今回は、住んでいる土地の歴史をさりげなく伝え、そして現在の周辺環境にも合わせてデザインされた集合住宅のエクステリアプランをご紹介します。一般のマンションやアパートと異なり、パッと見ただけでもかっこいいスマートな外観の集合住宅。このデザインにはどんなストーリーがあるのでしょうか。
舞台は東海道五十三次 43番目の宿場

行き交う人々、その人々が住んでいる家、立ち並ぶ建造物、植物たち。複数の要素が集まり出来上がるのが「町」。町は、各時代の環境に馴染み、土地の歴史を紡ぎます。
その町の印象の一部には住宅の外観も入っています。土地の歴史や風土を知ることで、住む人の生活はより楽しく、豊かになります。

この住宅があるのは、東海道五十三次の43番目の宿場である三重県四日市市。東海道沿いに位置しています。
江戸幕府の直轄領だった『四日市宿』は、当時は伊勢神宮への参詣客の通り道であり、水陸交通の要でした。そのため、この町は多くの人々が行き交い賑わいを見せていました。旅籠(はたご※旅人のための宿泊施設)の数は東海道五三次の中でも上位に入ります。
そんな歴史がある道沿いも、今ではその面影が薄れてきていました。そこで、この集合住宅のエクステリアは、通る人に少しでもその歴史に気づいてもらえるよう考えられました。
日本の情景と周辺環境との調和をつくり出すファサード

この集合住宅のエクステリアは、土地の歴史を伝えるとともに、現代的な周辺環境とも調和するよう、両方の時代を意識してデザインされています。濃い茶色の木目調の格子に覆われたファサードは、賑やかな宿場町の一角にあった町屋のような雰囲気を持ちつつ、モダンでシンプルな印象が現代の周辺環境に馴染んでいます。
玄関とアプローチ部分を開口し、向かって左手には木製の小さな看板を、右手には格子の色味に合わせた館銘板(建物の名前を示す看板)を取り付けています。館銘板は格子の色味に合わせたもので、シンプルでスマートです。左手の木製の板には、「東海道 ここは四日市」と記されています。通る人にさりげなく、その土地の歴史を教えてくれるのです。
その風貌は、現代の住宅地に馴染みつつも、「宿場としての歴史や賑わいを忘れないで」と皆に呼びかけ、町を盛り上げているようにも思えます。格子の足元に敷かれた石材と、開口部の両サイドの植栽。格子のみのデザインだとどうしても排他的な感じを受けますが、自然素材が加わることで優しい印象に変わります。
温かい光を使い懐かしい雰囲気を纏う

夜になると、ファサードには温かな光を灯ります。電球色で演出された住宅は、格子と植栽のシルエットを映し出し、幻想的でありながらどこか懐かしい雰囲気を纏っています。規則正しくて美しい、優しい光とシルエット。思わず立ち止まって見入ってしまいそうな魅力的なライティングになっています。
いかがでしたか。
今回は、その土地の歴史を少しでもイメージに取り込み、周辺環境と調和させることを意識した、集合住宅の和風エクステリアの施工事例をご紹介しました。
皆さんもぜひ参考にしてみてください。
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