から窒素を吸収して固定できるバクテリアが共生しており、空気中の窒素を栄養として利用することができるということ。そのため、他の植物が生育できないようなやせた土地や寒い場所でも、今日まで生き延びることができたと考えられています。
ソテツは食べられる?
ソテツは有毒ではありますが、じつは毒を抜けば食べることができ、戦時中の食糧難の時代には奄美・沖縄地方ではソテツからでんぷんを取り出して食用にしていました。南西諸島には、ソテツの実から取り出したでんぷんを用いた「蘇鉄餅」という郷土食が伝わっています。ほかにも、ソテツのでんぷんを団子状にして乾燥させた保存食の「シン」や、シンをお粥に混ぜた「シンガイ」、ソテツの実から作った味噌などもあります。
しかし、ソテツから毒を除去するのは手間がかかり経験も必要なため、実が手に入ったからといって安易に調理するのはやめましょう。
ソテツの効能
ソテツは食用以外にも、中国では漢方として利用されてきました。
秋に収穫した実を日陰で乾燥させたものは「蘇鉄実(そてつじつ)」という生薬になり、主に煎じて用いられます。せき止め、胃痛に効果があるとされていますが、ほかにも切り傷の洗浄に用いられたり、他の生薬と組み合わせて胃がん、肺がんにも用いられます。さらに、男性機能増進や打ち身、腰痛にも効果があるといわれています。
利用する際は資格や経験を持った人の指導のもとで行い、安易に自分で試さないようにしましょう。
毒に注意!
ソテツには猛毒が含まれています。実や幹、葉にも天然の発がん性物質といわれる「サイカシン」が含まれており、摂取すると体内で分解されてホルムアルデヒドが生じ、中毒を起こします。
ソテツを毒抜きせずに食べると運動失調や麻痺などを起こすため、毒抜きのために皮をはいで大量の水にさらし、1~2週間ほどかけて十分に発酵させます。さらに直射日光に当てて乾燥させ、ようやく食べられるでんぷんを取り出します。
ソテツが多く生えている沖縄地方では、第一次世界大戦後の恐慌で食糧不足に陥った際に、多くの人が十分に毒抜きの終わっていないソテツを食べて亡くなったため、その恐慌は「ソテツ地獄」と呼ばれるようになりました。食用として利用する場合は、十分な毒抜きが必要です。もともとは救荒植物として利用されていたものなので、安易に食用しないようにしましょう。
観葉植物として人気!
ソテツは、その見た目や丈夫さなどから、観葉植物としての人気が非常に高い植物です。
観葉植物としての歴史は古く、室町時代には遥か南方から輸入してまで庭木に用いられるほどでした。輸入する必要があることから、財力や権力の象徴にも、江戸時代にも大名の庭園に好んで植えられていたといわれています。
現在、ソテツは世界中に約120もの品種があり、希少な品種も多く存在します。一般的な品種のソテツは通販などでも購入でき、鉢植えから地植え用の苗までさまざまです。価格も2千円ほどのものから10万円を超える高額なものまであり、盆栽のように楽しんだり、ギフトとしても人気があります。
ソテツの育て方
観葉植物としては非常にポピュラーなソテツですが、ここからは美しいソテツを育てるための方法について詳しくご紹介します。
種まき
ソテツはとても大きな種が特徴で、花が終わった10月頃に種を採ることができます。
採種後はすぐに小粒赤玉土の単体の用土へ浅植えにします。土が乾燥しないように霧吹きや水やりをして湿らせ、日陰で管理しましょう。2~6カ月後に発芽したら、日がよく当たる場所に移します。乾燥しないよう十分に注意しながら1年以上かけて大きく育てて、鉢が小さくなったら一回り大きな鉢か庭に植え替えます。
苗植え
ソテツを苗から育てる場合は、5~9月が苗植えの適期です。地植えと鉢植えに分けて、育て方を説明していきます。
地植えの場合は、水が流れやすくなるよう土を高く盛り上げて植え付けるとよいでしょう。苗の2倍ほどの直径の穴を掘り、株元が地面よりも高くなるよう、苗を穴において高さを調整します。ちょうどいい高さになったら苗を植え付けましょう。
鉢植えの場合は、元の鉢やポットよりも一回り大きな鉢を用意し、鉢底に軽石などを入れてから、土を鉢の1/3ほどまで入れておきます。その上に苗を置き、土で隙間を埋めるようにして株を固定します。置き場所は風通しのよい窓辺などにします。
水やり・肥料
ソテツの水やりと施肥の方法についてご紹介します。
地植えの場合の水やりは、植え付け後に1回与えれば、あとは降雨のみで育ちます。
鉢植えの場合は、土が完全に乾いたら水やりをします。特に冬は休眠期で吸水力が弱くなるため、乾燥に時間がかかります。土の表面が乾燥してから3~4日ほどあけて水をやるとよいでしょう。過湿に弱いので、水の与えすぎには注意が必要です。
肥料については、ソテツはやせた土地でも空気中の窒素を利用して育つ力があるので、あまり頻繁に与える必要はありません。植え付け時か、3~5月に1回、緩効性の化成肥料、または固形の油かすを株元に少し与えれば十分です。
育てるポイント
ソテツは熱帯地域に自生する植物ですので、日当たりがよく風通しのよい、乾燥した場所で育てることがポイントです。成長が遅く、太い幹から枝分かれせずに直接葉っぱを横に伸ばすので、剪定などの手入れもほとんど必要ありません。
またソテツは生命力が強いため、水のやりすぎで根腐れしてしまった時でも、幹と新芽が元気ならばそこから再生することができます。根腐れしてしまった時は、根の腐った部分をナイフなどで完全に取り除き、葉も全て切り取って幹と頭頂部の新芽だけを残します。2~3日、風通しのよい明るい日陰で支柱を立てて乾かせば再生します。
害虫や病気の対策は?
ソテツは病害虫にとても強く、注意の必要な害虫や病気はありません。
ですが、水のやりすぎによる根腐れだけは起こりやすいので注意しましょう。
自分で育てて花を見てみよう!
この記事では、生命力あふれる不思議な魅力のソテツについて詳しくご紹介しました。
ソテツは観葉植物として非常に人気です。この記事のソテツの特徴や育て方を参考に、ぜひ自分の手で育ててみてはいかがでしょうか? 大きく成長するには長い年月がかかりますが、じっくりと育てて希少な花を見ることができれば、きっと愛着が湧くことでしょう。
Credit
文/3and garden
ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。
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