屋根まで届く圧倒的存在感! 見上げるほど巨大に咲く「皇帝ダリア」の育て方&低く育てるコツ
Eiko Tsuchiya/Shutterstock.com
秋の終わりに、見上げるような高さで優雅なピンクの花を咲かせる「皇帝ダリア」。その圧倒的な存在感で、寂しくなりがちな晩秋の庭を彩ってくれます。一方で、「茎が数メートルも伸びて倒れないか心配」「寒さで枯れてしまわない?」といった育て方の疑問や不安をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
本記事では、皇帝ダリアの基本情報から、初心者でも失敗しない植え付け・冬越しの方法、省スペースで楽しめる鉢植えや小さく低く育てる摘心のコツまで分かりやすく解説します。ご自宅の環境に合わせた育て方を見つけて、ぜひ雄大な花姿を楽しんでみてください。
目次
皇帝ダリアの基本情報

植物名:皇帝ダリア
学名:Dahlia imperialis
英名:tree dahlia、imperial dahlia
和名:コダチダリア(木立ダリア)
その他の名前:キダチダリア、ツリーダリア
科名:キク科
属名:テンジクボタン属(ダリア)
原産地:メキシコ~中米
形態:宿根草(多年草)
皇帝ダリアの学名は、Dahlia imperialis (ダリア・インペリアリス)で、別名は木立ダリア、ツリーダリア。キク科ダリア属の多年草で、地下に球根(塊根)をもっています。原産地はメキシコ〜中米の熱帯高地で、日本の夏の極端な暑さは苦手です。冬は休眠するため戸外で越冬できますが、凍結する地域では掘り上げて貯蔵するとよいでしょう。皇帝ダリアは草丈が1〜6mにもなるのが最大の特徴で、太い茎には節があります。草丈が高くなるので、十分なスペースが必要です。
薄暮の中で風に揺れる皇帝ダリア。feri kusyaeri/Shutterstock.com
皇帝ダリアの花や葉の特徴

園芸分類:草花
開花時期:11月下旬〜12月上旬
草丈:1〜6m
耐寒性:普通
耐暑性:普通
花色:ピンク、紫、白
皇帝ダリアの開花期は11月下旬〜12月上旬。花は薄紫がかったピンクの一重咲きが基本で、品種によっては白花や八重咲きなどもがあります。花径15〜20cmほどの大きな花を多数咲かせ、大変華やかです。茎は竹のような節が合って古くなると木質化し、成長すると5~6mにも達する非常に大型のダリアで、2階からも花を楽しめるようになります。葉は羽状複葉で、小葉は卵形で鋸歯があります。
鉢植えで栽培することも可能

草丈が高くなる皇帝ダリアですが、鉢植えでの栽培も可能です。根域が制限されるために、地植えよりも草丈が抑えられる傾向にあります。鉢栽培なら季節に応じて適した場所に移動しながら管理できるのも利点。移動にはキャスターつきの鉢台を利用すると便利です。
皇帝ダリアの名前の由来と花言葉

皇帝ダリアという名前は学名のDahlia imperialisに由来し、「Imperialis」はラテン語で皇帝を意味します。丈高く伸びる威風堂々とした姿にちなんで名づけられました。和名では木立ダリア(コダチダリア、キダチダリア)、英名では「tree dahlia」などとも呼ばれ、多年草でありながらまるで樹木のように茎が木質化し、5m以上にも成長することが由来です。
皇帝ダリアの花言葉は、「優雅」「威厳」「壮麗」など。いずれも草丈が高く優雅な花姿が由来となっています。
皇帝ダリアの代表的な種類

皇帝ダリアの品種は多くはありませんが、近年はハイブリッドタイプが生まれるなど種類が増えてきています。この項目では国内で流通している主なものをご紹介します。
皇帝ダリア(ダリア・インペリアリス)

一般的に出回っている淡いピンクの一重咲きで、草丈は6mを越えることも。自生地では林縁などで見られます。
ダリア・エクセルサ

学名はDahlia excelsa。草丈は2〜3mで、インペリアリスよりも小さめです。開花期が遅いため、暖地以外では花が咲く前に枯れてしまうこともあります。
皇帝ダリア ハイブリッド
皇帝ダリアの交配種で、夏~秋から開花します。草丈は1.5〜2mほどでコンパクトにまとまるのが特徴です。花色は白、赤があり、一重咲き、八重咲きなどもあります。

皇帝ダリアの栽培12カ月カレンダー
開花時期:11月下旬~12月上旬
植え付け:3〜5月(球根)、4月下旬〜5月(苗)
植え替え:3月頃
肥料:5〜10月(鉢植え)
皇帝ダリアの栽培環境

日当たり・置き場所
【日当たり/屋外】日当たり・風通しのよい場所を好みます。半日陰でも生育しますが、極端に日当たりが悪い場所では、花つきが悪くなったり、ヒョロヒョロとしたか弱い茎葉ばかりが茂って草姿が間のびしたりするので注意。また、地植えの場合は西日が強く当たる場所は避けましょう。
【日当たり/屋内】屋外での栽培が基本です。
【置き場所】皇帝ダリアは草丈が2〜6mに達するため、地植えにする場合は十分なスペースを確保しておきましょう。また常夜灯がある場所では花芽がつきにくくなるので、夜は十分に暗くなる場所を探してください。
土壌は、腐植質に富んだふかふかの状態を好みます。酸性に傾いた状態を嫌う性質があるので、苦土石灰をまいて土壌改良しておくとよいでしょう。
耐寒性・耐暑性
皇帝ダリアの耐寒温度はマイナス2℃前後、生育適温は15~25℃。日本の極端な暑さや寒さを苦手とし、夏越し・冬越し対策が必要です。寒冷地では霜にあたると地上部が枯れ、土壌が凍結すれば塊根も腐ってしまうため、掘り上げて冷暗所で保管するなどの対策をしましょう。
皇帝ダリアの育て方のポイント
用土

【地植え】
植え付ける1〜2週間前に、酸性土壌を改善するために苦土石灰をまき、さらに腐葉土や堆肥などの有機質資材を植え場所に投入し、よく耕してふかふかの土をつくっておきます。土づくりをしてからしばらく時間をおくことで、分解が進んで土が熟成し、植え付け後の根の生育がよくなります。
【鉢植え】
草花の栽培用に配合された園芸用培養土を利用すると便利です。
水やり

水やりの際は、株が蒸れるのを防ぐために茎葉全体にかけるのではなく、株元の土を狙って与えましょう。
真夏は、気温が高い昼間に行うと、すぐに水の温度が上がって株が弱ってしまうので、朝か夕方の涼しい時間帯に行うことが大切です。暖地の戸外で越冬させる場合は、真冬は気温が十分に上がった日中に行います。夕方に水やりすると凍結の原因になるので避けてください。
【地植え】
根づいた後はほとんど不要です。ただし、雨が降らない日が続いてひどく乾燥していたら水やりをして補います。
【鉢植え】
日頃の水やりを忘れずに管理します。ただし、いつでもジメジメとした状態にしておくと、根腐れの原因になってしまうので注意。土の表面が乾いたら、鉢底から水が流れ出すまで、たっぷりと与えてください。茎葉がしおれそうにだらんと下がっていたら、水を欲しがっているサイン。植物が発するメッセージを逃さずに、きちんとキャッチしてあげることが、枯らさないポイントです。
肥料

【地植え】
土づくりの際に元肥を施してあれば、追肥の必要はありません。
【鉢植え】
生育期間中の5〜10月に、1〜2カ月に1度を目安に緩効性肥料を株元に施して土に馴染ませます。
注意する病害虫

【病気】
皇帝ダリアの栽培で発生しやすい病気は、灰色かび病や白絹病などです。
灰色かび病は花や葉に褐色の斑点ができて灰色のカビが広がっていきます。気温が20℃ほど、かつ多湿の環境で発生しやすい病気です。ボトリチス病、ボト病などとも呼ばれています。風通しが悪く込み合っていたり、終わった花や枯れ葉を放置していたりすると発生しやすくなるので注意。花がらをこまめに摘み取り、茎葉が込み合っている場合は、間引いて風通しよく管理しましょう。
白絹病はカビが原因で、周囲に伝染しやすい病気です。根や茎に発生しやすく、発症初期は地際あたりに褐色の斑点が見つかります。病状が進むと株元の土に白いカビがはびこり、やがて株は枯れてしまうので注意が必要。病株を発見したら、周囲に蔓延させないためにただちに抜き取り、土ごと処分してください。土づくりの際に、水はけのよい環境に整えることが予防につながります。
【害虫】
皇帝ダリアの栽培で発生しやすい害虫は、アブラムシやヨトウムシなどです。
アブラムシは、3月頃から発生しやすくなります。2〜4mmの小さな虫で繁殖力が大変強く、茎葉にびっしりとついて吸汁し、株を弱らせるとともにウイルス病を媒介することにもなってしまいます。見た目もよくないので、発生初期に見つけ次第こすり落としたり、水ではじいたりして防除しましょう。虫が苦手な方は、スプレータイプの薬剤を散布して退治するか、植え付け時に土に混ぜ込んで防除するアブラムシ用の粒状薬剤を利用するのがおすすめです。
ヨトウムシは蛾の幼虫で、漢字で「夜盗虫」と書き、主に夜に姿を現して茎葉を食害します。大きくなった幼虫は食欲が旺盛で、株を丸裸にしてしまうほどです。葉から食害し始めるので、異変を察したら幼虫がまだ若いうちに駆除しましょう。発生しやすい時期は4〜6月、9〜10月です。食害の跡が認められたら夜にパトロールして補殺するか、適用する薬剤を散布して防除します。
皇帝ダリアの詳しい育て方
球根や苗の選び方
皇帝ダリアは球根(塊根)または芽出し苗を植え付けて育てます。ダリアの球根は芽が出にくいため、基本的に球根は新芽が確認できるものがおすすめ。全体にハリがあり、腐っている部分や首の部分にひび割れがないものを選ぶとよいでしょう。苗を購入する場合は、葉色が濃く、節間が短く茎ががっしりと締まって勢いがあるものを選びましょう。
植え付け・植え替え(球根)

球根の植え付け適期は、3〜5月です。市販されている球根(塊根)を植え付けます。
冬前に球根を掘り上げた場合は、3月頃に同様の手順で庭や鉢に植え直します。
【地植え】
土づくりをしておいた場所に球根よりも1回り大きな穴を開け、芽を上にして植え付けます。複数植え付ける場合、100cm以上の間隔を開けておきましょう。
【鉢植え】
植え付けは、8〜10号鉢に球根1つを目安にしてください。底穴に鉢底ネットを敷き、軽石を1〜2段分入れてから培養土を8割くらいまで入れましょう。土は鉢内までしっかり行き渡るように鉢底をコンコンと打ち付けながら土を落ち着かせ、しっかりと培養土を入れ込みます。水やりの際にすぐ水があふれ出すことのないように、土の量は鉢縁から2〜3cm下の高さを目安にし、ウォータースペースを取っておきましょう。芽を上にして植え付け、最後に鉢底からたっぷりと水が流れ出すまで十分に水を与えましょう。
植え付け(苗)

皇帝ダリアの苗の植え付け適期は4月下旬〜5月です。
【地植え】
土づくりをしておいた場所に、苗をポットから出して根鉢をくずさずに植え付けます。複数の苗を植え付ける場合は、密に植え付けると風通しが悪くなって株が蒸れることがあるので、100以上の間隔を取っておきましょう。植え付けた後は、たっぷりと水やりをしておきます。
【鉢植え】
鉢の大きさは、8〜10号鉢を準備します。
底穴に鉢底ネットを敷き、軽石を1〜2段分入れてから培養土を半分くらいまで入れましょう。苗を鉢に仮置きして高さを決め、ポットから出して根鉢をくずさずに植え付けます。水やりの際にすぐあふれ出すことのないように、土の量は鉢縁から2〜3cm下の高さを目安にし、ウォータースペースを取っておきます。土が鉢内までしっかり行き渡るように、割りばしなどでつつきながら培養土を足していき、最後に鉢底からたっぷりと水が流れ出すまで、十分に水を与えましょう。
支柱の設置

皇帝ダリアは草丈が大変高くなるため、早めに支柱を設置して茎を誘引しておきましょう。すると強風による倒伏を防ぐことができます。支柱は球根を傷めない位置に深くまで差し込み、しっかり支えられるようにしておくことが大切です。
摘心

6〜8月、伸びた新芽の先端を切り取る「摘心」を新芽が伸びる都度に行うと、比較的コンパクトな株姿を楽しむことができます。9月頃には花芽ができ始めるので、適期以外の摘心は禁物です。
切り花を楽しむ

皇帝ダリアは11月下旬〜12月上旬に多数の花が咲きます。高い位置で咲いて、花姿がよく見えない場合は、切り花にして室内に飾るのもおすすめです。
夏越し

長雨に当たると蒸れることがあるので、梅雨前に株が込み合いすぎているようであれば、茎葉を間引くように切り取り、風通しをよくしておきましょう。鉢植えは梅雨前に雨の当たらない軒下などへ移動して蒸れないようにしておきます。梅雨が明けたら置きたい場所へ移動します。暑くなる時期は、水切れに注意して管理しましょう。
冬越し

関東地方以南では戸外での冬越しが可能です。地上部が枯れたら地際から2〜3節残して切り取り、バークチップやワラなどを厚めにマルチングしておきましょう。
凍結する地域では球根を掘り上げ、箱に少し湿らせたバーミキュライトを入れて埋め込み、5℃以下にならない場所で保存しておきます。球根の発芽点を傷つけることのないように取り扱いましょう。越年して3月頃になったら植えたい場所に植え付けます。
増やし方

皇帝ダリアは株分けか挿し芽で増やすことができます。
【株分け】
皇帝ダリアの株分け適期は、3月頃です。
株を植え付けて数年が経って大きく育ったら、株を掘り上げて球根(塊根)を取り出し、新芽をつけて切り分けます。塊根は大変かたいので、ノコギリなどを使うといでしょう。切り分けた球根を再び植え直すと、それぞれの株が大きく成長します。こうして同じ姿の株が増えていくというわけです。
【挿し芽】
挿し芽とは、茎葉を切り取って土に挿しておくと発根して生育を始める性質を生かして増やす方法です。植物の中には挿し芽ができないものもありますが、皇帝ダリアは挿し芽で増やすことができます。
皇帝ダリアの挿し芽の適期は、5〜6月です。その年に伸びた新しくて勢いのある茎を2〜3節つけて切り取ります。採取した茎葉(挿し穂)は、水を張った容器に1時間ほどつけて水あげしておきましょう。その後、吸い上げと蒸散のバランスを取るために葉を1/2ほど切り取ります。3号くらいの鉢を用意してゴロ土を入れ、新しい培養土を入れて水で十分に湿らせておきます。培養土に穴をあけ、穴に挿し穂を挿して表土を押さえてください。発根するまでは明るい日陰に置いて管理します。その後は日当たりのよい場所に置いて育苗し、ポットに根が回るまでに成長したら、植えたい場所に定植しましょう。挿し芽のメリットは、親株とまったく同じ性質を持ったクローンになることです。
倒伏しないよう低く育てるには

皇帝ダリアは草丈が2〜6mにもなるので、栽培する際は倒伏して隣の敷地に入ったり、落ち葉や花がらが散らかったりしないように、ご近所への配慮も忘れないようにしたいもの。6〜8月に新しい枝の先端を切る摘心や切り戻しを行うと、草丈をコンパクトに抑えることもできます。ただし、花芽が秋からでき始めるので、8月までに終わらせるようにしましょう。倒伏しないように支柱を設置して誘引しておき、枯れ葉や花がらはまめに整理しておきます。
育て方のポイントを知り皇帝ダリアを栽培しよう

生育期になると茎葉をぐんぐん伸ばして家の屋根ほどにまで到達し、先端にピンクや紫の花を咲かせる皇帝ダリアの雄大な咲き姿には、感動を覚えるほど。丈夫でビギナーでも育てやすいので、庭に取り入れてはいかがでしょうか。
Credit
文 / 3and garden

スリー・アンド・ガーデン/ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。「ガーデンストーリー」書籍第1弾12刷り重版好評『植物と暮らす12カ月の楽しみ方』、書籍第2弾4刷り重版『おしゃれな庭の舞台裏 365日 花あふれる庭のガーデニング』(2冊ともに発行/KADOKAWA)発売中! 2026年10月5日発売の書籍第3弾『小さな空間を生かす立体ガーデニング 玄関から始める花のある暮らし』(発行/KADOKAWA)発売中!
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