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- 知りたい! バラの種類や品種、それぞれの特徴と見分け方
春から初夏にかけて、また、秋に多くのバラファンを集めるのが、各地のバラ園のバラ祭り、ガーデニングショーなど。切り花の世界では、冠婚葬祭、パーティ装花やギフトでも引っ張りだこ。毎年たくさんの新品種が誕生するほど、バラは人気の花です。好きな花色や花形はあっても、さまざまにありすぎて種類や品種がよくわからないという方もいることでしょう。多種多彩なバラをガーデン用のバラと分け、ここでは花屋さんで出回る切り花を中心にご紹介します。
目次
バラってどんな花?
まずは、バラについて基本的なことをチェックしておきましょう。
バラの基本データ
学名:Rosa
科名:バラ科
属名:バラ属
原産地:ヨーロッパ、北アメリカ、アジア
和名:バラ(バラ、ソウビ、ショウビ)
英名:Rose
開花期:5~11月
切り花の出回り時期:周年
花色:赤、ピンク、オレンジ、黄、白、紫、緑、茶、複色
原種バラの生まれ故郷と、バラの歴史
ふだん何気なく使っているバラという名前。これはバラ科バラ属の総称。「イバラ」の「い」が抜けた言葉。古くは万葉集にバラを指す「うまら」が登場。「うばら」「むばら」、また、「薔薇(そうび)」いう言葉も使われました。つまり「バラ」とは、日本古来または中国から渡来したバラを指す言葉。日本にはノバラ、ハマナスをはじめ、もともと原種のバラがあります。
ノバラ(ノイバラ)
学名はRosa(ロサ)、英語ではRose(ローズ)。バラの原種はヨーロッパからアジアにかけて広く分布しています。このバラの世界に多大な貢献をしたのが、18世紀末から19世紀初めに活躍した、皇帝ナポレオンの妻・皇后ジョゼフィーヌ。バラを愛し、世界のバラをパリ郊外のマルメゾン宮殿の庭に集めます。中国や日本のバラも含め、その数は300種に及んだといいます。
ジョゼフィーヌのバラ好きは収集に収まらず、さらに、収集したバラを使って、専門の園芸家に交配育種を行わせます。宮殿内にバラ園を造り、つぎつぎに新しい品種を作り出しました。ジョゼフィーヌの没後も新しいバラの作出は続き、19世紀半ばまでに3000種を超えたといわれています。この大きな功績から、ジョゼフィーヌは「バラのパトロン」と称賛されています。
1867年フランスで、大輪の四季咲きの性質をもつ画期的なバラ、ラ・フランスが誕生します。このバラ以降に誕生したバラはモダンローズ(現代バラ)と呼ばれ、それ以前の園芸品種はオールドローズと呼ばれます。四季咲き性をもつモダンローズが誕生すると、バラは1年に何度も楽しめる花になります。庭に咲いたバラを、摘み取って部屋のなかで楽しむ人たちも増えたことでしょう。バラは多くの人たちに愛され、新しい品種がつぎつぎに誕生するような人気の花になっていきました。
ラ・フランス
切り花のバラと、ガーデン用のバラ。違いと特徴が知りたい
現在、バラ園やガーデンセンター、花屋さんなどで、多種多彩なバラを見ること、買うことができます。ただし、バラ園で見たお気に入りのバラを、すぐに切り花で買い求めることができません。なぜなら、さまざまなバラはその性質によって、ガーデン用と切り花用に分けられているのです。
ガーデン用のバラ
ガーデン用のバラは、おもに庭や鉢植えで楽しむ一般の愛好者向けのバラ。バラ初心者が育てやすい丈夫な品種も、放っておくときれいなバラが咲かないテクニックが必要な上級者向けの品種もあります。
切り花の生産目的ではないため、春しか咲かない一季咲き、春以外はあまり咲かない返り咲きなども含まれています。つまり、原種のバラやオールドローズの系統も含まれています。花数は少ないけれど、花色や花形がとても美しく、香りが深いバラならば、それはまた魅力的なバラのひとつです。ただし、そういう品種はガーデン用。切り花で出回ることは、おそらくありません。
切り花用のバラ
いっぽう、切り花用のバラは、プロの生産者向け。つまり、切り花生産者のためのバラ。一般には出回りません。ハウス栽培で加温すれば、1年中花を咲かせる四季咲き性の生産性のいいバラです。
真夏は日差しが強く、気温も高いので、そんな時期にも花色が変わりにくく、花の大きさが変わりにくい性質が求められ、丈夫で病気になりにくいことはいうまでもありません。ただし、生産のプロが手がけるバラですから、なかには少々育てにくい性質でも、花が魅力的ということで切り花用になったバラもあるそうです。
切り花で出回るバラのタイプ
その切り花で出回るバラには、1本に大きな1輪が咲くスタンダードタイプと、小輪がたくさんつくスプレータイプがあります。スタンダードタイプには、巨大輪から、大輪、中大輪、中輪までサイズがあります。スプレーバラにはスタンダードバラの中輪ぐらいの大きさの花をいくつもつける品種もあり、花の大きさはさまざまです。
チェリーアヴァランチェ+
1本の茎に1輪ずつ咲くスタンダードタイプ。
バンビーナスポット
たくさんの花がつくスプレータイプ。
日本で生産される切り花のベスト3は、キク、ユリ、そしてバラ
今、店先にバラが並んでいない花屋さんは珍しいかもしれません。花屋さんにギフトを買い求める人は、バラも加えて、バラは必ず入れてほしい、バラを中心に、バラと季節の花を合わせて…など、バラをギフトとして贈りたいと注文する人がとても多いそうです。選ばれるからこそ、花屋さんに多種多彩なバラが並んでいるわけです。
そういわれているバラですが、実際にどれほど人気があるのか、政府統計の平成28年(2016年)産花きの生産状況を調べてみました。
それによると、日本の切り花の産出(出荷)額は2152億円です。そのうち1位のキクは680億円、2位のユリは217億円、バラは3位で180億円にのぼります。ちなみに、4位のトルコギキョウは120億円、5位のカーネーションは117億円と続きます。
キクは葬儀需要、仏花としての需要が非常に高い花です。ユリも同様の需要が多い花ですから、ギフト用、家庭用のバラの人気の高さがうかがえます。
バラの多彩な花色と花形。人気品種の画像一覧
切り花用の品種、ガーデン用の品種。バラにはふたつのタイプがあることを紹介しました。それぞれ特徴がありますが、ここからは切り花のバラについて詳しくお話します。
◆バラのカラーバリエーション◆
ピンク系
切り花のバラのうち、圧倒的に多いのがこの色です。ひとことでピンクといっても、品種が多いだけに色幅がとても広く、淡い色から濃いものまでさまざま。バラを表現するのにもっともふさわしいローズ色もピンク系のひとつです。
アートリークローズ
プライムチャーム+
みさきなでしこ
赤系
ベルベットのような光沢をもつものから、朱色がかったものまであり、上品で華やかな印象の色。愛の告白やクリスマスにと、スペシャルな日、フォーマルなシーンに欠かせません。
ガーネットジェム
ブリランテ
ルージュリアン
オレンジ系・アプリコット系
はつらつとしたビタミンカラーは夏に、また、実りや紅葉を連想させる秋にもふさわしい色。アプリコット系はロマンティックな雰囲気があり、四季を通じて人気は上昇中です。
カラルナ
杏
黄系
夏は花色が薄くなる品種が多かったため、鮮明な黄色できりっと咲くバラが追求されてきましたが、最近では、やさしく淡い黄色の品種が人気を得ています。
ルミナス
風月
白系
冠婚葬祭に使われるため、特に春と秋のブライダルシーズンには引っ張りだこ。流通量も多い花色です。特に咲き始めは、緑色やクリーム色を含んでいることが多いようです。
ジョリフィーユ
ピースオブマイハート
紫系
上品な色が人気です。シルバー系と呼ばれる赤みの抜けた薄い花色、藤色、濃色の赤紫などのバリエーションがあります。バイオテクノロジーの技術で青色の開発も実現しました。
ガブリエル
ヤギパープル
茶系
ニュアンスがある色合いが多く、落ち着いた印象。品種数は多くはありませんが、秋にはハロウィンなどのイベント用、紅葉をイメージするアレンジなどによく使われます。
ジュリア
ルールマジク
複色系
花びらに縁取りがあるもの、絞り模様が入るものなどです。花の中に2つ以上の色があるのが特徴です。
センテッドジュエル
◆人気の花形◆
切り花のバラは、2000年代にイングリッシュローズの人気が沸騰するまで、長い間剣弁高芯咲きの整った花形が主流でした。イングリッシュローズとは、イギリス人育種家デビッド・オースチン氏が手がけたこのブランドバラ。四季咲き性が強く、大輪で芳香の花を咲かせながら、花形はまるでオールドローズのようなカップ咲きやロゼット咲き。アンブリッジローズなどのやさしい花形に魅了された人たちが、切り花にも求めたため、日本のバラ生産者や育種家もカップ咲き、ロゼット咲きのバラを作り出すようになり、現在、多種多様な花形のバラが楽しめるようになりました。
アンブリッジローズ
また、最近では花びら全体にフリルが入るタイプ、花の中心に緑色のしべが目立つ斬新な花形も人気を呼んでいます。
キャロットオレンジ+
ラロック
シュエルヴァーズ
以下は2015年の東京の大田市場の卸業者と仲卸業者、世田谷市場の仲卸業者における人気品種トップ5です。
大田市場 人気品種トップ5
1位 アヴァランチェ+
2位 サムライ08
3位 イブピアッチェ
4位 スウィートアヴァランチェ+
5位 カルピディーム+
世田谷市場 人気品種トップ5
1位 アヴァランチェ+
2位 サムライ08
3位 アマダ+
4位 スウィートアヴァランチェ+ と カルピディーム+
バラといえば香り。香りのいい切り花品種
もともとバラといえば香りのいい花の代名詞。ローズガーデンで出合うバラは香り高い品種が多いのに、なぜか切り花のバラは香りでは劣る…。そう感じる人は少なくないでしょう。なぜなら、摘み取ってから花が長くもつバラは、長い間咲き続けることに力を注ぎ、香りにエネルギーを使うことができません。花もちのよさを長い間追求した品種改良によって、切り花には香りのあるバラが少なくなっていったのです。とはいっても、やはりバラには香りがほしいものですね。花もちがよくて、香りも高いバラがあったら…。さらに品種改良を重ねることで、そんな贅沢な要望が実現。香りのよさと、花もちのよさを兼ね備えた品種が数多く出回っています。
トワパルファム
切り花でも、ガーデンでも楽しめる品種
多様化した切り花のバラ。切り花で活躍するガーデン用の品種もあります。
ガーデン用から切り花用になったバラもあります。代表ともいえるひとつがイブピアッチェ。もともとガーデン用のバラでしたが、魅力的な青みがかった濃いピンクの花色、深い香りのバラは、切り花で人気が沸騰。もっとも人気の高いバラのひとつになりました。
そのほか、古くはマダムヴィオレがあり、ルージュロワイヤル、ラ・マリエ、ガブリエル、KIZUNA、最近人気のパリスなどは、切り花、ガーデンの両方で楽しめるバラです。
マダムヴィオレ
ラ・マリエ
KIZUNA
パリス
また、イングリッシュローズは、ガーデン用のバラ。散り落ちる姿まで楽しむための、一気に花びらを散らす性質があり、花もちのよさは兼ね備えていませんでした。そこで、デビッド・オースチン・ロージズ社は、花もちのいい切り花専用のバラを発表します。それが、ジュリエット、テス、ダーシー、キーラ、シンベリン、キャリー、エディスなど。どれも花もちがよく、香りも深い大輪ばかりです。
キャリー
エディス
ジュリエット
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