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宿根草ショップの店長が教える! 年内に植えておきたい宿根草
一度植えたら、何年にも渡り毎年花を咲かせてくれる宿根草(しゅっこんそう)。実は手間がかからなくて、とっても簡単に育つ宿根草もたくさんあります。「ガーデニングの初心者にこそ、宿根草をオススメしたい!」という「おぎはら植物園」店長の荻原範雄さんが、来年に向けて、年内には植えておきたい秋〜冬に植えどきの宿根草を5種ピックアップ。年内に植える大事な理由とともに、オススメの品種バリエもご紹介します。
目次
年内に植えておけば、翌年のボリューム満点!
春よりも秋~冬に植えておきたい宿根草!
一般的に、一年草は植えてすぐに次々と花が咲くものが多いのですが、宿根草の場合は少し勝手が違ってきます。一年草と違い、宿根草は地植えにして咲くまでに育てる時間を多くかけると、本来のよさを発揮します。また、咲いた状態で植えるより、咲く前に、なるべく早いタイミングで苗を植え付けて、しっかりと根が張った状態で花の季節を迎えるのがコツです。そうすることで、花つきがよく、株のボリューム感が出るうえ、暑さにも耐える丈夫な株づくりができます。その場所や環境に馴染んで咲く宿根草は、本来の姿ともいうべき美しさがあります。また、手間や時間をかけて咲かせた花の美しさは格別です。
特に植え時のオススメは秋です。可能な限り年内に植えて、庭で越冬させることで、強い根が張り、丈夫な株に成長するのです。
今回は宿根草と、耐寒性のある一・二年草の中から、特に秋~冬の年内に植えておくべき種類をご紹介します。
早めに植えておくと花数が断然多くなる!
ジギタリス
「秋植えがよい」といわれる代表的な存在のジギタリス。愛好家の方はご存じかと思いますが、ジギタリスは冬に葉が減っても地中で根が育ちます。年内に植えておくと翌年の初夏(花期)までに十分根が張って大きな株になりますので、花の数も断然多くなります。極端にいえば、春に植えると一株に1~2本しか花が立ちませんが、秋に植えておけば5~6本花が立つほど差が出ます。
ジギタリスは背が高く、柱のように花を咲かせて、花壇の後方などで美しい背景になります。この花が咲いているだけで本格的なイングリッシュガーデンに見えるところが不思議です。来年に備えて今のうちから植えておきましょう。
ジギタリス 人気の花色バリエーション
‘サットンズ・アプリコット’
パステルカラーの明るい印象の花。古い品種ながら人気の衰えない良花。
‘スノーシンブル’
ホワイトガーデンはもちろん、どんな花とも合わせやすい、爽やかな印象。
‘カメロット・ラベンダー’
カメロットシリーズは、ほかにも赤や白、黄色があります。このシリーズは生育スピードが速く、春に植えてもすぐに開花しますが、年内に植えておくと、さらにボリューム満点の花姿に。
ジギタリス 番外編
個性的なジギタリスはいかが?
近年は個性的で珍しいタイプのジギタリスが欧米を中心に人気です。お庭のイメージに合わせて選んだり、ユニークな雰囲気なので、アクセント的に取り入れてみても面白いですよ。
‘モンストローサ’
別名は「モンスタージギタリス」。一番上の花が大きく、くす玉のようにパッと開いて面白いジギタリスです。
‘パムズ・スプリットリップ’
スプリットとは「裂けている」という意味ですが、その名の通り花弁が裂けたような形をしています。その花が連なる様子はマツカサのようでユニーク。
‘レッドスキン’
とても小さな花が並んで咲く、可愛いジギタリス。場所をとらないのでスモールガーデンにもオススメ。
【ジギタリス DATA】
■ オオバコ科 宿根草(耐寒性多年草)または二年草
■ 主な花期:晩春~初夏
■ 草 丈 : 60cm~1m前後(品種によりさまざま)
■ 耐寒性:強い(-20℃くらいまで)
■ 耐暑性:普通(暖地では夏までの一・二年草扱い)
■ 日 照:日向
大型ポピーは年内の植え込みが必須!
オリエンタルポピー(オニゲシ)
オリエンタルポピーは和名オニゲシと呼ばれる大きな花のポピーです。花径15cmほどにもなる大輪の花が無数に咲き誇る様子は見事で、まさにケシの女王。ヨーロッパを中心に人気があり、有名ガーデンでも使用頻度がとても高い花です。一般的なアイスランドポピーやヒナゲシに比べて、花や姿もずいぶん大きいのですが、その分、咲くまでに準備期間が必要です。なるべく年内には苗を植え、露地で越冬させて根を十分張らせ、株を大きく育てておきましょう。春に植えても花は楽しめますが、早く植えるほど花の数は多く、見応えのある株になります。
‘ロイヤルウエディング’
名前の通り、上品な白花。花は大きいが派手さはなく、さまざまなガーデンに使いやすい。
‘カルネウム’
明るいパステルカラーの大きな花が春の花壇によく映える。こちらもポピーの割には派手すぎないので、使いやすく人気です。
【オリエンタルポピー DATA】
■ ケシ科 宿根草(耐寒性多年草)または二年草
■ 主な花期:晩春~初夏
■ 草 丈:60cm~1m前後(品種によりさまざま)
■ 耐寒性:強い(-20℃くらいまで)
■ 耐暑性:普通(暖地では夏までの一・二年草扱い)
■ 日 照:日向
庭で越冬させると見事に咲く!
デルフィニウム
デルフィニウムは、その美しい花色で愛好家の多い花です。ハッとするような鮮やかな花色は、一度見ればぜひ育ててみたくなる花の一つです。
花が咲いた状態で流通する小型のベラドンナ系、シネンセ系は一年草扱いとして気軽に楽しめる種類ですが、1mを超えるような大型のエラータム系は、咲くまでに時間がかかること、十分な寒さにあてないとよい花が咲かないことから、秋冬には植え込み、翌年の花期に向けて、事前に準備しておく必要があります。
このエラータム系は、美しい花を柱のように高く咲かせ、非常に見応えがあり、海外での人気は絶大です。本格派ガーデンを目指して、この大型デルフィニウムに挑戦してみてはいかがでしょうか?
‘ダスキーメイデン’
アンティーク調のくすんだピンク。耐暑性も備える丈夫な「ニューミレニアム・シリーズ」。
‘コバルト・ドリームス’
鮮やかなブルーに白いワンポイント。耐暑性も備える丈夫な「ニューミレニアム・シリーズ」。
‘グリーンツイスター’
少しグリーンがかった爽やかなホワイト。耐暑性も備える丈夫な「ニューミレニアム・シリーズ」。
‘モーニングライト’
外側と内側の花色が違うバイカラー咲き。耐暑性も備える丈夫な「ニューミレニアム・シリーズ」。
【デルフィニウム DATA】
■ キンポウゲ科 宿根草(耐寒性多年草)または二年草
■ 主な花期:晩春~初夏
■ 草 丈:1~1.5m前後(品種によりさまざま)
■ 耐寒性:強い(-30℃くらいまで)
■ 耐暑性:やや弱い(暖地では夏までの一・二年草扱い)
■ 日 照:日向~やや半日陰
可憐な姿、美しい花色が魅力的!
アグロステンマ
ムギセンノウ、ムギナデシコとも呼ばれ、背が高くスッと伸びてゆらゆらと風に揺れる様子が、とても美しい花。極寒冷地を除いて越冬できるため、年内に植えておけば翌年にたくさんの花を咲かせて、まるで花束のようなボリュームのある姿を楽しむことができます。
春に植えても、たくさんの花が咲きますが、年内に植えて露地で越冬させることにより、倒れにくい株になります。また、花数が多くなって花期も長くなるなどのメリットがあるので、春よりも年内の植え込みをオススメします。
基本的には夏頃までの一年草ですが、適地では種子が自然に飛んで増え、毎年あちこちから咲きます。湿り気のある半日陰では生育が悪いので、少し乾き気味の日向が適しています。
‘パープル・クイーン’
‘桜貝’
‘オーシャン・パール’
【アグロステンマ DATA】
■ ナデシコ科 耐寒性一年草または二年草
■ 主な花期:晩春~初夏
■ 草 丈:80cm~1m前後
■ 耐寒性:強い(-12℃くらいまで)
■ 耐暑性:弱い(夏までの一・二年草扱い)
■ 日 照:日向
宿根草ガーデンの名脇役!
オルラヤ・グランディフローラ
まるでレースのような白い花が、花壇の隙間を埋めてくれたり、他の草花と合わせればまるで花束のような演出ができます。バラの下草としても定番で、ローズガーデンには欠かせない存在です。このオルラヤも年内の植え込みがオススメ。生育が早いので春に植えても十分に楽しめますが、庭で越冬させることでボリュームが格段にアップして、数えきれないほどの花が咲きます。オルラヤ初挑戦なら年内の植え込みが特にオススメ。少しの株数でもたくさんの花を見ることができます。
基本的に夏頃までの一年草扱いですが、自然にタネが飛んで増えていきますので、宿根草のように毎年楽しむことができます。
オルラヤ・グランディフローラとアグロステンマ。どちらも自然に増えていきますので、混植もオススメの使い方です。
最初ポットに植わって流通している小さな宿根草の苗は、植え付けて育てることでグングン大きくなる種類もあります。特にここでご紹介の品種は、年内の植えどきを逃さなければ、来年、素敵な花咲くコーナーの主役になってくれますよ。これまで宿根草を育てたことがある人も、初めて宿根草栽培に挑戦する人もぜひ、ご紹介したコツを試して、来年も素敵な花と緑のある暮らしを実現させてください。
Credit
写真&文 / 荻原範雄 - 「おぎはら植物園」店長 -
おぎはら・のりお/長野県上田市にある宿根草と山野草を扱う植物専門店「おぎはら植物園」の店長。1979年から植物の栽培と販売をスタートさせた「おぎはら植物園」では、現在、取り扱う宿根草と山野草は4千種を超える。全国に苗生産者のネットワークを持ち、海外からの新品種の導入なども積極的に行う。近著に『咲かせたい!四季の宿根草で庭づくり』『決定版 カラーリーフ図鑑』(ともに講談社)。
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