トップへ戻る

ピィト・アゥドルフ氏デザインが提案する‘生命の輝きを放つガーデン’を訪ねて 4

ピィト・アゥドルフ氏デザインが提案する‘生命の輝きを放つガーデン’を訪ねて 4

オランダだけでなく世界で最も影響力のあるガーデンデザイナーの一人といわれるピィト・アゥドルフ氏(Piet Oudolf)。日本のガーデナーにとっても憧れの存在で、庭をじかに見てみたい!という人も多いはず。そんなピィト・アゥドルフ氏がデザインした庭が、2022年3月、新感覚フラワーパーク 「HANA・BIYORI」 (東京都・稲城市)内に誕生しました。その名も「PIET OUDOLF GARDEN TOKYO」。これから美しく成長していく庭を、四季を追ってご紹介します。今回レポートするのは、宿根草が咲く夏の風景です。

Print Friendly, PDF & Email

【「PIET OUDOLF GARDEN TOKYO」の植栽図】

【「PIET OUDOLF GARDEN TOKYO」の植栽図】

暑さの中に涼しげに広がる
ここならではのメドウ

PIET OUDOLF GARDEN TOKYO

今年は梅雨明けが異常に早く、猛暑日の連続という過酷な初夏を迎えたピィト・アゥドルフガーデン。アゥドルフ氏はアジアでの高温多湿を想定して植物を選定していますが、この暑さは、多少なりともこたえているのでは…。しかし、多摩丘陵地を渡る涼風と緑で、なんとか持ちこたえているようです。

PIET OUDOLF GARDEN TOKYO

今年は初めての夏ということで、開花はやや少なめ。一年草を多用する一般的な花壇に比べるとかなり地味に感じると思いますが、自然の姿を楽しむのがアゥドルフ氏のガーデンスタイル。今は株がまだ十分に大きく育っていないので、植栽に近寄って観てみるといいでしょう。

この時季は見頃を過ぎた植物がちらほら見られますが、これもアゥドルフ氏の計算のうち。花後の枯れた穂は切らずにそのままにし、盛りの花と組み合わせることで、アーティスティックなシーンが展開されています。

アスクレピアスとリアトリス
アスクレピアスの花とリアトリスの枯れた穂のコントラストが絶妙。
エキナセア
今最も印象的なのは、エキナセア・テネシーエンシス。夏の暑さに負けず、たくましく咲いている。素朴でユニークなフォルムに心なごむ。

ここでは、夏の植栽でよく見られる熱帯のトロピカルな植物はありません。それは地植えで越冬できる植物を使って、自然な風景をデザインしているから。基本的に北半球の温帯地域のものだけで構成しているので、夏でもメドウのような牧歌的な風景になっているのです。

PIET OUDOLF GARDEN TOKYO
ダークカラーのセダム‘イエローゼノックス’が、アスペルラなどの繊細な植栽のアクセントになっている。
PIET OUDOLF GARDEN TOKYO

1種類を数株まとめて植えることでボリューム感を出し、見応えのある植栽に仕立てるのもアゥドルフ氏のスタイル。例えば、うねるように穂を伸ばすテウクリウム・ヒルカニカムと霞のような穂のエラグロスティス・スペクタビリスを隣り合わせて、ふわりとした幻想的なシーンを生み出しています。

PIET OUDOLF GARDEN TOKYO
モノトーンの幻想的なコーナー。さまざまなフォルムが交じり合い、美しいシーンを織り成している。
左/煙のように広がるエラグロスティス・スペクタビリスが、単独で直立するパルテニウム・インテグリフォリウムの彫刻的な存在感を際立たせている。
右/ピンクのベロニカとネペタのファンタジックな組み合わせ。

夏をあざやかに彩る
多年草たち

【最前列で彩りを添えるもの】

PIET OUDOLF GARDEN TOKYO
左から/ネペタ、アリウム‘サマービューティー’、スタキス・モニエリ‘ヒュメロ’
PIET OUDOLF GARDEN TOKYO
左から/アスター‘メンヒ’、カラミンサ、ペンステモン・スモーリー

【色鮮やかで目を引くもの】

PIET OUDOLF GARDEN TOKYO
左から/フロックス‘ブルーパラダイス’、アスクレピアス・チュベローサ、エキナセア・テネシーエンシス

【長い花穂がデザインに動きを添えているもの】

宿根草
左から/テリクリウム・ヒルカニカム 、ベロニカ・ロンギフォリア‘フェアリーテイル’、リシマキア・エフェメラム

【造形美を発揮する白花】

宿根草
左から/エリンジウム・パンダニフォリウム、エキナセア・パリダ‘フラダンサー’、パルテニウム・インテグリフォリウム

【軽やかさを放つエアリーなもの】

宿根草
左から/ツルバキア・ビオラセア、クナウティア・マケドニカ、プリザ・メディア‘リムージ’

「PIET OUDOLF GARDEN TOKYO」
以外の場所にも見どころがたくさん!

いつも季節の草花で華やかに彩られている園内は、どこも見応えたっぷり。これらはHANA・BIYORIスタッフによる植栽です。今回は園内中央にある「HANA・BIYORI館」をご紹介。ここには新しい感覚で楽しめるアミューズメントがぎっしり詰まっています。冷暖房完備なのも嬉しいポイント。

HANA・BIYORI館

「HANA・BIYORI館」の中は、300鉢を超えるフラワーシャンデリア(ハンギングバスケット)をはじめ、空間360度、季節の花々で彩られています。また、中央には樹齢推定400年を超える大樹、パラボラッチョの木が据えられ、人間の力をはるかに超えた植物の力強さをアピールしています。

HANA・BIYORI館 HANA・BIYORI館

ベゴニアをはじめ、フクシア、ペチュニア、ゼラニウム、サクソルムが植えられたフラワーシャンデリア。その総数は日本最大級だそう。

HANA・BIYORI館

明るいフラワーシャンデリアの空間は一日数回、映画館のような空間へと暗転し、「花とデジタルのアートショー」が開催されます。四季に合わせた自然風景や花の映像が次々に展開されるショーは、まさに新感覚。次の季節も観たくなるはず。

HANA・BIYORI館

館内奥で目を引くのは、たくさんの魚が泳ぐ2基の大きな水槽。幅8mの水槽ではナンヨウハギ、デバスズメダイ、キンギョハナダイなど沖縄の彩り豊かな魚たち約50種1,200匹が、幅3mの水槽ではネオンテトラなど淡水の小魚が気持ちよさそうに泳いでいます。透明感のあるキラキラとしたシーンに、すっと心癒やされます。

コツメカワウソ

HANA・BIYORI館の一角では、子どもに大人気の「コツメカワウソ」が見られます。愛らしい姿に、花とはまた異なる癒やしが。

PIET OUDOLF GARDEN TOKYO
春にチューリップが咲き誇っていた入り口付近の花壇は、涼しげな植栽にチェンジ。

暑さの中、丘陵を吹き渡る風を味方にして、健気に成長している宿根草。植物のたくましさを感じる風景に元気がもらえます。このアゥドルフ氏によって再構築された自然が織り成す芸術性あふれる風景を、ぜひ堪能してください。

【ガーデンデザイナー】

ピィト・アゥドルフ (Piet Oudolf)

ピィト・アゥドルフ (Piet Oudolf)

1944年オランダ・ハーレム生まれ。1982年、オランダ東部の小さな村フメロに移り、多年草ナーセリー(植物栽培園)を始める。彼の育てた植物でデザインする、時間とともに美しさを増すガーデンは、多くの人の感情やインスピレーションを揺さぶり、園芸・造園界に大きなムーブメントを起こす。オランダ国内のみならず、ヨーロッパ、アメリカでさまざまなプロジェクトを手掛ける。植物やガーデンデザイン、ランドスケープに関する著書も多数。2017年にはドキュメンタリー映画「FIVE SEASONS」が制作・公開された。

Information

新感覚フラワーパーク HANA・BIYORI

東京都稲城市矢野口4015-1

TEL:044-966-8717

https://www.yomiuriland.com/hanabiyori/

営業時間:10:00~17:00 ※公式サイト要確認

定休日:不定休(HPをご確認下さい)

アクセス:京王「京王よみうりランド駅」より徒歩10分(無料シャトルバスあり)、小田急線「読売ランド駅」よりバスで約10分「よみうりランド」下車徒歩約8分

Credit

写真&文/井上園子
ガーデニングを専門としたライター、エディター。一級造園施工管理技士。恵泉女学園短期大学園芸生活学科卒。造園会社、園芸店を経て園芸雑誌・書籍の編集者に。おもな担当書に『リーフハンドブック(監修:荻原範雄)』『刺激的ガーデンプランツブック(著:太田敦雄)』『GARDEN SOILの庭づくり&植物図鑑(著:田口勇・片岡邦子)』、近著に『簡単で素敵な寄せ植えづくり』など。自身もガーデニングを楽しみながら、美術鑑賞や旅行を趣味にする。植物を知っていると、美術も旅も楽しみの幅が広がりますね。

Print Friendly, PDF & Email

連載・特集

GardenStoryを
フォローする

ビギナーさん向け!基本のHOW TO